説明

コンテナの壁体構造及びコンテナの製造方法

【課題】軽量化を図ったコンテナを従来より高い生産性で製造可能なコンテナの壁体構造及びコンテナの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のコンテナ10の壁体構造及び製造方法によれば、軽量孔21F,22Fと薄肉壁部21B,22Bとによってコンテナ10の軽量化が図られると共に、第1及び第2の側壁21,22のうち軽量孔21F,22Fを有した本体壁部21A,22Aを成形する樹脂成形金型50で薄肉壁部21B,22Bをコアバック成形することができるので、従来のシートの貼り付け作業が不要になり、従来より高い生産性でコンテナ10を製造することが可能になる。また、コンテナ10の成形用に流動性が高い樹脂を使用せずに済み、これに伴い、耐衝撃性の低下等の問題も解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量孔を有したコンテナの壁体構造及びコンテナの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンテナの壁体構造として、四角形の軽量孔を複数備えた格子状の本体壁部の内面全体にメッシュ構造のシートを貼り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−37249号公報(図1,図3,図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のコンテナの壁体構造では、本体壁部にシートを貼り付ける作業に手間がかかり、生産性が低いという問題があった。また、シートを貼る作業をなくすために壁体の一部を薄肉構造した壁体構造も考えられるが、そうすると、流動性が高い樹脂を使用する必要が生じ、コストが高くなったり、耐衝撃性が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、軽量化を図ったコンテナを従来より高い生産性で製造可能なコンテナの壁体構造及びコンテナの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るコンテナの壁体構造は、樹脂製のコンテナの側壁、底壁その他、壁体を、軽量孔を有した本体壁部と、その本体壁部を成形する樹脂成形金型でコアバック成形されて軽量孔を閉塞しかつメッシュ構造又は本体壁部より薄い薄肉構造をなした軽量壁部とで構成したところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンテナの壁体構造において、本体壁部の表裏の一方の面における軽量孔の縁部から軽量孔の中央に向かって突出した支持壁が備えられ、軽量壁部の外縁部が、軽量孔の内面と支持壁とに固着しているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明に係るコンテナの製造方法は、樹脂製のコンテナの側壁、底壁その他、壁体を、軽量孔を有した構造に樹脂成形金型にて成形してから、メッシュ構造又は本体壁部より薄い薄肉構造の軽量壁部を、樹脂成形金型にて軽量孔内にコアバック成形するところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のコンテナの製造方法において、コアバック成形の前に、軽量孔の縁部から軽量孔の中央に向かって突出した支持壁を壁体に成形しておき、軽量壁部の外縁部を、軽量孔の内面と支持壁とに固着するようにコアバック成形するところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3に記載のコンテナの製造方法において、樹脂成形金型における可動型のうちコアバック可能な可動コアに筒部を設けると共に、筒部の内部にコアバック不能な固定コアを配置し、さらに、固定コアにおける樹脂成形金型の固定型との接合面にメッシュ構造の成形溝を形成しておき、可動コアのコアバック前に筒部によって固定コアの外側面における成形溝の側面開口を閉塞すると共に筒部の外側面で軽量孔の内側面を成形し、可動コアを筒部と共にコアバックすることで、固定コアと軽量孔の内側面との間に環状の成形空間を形成すると共に、その成形空間に成形溝の側面開口を開放した状態にして、それら成形空間と成形溝とに溶融樹脂を充填し、メッシュ構造の軽量壁部をコアバック成形するところに特徴を有する。
【0011】
なお、本発明において、「コアバック成形」とは、樹脂成形金型の一部を、コアバックした後に成形することを意味する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び3の発明によれば、軽量孔と軽量壁部とによってコンテナの軽量化が図られると共に、壁体のうち軽量孔を有した本体壁部を成形する樹脂成形金型で軽量壁部をコアバック成形することができるので、従来のシートの貼り付け作業が不要になり、従来より高い生産性でコンテナを製造することが可能になる。また、コンテナの成形用に流動性が高い樹脂を使用せずに済み、これに伴い、耐衝撃性の低下等の問題も解消される。
【0013】
請求項2及び4の発明では、軽量壁部の外縁部が、軽量孔の内面とその軽量孔の縁部から張り出した支持壁との両方に固着するので、軽量壁部の外縁部が軽量孔の内面のみに固着された構造に比べて、本体壁部と軽量壁部との固着部分の強度が高くなる。
【0014】
請求項5のコンテナの製造方法によれば、メッシュ構造の軽量壁部を簡素な構造の樹脂成形金型で成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンテナの斜視図
【図2】コンテナの分解斜視図
【図3】第2側板の外面側の部分斜視図
【図4】第2側板の内面側の部分斜視図
【図5】底ベースの部分斜視図
【図6】第2側板の部分側断面図
【図7】樹脂成形金型の側断面図
【図8】(A)コアバック前の樹脂成形金型の部分側断面図,(B)コアバック後の樹脂成形金型の部分側断面図
【図9】第2実施形態の第2側板の部分側断面図
【図10】コアバック前の樹脂成形金型の部分側断面図
【図11】コアバック後の樹脂成形金型の部分側断面図
【図12】第3実施形態の第2側壁の部分側面図
【図13】第2側壁の本体壁部と軽量壁部とを分離して示した側面図
【図14】コアバック前の樹脂成形金型の部分側断面図
【図15】コアバック後の樹脂成形金型の部分側断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のコンテナ10は、平面形状が長方形の直方体状をなし、上面全体が開口している。また、このコンテナ10の外側面全体には、格子状の格子形リブ11が形成され、コンテナ10の外面の上端縁からは、側方に膨出突状12が突出している。膨出突状12は、断面角溝構造をなし、その溝開口はコンテナ10の内側面に開放し、膨出突状12の内部には、複数の連絡リブ12Aが備えられている。
【0017】
コンテナ10のうち平面形状の長方形の短辺部分に配置された1対の第1側壁21,21には、それらの各外面に上記した格子形リブ11によって仕切られた矩形領域13が、縦横に例えば4×3のマトリックス状に備えられている。そして、それらの最上段中央に配置された矩形領域13に、横長矩形の持ち手孔10Hが貫通形成されている。また、最上段の両横端部に配置された1対の矩形領域13,13には、持ち手孔10Hから離れた側の上角部に、上記した膨出突状12から縁設された三角形の膨出突部12Bが備えられている。
【0018】
コンテナ10のうち平面形状の長方形の長辺部分に配置された1対の第2側壁22,22には、それらの各外面に上記した格子形リブ11によって仕切られた比較的大きな矩形領域13が、縦横に例えば4×3のマトリックス状に備えられると共に、それら矩形領域13群の両横に、比較的小さい縦長の複数の矩形領域13がそれぞれ縦に1列ずつ並べて備えられている。
【0019】
図2に示すように、コンテナ10は、最下段の矩形領域13群とその上の段の矩形領域13群との境界に配置された格子形リブ11で、底壁14を含む底ベース30と、それ以外の部分とに上下に2分割されている。また、コンテナ10のうち底ベース30より上側部分は、上記した各第1側壁21の矩形領域13群の両側部に沿って縦割りに4分割されて、第1側壁21の一部を含む1対の第1側板31,31と、第2側壁22を含む1対の第2側板32,32とに分けられている。
【0020】
第1と第2の側板31,32の下端部からは、下端リブ11Bがそれぞれ側方に張り出している。また、底ベース30の上端部からは、上端リブ11Aが側方に張り出している。そして、これら上端リブ11Aと下端リブ11Bとが重ねられて格子形リブ11の横リブ11Yが構成されている。
【0021】
各下端リブ11Bには、その下面の両端部から1対ずつの下端係合突部33が突出すると共に中央部から1対の角形突部34が突出している。また、各下端係合突部33は、図3に示すように、下端リブ11Bから下方に突出した突片33Aを、同じく下端リブ11Bから下方に突出した門形の保護枠体33Bで囲みかつ、突片33Aの下端部から係止突起33Cを突出させた構造になっている。
【0022】
一方、上端リブ11Aには、図2に示すように、下端リブ11Bの下端係合突部33に対応した位置に抜止凹部16が設けられ、下端リブ11Bの角形突部34に対応した位置に位置決孔17が設けられている。抜止凹部16は、図5に示すように、上端リブ11Aの上面に開口を有すると共に、上端リブ11Aの下面から下方に延びたポケット構造壁16Aの内部に連通し、さらに、ポケット構造壁16Aの側面下端部に貫通した係止孔16Bを備えている。そして、下端リブ11Bを上端リブ11Aの上に重ねると、角形突部34が位置決孔17に挿入されると共に、下端係合突部33が抜止凹部16に挿入されて係止突起33Cが係止孔16Bに係止し、下端リブ11Bが上端リブ11Aに重ねられた状態に保持される。なお、底ベース30の底壁14には、段付き状に窪んだ複数の底面凹部15がマトリックス状に並べて設けられている。
【0023】
図2に示すように、第1側板31の両側部には、1対の縦リブ11C,11Cが備えられ、それら縦リブ11C,11Cの外面からは、複数の連結フック35が側方に突出している。各連結フック35は、縦リブ11Cから水平側方に張り出してから上方に直角に屈曲した形状をなしている。一方、第2側板32の両側部には、1対の第1側板31,31に向かって直角曲げされた1対のサイド湾曲部36,36が備えられている。図4に示すように、サイド湾曲部36は、第1側板31の縦リブ11C(図2参照)の幅方向で対向した1対の対向壁36A,36Aを有し、それら対向壁36A,36Aの間が複数の連絡壁36Bにて連絡されて複数の係合孔37に区画されている。そして、第1側板31の連結フック35群が第2側板32の係合孔37群に挿入された状態で、第1側板31に対して第2側板32が下げられて連結フック35群が連絡壁36Bの奥側に係止し、第1と第2の側板31,32が合体した状態に保持されている。
【0024】
さて、本実施形態のコンテナ10は、第1及び第2の側壁21,22の一部が、比較的薄い薄肉壁部21B,22B(本発明の「軽量壁部」に相当する)で構成されている。具体的には、図1に示すように、第2側壁22では、その縦横に4×3にマトリックス状に配置された矩形領域13群のうち上から1段目と2段目のぞれぞれ3つずつの矩形領域13群の各外面と、上から3段目の両横端部の矩形領域13,13の外面とに、第2側壁22の板厚を段付き状に薄くした四角形の凹部22Eが陥没形成され、それら凹部22Eの底部が図6に示すように薄肉壁部22Bになっている。より具体的には、第2側壁22のうち薄肉壁部22B以外の部分が、凹部22Eに相当する部分に軽量孔22Fを貫通形成して備えた本体壁部22Aになっていて、その本体壁部22Aの軽量孔22F群が薄肉壁部22B群にて閉塞され、薄肉壁部22Bの外面と本体壁部22Aの外面との段差により凹部22Eが形成されている。
【0025】
第1側壁21は、図1に示すように、前記した縦横に4×3のマトリックス状に配置された矩形領域13群のうち上から2段目の3つの矩形領域13群の外面と、上から3段目の両横端部の矩形領域13,13の外面とに、第1側壁21の壁厚を段付き状に薄くした四角形の凹部21Eが陥没形成され、それら凹部21Eの底部が薄肉壁部21Bになっている。また、第1側壁21も、第2側壁22と同様に、薄肉壁部21B以外の部分が、凹部21Eに相当する部分に軽量孔21Fを貫通形成して備えた本体壁部21Aになっていて、その本体壁部21Aの軽量孔21F群が薄肉壁部21B群にて閉塞された構造になっている。また、第1及び第2の側壁21,22は、薄肉壁部21B,22B以外の部位の壁厚が、例えば、1.5〜2.5[mm]であるのに対し、薄肉壁部21B,22Bは、例えば、0.5〜1.5[mm]となっている。
【0026】
図7には、第2側板32を成形するための樹脂成形金型50が示されている。樹脂成形金型50は、固定型52に対して可動型51を直動可能に備え、固定型52の前面の一部と可動型51の前面の一部とを接合した型閉じ状態と固定型52から可動型51が離間した型開き状態と切り替え可能になっている。また、可動型51には、可動コア51Kが直動可能に組み付けられている。
【0027】
この樹脂成形金型50で第2側板32を成形するには、型閉じ状態にして可動コア51Kを可動範囲の前端側の原点位置に配置し、可動コア51Kの前面を固定型52の前面に接合させる。この状態で、図8(A)に示すように、可動コア51Kの前面と固定型52の前面との間に形成された第1の成形空間C1に、固定型52の樹脂供給路54から溶融樹脂(例えば、ポリプロピレン)を充填し、第2側板32のうち薄肉壁部22B群を除いた側板本体32Aを成形する。ここで、側板本体32Aのうち第2側壁22に相当する部分が、前記した本体壁部22Aになる。なお、この樹脂成形金型50では、固定型52側で第2側壁22の内面が成形され、可動型51で第2側壁22の外面が成形される。
【0028】
次いで、図8(B)に示すように、型閉じ状態のままで可動コア51Kを可動範囲の後端側のコアバック位置に移動し、可動コア51Kの前面を軽量孔22Fの軸方向の中間位置に配置する。これにより、可動コア51Kの前面と固定型52の前面との間に、第2側壁22のうち軽量孔22Fの回りの平板部22Cの板厚より薄い第2の成形空間C2が形成される。この状態で、固定型52の樹脂供給路53から第2の成形空間C2に溶融樹脂(例えば、ポリプロピレン)を充填して薄肉壁部22Bを成形する(コアバック成形する)。このようにして、第2側板32が完成される。また、第1側板31に関しても同様である。また、底ベース30は、コアバックを行わずに樹脂形成金型にて成形される。そして、別々に成形された底ベース30と1対の第1側板31,31と1対の第2側板32,32とを相互に組み付けてコンテナ10が完成する。
【0029】
上記したように本実施形態のコンテナ10の壁体構造及び製造方法によれば、軽量孔21F,22Fと薄肉壁部21B,22Bとによってコンテナ10の軽量化が図られると共に、第1及び第2の側壁21,22のうち軽量孔21F,22Fを有した本体壁部21A,22Aを成形する樹脂成形金型50(第1側壁21用の樹脂成形金型は図示せず)で薄肉壁部21B,22Bをコアバック成形することができるので、従来のシートの貼り付け作業が不要になり、従来より高い生産性でコンテナ10を製造することが可能になる。また、コンテナ10の成形用に流動性が高い樹脂を使用せずに済み、これに伴い、耐衝撃性の低下等の問題も解消される。
【0030】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、図9〜図11に示されており、この実施形態のコンテナには、図9に示すように、第2側板32Vの軽量孔22Fの縁部から軽量孔22Fの中央に向かって支持壁22Dが張り出されている。そして、薄肉壁部22Bの外縁部が、軽量孔22Fの内面と支持壁22Dとに固着している。また、図示しないが、第1側板に関しても同様に支持壁を備えた構造になっている。コンテナに係るその他の構造は、前記第1実施形態のコンテナ10と同じである。
【0031】
図10及び図11には、上記した第2側板32Vを成形するための樹脂成形金型50Vが示されている。この樹脂成形金型50Vでは、固定型52Vで第2側壁22の外面が成形され、可動型51Vで第2側壁22の内面が成形される。また、固定型52Vの前面には、可動コア51Kの前面の外縁部と対向する環状溝52Mが形成されている。樹脂成形金型50Vに係るその他の構造は、前記第1実施形態の樹脂成形金型50と同じである。
【0032】
この樹脂成形金型50Vで第2側板32Vを成形するには、図10に示すように、樹脂成形金型50Vを型閉じ状態にして可動コア51Kを原点位置に配置し、この状態で樹脂成形金型50V内に形成された第1の成形空間C1に溶融樹脂を充填して上記した支持壁22Dを有する側板本体32Aを成形する。そして、図11に示すように、可動コア51Kをコアバック位置に移動して樹脂成形金型50V内に形成された第2の成形空間C2に溶融樹脂を充填し、薄肉壁部22Bを成形する。
【0033】
本実施形態のコンテナの壁体構造及び製造方法によれば、薄肉壁部22Bの外縁部が、軽量孔22Fの内面とその軽量孔22Fの縁部から張り出した支持壁22Dとの両方に固着しているので、それら本体壁部22Aと薄肉壁部22Bとの固着部分の強度が高くなる。
【0034】
[第3実施形態]
図12〜図15には、本発明に係る第3実施形態が示されている。図12には、本実施形態のコンテナのうち第2側壁22における軽量孔22Fの周辺部分が示されている。このコンテナでは、軽量孔22Fの内側に成形される軽量壁部22Xが、例えば、本体壁部22Aの平板部22Cと同じ厚さの枠部22Hと、その枠部22Hの内側に形成されかつ平板部22Cと同じ厚さのメッシュ構造のメッシュ壁22Gとで構成されている。また、図示しないが、第1側板に関しても同様に枠部とメッシュ壁とからなる軽量壁部を備えた構造になっている。コンテナに係るその他の構造は、前記第1実施形態のコンテナ10と同じである。
【0035】
図14及び図15には、上記した第2側壁22を含む第2側板(図示せず)を成形するための樹脂成形金型50Wが示されている。この樹脂成形金型50Wでは、可動コア51Nのうち軽量孔22Fの内面を成形する部分が筒部51Tになっていて、その筒部51Tの内側にコアバック不能に固定された固定コア51Sが備えられている。また、その固定コア51Sのうち固定型52に接合される前面には、網目状の網形成形溝51Uが形成されている。さらに、その網形成形溝51Uは、固定コア51Sの側面に開放していて、その側面開口が筒部51Tによって閉塞可能になっている。
【0036】
この樹脂成形金型50Wで第2側板を成形するには、図14に示すように、樹脂成形金型50Wを型閉じ状態にして可動コア51Nを原点位置に配置し、この状態で樹脂成形金型50W内に形成された第1の成形空間C1に溶融樹脂を充填して上記した軽量孔22Fを有する側板本体32Aを成形する(図13の上側部分参照)。次いで、図15に示すように、可動コア51Nをコアバック位置に移動する。すると、固定コア51Sの側面と軽量孔22Fの内面との間に環状の成形空間C3が形成されると共に、成形空間C3に網形成形溝51Uの側面開口が連通した状態になる。この状態で、固定型52に備えた樹脂供給路53から網形成形溝51U、成形空間C3へと溶融樹脂を充填し、上記した軽量壁部22X(図13の下側部分参照)を成形する。
【0037】
本実施形態のコンテナの壁体構造及び製造方法によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0038】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0039】
(1)前記実施形態では、本体壁部21A,22Aと薄肉壁部21B,22Bとが同じ樹脂で成形されていたが、異なる樹脂で成形してもよい。例えば、本体壁部と薄肉壁部のうち一方を他方より透明度が高い樹脂や、剛性が高い樹脂で成形してもよい。
【0040】
(2)前記実施形態では、第1と第2の側壁21,22のみに薄肉壁部21B,22Bが備えられていたが、底壁14に薄肉壁部を備えてもよいし、コンテナに蓋を設けて、その蓋に薄肉壁部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 コンテナ
14 底壁(壁体)
21 第1側壁(壁体)
21A,22A 本体壁部
21B,22B 薄肉壁部(軽量壁部)
21F,22F 軽量孔
22 第2側壁(壁体)
22D 支持壁
22G メッシュ壁
22H 枠部
22X 軽量壁部
50,50V,50W 樹脂成形金型
51K,51N 可動コア
51T 筒部
51U 網形成形溝(成形溝)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のコンテナの側壁、底壁その他、壁体を、軽量孔を有した本体壁部と、その本体壁部を成形する樹脂成形金型でコアバック成形されて前記軽量孔を閉塞しかつメッシュ構造又は前記本体壁部より薄い薄肉構造をなした軽量壁部とで構成したことを特徴とするコンテナの壁体構造。
【請求項2】
前記本体壁部の表裏の一方の面における前記軽量孔の縁部から前記軽量孔の中央に向かって突出した支持壁が備えられ、前記軽量壁部の外縁部が、前記軽量孔の内面と前記支持壁とに固着していることを特徴とする請求項1に記載のコンテナの壁体構造。
【請求項3】
樹脂製のコンテナの側壁、底壁その他、壁体を、軽量孔を有した構造に樹脂成形金型にて成形してから、メッシュ構造又は前記本体壁部より薄い薄肉構造の軽量壁部を、前記樹脂成形金型にて前記軽量孔内にコアバック成形することを特徴とするコンテナの製造方法。
【請求項4】
前記コアバック成形の前に、前記軽量孔の縁部から前記軽量孔の中央に向かって突出した支持壁を前記壁体に成形しておき、前記軽量壁部の外縁部を、前記軽量孔の内面と前記支持壁とに固着するようにコアバック成形することを特徴とする請求項3に記載のコンテナの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂成形金型における可動型のうちコアバック可能な可動コアに筒部を設けると共に、前記筒部の内部にコアバック不能な固定コアを配置し、さらに、前記固定コアにおける前記樹脂成形金型の固定型との接合面にメッシュ構造の成形溝を形成しておき、
前記可動コアのコアバック前に前記筒部によって前記固定コアの外側面における前記成形溝の側面開口を閉塞すると共に前記筒部の外側面で前記軽量孔の内側面を成形し、
前記可動コアを前記筒部と共にコアバックすることで、前記固定コアと前記軽量孔の内側面との間に環状の成形空間を形成すると共に、その成形空間に前記成形溝の側面開口を開放した状態にして、それら成形空間と成形溝とに溶融樹脂を充填し、前記メッシュ構造の軽量壁部をコアバック成形することを特徴とする請求項3に記載のコンテナの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−91511(P2013−91511A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234803(P2011−234803)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】