説明

コンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法

【課題】コンテナにおける排出口の開閉を容易に且つ確実に行うことができる。
【解決手段】粉体Mを収容するコンテナ2の底部の排出口21に設けられた開閉自在なコーンバルブ3と、このコーンバルブ3に一端が連結されコンテナ2内を上方に延びるとともにコンテナ2の天面部24に対して上下移動可能に支持された軸部材31と、軸部材31を固定するためのロック装置6と、コンテナ2を上下方向に移動させる昇降手段4とを備え、軸部材31をロック装置6により固定した状態で、コンテナ2を上昇させて排出口21にコーンバルブ3が嵌合される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内の粉粒体をバルブを使って排出するコンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広い産業分野において、粉体等(以下、「原料」という)をコンテナに収容し、このコンテナ内から原料を容器等に詰めるための排出装置が知られている。このような排出装置には、軸部材下端に固定したコーンバルブをコンテナ内に設置し、この軸部材を上下方向に移動させることで、コンテナ下部の排出口を開閉操作する機構が設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、コンテナの上方に駆動モーター等の駆動機構が設けられており、この駆動機構によりコーンバルブに固定されるシャフトを上下移動させる構造について記載されている。
特許文献2は、コンテナの底部の排出口に設けられた開閉自在な弁体(コーンバルブ)と、この弁体に一端が連結されコンテナ内を上方に延びて他端部が外方に突出された軸部材と、コンテナとは別体に設けられ弁開閉手段とを備え、この弁開閉手段により軸部材の他端部が解除自在に把持され弁体が開閉操作されるようにしたコンテナ排出装置について開示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−272679号公報
【特許文献2】特開2003−54758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコンテナ排出装置では、コンテナ底部の排出口に下部配管(シュート)を設け、このシュートに原料を充満させながらコンテナ内の原料を排出する場合があり、このような場合、排出装置より原料を排出している途中で作業を停止させる際にあっては一端バルブを閉じる必要がある。そして、特許文献1、2のようなコーンバルブを上下移動させることでバルブを開閉する構造の場合、原料がコンテナ内に残っていて、バルブと排出口との間にも原料が充満された状態となっているので、バルブを完全に閉塞させることができないという問題があり、その点で改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、コンテナにおけるバルブによる排出口の開閉を容易に且つ確実に行うことができるコンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンテナ排出装置では、粉粒体を収容するコンテナの底部の排出口に設けられた開閉自在なバルブと、このバルブに一端が連結されコンテナ内を上方に延びるとともにコンテナの天面部に対して上下移動可能に支持された軸部材と、軸部材を固定するためのロック手段と、コンテナを上下方向に移動させるコンテナ昇降手段とを備え、軸部材をロック手段により固定した状態で、コンテナを上昇させて排出口にバルブが嵌合される構成としている。
【0008】
また、本発明に係るコンテナ排出装置を用いた粉粒体の排出方法では、粉粒体を収容するコンテナの底部の排出口に設けられた開閉自在なバルブと、このバルブに一端が連結されコンテナ内を上方に延びるとともにコンテナの天面部に対して上下移動可能に軸支された軸部材とを備え、コンテナの上昇位置でバルブによって排出口が閉塞される構成のコンテナ排出装置を用いた粉粒体の排出方法であって、軸部材を固定した状態で、コンテナを移動させることによりコンテナ内の粉粒体を排出口から排出するようにしたことを特徴としている。
【0009】
本発明では、コンテナを上昇させた状態でバルブに連結された軸部材をロック手段により固定することで、バルブの上下方向の位置が固定される。そして、バルブを固定させた状態でコンテナ昇降手段によりコンテナを上昇させることで、固定位置にあるバルブに排出口が近接し、さらにコンテナの上昇位置でバルブが排出口に嵌合することになる。このバルブを閉じる際には、コンテナの上昇に伴う相当の粉粒体を、コンテナの上昇に伴って形成されるコンテナの排出口下方部分、すなわち前記管路内の空隙部へ流入させることができので、コンテナ内に粉粒体が充満し、且つ排出口に連通するシュート等の管路内部にも粉粒体が充満している状態であっても、コンテナ内の粉粒体を排出させながらバルブで排出口を閉塞させることができる。また、コンテナを上昇位置から下降させることで、バルブが排出口より離れてその排出口が開放され、粉粒体を排出することができる。
したがって、従来のようにバルブを下降させて、コンテナ内に充満している粉粒体に対してバルブを押し込んで排出口を閉塞するといった排出構造と比較して、バルブに大きな力を負担させる必要がなくなるうえ、排出口が十分に閉塞されないといった不具合を防止することができる。
【0010】
また、本発明のコンテナ排出装置では、コンテナ内の粉粒体の残量に左右されず、バルブの開閉をスムーズに行うことができるので、粉粒体の排出中にコンテナを上下方向に繰り返し移動させることで、排出口とバルブとの間に形成される間隔を変化させて粉粒体に動きを持たせ、粉粒体の排出を促進させることができる。
【0011】
また、本発明に係るコンテナ排出装置では、コンテナ昇降手段は、コンテナを下方から支持する昇降フレームと、昇降フレームを上下方向に移動させる駆動装置とを備え、駆動装置は、コンテナの側方又は下方に配置されていることが好ましい。
【0012】
本発明では、コンテナを上下方向に移動させるための昇降フレームと駆動装置とが、コンテナの上方に配置されることがないので、コンテナ排出装置全体の高さを抑えることが可能となり、このコンテナ排出装置を収容するための建屋の天井高さも低くすることができる。
【0013】
また、本発明に係るコンテナ排出装置を用いた粉粒体の排出方法では、コンテナを上下方向に繰り返し移動させることにより、コンテナ内の粉粒体を排出口から排出させるようにしてもよい。
【0014】
本発明では、コンテナを繰り返し上下移動させることで、バルブに付着した粉粒体を剥離させて落とす効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法によれば、バルブを固定した状態でコンテナを上昇させることで、コンテナ内に粉粒体が充満している状態であっても、コンテナ内の粉粒体を排出させながらバルブを排出口に嵌合させることができる。そのため、充満している粉粒体に対してバルブを無理に押し込む必要がなくなることから、排出口の開閉を容易に且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による排出装置の構成を示す一部破断側面図である。
【図2】同じく排出装置の構成を示す一部破断側面図であって、コンテナを上昇させた状態を示す図である。
【図3】図1に示すロック装置の拡大図である。
【図4】(a)〜(c)は排出装置の準備工程を模式的に示す図である。
【図5】(a)〜(c)は排出装置の排出工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態によるコンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1および図2に示すように、本実施の形態によるコンテナ排出装置(以下、単に「排出装置1」という)は、コンテナ2内の粉体M(粉粒体)をシュート5を介して連続的に容器(図示省略)に供給する製造工程に採用されている。
排出装置1は、粉体Mを収容する前記コンテナ2と、コンテナ2の底部の排出口21に設けられた開閉自在なコーンバルブ3(バルブ)と、コンテナ2を上下方向に移動させる昇降装置4(コンテナ昇降手段)とを備えて概略構成されている。
【0019】
コンテナ2は、円筒部22と、この円筒部22からコンテナ2の平面視中央に配置される排出口21に向かって漸次縮径される円錐部23と、円筒部22の上方を覆う天面部24とからなる。
排出口21は、円形の開口であり、下外側に適宜な接続手段によりシュート5が連結される構成となっている。
天面部24には、コンテナ2内に粉体Mを供給するための投入口25と、コーンバルブ3に接続する長尺の軸部材31(後述)を上下方向に移動可能に支持するベアリング等からなる軸支部26とが設けられている。
【0020】
コーンバルブ3は、頂部を上方に位置させた円錐形状をなし、下外周縁部3bがコンテナ2の排出口21に液密な状態で嵌合することが可能となっており、下面3aで後述するシュート5の蓋部54(図4参照)を着脱させる構成となっている。そして、コーンバルブ3には、その上端3cに固定され上方に向けて延びる長尺な軸部材31がコンテナ2の中心軸線O1上に設けられている。
【0021】
軸部材31は、コンテナ2の天面部24の軸支部26によって上下方向に移動可能に挿通された状態で支持されている。また、コンテナ2より外方に突出する軸部材31の上端には、後述するロック装置6によって固定されるフランジ32が設けられている。このフランジ32は、円板状をなし、軸部材31に対して同軸に設けられている。
このようなコーンバルブ3は、コンテナ2の上昇によりその底部(排出口21)が近接する方向(矢印Y2方向)に移動することで排出口21に嵌合されてその開口を閉塞し、反対に底部が離反する方向(矢印Y1方向)に移動することで排出口21が開放されるようになっている。
【0022】
ここで、軸部材31を介してコーンバルブ3を固定するためのロック装置6(ロック手段)は、コンテナ2の上方の所定位置に図1に示すような門型形状の枠材8に固定されている。すなわち、ロック装置6は、図3に示すように、装置本体61と、この装置本体61の下面側でフランジ32を係止させる当接面62と、この当接面62に当接させた状態のフランジ32の下面側を押さえて固定する一対の係止部材63(63A、63B)とを備えている。
【0023】
係止部材63A、63Bは、中心軸線O2を上下方向に向けその中心軸線O2を中心にして装置本体61に回転可能に設けられた回転部631と、その回転部631の下端から径方向に延びる連結片632と、この連結片632の先端から上方に向けて立設された押付ピン633とを有している。押付ピン633の上端(押付端63a)は、回転部631を回転させたときに、平面視で当接面62によって係止させたフランジ32の下面32aの範囲内と範囲外とを選択的に取り得る位置とされる。
【0024】
つまり、ロック装置6は、コーンバルブ3を連結する軸部材31のフランジ32を当接面62に当接させた状態で、係止部材63A、63Bの回転部631を中心軸線O2を中心に回転させ、押付ピン633の押付端63aをフランジ32の下面32a側へ移動させることで、それら押付端63aによってフランジ32を下方より押さえ付けて固定する構成となっている。
【0025】
次に、図1および図2に示すように、コンテナ2を上下方向に移動させるための昇降装置4は、軸方向を上下方向に向けて基台9に立設された一対のシャフト41(41A、41B)と、そのうちの一方の第1シャフト41Aを回転させるモーター42(駆動装置)と、シャフト41A、41Bに案内されて上下方向に移動するとともにコンテナ2を支持する昇降フレーム43とを備えて概略構成されている。
【0026】
一方(図1で紙面左側)の第1シャフト41Aは、基台9に立設された状態で中心軸線を回転軸として回転可能に支持されたボールねじであり、このねじ軸にはボールナット44が螺着された構成となっている。なお、第1シャフト41Aを回転させるためのモーター42は、コンテナ2の側方の位置で基台9上に配置されている。
また、他方(図1で紙面右側)の第2シャフト41Bは、基端を基台9に立設された状態で非回転状態で固定されており、その軸には軸方向に沿って移動可能なスライドリング45が設けられた構成となっている。
【0027】
昇降フレーム43は、コンテナ2を支柱46を介して下方から支持するための架台であり、上述したボールナット4とスライドリング45とに一体的に設けられ、シャフト41に沿って上下方向に移動することができる。ここで、図2において、実線のコンテナ2および昇降フレーム43が上昇位置であり、二点差線の昇降フレーム43が下降位置を示している。
また、昇降フレーム43には、シュート5を支持するとともに、コンテナ2の排出口21にシュート5の上端5aを固定するためのシュート支持部7を備えている。
【0028】
ここで、シュート5は、基台9に固定される固定シュート51と、固定シュート51の上端縁部に取り付けられた伸縮管52と、この伸縮管52の内側に配置される内部シュート53とを備えた構成となっている。固定シュート51の下端に位置する排出端(図示省略)は、例えば粉体Mを供給する容器の口部の位置まで延ばされている。そして、シュート5は、上端5aがコンテナ2の排出口21に対してボルト接合等の接合手段によって着脱可能となっている。
【0029】
伸縮管52は、例えば上下方向に伸縮自在な蛇腹状部材や、或いは布製、ゴム製などの部材からなり、伸縮上端(シュート5の上端5aに相当)が昇降フレーム43の上下方向への移動に応じて伸縮する。
内部シュート53は、上端が伸縮管52の上端に固定され、その下端53aが伸縮管52の伸縮に応じて固定シュート51内に進入可能な外径寸法をなしている。
【0030】
このようなシュート5では、排出口21から排出された粉体Mを、内部シュート53、固定シュート51の順で通過させて図示しない容器等へ排出させることができる。伸縮管52は、内部シュート53と固定シュート51との間で粉体Mが外方へ飛散させないためのカバーの機能をも有している。
【0031】
シュート支持部7は、昇降フレーム43に一体的に設けられ、上方に伸びるシリンダ71を備え、シリンダ71が伸びたとき(図1の状態)に、シリンダ上端の固定部72でシュート5の上端5aを適宜な固定手段により固定できるようになっている。なお、図2においては、シリンダ71が縮んだ状態であり、排出口21とシュート5の上端5aとが離れた状態となっている。
このようにシュート支持部7によって固定されたシュート5においては、その上端5aが昇降フレーム43とともに上下方向に移動するため、基台9に固定された固定シュート51との間の距離に応じて伸縮管52が伸縮することになる。
【0032】
次に、上述した構成の排出装置1を用いた粉体Mの排出方法および排出装置1の作用について図面に基づいて説明する。なお、図4および図5に示す排出装置1は、説明上、見易くするために、一部簡略している。
【0033】
先ず、図4(a)〜(c)に示すように、粉体Mを排出するためのコンテナ2の準備工程を行う。
具体的には、図4(a)に示すように、コンテナ2を昇降装置4の昇降フレーム43上に支柱46を介してセットするとともに、その昇降フレーム43にはシュート支持部7を介してシュート5を取り付ける。このとき、排出口21にコーンバルブ3を嵌合させ、その排出口21を閉塞させた状態にしておく。また、昇降フレーム43の位置は下降位置であり、この状態でシュート5の上端5aと排出口21とは間隔をもって配置されている。なお、シュート5の内部シュート53の上部開口には、着脱可能な状態で蓋部54が嵌合されている。
【0034】
続いて、図4(b)に示すように、シュート支持部7のシリンダ71を伸張させることで、シュート上端5aを上方に移動させて排出口21に当接させ、例えばボルト締め等の適宜な接続手段により排出口21とシュート5とを連結する。このとき、蓋材54の上面とコーンバルブ3の下面3aとが例えば吸着手段などにより連結された状態となっている。なお、この蓋部54は、以下の工程のコーンバルブ3の開閉動作時において、コーンバルブ3に吸着等により連結された状態となる。
【0035】
次いで、図4(c)に示すように、モーター42を駆動してボールねじからなる第1シャフト41Aを回転させると、第1シャフト41Aに螺合するボールナット44がシャフト回転量に応じてねじ軸方向(上下方向)に沿って上方(矢印Y2方向)へ移動し、ボールナット44に一体的に設けられる昇降フレーム43がコンテナ2と共に上昇する(図2参照)。このとき、第2シャフト41B側のスライドリング45は、昇降フレーム43の移動とともにが第2シャフト41Bに沿って案内されて上方へ摺動する。
そして、コンテナ2の上昇の際、昇降フレーム43にシュート支持部7を介して固定部72で固定されているシュート上端5aも同時に上方へ移動することで、伸縮管52が上方に向けて伸張する。そのため、シュート上端5aと排出口21とは、固定部72で分離されずに連結状態が維持されることになる。
【0036】
そして、コンテナ2が所定位置まで上昇したときに、コーンバルブ3がロック装置6によって固定される。つまり、図3に示すように、軸部材31の上端のフランジ32がロック装置6の当接面62に係止したとき、一対の係止部材63A、63Bのそれぞれを回転部631により回転させ、押付ピン633をフランジ32の下面32a側となるように位置させる。これによりフランジ32の下面32aが一対の押付端63aによって下方から押さえ付けられ、軸部材31とともにコーンバルブ3の上下方向の位置が固定される。
ここまでの工程が粉体Mの排出工程前の準備工程となる。
【0037】
次に、図5(a)〜(c)に示すように、コーンバルブ3をロック装置6により固定した状態で、コンテナ2を所定位置に下降させた位置で固定し、或いはコンテナ2を上下方向に繰り返し移動させながら粉体Mを排出口21からシュート5側へ排出する。
具体的には、図5(a)に示すように、コーンバルブ3がロック装置6により上下方向の位置が固定されているので、昇降装置4の駆動によりコンテナ2を下降させ、固定位置にあるコーンバルブ3に対して底部が離反する方向(矢印Y1方向)に移動させることで、排出口21が開放され、コンテナ2内の粉体Mが排出口21からシュート5側へ排出される。
【0038】
このように本搬出装置1では、コーンバルブ3を固定させた状態で昇降装置4によりコンテナ2を上昇させることで、固定位置にあるコーンバルブ3に排出口21が近接し、さらにコンテナ2の上昇位置でコーンバルブ3が排出口21に嵌合することになる。そして、コーンバルブ3を閉じる際には、図5(b)、(c)に示すように、コンテナ2の上昇に伴う相当の粉体Mを、コンテナ2の上昇に伴って形成されるコンテナ2の排出口下方部分、すなわちシュート5内の伸縮管52の伸張によって生じる空隙部へ流入させることができので、コンテナ2内に粉体Mが充満し、且つ排出口21に連通するシュート5の管路内部にも粉体Mが充満している状態であっても、コンテナ2内の粉体Mを排出させながらバルブで排出口21を閉塞させることができる。
【0039】
したがって、従来のようにコーンバルブを下降させて、コンテナ内に充満している粉体に対してコーンバルブを押し込んで排出口を閉塞するといった排出構造と比較して、コーンバルブ3に大きな力を負担させる必要がなくなるうえ、排出口21が十分に閉塞されないといった不具合を防止することができる。
【0040】
また、コンテナ2内の粉体Mの残量に左右されず、コーンバルブ3の開閉をスムーズに行うことができるので、上述したように粉体Mの排出中にコンテナ2を上下方向に繰り返し移動させることで、排出口21とコーンバルブ3との間に形成される間隔を変化させて粉体Mに動きを持たせ、粉体Mの排出を促進させることができる。
さらに、コンテナ2を繰り返し上下移動させることで、コーンバルブ3に付着した粉体Mを剥離させて落とす効果が得られる。
【0041】
また、排出装置1では、昇降装置4のモーター42がコンテナ2の側方に配置されているので、コンテナ2を上下方向に移動させるための昇降フレーム43とモーター42とが、コンテナ2の上方に配置されることがないので、排出装置1全体の高さを抑えることが可能となり、この排出装置1を収容するための建屋の天井高さも低くすることができる利点がある。
【0042】
上述のように実施の形態によるコンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法では、コーンバルブ3を固定した状態でコンテナ2を上昇させることで、コンテナ2内に粉体Mが充満している状態であっても、コンテナ2内の粉体Mを排出させながらコーンバルブ3を排出口21に嵌合させることができる。そのため、充満している粉体Mに対してコーンバルブ3を無理に押し込む必要がなくなることから、排出口21の開閉を容易に且つ確実に行うことができる。
【0043】
以上、本発明によるコンテナ排出装置およびこれを用いた粉粒体の排出方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではコンテナ昇降手段としてシャフト41に沿って上下方向に移動する昇降フレーム43を備えた構成であり、ボールねじ機構を採用しているが、このような形態に制限されることはなく、例えば油圧式ジャッキを用いて昇降フレーム43を上昇、下降させる構成など、他の昇降手段であってもかまわない。
【0044】
また、本実施の形態ではコーンバルブ3を採用しているが、これに限定されることはなく、円錐形でない他の形状のバルブを適用することも可能である。要は、軸部材31に連結されるバルブが排出口21に嵌合するものであればよいのである。
【0045】
さらに、ロック手段に関しても、本実施の形態の構成に限定されることはない。そのため、軸部材31を固定するために設けられるフランジ32についてもロック手段の形態に応じて適宜な構造のものに変更可能である。要は、軸部材31の上端部分をコンテナ2の外側から固定できるものであればよい。
そして、本実施の形態のロック装置6の取り付け位置も枠材8である必要はなく、ロック装置6が固定さえできればよいので、排出装置1を設置する建屋の天井や、天井部分に設けられる他の基材など特に制限されるものではない。
【0046】
また、コンテナ2、シュート5の位置、形状、大きさなどの構成、およびコンテナ2の上下方向の移動寸法(昇降高さ)は粉粒体の材質、排出量、バルブの形状等の条件や粉粒体を容器等に詰め込む製造工程上の条件に応じて任意に設定することが可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 排出装置(コンテナ排出装置)
2 コンテナ
3 コーンバルブ(バルブ)
3a 下面
4 昇降装置(コンテナ昇降手段)
5 シュート
5a 上端
6 ロック装置(ロック手段)
7 シュート支持部
21 排出口
31 軸部材
32 フランジ
32a 下面
42 モーター(駆動装置)
43 昇降フレーム
52 伸縮管
M 粉体(粉粒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容するコンテナの底部の排出口に設けられた開閉自在なバルブと、
このバルブに一端が連結され前記コンテナ内を上方に延びるとともに前記コンテナの天面部に対して上下移動可能に支持された軸部材と、
前記軸部材を固定するためのロック手段と、
前記コンテナを上下方向に移動させるコンテナ昇降手段と、
を備え、
前記軸部材を前記ロック手段により固定した状態で、前記コンテナを上昇させて前記排出口に前記バルブが嵌合される構成としたことを特徴とするコンテナ排出装置。
【請求項2】
前記コンテナ昇降手段は、前記コンテナを下方から支持する昇降フレームと、該昇降フレームを上下方向に移動させる駆動装置とを備え、
該駆動装置は、前記コンテナの側方又は下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ排出装置。
【請求項3】
粉粒体を収容するコンテナの底部の排出口に設けられた開閉自在なバルブと、このバルブに一端が連結され前記コンテナ内を上方に延びるとともに前記コンテナの天面部に対して上下移動可能に軸支された軸部材とを備え、前記コンテナの上昇位置で前記バルブによって前記排出口が閉塞される構成のコンテナ排出装置を用いた粉粒体の排出方法であって、
前記軸部材を固定した状態で、前記コンテナを移動させることにより前記コンテナ内の粉粒体を前記排出口から排出するようにしたことを特徴とするコンテナ排出装置を用いた粉粒体の排出方法。
【請求項4】
前記コンテナを上下方向に繰り返し移動させることにより、前記コンテナ内の粉粒体を前記排出口から排出させることを特徴とする請求項3に記載のコンテナ排出装置を用いた粉粒体の排出方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−201641(P2011−201641A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70139(P2010−70139)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】