説明

コンバインド発電所

【課題】 コンバインド発電プラントの構成設備の点検作業において、作業効率の向上が図れるコンバインド発電所を提供する。
【解決手段】 本発明に係るコンバインド発電所は、コンバインド発電プラントの構成設備(低圧電動機及びガスタービン用換気ファン)について点検作業を行うための点検スペースを前記コンバインド発電プラント近傍に備えるコンバインド発電所であって、前記点検スペースは、前記構成設備の分解点検から組み立てを行う分解点検スペースと、組み立て後の前記構成設備の試運転等を行う動作点検スペースと、試運転等の際に前記構成設備を支持する架台と、試運転等の際に使用する電源の操作盤と、前記構成設備等を運搬するためのクレーンとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインド発電所に関し、特に、コンバインド発電プラントの構成設備について点検作業を行うための点検スペースを備えたコンバインド発電所に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインド発電は、LNG(液化天然ガス)を燃やしてタービンを回転させ、その際発生する排熱でボイラ水を沸騰させ、その発生した蒸気でさらにタービンを回し発電する方式であり、高効率で電力需要に対する調整能力に優れるという特徴を有する。
【0003】
従来より、かかるコンバインド発電を行うプラント(コンバインド発電プラント)の構成設備(例えば、電動機等)の定期点検作業は、その設置場所近傍にて実施されるのが通常であった。即ち、点検対象となる設備の設置場所近傍に一時的に確保した作業スペースで、当該点検対象設備の分解、分解した部品等の点検、及び組み立てまでの作業を行い、そして、元の場所に再設置後、試運転等の動作点検を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如く、一構成設備の点検毎に作業スペースを暫定的に確保する方法では、点検作業で使用する工具類等をその都度、移動させなくてはならない手間が生じる。また、工具類等の配置場所を固定できない等、作業環境が一定しないのでマニュアル化等が容易でなく、作業性の向上が阻まれるという問題があった。
【0005】
さらに、試運転等の動作点検においては、その際に使用する電源の操作盤(電源盤)が通常運転時で使用するものと同一となるため、前記電源盤が設置されている制御室(当該設備の設置場所とは離れている)に人員を配置させた上、連絡を取りつつ作業を行う必要があり、効率的でないという問題が生じていた。
【0006】
これに対し、所定の場所に点検専用のスペースを設け、かかるスペースで分解点検及び組み立てを行う発電所がある。しかしながら、試運転等の動作点検は、依然として元の設置場所に再設置してから行うため、動作点検工程での上述した問題点は、依然として解消されていないのが実情である。
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、コンバインド発電プラントの構成設備の点検作業において、分解点検から動作点検までの一連の点検作業を行える固定の点検スペースを設けることで、点検に係る作業効率の向上が図れるコンバインド発電所を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンバインド発電所は、コンバインド発電プラントを構成する設備について点検作業を行うための点検スペースを前記コンバインド発電プラント近傍に備えるコンバインド発電所であって、前記点検スペースは、点検対象設備の分解点検等及び組み立てを行う第1のスペースと、組み立て後の前記点検対象設備の動作点検を行う第2のスペースと、前記動作点検の際に前記点検対象設備を支持する架台と、前記動作点検の際に使用する電源の操作盤と、前記点検対象設備又は該点検対象設備の構成部品を吊り上げて、運搬可能なクレーンとを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成のコンバインド発電所において、前記点検スペースを設ける好適な場所として、大型の機器の搬入出口(いわゆる「大物搬入口」)周辺のエリアが挙げられる。かかる既存エリアを利用することで、本発明により発電所の規模が大きくなってしまうという弊害を防止できる。
【0010】
また、点検スペースは複数設けても構わない。例えば、1つの建物内に複数のコンバインド発電プラントを並列配置している場合には、通常、前記大物搬入口も複数設けられているので、それに合わせて点検スペースを設ける等すれば、作業効率上、都合がよい。
【0011】
また、前記点検対象設備を低圧電動機及び/又はガスタービン用換気ファンに限定すると、本発明のコンバインド発電所が容易かつ低コストで実現できる。これは、前記低圧電動機やガスタービン用換気ファンの動作点検の際に使用する電源電圧が低い(200〜440Vの範囲)ため、当該点検スペース(具体的には、第2のスペース)への電源の引き込みが容易となることによる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、コンバインド発電プラントの構成設備の点検に係る一連の作業を固定の点検スペースで行えるため、作業効率の向上が図れ、また、品質管理や安全性の面においても従来と比較して優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るコンバインド発電所の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
本発明のコンバインド発電所は、コンバインド発電プラントの構成設備について点検作業を行うための点検スペースを設けていることに特徴を有し、他の点では、一般的なコンバインド発電所と変わりはない。以下、かかる本発明の特徴について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るコンバインド発電所が備える点検スペースの平面図であり、図2は、その側面図である。図1及び図2で示される点検スペースは、コンバインド発電プラントの近傍(本実施形態では、大物搬入口周辺エリア)に設けられている。
【0016】
図1において、分解点検スペース1(第1のスペース)は、点検対象設備(本実施形態では、低圧電動機及びガスタービン用換気ファンとする。)の分解、分解した各構成部品についての点検等(清掃や修繕等のメンテナンスも含む)及び組み立てに係る作業が行われるエリアである。
【0017】
動作点検スペース2(第2のスペース)は、分解点検スペース1で組み立てられた点検対象設備の振動調整や試運転等の動作点検に係る作業が行われるエリアである。
【0018】
仮置スペース3は、点検前の点検対象設備の待機用等に使用されるエリアである。
【0019】
当該点検スペースにおいて、点検対象設備又は該点検対象設備の構成部品の運搬には、必要に応じて、図2に示すような天井クレーン5を用いる。天井クレーン5は、吊り上げた点検対象設備又は該点検対象設備の構成部品を縦方向及び横方向に水平に運搬可能な小型(例えば、定格荷重28t程度)の天井クレーンであり、例えば、トロリ式やホイスト式の天井クレーンがこれに該当する。
【0020】
図1に戻り、電源盤4は、動作点検の際に使用する電源(例えば、AC200〜440V)の操作盤であり、動作点検専用で使用されるものである。電源盤4と動作点検スペース2に設置された図示しないコンセントは、同じく図示しない電源コードを介して接続している。したがって、動作点検スペース2で動作点検される点検対象設備は、かかるコンセントより駆動用電源の供給を受けることができる。
【0021】
その他、点検スペースには、点検等の作業で使用される工具類等を保管する工具棚や作業机等が適宜配置されている。
【0022】
図3は、動作点検スペース2を通路側から眺めた場合の斜視図である。図3において、6は点検対象設備を支持するための架台であり、7は安全性を確保するための鉄柵である。
【0023】
以上のように、本発明の本実施形態に係るコンバインド発電所によれば、コンバインド発電プラントの構成設備である低圧電動機及びガスタービン用換気ファンについて点検作業を行うための点検スペースを前記コンバインド発電プラントの近傍となる大物搬入口周辺のエリアに設け、かかる点検スペースにて、低圧電動機及びガスタービン用換気ファンの一連の点検作業(即ち、分解点検から組み立て後の動作点検まで)を行うことができるので、従来に比べ大幅な作業効率の向上が期待できる。
【0024】
また、既存の空きエリア(大物搬入口周辺エリア)を有効に利用することで、本発明により発電所の規模が大きくなることはない。しかも、点検対象設備を低圧電動機及びガスタービン用換気ファンに限定することで、点検スペースに引き込む電源が低電圧で済むため、容易かつ低コストで本発明を実現することが可能である。
【0025】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
例えば、上記実施形態では、天井クレーンを用いているが、採用するクレーンの種類に限定はなく、例えば、ジブクレーン等であっても構わない。
【0027】
また、点検対象設備を動作電圧の低い低圧電動機やガスタービン用換気ファンに限定せず、例えば、高圧給水ポンプ等の動作電圧の高い(例えば、AC6.6kV)電動機を点検対象設備にすることも可能である。この場合においても、上記実施形態と同様に点検等の作業効率が大幅に向上することが見込める。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバインド発電所が備える点検スペースの平面図である。
【図2】同実施形態における点検スペースの側面図である。
【図3】同実施形態における動作点検スペース2を通路側から眺めた場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 分解点検スペース
2 動作点検スペース
3 仮置スペース
4 電源盤
5 天井クレーン
6 架台
7 鉄柵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバインド発電プラントを構成する設備について点検作業を行うための点検スペースを前記コンバインド発電プラント近傍に備えるコンバインド発電所であって、
前記点検スペースは、
点検対象設備の分解点検等及び組み立てを行う第1のスペースと、
組み立て後の前記点検対象設備の動作点検を行う第2のスペースと、
前記動作点検の際に前記点検対象設備を支持する架台と、
前記動作点検の際に使用する電源の操作盤と、
前記点検対象設備又は該点検対象設備の構成部品を吊り上げて、運搬可能なクレーンとを備えることを特徴とするコンバインド発電所。
【請求項2】
前記点検対象設備が、低圧電動機及び/又はガスタービン用換気ファンであることを特徴とする請求項1に記載のコンバインド発電所。
【請求項3】
前記動作点検の際に使用する電源の電圧が、200〜440Vの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバインド発電所。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−329025(P2006−329025A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152067(P2005−152067)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】