説明

コンバイン

【課題】本発明は、コンバインの刈取部を自動制御で昇降するようにした構成で、自動で昇降させる範囲の設定を容易にすることを課題とする。
【解決手段】車台11の前部に昇降可能に設ける刈取前処理装置13の地上高を検出する刈取高さ検出手段2を設け、該刈取高さ検出手段2の検出する地上高に基づいて刈高さ制御処理装置38で刈取前処理装置13を制御下限位置から制御上限位置の範囲で昇降制御するコンバインにおいて、刈高さ制御処理装置38を調整記憶モードに切換えると、刈取前処理装置13の昇降移動率を監視し、昇降移動を一定時間停止した位置を制御下限位置と制御上限位置として記憶すべくしたことを特徴とするコンバインの刈取昇降制御装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に記載のコンバインにおいて、コンバインの前部には刈刃を設けた刈取前処理装置が昇降可能に設けられ、刈刃の後下部に刈高さ検出用ソリ体が設けられて、該刈高さ検出用ソリ体で検出する刈刃の地上高を一定にするために刈取部を昇降させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−4614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインで収穫作業を開始するには、まず、大豆、麦、稲などの収穫対象種別や圃場の硬軟などの作業条件によって、収穫作業前に刈取前処理装置の地上高の昇降範囲を一定範囲に調整するが、刈取前処理装置には刈刃の他に搬送装置などの重量物を備えるために昇降範囲の設定が面倒である。
【0005】
本発明は、コンバインの刈取部を自動制御で昇降するようにした構成で、自動で昇降させる範囲の設定を容易にし、操作性の向上によってコンバインの作業能率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
即ち請求項1記載の発明は、車台(11)の上側に脱穀装置(12)を設け、該脱穀装置(12)の前側に刈取前処理装置(13)を昇降可能に設け、該刈取前処理装置(13)の地上高を検出する刈取高さ検出手段(2)を設け、該刈取高さ検出手段(2)によって検出された地上高に基づいて刈取前処理装置(13)を制御下限位置から制御上限位置の範囲で昇降制御する刈高さ制御装置(38)を備えたコンバインにおいて、前記刈高さ制御装置(38)を調整記憶モードに切換えると、刈取前処理装置(13)の昇降移動率を監視し、該刈取前処理装置(13)が上昇移動を検出した後に昇降移動を一定時間停止した位置を制御上限位置として記憶し、刈取前処理装置(13)の下降移動を検出した後に昇降移動を一定時間停止した位置を制御下限位置として記憶する構成としたことを特徴とするコンバインとした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記刈取高さ検出手段(2)として、接地して地上高を検出する接地高さセンサ(25)と、刈取前処理装置(13)の昇降枢支部に設ける回動角度から車台(11)に対する刈取前処理装置(13)の高さを検出する刈取位置センサ(30)を設け、該接地高さセンサ(25)と刈取位置センサ(30)が検出するデータに基づいて刈取前処理装置(13)の昇降制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記刈高さ制御装置(38)は、走行検出手段(40)が車体の走行状態を検出している場合は、接地高さセンサ(25)の検出情報によって制御下限位置から制御上限位置までの範囲で刈取前処理装置(13)の昇降制御を行い、走行検出手段(40)が走行状態を検出していない場合には、刈取位置センサ(30)により非作業高さまで上昇した位置に保持する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとした。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記刈高さ制御装置(38)は、脱穀装置(12)を駆動していることを検出する脱穀クラッチスイッチ(27)が駆動状態を検出している場合は、接地高さセンサ(25)の検出情報によって制御下限位置から制御上限位置までの範囲で刈取前処理装置(13)の昇降制御を行い、脱穀クラッチスイッチ(27)が脱穀装置(12)の駆動状態を検出していない場合は刈取位置センサ(30)により非作業高さまで上昇した位置に保持する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、刈高さ制御装置(38)の制御下限位置と制御上限位置の設定が、刈取昇降制御装置(38)を調整記憶モードにして刈取前処理装置(13)を昇降させ一定時間昇降を停止するだけで設定できるので、制御下限位置と制御上限位置を個別に設定する必要が無く操作手順が非常に簡単になり、操作性の向上によってコンバインの作業能率を高めることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえで、刈取前処理装置(13)の地上高検出が接地高さセンサ(25)と刈取位置センサ(30)で幅広く行える。
【0012】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、刈り取り作業中に、正確な地上高で刈取前処理装置(13)の自動昇降制御が行え、刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0013】
請求項4記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、脱穀装置(12)を駆動しない路上走行時に、刈取前処理装置(13)を非作業高さまで上昇させることで、この路上走行の安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの一部拡大側面図である。
【図3】刈高さ制御の制御ブロック図である。
【図4】自動制御範囲設定の制御フローチャート図である。
【図5】検出データの使い分け制御フローチャート図である。
【図6】降下速度制御フローチャート図である。
【図7】上昇速度制御フローチャート図である。
【図8】掻込みリールの駆動制御の制御ブロック図である。
【図9】掻込みリールの駆動制御フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例で説明する。
実施例として示す汎用コンバインは、図1に示すように、クローラ10を装備した車台11上に、茎稈供給口を前側にして脱穀装置12を搭載し、その茎稈供給口に刈取前処理装置13の搬送コンベヤの終端部を接続して構成している。
【0016】
刈取搬送装置13は刈取昇降シリンダ45により搬送コンベヤの終端近傍の昇降枢支部を支点に前側を上下回動自在に構成しており、この昇降角度を刈取位置センサ30により検出し、刈取搬送装置13の対機体高さを算出する構成としている。
【0017】
そして、脱穀装置12は、上部に螺旋式扱胴を前後方向に軸架して下側に選別網( 受網)を張設した扱室を配置し、その下側に揺動選別棚を設け、更にその下方に選別方向の上手側から順番に、圧風唐箕、一番移送螺旋、二番移送螺旋を軸装し、後部下方に排塵口を開口した選別室を設けて構成している。
【0018】
つぎに、刈取前処理装置13は、前記搬送コンベヤの搬送始端部に収集テーブル16を連結して設け、この収集テーブル16上に横向きに掻込みオーガー14を軸架する構成としている。そして、刈取前処理装置13は、図面に示すように、収集テーブル16の前側に刈取装置15を設け、この刈取装置15が刈り取った穀稈の穂先部を、上記掻込みオーガー14が搬送過程で前側から一側方に収集しながら、前記搬送コンベヤの搬送始端部に供給する構成としている。刈取前処理装置13の上部には掻込みリール17を設け、穀稈を刈取装置15に押え込み供給している。
【0019】
収集テーブル16の底部には、刈取前処理装置13の昇降高さを接地して検出する接地刈取高さ検出機構18を設けている。この接地刈取高さ検出機構18は、図2に示す如く、刈取フレーム20に横架した取付軸21に前接地板19aを固着し、その後端部に後接地板19bを枢支軸19cで枢支し、該枢支軸19cを挟んで前接地板19aと後接地板19bに両端を固定した引張バネ26の張力によって前接地板19aの後端部を下向き付勢して接地部を構成している。
【0020】
前接地板19aが接地してその上下動が取付軸21の回動となるが、取付軸21には伝動アーム22を固着しているので、この伝動アーム22の後端のピン23が上下し、ピン23に接地高さセンサ25のアーム24が係合して、刈取前処理装置13の地上高を検出するようにしている。
【0021】
図3は、刈取前処理装置13の昇降自動制御に関する制御ブロック図で、刈取制御装置1の入力側は、脱穀クラッチスイッチ27からのオン・オフ信号と自動接地追従スイッチ28からのオン・オフ信号と自動定点停止スイッチ29からのオン・オフ信号が刈取制御装置1のデジタル信号入力処理34を経て刈高さ制御装置38に入力する。
【0022】
刈取前処理装置13を車体フレームに枢支する部分に設けて回動角度から検出する刈取位置センサ30からの刈取位置信号と前記接地高さセンサ25からの接地高さ信号と刈高さ設定ダイヤル31からの高さ設定信号と刈取昇降レバーセンサ32の操作信号が刈取制御装置1のアナログ信号入力処理35を経て刈高さ制御装置38に入力する。
【0023】
車速カウンタ33からカウント値が刈取制御装置1のパルス入力検出手段36に入り車速検出手段40を経て刈高さ制御装置38に入力する。
刈取制御装置1内では、タイマカウント手段37と刈高さ位置記憶手段39と刈高さ制御装置38で自動制御データが演算処理される。
【0024】
刈高さ制御装置38の演算処理信号が刈取上昇速度手段41を経て刈取昇降出力43として刈取前処理装置13の昇降シリンダを作動させ、刈取下降速度手段42を経て刈取下降出力44として刈取前処理装置13の刈取昇降シリンダ45を作動させる。
【0025】
図4は、刈取前処理装置13を自動で昇降させる場合の制御上限位置と制御下限位置を記憶させるフローチャートで、まず、ステップS1で記憶調整モードであるかを判定し、YESであれば、ステップS2で刈取昇降レバーを操作して刈取昇降レバーセンサ32の出力を刈取制御装置1に入力し、ステップS3で接地高さセンサ25が下降変化を出力したと判定すると、ステップS4で接地下限調整中を記憶し接地上限調整中を解除し、ステップS5で下限記憶監視時間を初期化して計時を開始する。その後、ステップS9の接地下限調整中の判断では当然YESであるから、ステップS10で停止状態での所定の下限記憶監視時間が経過するのを待って、ステップS11でその停止状態の地上高を制御下限位置として記憶し、ステップS12で接地上限調整中を解除して接地下限調整中を解除しリターンする。
【0026】
ステップS3で接地高さセンサ25が下降変化を出力したと判定しなく、ステップS13で接地上限調整中と判定すれば、ステップS14で停止状態での所定の上限記憶監視時間が経過するのを待って、ステップS15でその停止状態の地上高を制御上限位置として記憶し、ステップS16で接地上限調整中を解除して接地下限調整中を解除しリターンする。
【0027】
図5は刈取前処理装置13の地上高を検出する接地高さセンサ25と刈取位置センサ30の検出データの使い分けを示すフローチャートで、ステップS20で自動接地追従スイッチ28のオン・オフを判定し、オンであれば、ステップS21で車速カウンタ33から走行速度を読み込み、ステップS22で車速が極低速の所定速度より速いかを判定する。
【0028】
車速が所定速度より速ければ、ステップS23の接地高さセンサ25で検出する刈高さが作業下限高さより低いかの判定を行い、低ければステップS28で刈取前処理装置13を上昇する出力を行いリターンし、高ければステップS24で接地高さセンサ25により検出する刈高さが作業上限高さより高いかの判定を行い、高ければステップS29で刈取前処理装置13を下降させる出力を行いリターンし、低ければそのままでリターンする。
【0029】
ステップS22で車速が極低速の所定速度より遅くて略停止状態であれば、ステップS25で脱穀クラッチスイッチ27のオンを判定し、オンであれば前記ステップS23に移行し、オフであればステップS26の刈取位置センサ30で検出する刈高さが作業下限高さより低いかの判定を行い、低ければステップS28で刈取前処理装置13を上昇する出力を行いリターンし、高ければステップS27で刈取位置センサ30が検出する刈高さが作業上限高さより高いかの判定を行い、高ければステップS29で刈取前処理装置13を下降させる出力を行ってリターンし、低ければそのままでリターンする。
【0030】
図6は刈取前処理装置13の降下速度を制御するフローチャートで、ステップS30で自動接地追従スイッチ28のオン・オフを判定し、オンであれば、ステップS31で刈取昇降レバーセンサ32のオンを判定し、オンであればステップS32で刈取自動下降中を記憶し、ステップS33で刈取昇降レバーセンサ32の検出量から下降速度を算出し、ステップS37で刈取下降出力を行う。
【0031】
ステップS31で刈取昇降レバーセンサ32がオンでなければ、ステップS34で刈取自動下降中を判定し、下降中であればステップS35で刈取前処理装置13の現在位置が制御上限位置よりも上かを判定し、上であればステップS38で刈取下降速度を中速にして、ステップS37で刈取下降出力を行う。
【0032】
ステップS35で刈取前処理装置13の現在位置が制御上限位置以下であれば、ステップS36で刈取自動下降速度が設定済であるかを判定し、設定済でなければステップS39で刈取前処理装置13の現在位置から自動降下速度を算出(高さが低ければ下降速度を遅くする)し、ステップS40で刈取自動下降速度設定済を記憶し、ステップS37で刈取下降出力を行う。
【0033】
ステップS36で刈取自動下降速度が設定済でなければ、そのままで、ステップS37で刈取下降出力を行う。
以上の降下速度制御で、刈取前処理装置13が高い位置にあれば速く降下させ、低い位置にあればゆっくりと降下させるようになり、下降停止のショックを和らげ正確に停止する。
【0034】
図7は刈取前処理装置13の上昇を制御するフローチャートで、ステップS50で自動接地追従スイッチ28のオン・オフを判定し、オンであればステップS52で脱穀クラッチスイッチ27のオンを判定し、オンであればステップS53で刈取位置センサ30の検出値が自動制御上限値以下であるかを判定し、以下であればステップS54で接地高さセンサ25の検出値が自動制御上限値以下であるかを判定し、以下であればステップS55で刈取昇降レバーセンサ32が上であるかの判定を行い、上であればステップS59で上昇牽制解除時間をカウントして、ステップS60で上昇牽制解除時間の経過を待って、ステップS61で上昇牽制解除時間を初期化して、リターンする。
【0035】
ステップS50で自動接地追従スイッチ28がオンでなければステップS51の自動定点停止スイッチ29のオン判定を行い、オンであればステップS63の定点停止制御に移行し、オンでなければステップS61の上昇牽制解除時間初期化に移行する。
【0036】
ステップS52とステップS53とステップS54の判定がNOであれば、ステップS61の上昇牽制解除時間初期化に移行する。
ステップS55で刈取昇降レバーセンサ32が上でなければ、ステップS56で刈高さ設定ダイヤル31より上限位置を算出し、ステップS57で接地高さセンサ25の検出値が上限位置より高いかを判定し、高いか高くなくてもステップS62で刈取位置センサ30の検出値が上限位置より高ければステップS58で刈取上昇出力の停止を行ってリターンする。ステップS62で刈取位置センサ30の検出値が上限位置より高くなければそのままでリターンする。
【0037】
ステップS53の自動制御上限値は、図4のステップS15において刈高位置記憶手段39に記憶した制御上限位置を基準として、それよりも低い高さに刈高さ設定ダイヤル31で任意に設定する値であり、あらかじめ設定した制御上限位置に対してダイヤル操作のみで刈取前処理装置13の上昇位置を設定することができ、収穫物によって変更することができる。
【0038】
この制御で、刈高さ設定ダイヤル31の上限位置が優先され、この上限位置を超えれば上昇を停止するが、刈取昇降レバーを一定時間以上上昇側に操作し続けると、刈高さ設定ダイヤル31の上限位置を越えて上昇するため、刈高さ設定ダイヤル31の設定を変更せず制御上限位置を超えて上昇させることができ、その上設定の戻し忘れの虞がない。
【0039】
図8と図9は、掻込みリール17の駆動制御に関する制御ブロック図と制御フローチャートである。
図8で、リール制御装置49に入力する制御信号は、脱穀クラッチスイッチ27からのオン・オフ信号と主変速レバーセンサ50からの前・後進変速信号がデジタル信号入力処理53を経てリール回転制御装置57に入力する。
【0040】
主変速レバーセンサ50の前後進信号とリール変速位置センサ51のリール変速信号と刈取位置センサ30からの刈取位置信号がリール制御装置49のアナログ信号入力処理54を経てリール回転制御装置57に入力する。
【0041】
車速カウンタ33からカウント値とリール回転センサ52の回転カウント値がリール制御装置49のパルス入力検出手段55を経てリール回転制御装置57に入力する。
リール制御装置49内では、タイマカウント手段56とリール回転制御装置57で演算処理される。
【0042】
リール回転制御装置57からは、リール増速処理58を経て増速リレー61に出力され、リール減速処理59を経て減速リレー62に出力され、リール駆動出力処理60を経て駆動・停止リレー63に出力されてリール駆動モータ64が制御される。
【0043】
図9で、ステップS70で脱穀クラッチスイッチ27のオンを判定し、オンであればステップS71で主変速レバーセンサ50が前進を検出したかの判定を行い、前進以外であれば、ステップS72で掻込みリール17の駆動出力を行い、ステップS73で主変速レバーの前進設定を記憶し、ステップS74で主変速レバーの変速位置からリールの回転速度目標を算出し、ステップS83以降の後述するリール回転数制御を行う。
【0044】
ステップS71で主変速レバーセンサ50が前進以外を検出すれば、ステップS75で主変速レバーが前進設定かの判定を行い、前進設定であればステップS77に移行し、前進設定以外ならばステップS76の刈取位置が所定高さより高いかの判定を行い、高ければステップS82に移行し、低ければステップS77の主変速レバーが後進かの判定を行い、後進ならばステップS80で後進時のリール回転数目標を算出し、ステップS83以降の後述するリール回転数制御を行う。
【0045】
ステップS77の主変速レバーが後進かの判定で後進以外であればステップS78でリール回転継続タイマカウントを行い、ステップS79でリール回転継続終了の判定を行い、終了であればステップS82でリール駆動出力を停止する。終了でなければステップS81で停止時のリール回転数の目標値を算出し、ステップS83以降の後述するリール回転数制御を行う。
【0046】
ステップS83では、リール回転数が目標回転数より速いかの判定を行い、速ければステップS85でリール回転の減速出力を行いリターンする。遅ければステップS84でリール回転数が目標回転数より遅いかの判定を行い、遅ければステップS86でリール回転の増速出力を行いリターンし、速ければそのままでリターンする。
【0047】
以上の制御で、主変速レバーを前進側へ一定以上操作した後に中立に戻すと、掻込みリール17を一定回転で一定時間回転を続けること或いは徐々に回転を低下させることで、刈取前処理装置13に残る刈取穀稈を脱穀装置12に取り込む。
【0048】
また、主変速レバーを前進側へ一定以上操作した後に後進に切換えると、掻込みリール17を一定回転で一定時間回転を続けること又は徐々に回転を低下させること或いは主変速レバーの操作量に応じて回転を変化させることで、刈取前処理装置13に残る刈取穀稈を脱穀装置12に取り込む。
【0049】
しかして、機体を停止又は後進させることによる刈取前処理装置13の残留穀稈を確実に脱穀装置12に送り込んで取りこぼしを防ぎ収穫効率を高める。
掻込みリール17は、一定高さ以上に上昇させると停止させるが、刈取前処理装置13を所定高さ以下に降下させても主変速レバーを前進側へ操作しないと停止したままとする。しかし、脱穀レバーを切から入にすると回転を再開する。
【0050】
これにより、刈取前処理装置13を下降させた際に、意図せず掻込みリール17が駆動されて、周囲の作業者が巻き込まれる危険を解消することができる。
【符号の説明】
【0051】
2 刈取高さ検出手段
11 車台
13 刈取前処理装置
25 接地高さセンサ
30 刈取位置センサ
38 刈高さ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台(11)の上側に脱穀装置(12)を設け、該脱穀装置(12)の前側に刈取前処理装置(13)を昇降可能に設け、該刈取前処理装置(13)の地上高を検出する刈取高さ検出手段(2)を設け、該刈取高さ検出手段(2)によって検出された地上高に基づいて刈取前処理装置(13)を制御下限位置から制御上限位置の範囲で昇降制御する刈高さ制御装置(38)を備えたコンバインにおいて、前記刈高さ制御装置(38)を調整記憶モードに切換えると、刈取前処理装置(13)の昇降移動率を監視し、該刈取前処理装置(13)が上昇移動を検出した後に昇降移動を一定時間停止した位置を制御上限位置として記憶し、刈取前処理装置(13)の下降移動を検出した後に昇降移動を一定時間停止した位置を制御下限位置として記憶する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記刈取高さ検出手段(2)として、接地して地上高を検出する接地高さセンサ(25)と、刈取前処理装置(13)の昇降枢支部に設ける回動角度から車台(11)に対する刈取前処理装置(13)の高さを検出する刈取位置センサ(30)を設け、該接地高さセンサ(25)と刈取位置センサ(30)が検出するデータに基づいて刈取前処理装置(13)の昇降制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記刈高さ制御装置(38)は、走行検出手段(40)が車体の走行状態を検出している場合は、接地高さセンサ(25)の検出情報によって制御下限位置から制御上限位置までの範囲で刈取前処理装置(13)の昇降制御を行い、走行検出手段(40)が走行状態を検出していない場合には、刈取位置センサ(30)により非作業高さまで上昇した位置に保持する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記刈高さ制御装置(38)は、脱穀装置(12)を駆動していることを検出する脱穀クラッチスイッチ(27)が駆動状態を検出している場合は、接地高さセンサ(25)の検出情報によって制御下限位置から制御上限位置までの範囲で刈取前処理装置(13)の昇降制御を行い、脱穀クラッチスイッチ(27)が脱穀装置(12)の駆動状態を検出していない場合は刈取位置センサ(30)により非作業高さまで上昇した位置に保持する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−244794(P2011−244794A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124418(P2010−124418)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】