説明

コンクリート舗設における舗設機械の移送方法および移送装置

【課題】 コンクリート舗設において舗設レーン間の舗設機械の移送作業を安全に、効率的に行う。
【解決手段】 舗設機械の移送装置1は、複数の舗設レーンにコンクリートを舗設する舗設機械を、1つの舗設レーンでの舗設が終了した後に、他の舗設レーンに移動させる際に使用するものであって、平面視四角形状のフレーム2に配置した走行車輪3を駆動装置4によって回転させることにより案内レール上を走行する台車5と、舗設レーンに沿って設置された一対の案内レール(舗設用レール)間の間隔に合わせた間隔を有してフレーム2上に平行に、かつ案内レールに直交させて設置された舗設機械が載置される一対の搭載レール6,6と、各搭載レール6,6の一端部に延長して設けられて案内レールに連絡可能な積込レール7,7とを備えた構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港エプロン、滑走路、貯木場、工場等のように広い面積の舗装領域を複数の舗設レーンに分割して複数の舗設機械を用いてコンクリート舗設する場合に、各舗設機械を舗設済みの舗設レーンから他の舗設すべき舗設レーンの舗設起点に移送する舗設機械の移送方法および移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空港エプロン等のように広い面積の被舗装領域をコンクリート舗設する場合に、舗装領域をコンクリート舗装機械の舗装幅に見合った幅を有する複数の舗設レーンに分割して、1つの舗設レーンのコンクリート舗設が終了すると、その隣の舗設レーンをあけてその次の舗設レーンのコンクリート舗設を行うというように、複数の舗設レーンを1つおきにコンクリート舗設を行って、施工した舗設レーンの生コンクリートが固まった時点で、未施工の舗設レーンをコンクリート舗設することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、前記コンクリート舗設においては、1つの舗設レーンのコンクリート舗設が終了する毎に、次の舗設レーンの舗設起点まで前記コンクリート舗装機械(舗設機械)を移動させねばならない。この場合、舗設レーンに沿って設置した舗設用レール上を走行しながらコンクリート舗設をする舗設機械では路面上を走行することができないので、従来は、1つの舗設レーンの舗設終点で舗設を終了した舗設機械を移動式クレーンで吊り上げて前記1つの舗設レーンから撤去し、次の舗設レーンの舗設起点まで移動し、該舗設レーンの舗設用レール上に設置する。次の舗設レーンが相当に離れている場合は、特許文献2に記載されているように、前記舗設機械をそのまま、または一旦分解して大きなクレーンで運搬車両に積み込んで舗設起点付近まで運搬して、そこで前記クレーンを用いて舗設機械をそのまま、または再組立を行って舗設起点の案内レール上に設置する。
【特許文献1】特開2002−250004号公報
【特許文献2】特開平10−114910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来のコンクリート舗設においては、1つの舗設レーンにおけるコンクリート舗設が終了する毎に、移動式クレーンで舗設機械を吊り上げて移動させたり、大きなクレーンで運搬車両に載せ、降ろして移動させねばならないので、特に、コンクリート舗設に用いる舗設機械の編成数が多い場合には、玉掛け作業を必要とするクレーン作業が多くなり、舗設機械の舗設レーン間における移送作業を効率的に行えないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、コンクリート舗設において舗設レーン間の舗設機械の移送作業を安全に、効率的に行うことができるコンクリート舗設における舗設機械の移送方法および移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
すなわち、請求項1に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法は、舗設レーンに沿って舗設起点から舗設終点まで複数の舗設機械が順次同一方向へ走行しながらコンクリートを舗設する作業を繰り返して複数の舗設レーンのコンクリート舗設を行う場合に、1つの舗設レーンの舗設終点で舗設を終了した各舗設機械を次の舗設レーンの舗設起点に移送する舗設機械の移送方法において、
前記各舗設機械を、先に舗設を終了したものから順に1つの舗設レーンの舗設終点側から台車式の移送装置に積み込んで仮置き用舗設レーンまで移動させ、一旦、該仮置き用舗設レーンにその出口側から搬入して舗設作業順と逆の順序に並べ、しかる後に、仮置き用舗設レーンに並べた舗設機械を、搬入順と逆の順序で該仮置き用舗設レーンの出口側から前記移送装置に積み込んで次の舗設レーンまで移動させ、該次の舗設レーンにその舗設終点側から搬入して舗設起点まで移動させることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置は、複数の舗設レーンにコンクリートを舗設する舗設機械を、1つの舗設レーンでの舗設が終了した後に、他の舗設レーンに移動させる際に使用する舗設機械の移送装置であって、
平面視四角形状のフレームに配置した走行車輪を駆動装置によって回転させることにより走行する台車と、前記舗設レーンに沿って設置された一対の舗設用レール間の間隔に合わせた間隔を有して前記フレーム上に平行に設置した一対の搭載レールと、該各搭載レールの一端部に延長して設けられ、先端部が前記舗設用レールに連絡可能な積込レールとを備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置は、請求項2に記載の舗設機械の移送装置において、前記走行車輪は案内レール上に乗って走行する車輪であって、前記各搭載レールは前記走行車輪の走行方向に直交して設けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置は、請求項2または3に記載の舗設機械の移送装置において、前記搭載レールの一端側部分と積込レールの上面は、搭載レールの一端部側が高く積込レールの先端部側が低くなるように連続した傾斜面に形成されて前記舗設用レールの上面に連絡可能とされていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置は、請求項2〜4のいずれかに記載の舗設機械の移送装置において、前記積込レールは、基端部が前記搭載レールの一端部に上下方向に回動、固定可能に支持されると共に、先端部に積込レールを前記舗設用レールに係合させる係止部材が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法によれば、1つの舗設レーンで舗設を終了した舗設機械を、舗設終点で順次台車式の移送装置に積み込んで仮置き用舗設レーンに移動して待機させておき、最後の舗設機械が舗設を終了したときに、舗設順と逆の順序で各舗設機械を前記移送装置によって次の舗設レーンの舗設終点に搬入し、各舗設機械を自走させて舗設起点まで移動させることにより、各舗設機械を次の舗設レーンに舗設順に整列させることができる。
したがって、舗設に用いる複数の舗設機械を分解し、またはそのままで移動式クレーンで吊り上げ、1つの舗設レーンの舗設終点側から次の舗設レーンの舗設起点まで移動させて再組立をしたり、舗設終点でクレーンで運搬車両に積み込んだ舗設機械を、舗設起点まで運搬した後にクレーンで運搬車両から降ろすといった作業を必要としないので、クレーン作業に伴う玉掛け作業も不要であり、舗設機械の移送作業を安全に、かつ極めて効率的に行うことができる。また、舗設機械を一時待機させるための仮置き用舗設レーンを、各舗設レーンで兼用できるので、仮置き用舗設レーンを専用に設ける必要がなく、用地を効率的に活用することができる。
【0011】
請求項2に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置によれば、移送装置を舗設用レールの端部に接近させて搭載レールの方向を舗設用レールの方向に合わせて、積込レールを舗設用レールに連絡させることにより、舗設用レールと移送装置との間で舗設機械を総組立状態のままで円滑に移動させることができる。したがって、1つの舗設レーンでのコンクリート舗設を終了した舗設機械を次の舗設レーンの舗設起点まで移送させる場合、舗設機械を分解し、またはそのままで移動式クレーンで吊り上げて舗設起点まで移送した後、再組立を行ったり、舗設終点、起点での舗設機械の大きなクレーンによる運搬車両への積み、降ろし作業を行う必要がないので、玉掛け作業が不要となって舗設機械の移送作業を安全に、かつ効率的に行うことができ、請求項1に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法を的確に実施することができる。
【0012】
請求項3に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置によれば、移送装置を、舗設用レールの端部側に該舗設用レールに直交させて設置した案内レール上を走行させて、移送装置の搭載レールと舗設用レールとを一直線状に整列させることができるので、移送装置と舗設レールとの間の舗設機械の移動を円滑、容易に行うことができる。
【0013】
請求項4に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置によれば、舗設用レールに対して移送装置の搭載レールが高く段差がついている場合であっても、舗設機械の舗設用レールから移送装置への積み込みと移送装置から舗設用レールへの搬入とを円滑、容易に行うことができる。
【0014】
請求項5に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置によれば、舗設レーンから舗設機械を移送装置に積み込んだり、移送装置から舗設レーンに搬入する際に、積込レールを舗設レーンの舗設用レールに係止部材を介して接続することにより、移送装置と舗設用レールとの間の舗設機械の移動を円滑、確実に行わせることができる。また、舗設機械を積み込んだ移送装置が舗設レーン間を移動する際に、積込レールを引き上げることにより、舗設用レールとの干渉を避けて移送装置を円滑に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置について、図1〜図8を参照して説明する。
図1〜図4において、1は本発明の一実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置である。この舗設機械の移送装置1は、平面視で四角形状をしたフレーム2に配置した走行車輪3を駆動装置4によって回転させることにより移動する台車5と、前記フレーム2上に間隔をあけて平行に設置した一対の搭載レール6,6と、該各搭載レール6,6の一端部(図1、図2で右端部)に延長して設けられた積込レール7,7とを備えている。
【0016】
前記フレーム2は、前後方向(図1で上下方向、図3で左右方向、図4で右左方向)に所定間隔をあけて一直線上に配置した一対の車輪支持部材8,8を縦部材9で連結してなる一対の縦フレーム材10,10を、左右方向(図1、図2で左右方向)に所定間隔をあけて平行に配置し、該各縦フレーム材10,10を、前記車輪支持部材8,8の部分において、前後方向に所定間隔をあけて平行に、かつ前記縦フレーム材10に直交して配置された断面H型形状の横フレーム材11,11で連結して構成されている。前記フレーム2の四隅部の内側には、前記縦フレーム材10と前記横フレーム材11とを連結してフレーム2を補強する斜材12が設けられている。
【0017】
前記走行車輪3は、前記各車輪支持部材8,8の前後端部に左右の軸受13、13を介して支持されて、前記各縦フレーム材10,10に沿う鉛直な面内で回転するようになっている。各走行車輪3は、案内レールR1(後述)の上面を転動する転動輪部の軸方向の両側に、該転動輪部より大径として転動輪部を案内レールR1に沿って案内させるフランジを設けてなるものであり、その上半部がカバー14で覆われている。前記各縦フレーム材10,10の後側の車輪支持部材8,8に支持されている外側(図1の最下端)の走行車輪3,3は、それらの車輪軸どうしが連接棒15によって連結されて、同時に回転されるようになっている。
【0018】
前記駆動装置4は、前記左側の縦フレーム材10の上に後側(図1で下側)に張り出して固定した支持部材16上に設置されており、モータMと、該モータMによって駆動される減速機17と、該減速機17の出力軸に固定したスプロケット18aに、前記左側の縦フレーム材10の最後端側(外側)の走行車輪(駆動輪)3の車輪軸に固定したスプロケット18bを、チェーン18cを介して連結してなる伝動機構18とを備えている。そして、前記モータMを回転させると、減速機17,伝動機構18を介して各縦フレーム10,10の前記駆動輪3,3が回転することにより、前記台車5が前記案内レールR1に沿って走行、移動するようになっている。
【0019】
前記駆動装置4の近傍には、手摺り19aを有するステップ19が前記支持部材16に固定して設けられ、該ステップ19には駆動装置4を作動させる操作盤20が支柱を介して取り付けられている。また、前記駆動装置4の近傍には、該駆動装置4に電源を供給する発電機21が、前記後側の横フレーム材11の外側に張り出して設けた支持部材22上に設置されている。
前記各横フレーム材11,11は、右側の走行車輪3の位置より所定距離だけ内側(図1、図2で左側)に寄った位置までは上面が水平面部11a,11aとして形成され、該位置から一端部にわたり、一端部側に行くにしたがって低くなるように傾斜した傾斜面部11b,11bとして形成されている。そして、前記搭載レール6,6は前記横フレーム材11,11の上面に沿って固定されており、同様に水平面部6aと傾斜面部6bとを有している。
【0020】
前記各横フレーム材11,11の前端部(一端部、図1、図2で右端部)には、図5、図6に示すように、一対のL字状のブラケット23,23が固定されており、該ブラケット23には横フレーム材11に直交して水平にピン孔24が貫通して設けられている。そして、前記各積込レール7,7の基端部(図1、図2、図5で左端部)には、積込レール7に直交して水平方向に向けられたピン25が両側に突き出して取り付けられており、該ピン25が前記ブラケット23,23の上側に開口した凹所23aに嵌入され、ピン25の上側からブラケット23,23と搭載レール6に押さえ板26をボルト26aで固定することにより、前記凹所23a(前記ピン25)を中心にして前記各積込レール7,7が前記搭載レール6に沿う鉛直面内で回動可能となっている。すなわち、前記積込レール7,7は各搭載レール6,6の一端部(図1、図2、図5で右端部)に上下に回動可能に支持されている。
なお、前記積込レール7とピン25には、ブラケット23,23間で積込レール7がピン25の軸方向に大きく移動するのを制限(若干の遊びは許容する)する半円環状の規制部材25a,25aが固着されている。
【0021】
また、前記各積込レール7,7は、上面が基端部側を高く先端部(図1、図2で右端部)側に行くにしたがって低くなるように傾斜した傾斜面7aに形成され、先端部の下部には、後述の舗設用レールR2,R2の上部に跨って係合するコの字状の係止部材27が固定されている。そして、前記各積込レール7,7は、前記ピン25を中心に先端側を、図5に実線で示すように下方に回動したときに、前記係止部材27が前記舗設用レールR2の上部に係合して、前記傾斜面7aが前記搭載レール6の一端側の傾斜面部6bの延長面上に整合し、鎖線で示すように上方に回動したときに、前記係止部材27の下端が前記舗設用レールR2の上面から離れるようになっている。前記各積込レール7,7を上方に回動したとき、前記ブラケット23のピン孔24と積込レール7にそれに直交して水平に設けたピン孔23bとに、固定ピン(図示せず)を差し込むことにより、前記積込レール7,7の上方への回動状態を保持することができるようになっている。前記ピン孔23b、24はピン25(凹部23a)の中心と同心の円周上に設けられている。
【0022】
なお、前記搭載レール6,6の相互間距離と積込レール7,7の相互間距離は、前記舗設用レールR2,R2の相互間距離と等しく設定されている。
前記各積込レール7,7の先端側には、該積込レール7,7と前記舗設用レールR2,R2との段差を解消するために、前記傾斜面7aの延長面上に整合して舗設用レールR2の上面に連続する傾斜面29aを設けた補助レール29,29が、前記舗設用レールR2,R2に設置されて接続されるようになっている。前記各補助レール29,29の両端部の下部には、前記舗設用レールR2,R2に跨って補助レール29,29を舗設用レールR2,R2に係合させる係止部材30,30が固定されている。
【0023】
次に、前記舗設機械の移送装置1の作用と共に、本発明の一実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法について図9、図10を参照しながら説明する。
図9において、Sは空港エプロン等の広い面積を有するコンクリート舗装をすべき舗設領域である。該舗設領域Sは、コンクリート舗装を行う舗設機械の舗設幅に合わせた幅を有し、図9で左右方向に延長されて複数の平行に整列された舗設レーンs(s1,s2,s3,・・・sn)に分割され、各舗設レーンs1〜snは、例えば、舗設レーンs1から順に1つおきに、最後の舗設レーンsnに向けてコンクリート舗装の施工(コンクリート舗設)が行われ、舗設済みの舗設レーンsのコンクリートが固まった時点で、未舗設の舗設レーンsの舗設を行うようになっている。
【0024】
さらに、前記各舗設レーンs1〜snにおけるコンクリート舗設は、異なる機能を有する複数の舗設機械が、従来周知のように、各舗設レーンsの両側に設置した型枠Wの外側に沿って配置された鉄道レールと同様な案内レール(舗設用レール)R2,R2に案内されて、順次、舗設レーンsをその舗設起点a側(図9で右側)から舗設終点b(図9で左端部)までX方向へ走行しながら行う。そして、1つの舗設レーンの舗設が終了すると、各舗設機械は次の舗設レーンsの舗設起点aに移送されて該舗設レーンsの舗設を開始するようになっている。これらの作業が繰り返されてコンクリート舗設が進められる。
【0025】
図示のコンクリート舗設の例においては、前記舗設機械として、ボックス内のコンクリートを舗設レーンsの路盤上に敷きならすボックス型スプレッダM1と、路盤上に敷き均されたコンクリートを締め固めるインナーバイブレータM2と、締め固められたコンクリートを可動ブレードで切り均すブレード型スプレッダM3と、切り均されたコンクリート表面を荒仕上げするコンクリートフィニッシャM4と、荒仕上げされたコンクリート表面の平坦仕上げを行う斜め仕上げ機M5とが使用され、これらが前記順序で舗設起点aから舗設終点bまで走行しながらコンクリート舗設を行う。
【0026】
次に、前記コンクリート舗設において、例えば、1つ舗設レーンs3での舗設が終了した場合に、次の舗設レーンs5に各舗設機械M1〜M5を移送する方法を説明する。各舗設レーンs1〜snの舗設終点に近接した位置に、舗設レーンs1〜sn(案内レールR2,R2)に直角に一対の鉄道レールと同様な案内レールR1,R1が設置されて、該案内レールR1,R1上を舗設機械の移送装置1が走行するように用意されているものとする。
先ず、作業者が前記移送装置1のステップ19に乗って操作盤20を操作して、駆動装置4を作動させることにより、舗設が行われている1つの舗設レーンs3における舗設終点b側の端部位置まで前記移送装置1を走行させて移動させ、その積込レール7,7の一端部を案内レールR2,R2上に載せると共に、補助レール29,29を案内レールR2,R2上に載せて積込レール7,7の先端部に接続させた(積込レール7,7を案内レールR2,R2に掛け渡した)状態とする。そして、舗設を終了して舗設終点bに先行して到着した舗設機械M1を移動装置1の搭載レール6,6上へイ矢方向に自走させて積み込む(図10(a)参照)。
【0027】
次に、前記舗設機械M1を積み込んだ移送装置1をロ矢方向へ案内レールR1,R1上を走行させて、次の舗設レーンs5の1つおいた隣の舗設レーン(仮置き用舗設レーン)s7の舗設終点bの位置に移動させた後、前記積込レール7,7と補助レール29,29を案内レールR2,R2に掛け渡した状態とし、搭載レール6,6上の舗設機械M1をハ矢方向に自走させて、前記積込レール7,7と補助レール29,29とを介して案内レールR2,R2上に搬入して舗設起点a側へ移送させる。前記舗設機械M2〜M5についても、舗設が終了する毎に前記舗設機械M1と同様にして、1つの舗設レーンs3から順次仮置き用舗設レーンs7に搬入して、該仮置き用舗設レーンs7に舗設順と逆の順序で待機させる。
【0028】
各舗設機械M1〜M5が全て仮置き用舗設レーンs7に搬入し終わったなら、今度は、1つの舗設レーンs3で舗設機械M1〜M5を移送装置1に積み込んだ時と同様にして、仮置き用舗設レーンs7に搬入した時とは逆の順序で舗設機械M5〜M1を二矢方向に移動させて移送装置1に積み込んだ後、移送装置1を次の舗設レーンs5の舗設終点bの位置までホ矢方向に移動させる(図10(b)参照)。そして、仮置き用舗設レーンs7に搬入した時と同様にして前記積込レール7,7と補助レール29,29を案内レールR2,R2に掛け渡した状態とし、搭載レール6,6上の舗設機械M5〜M1をヘ矢方向に自走させて、前記積込レール7,7と補助レール29,29とを介して舗設レーンs5の舗設用レールR2,R2上に搬入して、それらを舗設起点まで走行させる(図10(c)参照)。これにより、前記舗設機械M1〜M5が舗設順に整列した状態として次の舗設レーンs5の舗設起点aに着かせることができる。
なお、最後に1つの舗設レーンs3から移送装置1に積み込まれた舗設機械M5は、仮置き用舗設レーンs7に搬入せずに、次の舗設レーンs5に直接搬入してもよい。
【0029】
なお、前記移送装置1が1つの舗設レーンs3の舗設終点bの位置から仮置き用舗設レーンs7の舗設終点bの位置へ、また、仮置き用舗設レーンs7の舗設終点bの位置から次の舗設レーンs5の舗設終点bの位置へ移動するときのように、移送装置1が案内レールR1.R1に沿って移動するときには、前記各積込レール7,7を上方に回動させて、前記ブラケット23,23のピン孔24,24と積込レール7、7のピン孔23bに固定ピンを差し込んで、積込レール7,7の先端部が前記舗設レーンsの案内レールR2,R2から上方へ離れ、該案内レールR2,R2との干渉を避けるようにする。
【0030】
前記実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法は、舗設レーンsに沿って舗設起点aから舗設終点bまで複数の舗設機械M1〜M5が順次同一の方向Xへ走行しながらコンクリートを舗設する作業を繰り返して複数の舗設レーンs1〜snのコンクリート舗設を行う場合に、1つの舗設レーンs3の舗設終点bで舗設を終了した各舗設機械M1〜M5を次の舗設レーンs5の舗設起点aに移送する舗設機械M1〜M5の移送方法において、前記各舗設機械M1〜M5を、先に舗設を終了した舗設機械M1から順に1つの舗設レーンs3の舗設終点b側から台車式の移送装置1に積み込んで仮置き用舗設レーンs7まで移動させ、一旦、該仮置き用舗設レーンs7にその舗設終点b側(出口側)から搬入して舗設作業順と逆の順序に並べ、しかる後に、仮置き用舗設レーンs7に並べた舗設機械M5〜M1を、搬入順と逆の順序で該仮置き用舗設レーンs7の出口側から前記移送装置1に積み込んで次の舗設レーンs5まで移動させ、該次の舗設レーンs5にその舗設終点b側から搬入して舗設起点aまで移動させる構成とされている。
【0031】
したがって、前記実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法によれば、1つの舗設レーンs3で舗設を終了した舗設機械M1〜M5を、舗設終点bで順次台車式の移送装置1に積み込んで仮置き用舗設レーンs7に移動して待機させておき、最後の舗設機械M5が舗設を終了したときに、舗設順と逆の順序で各舗設機械M5〜M1を前記移送装置1によって次の舗設レーンs5の舗設終点bに搬入し、各舗設機械M1〜M5を自走させて舗設起点aまで移動させることにより、各舗設機械M1〜M5を次の舗設レーンs5に舗設順に整列させることができる。
そのため、舗設に用いる複数の舗設機械M1〜M5を分解し、またはそのままで移動式クレーンで吊り上げ、1つの舗設レーンs3の舗設終点b側から次の舗設レーンs5の舗設起点aまで移動させて再組立をしたり、舗設終点bでクレーンで運搬車両に積み込んだ舗設機械M1〜M5を、舗設起点aまで運搬した後にクレーンで運搬車両から降ろすといった作業を必要としないので、クレーン作業に伴う玉掛け作業も不要であり、舗設機械M1〜M5の移送作業を安全に、かつ極めて効率的に行うことができる。
また、舗設機械M1〜M5を一時待機させるための仮置き用舗設レーンを、各舗設レーンで兼用できるので、仮置き用舗設レーンを専用に設ける必要がなく、用地を効率的に活用することができる。
【0032】
また、実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置1は、複数の舗設レーンs1〜snにコンクリートを舗設する舗設機械M1〜M5を、1つの舗設レーンs3での舗設が終了した後に、他の舗設レーンs5に移動させる際に使用する舗設機械の移送装置であって、平面視四角形状のフレーム2に配置した走行車輪3を駆動装置4によって回転させることにより移動する台車5と、前記舗設レーンsに沿って設置された一対の舗設用レールR2,R2間の間隔に合わせた間隔を有して前記フレーム2上に平行に設置した一対の搭載レール6,6と、該各搭載レール6,6の一端部に延長して設けられ、先端部が前記案内レールR2,R2に連絡可能な積込レール7,7とを備えた構成とされている。
【0033】
したがって、実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置1によれば、移送装置を案内レールR2,R2の一端部に接近させて搭載レール6,6の方向を案内レールR2,R2の方向に合わせて、積込レール6,6を案内レールR2,R2に連絡させることにより、案内レールR2,R2と移送装置1との間で舗設機械M1〜M5を総組立状態のままで円滑に移動させることができる。このため、1つの舗設レーンs3でのコンクリート舗設を終了した舗設機械M1〜M5を次の舗設レーンs5の舗設起点aまで移送させる場合、舗設機械M1〜M5を分解し、またはそのままで移動式クレーンで吊り上げて舗設起点aまで移送した後、再組立を行ったり、舗設終点b、起点aでの舗設機械M1〜M5の大きなクレーンによる運搬車両への積み、降ろし作業を行う必要がないので、玉掛け作業が不要となって舗設機械M1〜M5の移送作業を安全に、かつ効率的に行うことができ、前記コンクリート舗設における舗設機械の移送方法を的確に実施することができる。
【0034】
また、実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置1によれば、前記走行車輪3は案内レールR1,R1上に乗って走行する車輪であって、前記各搭載レール6,6は前記走行車輪3の走行方向に直交して設けられた構成とされているので、移送装置1を、舗設レーンsの案内レールR2,R2の一端部(舗設終点b)側に該案内レールR2,R2に直交させて設置した案内レールR1,R1上を走行させて、移送装置1の搭載レール6,6と舗設レーンsの案内レールR2,R2とを一直線状に整列させることができるため、移送装置1と案内レールR2,R2との間の舗設機械M1〜M5の移動を円滑、容易に行うことができる。
また、前記搭載レール6,6の一端側部分と積込レール7,7の上面は、搭載レール6,6側の一端部側が高く積込レール7,7の先端部側が低くなるように連続した傾斜面に形成されて前記舗設レーンsの案内レールR2,R2の上面に連絡可能とされた構成とされているので、案内レールR2,R2に対して移送装置1の搭載レール6,6が高く段差がついている場合であっても、舗設機械M1〜M5の案内レールR2,R2から移送装置1への積み込みと移送装置1から案内レールR2,R2への搬入とを円滑、容易に行うことができる。
【0035】
さらに、実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置1によれば、前記積込レール7,7は、基端部が前記搭載レール6,6の一端部に上下方向に回動、固定可能に支持されると共に、先端部に積込レール7,7を前記舗設レーンsの案内レールR2,R2に係合させる係止部材27が設けられた構成とされているので、舗設レーンsから舗設機械M1〜M5を移送装置1に積み込んだり、移送装置1から舗設レーンsに搬入する際に、積込レール7,7を舗設レーンsの案内レールR2,R2に係止部材27を介して接続することにより、移送装置1と案内レールR2,R2との間の舗設機械M1〜M5の移動を円滑、確実に行わせることができる。また、舗設機械M1〜M5を積み込んだ移送装置1が舗設レーンs間を移動する際に、積込レール7,7を引き上げることにより、舗設レーンsの案内レールR2,R2との干渉を避けて移送装置1を円滑に移動させることができる。
【0036】
なお、前記実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送装置1においては、前記台車2の走行車輪3として案内レールR上を走行する車輪を使用したが、前記走行車輪3はこれに限らず、路面上を走行するタイヤ式車輪を使用してもよい。タイヤ式車輪を使用する場合は、舗設レーンの舗設終点bの近くに敷設する案内レールR1,R1とその敷設作業が不要となり、実施が容易である。また、前記実施の形態に係るコンクリート舗設における舗設機械の移送方法において、舗設機械としてボックス型スプレッダM1と、インナーバイブレータM2と、ブレード型スプレッダM3と、コンクリートフィニッシャM4と、斜め仕上げ機M5の5台の機能の異なる舗設機械を使用したが、コンクリート舗設に使用す舗設機械の編成はこれに限らず、一台で複数の機能を備えた舗設機械を使用して、移送装置1により移送する舗設機械の台数を減らして移送作業を能率的に行うようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態に係る舗設機械の移送装置を示す平面図図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】同じく左側面図である。
【図4】同じく右側面図である。
【図5】図2のA部の拡大図である。
【図6】図5のB−B断面拡大図である。
【図7】図5のC−C断面拡大図である。
【図8】図5のD−D断面拡大図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るコンクリート舗装工法における舗設機械の移送方法を示す平面図である。
【図10】同じく舗設機械の移送方法の手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 移送装置
2 フレーム
3 走行車輪
4 駆動装置
5 台車
6 搭載レール
7 積込レール
29補助レール
a 舗設起点
b 舗設終点
M1〜M5 舗設機械
S 舗設領域
s、s1〜sn 舗設レーン
R1 案内レール
R2 案内レール(舗設用レール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗設レーンに沿って舗設起点から舗設終点まで複数の舗設機械が順次同一方向へ走行しながらコンクリートを舗設する作業を繰り返して複数の舗設レーンのコンクリート舗設を行う場合に、1つの舗設レーンの舗設終点で舗設を終了した各舗設機械を次の舗設レーンの舗設起点に移送する舗設機械の移送方法において、
前記各舗設機械を、先に舗設を終了したものから順に1つの舗設レーンの舗設終点側から台車式の移送装置に積み込んで仮置き用舗設レーンまで移動させ、一旦、該仮置き用舗設レーンにその出口側から搬入して舗設作業順と逆の順序に並べ、しかる後に、仮置き用舗設レーンに並べた舗設機械を、搬入順と逆の順序で該仮置き用舗設レーンの出口側から前記移送装置に積み込んで次の舗設レーンまで移動させ、該次の舗設レーンにその舗設終点側から搬入して舗設起点まで移動させることを特徴とするコンクリート舗設における舗設機械の移送方法。
【請求項2】
複数の舗設レーンにコンクリートを舗設する舗設機械を、1つの舗設レーンでの舗設が終了した後に、他の舗設レーンに移動させる際に使用する舗設機械の移送装置であって、
平面視四角形状のフレームに配置した走行車輪を駆動装置によって回転させることにより走行する台車と、前記舗設レーンに沿って設置された一対の舗設用レール間の間隔に合わせた間隔を有して前記フレーム上に平行に設置した一対の搭載レールと、該各搭載レールの一端部に延長して設けられ、先端部が前記舗設用レールに連絡可能な積込レールとを備えていることを特徴とするコンクリート舗設における舗設機械の移送装置。
【請求項3】
前記走行車輪は案内レール上に乗って走行する車輪であって、前記各搭載レールは前記走行車輪の走行方向に直交して設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート舗設における舗設機械の移送装置。
【請求項4】
前記搭載レールの一端側部分と積込レールの上面は、搭載レールの一端部側が高く積込レールの先端部側が低くなるように連続した傾斜面に形成されて前記舗設用レールの上面に連絡可能とされていることを特徴とする請求項2または3に記載のコンクリート舗設における舗設機械の移送装置。
【請求項5】
前記積込レールは、基端部が前記搭載レールの一端部に上下方向に回動、固定可能に支持されると共に、先端部に積込レールを前記舗設用レールに係合させる係止部材が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のコンクリート舗設における舗設機械の移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−257808(P2006−257808A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79114(P2005−79114)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(590002482)株式会社NIPPOコーポレーション (130)
【Fターム(参考)】