説明

コンバインの穀粒排出装置

【課題】穀粒排出装置の縦オーガ後方に空き空間を確保する。
【解決手段】グレンタンク14内の穀粒を排出コンベアから受け継ぎ、機外へ排出する縦オーガ23と横オーガとを備え、該縦オーガ23を機体フレーム上に旋回可能に支持したコンバインの穀粒排出装置20において、前記縦オーガ23下部とグレンタンク14下部とを連結する連結部材24を機体フレームに固設して、該連結部材24に縦オーガ23を旋回可能に支持し、該連結部材24に縦オーガ旋回用の駆動機構30を設け、該駆動機構30を機体側方側に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンク内に貯溜した穀粒を機外に排出するコンバインの穀粒排出装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンバインにおいては、グレンタンク内に貯溜された穀粒を機外に排出するために、穀粒排出装置が設けられている。穀粒排出装置は、スクリューを縦筒内に内装した縦オーガ、スクリューを横筒内に内装した横オーガなどから構成され、グレンタンクの内底部に配置された排出コンベアの後端に縦オーガのスクリューの下端が連動連結されるとともに、該スクリューの上端が横オーガのスクリューの一端に連動連結されて、グレンタンク内の穀粒が排出コンベアから縦オーガ、横オーガの順に搬送されて横オーガ先端の排出口から機外に排出可能とされていた。そして、縦オーガには駆動機構が設けられ、該駆動機構により縦オーガとともに横オーガが旋回可能とされて、排出口の左右位置が調整可能とされていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−89416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコンバインの穀粒排出装置では、縦オーガ旋回用の駆動機構が縦オーガ後方に配置されるため、縦オーガの後方に機体後部に備えた排藁処理部の回動支点を設ける構成とした場合、該回動支点を中心として排藁処理部を穀粒排出装置の側方から後方に向けて回動させると、排藁処理部が駆動機構に接触しやすくなっていた。そこで、排藁処理部と駆動機構との干渉を防止するべく排藁処理部の回動範囲が所定の回動範囲に制限されていたが、これにより排藁処理部のメンテナンス性が低下していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、グレンタンク内の穀粒を排出コンベアから受け継ぎ、機外へ排出する縦オーガと横オーガとを備え、該縦オーガを機体フレーム上に旋回可能に支持したコンバインの穀粒排出装置において、前記縦オーガ下部とグレンタンク下部とを連結する連結部材を機体フレームに固設して、該連結部材に縦オーガを旋回可能に支持し、該連結部材に縦オーガ旋回用の駆動機構を設け、該駆動機構を機体側方側に配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記縦オーガの外周にウォームホイールを取り付け、前記連結部材にウォームと、該ウォームを回動させるモータとをブラケットに支持して取り付け、該ウォームとウォームホイールとを噛み合せて、前記駆動機構を構成したものである。
【0007】
請求項3においては、前記縦オーガと前記ブラケットとの間に、該縦オーガの外周に設けた被検知体と、該ブラケットに設けた一対の検知体からなる第一規制手段を設け、該縦オーガの旋回時にどちらか一方の検知体が被検知体を検知することで、前記駆動機構のモータを停止又は逆転駆動させて、縦オーガの旋回を規制するように構成したものである。
【0008】
請求項4においては、前記縦オーガと、該縦オーガ側方で機体フレーム上に立設される後フレームとの間に、該縦オーガ上のウォームホイールに固設する一対の当接体と、該後フレームに固設する規制体とからなる第二規制手段を設け、縦オーガの旋回時にいずれか一方の当接体が規制体に当接することで、縦オーガの旋回を規制するように構成したものである。
【0009】
請求項5においては、前記機体フレーム上に設けた後フレームと、前記グレンタンクの上部に接続される揚穀筒とを連結フレームで連結し、該連結フレームの中途部で前記縦オーガを支持したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、縦オーガの後方に空き空間を確保することができる。したがって、該空き空間に機体後部に設けた排藁処理部の回動支点を配置して、排藁処理部を穀粒排出装置の側方から後方へ向かって回動可能に構成した場合に、排藁処理部と駆動機構との干渉を防止して、排藁処理装置の回動範囲を拡大することが可能となり、排藁処理部を大きく開放してメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2においては、大きな減速比を設定しやすくなり、縦オーガをゆっくりと旋回させて安全性の向上を図ることができる。ウォーム駆動方式の特性として逆駆動に対してセルフロックする(ウォームホイール側からウォームが回転駆動されない)ので、さらに機体が傾斜した状態で穀粒排出装置を使用する場合に、ブレーキ装置を用いずとも縦オーガの旋回位置を保持することができる。また、ウォームとアクチュエータとをブラケットでユニット化し、連結部材に容易に取り付けることができる。
【0013】
請求項3においては、縦オーガの旋回範囲を所定の旋回範囲に制限することができる。また、一対の左右の検知体をブラケットで駆動機構のモータやウォームと一緒に連結部材に取り付けて、第一規制手段を間単に構成することができる。
【0014】
請求項4においては、縦オーガに第一規制手段が作用しない場合でも、第二規制手段が必ず作用して、縦オーガの旋回を確実に規制することが可能となる。そのため、縦オーガが連結部材に対し180度以上旋回するのを防止して、連結部材側から縦オーガ側に延出されるケーブルなどが過回転により破断するのを防止することができる。
【0015】
請求項5においては、縦オーガを左右方向及び前後方向に対しても、また、旋回時でも立った状態に確実に保持することができる。さらに、縦オーガを少ない材料で剛性の高い状態に保持することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの側面図、図2は本発明の一実施例に係るコンバインの平面図、図3は穀粒排出装置の側面図、図4は穀粒排出装置の背面図、図5は駆動機構の側面図、図6は駆動機構の背面図、図7は図5におけるA−A矢視断面図、図8は図5におけるB−B矢視断面図、図9は図5におけるC−C矢視断面図である。
【0017】
図1、図2に示すように、コンバインにおいては、クローラ式走行装置1の上に機体フレーム2が支持され、該機体フレーム2上に脱穀部3及び選別部4が設けられている。脱穀部3及び選別部4の前方には刈取部5が配置され、機体フレーム2に上下昇降可能に支持されている。刈取部5には引起し装置6や刈取装置7、搬送装置8などが備えられ、引起し装置6で引き起こされた穀稈は刈取装置7で刈り取られた後、搬送装置8により脱穀部3に搬送される。
【0018】
前記脱穀部3にはフィードチェン9や扱胴10やなどが備えられ、前記刈取部5の搬送装置8からの穀稈が株元部分でフィードチェン9に受け継がれて機体後方へ向けて搬送される過程で、該穀稈の穂先部分が扱室内の扱胴10で脱穀される。脱穀後の穀稈は排藁として脱穀部3後方の排藁処理部11に搬送される一方、脱穀に伴って生じた穀粒や藁屑などは脱穀部3下方の選別部4に流下される。
【0019】
前記排藁処理部11には排藁チェン12や排藁カッター装置、拡散コンベアなどが備えられ、前記脱穀部3のフィードチェン9から排藁チェン12に受け継がれた排藁が排藁カッター装置に搬送されて切断された後、藁片の状態で拡散コンベアにより拡散されながら圃場に放出可能とされている。また、排藁処理部11における搬送方法を変更することにより、排藁は排藁カッター装置で切断されることなく排藁チェン12で機体後端まで搬送された後、未切断状態で圃場に放出可能とされている。
【0020】
一方、前記選別部4には揺動選別装置や搬送用コンベア、ファンなどが備えられ、前記脱穀部3から流下する穀粒や藁屑が揺動選別や風選別により選別される。選別後、これらのうち藁屑はファンで機外に排出される。また、穀粒は1番コンベアより扱室の外側面に固設された揚穀筒13に収納されたコンベアによりグレンタンク14へ搬送され、該グレンタンク14内に貯溜される。
【0021】
前記グレンタンク14は脱穀部3及び選別部4の側方で機体フレーム2上に支持されている。グレンタンク14の内底部には排出コンベア15が前後方向に備えられ、グレンタンク14内に貯溜された穀粒が排出コンベア15でグレンタンク14の後方から上方にかけて配置された穀粒排出装置20に搬送されて、該穀粒排出装置20から機外に排出可能とされている。
【0022】
また、前記グレンタンク14の前方に運転操作部16が配置されている。運転操作部16にはシート17や操向ハンドル18、レバー19などの操作装置が備えられ、各部の装置が操作装置で任意に駆動可能とされて、コンバインによる収穫作業が実行可能とされている。
【0023】
図3に示すように、前記穀粒排出装置20はスクリュー21を縦筒22に内装する縦オーガ23やスクリュー25を横筒26に内装する横オーガ27などから構成され、縦筒22がグレンタンク14後方に配置されて鉛直方向に立設され、横筒26がグレンタンク14上方に配置されて長手方向中途部がオーガレスト28で支持されている。縦オーガ23と横オーガ27は縦筒22の上端と横筒26の基端とで上下回動自在に連結され、該縦筒22と横筒26の連結部で連通されている。そして、該縦筒22と横筒26の連結部内で縦オーガ23のスクリュー21と横オーガ27のスクリュー25とが連動連結されている。
【0024】
また、前記縦オーガ23は縦筒22の下端で連結部材24に上下方向の軸心を中心に回動自在に支持されている。該連結部材24は側面視略逆「L」字状の筒体から形成され、グレンタンク14後方で機体フレーム2上に立設されている。そして、連結部材24がその横方向の一端でグレンタンク14の後下部に設けられた開口部に連結されて、グレンタンク14と連通される一方、縦方向の他端で縦筒22と連通されて、縦オーガ23とグレンタンク14とが連結部材24を介して連通されている。
【0025】
前記連結部材24内には、縦オーガ23のスクリュー21の一端が縦筒22から突出されるとともに、グレンタンク14の排出コンベア15の一端が開口部から突出されて、これらが連動連結されている。こうして、排出コンベア15の回転駆動力が縦オーガ23のスクリュー21、横オーガ27のスクリュー25の順に伝達されて、縦オーガ23及び横オーガ27のスクリュー21・25が排出コンベア15の回転駆動に伴って回転駆動可能とされている。
【0026】
これにより、グレンタンク14内に貯溜された穀粒は搬送コンベア15により搬送されて連結部材24内で縦オーガ23のスクリュー21に受け継がれ、縦筒22内を上方に向かって縦方向に搬送される。そして、該縦オーガ23により搬送される穀粒が縦筒22と横筒26の連結部内で横オーガ27のスクリュー25に受け継がれ、横筒26内を先端側へ向かって横方向に搬送され、該横筒26の先端に設けられた排出口27aから機外に排出可能とされている。
【0027】
また、前記縦筒22と横筒26の連結部付近においては、縦筒22と横筒26との間に昇降シリンダ29が介装され、該昇降シリンダ29の伸縮駆動により横筒26が縦筒22に対し上下方向に回動可能とされている。つまり、横オーガ27が縦オーガ23に対し昇降可能とされている。こうして、横オーガ27先端の排出口27aの上下高さ位置が調整可能とされている。
【0028】
さらに、前記縦筒22と連結部材24の連結部に、連結部材24に対し縦筒22を回動させる駆動機構30が設けられ、該駆動機構30により縦オーガ23が旋回可能とされている。こうして、縦オーガ23の旋回に伴って横オーガ27も当該縦オーガ23を中心として一体的に旋回され、横オーガ27先端の排出口27aの左右位置が調整可能とされている。このように、縦オーガ23と横オーガ27が前記昇降シリンダ29や駆動機構30により機体に対し昇降又は旋回されて、グレンタンク14内の穀粒が穀粒排出装置20で任意の場所へ排出可能とされている。
【0029】
以上のように構成される穀粒排出装置20において、図4に示すように、前記駆動機構30は縦オーガ23及び連結部材24の後方ではなく、側方(本実施例では機体進行方向右側)に配置されている。特にここでは、駆動機構30は、図2に示すように、グレンタンク14の後部であって、前記縦オーガ23の右側の開放空間に位置して、機体外側に面して配置され、縦オーガ23及び連結部材24の後方に空き空間が確保されている。そして、穀粒排出装置20の後方には前記排藁処理部11の回動支点11aが縦オーガ23の後部に接近して配置されている。
【0030】
したがって、排藁処理部11がメンテナンスなどのために回動支点11aを中心として、図2に示す矢印のように縦オーガ23側方から後方側に向かって回動される場合、排藁処理部11の回動支点11aが前方位置となって、該排藁処理部11の縦オーガ側角部分が駆動機構30に干渉することなく、前記排藁処理部11の右側の空き空間に位置することになる。そのため、排藁処理部11の回動範囲を拡大することができ、排藁処理部11を大きく開放してメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0031】
図5から図7に示すように、前記駆動機構30は連結部材24側に取り付けられる回動用アクチュエータとしてのモータ31やウォーム32、縦オーガ23側に取り付けられるウォームホイール33などから構成されている。ウォーム32はモータ31とともにブラケット35に支持され、モータ31から突出するモータ軸に減速機構を介して連動連結されている。ブラケット35の機体外側にはカバー36が取り付けられ、該カバー36によりモータ31やウォーム32が覆われている。
【0032】
前記モータ31及びウォーム32は、連結部材24にブラケット35を固定することで、一括して連結部材24に取り付けられる。つまり、モータ31及びウォーム32は連結部材24に取り付けられる前にブラケット35で予めユニット化され、それぞれを別々に連結部材24に取り付けるよりも容易に取付可能とされている。
【0033】
前記ウォームホイール33は、縦オーガ23の縦筒22の下部外周に固設されている。そして、モータ31及びウォーム32を支持するブラケット35が連結部材24の機体外側に固定されて、該ウォームホイール33にウォーム32が噛み合わされる。こうして、モータ31の回転駆動によりウォーム32が回動されることで、ウォームホイール33が回動され、該ウォームホイール33と一体的に縦筒22が回動可能とされている。すなわち、駆動機構30により縦オーガ23及び横オーガ27が旋回可能とされている。
【0034】
このように、前記縦オーガ23の外周にウォームホイール33を取り付け、連結部材24にウォーム32と、該ウォーム32を回動させるモータ31とをブラケット35に支持して取り付け、該ウォーム32とウォームホイール33とを噛み合せて、前記駆動機構30を構成したので、大きな減速比を設定しやすくなり、縦オーガ23をゆっくりと旋回させて安全性の向上を図ることができる。さらに、機体が傾斜した状態で穀粒排出装置20を使用する場合に、ブレーキ装置を用いずとも縦オーガ23の旋回位置を保持することができる。また、小さな出力のモータで縦オーガを旋回させることが可能となる。
【0035】
そして、このような駆動機構30では、前記連結部に固定されたブラケット35と縦オーガ23との間に当該縦オーガ23の最大旋回を規制するための規制手段が設けられている。該規制手段は、検知手段により最大旋回可能位置を検知して旋回回動を停止させる第一規制手段40と、ストッパーにより強制的に回転を停止させる機械式に構成された第二規制手段50とを備え、通常は第一規制手段40を用いて縦オーガ23の旋回を規制するように構成されている。
【0036】
図8に示すように、第一規制手段40は左右一対の最大旋回可能位置を検知する検知体となるリミットスイッチ41L・41Rと、該左右のリミットスイッチ41L・41Rが接触して検知する被検知体となる接触体42とから構成され、左右のリミットスイッチ41L・41Rが固定側(機体側)となるブラケット35の上部に設けられ、接触体42が旋回側となる縦オーガ23の縦筒22の下部外周に固設されている。
【0037】
そして、左右のリミットスイッチ41L・41Rはブラケット35で駆動機構30のモータ31やウォーム32と一緒に連結部材24に取り付けられ、縦筒22に付設された接触体42と同一円周上に配置されて接触可能とされている。なお、リミットスイッチは本実施例では接触式のスイッチを用いているが、近接センサなどの非接触センサを用いることも可能である。
【0038】
よって、縦オーガ23が前述のように左旋回され、予め設定した最大可能旋回位置に達したときには、左リミットスイッチ41Lに縦筒22上の接触体42が接触し、左リミットスイッチ41Lが接触体42を検知して入状態となり、駆動機構30のモータ31が停止又は逆転駆動される。逆に、縦オーガ23が右旋回され、最大可能旋回位置に達したときには、右リミットスイッチ41Rが接触体42を検知して入状態となり、モータ31が停止又は逆転駆動される。こうして、第一規制手段40により縦オーガ23の旋回が規制されている。
【0039】
このように、前記縦オーガ23と前記ブラケット35との間に、該縦オーガ23の外周に設けた接触体42と、該ブラケット35に設けた一対のリミットスイッチ41L・41Rからなる第一規制手段40を設け、縦オーガ23の旋回時にどちらか一方のリミットスイッチ41L・41Rが接触体42を検知することで、前記駆動機構30のモータ31を停止又は逆転駆動させて、縦オーガ23の旋回を規制するように構成したので、縦オーガ23の旋回範囲を所定の旋回範囲に制限することができる。また、左右のリミットスイッチ41L・41Rをブラケット35で駆動機構30のモータ31やウォーム32とともに連結部材24に取り付けて、第一規制手段40を間単に構成することができる。
【0040】
また、前記第二規制手段50は縦オーガ23の旋回範囲を、第一規制手段40により制限される旋回範囲よりも左旋回側及び右旋回側に若干大きく制限するものであり、縦オーガ23の最大旋回時に第一規制手段40がリミットスイッチ41L・41Rの故障などにより作用しなかった場合に、縦オーガ23に作用して旋回を規制する非常用の停止手段とされている。
【0041】
図9に示すように、前記第二規制手段50は、左右一対の当接体51L・51Rと、左右の当接体51L・51Rと当接可能な規制体52とから構成され、左右の当接体51L・51Rが旋回側となる縦オーガ23に固設されたウォームホイール33上に固設され、規制体52が固定側となる後フレーム55に固設されている。後フレーム55は機体フレーム2上に立設されて、前記縦オーガ23後方の空き空間に当該縦オーガ23と対向して配置されている。
【0042】
前記後フレーム55に付設された規制体52は縦オーガ23の縦筒22に向かって突出され、その先端がウォームホイール33上に配置されて、左右の当接体51L・51Rと当接可能とされている。こうして、規制体52がストッパーとされている。なお、該後フレーム55に前記排藁処理部11の回動支点11aが設けられている。
【0043】
したがって、縦オーガ23の左旋回時に、前記左リミットスイッチ41Lが接触体42を検知する旋回位置まで縦オーガ23が旋回されると、通常駆動機構30のモータ31が停止又は逆転駆動され、縦オーガ23の旋回が停止又は逆旋回されるが、左リミットスイッチ41Lの故障などにより縦オーガ23が更に左旋回しても直ちにウォームホイール33上の左当接体51Lが規制体52に当接される。こうして、第二規制手段50によりウォームホイール33の過回転が阻止されて、縦オーガ23の旋回が規制される。なお、縦オーガ23の旋回は右旋回時にも前記同様に第二規制手段50により規制される。
【0044】
このように、縦オーガ23と、該縦オーガ23後方で機体フレーム2上に立設される後フレーム55との間に、該縦オーガ23上のウォームホイール33に固設する一対の当接体51L・51Rと、該後フレーム55に固設する規制体52とからなる第二規制手段を設け、縦オーガの旋回時に、いずれか一方の当接体51L・51Rが規制体52に当接することで、縦オーガ23の旋回を規制するように構成したので、縦オーガ23に第一規制手段40が作用しない場合でも、第二規制手段50が必ず作用して、縦オーガ23の旋回を確実に規制することが可能となる。そのため、縦オーガ23が連結部材24に対し360度以上旋回するのを防止して、連結部材24側から縦オーガ23側に延出されるケーブルなどが過回転により破断するのを防止することができる。
【0045】
また、図3、図4に示すように、前記機体フレーム2上に立設された後フレーム55は、縦オーガ23の後部に配置されており、該後フレーム55の上部と、縦オーガ23の上部と、前記グレンタンク14上部に接続される揚穀筒13の上部とが、後面視「つ」状に形成した連結フレーム61で連結されている。こうして、後フレーム55と縦オーガ23と揚穀筒13の上部が連結フレーム61により強固に連結される。そして、該連結フレーム61の中途部にはステー62が設けられ、該ステー62で縦オーガ23の縦筒22が回転自在に支持されている。これにより、縦オーガ23は左右方向及び前後方向に対しても、また、旋回時でも立った状態に確実に保持することができる。
【0046】
さらに、前記揚穀筒13の上部には側面視略L字状の支持フレーム65の一端が連結固定され、該支持フレーム65の他端にオーガレスト28が支持されている。そして、支持フレーム65の縦方向の上下中途部から後方に向けて規制フレーム66が一体的に延設され、その中途部で揚穀筒13から上方へ突出された支持ステーに支持されている。こうして、横オーガ27が下降時に規制フレーム66に当接可能とされて、その下降範囲が規制され、横オーガ27と機体各部の接触の防止が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの側面図。
【図2】本発明の一実施例に係るコンバインの平面図。
【図3】穀粒排出装置の側面図。
【図4】穀粒排出装置の背面図。
【図5】駆動機構の側面図。
【図6】駆動機構の背面図。
【図7】図5におけるA−A矢視断面図。
【図8】図5におけるB−B矢視断面図。
【図9】図5におけるC−C矢視断面図。
【符号の説明】
【0048】
2 機体フレーム
13 揚穀筒
14 グレンタンク
20 穀粒排出装置
23 縦オーガ
24 連結部材
27 横オーガ
30 駆動機構
31 モータ
32 ウォーム
33 ウォームホイール
35 ブラケット
40 第二規制手段
41L・41R リミットスイッチ(検知体)
42 接触体(被検知体)
50 第二規制手段
51L・51R 当接体
52 規制体
61 連結フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンク内の穀粒を排出コンベアから受け継ぎ、機外へ排出する縦オーガと横オーガとを備え、該縦オーガを機体フレーム上に旋回可能に支持したコンバインの穀粒排出装置において、前記縦オーガ下部とグレンタンク下部とを連結する連結部材を機体フレームに固設して、該連結部材に縦オーガを旋回可能に支持し、該連結部材に縦オーガ旋回用の駆動機構を設け、該駆動機構を機体側方側に配置したことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置。
【請求項2】
前記縦オーガの外周にウォームホイールを取り付け、前記連結部材にウォームと、該ウォームを回動させるモータとをブラケットに支持して取り付け、該ウォームとウォームホイールとを噛み合せて、前記駆動機構を構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの穀粒排出装置。
【請求項3】
前記縦オーガと前記ブラケットとの間に、該縦オーガの外周に設けた被検知体と、該ブラケットに設けた一対の検知体からなる第一規制手段を設け、該縦オーガの旋回時にどちらか一方の検知体が被検知体を検知することで、前記駆動機構のモータを停止又は逆転駆動させて、縦オーガの旋回を規制するように構成したことを特徴とする請求項2に記載のコンバインの穀粒排出装置。
【請求項4】
前記縦オーガと、該縦オーガ側方で機体フレーム上に立設される後フレームとの間に、該縦オーガ上のウォームホイールに固設する一対の当接体と、該後フレームに固設する規制体とからなる第二規制手段を設け、縦オーガの旋回時にいずれか一方の当接体が規制体に当接することで、縦オーガの旋回を規制するように構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコンバインの穀粒排出装置。
【請求項5】
前記機体フレーム上に設けた後フレームと、前記グレンタンクの上部に接続される揚穀筒とを連結フレームで連結し、該連結フレームの中途部で前記縦オーガを支持したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンバインの穀粒排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−74931(P2007−74931A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264127(P2005−264127)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】