説明

コンテンツ再生装置、およびその電源制御方法、ならびにコンテンツ再生装置のプログラム、およびコンピューター読み取り可能な記録媒体

【課題】一旦電源オフの状態になったとしても、視聴者が電源をオンにすれば時間がかからずに起動することができるコンテンツ再生装置を提供すること。
【解決手段】TV受像機10は、処理部46および出力部47への電力供給が停止している状態(待機モード)に、人感センサー37がユーザーの存在を検知すると、電源制御部41が処理部46に電力を供給するように電源部40を制御する(クイック起動モード)。当該クイック起動モードにおいて、人感センサー37がユーザーの存在を最後に検知してからの経過時間をタイマー44が測定する。タイマー44の測定時間が予め定められた時間に達すると、電源制御部41が処理部46への電力供給を停止するように電源部40を制御し、待機モードへ移行する。このように、TV受像機10の周辺にユーザーがいるか否かを検知し、それに合わせてクイック起動モードと待機モードとを適宜切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機等を始めとしたコンテンツ再生装置、およびその電源制御方法、ならびにコンテンツ再生装置のプログラム、およびコンピューター読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、身の回りを囲む電子機器が多くなっている。例えば、印刷機、撮像機、記録再生装置、パソコン、またはテレビジョン受像機等である。これらの電子機器の大半は、電源キー(ボタン)を操作して当該機器に電力を供給したり、電力の供給を停止したりして、当該機器の電源のオン/オフを制御するのが一般的である。そのため、電子機器の使用後に当該電子機器の電源をオフにするためには、その時ごとに電源をオフにして電子機器の電源をオフにする必要がある。したがって、ユーザーが不在中にも電子機器の電源をオフにするまで引き続きオン状態が継続している。すなわち、ユーザーの不注意によって電子機器の使用後に電源をオフにしなかった場合には、不必要な電力消費をもたらし、さらには長時間駆動による電子機器の発熱によって損傷をきたす虞があった。特に、近年のテレビジョン受像機(TV受像機)等の映像表示装置では、デジタル放送等の新技術に対応するために、回路が複雑化し、大規模化する傾向がある。したがって、このような電子機器を駆動するのには大きな電力が必要であり、大量の発熱を伴うため、機器寿命の短縮が危惧される。
【0003】
そこで、このような問題を解決するために、特許文献1では、自動的にTV受像機の電源をオフにする技術が開示されている。具体的には、TV視聴中にユーザーが電源をオフせずに席を離れたときに、一定時間が過ぎた後に自動的に電源をオフにして動作待機モードに切り換えることを特徴としている。本文献に開示されているTV受像機には、人体から発散される遠赤外線を感知する赤外線センサーが搭載されており、当該センサーが人体から発散される遠赤外線を最後に感知してから一定時間が過ぎると、自動的にTV受像機の電源がオフになる。これによれば、TV受像機の電源をいちいちオフにしなくて済み、不必要な電力の消費を防止し、加熱による機器の損傷防止を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−78246号公報(1994年3月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているTV受像機では、自動的に電源がオフにされるため、TV受像機の全回路への電力供給が停止しているか、あるいはリモコン受光部等の最低限の回路にしか電力が供給されていない。そのため、当該TV受像機の電源を再びオンにする場合には、TV受像機の各種回路に電力を供給して各種回路ごとに起動する必要がある。このような電子機器では、電源がオンにされてから当該機器をユーザーが使用できるまでに時間がかかってしまう問題がある。
【0006】
特に、上述したように、近年のTV受像機は、その回路が複雑化し、大規模化する傾向がある。例えば、TV受像機では、電子番組表(EPG;Electronic Program Guide)データ等の付加情報の取得、またはデジタル放送の復調処理等が必要であり、電力供給からTV受像機の画面が表示されるまでに時間がかかり、そのタイムラグが大きい。
【0007】
このように、TV受像機等の電子機器の起動には時間がかかり、ユーザーが実際に当該機器を使用することができる状態になるまでにしばらく待たされることがある。したがって、ユーザーが即座にその電子機器を使用したい場合には、不満の生じることになる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、一旦電源オフの状態になったとしても、視聴者が電源をオンにすれば時間がかからずに起動することができるコンテンツ再生装置、およびその電源制御方法、ならびにコンテンツ再生装置のプログラム、およびコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、上記課題を解決するために、電力を供給する電源部と、コンテンツを処理する処理部と、上記処理部が処理したコンテンツを出力する出力部とを備えたコンテンツ再生装置であって、視聴者の存在を検知する人感センサーと、
上記電源部が上記処理部および上記出力部への電力の供給を停止しているときに、上記人感センサーが視聴者を検知すると、上記処理部に電力を供給するように当該電源部を制御する電源制御部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、処理部および出力部に電力が供給されていない状態で人感センサーが視聴者を検知すると、当該処理部に電力が供給される。処理部および出力部に電力が供給されていない状態とは、コンテンツ再生装置の電源がオフになっている状態である。したがって、本発明によれば、コンテンツ再生装置の電源がオフになっている状態で人感センサーが視聴者を検知すると、処理部に電力が供給される。すなわち、出力部への電力供給は停止したまま、処理部には電力を供給している状態である。この状態において、視聴者がコンテンツ再生装置の電源をオンにした場合、出力部に電力供給をすれば良いだけなので、コンテンツ再生装置を完全に起動するまでにかかる時間が非常に短い。
【0011】
従来のコンテンツ再生装置では、一旦電源がオフされた後、視聴者が電源をオンにした際に、処理部への電力供給も停止した状態から起動処理を始める。当該処理部は、多くの部材を含んでいるため、起動するためには多くの電力を必要とし、その起動には時間がかかってしまう。それ故、処理部への電力供給も停止した状態から起動すると、コンテンツ再生装置が完全に起動するまで時間がかかり、視聴者はしばらく待たされることになる。
【0012】
一方、本発明のコンテンツ再生装置では、一旦電源がオフされた後、視聴者が電源をオンにした際に、当該コンテンツ再生装置はすぐに起動するので、実際に視聴するまでに待たされることはない。すなわち、視聴者が即座にコンテンツ再生装置を視聴したい場合には、不満の生じることなくすぐに視聴することができる。
【0013】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置においては、周囲の明るさを検知する光センサーをさらに備え、上記電源部が上記処理部および上記出力部への電力の供給を停止しているときに、上記光センサーが検知した明るさが、予め定められた基準を超えた場合には、上記人感センサーに電力を供給するように上記電源制御部が上記電源部を制御し、上記光センサーが検知した明るさが、予め定められた基準を超えない場合には、上記人感センサーへの電力の供給を停止するように上記電源制御部が上記電源部を制御することを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、コンテンツ再生装置の周囲の明るさを検知する光センサーを有している。光センサーが検知した明るさが予め定められた基準を超える、すなわち周囲が明るい場合には視聴者がコンテンツ再生装置を利用する可能性が高い。そのため、処理部および出力部への電力供給が停止している状態に、周囲が明るいと光センサーが判断した場合には、人感センサーに電力が供給される。これによって、人感センサーが視聴者を検知すると、処理部に電力が供給され、視聴者がコンテンツ再生装置の電源をオンにすると、すぐに起動することができる。
【0015】
逆に、光センサーが検知した明るさが予め定められた基準を超えない、すなわち周囲が暗い場合には視聴者がコンテンツ再生装置を利用する可能性は低い。そのため、処理部および出力部への電力供給が停止している状態に、周囲が暗いと光センサーが判断した場合には、人感センサーに電力は供給されない。その結果、人感センサーは動作しないので、人感センサーが視聴者ではないものを誤って視聴者として検知し、処理部に電力を供給されるのを防ぐことができる。したがって、処理部への無駄な電力の供給を抑えることができるので、消費電力を低く抑えることができる。
以上により、本発明に係るコンテンツ再生装置は、光センサーをさらに有することによって、人感センサーの精度をより高めることができる。
【0016】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置においては、上記人感センサーが視聴者の存在を最後に検知した時点からの経過時間を測定するタイマーをさらに備え、上記電源制御部は、上記タイマーが測定した経過時間が所定の時間に達すると、上記処理部への電力の供給を停止するように当該電源部を制御することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、人感センサーが視聴者の存在を最後に検知した時点から所定の時間が経過すると、処理部への電力供給は停止する。したがって、処理部に電力が供給されている状態であっても、視聴者がしばらく席を外す等して、人感センサーが視聴者を検知しない状態が続くと、自動的に処理部への電力供給を停止する。
【0018】
すなわち、本発明によれば、視聴者が席を外す等してコンテンツ再生装置の近くからしばらく離れると、自動的に処理部への電力供給は停止する。その後、視聴者がコンテンツ再生装置の近くに再び訪れると、自動的に処理部への電力供給を開始する。このように、本発明に係るコンテンツ再生装置では、周辺に視聴者がいるか否かを検知し、それに合わせて処理部への電力供給を適宜行う。これによれば、視聴者がコンテンツ再生装置の近くから離れると処理部への電力供給を停止するので、無駄な電力を消費することを防ぐことができる。
【0019】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置においては、上記人感センサーは、周囲の明るさを検知する光センサー、対象物を撮像する撮像センサー、熱を測定する熱センサー、音を検知する音感センサー、振動を検知する振動センサー、および温度を測定する温度センサーのうち、少なくとも1つのセンサーを備えていることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、人感センサーおよび撮像センサーは、高い精度で視聴者を検知することができる。
【0021】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置においては、上記処理部は、放送信号を受信する受信部と、上記受信部が受信した放送信号を処理して番組を生成する生成部とを備えていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、電源をオフにした状態からすぐに起動し、視聴することができるテレビジョン受像機が得られる。
【0023】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置の電源制御方法においては、上記課題を解決するために、電力を供給する電源部と、コンテンツを処理する処理部と、上記処理部が処理したコンテンツを出力する出力部と、視聴者の存在を検知する人感センサーとを備えたコンテンツ再生装置の電源制御方法であって、上記電源部が上記処理部および上記出力部への電力の供給を停止しているときに、上記人感センサーが視聴者の存在を検知すると、上記処理部に電力を供給するように当該電源部を制御するステップを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記方法によれば、視聴者が即座にコンテンツ再生装置を視聴したい場合に、不満の生じることなくすぐに視聴することができる。なおかつ、電源をオフにしている状態に消費する電力を低く抑えることができる。
【0025】
なお、上述したコンテンツ再生装置は、コンピューターによって実現してもよく、この場合には、コンピューターを上記各部として動作させることにより上記コンテンツ再生装置をコンピューターにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0026】
本発明のコンテンツ再生装置は、一旦電源オフの状態になったとしても、視聴者が電源をオンにすれば時間がかからずに起動することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るサブマイコンの内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るTV受像機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】モードを決定する際の液晶表示装置に表示されるメニュー画面の一表示例である。
【図4】本発明の一実施形態に係るTV受像機の電源をオフにした際に、各モードに移行する工程を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係るTV受像機の電源をオフにした際に、完全待機モードに切り換える工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係るTV受像機の電源をオフにした際に、クイック起動モードに切り換える工程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るTV受像機の電源をオフにした際に、オートクイック起動モードに切り換える工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、まず、本発明の一実施形態に係るテレビジョン受像機の全体構成について説明し、その後に当該テレビジョン受像機の電源をオフにした際の機能について詳細に説明する。
【0029】
(テレビジョン受像機10の概要)
本実施形態に係るテレビジョン受像機(TV受像機)10の概要について、図2を参照して説明する。図2は、TV受像機10の内部構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、TV受像機10は、バスに接続されたCPU(Central Processing Unit)6およびメモリ1を有しており、当該TV受像機10の動作は、CPU6およびメモリ1に記憶された各種の制御プログラムにより制御される。すなわち、TV受像機10では、CPU6を含むコンピュータ・システムによって制御されており、TV受像機10をコンピュータ・システムによって動作させるためのプログラムはメモリ1に記憶されている。
【0031】
メモリ1は、通常RAM(Random Access Memory)によって構成されるが、一部にROM(Read Only Memory)を含んでいても良い。また、書き換え可能なフラッシュメモリ等を含んでいても良い。当該メモリ1には、CPU6を動作させるためのOS(Operating System)または各種の制御ソフト等が記憶され、放送波を介して受信した電子番組表(EPG;Electronic Program Guide)データ等の番組情報に関するデータ、OSD(On Screen Display)表示を行う際に必要となるOSD用画像データ等が記憶されている。また、メモリ1は、各種制御動作に必要なワークメモリとして働くワーク領域を有している。
【0032】
TV受像機10には、デジタルチューナー部(受信部)14と共に、アナログチューナー部(受信部)12が設けられており、アナログ放送も受信可能とされている。また、外部入力部31には、ハードディスクドライブ(HDD)、またはSDカード等の固体メモリ、ブルーレイディスク(BD)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはコンパクトディスク(CD)等のディスク装置等、種々の外部機器30が接続可能とされている。さらに、TV受像機10にはIP(Internet Protocol)放送チューナー部(受信部)23が備えられており、IP放送の受信も可能とされている。
【0033】
TV受像機10は、上記部材以外にも、TV受像機10に放送信号を基に表示画像を生成する生成部として、AVスイッチ部13、デジタル復調部15、分離部(DMUX;DeMultiplexer)16、ビデオデコード/キャプチャー部17、ビデオセレクター部18、映像処理部19、加算回路20、EPG/OSD/予約処理部24、オーディオデコード部25、オーディオセレクター部26、選局部33、および通信制御部34を有している。また、生成部が生成した画像を出力する出力部47として、表示制御部21、液晶表示装置22、音声出力変換部27、およびスピーカー28を有している。さらに、TV受像機10は、リモコン受光部35と、OPC(Organic Photo Conductor)センサー(光センサー)38と、人感センサー37とを有している。OPCセンサー38は、TV受像機10の周囲の明るさを検出する。一方、人感センサー37は、TV受像機10を視聴しているユーザーを検知する。
【0034】
アナログチューナー部12は、アナログ放送受信用のアンテナ11を介して受信するアナログテレビ放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信するチャンネルの選局を行う。当該アナログチューナー部12からの受信信号は、AVスイッチ部13において、音声信号と映像信号とに分離され、映像信号はビデオセレクター部18に入力され、音声信号はオーディオセレクター部26に入力される。
【0035】
デジタルチューナー部14は、デジタル放送受信用アンテナ40を介して受信するデジタルテレビ放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信するチャンネルの選局を行う。当該デジタルチューナー部14からの受信信号は、デジタル復調部15にて復調され、分離部(DMUX)16に送られる。
【0036】
IP放送チューナー部23は、電話回線・LAN(Local Area Network)等に接続された通信制御部34を介して受信するIP放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信する特定のIP放送の選局を行う。当該IP放送チューナー部23からの受信信号は、分離部(DMUX)16に出力される。
【0037】
分離部(DMUX)16は、デジタル復調部15またはIP放送チューナー部23から入力された多重化された映像データ、および音声データを分離する。分離した映像データをビデオデコード/キャプチャー部17に送り、音声データをオーディオデコード部25に送る。さらに、分離部(DMUX)16は、放送信号に含まれるEPGデータ等のデータを抽出し、EPG/OSD/予約処理部24に送る。なお、分離部(DMUX)16によって抽出された放送信号は、必要に応じてCPU6による書き込み制御によりメモリ1に記録される。
【0038】
ビデオデコード/キャプチャー部17は、分離部(DMUX)16によって分離された映像データをデコードしたり、映像データに含まれるビデオ情報を静止画としてキャプチャーしたりする。当該ビデオデコード/キャプチャー部17によってデコードされた映像信号は、ビデオセレクター部18に送られる。ビデオセレクター部18には、既に説明したとおり、アナログチューナー部12からの映像信号が入力されており、また、外部入力部31からの映像信号も入力されている。ビデオセレクター部18は、CPU6からの制御信号により、これらの入力映像信号から1つの映像信号を選んで出力し、映像処理部19に送る。
【0039】
映像処理部19では、入力された映像信号に対して、例えば、ノイズリダクションの処理、シャープネスの調整、またはコントラストの調整等の映像処理を行い、液晶表示装置22に対して最適な映像信号となるように映像データを変換する。
【0040】
表示制御部21は、受信した映像データを液晶表示装置22に表示させるための駆動回路を含む部分である。当該表示制御部21は、加算回路20によって加算された、EPG/OSD/予約処理部24からのEPGデータ、またはOSDデータを映像処理部19からの映像データに加えて液晶表示装置22に送る。液晶表示装置22では、送られてきた映像データを画面上に表示する。
【0041】
EPG/OSD/予約処理部24は、定期的に更新保存されたEPGデータに基づき電子番組表を作成し、また、メモリ1に予め保存されているOSDデータを描画する。当該OSDデータとは、例えば、予めメモリ1に記憶された設定メニュー画面、音量ケージ、現在時刻、または選局チャンネル等の各種情報を描画するためのデータである。また、EPG/OSD/予約処理部24は、電子番組表を利用して番組の予約処理等を行う。
【0042】
通信制御部34は、電話回線、LAN、またはインターネット等のネットワーク網を介して通信を確立させるように制御を行う。
【0043】
オーディオデコード部25は、分離部(DMUX)16によって分離された音声データをデコードするものである。当該オーディオデコード部25は、デコードした音声信号をオーディオセレクター部26に送る。
【0044】
オーディオセレクター部26では、AVスイッチ部13からの音声信号、外部入力部31からの音声信号、およびオーディオデコード部25からの音声信号を受け、CPU6からの制御によってビデオセレクター部18で選択された映像信号に対応した音声信号を選択する。選択した音声信号を、音声出力変換部27を介してスピーカー28に送る。音声出力変換部27は、受信した音声信号をスピーカー28での再生に最適な信号に変換して当該スピーカー28に供給する。
【0045】
リモコン受光部35は、リモートコントローラー36(以下リモコン36という)からの光信号を受信して、当該リモコン36からの制御信号を受け付けるためのものである。後から説明する電源をオフにしたときの起動モードの選択と決定、TV受像機10の電源のオン/オフ等、視聴者からの指示は、このリモコン36を介して行われる。
【0046】
メモリ1、CPU6、AVスイッチ部13、デジタル復調部15、分離部(DMUX)16、ビデオコード/キャプチャー部17、ビデオセレクター部18、映像処理部19、IP放送チューナー部23、EPG/OSD/予約処理部24、オーディオデコード部25、オーディオセレクター部26、外部入力部31、選局部33、通信制御部34、リモコン受光部35、人感センサー37、およびOPCセンサー38はバスを介してサブマイコン39に接続されている。当該サブマイコン39は、これらの部材を制御している。
【0047】
なお、本実施形態に係るTV受像機10では、リモコン受光部35および人感センサー37以外のサブマイコン39に接続された部材と、アナログチューナー部12、デジタルチューナー部14、および加算回路20とを含めたものを処理部46としている。また、表示制御部21、液晶表示装置22、音声出力変換部27、およびスピーカー28を含めたものを出力部47としている。電源部40は、サブマイコン39(P3)、処理部46(P1)、出力部47(P2)、リモコン受光部35(P4)、および人感センサー37(P5)に電力を供給している。当該電源部40には、コンセント等を通じて外部から電力が供給されている。
【0048】
(サブマイコン39の構成)
電源部40がどの部材に電力を供給するか否かを制御するのがサブマイコン39である。サブマイコン39は電源部40を制御することによって、(1)サブマイコン39およびリモコン受光部35以外の部材への電力の供給を停止する完全待機モード、(2)出力部47への電力の供給を停止するクイック起動モード、(3)処理部46と出力部47への電力の供給を停止する待機モードと、上記クイック起動モードとを適宜切り換えるオートクイック起動モードの、3つのモードを実現している。
【0049】
なお、上記3つのモードは、TV受像機10の電源をオフにした際のスタンバイ状態(一部の部材に対しては電力供給を行ったままの状態)でのモードである。これは、一部の部材に対して電力供給を行ったままにし、次にTV受像機10の電源をオンにするときに備えて待機している状態である。したがって、TV受像機10のすべての部材に対して電力供給を停止し、電源部40に外部から電力が供給されているだけの休止状態(電源部40から他の部材への電力供給を停止している状態)にすることも可能である。しかし、本実施形態では、TV受像機10の電源をオフにしている状態からすばやく起動することを目的としているため、上記3つのモードについて詳しく説明していく。
【0050】
以下では、まずサブマイコン39の詳しい構成について、図1を参照して説明する。図1は、サブマイコン39の内部構成を示すブロック図である。
【0051】
図1に示すように、サブマイコン39は、電源制御部41、設定情報保持部42、モード判定部43、およびタイマー44を有している。電源制御部41は、TV受像機10の電源をユーザーがオフにした際に、どのような制御パターンに基づいて電源部40を制御し、各モードへ移行するかを決定する。本実施形態では、電源制御部41が実施する制御パターンとして、(1)処理部46、出力部47、および人感センサー37への電源部40からの電力の供給を停止させ、完全待機モードへ移行する第1の制御パターンと、(2)出力部47への電源部40からの電力の供給を停止させ、クイック起動モードへ移行する第2の制御パターンと、(3)処理部46と出力部47とへの電源部40からの電力の供給を停止させる待機モードと、上記クイック起動モードとを適宜切り換えてオートクイック起動モードへ移行する第3の制御パターンとの3つの制御パターンがある。
【0052】
TV受像機10の電源をオフにした際に実際に使用するモードは、ユーザーによって選択可能となっている。ユーザーが選択したモードは、設定情報としてサブマイコン39の設定情報保持部42に格納される。モード判定部43は、当該設定情報保持部42に記憶されている設定情報に基づいて、ユーザーによって設定されたモードを判定する。電源制御部41では上記3つの制御パターンのうち、モード判定部43が判定したモードに対応する制御パターンに基づいて電源部40を制御する。
【0053】
タイマー44は、人感センサー37がユーザーの存在を最後に検知した時点からの経過時間を測定する。当該タイマー44が測定した経過時間が予め定められた時間に達すると、電源制御部41にクイック起動モードを終了させる構成となっている。具体的には、オートクイック起動モードの際に、電源部40の処理部46への電力供給を停止させるように(すなわち待機モードへ移行させるように)電源制御部41に指示することによって、クイック起動モードを終了させている。このようにして、クイック起動モードから待機モードに切り換えるのを実現している。
【0054】
なお、タイマー44にはモード判定部43が判定したモード情報が出力される。タイマー44では、モード判定部43からのモード情報がオートクイック起動モードの場合には起動する。すなわち、オートクイック起動モードの際には、人感センサー37がユーザーの存在を最後に検知した時点からの経過時間の測定を開始する。一方、完全待機モードまたはクイック起動モードが設定されている場合には起動せず、人感センサー37がユーザーの存在を検知しても、タイマー44の機能は無効になる。したがって、完全待機モードまたはクイック起動モードの際には、待機モードに切り換わることはない。
【0055】
(TV受像機10の3つのモード)
上述したように、上記3つのモードのうち、TV受像機10の電源をオフにした際に実際に使用するモードは、ユーザーによって選択可能となっている。例えば、ユーザーはリモコン36を介して3つのモードの中から1つのモードを選択することができる。具体的には、ユーザーによってリモコン36からリモコン受光部35を介してサブマイコン39に指示を与えることができる。リモコン36は、複数のボタンまたはスイッチ等を備えており、ユーザーによる各種指示を受け付けるためのものである。
【0056】
以下では、ユーザーが3つのモードの中から所望のモードを設定する工程について、図3を参照して説明する。図3は、モードを設定する際の液晶表示装置22に表示されるメニュー画面の一表示例である。
【0057】
まず、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10に対してモードの設定を行う旨の指示を与える。すると、表示制御部21が液晶表示装置22を制御することによって、液晶表示装置22にはメニュー画面が表示される。具体的には、当該液晶表示装置22に、図3に示すように、3つのモードに対応する選択肢が表示される。本実施形態では、クイック起動の設定をするか否かに対して、(a)しない、(b)する、(c)する(オート)、の3つの選択肢が表示される。ここで、(a)は、完全待機モードに相当し、(b)は、クイック起動モードに相当し、(c)は、オートクイック起動モードに相当する。ユーザーがリモコン36を介して3つの選択肢の中からいずれか1つを選択すると、表示制御部23が液晶表示装置22を制御することによって、選択された選択肢がハイライト表示される(図中では、「しない」がハイライトされている)。そして、ユーザーによって選択された選択肢に対応するモードがサブマイコン39の設定情報保持部42に記憶される。そして、液晶表示装置22は設定画面から抜け出し、通常の画面に戻る。
【0058】
以上によって、TV受像機10が起動中に電源ボタンが押された(電源をオフにする)際に用いられるモードの設定が終了する。したがって、TV受像機10が起動中に電源をオフにすると、ユーザーが設定したモードへ移行することになる。そこで、以下では、TV受像機10の電源をオフにした際に、ユーザーが設定したモードへ移行する過程について、図4を参照して説明する。図4は、TV受像機10の電源をオフにした際に、各モードに移行する工程を示すフローチャートである。
【0059】
例えば、TV受像機10の電源をオフにすると(ステップS1)、サブマイコン39のモード判定部43は、設定情報保持部42に記憶されている設定情報を基に、ユーザーが設定したモードを判定する(ステップS2)。この際、クイック起動モードの設定をしていない場合には(NO)、完全待機モードへ移行する(ステップS3)。一方、クイック起動モードの設定をしている場合には(ステップS2,YES)、クイック起動モードまたはオートクイック起動モードへ移行する。この際、ユーザーがさらにオートクイック起動モードに設定しているか否かを判定する(ステップS4)。ユーザーがオートクイック起動モードの設定をしている場合には(YES)、オートクイック起動モードへ移行する(ステップS5)。一方、オートクイック起動モードの設定をしていない場合には(ステップS4,NO)、クイック起動モードへ移行する(ステップS6)。このようにして、設定情報保持部42に記憶されている、ユーザーが設定したモードをモード判定部43が判定し、それに基づいて電源制御部41は電源部40に電力を供給させる部材を決定する。
【0060】
(完全待機モード)
次に、以上のようにして設定がなされたモードに基づいて、サブマイコン39が当該モードを実行する工程(電源制御方法)について説明する。始めに、完全待機モードを実行する工程について、図5を参照して説明する。図5は、TV受像機10の電源をオフにした際に、完全待機モードに切り換える工程を示したフローチャートである。
【0061】
まず、ユーザーが電源ボタンを押すことによってTV受像機10の電源オフになると、モード判定部43が設定情報保持部42に記憶されている設定情報に基づいて、ユーザーが設定したモードを判定する。モード判定部43が、当該モードが完全待機モードであると判定した場合の流れを以下に説明する。
【0062】
モード判定部43がユーザーによって設定されたモードが完全待機モードであると判定すると、そのモード情報を電源制御部41およびタイマー44に出力する。電源制御部41では、モード判定部43からの情報に基づいて、出力部47への電力供給をオフにする(停止する)ように電源部40を制御する(ステップS11)。次に、処理部46への電力供給をオフにするように電源部40を制御し(ステップS12)、同様に人感センサー37への電力供給もオフにするように電源部40を制御する(ステップS13)。これによって、サブマイコン39およびリモコン受光部35以外の部材への電力供給が停止し、TV受像機10は完全待機モードでスタンバイしている状態になっている。
【0063】
一方、タイマー44では、モード判定部43からのモード情報に基づいて、自身の機能を無効化する。したがって、この時点でユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにしない場合には(ステップS14,NO)、完全待機モードが無期限に継続される。この際、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにすると(YES)、当該リモコン36からの光信号をリモコン受光部35が受信する。リモコン受光部35では、リモコン36からの制御信号を、バスを介してサブマイコン39に伝達する。サブマイコン39では、リモコン受光部35からの制御信号に基づいて、電源制御部41が処理部46への電力供給をオンにする(開始する)ように電源部40を制御する(ステップS15)。次に、人感センサー37への電力供給をオンにするように電源部40を制御し(ステップS16)、同様に出力部47人感センサー37への電力供給もオンにするように電源部40を制御する(ステップS17)。
【0064】
このようにして、完全待機モードでスタンバイしていたTV受像機10の電源をオンにすることによって、ユーザーはTV受像機10を視聴することができる(ステップS18)。
【0065】
(クイック起動モード)
次に、クイック起動モードを実行する工程について、図6を参照して説明する。図6は、TV受像機10の電源をオフにした際に、クイック起動モードに切り換える工程を示したフローチャートである。
【0066】
まず、ユーザーが電源ボタンを押すことによってTV受像機10の電源がオフになると、モード判定部43が設定情報保持部42に記憶されている設定情報に基づいて、ユーザーが設定したモードを判定する。モード判定部43が、当該モードがクイック起動モードであると判定した場合の流れを以下に説明する。
【0067】
モード判定部43がユーザーによって設定されたモードがクイック起動モードであると判定すると、そのモード情報を電源制御部41およびタイマー44に出力する。電源制御部41では、モード判定部43からの情報に基づいて、出力部47への電力供給をオフにするように電源部40を制御する(ステップS21)。これによって、出力部47への電力供給が停止し、TV受像機10はクイック起動モードでスタンバイしている状態になっている。
【0068】
一方、タイマー44では、モード判定部43からのモード情報に基づいて、自身の機能を無効化する。したがって、この時点でユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにしない場合には(ステップS22,NO)、クイック起動モードが無期限に継続される。この際、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにすると(YES)、当該リモコン36からの光信号をリモコン受光部35が受信する。リモコン受光部35では、リモコン36からの制御信号を、バスを介してサブマイコン39に伝達する。サブマイコン39では、リモコン受光部35からの制御信号に基づいて、電源制御部41が出力部47への電力供給をオンにするように電源部40を制御する(ステップS23)。
【0069】
このようにして、クイック起動モードでスタンバイしていたTV受像機10の電源をオンにすることによって、ユーザーはTV受像機10を視聴することができる(ステップS24)。
【0070】
なお、以上で説明したクイック起動モードでは、出力部47への電力供給は停止し、出力部47以外の部材には電力が供給されたままの状態である。したがって、ユーザーがTV受像機10の電源をオンにした場合、出力部47に電力供給をすれば良いだけなので、クイック起動モードからTV受像機10を完全に起動するまでにかかる時間が非常に短い(ステップS22以降のステップ)。一方、完全待機モードでは、サブマイコン39およびリモコン受光部35以外への電力供給を停止している。したがって、ユーザーがTV受像機10の電源をオンにした場合、サブマイコン39およびリモコン受光部35以外の部材に電力を供給する必要がある。特に、処理部46は多くの部材を含んでいるため、起動するためには多くの電力を必要とし、その起動には時間がかかる。それ故、完全待機モードからTV受像機10を完全に起動するまでに時間がかかってしまう(ステップS14以降のステップ)。
【0071】
以上により、クイック起動モードでは、完全待機モードと比較してTV受像機10を起動するまでにかかる時間が短い。したがって、TV受像機10をクイック起動モードにしていれば、ユーザーがTV受像機10の電源をオンにした際に、当該TV受像機10はすぐに起動するので、実際に視聴するまでに待たされることはない。すなわち、ユーザーが即座にTV受像機10を視聴したい場合には、不満の生じることなくすぐに視聴することができる。
【0072】
ここで、クイック起動モードにおいて、タイマー44を無効化せずに、一定時間だけクイック起動モードにすることも可能である。具体的には、タイマー44に基づいて、人感センサー37が最後にユーザーを検知してからの経過時間が予め定められた時間を経過した場合には、電源制御部41の処理部46および出力部47への電力供給をオフにするようにしても良い。すなわち、待機モードに移行する構成にしても良い。あるいは、予め定められた時間の間、TV受像機10の電源がオンにされなかった場合には、待機モードに移行するような構成にすることも可能である。
【0073】
(オートクイック起動モード)
次に、オートクイック起動モードを実行する工程について、図7を参照して説明する。図7は、TV受像機10の電源をオフにした際に、オートクイック起動モードに切り換える工程を示したフローチャートである。
【0074】
まず、ユーザーが電源ボタンを押すことによってTV受像機10の電源がオフになると、モード判定部43が設定情報保持部42に記憶されている設定情報に基づいて、ユーザーが設定したモードを判定する。モード判定部43が、当該モードがオートクイック起動モードであると判定した場合の流れを以下に説明する。
【0075】
モード判定部43がユーザーによって設定されたモードがオートクイック起動モードであると判定すると、そのモード情報を電源制御部41およびタイマー44に出力する。電源制御部41では、モード判定部43からの情報に基づいて、出力部47への電力供給をオフにするように電源部40を制御する(ステップS31)。これによって、出力部47への電力供給が停止し、TV受像機10はクイック起動モードでスタンバイしている状態になっている。
【0076】
一方、タイマー44では、モード判定部43からのモード情報に基づいて、自身の機能を有効化する。したがって、人感センサー37がユーザーの存在を検知すると、タイマー44は検知した時点からの経過時間の測定を開始する。なお、人感センサー37が経過時間を測定し始めてから再びユーザーを検知すると、その経過時間をリセットして、ユーザーを再び検知した時点からまた新たに経過時間を測定し始める。
【0077】
ここで、人感センサー37がユーザーを検知した状態で(ステップS32,YES)、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにすると(ステップS39,YES)、当該リモコン36からの光信号をリモコン受光部35が受信する。リモコン受光部35では、リモコン36からの制御信号を、バスを介してサブマイコン39に伝達する。サブマイコン39では、リモコン受光部35からの制御信号に基づいて、電源制御部41が出力部47への電力供給をオンにするように、電源部40を制御する(ステップS40)。そして、TV受像機10は起動し、ユーザーはTV受像機10を視聴することができる(ステップS41)。
【0078】
一方、人感センサー37がユーザーの存在を検知した状態で(ステップS32,YES)、ユーザーがTV受像機10の電源をオンにしなかった場合には(ステップS39,NO)、ステップS32に戻り、ユーザーの存在の検知を繰り返し行う。なお、タイマー44が最後にユーザーを検知した時点から10分が経過すると(ステップS33,YES)、その情報が電源制御部41に出力される。電源制御部41では、タイマー44からの情報に基づいて、処理部46への電力供給をオフにするように電源部40を制御する(ステップS34)。これによって、処理部46への電力供給を停止し、TV受像機10はクイック起動モードから待機モードへ移行する。
【0079】
なお、人感センサー37がユーザーを検知することができる範囲外の所からユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにする場合もある。したがって、タイマー44の測定時間が10分未満である場合に(ステップS33,NO)、ユーザーが人感センサー37の検知範囲外の所からリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにすると(ステップS39,YES)、当該リモコン36からの光信号をリモコン受光部35が受信する。リモコン受光部35では、リモコン36からの制御信号を、バスを介してサブマイコン39に伝達する。サブマイコン39では、リモコン受光部35からの制御信号に基づいて、電源制御部41が出力部47への電力供給をオンにするように、電源部40を制御する(ステップS40)。そして、TV受像機10は起動し、ユーザーはTV受像機10を視聴することができる(ステップS41)。一方、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにしなかった場合には(ステップS39,NO)、ステップS32に戻り、ユーザーの存在の検知を繰り返し行う。
【0080】
以上のように、オートクイック起動モードでは、人感センサー37が最後にユーザーを検知してからそのまま10分経過すると、処理部46への電力供給を停止し、クイック起動モードから待機モードに切り換わる構成になっている。すなわち、TV受像機10がクイック起動モードになっている状態であっても、ユーザーがしばらく席を外す等して、人感センサー37がユーザーを検知しない状態が続くと、自動的に待機モードに移行する。
【0081】
上述したように、人感センサー37がユーザーを検知することができる範囲外の所からユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにする場合もある。したがって、TV受像機10が待機モードに移行してから、人感センサー37がユーザーの存在を検知していない場合でも(ステップS35,NO)、ユーザーが人感センサー37の検知範囲外の所からリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにすると(ステップS36,YES)、当該リモコン36からの光信号をリモコン受光部35が受信する。リモコン受光部35では、リモコン36からの制御信号を、バスを介してサブマイコン39に伝達する。サブマイコン39では、リモコン受光部35からの制御信号に基づいて、処理部46への電力供給をオンにするように電源部40を制御する(ステップS37)。続けて、サブマイコン39は、電源制御部41が出力部47への電力供給をオンにするように、電源部40を制御する(ステップS40)。そして、TV受像機10は起動し、ユーザーはTV受像機10を視聴することができる(ステップS41)。一方、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにしなかった場合には(ステップS36,NO)、ステップS35に戻り、ユーザーを検知するまでユーザーの検知を繰り返し行う。ここで、人感センサー37がユーザーの存在を検知すると(YES)、その情報が電源制御部41に出力される。電源制御部41では、人感センサー37からの情報に基づいて、処理部46への電力供給をオンにするように電源部40を制御する(ステップS38)。これによって、処理部46への電力供給を開始し、TV受像機10は待機モードからクイック起動モードへ移行する。
【0082】
ここで、ユーザーがリモコン36を介してTV受像機10の電源をオンにすると(ステップS39,YES)、当該リモコン36からの光信号をリモコン受光部35が受信する。リモコン受光部35では、リモコン36からの制御信号を、バスを介してサブマイコン39に伝達する。サブマイコン39では、リモコン受光部35からの制御信号に基づいて、電源制御部41が出力部47への電力供給をオンにするように、電源部40を制御する(ステップS40)。そして、TV受像機10は起動し、ユーザーはTV受像機10を視聴することができる(ステップS41)。なお、ユーザーがTV受像機10の電源をオンにしなければ(ステップS39,NO)、ステップS32に戻り、人感センサー37は引き続きユーザーの存在の検知を繰り返す。
【0083】
以上のように、オートクイック起動モードでは、クイック起動モードから待機モードに切り換わった後も、人感センサー37がユーザーの存在を検知するとクイック起動モードに再び切り換わる構成になっている。すなわち、TV受像機10が待機モードになっている状態であっても、ユーザーがTV受像機10の近くに訪れた場合には、自動的にクイック起動モードに移行する。
【0084】
したがって、オートクイック起動モードでは、ユーザーが席を外す等してTV受像機10の近くからしばらく離れると、自動的にクイック起動モードから待機モードに切り換わる。その後、ユーザーがTV受像機10の近くに再び訪れると、自動的に待機モードからクイック起動モードに切り換わる。このように、TV受像機10の周辺にユーザーがいるか否かを検知し、それに合わせてクイック起動モードと待機モードとを適宜切り換える。これによれば、ユーザーがTV受像機10の近くにいるときには、当該TV受像機10は常にクイック起動モードでスタンバイしているので、TV受像機10の電源をオンにしてもすぐに起動することができる。すなわちTV受像機10は、一旦電源オフの状態になったとしても、視聴者が電源をオンにすれば時間がかからずに起動することができる。
【0085】
上述した(図6に示した)クイック起動モードでは、ユーザーがTV受像機10の電源をオンにするまでクイック起動モードが無期限に継続する。この場合は、ユーザーが外出中、またはしばらく席を外した際にもクイック起動モードが継続されることになる。当該クイック起動モードでは、出力部47への電力供給が停止している状態であり、換言すれば出力部47以外の部材へは電力を常に供給している。特に、上述したように処理部46は多くの部材を含んでいるため、処理部46を起動したままの状態を維持するためには多くの電力を必要とする。そのため、クイック起動モードでは、TV受像機10の電源をオフにしているにも拘らず、TV受像機10の消費電力は大きい。そこで、以上で説明したオートクイック起動モードでは、ユーザーが外出中、またはしばらく席を外した際には、自動的に待機モードに切り換わる。これより、ユーザーが外出している間、またはしばらく席を外している間に無駄な電力を消費するのを防ぐことができる。
【0086】
なお、以上では、人感センサー37が最後にユーザーを検知した時点から10分経過した場合に待機モードへ切り換えているが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、状況に応じて好適な時間を設定することができる。また、複数の候補をユーザーに掲示し、ユーザーによって選択された時間を採用する構成にしても良い。
【0087】
また、TV受像機10の表示画面の下部等にLED(Light Emitting Diode)等の電源ランプを設け、当該電源ランプによってユーザーが現在のTV受像機10のモードを確認できるようにしても良い。例えば、TV受像機10が完全待機モードおよび待機モードのときには電源ランプを赤色に発光させ、クイック起動モードのときには電源ランプをオレンジ色に発光させて、TV受像機10の状態監視を行うことも可能である。
【0088】
さらに、記録再生装置等のTV受像機10にHDMI(High-Definition Multimedia Interface)等でリンクしている電子機器にも本実施形態に係る起動モードを搭載すれば、待機モードに移行させたり、クイック起動モードに移行させたりすることができる。したがって、TV受像機10に接続された電子機器も、TV受像機10と共にその起動時間を短縮することができる。
【0089】
(人感センサー37とOPCセンサー38との併用)
ここで、ユーザーが外出中、または就寝中等にはTV受像機10が設置されている室内の電気等は消灯していると考えられる。したがって、室内が暗い場合には、ユーザーはTV受像機10を利用しない可能性が高い。そこで、TV受像機10が有するOPCセンサー38が、TV受像機10の周囲の明るさを検知することによって室内が明るいか否かを判定することができる。OPCセンサー38は、例えば、周囲の外光の光量を測定し、当該光量が予め定められた基準量を超えた場合には室内は明るいと判断しても良い。あるいは、OPCセンサー38は周囲の照度を測定し、当該照度が予め定められた基準を超えた場合には室内は明るいと判断しても良い。
【0090】
このようにしてOPCセンサー38が室内は暗いと判断した場合には、人感センサー37への電力供給を停止するような構成にしても良い。具体的には、オートクイック起動モードにおいて、処理部46および出力部47への電力の供給が停止している場合に(図7のステップ34)、OPCセンサー38が室内は暗いと判断すると、人感センサー37への電力供給を停止するように電源制御部41が電源部40を制御する構成にする。ここで、室内が暗い状態でユーザーが電気等を点灯し、室内が明るくなったのをOPCセンサー38が検知すると、人感センサー37に電力を供給するように電源制御部41が電源部40を制御する構成にする。
【0091】
この際、処理部46および出力部47への電力の供給が停止している場合に、OPCセンサー38が室内は明るいと判断した場合には、人感センサー37への電力の供給は継続する。
【0092】
以上の構成によれば、ユーザーが外出中、または就寝中等、TV受像機10の周囲が暗い場合には人感センサー37への供給は停止している。したがって、人感センサー37は動作していないので、人感センサー37がユーザーではないものを誤ってユーザーとして検知し、処理部46に電力が供給されるのを防ぐことができる。このように、ユーザーがTV受像機10を利用する可能性が高い場合に人感センサー37に電力が供給されるので、人感センサー37の精度をより高めることができる。また、人感センサー37がユーザーではないものを誤ってユーザーとして検知した場合に、いちいち処理部46に電力が供給されるのを防ぐことができるので、無駄な電力の消費を抑えることができる。
【0093】
なお、人感センサー37とOPCセンサー38とを併用する場合には、処理部46への電力の供給が停止している状態でも、OPCセンサー38には電力が供給されるようにする必要がある。
【0094】
ここで、人感センサー37として、対象物を撮像するカメラ等の撮像センサー、音を検知する音感センサー、熱を測定する熱センサー、振動を検知する振動センサー、または温度を測定する温度センサー等が適用できる。
【0095】
例えば、人感センサー37が撮像センサーである場合、TV受像機10に当該TV受像機10を利用するユーザーの顔写真のデータを予め記憶させておく。そして、オートクイック起動モードの待機モードにおいて、TV受像機10に人が近づくと、撮像センサーがその人の顔と記憶しているユーザーの顔写真のデータとを照合し、その人がユーザーであるか否かを判断する。撮像センサーがユーザーであると判断した場合には、TV受像機10は待機モードからクイック起動モードに移行するように構成する。このようにして、ユーザーの存在を検知することができる。なお、TV受像機10には、複数のユーザーのそれぞれの顔写真のデータを記憶させることも可能である。
【0096】
この際、顔写真のデータの照合を行わずに、撮像センサーが人の顔を検知した時点でクイック起動モードに移行するような構成にしても良い。
【0097】
また、人感センサー37が音感センサーである場合、当該音感センサーが検知可能な領域における音(例えば、ユーザーの足音、または話し声等)を音感センサーはキャッチする。オートクイック起動モードの待機モードにおいて、音感センサーが音をキャッチすると、TV受像機10は待機モードからクイック起動モードに移行するように構成する。このようにして、ユーザーの存在を検知することができる。
【0098】
さらに、人感センサー37は、以上で例示したセンサーを複数有していても良い。複数のセンサーを有することによって、あらゆる手段でユーザーの存在を検知することができる。また、ユーザーが各種センサーを組み合わせて使用することも可能である。例えば、周囲が暗い場合にはTV受像機10を視聴することがないユーザーにおいては、人感センサー37とOPCセンサー38とを併用する設定にする。これによって、室内が暗い場合には、人感センサー37がユーザーではないものを誤ってユーザーとして検知した場合に、いちいち処理部46に電力が供給されるのを防ぐことができるので、無駄な電力の消費を抑えることができる。
【0099】
なお、上述した各種センサーは、必ずしもTV受像機10自体に搭載しなくても良い。例えば、人感センサー37をリモコン36、携帯電話、または端末装置等の携帯電子機器に搭載しておき、ユーザーが当該機器を持ち上げたり、当該機器に近づいたりしたのを人感センサー37が検知すると、その検知信号をTV受像機10に送信する構成にしても良い。具体的には、当該人感センサー37からの検知信号は、リモコン受光部35または他の受信部等を介して、サブマイコン39に送信する構成にすれば良い。この場合、人感センサー37からの検知信号は、光(赤外線)通信、電波通信、または超音波通信等の通信方法によって送信することが可能である。
【0100】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0101】
例えば、TV受像機10自身でテレビ番組を録画する機能がついている場合に、TV受像機10がテレビ番組を録画している間にはオートクイック起動モードが動作しない構成にすると良い。また、PC内臓TVにオートクイック起動モードを搭載する場合には、PC内臓TVがプログラム等をダウンロードしている間、またはアップデートをしている間等にオートクイック起動モードが動作しない構成にすると良い。このように、本実施形態に係る起動モードを搭載する電子機器に合わせて、当該電子機器の各種機能が動作中にはオートクイック起動モードを作動させるか否かを決定すれば良い。
【0102】
また、以上の説明では、特に、TV受像機を例にして述べているが、その他にも、電源スイッチによって電源のオン/オフを設定する電子機器、例えば、記録再生装置、またはオーディオコンポ等のAV機器(コンテンツ再生装置)にも本願の発明を適用できることは明らかである。
【0103】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、TV受像機10に含まれている各部は、ハードウェアロジックによって構成すれば良い。または、次のように、CPUを用いてソフトウェアによって実現しても良い。
【0104】
すなわち、TV受像機10は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、このプログラムを格納した、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM、および上記プログラムと各種データとを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても達成できる。
【0105】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアであるTV受像機10のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム,中間コードプログラム,ソースプログラム)をコンピューターで読み取り可能に記録していれば良い。TV受像機10に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピューターとしてのTV受像機10(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すれば良い。
【0106】
プログラムコードをテレビジョン受像機10に供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系等とすることができる。
【0107】
また、TV受像機10を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介してTV受像機10に供給する。この通信ネットワークはTV受像機10にプログラムコードを供給できるものであれば良く、特定の種類または形態に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、または衛星通信網等であれば良い。
【0108】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であれば良く、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、またはADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAまたはリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、または地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明に係るコンテンツ再生装置として、電源スイッチによって電源のオン/オフを設定する電子機器、例えば、テレビジョン受像機、記録再生装置、またはオーディオコンポ等のAV機器も適用でき得る。
【符号の説明】
【0110】
10 テレビジョン受像機
22 液晶表示装置
35 リモコン受光部
36 リモートコントローラー
37 人感センサー
39 サブマイコン
40 電源部
41 電源制御部
42 設定情報保持部
43 モード判定部
44 タイマー
46 処理部
47 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電源部と、
コンテンツを処理する処理部と、
上記処理部が処理したコンテンツを出力する出力部とを備えたコンテンツ再生装置であって、
視聴者の存在を検知する人感センサーと、
上記電源部が上記処理部および上記出力部への電力の供給を停止しているときに、上記人感センサーが視聴者を検知すると、上記処理部に電力を供給するように当該電源部を制御する電源制御部とを備えていることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
周囲の明るさを検知する光センサーをさらに備え、
上記電源部が上記処理部および上記出力部への電力の供給を停止しているときに、
上記光センサーが検知した明るさが、予め定められた基準を超えた場合には、上記人感センサーに電力を供給するように上記電源制御部が上記電源部を制御し、
上記光センサーが検知した明るさが、予め定められた基準を超えない場合には、上記人感センサーへの電力の供給を停止するように上記電源制御部が上記電源部を制御することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
上記人感センサーが視聴者の存在を最後に検知した時点からの経過時間を測定するタイマーをさらに備え、
上記電源制御部は、上記タイマーが測定した経過時間が予め定められた時間に達すると、上記処理部への電力の供給を停止するように当該電源部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
上記人感センサーは、周囲の明るさを検知する光センサー、対象物を撮像する撮像センサー、熱を測定する熱センサー、音を検知する音感センサー、振動を検知する振動センサー、および温度を測定する温度センサーのうち、少なくとも1つのセンサーを備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
上記処理部は、
放送信号を受信する受信部と、
上記受信部が受信した放送信号を処理して番組を生成する生成部とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
電力を供給する電源部と、
コンテンツを処理する処理部と、
上記処理部が処理したコンテンツを出力する出力部と、
視聴者の存在を検知する人感センサーとを備えたコンテンツ再生装置の電源制御方法であって、
上記電源部が上記処理部および上記出力部への電力の供給を停止しているときに、上記人感センサーが視聴者の存在を検知すると、上記処理部に電力を供給するように当該電源部を制御するステップを備えていることを特徴とするコンテンツ再生装置の電源制御方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置を動作させるプログラムであって、コンピューターを上記の各部として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録しているコンピューター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−139141(P2011−139141A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296274(P2009−296274)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】