説明

コンテンツ選択候補抽出装置、コンテンツ選択候補抽出方法、行動予測装置および行動予測方法

【課題】簡易な構成でユーザの行動をより正確に推測し、かつ、ユーザに提示されるユーザ行動や目的地などの選択候補にバリエーションを持たせてユーザのコンテンツの選択候補の選択可能性を広げることを可能とする。
【解決手段】本発明のカーナビゲーション装置10は、ユーザの好みおよびユーザ属性に応じて、行動履歴と、行動履歴から統計可能な行動の特徴である行動習慣と、一般常識データテーブル12eに格納される一般常識とに基づいて、ユーザの行動を予測する行動予測処理をおこなう。さらに、カーナビゲーション装置10は、ユーザの好みおよびユーザ属性に応じて、ジャンル選択傾向と、ジャンル類推テーブル12iに格納される抽象化特性に基づいて類推される類推ジャンルとに基づいて、ユーザの目的地選択に関連する嗜好を予測する嗜好推定処理をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツから所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示するコンテンツ選択候補抽出装置、コンテンツ選択候補抽出方法、行動予測装置および行動予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載装置であるカーナビゲーション装置は、目的地に関する情報をコンテンツとして、ユーザに目的地および該目的地に関する目的地情報というコンテンツを提供する。目的地は、車両の出発地とともに、カーナビゲーション装置における経路探索で必須の情報である。ここで、膨大なコンテンツから、ユーザが所望する最適なコンテンツ(目的地)を選択して該ユーザに提示することは、コンテンツの選択の利便性の点から重要となってくる。
【0003】
そのコンテンツの選択方法例として、ユーザの行動をより正確に予測し、その予測に基づいて選択される可能性が高いコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示することが挙げられる。例えば、特許文献1には、ユーザの環境、状況、状態、要求、行動、局面といったユーザ情報を、時間および空間によって与えられる影響を考慮して詳細、より正確に推定することを可能にしたユーザ情報推定装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、カーナビゲーション装置において、過去におこなわれた経路探索における時間別の出発地と目的地とを、経路探索頻度に関する情報とともに過去履歴に記憶し、カーナビゲーション装置の起動時において、過去履歴において当該時間帯における経路探索頻度が最も高い出発地、目的地を検索して、今回の経路探索の出発地、目的地とするカーナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−92029号公報
【特許文献2】特開平8−271277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に代表される従来技術では、ユーザの行動などの予測をより正確に行うことができるものの、コンピュータ装置において多くの記憶資源や、高い演算能力を必要とする複雑な計算処理を行うため、複雑な構成による製造コストの問題や、処理時間がかかるといった問題を抱えていた。
【0007】
また、上記特許文献2に代表される従来技術では、時間帯のみを考慮してその他の要因を考慮せずに過去履歴で最も設定頻度が高い出発地、目的地を取得するので、当日では絶対選択され得ない出発地、目的地が取得されるおそれがあり、過去履歴を利用してユーザの目的地を推測して提示することの利便性を没却するおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献1および2に代表される従来技術を組み合わせたとしても、ユーザ情報や過去履歴に基づいてユーザ行動や目的地などの推定をおこなうので、ユーザ行動や目的地などの候補を絞り込むのみの処理となるために、ユーザに提示されるユーザ行動や目的地などの選択候補はユーザ情報や過去履歴の部分集合に過ぎずバリエーションに乏しく、ユーザの選択の可能性を広げるものではなかった。
【0009】
本発明は、上記問題点(課題)を解消するためになされたものであって、簡易な構成でユーザの行動をより正確に推測し、かつ、ユーザに提示されるユーザ行動や目的地などの選択候補にバリエーションを持たせてユーザの選択の可能性を広げることを可能とするコンテンツ選択候補抽出装置、コンテンツ選択候補抽出方法、行動予測装置および行動予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、本発明は、入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツから所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示するコンテンツ選択候補抽出装置であって、前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録手段と、前記選択履歴記録手段によって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出手段と、前記選択履歴と、前記周期性抽出手段によって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出する選択候補抽出手段と、前記選択候補抽出手段によって前記選択候補として抽出されたコンテンツに、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する該コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性または該コンテンツの当日選択回数に基づいて優先度を付与する優先度付与手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記選択候補抽出手段は、前記所定状況下では前記コンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、該選択候補抽出手段によって抽出された該選択候補からコンテンツを除外する選択候補除外手段をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記選択候補抽出手段によって前記選択候補として抽出されたコンテンツの前記分類項目の具体データに、該分類項目の具体データを抽象化して特性付ける抽象化特性を対応付けて記憶する抽象化特性テーブルに基づいて、該分類項目の該抽象化特性と類似度が所定以上である他のコンテンツの該分類項目の具体データを類推分類項目として取得する類推分類項目取得手段をさらに有し、前記優先度付与手段は、前記選択候補抽出手段によって前記選択候補として抽出されたコンテンツ、および、前記類推分類項目取得手段によって取得された前記類推分類項目で特定されるコンテンツに、それらの選択傾向、目的、特徴要因または属性的要因に基づいてさらに優先度を付与することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツから所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示するコンテンツ選択候補抽出方法であって、前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録ステップと、前記選択履歴記録ステップによって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出ステップと、前記選択履歴と、前記周期性抽出ステップによって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出する選択候補抽出ステップと、前記所定状況下では前記コンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、前記選択候補抽出ステップによって抽出された該選択候補からコンテンツを除外する選択候補除外ステップと、前記選択候補抽出ステップによって前記選択候補として抽出されたコンテンツの前記分類項目の具体データに、該分類項目の具体データを抽象化して特性付ける抽象化特性を対応付けて記憶する抽象化特性テーブルに基づいて、該分類項目の該抽象化特性と類似度が所定以上である他のコンテンツの該分類項目の具体データを類推分類項目として取得する類推分類項目取得ステップと、前記選択候補抽出ステップによって前記選択候補として抽出されたコンテンツ、および、前記類推分類項目取得ステップによって取得された前記類推分類項目で特定されるコンテンツに、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する該コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性、該コンテンツの当日選択回数、該コンテンツに対する選択傾向、該コンテンツの目的、該コンテンツの特徴要因または属性的要因に基づいて優先度を付与する優先度付与ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツからユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の該分類項目で特定される該ユーザの行動を予測する行動予測装置であって、前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録手段と、前記選択履歴記録手段によって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出手段と、前記選択履歴と、前記周期性抽出手段によって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の前記分類項目を抽出する分類項目抽出手段と、前記分類項目抽出手段によって抽出された前記分類項目に、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する前記コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性または該コンテンツの当日選択回数に基づいて優先度を付与する優先度付与手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記分類項目抽出手段は、前記所定状況下では前記分類項目抽出手段によって抽出された前記分類項目に対応するコンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、該選択候補から分類項目を除外する分類項目除外手段をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツからユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の該分類項目で特定される該ユーザの行動を予測する行動予測方法であって、前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録ステップと、前記選択履歴記録ステップによって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出ステップと、前記選択履歴と、前記周期性抽出ステップによって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の前記分類項目を抽出する分類項目抽出ステップと、前記所定状況下では前記分類項目抽出ステップによって抽出された前記分類項目に対応するコンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、該選択候補から分類項目を除外する分類項目除外ステップと、前記分類項目抽出ステップによって抽出され、かつ、前記分類項目除外ステップによって前記選択候補から除外されなかった分類項目に、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する前記コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性、該コンテンツの当日選択回数、または、該コンテンツに対する選択傾向、該コンテンツの目的、該コンテンツの特徴要因または属性的要因に基づいて優先度を付与する優先度付与ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツの該分類項目の具体データの入力に基づいて、所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの分類項目の具体データを抽出して該ユーザに提示する分類項目内容推定装置であって、入力された前記分類項目の具体データに、該分類項目の具体データを抽象化して特性付ける抽象化特性を対応付けて記憶する抽象化特性テーブルに基づいて、該分類項目の該抽象化特性と類似度が所定以上である他のコンテンツの該分類項目の具体データを類推分類項目として取得する類推分類項目取得手段と、前記類推分類項目取得手段によって取得された他のコンテンツの分類項目の具体データで特定されるコンテンツに、前記ユーザに優先度順に提示するために、該コンテンツに対する選択傾向、該コンテンツの目的、該コンテンツの特徴要因または属性的要因に基づいて優先度を付与する優先度付与手段とを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記ユーザによって選択されたコンテンツの前記分類項目の具体データを記録する選択分類項目記録手段をさらに有し、前記選択分類項目記録手段に記録される前記分類項目の具体データを入力として、前記所定状況下で前記ユーザによって選択されうるコンテンツの分類項目の具体データを抽出して該ユーザに提示することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツの該分類項目の具体データの入力に基づいて、所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの分類項目の具体データを抽出して該ユーザに提示する分類項目内容推定方法であって、入力された前記分類項目の具体データに、該分類項目の具体データを抽象化して特性付ける抽象化特性を対応付けて記憶する抽象化特性テーブルに基づいて、該分類項目の該抽象化特性と類似度が所定以上である他のコンテンツの該分類項目の具体データを類推分類項目として取得する類推分類項目取得ステップと、前記類推分類項目取得ステップによって取得された他のコンテンツの分類項目の具体データで特定されるコンテンツに、前記ユーザに優先度順に提示するために、該コンテンツに対する選択傾向、該コンテンツの目的、該コンテンツの特徴要因または属性的要因に基づいて優先度を付与する優先度付与ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示することによって、ユーザは、コンテンツの選択操作を容易におこなうことが可能になるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、常識的には選択され得ないコンテンツを選択候補から予め除外することによって、ユーザは、真に選択可能性があるコンテンツのみからなるリストから選択操作を容易に行い、誤って意図しないコンテンツの選択をおこなうことを防止することが可能になるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、ユーザは、過去に選択されたコンテンツの分類項目の具体データから類推される他の分類項目に基づいて、類似するコンテンツまで選択可能対象を広げてコンテンツを選択することが可能になり、広い範囲からコンテンツを選択することが可能になるという効果を奏する。
【0023】
本発明によれば、過去のコンテンツ選択履歴と、推測条件とに基づいてユーザが選択し得るコンテンツを抽出して所定条件で優先度順に整列することによって、該コンテンツに対応してユーザが取る可能性が高い行動を推定することが可能になるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、常識的には選択し得ないコンテンツを選択候補から予め除外することによって、ユーザが取り得ない行動を予測することを防止することが可能になるという効果を奏する。
【0025】
本発明によれば、過去に選択されたコンテンツの分類項目の具体データから他の分類項目を類推するので、類似するコンテンツまで広げてコンテンツをリストからリストアップしてユーザに提示することが可能になるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、ユーザによって過去に選択されたコンテンツの分類項目の具体データを入力として、類似する分類項目を類推することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施例にかかるカーナビゲーション装置の処理の概略を示す図である。
【図2】図2は、推測条件の例を示す図である。
【図3】図3は、実施例にかかるカーナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、目的地コンテンツテーブルのテーブル例を示す図である。
【図5】図5は、ユーザプロファイルのテーブル例を示す図である。
【図6】図6は、行動履歴テーブルのテーブル例を示す図である。
【図7】図7は、行動習慣テーブルのテーブル例を示す図である。
【図8】図8は、一般常識データテーブルのテーブル例を示す図である。
【図9】図9は、当日選択履歴テーブルのテーブル例を示す図である。
【図10】図10は、ジャンル選択傾向テーブルのテーブル例を示す図である。
【図11】図11は、行動履歴テーブルから直近N件のレコードを抽出した一時テーブルの例を示す図である。
【図12】図12は、「特化フラグ」がオンとなる状況を示す図である。
【図13】図13は、ジャンル類推テーブルのテーブル例を示す図である。
【図14】図14は、属性値重み付けテーブルの例を示す図である。
【図15】図15は、優先度スコアの算出例を示す図である。
【図16】図16は、おすすめ情報テーブルの例を示す図である。
【図17】図17は、実施例のカーナビゲーション装置で実行される行動予測処理手順を示すフローチャートである。
【図18】図18は、実施例のカーナビゲーション装置で実行される嗜好推定処理手順を示すフローチャートである。
【図19】図19は、おすすめ情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照し、本発明のコンテンツ選択候補抽出装置、コンテンツ選択候補抽出方法、行動予測装置および行動予測方法にかかる実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、本発明にかかるコンテンツ選択候補抽出装置、コンテンツ選択候補抽出方法、行動予測装置および行動予測方法を、車両に搭載されるカーナビゲーション装置として示し、表示する目的地と該目的地に対応付けられた情報をコンテンツとして選択させるために、車両の運転者の目的地設定の行動を予測して選択されるであろうと予想される目的地を上位に位置付けた選択リストを表示する場合を示すこととする。
【0029】
しかし、本発明は、これに限られるものではない。すなわち、各種コンテンツ属性を有するコンテンツを、ユーザの選択傾向などに基づき、該ユーザが選択するであろうと予想されるコンテンツを上位に位置付けて選択リストを表示するコンテンツ選択リスト表示装置であれば、広く一般的な装置に適用可能である。なお、コンテンツ選択リスト表示装置は、一般的なコンテンツ提供装置と一体であってもよい。
【実施例】
【0030】
先ず、実施例にかかるカーナビゲーション装置の処理の概略について説明する。図1は、実施例にかかるカーナビゲーション装置の処理の概略を示す図である。なお、以下の実施例では、「行動」とは、ユーザが車両にて「目的地」に到達する行為のことを指す。同図に示すように、カーナビゲーション装置10は、「推測条件」を入力情報として、最終的に、カーナビゲーション装置10として推薦する目的地のリストである「おすすめ情報」を出力する。
【0031】
「推測条件」は、図2に示すように、“目的時間帯”、“日付(曜日を含む)”、“天候”、“当日の選択履歴”を含む。なお、これらの情報は、カーナビゲーション装置10のシステム内および/またはシステム外から自動的に取得されることとなる。しかし、“目的時間帯”、“日付(曜日を含む)”、“天候”は、図示しない入力装置を用いてユーザによって入力されることとしてもよい。
【0032】
“目的時間帯”とは、出力する「おすすめ情報」の属性の一つである“時間帯”を設定する情報である。時間帯は、カーナビゲーション装置10のシステム時刻に基づいて取得可能である。実施例では、“時間帯”として、例えば、「朝」、「午前」、「午後」、「夜」、「深夜」の5つがある。この5つの時間帯は、「朝」、「午前」、「午後」、「夜」、「深夜」の順序で昇順に順序付けられている。
【0033】
例えば、「朝」は、4:00〜9:00の時間帯であり、「午前」は、9:00〜12:00の時間帯であり、「午後」は、12:00〜18:00の時間帯であり、「夜」は、18:00〜23:00の時間帯であり、「深夜」は、23:00〜翌日4:00の時間帯であるとする。「おすすめ情報」は、その属性として、目的地として設定されるにふさわしい時間帯がある。例えば、「夜景がきれいなベイエリア」は、前述の時間帯では、それが目的地として選択されるにふさわしい時間帯は「夜」である。
【0034】
“日付(曜日を含む)”は、年月日およびその日の曜日を示す情報である。“日付(曜日を含む)”は、カーナビゲーション装置10のシステムカレンダに基づいて取得可能である。また、“天候”は、当日当該時刻における気象条件を示す情報であり、晴れ、雨、雪などの情報を含む。“天候”は、気象情報サービスを利用して外部から無線通信によって取得可能である。
【0035】
“当日の選択履歴”は、当日において選択された目的地の選択履歴である。“当日の選択履歴”は、後述するカーナビゲーション装置10の当日選択履歴テーブル12fから取得可能である。
【0036】
カーナビゲーション装置10は、これらの「推測条件」を入力として「予測エリア」および「予測ジャンル」を出力する「行動予測処理」をおこなう。「予測エリア」は、行動予測処理の結果として「おすすめ情報」に含める目的地が属するエリア情報である。「予測ジャンル」は、行動予測処理の結果として「おすすめ情報」に含める目的地が属するジャンル大分類およびジャンル小分類である。
【0037】
なお、「行動予測処理」をおこなう契機は、カーナビゲーション装置10の起動時もしくはユーザによって処理開始の指示がなされたときである。
【0038】
「行動予測処理」は、後述のユーザプロファイル12bに格納されるユーザの好みおよびユーザ属性に応じて、後述の行動履歴テーブル12cに格納される行動履歴と、後述の行動習慣テーブル12dに格納される、該行動履歴から統計可能な行動の特徴である行動習慣と、後述の一般常識データテーブル12eに格納される、「おすすめ情報」から除外する事由となる目的地の属性である一般常識とに基づいて、ユーザの行動(ニーズ)を予測する処理である。
【0039】
なお、行動履歴は、カーナビゲーション装置10にて選択され目的地設定されうるすべての目的地の情報を網羅して格納している後述の目的地コンテンツテーブル12aから、実際に目的地設定された目的地の情報の履歴である。
【0040】
次に、カーナビゲーション装置10は、後述のジャンル選択傾向テーブル12gに格納されるジャンル選択傾向(もしくは、行動予測処理結果である「予測ジャンル」)を入力として、「おすすめ情報」を出力する「嗜好推定処理」をおこなう。なお、ジャンル選択傾向テーブル12gに格納されるジャンル選択傾向は、行動履歴テーブル12cから所定処理を経て抽出された情報である。
【0041】
「嗜好推定処理」は、後述のユーザプロファイル12bに格納されるユーザの好みおよびユーザ属性に応じて、後述のジャンル選択傾向テーブル12gに格納されるジャンル選択傾向(もしくは、「行動予測処理」によって推定された「予測ジャンル」)と、後述のジャンル類推テーブル12iに格納される類推ジャンルとに基づいてユーザの目的地選択に関連する嗜好を予測する処理である。
【0042】
なお、「嗜好推定処理」をおこなう契機は、カーナビゲーション装置10の起動時もしくはユーザによって処理開始の指示がなされたときである。
【0043】
次に、実施例にかかるカーナビゲーション装置の構成について説明する。図3は、実施例にかかるカーナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図である。実施例にかかるカーナビゲーション装置10は、車両に搭載され、目的地設定の際に、選択される可能性が高い目的地の候補を抽出して表示する装置である。なお、コンテンツ選択候補抽出、行動予測、分類項目内推定をおこなう構成が、カーナビゲーション装置と連携可能であれば、別体の装置であってもよい。
【0044】
同図に示すように、実施例にかかるカーナビゲーション装置10は、制御部11と、記憶部12と、所定の表示画面を有するディスプレイ装置などの表示手段である表示部13とを有する。
【0045】
先ず、制御部11の説明に先立って、記憶部12について説明する。記憶部12は、揮発性または不揮発性の記憶手段であり、目的地コンテンツテーブル12aと、ユーザプロファイル12bと、行動履歴テーブル12cと、行動習慣テーブル12dと、一般常識データテーブル12eと、当日選択履歴テーブル12fと、ジャンル選択傾向テーブル12gと、属性重み付けテーブル12hと、ジャンル類推テーブル12iとを有する。
【0046】
目的地コンテンツテーブル12aは、目的地とそれに付随する情報を網羅して格納しているテーブルであり、予め用意されるテーブルである。図4に目的地コンテンツテーブル12aのテーブル例を示すように、「目的地」、「エリア情報」、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」、「チェーン店名」、「コンテンツホルダ」、「イベント情報」、「価格帯/料金」、「人気ランキング情報」、「雰囲気」などのカラムを有する。「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」、「チェーン店名」、「コンテンツホルダ」、「イベント情報」、「価格帯/料金」、「人気ランキング情報」、「雰囲気」を、ジャンル属性と呼ぶ。
【0047】
「目的地」は、カーナビゲーション装置10で目的地として設定される地図上のスポットである。「目的地」は、例えば、“A1レストラン”などの施設名が入る。「エリア情報」は、対応する「目的地」が属する地図上の領域名である。「エリア情報」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“a1エリア”が入る。
【0048】
「ジャンル大分類」は、対応する「目的地」で当該ユーザがおこなう行為である。「ジャンル大分類」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“食べる”が入る。「ジャンル小分類」は、対応する「目的地」が属するスポットとしてのカテゴリである。「ジャンル小分類」には、“ファミリーレストラン”、“ショッピングセンター”、“レジャー施設”、“役所”、“公園”などの施設の分類である。「ジャンル小分類」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“ファミリーレストラン”が入る。
【0049】
「チェーン店名」は、対応する「目的地」が店舗の場合に、属するチェーン店の名称である。「チェーン店名」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“Aレストランチャーン”が入る。なお、「目的地」が店舗でない場合は、“Null”が入る。
【0050】
「コンテンツホルダ」は、対応する「目的地」に関する詳細ガイド情報を提供する情報提供者の名称である。「コンテンツホルダ」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“X1社”が入る。
【0051】
「イベント情報」は、対応する「目的地」が利用可能な、もしくは利用に最適な期間(例えば、特別イベントなどが開催されている期間も含む)を指す情報である。「イベント情報」は、例えば、「目的地」が“C1遊園地”に対応して“6/1〜9/30”が入る。ここで、「イベント情報」が“6/1〜9/30”であるとは、“C1遊園地”が当該期間において利用可能である、当該期間において利用に最適である、もしくはイベントが開催されているという特徴を有していることを表している。なお、「イベント情報」が存在しない場合には、“Null”が入る。
【0052】
「価格帯/料金」は、対応する「目的地」を利用する場合に必要な経費または経費の概算値を指す情報である。「価格帯/料金」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“1000円”が入る。なお、「価格帯/料金」がない、すなわち利用が無料である場合には、“Null”が入る。
【0053】
「人気ランキング情報」は、対応する「目的地」に対して「コンテンツホルダ」によって付与された人気度を示す順位である。「人気ランキング情報」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“10位”が入る。
【0054】
「雰囲気」は、対応する「目的地」が持つ施設の雰囲気を示す情報である。「雰囲気」には、例えば、“落ち着く”、“静か”、“にぎやか”、“楽しい”などのムードを示す情報や、“若者向け”、“カップル向け”、“家族(子供)向け”、“シニア向け”などのターゲット世代を示す情報がある。「雰囲気」は、例えば、「目的地」が“A1レストラン”に対応して“にぎやか”が入る。
【0055】
ユーザプロファイル12bは、ユーザの好関する情報およびユーザの属性に関する情報を格納しているテーブルであり、必要な情報がプロファイル情報としてセットされて予め用意されているテーブルである。図5にユーザプロファイル12bのテーブル例を示すように、「好みのジャンル」、「休日設定」、「車種」、「ユーザ性別」、「ユーザ年齢」、「お気に入りコンテンツホルダ」などのカラムを有する。なお、「お気に入りコンテンツホルダ」は、「ユーザ性別」、「ユーザ年齢」などから推定されたものであってもよい。
【0056】
「好みのジャンル」の配下には、「ジャンル大分類」と「ジャンル小分類」とのカラムをさらに有する。「ジャンル大分類」および「ジャンル小分類」によって、ユーザがどのような行為をおこなうことを好み、その行為をどのような施設でおこなうことを好むかが特定される。例えば、図5を参照すると、「好みのジャンル」の配下に「ジャンル大分類」が“食べる”と、「ジャンル小分類」が“ファミリーレストラン”のエントリが存在するが、これによって、ユーザが“ファミリーレストラン”で“食べる”ことを好むという事実が特定されることとなる。
【0057】
なお、図5では、ユーザプロファイル12bに予め設定されるプロファイル情報は、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」、「休日設定」、「車種」、「ユーザ性別」、「ユーザ年齢」、「お気に入りコンテンツホルダ」のみとしたが、これらに限定されるものではない。すなわち、目的地コンテンツテーブル12aに格納されるカラムに基づき、「お気に入りチェーン店名」、「お気に入り出典元カテゴリ」、「お気に入りイベント情報」、「希望する価格帯/料金」、「希望する人気ランキング情報」、「希望する雰囲気」などを含めてもよい。これらのプロファイル情報は、目的地コンテンツテーブル12aの「チェーン店名」、「イベント情報」、「価格帯/料金」、「人気ランキング情報」、「雰囲気」にそれぞれ対応するプロファイル情報である。
【0058】
「休日設定」は、ユーザが特に“休日”とする曜日や日付を格納する。この設定によって、カーナビゲーション装置10は、土曜日、日曜日を休日として扱わず、設定されている曜日または日付を休日として扱って前述の「行動予測処理」をおこなうことになる。
【0059】
「車種」は、当該カーナビゲーション装置10が搭載されるユーザの車両の種別である。また、「ユーザ性別」は、当該車両のユーザの性別である。また、「ユーザ年齢」は、ユーザの実年齢またはユーザの世代を示す情報である。また、「お気に入りコンテンツホルダ」は、ユーザが目的地に関する情報を入手する際に頻繁に利用するコンテンツホルダを指す。
【0060】
行動履歴テーブル12cは、目的地コンテンツテーブル12aからユーザによって実際に目的地として設定されたエントリを、必要なカラムを抽出して格納したテーブルである。図6にテーブル例を示すように、行動履歴テーブル12cは、「日付」、「曜日」、「時刻」、「時間帯」、「目的地」、「エリア情報」、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」のカラムを有し、「日付」、「曜日」、「時刻」、「時間帯」の降順でレコードがソートされている。
【0061】
ここで、「日付」、「曜日」、「時刻」、「時間帯」は、当該目的地が目的地設定された日付、曜日、時刻、時間帯であり、「目的地」、「エリア情報」、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」は、目的地設定に応じて目的地コンテンツテーブル12aから抽出されるカラムである。このようにして、ある日付、曜日、時刻、時間帯に、ある目的地がカーナビゲーション装置10において目的地設定されると、対応する「目的地」、「エリア情報」、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」のカラムの情報が目的地コンテンツテーブル12aから抽出されて行動履歴テーブル12cに格納されることとなる。例えば、図6によると、2007/7/30、月曜日、12:00、昼に、目的地として“Aそば店”が目的地設定されたことになり、この“Aそば店”に対応する「エリア情報」、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」は、“aエリア”、“食べる”、“そば”である。
【0062】
行動習慣テーブル12dは、行動履歴テーブル12cに格納される情報に基づいて、ユーザの目的地設定に基づく行動履歴に、例えば全体の70%以上の頻度で潜在する周期性や選択の特徴を格納したテーブルである。図7に行動習慣テーブル12dのテーブル例を示すように、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」、「日の周期性」、「曜日の周期性」、「時間帯」、「1日の選択回数」のカラムを有する。
【0063】
図7を参照すると、例えば、行動履歴テーブル12cに格納される情報に基づくと、ユーザの目的地設定に基づく行動履歴は、「ジャンル大分類」が“食べる”、「ジャンル小分類」が“ファミリーレストラン”、「日の周期性」が“7日”、「曜日の周期性」が“日曜日”、「時間帯」が“夜”、「1日の選択回数」が“1回”のエントリが存在するが、これは、ユーザが“ファミリーレストラン”で“食べる”行為を、“7日”周期で、“日曜日”に、“夜”の時間帯で、1日に1回だけおこなう習慣性があるということを示している。なお、行動習慣テーブル12dにおいて、該当する周期性や特徴が存在しないカラムについては“Null”が格納される。
【0064】
一般常識データテーブル12eは、当該施設が利用され得ない状況を一般常識として規定するテーブルである。図8に一般常識データテーブル12eのテーブル例を示すように、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」、「時間帯に関する一般常識」、「天候に関する一般常識」のカラムを有する。「時間帯に関する一般常識」とは、当該「ジャンル大分類」および「ジャンル小分類」で特定される目的地としての施設が営業されていない時間帯もしくは窓口業務がおこなわれていない時間帯を示す情報である。この時間帯には、「朝」、「午前中」、「昼」、「午後」、「夕方」、「夜」、「深夜」の7区分がある。また、「天候に関する一般常識」は、当該「ジャンル小分類」で特定される目的地としての施設が利用され得ない天候を示す情報である。この天候には、「晴れ」、「曇り」、「雨」、「雪」の4区分がある。
【0065】
図8を参照すると、例えば、「ジャンル大分類」が“食べる”、「ジャンル小分類」が“ラーメン”である場合は、「朝」の区分のカラムに“×”が入っていることから、“朝は営業していない”ということが「時間帯に関する一般常識」である。この一般常識によって、たとえ当該「ジャンル大分類」および「ジャンル小分類」で特定される施設が、行動予測処理による予測結果として「予測エリア」および「予測ジャンル」によって得られたとしても、当該予測結果から除外されるので、常識上あり得ない予測結果が得られることを防止することができる。なお、一般常識データテーブル12eにおいて、該当する一般常識が存在しないカラムについては“Null”が格納される。
【0066】
当日選択履歴テーブル12fは、今日当日に、カーナビゲーション装置10において目的地設定された目的地とその関連情報を当日選択履歴として格納するテーブルである。図9に当日選択履歴テーブル12fのテーブル例を示すように、「目的地」、「ジャンル大分類」、「ジャンル小分類」のカラムを有する。これらは、今日当日にカーナビゲーション装置において目的地設定されたことによって、目的地コンテンツテーブル12aから抽出されたエントリのカラムである。
【0067】
図9を参照すると、例えば、「目的地」が“A1レストラン”、「ジャンル大分類」が“食べる”、「ジャンル小分類」が“ファミリーレストラン”のエントリは、“食べる”行為をおこなう“ファミリーレストラン”である“A1レストラン”が、今日当日に目的地設定されたことを示す。
【0068】
ジャンル選択傾向テーブル12gは、図10にそのテーブル例を示すように、例えば、行動履歴テーブル12cの直近のN(Nはある自然数)件のレコードの「集計単位」と、「ジャンル小分類」と、その「集計単位」および「ジャンル小分類」に対応する「重み合計」、「重み合計割合」、「傾き」、「傾き傾向」、「特化フラグ」のカラムを有するエントリを格納するテーブルである。行動履歴テーブル12cから直近のN件のレコードを抽出し、ジャンル選択傾向テーブル12gを生成する方法は、次の通りである。
【0069】
先ず、行動履歴テーブル12cから直近のN件のレコードを抽出する。これは、個人の選択傾向は、流行などに左右され、時間経過とともに変化することから、古いレコードを抽出しても無意味であり、より新しいレコードを抽出することによって、最近の流行を受けた個人の行動傾向が把握可能となるためである。
【0070】
例えば、図6に示した行動履歴テーブル12cの例から、直近8件のレコードを抽出した一時テーブルは、図11に示すようなものとなる。行動履歴テーブル12cから直近8件のレコードを抽出した一時テーブルは、所定の一時記憶領域に展開される。この一時テーブルは、「選択日付・時間帯」、「ジャンル小分類」、「重みベース値」、「重み値」のカラムを有する。
【0071】
この展開の際に、行動履歴テーブル12cの「曜日」は、例えば“月”〜“金”が“平日”へ変換され、“土”および“日”が“休日”へ変換される。この変換された“平日”および“休日”の区分は、「日付」、「時間帯」の情報とともにマージされ、一時テーブルにおいて「選択日付・時間帯」の項目に含まれることとなる。
【0072】
「重みベース値」は、直近のレコードに対して最大値P(正数)の値を付与し、次に新しいレコードに対して刻み値Q(正数)だけPから減算した値を付与する。このようにして、全ての抽出レコードに対して刻み値QだけPから順次減算していった値を付与することとなる。なお、すべてのレコードに付与する値が正数であるように、PおよびQは、チューニングされうる数値であって、また、Nに依存して変更可能な数値である。
【0073】
図11の例によると、「選択日付・時間帯」が“2007/7/30”のレコードには、重みベース値“2”が付与され、その他のレコードに対して直近順序で、刻み値を“0.1”として、重みベース値“1.9”、“1.8”、・・・、“1.3”がそれぞれ付与される。そして、この「重みベース値」を自乗することによって「重み値」が得られる。このようにして「重み値」を算出することによって、直近の選択傾向をより際立たせることになる。
【0074】
そして、「重み値」までが算出されたレコードを、所定の集計単位で集計して「重み値」の合計(「重み合計」)を算出し、この結果を図10のジャンル選択傾向テーブル12gに格納する。選択傾向は、例えば“食べる”という「ジャンル小分類」では、“朝”、“昼”、“夜”といったシーンでその傾向が変化することが予想できる。また、“遊ぶ” という「ジャンル小分類」では、“平日/休日”で傾向が変化することが予想できる。このように、「ジャンル小分類」の内容により、傾向の変化が予想できる集計単位ごとに選択傾向を集計する。
【0075】
次に、「重み合計」の最大値に対する各「重み合計」の割合(「重み合計割合」)を算出し、この結果を図10のジャンル選択傾向テーブル12gに格納する。図10を参照すると、「重み合計」の最大値は“10.5”であるので、各「重み合計」“2.25”、“9.45”、“10.5”それぞれを“10.5”で割って100を掛けた値“21.43%”、“90.00”、“100.00%”を、対応する「重み合計割合」のカラムへと格納する。
【0076】
以上で、集計単位別の選択傾向の把握ができた。しかし、一般に、選択傾向を把握する場合に、特化して選択する傾向に着目する必要がある。例えば、複数のおすすめ候補があり、各候補がさまざまな属性を備えていた場合に、そのなかで特化して選択される属性を備えている候補があったとき、他の属性が選択傾向に沿っていなくとも、特化した属性に着目しておすすめ候補としてよい場合がある。
【0077】
このような特化した属性を抽出するために、次の処理をおこなう。すなわち、先ず、図10のジャンル選択傾向テーブル12gの各レコードを、「重み合計」の昇順でソートする。そして、「重み合計」の最大値から最小値へ向かって、1レコード前の「重み合計」との差分を取る。これを「傾き」として、ジャンル選択傾向テーブル12gに格納する。例えば、「集計単位」が“平日 昼”であって、「ジャンル小分類」が“そば”であるレコードの「傾き」は、当該レコードの「重み合計」“10.5”から、1レコード前の「重み合計」“9.45”を差し引いた“1.05”である。
【0078】
そして、ジャンル選択傾向テーブル12gにおいて、「重み合計」の最大値に対する各「傾き」の割合(「傾き傾向」)を次式に基づき算出し、算出結果をそれぞれのレコードの「傾き傾向」のカラムに格納する。
【0079】
【数1】

【0080】
そして、ジャンル選択傾向テーブル12gにおいて、「重み合計」の最小値から最大値へ向かって、順次「傾き傾向」が“特化傾向”T%以上であるか否かを判定する。なお、このTは、チューニングパラメータである。そして、「傾き傾向」が特化傾向T以上であるレコードが存在した場合には、以降のレコードの「特化フラグ」を全てオンにする。
【0081】
このように「特化フラグ」がオンとなる状況は、図12に示すようなものである。すなわち、ジャンル選択傾向テーブル12gが図10に示すようなものであった場合に、Tを40%とする。先ず、“初期値”の「傾き傾向」“0%”から“平日 昼”かつ“うどん”のレコードの「傾き傾向」“21.4%”へと変化する。“21.4%”はT未満であるので、“平日 昼”かつ“うどん”は、“特化傾向はない”とされる。
【0082】
次に、“平日 昼”かつ“うどん”の「傾き傾向」“21.4%”から“平日 昼”かつ“ラーメン”のレコードの「傾き傾向」“68.6%”へと変化する。“68.6%”はT以上であるので、“平日 昼”かつ“ラーメン”は、“特化傾向がある”とされ、「特化フラグ」がオンにされる。そして、このレコード以降の全てのレコードは、“特化傾向がある”とされ、「特化フラグ」がオンにされる。すなわち、“ラーメン”および“そば”が、特化した属性である。
【0083】
なお、行動履歴テーブル12cの直近のN件のレコードに絞って抽出することによって、特化した属性を確実に抽出することが可能になる。
【0084】
次に、ジャンル選択傾向テーブル12gに格納される「ジャンル小分類」に基づくジャンル類推処理によって、他の「ジャンル小分類」を類推し、「ジャンル小分類」の範囲を拡張することができる。
【0085】
図13に示すように、ジャンル類推テーブル12iは、「ジャンル小分類」に少なくとも一つの「抽象化特性」が対応付けられているテーブルである。そして、ジャンル類推処理によって、「抽象化特性」の類似度が所定以上(例えば、70%以上の類似度)であると判定される場合に、逆引きで「ジャンル小分類」を取得可能とするテーブルである。図13にジャンル類推テーブル12iのテーブル例を示すように、「ジャンル小分類」、「抽象化特性」のカラムを有する。「抽象化特性」は、「ジャンル小分類」にエントリされる情報の抽象的な特性であり、例えば、「食材」、「味」、「ボリューム感」などがある。
【0086】
具体的には、図13を参照すると、「ジャンル小分類」が“焼肉”の場合、「抽象化特性」は、「食材」が“肉”、「味」が“こってり味”、「ボリューム感」が“ボリューム感あり”、・・・である。以下では「ジャンル小分類」が“焼肉”を“類推元ジャンル”とし、この“類推元ジャンル”によって類推される「ジャンル小分類」を“類推ジャンル”として説明する。
【0087】
先ず、「食材」のカラムのエントリを全て検索すると、例えば、「ジャンル小分類」が“ステーキ”の「食材」が“牛肉”であるので、例えば70%以上の類似性ありと判定され、その類似度に応じたスコアが付与される。
【0088】
次に、「味」のカラムのエントリを全て検索すると、例えば、「ジャンル小分類」が“ステーキ”の「味」が“こってり味”であるので、類似性ありと判定され、その類似度に応じたスコアが付与される(なお、この場合は両者の「味」は一致しているので、類似度は100%である)。
【0089】
次に、「ボリューム感」のカラムのエントリを全て検索すると、例えば、「ジャンル小分類」が“ステーキ”の「ボリューム感」が“ボリューム感あり”であるので、類似性ありと判定され、その類似度に応じたスコアが付与される(なお、この場合も両者の「ボリューム感」は一致しているので、類似度は100%である)。
【0090】
このようにして全ての「抽象化特性」について全てのカラムの全てのエントリを検索して類似度に応じたスコアを総計した結果が所定以上(例えば、70%以上の類似度)である「ジャンル小分類」のエントリが、“類推元ジャンル”によって類推される“類推ジャンル”となる。最終的に、このようにして類推された“類推ジャンル”をジャンル選択傾向テーブル12gへ追加する。図13のジャンル類推テーブル12iによれば、「ジャンル小分類」が“ラーメン”、“うどん”、“そば”である場合には、“スパゲティ”が類推され、追加されることとなる。この“類推ジャンル”が追加されたジャンル選択傾向テーブル12g内のレコードを、所定の方法に従って順位付けすることになる。
【0091】
図14は、ある「ジャンル大分類」における属性値の重み付けテーブルの例である。属性値重み付けテーブル12hは、図14に示すように、「属性」、「ベース得点」、「特化傾向重み」、「特化傾向T」のカラムを有する。属性値重み付けテーブル12hは、例えば、「ジャンル大分類」が“食べる”である場合の各属性(「ジャンル小分類」、「チェーン店名」、「コンテンツホルダ」、「イベント情報」、「雰囲気」)を、前述の“特化傾向”の有無に従って重み付け、順位付けするための情報を格納するテーブル例である。
【0092】
「ベース得点」は、ジャンル選択傾向テーブル12g内のレコードを各属性値に基づいて順位付けする際にベースとなる点数である。「ジャンル小分類」および「チェーン店名」の「ベース得点」は“200”点である。また、「コンテンツホルダ」および「雰囲気」の「ベース得点」は“100”点である。また、「イベント情報」の「ベース得点」は“150”点である。
【0093】
「特化傾向重み」は、ジャンル選択傾向テーブル12g内のレコードを各属性値に基づいて順位付けする際に、“特化傾向”がある属性である場合に、ベース得点に乗じる乗数である。「ジャンル小分類」、「チェーン店名」および「雰囲気」の「特化傾向重み」は“1.4”である。また、「コンテンツホルダ」および「イベント情報」の「特化傾向重み」は“1.2”である。
【0094】
「特化傾向T」は、ジャンル選択傾向テーブル12g内の各レコードのそれぞれの属性に“特化傾向”があるか否かを判定するための閾値である。「ジャンル小分類」、「チェーン店名」、「コンテンツホルダ」、「イベント情報」および「雰囲気」の「特化傾向T」は、全て“40”%である。
【0095】
ここで、“類推ジャンル”が追加されたジャンル選択傾向テーブル12g内のレコードに対して属性値重み付けテーブル12hの情報を適用し、“特化傾向”の有無に従って重み付け、順位付けをおこなうと、図15に示すようになる。この処理に先立ち、候補となる「ジャンル小分類」の属性値が、選択傾向の属性値と一致するか否かを判定する。このとき、前述の“推測条件”と一致する「集計単位」であるレコードをチェック対象とする。
【0096】
例えば、図15に示すように、「ジャンル小分類」が“ラーメン”である場合には、(a)ベース得点が200点であり、(b)重み合計割合が90.00%であることから、(a)×(b)を計算することにより、(c)180.00が算出される。
【0097】
さらに、「ジャンル小分類」が“ラーメン”の場合には、図10のジャンル選択傾向テーブル12gを参照すると、「特化フラグ」が“1”(オン)であることから、この(c)180.00に(d)特化傾向重み1.4を乗じることによって、最終的に(e)優先度スコア=252.00が算出される。同様にして、「ジャンル小分類」が“うどん”、“スパゲティ”、“そば”も、それぞれの「ベース得点」、「重み合計割合」、「特化傾向の有無」に基づいて優先度スコアが算出される。
【0098】
また、「ジャンル小分類」が“うどん”である場合には、(a)ベース得点が200点であり、(b)重み合計割合が21.43%であることから、(a)×(b)を計算することにより、(c)42.86が算出される。さらに、「ジャンル小分類」が“うどん”の場合には、図10のジャンル選択傾向テーブル12gを参照すると、「特化フラグ」が“0”(オフ)であることから、この(c)42.86に(d)特化傾向重み1.0を乗じることによって、最終的に(e)優先度スコア=42.86が算出される。
【0099】
また、「ジャンル小分類」が“スパゲティ”である場合には、(a)ベース得点が200点であり、(b)重み合計割合が0.000%であることから、(a)×(b)を計算することにより、(c)0.00が算出される。さらに、「ジャンル小分類」が“スパゲティ”の場合には、図10のジャンル選択傾向テーブル12gを参照すると、対応するレコードがないことから「特化フラグ」が“0”(オフ)であるとみなし、この(c)0.00に(d)特化傾向重み1.0を乗じることによって、最終的に(e)優先度スコア=0.00が算出される。
【0100】
なお、優先度スコアは、原則、ジャンル属性ごとに付与された得点の合計値とする。ただし、1つの属性に複数の値が実装される場合には、その複数の値に対する優先度スコアの中で最も値が大きいものを優先度スコアとする。
【0101】
また、優先度スコアの算出には、属性値重み付けテーブル12hの「ベース得点」および「特化傾向重み」が大きく寄与する。これらは選択傾向の「集計単位」および対象となる「ジャンル属性」によって変化すると考えられる。「集計単位」は、選択傾向を「集計単位」で集計することにより考慮されている。しかし、全ての「ジャンル属性」ごとに優先度スコアを算出していては、煩雑である。このため、「ジャンル属性」を、「グループA(好み・目的)」(「ジャンル小分類」、「チェーン店名」)、「グループB(特徴的要因)」(「コンテンツホルダ」、「イベント有無」)、「グループC(属性的要因)」(「雰囲気」)の3つに絞ってグルーピングし、これらのグループごとに優先度スコアを算出することによって、効率的な処理を行うことが可能になる。優先度スコアによって、おすすめ情報の表示順序が決定される。
【0102】
すなわち、以上では、「ジャンル小分類」に基づいてジャンル選択傾向を把握し、ジャンルを類推し、これらジャンルの優先度スコアに基づいて優先度付けして、お勧め情報として提示する場合を示したが、これに限らず、「チェーン店名」、「コンテンツホルダ(出典元)」、「イベント情報」、「雰囲気」についても同様に処理可能である。換言すれば、「ジャンル小分類」、「チェーン店名」、「コンテンツホルダ」、「イベント情報」、「雰囲気」のジャンル属性のみについて選択傾向を把握できれば、具体的なおすすめ情報としてユーザに提示可能である。
【0103】
このようにして順序付けられたおすすめ情報は、図16に示すようなものになる。図16は、「ジャンル小分類」に基づいて生成されたおすすめ情報テーブルの例を示す図である。おすすめ情報テーブルは、所定の一時記憶領域に展開される。図16のおすすめ情報テーブルは、「ジャンル大分類」が“食べる”の場合のテーブルである。
【0104】
図16に示すように、おすすめ情報テーブルは、「グループA(好み・目的)」(「ジャンル小分類」、「チェーン店名」)と、「グループB(特徴的要因)」(「コンテンツホルダ」、「イベント情報」)と、「グループC(属性的要因)」(「雰囲気」)と、「優先スコア」とのカラムを有する。「ジャンル小分類」の“ラーメン”、“そば”、“うどん”、“スパゲティ”が各「優先度スコア」の降順でソートされている。そして、それぞれに対応する「チェーン店名」、「コンテンツホルダ」、「イベント有無」、「雰囲気」のジャンル属性の属性値が格納されている。
【0105】
ここで再び図3に戻り、制御部11について説明する。制御部11は、カーナビゲーション装置10の全体制御をつかさどる装置であり、特に実施例と関連する構成要素としては、行動履歴登録部11aと、行動習慣抽出処理部11bと、行動予測処理部11cと、ジャンル選択傾向抽出処理部11dと、ジャンル類推処理部11eと、嗜好推定処理部11fと、選択リスト表示制御部11gとを有する。
【0106】
行動履歴登録部11aは、ユーザによって、カーナビゲーション装置10において目的地設定された「目的地」に対応する情報を、目的地コンテンツテーブル12aから抽出し、行動履歴として該目的地とともに行動履歴テーブル12cに登録する処理をおこなう。
【0107】
行動習慣抽出処理部11bは、先ず、(1)行動履歴テーブル12cに登録されて格納されている行動履歴に基づいて、例えば全体の70%以上の頻度で行動履歴に潜在する「日の周期性」、「曜日の周期性」、「時間帯」を抽出する処理をおこなう。
【0108】
次に、行動予測処理部11cは、(2)行動履歴テーブル12cから、全体の70%の頻度で選択されている曜日に該当するエントリを抽出し、その抽出結果を一般常識データテーブル12eに格納される一般常識に基づいてスクリーニングして最下位の優先度“10”を付与する。さらに、行動予測処理部11cは、(3)行動習慣テーブル12dに格納されている周期性や特徴に応じて前述の抽出結果それぞれに優先度“1”、“3”、“4”、“7”を付与する。
【0109】
そして、行動予測処理部11cは、(4)当日選択履歴テーブル12fに格納される当日選択履歴に基づいて、同一の「ジャンル大分類」および「ジャンル小分類」のエントリ数が行動履歴テーブル12cの「1日の選択回数」と同一の値である場合、すなわち行動履歴が示す1日の選択回数に達している場合に、当該「ジャンル大分類」および「ジャンル小分類」のエントリに優先度“8”を付与する。
【0110】
そして、行動予測処理部11cは、前述の抽出結果のうち、上記(1)〜(4)の処理で優先度を付与されていないものに対して、優先度“5”を付与する。最後に、行動予測処理部11cは、前述の抽出結果を、それぞれに付与された優先度の昇順、「時間帯」の昇順、頻度の降順でソートする。
【0111】
ジャンル選択傾向抽出処理部11dは、行動履歴テーブル12cから、例えば直近N件のレコードの「ジャンル小分類」のエントリを、「日付」、「時刻」、「曜日」、「時間帯」とともに抽出し、「日付」、「時刻」、「曜日」、「時間帯」を「選択日付・時間帯」として、各レコードに「重みベース値」、「重み値」を付与する。
【0112】
そして、この「選択日付・時間帯」の「平日/休日の別」および「時間帯」を「集計単位」とし、この「集計単位」および「ジャンル小分類」に基づいて「重み値」を集計し、ジャンル選択傾向テーブル12gに登録する。また、集計された各レコードに、集計された「重み値」である「重み合計」、「重み合計割合」、「傾き」、「傾き傾向」、「特化フラグ」をそれぞれ付与する。
【0113】
ジャンル類推処理部11eは、ジャンル選択傾向テーブル12gに登録され格納されているエントリの「ジャンル小分類」、またはユーザによって入力された「ジャンル小分類」に基づき、「ジャンル小分類」に少なくとも一つの「抽象化特性」が対応付けられているジャンル類推テーブル12iを参照して、「抽象化特性」の類似度が所定以上(例えば、70%以上の類似度)であると判定される場合に、逆引きで「ジャンル小分類」を取得することによって、類推元ジャンル小分類から類推される類推ジャンル小分類を取得する。
【0114】
なお、ジャンル類推テーブル12iの「抽象化特性」は、ユーザによって頻繁に(例えば、70%以上の割合で)選択される「ジャンル小分類」を学習し、この「ジャンル小分類」に対して、ユーザが頻繁に(例えば、70%以上の割合で)選択する「抽象化特性」を学習することとしてもよい。このようにして、後段の嗜好推定処理において処理対象となる「ジャンル小分類」の範囲を拡大することができる。
【0115】
嗜好推定処理部11fは、ジャンル類推処理部11eによって拡大された「ジャンル小分類」を、属性値重み付けテーブル12hを参照して取得される「ベース得点」、「特化傾向重み」、「特化傾向T」に基づいて算出される優先度スコアに基づいて順序付けする。この際、目的地コンテンツテーブル12aから取得された「目的地」を、「好み・目的」、「特徴的要因」、「属性的要因」に基づいてスコアリングする。そして、嗜好推定処理部11fは、スコアリングの降順で、「ジャンル小分類」をソートする。
【0116】
選択リスト表示制御部11gは、嗜好推定処理部11fによってスコアリングの降順でソートされた「ジャンル小分類」を、目的地コンテンツテーブル12aにおいて当該「目的地」に対応する各種情報とともに表示部13に表示するように表示制御する。
【0117】
次に、実施例のカーナビゲーション装置で実行される行動予測処理について説明する。図17は、実施例のカーナビゲーション装置10で実行される行動予測処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、カーナビゲーション装置10の行動予測処理部11cは、「推測条件」の曜日に基づいて、行動履歴から当該曜日で頻度が高い候補を抽出する(ステップS101)。ステップS101によって抽出された候補を、以下、「抽出候補」と呼ぶ。
【0118】
なお、ステップS101では、休日か否かの条件では抽出はおこなわない。これは、休日か否かの傾向は、曜日の傾向で把握可能であるためである。なお、祝祭日はユーザプロファイル12bにて抽出条件とするか否かが設定可能であるが、ユーザプロファイル12bに設定がなければ、ユーザプロファイル12bで休日と設定されている曜日を休日とする。
【0119】
また、ステップS101で、行動履歴から当該曜日で頻度が高い候補を抽出することが不可能でれば、曜日は無視し、平日/休日の区別で頻度が高い候補を所定件数だけ抽出することとしてもよい。
【0120】
続いて、行動予測処理部11cは、行動履歴テーブル12cに格納される行動履歴と、
一般常識データテーブル12eに格納される一般常識とに基づいて、ステップS101で抽出された抽出候補のうち、当該時間帯に選択され得ない候補に、優先度“10”を設定する(ステップS102)。
【0121】
すなわち、一般常識で「推測条件」の時間帯では“選択しない”と指定されており、かつ、行動履歴で当該時間帯では実際に選択されていなかった抽出候補の優先順位を下げる。なお、一般常識でその時間帯では“選択しない”と指定されていない抽出候補は、当該時間帯で選択される可能性があるので、行動履歴でその時間帯に選択されたことがないだけで優先順位を下げることは問題があるため、条件を“かつ”とする。
【0122】
続いて、行動予測処理部11cは、「推測条件」の“天候”に基づいて、当日の天候により選択される可能性が低い抽出候補に、優先度“7”を設定する(ステップS103)。例えば、「推測条件」が“雨”で、一般常識で雨の場合“選択しない”とされており、かつ行動履歴で“雨”で実際に選択していない抽出候補の優先順位を下げる。なお、一般常識でその時間帯では“選択しない”と指定されていない抽出候補は、当該天候で選択される可能性があるので、行動履歴でその天候で選択されたことがないだけで優先順位を下げることは問題が有るため、条件を“かつ”とする。
【0123】
続いて、行動予測処理部11cは、「推測条件」の“曜日”および“時間帯”に基づいて、当該「推測条件」に一致する“曜日”および“時間帯”において選択頻度が所定以上(例えば、70%以上)の抽出候補に、優先度“1”を設定する(ステップS104)。これは、「推測条件」の“曜日”と“時間帯”とで選択頻度が例えば70%以上のものは、選択される可能性が非常に高いものといい得るからである。
【0124】
続いて、行動予測処理部11cは、「推測条件」の“曜日”および“時間帯”に基づいて、当該推測条件に一致する“曜日”および“時間帯”において選択頻度が所定以上の候補のうち、時間帯が1単位経過しても選択されなかった候補に、優先度“2”を設定し、時間帯が2単位以上経過しても選択されなかった抽出候補に、優先度“10”を設定する(ステップS105)。ここで、“時間帯”の1単位とは、「朝」、「午前」、「午後」、「夜」、「深夜」、「朝」、・・・の順序で経過していく各時間帯をいう。
【0125】
ここで、“曜日”と“時間帯”に特化している抽出候補は、時間帯が経過してしまえば選択する可能性がかなり落ちるものと推定できる。当日の選択履歴で、既に選択済という条件で落とすこともできるが、実装を考慮した場合、実際に選択したという事象を把握できない可能性があるため、習慣的であるにもかかわらず時間帯が経過してしまった抽出条件は優先順位を下げるとした。
【0126】
続いて、行動予測処理部11cは、周期性に基づき選択される可能性があり、かつ、“時間帯”において選択頻度が所定以上(例えば、70%以上)の抽出候補に、優先度“3”を設定する(ステップS106)。なお、“日の周期性”があり、かつ、“時間帯”で特化している抽出条件は、優先度が高いと考えられるが、“曜日”で特化しているものに比べると若干優先度が落ちるためである。
【0127】
続いて、行動予測処理部11cは、周期性に基づき選択される可能性があるが、“時間帯”において選択頻度が所定未満(例えば、70%未満)の抽出候補に、優先度“4”を設定する(ステップS107)。すなわち、“日の周期性”があるということは、当日選択される可能性が高いものであるが、“時間帯”がまちまちなため、優先度“4”とすることとした。これは、“日の周期性”がある抽出候補は、“曜日”で抽出したものよりは優先度が高いと想定できるためである。“毎週末、スーパーマーケットへ行っている”、“3週間に1回、週末につりに行っているが、今日はその3週間に1回の日である”などが例である。
【0128】
続いて、行動予測処理部11cは、1日のうちに所定回数選択される可能性があるが、すでに当該所定回数選択済みの抽出候補に優先度“8”を設定する(ステップS108)。具体的には、当日選択履歴テーブル12fに基づいて、抽出候補ごとに、1日の最大選択回数の頻度を集計する。この集計結果より1日の最大選択回数の頻度が70%以上である回数を、“特化した回数”とする。そして、当日の選択履歴より、その特化した回数以上選択済みのものを抽出候補から除外する。
【0129】
続いて、行動予測処理部11cは、優先度が設定されていない抽出候補に、優先度“5”を設定する(ステップS109)。続いて、行動予測処理部11cは、優先度の昇順、時間帯の昇順、頻度の昇順で抽出候補をソートする(ステップS110)。
【0130】
これらの処理をおこなうことによって、抽出候補に基づいて、該抽出候補が含む「エリア情報」によって「予測エリア」を、「ジャンル大分類」および「ジャンル小分類」によって「予測ジャンル」を推測することが可能になる。このようにして推測された「予測エリア」および「予測ジャンル」を、表示部13の表示画面に一覧表示することとしてもよい。
【0131】
次に、実施例のカーナビゲーション装置で実行される嗜好推定処理について説明する。図18は、実施例のカーナビゲーション装置10で実行される嗜好推定処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、カーナビゲーション装置10の嗜好推定処理部11fは、行動履歴テーブル12cから直近N件のレコードを抽出する(ステップS201)。
【0132】
続いて、嗜好推定処理部11fは、抽出された行動履歴に重み値を付与する(ステップS202)。続いて、嗜好推定処理部11fは、曜日、時間帯およびジャンル小分類ごとに重み値の合計である重み合計を集計して、集約された選択傾向を求める(ステップS203)。続いて、嗜好推定処理部11fは、集計単位ごとに重み合計の割合を算出する(ステップS204)。
【0133】
続いて、嗜好推定処理部11fは、集計単位を重み合計の昇順でソートし、連続する2つ重み合計の差分を、傾きとして算出する(ステップS205)。続いて、嗜好推定処理部11fは、集計単位ごとに重みの最大値に対する各傾きの割合を傾き傾向として算出する(ステップS206)。
【0134】
続いて、嗜好推定処理部11fは、傾き傾向が特化傾向T以上であるレコードの特化フラグをオンにする(ステップS207)。続いて、嗜好推定処理部11fは、抽象化特性に基づきジャンル小分類を類推する(ステップS208)。続いて、嗜好推定処理部11fは、類推されたジャンル小分類を集約された選択傾向に追加する(ステップS209)。
【0135】
続いて、嗜好推定処理部11fは、選択傾向の属性ごとに、ベース得点と、重み合計割合と、特化傾向重みとの積(優先度スコア)を算出する(ステップS210)。続いて、積(優先度スコア)の降順に選択履歴をソートし、必要な属性値を付加しておすすめ表示する(ステップS211)。
【0136】
なお、図19は、行動予測処理および嗜好推定処理を経た処理結果である「おすすめ情報」の表示例である。同図に示すように、「おすすめ情報」は、表示部13の表示画面13aに、ユーザが容易に選択可能に、該ユーザが「推測条件」および「ジャンル選択傾向」に基づいて選択する可能性が高い順に「目的地」を表示制御することによって、選択候補のリストが得られる。このようにして、ユーザは、自身が所望する「目的地」を、手作業で1から設定せずとも、1回の操作で選択することが可能になる。
【0137】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施例で実施されてもよいものである。また、実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0138】
また、上記実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0139】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0140】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、カーナビゲーション装置などのコンテンツ提供装置においてコンテンツの選択候補をユーザに提示する場合に、簡易な構成でユーザの行動をより正確に推測し、かつ、ユーザに提示されるユーザ行動や目的地などの選択候補にバリエーションを持たせてユーザの選択の可能性を広げることを可能としたい場合に有用である。
【符号の説明】
【0142】
10 カーナビゲーション装置
11 制御部
11a 行動履歴登録部
11b 行動習慣抽出処理部
11c 行動予測処理部
11d ジャンル選択傾向抽出処理部
11e ジャンル類推処理部
11f 嗜好推定処理部
11g 選択リスト表示制御部
12 記憶部
12a 目的地コンテンツテーブル
12b ユーザプロファイル
12c 行動履歴テーブル
12d 行動習慣テーブル
12e 一般常識データテーブル
12f 当日選択履歴テーブル
12g ジャンル選択傾向テーブル
12h 属性値重み付けテーブル
12i ジャンル類推テーブル
13 表示部
13a 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツから所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示するコンテンツ選択候補抽出装置であって、
前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録手段と、
前記選択履歴記録手段によって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出手段と、
前記選択履歴と、前記周期性抽出手段によって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出する選択候補抽出手段と、
前記所定状況下では前記コンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、前記選択候補抽出手段によって抽出された選択候補からコンテンツを除外する選択候補除外手段と、
前記選択候補抽出手段によって前記選択候補として抽出され、かつ、前記選択候補除外手段によって前記選択候補から除外されなかったコンテンツに、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する該コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性または該コンテンツの当日選択回数に基づいて優先度を付与する優先度付与手段と
を有することを特徴とするコンテンツ選択候補抽出装置。
【請求項2】
入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツから所定状況下でユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出して該ユーザに提示するコンテンツ選択候補抽出方法であって、
前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録ステップと、
前記選択履歴記録ステップによって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出ステップと、
前記選択履歴と、前記周期性抽出ステップによって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補を抽出する選択候補抽出ステップと、
前記所定状況下では前記コンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、前記選択候補抽出ステップによって抽出された該選択候補からコンテンツを除外する選択候補除外ステップと、
前記選択候補抽出ステップによって前記選択候補として抽出されたコンテンツの前記分類項目の具体データに、該分類項目の具体データを抽象化して特性付ける抽象化特性を対応付けて記憶する抽象化特性テーブルに基づいて、該分類項目の該抽象化特性と類似度が所定以上である他のコンテンツの該分類項目の具体データを類推分類項目として取得する類推分類項目取得ステップと、
前記選択候補抽出ステップによって前記選択候補として抽出されたコンテンツ、および、前記類推分類項目取得ステップによって取得された前記類推分類項目で特定されるコンテンツに、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する該コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性、該コンテンツの当日選択回数、該コンテンツに対する選択傾向、該コンテンツの目的、該コンテンツの特徴要因または属性的要因に基づいて優先度を付与する優先度付与ステップと
を含むことを特徴とするコンテンツ選択候補抽出方法。
【請求項3】
入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツからユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の該分類項目で特定される該ユーザの行動を予測する行動予測装置であって、
前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録手段と、
前記選択履歴記録手段によって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出手段と、
前記選択履歴と、前記周期性抽出手段によって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の前記分類項目を抽出する分類項目抽出手段と、
前記所定状況下では前記分類項目抽出手段によって抽出された前記分類項目に対応するコンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、該選択候補から分類項目を除外する分類項目除外手段と、
前記分類項目抽出手段によって抽出され、かつ、前記分類項目除外手段によって前記選択候補から除外されなかった分類項目に、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する前記コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性または該コンテンツの当日選択回数に基づいて優先度を付与する優先度付与手段と
を有することを特徴とする行動予測装置。
【請求項4】
入力された推測条件に基づいて、少なくとも一つの分類項目によって分類可能なコンテンツからユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の該分類項目で特定される該ユーザの行動を予測する行動予測方法であって、
前記ユーザによって選択されたコンテンツの選択履歴を記録する選択履歴記録ステップと、
前記選択履歴記録ステップによって記録された前記選択履歴に基づいて、前記ユーザによる前記コンテンツの選択行為に潜在する周期性を抽出する周期性抽出ステップと、
前記選択履歴と、前記周期性抽出ステップによって抽出された前記周期性とに基づいて、前記ユーザによって選択されうるコンテンツの選択候補の前記分類項目を抽出する分類項目抽出ステップと、
前記所定状況下では前記分類項目抽出ステップによって抽出された前記分類項目に対応するコンテンツが常識的に前記選択候補とはなり得ない状況を規定する常識条件に基づいて、該選択候補から分類項目を除外する分類項目除外ステップと、
前記分類項目抽出ステップによって抽出され、かつ、前記分類項目除外ステップによって前記選択候補から除外されなかった分類項目に、前記ユーザに優先度順に提示するために、前記推測条件に対する前記コンテンツの分類項目の具体データの一致性、前記周期性、該コンテンツの当日選択回数、または、該コンテンツに対する選択傾向、該コンテンツの目的、該コンテンツの特徴要因または属性的要因に基づいて優先度を付与する優先度付与ステップと
を含むことを特徴とする行動予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−146101(P2012−146101A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3487(P2011−3487)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2007−313351(P2007−313351)の分割
【原出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】