説明

コンセントタップ

【課題】電気器具の使用時にコードが引出とキャビネットとの間に挟まれることを防止できるコンセントタップを提供すること。
【解決手段】コンセントタップ8は、電気器具のコード18に設けられたプラグ19と電気的に接続可能なコンセント9,9と、ON状態またはOFF状態にすることでコンセント9,9及び電源の通電またはその通電の解除を行う導電スイッチと、導電スイッチのON状態またはOFF状態を切り替えるスイッチレバー11と、が設けられ、スイッチレバー11が引出6の外方側に突出することで、導電スイッチがON状態になり、引出6がその閉鎖する方向に移動しても、スイッチレバー11が洗面台1と当接することで、引出6は、その閉鎖が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットに設けられる引出に収納され、引出が開放した状態で電源と導通可能なコンセントタップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンセントタップは、キャビネットに設けられる引出に収容され、このコンセントタップは、電気器具のコードが接続可能な接続部と、電源に接続される配線と、配線に設けられる導電スイッチと、を有しており、引出を開放することで、導電スイッチが作動し、電源と接続部とが通電し、電気器具が使用可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−23467号公報(第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコンセントタップにあっては、電気器具を引出の外方で使用するため、電気器具の使用時に、不意に引出が閉鎖された場合に、コードが引出とキャビネットとの間に挟まると、コードが断線して電気器具が故障する虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、電気器具の使用時にコードが引出とキャビネットとの間に挟まれることを防止できるコンセントタップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のコンセントタップは、
キャビネットに設けられる引出に収納され、該引出が開放した状態で電源と導通可能なコンセントタップであって、
電気器具のコードに設けられたプラグと電気的に接続可能な接続部と、ON状態またはOFF状態にすることで前記接続部及び前記電源の通電または該通電の解除を行う導電スイッチと、該導電スイッチのON状態またはOFF状態を切り替えるスイッチレバーと、が設けられ、前記スイッチレバーが前記引出の外方側に突出されることで、前記導電スイッチはON状態になり、前記引出が、その閉鎖する方向に移動したときに、前記スイッチレバーが前記キャビネットと当接することで、前記引出は、その閉鎖が阻止されることを特徴としている。
この特徴によれば、プラグを接続部に接続して電気器具を引出の外方で使用する際に、不意に引出が閉鎖する方向に移動しても、引出の外方側に突出されるスイッチレバーがキャビネットと当接し、引出の閉鎖が阻止されるため、電気器具のコードが引出とキャビネットとの間に挟まれることを防止できる。
【0007】
本発明のコンセントタップは、
前記スイッチレバーは、透光性材質から成り、内部に、前記導電スイッチのON状態で発光し、前記導電スイッチのOFF状態で消光する照明部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、照明部を配置するスペースをコンセントタップの外方に特段に設ける必要がないばかりか、この照明部により、接続部及び電源が通電していること、または接続部及び電源が通電していないことを確実に報知することができる。
【0008】
本発明のコンセントタップは、
前記プラグが前記接続部に接続された状態で前記電気器具を収容する前記引出内の収納部に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、電気器具を収納部から引出の外方に取り出し、スイッチレバーを引出の外方側に突出するだけで、電気器具を使用することができるため、プラグを接続部に接続する作業を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例における引出が設けられた洗面台を示す斜視図である。
【図2】引出が開放している状態を示す一部断面図である。
【図3】図2を示すA−A縦断正面図である。
【図4】引出が閉鎖する方向に移動した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るコンセントタップを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
実施例に係るコンセントタップにつき、図1から図4を参照して説明する。以下、図2及び図4の紙面下側を引出の正面側(前方側)として説明する。
【0012】
先ず図1の符号1は、洗面所等に設けられたキャビネットとしての洗面台である。この洗面台1には、使用者の手や顔等を洗うのに使用するシンク2が設けられている。また、洗面台1には、洗面用具等を収納しておくための引出6,7が上下に設けられている。
【0013】
引出6は、底板13と、この底板13の左右両端に取り付けられる一対の側板14,15と、これら底板13と側板14,15との後端に取り付けられる図示しない後板と、底板13と側板14,15との前端に取り付けられる前板16と、を備えている。また、引出6は上面が開口した略四角箱状に形成されている。尚、引出7は、引出6の構造と略同構造になっているため、引出7の構造の説明は省略する。
【0014】
図1及び図2に示されるように、引出6内には、洗面台1に対して前後方向に移動可能な収納部3が設けられており、この収納部3は、ドライヤ等の電気器具4を収納する収納室5と、収納室5に連設されるコンセントタップ8と、コンセントタップ8の前面に取り付けられた取付片12と、から構成されている。
【0015】
図2及び図3に示されるように、収納室5及びコンセントタップ8の両側面及び下面には、板片20が覆設されており、この板片20は、収納室5及びコンセントタップ8の両者に渡って前後方向に延びている。また、板片20の上部には、洗面台1の側板21の上部内面に取り付けられた係合片21aに係合する被係合部20aが形成されており、この被係合部20aは、係合片21aに沿って前後方向に摺動可能になっている。
【0016】
また、板片20の下部には、スライドレール22が設けられており、このスライドレール22は、側板21の内面における係合片21aの下方位置に取り付けられた取付片21bに沿って前後方向に摺動可能に係合している。このように、収納部3は、係合片21a及び取付片21bにより、引出6と独立に洗面台1に対して前後方向に移動可能になっている。
【0017】
次に、コンセントタップ8の構成について具体的に説明すると、図2及び図3に示されるように、コンセントタップ8は、図示しない電源と導通可能になっている。このコンセントタップ8は、電気器具4のコード18に設けられたプラグ19(図4参照)と電気的に接続可能な接続部としてのコンセント9,9と、ON状態またはOFF状態にすることでコンセント9,9及び電源の通電またはその通電の解除を行う導電スイッチ10と、導電スイッチ10のON状態またはOFF状態を切り替えるスイッチレバー11と、コンセント9,9、導電スイッチ10、及びスイッチレバー11を収める筐体30と、から成る。
【0018】
コンセント9,9は、導電スイッチ10を介して電源に接続されている。また、このコンセント9,9には、特に図示しないが、プラグ19(図4参照)が常時接続されており、このプラグ19が接続された状態で電気器具4(図1参照)が収納室5に収納されている。
【0019】
スイッチレバー11は、アクリル等の透光性材質から成り、内部には、電源と電気的に接続されている照明部としてのLED24が設けられている。このスイッチレバー11は、筐体30に対して回動可能になるように、一端部が枢着具23により筐体30の上部に枢支されている。
【0020】
また、図2に示されるように、スイッチレバー11の下面には、スイッチレバー11が筐体30に対して回動する際に、筐体30の上部に設けられた収容孔30aを貫通した状態で移動する切替部11aが取り付けられている。この切替部11aは、収容孔30aの長手方向の両端部30b,30cの間で移動可能になっている。
【0021】
すなわち、切替部11aが端部30bに位置するスイッチレバー11を、筐体30に対して、洗面台1の後方側から前方側に向かって回動することで、スイッチレバー11の他端部が、側板21側、すなわち引出6の外方側に突出され、切替部11aが端部30cに位置する。この切替部11aが端部30c側に位置することで、スイッチレバー11の他端部が側板21と当接可能になっている(図示一点鎖線のスイッチレバー11参照)。
【0022】
導電スイッチ10は、その一端側部10cが押下されることで、コンセント9,9と電源とが通電するON状態になる。一方、導電スイッチ10は、その他端側部10bが押下されることで、コンセント9,9と電源とが通電している状態が解除されるOFF状態になる。
【0023】
図2及び図3に示されるように、導電スイッチ10は、切替部11aが端部30cに位置している状態では、切替部11aによりスイッチ10の一端側部10cが押下されるとともに、切替部11aが端部30bに位置している状態では、切替部11aによりスイッチ10の他端側部10bが押下されるように、スイッチレバー11の下方側に配置されている。
【0024】
この導電スイッチ10及びスイッチレバー11の配置により、スイッチレバー11を前方側または後方側に回動することで、導電スイッチ10のON状態またはOFF状態が切り替え可能になっている。
【0025】
更に、導電スイッチ10をON状態にすることで、前述したLED24が発光するようになっている。このLED24の発光により、LED24の光が透光性材質のスイッチレバー11を透光し、導電スイッチ10のON状態が明瞭に報知される。一方、導電スイッチ10をOFF状態にすることで、LED24は消光するようになっている。
【0026】
次に、電気器具4の使用方法について説明する。先ず、図2に示されるように、引出6を開放した後に、収納部3を洗面台1の前方側に移動させる。次いで、スイッチレバー11を洗面台1の前方側に回動し、導電スイッチ10をON状態にする。このスイッチレバー11の回動により、スイッチレバー11の他端部が、引出6の外方側に突出される。
【0027】
そして、電気器具4(図1参照)の図示しない電源をONにして、電気器具4を引出6の外方で使用する。また、プラグ19がコンセント9と接続されるとともに、電気器具4が引出6の外方に位置している使用状態では、コード18が引出6の外方と引出6の内方とに跨っている(図4参照)。
【0028】
図4に示されるように、プラグ19がコンセント9と接続されるとともに、電気器具4(図1参照)が引出6の外方に位置している状態で、不意に引出6が閉鎖する方向に移動すると、引出6の前板16が、収納部3の取付片12と当接する。そして、引出6とともに収納部3も閉鎖する方向に移動し、スイッチレバー11の他端部が洗面台1の側板21の前面と当接する。
【0029】
この当接により、側板21の前面と前板16の背面との間に所定寸法の隙間Sが空いた状態で、引出6及び収納部3の閉鎖方向の移動が規制される。これにより、引出6及び収納部3の閉鎖が阻止されるため、引出6の外方と引出6の内方とに跨っているコード18が側板21と前板16との間に挟まり、コード18が断線してしまうことがない。
【0030】
以上に説明したように、本実施例のコンセントタップ8では、電気器具4のコードに設けられたプラグ19と電気的に接続可能なコンセント9,9と、ON状態またはOFF状態にすることでコンセント9,9及び電源の通電またはその通電の解除を行う導電スイッチ10と、導電スイッチ10のON状態またはOFF状態を切り替えるスイッチレバー11と、が設けられ、スイッチレバー11が引出6の外方側に突出されることにより、導電スイッチ10がON状態になることで、プラグ19をコンセント9に接続して電気器具4を引出6の外方で使用する際に、不意に引出6が閉鎖する方向に移動しても、引出6の外方側に突出されるスイッチレバー11が洗面台1と当接し、引出6の閉鎖が阻止されるため、電気器具4のコード18が引出6と洗面台1との間に挟まれることを防止できる。
【0031】
また、スイッチレバー11は、透光性材質から成り、内部に、導電スイッチ10のON状態で発光し、導電スイッチ10のOFF状態で消光するLED24が設けられているこことで、LED24を配置するスペースをコンセントタップ8の外方に特段に設ける必要がないばかりか、このLED24により、コンセント9,9及び電源が通電していること、またはコンセント9,9及び電源が通電していないことを確実に報知することができる。
【0032】
また、コンセントタップ8は、プラグ19がコンセント9に接続された状態で電気器具4を収容する収納部3に設けられていることで、電気器具4を収納部3から引出6の外方に取り出し、スイッチレバー11を引出6の外方側に突出するだけで、電気器具4を使用することができるため、プラグ19をコンセント9に接続する作業を行う必要がない。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0034】
例えば、前記実施例では、コンセントタップ8は、洗面台1の引出6に適用されているが、これに限らず、コンセントタップは、システムキッチン等のキャビネットの引出に適用されてもよい。
【0035】
また、前記実施例では、スイッチレバー11を回動することで、導電スイッチ10がON状態になるとともに、スイッチレバー11が引出6の外方側に突出されるようになっているが、これに限らず、例えば、引出の外方側及び内方側の間で伸縮可能なスイッチレバーを用いて、スイッチレバーを伸長させることで、導電スイッチがON状態になるとともに、スイッチレバーが引出の外方側に突出されるようにしてもよい。
【0036】
また、前記実施例では、コンセントタップ8が設けられた収納部3は、引出6と独立に洗面台1に対して前後方向に移動可能になっているが、これに限らず、例えば、特段に収納部を設けることなく、コンセントタップを引出に固定に設けてもよい。
【0037】
また、前記実施例では、コンセントタップ8にコンセント9と導電スイッチ10とスイッチレバー11が一体となって設けられているが、これに限らず、例えば、コンセント9と、スイッチレバー11を含む導電スイッチを分離配置できるようにし、その間を導電線で電気的に接続できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 洗面台(キャビネット)
3 収納部
4 電気器具
6 引出
8 コンセントタップ
9 コンセント(接続部)
10 導電スイッチ
11 スイッチレバー
18 コード
19 プラグ
24 LED(照明部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットに設けられる引出に収納され、該引出が開放した状態で電源と導通可能なコンセントタップであって、
電気器具のコードに設けられたプラグと電気的に接続可能な接続部と、ON状態またはOFF状態にすることで前記接続部及び前記電源の通電または該通電の解除を行う導電スイッチと、該導電スイッチのON状態またはOFF状態を切り替えるスイッチレバーと、が設けられ、前記スイッチレバーが前記引出の外方側に突出されることで、前記導電スイッチはON状態になり、前記引出が、その閉鎖する方向に移動したときに、前記スイッチレバーが前記キャビネットと当接することで、前記引出は、その閉鎖が阻止されることを特徴とするコンセントタップ。
【請求項2】
前記スイッチレバーは、透光性材質から成り、内部に、前記導電スイッチのON状態で発光し、前記導電スイッチのOFF状態で消光する照明部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンセントタップ。
【請求項3】
前記プラグが前記接続部に接続された状態で前記電気器具を収容する前記引出内の収納部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンセントタップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−282835(P2010−282835A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135260(P2009−135260)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】