コンバイン
【課題】簡易な構成により、キャビン内への塵埃粉塵の侵入を抑えることができる空調装置付設のキャビン型コンバインを提供する。
【解決手段】空調装置付設のキャビン型コンバインは、機体前端部の刈取部(2)と、その後方の脱穀部(3)と、その側方の貯留部(4)と、その前側で刈取部(2)に臨む空調装置付きキャビン(5)とを備え、このキャビン(5)内にエンジン動力伝達用の機器伝動部と連結する操作レバー(14a)を配置した操縦部(5a)を設け、キャビン(5)の空調装置により内気循環および外気導入を制御信号によって切替えが可能に構成され、特に、上記キャビン(5)には、その天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設け、この空気汚れセンサ(36)により浮遊塵埃量が所定値を越えることを条件に空調装置を内気循環からを外気導入に切替え制御するものである。
【解決手段】空調装置付設のキャビン型コンバインは、機体前端部の刈取部(2)と、その後方の脱穀部(3)と、その側方の貯留部(4)と、その前側で刈取部(2)に臨む空調装置付きキャビン(5)とを備え、このキャビン(5)内にエンジン動力伝達用の機器伝動部と連結する操作レバー(14a)を配置した操縦部(5a)を設け、キャビン(5)の空調装置により内気循環および外気導入を制御信号によって切替えが可能に構成され、特に、上記キャビン(5)には、その天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設け、この空気汚れセンサ(36)により浮遊塵埃量が所定値を越えることを条件に空調装置を内気循環からを外気導入に切替え制御するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦部を保護するキャビンに空調装置を備えて刈取脱穀作業を行うコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の例のように、内気循環状態と外気導入状態とをセンサによって自動切替えが可能な空調装置が知られている。この空調装置は、外気センサにより外気汚染時に自動的に内気循環に切替えて汚染外気の車室内侵入を防止することができることから、これをコンバインのキャビンに付設することにより、外部環境からキャビン内を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−25831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンバインのような作業車両は、原動部と諸機器の伝動制御部とを操縦部の近傍に集中し、この伝動制御部を操作するためのリンクやロッドを操縦部に設けた操作レバー等の操作具と連結して構成されるとともに、機体前部の刈取部から後部の脱穀部に至る穀稈移送経路が操縦部の脇に位置することから、機体に吹き付ける圃場の風を受けた場合等に、原動部の冷却熱風の煽りと合わせ、藁屑を含む穀稈付着塵埃や走行装置が巻き上げる土壌粉塵に操縦部が曝されることとなるので、操縦部を覆って作業者を保護するキャビンを設けてあっても、操作レバーを挿通するスリット状のレバーガイド等の操作具の隙間からキャビン内に塵埃粉塵が侵入するという問題があり、この場合において、特許文献1の如くの空調装置を用いて内気循環に切替えて汚染外気の車室内侵入を抑えても、コンバインの刈取脱穀作業に伴う塵埃粉塵の侵入を止めることができず、問題の解決に至らない。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成により、キャビン内への塵埃粉塵の侵入を抑えることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、走行自在な機体の前部に設けて圃場から穀稈を刈り取る刈取部(2)と、この刈取部(2)の後方で刈取穀稈を受ける脱穀部(3)と、この脱穀装置(3)の側方に並んで脱穀穀粒を収容する貯留部(4)と、この貯留部(4)の前側に配置し内気循環および外気導入を制御信号によって切替えが可能な空調装置を有するキャビン(5)と、このキャビン(5)内に設けられエンジン動力伝達用の機器伝動部と連結する操作レバー(14a)を配置した操縦部(5a)とを備えたコンバインにおいて、上記キャビン(5)には、その天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設け、この空気汚れセンサ(36)により検出される浮遊塵埃量が所定値を越えることを条件に空調装置を内気循環からを外気導入に切替える制御を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記コンバインは、変速レバー等の操作レバー(14a)の操作溝等の隙間から侵入する塵埃を、キャビン(5)内の天井近傍位置に配置した空気汚れセンサ(36)で精度良く検出し、塵埃がひどくなると内気循環状態から外気導入状態に自動的に切替えることにより、キャビン(5)内の気圧を上昇させる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記浮遊空気汚れセンサ(36)を、前記操作レバー(14a)の上方の位置に配置したことを特徴とする。
上記空気汚れセンサ(36)は、操作レバー(14a)の上方の塵埃を検出することにより、その操作溝から吹き上がるようにキャビン(5)内に侵入した塵埃を精度良く検出する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、キャビン(5)にその天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設けたことから、変速レバー等の操作レバー(14a)の操作溝等の隙間から侵入する塵埃をキャビン(5)内の天井近傍位置に配置した空気汚れセンサ(36)で精度良く検出し、この空気汚れセンサ(36)により浮遊塵埃量が所定値を越えると空調装置を外気導入に切替えることによりキャビン(5)内の気圧を上昇させる。これによって、操作溝等の隙間からの塵埃の侵入を抑え、操縦者の環境を好適に維持することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、浮遊空気汚れセンサ(36)を操作レバー(14a)の上方の位置に配置したことから、空気汚れセンサ(36)は、操作レバー(14a)の上方の塵埃を検出することにより、その操作溝から吹き上がるようにキャビン(5)内に侵入した塵埃を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンバインの側面図(a)および平面図(b)
【図2】キャビン内の配置機器の見取図
【図3】キャビンの天井部の見取図
【図4】空調装置の制御システム構成図
【図5】光センサの受光レベルに基づく制御動作例
【図6】判定基準の設定例
【図7】モニターパネルの正面見取図
【図8】モニターの表示例(1)
【図9】モニターの表示例(2)
【図10】コンバインの穀粒排出状況を略記した機器関係図
【図11】オーガ作動時のモニターの表示例
【図12】ズームオーガ装置のシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明のコンバイン1は、側面図(a)および平面図(b)を図1に示すように、圃場走行可能な機体の前端位置で圃場から穀稈を刈り取る刈取部2と、その後方で刈取られた穀稈を受ける脱穀部3と、その側方に並んで脱穀された穀粒を収容する貯留部4と、この貯留部4の前側で刈取部2に臨むキャビン5とを備えて構成される。
【0013】
キャビン5内には、その配置機器の見取図を図2に示すように、エンジン動力を構成機器に伝達する伝動部と連結する操作レバー等の操作具を配置した操縦部6を構成する。具体的には、原動部である不図示のエンジン上部に位置する操縦座席11を中心に、前部にパワステレバー12a、モニターパネル12b、床面に掻込みペダル13a、駐車ブレーキペダル13b、ロックレバー13c、左側の操作卓部に主変速レバー14a、副変速レバー14b、アクセルレバー14c、手こぎレバー14d、刈脱レバー14e等が配置される。
【0014】
また、キャビン5の天井近傍には、その見取図を図3に示すように、後述の制御処理部31によってキャビン5室内の内気循環および室外からの外気導入の自動切替えが可能な空調装置を構成する作業者正面用のフロント吹出しグリル21、フロントガラスおよびフロア用のコーナー吹出しグリル22、作業者側面用のサイド吹出しグリル23および、室内空気を戻す還流口24を設け、この還流口24に臨んで天井近傍の浮遊塵埃を検出する後述の空気汚れセンサ36を取付け、この空気汚れセンサ36により浮遊塵埃量が所定値を越えると空調装置を外気導入に切替える制御処理を制御処理部31に設ける。
【0015】
この場合において、空気汚れセンサ36を操作レバーの上方に複数個を設けることにより、空気の汚れを確実に、かつ早く検出することができる。また、還流口24のフィルタの室内側に空気汚れセンサを配置することにより、フィルタに吸入される直前の室内空気の汚れが検出できるので、キャビン内全体の空気の状態が反映される。
【0016】
(システム構成)
空調装置の制御は、システム構成図を図4に示すように、制御処理部31により空調装置を制御可能に構成し、室温センサ32による検出温度が温度設定ダイヤル32aの設定温度となるように制御する。また、外気導入リレー33a、内気循環リレー33bを制御処理部31によって制御することにより通風系統を切替え可能に構成し、外気導入スイッチ34a、内気循環スイッチ34bによって通風系統を選択可能とするほか、内外気自動切替スイッチ35により、内気循環による室温制御において、キャビン内の空気汚れが進むと空気汚れセンサ36により通風系統を外気導入に切替えるように制御処理を構成する。
【0017】
このように空調システムを構成することにより、変速レバー14aの操作溝等の隙間から侵入する塵埃を、キャビン5内の天井近傍位置に配置した空気汚れセンサ36で精度良く検出し、内気循環から外気導入に自動的に切替えることにより、キャビン5内の気圧を上昇させる。
【0018】
この通風切替えによって操作溝等の隙間からの塵埃の侵入を阻止し、オペレータの作業環境を好適に維持することができる。また、空気汚れセンサ36は、操作レバーの上方位置で塵埃を検出するように配置することにより、その操作溝から吹き上がるようにキャビン5内に侵入した塵埃を精度良く検出することができる。
【0019】
したがって、大豆刈取りのように埃の多い収穫作業においてオペレータに不快感を与える埃の侵入が検出されると、機体上部等からの外気導入によってキャビン5内の空気が入れ替えられて浄化されるとともに、キャビン内5圧の高まりによって埃の侵入を防止することができる。また、空気汚れセンサ36として光センサを用いることにより、空気の汚れを透過受光量によって簡易に検出することができる。
【0020】
制御処理部31による制御動作は、光センサの受光レベルLに基づく制御動作例を図5に示すように、内気循環による空調制御において、受光レベルAが汚れ判定基準A1まで低下した時点T1から外気導入に切替え、所定の継続時間Bが経過する時点T2で元の内気循環に戻して空調制御を行う。この場合において、継続時間Bは、内気循環と外気導入の頻繁な繰返しを防止して安定制御を行うために継続するべき長さに設定し、外気導入によって受光レベルが回復してもこの継続時間Bについて外気導入を継続する。また、キャビン5内温度と設定温度との差が所定値を越えている状況においては、設定温度優先による快適な作業環境を確保するために、上記判定基準A1より受光レベルを下げた判定基準A2を用いて外気導入を限定的に適用する。
【0021】
汚れ判定基準A1の設定方法は、図6の判定基準の設定例に示すように、随時操作によるキーオンの時点T0における受光レベルA0から所定量Cを減じたレベルに定めることにより、絶対値で汚れ判定して外気導入するよりも、状況に対応した取扱いが可能となる。
【0022】
また、センサ異常があった時は、キーオンの時点T0における受光レベルA0がセンサ異常とされるレベルAeに満たないことを条件に警報を発することにより、簡単にセンサ異常を発見することができる。さらに、外気導入の継続中においては、手動操作により内気循環に戻されたことを条件に内外気自動切替を終了して手動操作モードとすることにより、オペレータの意思を優先した快適な制御が可能となる。
【0023】
(モニター)
次に、操縦部のモニターパネルの表示について説明する。
モニターパネル12bには、その正面見取図を図7に示すように、切換スイッチ41によって画面切換え可能に各種メーターを含む機器情報を表示する液晶等による表示部42について、オペレータの操作性の向上に資するために、カメラ映像を表示可能に表示装置を構成する。
【0024】
例えば、表示部42については、図8の表示例(1)に示すように、景色等のカメラ映像とエンジン回転等の特定情報を重ねて表示し、また、図9の表示例(2)に示すように、画面を分割して映像表示域44aと情報表示域44bとを個別に表示可能に構成し、カメラ映像と同時にエンジン回転や異常情報等の重要情報を表示する。この表示領域分割においては、映像表示域44aを情報表示域44bより広くすることにより、映像が見やすくなるので操作性を向上することができる。
【0025】
上記表示態様は、自動的に分割或いは重ねて表示するか、分割、重ねを固定化するか、分割、重なりなしに単独で表示するかをスイッチにより選択可能に構成することにより、オペレータや作業内容に対応できるように多くの選択肢を提供して操作性の向上を図ることができる。
【0026】
また、分割や重ねの表示形式の場合に、エンジン回転や異常情報等の重要なモニター情報をを選択可能構成する。例えば、切換スイッチ41を押して表示項目選択画面を選び、その画面で各表示項目を選択するように制御処理を構成することにより、映像の邪魔にならないように表示情報を絞ることができる。
【0027】
(オーガ装置)
次に、貯留部の穀粒を排出するズームオーガ装置について説明する。
ズームオーガ装置51は、穀粒排出時におけるコンバイン機器の関係図を図10に示すように、貯留部4から延びるズームオーガ装置51の先端の排出口51aにカメラ52を設け、このカメラ52による映像をモニター12bの表示部42に表示するとともに、オーガ作動時のモニターの表示例を図11に示すように、穀粒排出方向(軌跡)D等を合成表示する。
【0028】
詳細には、ズームオーガ装置51は、そのシステム構成図を図12に示すように、機体の後退操作を含むオーガ操作スイッチ群53によって旋回昇降等の駆動系54を制御可能に構成するとともに、カメラ52をモニター12bの表示装置に接続し、カメラ映像を介して排出状況をモニター表示するように構成する。また、穀粒排出方向Dは、オーガ軸の角度センサ、排出口51aの方向角度センサ、コンバイン本体の傾斜センサに基づいて算出した上でカメラ映像に合成する。
【0029】
上記構成のズームオーガ装置51は、モニター表示されるカメラ52の画像を見ながら作業ができ、また、穀粒排出方向Dも分かることから、従来は穀粒排出時にオーガの停止位置が分からないことから、二人作業でも位置決めがなかなかできず、非効率的な作業を強いられていたが、一人作業でも効率よく穀粒の排出作業が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 コンバイン
2 刈取部
3 脱穀部
4 貯留部
5 キャビン
6 操縦部
14a〜14e 操作レバー
24 還流口
31 制御処理部
32 室温センサ
35 内外気自動切替スイッチ
36 汚れセンサ
A 受光レベル
A0 受光レベル
A1 判定基準
A2 判定基準
Ae 異常レベル
B 継続時間
C 低減量
T0 キーオン時点
T1 切替え時点
T2 復帰時点
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦部を保護するキャビンに空調装置を備えて刈取脱穀作業を行うコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の例のように、内気循環状態と外気導入状態とをセンサによって自動切替えが可能な空調装置が知られている。この空調装置は、外気センサにより外気汚染時に自動的に内気循環に切替えて汚染外気の車室内侵入を防止することができることから、これをコンバインのキャビンに付設することにより、外部環境からキャビン内を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−25831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンバインのような作業車両は、原動部と諸機器の伝動制御部とを操縦部の近傍に集中し、この伝動制御部を操作するためのリンクやロッドを操縦部に設けた操作レバー等の操作具と連結して構成されるとともに、機体前部の刈取部から後部の脱穀部に至る穀稈移送経路が操縦部の脇に位置することから、機体に吹き付ける圃場の風を受けた場合等に、原動部の冷却熱風の煽りと合わせ、藁屑を含む穀稈付着塵埃や走行装置が巻き上げる土壌粉塵に操縦部が曝されることとなるので、操縦部を覆って作業者を保護するキャビンを設けてあっても、操作レバーを挿通するスリット状のレバーガイド等の操作具の隙間からキャビン内に塵埃粉塵が侵入するという問題があり、この場合において、特許文献1の如くの空調装置を用いて内気循環に切替えて汚染外気の車室内侵入を抑えても、コンバインの刈取脱穀作業に伴う塵埃粉塵の侵入を止めることができず、問題の解決に至らない。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成により、キャビン内への塵埃粉塵の侵入を抑えることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、走行自在な機体の前部に設けて圃場から穀稈を刈り取る刈取部(2)と、この刈取部(2)の後方で刈取穀稈を受ける脱穀部(3)と、この脱穀装置(3)の側方に並んで脱穀穀粒を収容する貯留部(4)と、この貯留部(4)の前側に配置し内気循環および外気導入を制御信号によって切替えが可能な空調装置を有するキャビン(5)と、このキャビン(5)内に設けられエンジン動力伝達用の機器伝動部と連結する操作レバー(14a)を配置した操縦部(5a)とを備えたコンバインにおいて、上記キャビン(5)には、その天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設け、この空気汚れセンサ(36)により検出される浮遊塵埃量が所定値を越えることを条件に空調装置を内気循環からを外気導入に切替える制御を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記コンバインは、変速レバー等の操作レバー(14a)の操作溝等の隙間から侵入する塵埃を、キャビン(5)内の天井近傍位置に配置した空気汚れセンサ(36)で精度良く検出し、塵埃がひどくなると内気循環状態から外気導入状態に自動的に切替えることにより、キャビン(5)内の気圧を上昇させる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記浮遊空気汚れセンサ(36)を、前記操作レバー(14a)の上方の位置に配置したことを特徴とする。
上記空気汚れセンサ(36)は、操作レバー(14a)の上方の塵埃を検出することにより、その操作溝から吹き上がるようにキャビン(5)内に侵入した塵埃を精度良く検出する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、キャビン(5)にその天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設けたことから、変速レバー等の操作レバー(14a)の操作溝等の隙間から侵入する塵埃をキャビン(5)内の天井近傍位置に配置した空気汚れセンサ(36)で精度良く検出し、この空気汚れセンサ(36)により浮遊塵埃量が所定値を越えると空調装置を外気導入に切替えることによりキャビン(5)内の気圧を上昇させる。これによって、操作溝等の隙間からの塵埃の侵入を抑え、操縦者の環境を好適に維持することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、浮遊空気汚れセンサ(36)を操作レバー(14a)の上方の位置に配置したことから、空気汚れセンサ(36)は、操作レバー(14a)の上方の塵埃を検出することにより、その操作溝から吹き上がるようにキャビン(5)内に侵入した塵埃を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンバインの側面図(a)および平面図(b)
【図2】キャビン内の配置機器の見取図
【図3】キャビンの天井部の見取図
【図4】空調装置の制御システム構成図
【図5】光センサの受光レベルに基づく制御動作例
【図6】判定基準の設定例
【図7】モニターパネルの正面見取図
【図8】モニターの表示例(1)
【図9】モニターの表示例(2)
【図10】コンバインの穀粒排出状況を略記した機器関係図
【図11】オーガ作動時のモニターの表示例
【図12】ズームオーガ装置のシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明のコンバイン1は、側面図(a)および平面図(b)を図1に示すように、圃場走行可能な機体の前端位置で圃場から穀稈を刈り取る刈取部2と、その後方で刈取られた穀稈を受ける脱穀部3と、その側方に並んで脱穀された穀粒を収容する貯留部4と、この貯留部4の前側で刈取部2に臨むキャビン5とを備えて構成される。
【0013】
キャビン5内には、その配置機器の見取図を図2に示すように、エンジン動力を構成機器に伝達する伝動部と連結する操作レバー等の操作具を配置した操縦部6を構成する。具体的には、原動部である不図示のエンジン上部に位置する操縦座席11を中心に、前部にパワステレバー12a、モニターパネル12b、床面に掻込みペダル13a、駐車ブレーキペダル13b、ロックレバー13c、左側の操作卓部に主変速レバー14a、副変速レバー14b、アクセルレバー14c、手こぎレバー14d、刈脱レバー14e等が配置される。
【0014】
また、キャビン5の天井近傍には、その見取図を図3に示すように、後述の制御処理部31によってキャビン5室内の内気循環および室外からの外気導入の自動切替えが可能な空調装置を構成する作業者正面用のフロント吹出しグリル21、フロントガラスおよびフロア用のコーナー吹出しグリル22、作業者側面用のサイド吹出しグリル23および、室内空気を戻す還流口24を設け、この還流口24に臨んで天井近傍の浮遊塵埃を検出する後述の空気汚れセンサ36を取付け、この空気汚れセンサ36により浮遊塵埃量が所定値を越えると空調装置を外気導入に切替える制御処理を制御処理部31に設ける。
【0015】
この場合において、空気汚れセンサ36を操作レバーの上方に複数個を設けることにより、空気の汚れを確実に、かつ早く検出することができる。また、還流口24のフィルタの室内側に空気汚れセンサを配置することにより、フィルタに吸入される直前の室内空気の汚れが検出できるので、キャビン内全体の空気の状態が反映される。
【0016】
(システム構成)
空調装置の制御は、システム構成図を図4に示すように、制御処理部31により空調装置を制御可能に構成し、室温センサ32による検出温度が温度設定ダイヤル32aの設定温度となるように制御する。また、外気導入リレー33a、内気循環リレー33bを制御処理部31によって制御することにより通風系統を切替え可能に構成し、外気導入スイッチ34a、内気循環スイッチ34bによって通風系統を選択可能とするほか、内外気自動切替スイッチ35により、内気循環による室温制御において、キャビン内の空気汚れが進むと空気汚れセンサ36により通風系統を外気導入に切替えるように制御処理を構成する。
【0017】
このように空調システムを構成することにより、変速レバー14aの操作溝等の隙間から侵入する塵埃を、キャビン5内の天井近傍位置に配置した空気汚れセンサ36で精度良く検出し、内気循環から外気導入に自動的に切替えることにより、キャビン5内の気圧を上昇させる。
【0018】
この通風切替えによって操作溝等の隙間からの塵埃の侵入を阻止し、オペレータの作業環境を好適に維持することができる。また、空気汚れセンサ36は、操作レバーの上方位置で塵埃を検出するように配置することにより、その操作溝から吹き上がるようにキャビン5内に侵入した塵埃を精度良く検出することができる。
【0019】
したがって、大豆刈取りのように埃の多い収穫作業においてオペレータに不快感を与える埃の侵入が検出されると、機体上部等からの外気導入によってキャビン5内の空気が入れ替えられて浄化されるとともに、キャビン内5圧の高まりによって埃の侵入を防止することができる。また、空気汚れセンサ36として光センサを用いることにより、空気の汚れを透過受光量によって簡易に検出することができる。
【0020】
制御処理部31による制御動作は、光センサの受光レベルLに基づく制御動作例を図5に示すように、内気循環による空調制御において、受光レベルAが汚れ判定基準A1まで低下した時点T1から外気導入に切替え、所定の継続時間Bが経過する時点T2で元の内気循環に戻して空調制御を行う。この場合において、継続時間Bは、内気循環と外気導入の頻繁な繰返しを防止して安定制御を行うために継続するべき長さに設定し、外気導入によって受光レベルが回復してもこの継続時間Bについて外気導入を継続する。また、キャビン5内温度と設定温度との差が所定値を越えている状況においては、設定温度優先による快適な作業環境を確保するために、上記判定基準A1より受光レベルを下げた判定基準A2を用いて外気導入を限定的に適用する。
【0021】
汚れ判定基準A1の設定方法は、図6の判定基準の設定例に示すように、随時操作によるキーオンの時点T0における受光レベルA0から所定量Cを減じたレベルに定めることにより、絶対値で汚れ判定して外気導入するよりも、状況に対応した取扱いが可能となる。
【0022】
また、センサ異常があった時は、キーオンの時点T0における受光レベルA0がセンサ異常とされるレベルAeに満たないことを条件に警報を発することにより、簡単にセンサ異常を発見することができる。さらに、外気導入の継続中においては、手動操作により内気循環に戻されたことを条件に内外気自動切替を終了して手動操作モードとすることにより、オペレータの意思を優先した快適な制御が可能となる。
【0023】
(モニター)
次に、操縦部のモニターパネルの表示について説明する。
モニターパネル12bには、その正面見取図を図7に示すように、切換スイッチ41によって画面切換え可能に各種メーターを含む機器情報を表示する液晶等による表示部42について、オペレータの操作性の向上に資するために、カメラ映像を表示可能に表示装置を構成する。
【0024】
例えば、表示部42については、図8の表示例(1)に示すように、景色等のカメラ映像とエンジン回転等の特定情報を重ねて表示し、また、図9の表示例(2)に示すように、画面を分割して映像表示域44aと情報表示域44bとを個別に表示可能に構成し、カメラ映像と同時にエンジン回転や異常情報等の重要情報を表示する。この表示領域分割においては、映像表示域44aを情報表示域44bより広くすることにより、映像が見やすくなるので操作性を向上することができる。
【0025】
上記表示態様は、自動的に分割或いは重ねて表示するか、分割、重ねを固定化するか、分割、重なりなしに単独で表示するかをスイッチにより選択可能に構成することにより、オペレータや作業内容に対応できるように多くの選択肢を提供して操作性の向上を図ることができる。
【0026】
また、分割や重ねの表示形式の場合に、エンジン回転や異常情報等の重要なモニター情報をを選択可能構成する。例えば、切換スイッチ41を押して表示項目選択画面を選び、その画面で各表示項目を選択するように制御処理を構成することにより、映像の邪魔にならないように表示情報を絞ることができる。
【0027】
(オーガ装置)
次に、貯留部の穀粒を排出するズームオーガ装置について説明する。
ズームオーガ装置51は、穀粒排出時におけるコンバイン機器の関係図を図10に示すように、貯留部4から延びるズームオーガ装置51の先端の排出口51aにカメラ52を設け、このカメラ52による映像をモニター12bの表示部42に表示するとともに、オーガ作動時のモニターの表示例を図11に示すように、穀粒排出方向(軌跡)D等を合成表示する。
【0028】
詳細には、ズームオーガ装置51は、そのシステム構成図を図12に示すように、機体の後退操作を含むオーガ操作スイッチ群53によって旋回昇降等の駆動系54を制御可能に構成するとともに、カメラ52をモニター12bの表示装置に接続し、カメラ映像を介して排出状況をモニター表示するように構成する。また、穀粒排出方向Dは、オーガ軸の角度センサ、排出口51aの方向角度センサ、コンバイン本体の傾斜センサに基づいて算出した上でカメラ映像に合成する。
【0029】
上記構成のズームオーガ装置51は、モニター表示されるカメラ52の画像を見ながら作業ができ、また、穀粒排出方向Dも分かることから、従来は穀粒排出時にオーガの停止位置が分からないことから、二人作業でも位置決めがなかなかできず、非効率的な作業を強いられていたが、一人作業でも効率よく穀粒の排出作業が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 コンバイン
2 刈取部
3 脱穀部
4 貯留部
5 キャビン
6 操縦部
14a〜14e 操作レバー
24 還流口
31 制御処理部
32 室温センサ
35 内外気自動切替スイッチ
36 汚れセンサ
A 受光レベル
A0 受光レベル
A1 判定基準
A2 判定基準
Ae 異常レベル
B 継続時間
C 低減量
T0 キーオン時点
T1 切替え時点
T2 復帰時点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行自在な機体の前部に設けて圃場から穀稈を刈り取る刈取部(2)と、この刈取部(2)の後方で刈取穀稈を受ける脱穀部(3)と、この脱穀装置(3)の側方に並んで脱穀穀粒を収容する貯留部(4)と、この貯留部(4)の前側に配置し内気循環および外気導入を制御信号によって切替えが可能な空調装置を有するキャビン(5)と、このキャビン(5)内に設けられエンジン動力伝達用の機器伝動部と連結する操作レバー(14a)を配置した操縦部(5a)とを備えたコンバインにおいて、上記キャビン(5)には、その天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設け、この空気汚れセンサ(36)により検出される浮遊塵埃量が所定値を越えることを条件に空調装置を内気循環からを外気導入に切替える制御を備えたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記浮遊空気汚れセンサ(36)を、前記操作レバー(14a)の上方の位置に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
走行自在な機体の前部に設けて圃場から穀稈を刈り取る刈取部(2)と、この刈取部(2)の後方で刈取穀稈を受ける脱穀部(3)と、この脱穀装置(3)の側方に並んで脱穀穀粒を収容する貯留部(4)と、この貯留部(4)の前側に配置し内気循環および外気導入を制御信号によって切替えが可能な空調装置を有するキャビン(5)と、このキャビン(5)内に設けられエンジン動力伝達用の機器伝動部と連結する操作レバー(14a)を配置した操縦部(5a)とを備えたコンバインにおいて、上記キャビン(5)には、その天井近傍の浮遊塵埃を検出する空気汚れセンサ(36)を設け、この空気汚れセンサ(36)により検出される浮遊塵埃量が所定値を越えることを条件に空調装置を内気循環からを外気導入に切替える制御を備えたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記浮遊空気汚れセンサ(36)を、前記操作レバー(14a)の上方の位置に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−166865(P2010−166865A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13278(P2009−13278)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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