コンバイン
【課題】ラジエーターが縦軸回動でオープンするため、ラジエーターの回動角度を大きくすると他の部材のメンテナンス性が低下する。ラジエーターの回動角度が大きくなるため、冷却器の各ホース長さが長くなるという課題がある。
【解決手段】走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンク5を設け、前記走行装置2と刈取装置4と脱穀装置を駆動するエンジン12を設け、該エンジン12の外側には冷却用ファン13と該冷却用ファン13を覆うシュラウド17と冷却器Fを設け、該冷却器Fの内側の下側に、前記グレンタンク5の排出装置25へ前記エンジン12からの駆動力を伝達するベルト27を設け、前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向の回動支点Sまわりに回動可能に軸支したことを特徴とするコンバイン。
【解決手段】走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンク5を設け、前記走行装置2と刈取装置4と脱穀装置を駆動するエンジン12を設け、該エンジン12の外側には冷却用ファン13と該冷却用ファン13を覆うシュラウド17と冷却器Fを設け、該冷却器Fの内側の下側に、前記グレンタンク5の排出装置25へ前記エンジン12からの駆動力を伝達するベルト27を設け、前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向の回動支点Sまわりに回動可能に軸支したことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置の前方に刈取装置を設け、走行装置の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンクを設け、走行装置等を駆動するエンジンの外側には冷却用ファンと該冷却用ファンを覆うシュラウドと冷却器を設け、冷却器のうちラジエーターの内側の下側に、前記グレンタンクの排出装置へ回転伝達するベルトを設け、ラジエーターを機体前側端部の支点で、縦軸回動させる構成は公知である(特許文献1)。
また、従来、ラジエーターを機体後側端部の支点で、縦軸回動させる構成は公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−47049号公報
【特許文献1】特開平10−248353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例の何れも、ラジエーターを縦軸回動させる構成のため、ラジエーターの回動角度を大きく取らなければ、グレンタンクのベルトのメンテナンスは困難であり、ラジエーターの回動角度が大きくなるため、冷却器の各ホース長さが長くなるという課題がある。
本願は、冷却器の取付構成を工夫し、少ないラジエーターの回動量で、グレンタンクの駆動部の周辺の開放空間を大きくし、メンテナンスを容易にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンク5を設け、前記走行装置2と刈取装置4と脱穀装置を駆動するエンジン12を設け、該エンジン12の外側には冷却用ファン13と該冷却用ファン13を覆うシュラウド17と冷却器Fを設け、該冷却器Fの内側の下側に、前記グレンタンク5の排出装置25へ前記エンジン12からの駆動力を伝達するベルト27を設け、前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向の回動支点Sまわりに回動可能に軸支したことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却器Fとシュラウド17は、機体フレーム1の上方の回動支点Sを中心に横軸外側回動させて、グレンタンク5の駆動部を開放する。
請求項2の発明は、前記冷却器Fの所定位置には、該冷却器Fおよびシュラウド17を外側回動姿勢に保持するストッパ部材35を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却器Fとシュラウド17を、回動支点Sを中心に横軸外側回動させ、ストッパ部材35によりオープン状態を保持し、グレンタンク5の駆動部の点検等のメンテナンスを行う。
請求項3の発明は、前記冷却器Fの下部と前記機体フレーム1の間には、該冷却器Fの下部と機体フレーム1の間の隙間を塞ぐ仕切り部材41を冷却器Fの下部に一体的に設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却用ファン13からの送風がエンジン12に当たってエンジン12を冷却し、この冷却用ファン13からの冷却風はエンジン12に当たって熱風になって周囲に分散し、分散した熱風のうち一部は冷却器Fの外側に戻るように流れるが、冷却器Fの下部と機体フレーム1の間の仕切り部材41によりエンジンルーム11に戻される。
請求項4の発明は、前記冷却器Fを、前記シュラウド17の外側のラジエータ14と該ラジエーター14の外側に設けた枠体43に取付けたオイルクーラー15およびインタークーラー16により構成し、前記シュラウド17と枠体43とを連結部材45により連結し、前記シュラウド17に前記回動支点Sを設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却用ファン13からの送風がラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16に当たって冷却し、また、回動支点Sを中心に横軸外側回動させたラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16を取付けた枠体43とシュラウド17とを、ストッパ部材35によりオープン状態に保持し、グレンタンク5の駆動部の点検等のメンテナンスを行う。
請求項5の発明は、前記冷却器Fの下部と前記エンジン12とを接続する冷却ホース52を設け、冷却ホース52の前記ベルト27側への移動を規制する干渉防止用ストッパ86を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却器Fの下部とエンジン12とを接続する冷却ホース52により冷却器Fで冷却水をエンジン12に循環させて冷却する。
この場合、冷却ホース52は、グレンタンク5の排出装置25へエンジン12からの駆動力を伝達するベルト27の近傍に配索して全長を短くし、仮に、冷却ホース52が変形しても干渉防止用ストッパ86によりベルト27側への移動を規制し、干渉を防止する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、冷却器Fとシュラウド17が、機体フレーム1の上方の回動支点Sを中心に横軸外側回動するので、冷却器Fとシュラウド17の回動量の割合に対してグレンタンク5の駆動部を大きく開放でき、メンテナンスを容易にでき、また、冷却器Fとシュラウド17の回動量を小さくできるので、配管の長さを短くできる。
請求項2の発明では、ストッパ部材35により冷却器Fとシュラウド17のオープン状態を保持できるので、グレンタンク5の駆動部の点検等のメンテナンスを容易に行うことができる。
請求項3の発明では、エンジンルーム11内で暖められて熱風になった冷却用ファン13による送風が、冷却器Fの外側に戻るのを仕切り部材41が防止するので、冷却用ファン13からの送風は常時冷涼に維持でき、冷却効率を低下させることがない。 また、冷却器Fを外側回動させると仕切り部材41が冷却器Fと一体で移動するので、ベルト27の周辺のメンテナンス空間を広く開放することができる。
請求項4の発明では、冷却用ファン13からの送風によりラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16を冷却でき、前記シュラウド17と枠体43とを連結部材45により連結したので、冷却器Fであるラジエーター14とシュラウド17と枠体43との間に隙間が生じにくく、冷却効果を向上させることができ、更に、シュラウド17に回動支点Sを設けているので、ラジエーター14に枠体43(オイルクーラー15およびインタークーラー16)の重量が掛からず、ラジエーター14の変形や破損を防ぐことができる。
請求項5の発明では、冷却ホース52の全長を短くして配索できると共に、冷却ホース52とベルト27との干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】エンジン周辺の平面図。
【図3】ラジエーターカバーの側面図。
【図4】シュラウドの側面図。
【図5】ラジエーターのオープン状態背面図。
【図6】ラジエーターの通常状態背面図。
【図7】エンジン付近の側面図。
【図8】同平面図。
【図9】同正面図。
【図10】同平面図。
【図11】インタークーラーのオープン移行状態図。
【図12】インタークーラーのオープン移行前の側面図。
【図13】同オープン移行状態側面図。
【図14】同背面図。
【図15】同拡大背面図。
【図16】同拡大平面図。
【図17】エンジン周辺の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置であり、走行装置2の上方の一側には脱穀装置(図示省略)を設け、該脱穀装置3の前側には刈取装置4を設ける。前記脱穀装置の側部には脱穀装置により脱穀および選別した穀粒を一次貯留するグレンタンク5を設け、グレンタンク5の前側には操縦部7を設けている(図1)。
操縦部7の運転座席10の下方(後側)付近には周囲を包囲されたエンジンルーム11を形成し、エンジンルーム11内にエンジン12を設ける。エンジン12の外側(右側)にはエンジン冷却用ファン13を設ける(図2)。冷却用ファン13の外側にはエンジン12を冷却する冷却器Fを設ける、。本願では、冷却器Fを、ラジエーター14と、ラジエーター14の外側に設けたオイルクーラー15およびインタークーラー16により構成している。ラジエーター14の後方には冷却用ファン13を包囲するシュラウド17を設ける。
【0009】
前記ラジエーター14の外側にはラジエーターカバー20を設ける。ラジエーターカバー20には開口部21を形成し、該開口部21に防塵ネット22を設ける(図4)。ラジエーターカバー20は前記機体フレーム1側に設けたフレーム23の所定位置に縦軸24および軸受(図示省略)により外側回動自在に取付ける。
前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向の回動支点Sで下側を回動可能に構成する。
そのため、前記グレンタンク5の排出装置25へ回転入力するプーリー26に掛け回したベルト27の点検・交換・着脱を容易にする。
この場合、ラジエーター14は、上方の回動支点Sを中心に横軸回動するので、開く量の割合に比しプーリー26の周辺の開放空間を充分に確保でき、それゆえ、ラジエーター14への配管を短くでき、好適である。
28は出力プーリ、29はテンションプーリ、30はテンションスプリング、31はギヤボックスである(図7)。
【0010】
本願の冷却器Fは、ラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16により構成しているので、これらとシュラウド17と共に一体状態で、シュラウド17の上方の回動支点Sを中心として、ラジエーター14の下部が横軸回動する構成となる。
前記ラジエーター14の所定位置には、ストッパ部材35を設ける。ストッパ部材35は、横軸外側回動オープンさせたラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16とシュラウド17のオープン状態を保持させる。
ストッパ部材35はシュラウド17に軸35Aにより回動自在に取付ける。ストッパ部材35には係合溝35Bを設け、係合溝35Bは機体フレーム1に固定のフレーム23のうちの外側縦フレーム37に設けた係合部材(軸)35Cに係合離脱自在に係合させる(図4,図6)。
【0011】
即ち、ラジエーター14等のオープン前には外側縦フレーム37よりも内側(奥側)に位置し、ラジエーター14等のオープン前には外側縦フレーム37よりも内側(奥側)にストッパ部材35は位置し、回動支点Sを中心にラジエーター14等を一体オープンさせると、ストッパ部材35と係合部材(軸)35Cとが図のように背面視において重なって、ストッパ部材35の係合溝35Bを外側縦フレーム37に係合させ、ラジエーター14等のオープン状態を保持する。
そのため、グレンタンク5のベルト27の周辺にメンテナンス用の開放空間形成でき、点検・交換・着脱等のメンテナンスを容易にする。
【0012】
前記冷却器Fの回動支点Sは、横軸36とする。横軸36は、シュラウド17の上部に内側から前後方向に夫々突出させ、前記フレーム23の内の外側縦フレーム37に設けたステー38の長孔39に挿通し、長孔39より突出する部分の横軸36に割ピン等により形成した係合ピン40を係合させて抜け止めとする。
そのため、横軸36に対してステー38を長孔39により外方向に移動させながら、ラジエーター14の下部を上向きオープンさせる(図5)。
したがって、この長孔39により回動支点Sに対してラジエーター14が外側に移動するので、この点でも、冷却器Fの上部移動量に対して冷却器Fの下部の移動量を大きくでき、グレンタンク5のベルト27周辺の開口空間を大きくでき、メンテナンス容易にする。
【0013】
前記ラジエーター14の前方に、オイルクーラー15とインタークーラー16を囲む枠体(プレートシール)43を設ける。
前記枠体43には、取付部44を設け、取付部44に連結部材45の外端を固定具46により固定する。連結部材45の内端はシュラウド17に固定具46により固定し、連結部材45により枠体43とシュラウド17とを連結する(図5,図9)。
枠体43はラジエーター14側に一体状に取付けられ、シュラウド17もラジエーター14側に取り付け、前記連結部材45の外端側はフレーム23側に着脱自在の固定具47により取り付ける。
前記連結部材45は、前記ステー38の下方に設け、固定具47を外して、ラジエーター14と枠体43とシュラウド17とを一体外側オープンさせる。
【0014】
また、枠体43とラジエーター14とシュラウド17の下部には、下側連結部材48を設け、下側連結部材48により枠体43とラジエーター14とシュラウド17とを一体状に連結すると共に、下側連結部材48の外端側は機体フレーム1側に着脱自在の固定具47により取り付けている。
前記オイルクーラー15およびインタークーラー16は上下に枠体43内に配置し、該枠体43と前記シュラウド17とをラジエーター14を挟んで連結部材45および下側連結部材48により連結する(図9)。
そのため、ラジエーター14のロアホース52やオイルクーラー15の配管ホース53やインタークーラー16の配管ホース54の弾性復元力によるラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16の配置がずれる等の不具合発生を防止できる。
【0015】
前記冷却器Fの下部と前記機体フレーム1の間には、冷却器Fの下部と機体フレーム1の間の隙間を塞ぐ仕切り部材41を設ける(図5、図9、図12)。
即ち、本願の冷却器Fは、ラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16により構成し、オイルクーラー15とインタークーラー16を取付ける枠体43も前記冷却器Fの一部を構成し、この枠体43の下部に前記仕切り部材41を一体状に設け、仕切り部材41の下部を前記機体フレーム1の上面まで延長させた構成としている。
そのため、エンジンルーム11とラジエーターカバー20の外側とを枠体43の仕切り部材41で遮断することにより、冷却用ファン13による熱風がエンジンルーム11から吹き出すのを抑制でき、この熱風を再びラジエーターカバー20から吸気するの防止でき、冷却器Fの冷却効率を向上させられる。
【0016】
しかして、前記オイルクーラー15は、走行装置2のミッション(図示省略)の潤滑油を冷却するミッションオイルクーラー60と走行装置2に伝達するエンジン12の回転を変速する変速装置の潤滑油を冷却するHSTオイルクーラー61を有して構成し、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は一部内外に重ねて配置する(図12)。
前記ミッションオイルクーラー60の配管ホース53AとHSTオイルクーラー61の配管ホース53Bは、夫々上下一対で、前後方向に配置し、各配管ホース53の弾性により、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61が、配管ホース53Aと配管ホース53Bの所定部分を撓ませて縦軸外側回動する構成とする(図2)。
そのため、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンさせられ、メンテナンスを容易にする。
【0017】
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンとしているので、特別に回動機構の構成を設けることなく、外側オープンでき、構成を簡素にする。
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とは、内外方向(左右方向)に並設しているので、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の冷却面積を広く、容量を大きくでき、冷却効率を向上させられる。
前記枠体43には取付部材62を設け、取付部材62にミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを夫々ボルト63により着脱自在に取付ける(図8)。
【0018】
前記ミッションオイルクーラー60の配管ホース53AとHSTオイルクーラー61の配管ホース53Bは、ラジエーター14と操縦部7のステップ66の後部の間に配置する。
前記インタークーラー16はオイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の上方に配置し、インタークーラー16の配管ホース54の弾性により、配管ホース54の所定部分を撓ませて横軸外側回動する構成とし、配管ホース54はラジエーター14の上方に配置する。
そのため、下方に配管したものに比し各ホース配管ホース53および配管ホース54の変動長さを短くすることができ、価格も低くでき、コストダウンできる。
また、インタークーラー16の配管ホース54の配管は、ラジエーター14の上方のラジエーター14の回動支点S近くにしているため、配管ホース54の変動長さを短くすることができ、冷却器Fをオープンさせるときの支障がない。
【0019】
前記インタークーラー16は取付枠70に取付け、取付枠70は枠体43の上部枠71に対して着脱自在構成とする(図11)。
インタークーラー16の取付枠70は上部枠71の切欠部72に平面視において嵌めて取付ける。切欠部72は上部枠71の外側に向けて開口する形状とし、インタークーラー16の外側オープンを行える構成とする。
そのため、インタークーラー16はラジエーター14より遠ざかるように外側オープンさせられ、インタークーラー16および冷却器Fのメンテナンスを容易にする。
また、前記上部枠71には取付枠70の所定部分が係合する突起73を設ける。
そのため、突起73に取付枠70の所定部分を引っ掛け係合させることにより、インタークーラー16のオープン状態を保持し、メンテナンス作業を容易にする。
【0020】
この場合、前記突起73は取付枠70と上部枠71を固定するボルトとすると、固定具と操作具とを兼用でき、合理的構成となる。
インタークーラー16の配管ホース54は、エンジン接続部75と枠体43に取付けたインタークーラー16との間に、ラジエーター14を跨ぐように配置される。
したがって、配管ホース54は、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分となる縦筒部76と各縦筒部76を繋ぐ横筒部77を有して構成し、横筒部77をラジエーター14の上方に位置させ、この横筒部77の撓みにより、インタークーラー16を上方回動させて外側オープンさせる構成とする。
そのため、インタークーラー16を外側オープンさせるとき、横筒部77を撓ませて、縦筒部76の変形を最小にすることができ、その結果、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分(クランプ)に掛かる荷重を軽減させ、配管ホース54の接続部分の弛みや外れ等の不具合発生を防止する。
【0021】
前記インタークーラー16の配管ホース54は、平面視において、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの前後一対設け、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの間に、前記ラジエーター14の給水口80を配置する。
そのため、ラジエーター14の給水口80の両側に前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bを設けているので、ラジエーター14への給水時に配管ホース54が邪魔にならない。
また、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとを直線的に配置でき、ホースの全長を短くでき、抵抗も少なく効率的で効率も向上する。
前記ラジエーター14のロアホースロアホース52は、ラジエーター14の下方からシュラウド17の下を通り、前記グレンタンク5の排出装置排出装置25のベルトベルト27および該ベルト27のテンションアーム81のスプリング82とシュラウド17の間を通して、ウォータポンプ83に至るように、配管構成する。
【0022】
そのため、ロアホース52はラジエーター14とエンジンルーム11の間を通しているので、交換を容易にし、配索も短くして安価となり、組立工数を少なくする。
ロアホース52の撓みを利用して、ラジエーター14を回動支点S中心に上方回動させられ、本来の目的であるエンジン12の前面側のグレンタンク5への駆動部の点検、整備を容易にする。
ラジエーター14のロアホース52のうちラジエーター14の下方を通るロアホース52の部分を、前記シュラウド17に一体的に固定状態にするガイド85をシュラウド17に設ける(図5,図7)。
ロアホース52は一端をエンジンルーム11に接続し、その他端をウォータポンプ83に接続しているため、エンジンルーム11との接続部分付近がラジエーター14の外側オープンにより大きく弾性変形することになるので、単に、ロアホース52の変形を放置すると、グレンタンク5への駆動部との干渉が生じる虞があるが、本願では、ロアホース52のうちラジエーター14の下方を通るロアホース52の部分はガイド85によりシュラウド17に一体的に固定状態となるので、グレンタンク5への駆動部との干渉を防止する。
【0023】
ラジエーター14の下方のロアホース52とグレンタンク5の駆動部との間に、干渉防止用ストッパ86を設ける(図5,図7)。
そのため、一旦、ラジエーター14の外側オープンによりロアホース52が弾性変形しても、ラジエーター14を元の位置に戻すとき、ラジエーター14の下部は干渉防止用ストッパ86により所定位置にて回動を停止するので、グレンタンク5への駆動部とラジエーター14の下部およびロアホース52との干渉を防止する。
【0024】
(実施例の作用)
エンジン12を始動して、走行装置2により走行し、走行中に刈取装置4で刈取った穀稈を脱穀装置で脱穀する。
エンジン12を始動すると、冷却用ファン13が回転し、ラジエーターカバー20の防塵ネット22から外気を吸引し、吸引した外気はラジエーター14を通過してエンジン12の冷却用の冷却水を冷却すると共に、エンジン12の外周を冷却しながら吹き抜ける。
前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向軸支点Sで下側を回動可能に構成しているので、前記グレンタンク5の排出装置25へ回転入力するプーリー26に掛け回したベルト27の点検・交換・着脱を容易にする。
冷却器Fはラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16とにより構成しているので、冷却器Fとシュラウド17とは共に一体状態で、シュラウド17の上方の回動支点Sを中心として横軸回動し、グレンタンク5の排出装置25へ回転入力するプーリー26に掛け回したベルト27の点検・交換・着脱を容易にする。
【0025】
この場合、ラジエーター14は、上方の回動支点Sを中心に横軸回動するので、開く量の割合に比しプーリー26の周辺の開放空間を充分に確保できるので、ラジエーター14への配管を短くでき、好適である。
ラジエーター14の所定位置には、ストッパ部材35を設けているので、ストッパ部材35は、横軸外側回動オープンさせたラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16とシュラウド17のオープン状態を保持させる。
そのため、グレンタンク5のベルト27の点検・交換・着脱等のメンテナンスを容易にする。
【0026】
ラジエーター14の回動支点Sは、シュラウド17の上部に前後方向に突出させた横軸36とし、横軸36はフレーム23のうちの外側縦フレーム37に設けたステーステー38の長孔39に内側から挿通し、係合ピン(割ピン)40を挿入して抜け止めとしているので、横軸36に対して長孔39を外方向に移動させながら、ラジエーター14の下部を持ち上げると、ラジエーター14を上向きオープンさせられる。
したがって、この長孔39により回動支点Sとなる横軸36に対してラジエーター14が外側方向に移動するので、この点でも、ラジエーター14の上部移動量に対してラジエーター14の下部の移動量を大きくでき、グレンタンク5のベルト27周辺の開口空間を大きくでき、メンテナンスを容易にする。
【0027】
ラジエーター14の前方にはオイルクーラー15とインタークーラー16を取付けた枠体43を設け、枠体43とシュラウド17とを連結部材45により連結しているので、連結部材45の固定具47を外すと、ラジエーター14と枠体43とシュラウド17とを一体外側オープンさせられ、グレンタンク5のベルト27の点検・交換・着脱等のメンテナンスを容易にする。
また、ラジエーター14と枠体43とシュラウド17は、連結部材45の下方に設けた下側連結部材48により連結しているので、下側連結部材48により枠体43とラジエーター14とシュラウド17とを一層容易に、外側オープンさせられる。
このオイルクーラー15とインタークーラー16を取付けた枠体43の下部の仕切り部材41は機体フレーム1の上面まで延長させた構成としているので、エンジンルーム11とラジエーターカバー20の外側とを枠体43の仕切り部材41で遮断することにより、冷却用ファン13による熱風がエンジンルーム11から吹き出すのを抑制でき、この熱風を再びラジエーターカバー20から吸気するの防止でき、ラジエーター14の冷却効率を向上させられる。
【0028】
オイルクーラー15およびインタークーラー16は枠体43内の上下方向に並べて配置し、枠体43とシュラウド17とを連結部材50により連結しているので、ラジエーター14のロアホース52やオイルクーラー15の配管ホース53やインタークーラー16の配管ホース54の弾性復元力によるラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16の配置がずれる等の不具合発生を防止できる。
しかして、オイルクーラー15は、走行装置2のミッション(図示省略)の潤滑油を冷却するミッションオイルクーラー60と走行装置2に伝達するエンジン12の回転を変速する変速装置の潤滑油を冷却するHSTオイルクーラー61を有して構成し、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は一部内外に重ねて配置し、ミッションオイルクーラー60の配管ホース53AとHSTオイルクーラー61の配管ホース53Bは、夫々上下一対で、前後方向に配置し、各配管ホース53の弾性により、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61が、配管ホース53Aと配管ホース53Bの所定部分を撓ませて縦軸外側回動する構成としているので、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンさせられ、メンテナンスを容易にする。
【0029】
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンとしているので、特別に回動機構の構成を設けることなく、外側オープンでき、構成を簡素にする。
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とは、内外方向(左右方向)に並設しているので、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の冷却面積を広く、容量を大きくでき、冷却効率を向上させられる。
枠体43には取付部材62を設け、取付部材62にミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを夫々ボルト63により着脱自在に取付けているので、ボルト63を外して、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンさせ、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の夫々のメンテナンスとラジエーター14のメンテナンスできる。
【0030】
反対に、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを元の位置に戻し、ボルト63により取付部材62に取付けると、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の前側は配管ホース53により支持され、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の後側は取付部材62により支持される。
インタークーラー16はオイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の上方に配置し、インタークーラー16の配管ホース54の弾性により、配管ホース54の所定部分を撓ませて横軸外側回動する構成とし、配管ホース54はラジエーター14の上方に配置しているので、下方に配管したものに比し各ホースの変動長さを短くすることができ、価格も低くでき、コストダウンできる。
【0031】
また、インタークーラー16の配管ホース54の配管は、ラジエーター14の上方のラジエーター14の回動支点Sの近くにしているため、配管ホース54の変動長さを短くすることができ、ラジエーター14をオープンさせるときの支障がない。
インタークーラー16は取付枠70に取付け、取付枠70は枠体43の上部枠71に対して着脱自在構成とし、インタークーラー16の取付枠70は上部枠71の切欠部72に平面視において嵌めて取付け、切欠部72は上部枠71の外側に向けて開口する形状としているので、インタークーラー16はラジエーター14より遠ざかるように外側オープンさせられ、インタークーラー16およびラジエーター14のメンテナンスを容易にする。
【0032】
また、上部枠71には取付枠70の所定部分が係合する突起73を設けているので、突起73に取付枠70の所定部分を引っ掛けて係合させることにより、インタークーラー16のオープン状態を保持し、メンテナンス作業を容易にする。
この場合、突起73を、取付枠70と上部枠71を固定するボルトとすると、固定具と操作具とを兼用でき、合理的構成となる。
インタークーラー16の配管ホース54は、エンジン側接続部75と枠体43に取付けたインタークーラー16との間に、ラジエーター14を跨ぐように配置し、配管ホース54は、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分となる縦筒部76と各縦筒部76を繋ぐ横筒部77を有して構成しているので、インタークーラー16を外側オープンさせるとき、横筒部77を撓ませて、縦筒部76の変形を最小にすることができ、その結果、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分(クランプ)に掛かる荷重を軽減させ、配管ホース54の接続部分の弛みや外れ等の不具合発生を防止する。
【0033】
インタークーラー16の配管ホース54は、平面視において、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの前後一対設け、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの間にラジエーター14の給水口80を配置しているので、ラジエーター14への給水時に配管ホース54が邪魔にならず、また、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとを直線的に配置でき、ホースの全長を短くでき、抵抗も少なく効率的で効率も向上する。
ラジエーター14のロアホース52は、ラジエーター14の下方からシュラウド17の下を通り、前記グレンタンク5の排出装置25のベルト27および該ベルト27のテンションアーム81のスプリング82とシュラウド17の間を通して、ウォータポンプ83に至るように、配管構成しているので、交換を容易にし、配索も短くして安価となり、組立工数を少なくする。
【0034】
ロアホース52の撓みを利用して、ラジエーター14を回動支点S中心に上方回動させられ、本来の目的であるエンジン12の前面側のグレンタンク5への駆動部の点検、整備を容易にする。
ラジエーター14のロアホース52のうちラジエーター14の下方を通るロアホース52の部分はガイド85によりシュラウド17に一体的に固定状態にしているので、グレンタンク5への駆動部との干渉を防止する。
【0035】
ラジエーター14の下方のロアホース52とグレンタンク5の駆動部との間に干渉防止用ストッパ86を設けているので、一旦、ラジエーター14の外側オープンによりロアホース52が弾性変形しても、ラジエーター14を元の位置に戻すとき、ラジエーター14の下部は干渉防止用ストッパ86により所定位置にて回動を停止するので、グレンタンク5への駆動部とラジエーター14の下部およびロアホース52との干渉を防止する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0036】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置4、5…グレンタンク、7…操縦部、10…座席、11…エンジンルーム、12…エンジン、13…冷却用ファン、14…ラジエーター、15…オイルクーラー、16…インタークーラー、17…シュラウド、20…ラジエーターカバー、21…開口部、22…防塵ネット、23…フレーム、24…縦軸、25…排出装置、26…プーリー、27…ベルト、35…ストッパ部材、36…横軸、37…外側縦フレーム、38…ステー、39…長孔、40…係合ピン、43…枠体、44…取付部、45…連結部材、46…固定具、47…固定具、48…下側連結部材、52…ロアホース、53…配管ホース、54…配管ホース、60…ミッションオイルクーラー、61…HSTオイルクーラー、62…取付部材、63…ボルト、66…ステップ、70…取付枠、71…上部枠、72…切欠部、73…突起、75…エンジン側接続部、76…縦筒部、77…横筒部、80…給水口、81…テンションアーム、82…スプリング、83…ウォータポンプ、85…ガイド、86…干渉防止用ストッパ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置の前方に刈取装置を設け、走行装置の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンクを設け、走行装置等を駆動するエンジンの外側には冷却用ファンと該冷却用ファンを覆うシュラウドと冷却器を設け、冷却器のうちラジエーターの内側の下側に、前記グレンタンクの排出装置へ回転伝達するベルトを設け、ラジエーターを機体前側端部の支点で、縦軸回動させる構成は公知である(特許文献1)。
また、従来、ラジエーターを機体後側端部の支点で、縦軸回動させる構成は公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−47049号公報
【特許文献1】特開平10−248353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例の何れも、ラジエーターを縦軸回動させる構成のため、ラジエーターの回動角度を大きく取らなければ、グレンタンクのベルトのメンテナンスは困難であり、ラジエーターの回動角度が大きくなるため、冷却器の各ホース長さが長くなるという課題がある。
本願は、冷却器の取付構成を工夫し、少ないラジエーターの回動量で、グレンタンクの駆動部の周辺の開放空間を大きくし、メンテナンスを容易にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンク5を設け、前記走行装置2と刈取装置4と脱穀装置を駆動するエンジン12を設け、該エンジン12の外側には冷却用ファン13と該冷却用ファン13を覆うシュラウド17と冷却器Fを設け、該冷却器Fの内側の下側に、前記グレンタンク5の排出装置25へ前記エンジン12からの駆動力を伝達するベルト27を設け、前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向の回動支点Sまわりに回動可能に軸支したことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却器Fとシュラウド17は、機体フレーム1の上方の回動支点Sを中心に横軸外側回動させて、グレンタンク5の駆動部を開放する。
請求項2の発明は、前記冷却器Fの所定位置には、該冷却器Fおよびシュラウド17を外側回動姿勢に保持するストッパ部材35を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却器Fとシュラウド17を、回動支点Sを中心に横軸外側回動させ、ストッパ部材35によりオープン状態を保持し、グレンタンク5の駆動部の点検等のメンテナンスを行う。
請求項3の発明は、前記冷却器Fの下部と前記機体フレーム1の間には、該冷却器Fの下部と機体フレーム1の間の隙間を塞ぐ仕切り部材41を冷却器Fの下部に一体的に設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却用ファン13からの送風がエンジン12に当たってエンジン12を冷却し、この冷却用ファン13からの冷却風はエンジン12に当たって熱風になって周囲に分散し、分散した熱風のうち一部は冷却器Fの外側に戻るように流れるが、冷却器Fの下部と機体フレーム1の間の仕切り部材41によりエンジンルーム11に戻される。
請求項4の発明は、前記冷却器Fを、前記シュラウド17の外側のラジエータ14と該ラジエーター14の外側に設けた枠体43に取付けたオイルクーラー15およびインタークーラー16により構成し、前記シュラウド17と枠体43とを連結部材45により連結し、前記シュラウド17に前記回動支点Sを設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却用ファン13からの送風がラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16に当たって冷却し、また、回動支点Sを中心に横軸外側回動させたラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16を取付けた枠体43とシュラウド17とを、ストッパ部材35によりオープン状態に保持し、グレンタンク5の駆動部の点検等のメンテナンスを行う。
請求項5の発明は、前記冷却器Fの下部と前記エンジン12とを接続する冷却ホース52を設け、冷却ホース52の前記ベルト27側への移動を規制する干渉防止用ストッパ86を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、冷却器Fの下部とエンジン12とを接続する冷却ホース52により冷却器Fで冷却水をエンジン12に循環させて冷却する。
この場合、冷却ホース52は、グレンタンク5の排出装置25へエンジン12からの駆動力を伝達するベルト27の近傍に配索して全長を短くし、仮に、冷却ホース52が変形しても干渉防止用ストッパ86によりベルト27側への移動を規制し、干渉を防止する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、冷却器Fとシュラウド17が、機体フレーム1の上方の回動支点Sを中心に横軸外側回動するので、冷却器Fとシュラウド17の回動量の割合に対してグレンタンク5の駆動部を大きく開放でき、メンテナンスを容易にでき、また、冷却器Fとシュラウド17の回動量を小さくできるので、配管の長さを短くできる。
請求項2の発明では、ストッパ部材35により冷却器Fとシュラウド17のオープン状態を保持できるので、グレンタンク5の駆動部の点検等のメンテナンスを容易に行うことができる。
請求項3の発明では、エンジンルーム11内で暖められて熱風になった冷却用ファン13による送風が、冷却器Fの外側に戻るのを仕切り部材41が防止するので、冷却用ファン13からの送風は常時冷涼に維持でき、冷却効率を低下させることがない。 また、冷却器Fを外側回動させると仕切り部材41が冷却器Fと一体で移動するので、ベルト27の周辺のメンテナンス空間を広く開放することができる。
請求項4の発明では、冷却用ファン13からの送風によりラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16を冷却でき、前記シュラウド17と枠体43とを連結部材45により連結したので、冷却器Fであるラジエーター14とシュラウド17と枠体43との間に隙間が生じにくく、冷却効果を向上させることができ、更に、シュラウド17に回動支点Sを設けているので、ラジエーター14に枠体43(オイルクーラー15およびインタークーラー16)の重量が掛からず、ラジエーター14の変形や破損を防ぐことができる。
請求項5の発明では、冷却ホース52の全長を短くして配索できると共に、冷却ホース52とベルト27との干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】エンジン周辺の平面図。
【図3】ラジエーターカバーの側面図。
【図4】シュラウドの側面図。
【図5】ラジエーターのオープン状態背面図。
【図6】ラジエーターの通常状態背面図。
【図7】エンジン付近の側面図。
【図8】同平面図。
【図9】同正面図。
【図10】同平面図。
【図11】インタークーラーのオープン移行状態図。
【図12】インタークーラーのオープン移行前の側面図。
【図13】同オープン移行状態側面図。
【図14】同背面図。
【図15】同拡大背面図。
【図16】同拡大平面図。
【図17】エンジン周辺の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置であり、走行装置2の上方の一側には脱穀装置(図示省略)を設け、該脱穀装置3の前側には刈取装置4を設ける。前記脱穀装置の側部には脱穀装置により脱穀および選別した穀粒を一次貯留するグレンタンク5を設け、グレンタンク5の前側には操縦部7を設けている(図1)。
操縦部7の運転座席10の下方(後側)付近には周囲を包囲されたエンジンルーム11を形成し、エンジンルーム11内にエンジン12を設ける。エンジン12の外側(右側)にはエンジン冷却用ファン13を設ける(図2)。冷却用ファン13の外側にはエンジン12を冷却する冷却器Fを設ける、。本願では、冷却器Fを、ラジエーター14と、ラジエーター14の外側に設けたオイルクーラー15およびインタークーラー16により構成している。ラジエーター14の後方には冷却用ファン13を包囲するシュラウド17を設ける。
【0009】
前記ラジエーター14の外側にはラジエーターカバー20を設ける。ラジエーターカバー20には開口部21を形成し、該開口部21に防塵ネット22を設ける(図4)。ラジエーターカバー20は前記機体フレーム1側に設けたフレーム23の所定位置に縦軸24および軸受(図示省略)により外側回動自在に取付ける。
前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向の回動支点Sで下側を回動可能に構成する。
そのため、前記グレンタンク5の排出装置25へ回転入力するプーリー26に掛け回したベルト27の点検・交換・着脱を容易にする。
この場合、ラジエーター14は、上方の回動支点Sを中心に横軸回動するので、開く量の割合に比しプーリー26の周辺の開放空間を充分に確保でき、それゆえ、ラジエーター14への配管を短くでき、好適である。
28は出力プーリ、29はテンションプーリ、30はテンションスプリング、31はギヤボックスである(図7)。
【0010】
本願の冷却器Fは、ラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16により構成しているので、これらとシュラウド17と共に一体状態で、シュラウド17の上方の回動支点Sを中心として、ラジエーター14の下部が横軸回動する構成となる。
前記ラジエーター14の所定位置には、ストッパ部材35を設ける。ストッパ部材35は、横軸外側回動オープンさせたラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16とシュラウド17のオープン状態を保持させる。
ストッパ部材35はシュラウド17に軸35Aにより回動自在に取付ける。ストッパ部材35には係合溝35Bを設け、係合溝35Bは機体フレーム1に固定のフレーム23のうちの外側縦フレーム37に設けた係合部材(軸)35Cに係合離脱自在に係合させる(図4,図6)。
【0011】
即ち、ラジエーター14等のオープン前には外側縦フレーム37よりも内側(奥側)に位置し、ラジエーター14等のオープン前には外側縦フレーム37よりも内側(奥側)にストッパ部材35は位置し、回動支点Sを中心にラジエーター14等を一体オープンさせると、ストッパ部材35と係合部材(軸)35Cとが図のように背面視において重なって、ストッパ部材35の係合溝35Bを外側縦フレーム37に係合させ、ラジエーター14等のオープン状態を保持する。
そのため、グレンタンク5のベルト27の周辺にメンテナンス用の開放空間形成でき、点検・交換・着脱等のメンテナンスを容易にする。
【0012】
前記冷却器Fの回動支点Sは、横軸36とする。横軸36は、シュラウド17の上部に内側から前後方向に夫々突出させ、前記フレーム23の内の外側縦フレーム37に設けたステー38の長孔39に挿通し、長孔39より突出する部分の横軸36に割ピン等により形成した係合ピン40を係合させて抜け止めとする。
そのため、横軸36に対してステー38を長孔39により外方向に移動させながら、ラジエーター14の下部を上向きオープンさせる(図5)。
したがって、この長孔39により回動支点Sに対してラジエーター14が外側に移動するので、この点でも、冷却器Fの上部移動量に対して冷却器Fの下部の移動量を大きくでき、グレンタンク5のベルト27周辺の開口空間を大きくでき、メンテナンス容易にする。
【0013】
前記ラジエーター14の前方に、オイルクーラー15とインタークーラー16を囲む枠体(プレートシール)43を設ける。
前記枠体43には、取付部44を設け、取付部44に連結部材45の外端を固定具46により固定する。連結部材45の内端はシュラウド17に固定具46により固定し、連結部材45により枠体43とシュラウド17とを連結する(図5,図9)。
枠体43はラジエーター14側に一体状に取付けられ、シュラウド17もラジエーター14側に取り付け、前記連結部材45の外端側はフレーム23側に着脱自在の固定具47により取り付ける。
前記連結部材45は、前記ステー38の下方に設け、固定具47を外して、ラジエーター14と枠体43とシュラウド17とを一体外側オープンさせる。
【0014】
また、枠体43とラジエーター14とシュラウド17の下部には、下側連結部材48を設け、下側連結部材48により枠体43とラジエーター14とシュラウド17とを一体状に連結すると共に、下側連結部材48の外端側は機体フレーム1側に着脱自在の固定具47により取り付けている。
前記オイルクーラー15およびインタークーラー16は上下に枠体43内に配置し、該枠体43と前記シュラウド17とをラジエーター14を挟んで連結部材45および下側連結部材48により連結する(図9)。
そのため、ラジエーター14のロアホース52やオイルクーラー15の配管ホース53やインタークーラー16の配管ホース54の弾性復元力によるラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16の配置がずれる等の不具合発生を防止できる。
【0015】
前記冷却器Fの下部と前記機体フレーム1の間には、冷却器Fの下部と機体フレーム1の間の隙間を塞ぐ仕切り部材41を設ける(図5、図9、図12)。
即ち、本願の冷却器Fは、ラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16により構成し、オイルクーラー15とインタークーラー16を取付ける枠体43も前記冷却器Fの一部を構成し、この枠体43の下部に前記仕切り部材41を一体状に設け、仕切り部材41の下部を前記機体フレーム1の上面まで延長させた構成としている。
そのため、エンジンルーム11とラジエーターカバー20の外側とを枠体43の仕切り部材41で遮断することにより、冷却用ファン13による熱風がエンジンルーム11から吹き出すのを抑制でき、この熱風を再びラジエーターカバー20から吸気するの防止でき、冷却器Fの冷却効率を向上させられる。
【0016】
しかして、前記オイルクーラー15は、走行装置2のミッション(図示省略)の潤滑油を冷却するミッションオイルクーラー60と走行装置2に伝達するエンジン12の回転を変速する変速装置の潤滑油を冷却するHSTオイルクーラー61を有して構成し、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は一部内外に重ねて配置する(図12)。
前記ミッションオイルクーラー60の配管ホース53AとHSTオイルクーラー61の配管ホース53Bは、夫々上下一対で、前後方向に配置し、各配管ホース53の弾性により、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61が、配管ホース53Aと配管ホース53Bの所定部分を撓ませて縦軸外側回動する構成とする(図2)。
そのため、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンさせられ、メンテナンスを容易にする。
【0017】
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンとしているので、特別に回動機構の構成を設けることなく、外側オープンでき、構成を簡素にする。
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とは、内外方向(左右方向)に並設しているので、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の冷却面積を広く、容量を大きくでき、冷却効率を向上させられる。
前記枠体43には取付部材62を設け、取付部材62にミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを夫々ボルト63により着脱自在に取付ける(図8)。
【0018】
前記ミッションオイルクーラー60の配管ホース53AとHSTオイルクーラー61の配管ホース53Bは、ラジエーター14と操縦部7のステップ66の後部の間に配置する。
前記インタークーラー16はオイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の上方に配置し、インタークーラー16の配管ホース54の弾性により、配管ホース54の所定部分を撓ませて横軸外側回動する構成とし、配管ホース54はラジエーター14の上方に配置する。
そのため、下方に配管したものに比し各ホース配管ホース53および配管ホース54の変動長さを短くすることができ、価格も低くでき、コストダウンできる。
また、インタークーラー16の配管ホース54の配管は、ラジエーター14の上方のラジエーター14の回動支点S近くにしているため、配管ホース54の変動長さを短くすることができ、冷却器Fをオープンさせるときの支障がない。
【0019】
前記インタークーラー16は取付枠70に取付け、取付枠70は枠体43の上部枠71に対して着脱自在構成とする(図11)。
インタークーラー16の取付枠70は上部枠71の切欠部72に平面視において嵌めて取付ける。切欠部72は上部枠71の外側に向けて開口する形状とし、インタークーラー16の外側オープンを行える構成とする。
そのため、インタークーラー16はラジエーター14より遠ざかるように外側オープンさせられ、インタークーラー16および冷却器Fのメンテナンスを容易にする。
また、前記上部枠71には取付枠70の所定部分が係合する突起73を設ける。
そのため、突起73に取付枠70の所定部分を引っ掛け係合させることにより、インタークーラー16のオープン状態を保持し、メンテナンス作業を容易にする。
【0020】
この場合、前記突起73は取付枠70と上部枠71を固定するボルトとすると、固定具と操作具とを兼用でき、合理的構成となる。
インタークーラー16の配管ホース54は、エンジン接続部75と枠体43に取付けたインタークーラー16との間に、ラジエーター14を跨ぐように配置される。
したがって、配管ホース54は、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分となる縦筒部76と各縦筒部76を繋ぐ横筒部77を有して構成し、横筒部77をラジエーター14の上方に位置させ、この横筒部77の撓みにより、インタークーラー16を上方回動させて外側オープンさせる構成とする。
そのため、インタークーラー16を外側オープンさせるとき、横筒部77を撓ませて、縦筒部76の変形を最小にすることができ、その結果、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分(クランプ)に掛かる荷重を軽減させ、配管ホース54の接続部分の弛みや外れ等の不具合発生を防止する。
【0021】
前記インタークーラー16の配管ホース54は、平面視において、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの前後一対設け、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの間に、前記ラジエーター14の給水口80を配置する。
そのため、ラジエーター14の給水口80の両側に前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bを設けているので、ラジエーター14への給水時に配管ホース54が邪魔にならない。
また、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとを直線的に配置でき、ホースの全長を短くでき、抵抗も少なく効率的で効率も向上する。
前記ラジエーター14のロアホースロアホース52は、ラジエーター14の下方からシュラウド17の下を通り、前記グレンタンク5の排出装置排出装置25のベルトベルト27および該ベルト27のテンションアーム81のスプリング82とシュラウド17の間を通して、ウォータポンプ83に至るように、配管構成する。
【0022】
そのため、ロアホース52はラジエーター14とエンジンルーム11の間を通しているので、交換を容易にし、配索も短くして安価となり、組立工数を少なくする。
ロアホース52の撓みを利用して、ラジエーター14を回動支点S中心に上方回動させられ、本来の目的であるエンジン12の前面側のグレンタンク5への駆動部の点検、整備を容易にする。
ラジエーター14のロアホース52のうちラジエーター14の下方を通るロアホース52の部分を、前記シュラウド17に一体的に固定状態にするガイド85をシュラウド17に設ける(図5,図7)。
ロアホース52は一端をエンジンルーム11に接続し、その他端をウォータポンプ83に接続しているため、エンジンルーム11との接続部分付近がラジエーター14の外側オープンにより大きく弾性変形することになるので、単に、ロアホース52の変形を放置すると、グレンタンク5への駆動部との干渉が生じる虞があるが、本願では、ロアホース52のうちラジエーター14の下方を通るロアホース52の部分はガイド85によりシュラウド17に一体的に固定状態となるので、グレンタンク5への駆動部との干渉を防止する。
【0023】
ラジエーター14の下方のロアホース52とグレンタンク5の駆動部との間に、干渉防止用ストッパ86を設ける(図5,図7)。
そのため、一旦、ラジエーター14の外側オープンによりロアホース52が弾性変形しても、ラジエーター14を元の位置に戻すとき、ラジエーター14の下部は干渉防止用ストッパ86により所定位置にて回動を停止するので、グレンタンク5への駆動部とラジエーター14の下部およびロアホース52との干渉を防止する。
【0024】
(実施例の作用)
エンジン12を始動して、走行装置2により走行し、走行中に刈取装置4で刈取った穀稈を脱穀装置で脱穀する。
エンジン12を始動すると、冷却用ファン13が回転し、ラジエーターカバー20の防塵ネット22から外気を吸引し、吸引した外気はラジエーター14を通過してエンジン12の冷却用の冷却水を冷却すると共に、エンジン12の外周を冷却しながら吹き抜ける。
前記冷却器Fと前記シュラウド17とを上側の前後方向軸支点Sで下側を回動可能に構成しているので、前記グレンタンク5の排出装置25へ回転入力するプーリー26に掛け回したベルト27の点検・交換・着脱を容易にする。
冷却器Fはラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16とにより構成しているので、冷却器Fとシュラウド17とは共に一体状態で、シュラウド17の上方の回動支点Sを中心として横軸回動し、グレンタンク5の排出装置25へ回転入力するプーリー26に掛け回したベルト27の点検・交換・着脱を容易にする。
【0025】
この場合、ラジエーター14は、上方の回動支点Sを中心に横軸回動するので、開く量の割合に比しプーリー26の周辺の開放空間を充分に確保できるので、ラジエーター14への配管を短くでき、好適である。
ラジエーター14の所定位置には、ストッパ部材35を設けているので、ストッパ部材35は、横軸外側回動オープンさせたラジエーター14とオイルクーラー15とインタークーラー16とシュラウド17のオープン状態を保持させる。
そのため、グレンタンク5のベルト27の点検・交換・着脱等のメンテナンスを容易にする。
【0026】
ラジエーター14の回動支点Sは、シュラウド17の上部に前後方向に突出させた横軸36とし、横軸36はフレーム23のうちの外側縦フレーム37に設けたステーステー38の長孔39に内側から挿通し、係合ピン(割ピン)40を挿入して抜け止めとしているので、横軸36に対して長孔39を外方向に移動させながら、ラジエーター14の下部を持ち上げると、ラジエーター14を上向きオープンさせられる。
したがって、この長孔39により回動支点Sとなる横軸36に対してラジエーター14が外側方向に移動するので、この点でも、ラジエーター14の上部移動量に対してラジエーター14の下部の移動量を大きくでき、グレンタンク5のベルト27周辺の開口空間を大きくでき、メンテナンスを容易にする。
【0027】
ラジエーター14の前方にはオイルクーラー15とインタークーラー16を取付けた枠体43を設け、枠体43とシュラウド17とを連結部材45により連結しているので、連結部材45の固定具47を外すと、ラジエーター14と枠体43とシュラウド17とを一体外側オープンさせられ、グレンタンク5のベルト27の点検・交換・着脱等のメンテナンスを容易にする。
また、ラジエーター14と枠体43とシュラウド17は、連結部材45の下方に設けた下側連結部材48により連結しているので、下側連結部材48により枠体43とラジエーター14とシュラウド17とを一層容易に、外側オープンさせられる。
このオイルクーラー15とインタークーラー16を取付けた枠体43の下部の仕切り部材41は機体フレーム1の上面まで延長させた構成としているので、エンジンルーム11とラジエーターカバー20の外側とを枠体43の仕切り部材41で遮断することにより、冷却用ファン13による熱風がエンジンルーム11から吹き出すのを抑制でき、この熱風を再びラジエーターカバー20から吸気するの防止でき、ラジエーター14の冷却効率を向上させられる。
【0028】
オイルクーラー15およびインタークーラー16は枠体43内の上下方向に並べて配置し、枠体43とシュラウド17とを連結部材50により連結しているので、ラジエーター14のロアホース52やオイルクーラー15の配管ホース53やインタークーラー16の配管ホース54の弾性復元力によるラジエーター14とオイルクーラー15およびインタークーラー16の配置がずれる等の不具合発生を防止できる。
しかして、オイルクーラー15は、走行装置2のミッション(図示省略)の潤滑油を冷却するミッションオイルクーラー60と走行装置2に伝達するエンジン12の回転を変速する変速装置の潤滑油を冷却するHSTオイルクーラー61を有して構成し、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は一部内外に重ねて配置し、ミッションオイルクーラー60の配管ホース53AとHSTオイルクーラー61の配管ホース53Bは、夫々上下一対で、前後方向に配置し、各配管ホース53の弾性により、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61が、配管ホース53Aと配管ホース53Bの所定部分を撓ませて縦軸外側回動する構成としているので、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61は、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンさせられ、メンテナンスを容易にする。
【0029】
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンとしているので、特別に回動機構の構成を設けることなく、外側オープンでき、構成を簡素にする。
また、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とは、内外方向(左右方向)に並設しているので、ミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の冷却面積を広く、容量を大きくでき、冷却効率を向上させられる。
枠体43には取付部材62を設け、取付部材62にミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを夫々ボルト63により着脱自在に取付けているので、ボルト63を外して、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを、配管ホース53の弾性を利用して外側オープンさせ、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の夫々のメンテナンスとラジエーター14のメンテナンスできる。
【0030】
反対に、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61とを元の位置に戻し、ボルト63により取付部材62に取付けると、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の前側は配管ホース53により支持され、オイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の後側は取付部材62により支持される。
インタークーラー16はオイルクーラー15のミッションオイルクーラー60とHSTオイルクーラー61の上方に配置し、インタークーラー16の配管ホース54の弾性により、配管ホース54の所定部分を撓ませて横軸外側回動する構成とし、配管ホース54はラジエーター14の上方に配置しているので、下方に配管したものに比し各ホースの変動長さを短くすることができ、価格も低くでき、コストダウンできる。
【0031】
また、インタークーラー16の配管ホース54の配管は、ラジエーター14の上方のラジエーター14の回動支点Sの近くにしているため、配管ホース54の変動長さを短くすることができ、ラジエーター14をオープンさせるときの支障がない。
インタークーラー16は取付枠70に取付け、取付枠70は枠体43の上部枠71に対して着脱自在構成とし、インタークーラー16の取付枠70は上部枠71の切欠部72に平面視において嵌めて取付け、切欠部72は上部枠71の外側に向けて開口する形状としているので、インタークーラー16はラジエーター14より遠ざかるように外側オープンさせられ、インタークーラー16およびラジエーター14のメンテナンスを容易にする。
【0032】
また、上部枠71には取付枠70の所定部分が係合する突起73を設けているので、突起73に取付枠70の所定部分を引っ掛けて係合させることにより、インタークーラー16のオープン状態を保持し、メンテナンス作業を容易にする。
この場合、突起73を、取付枠70と上部枠71を固定するボルトとすると、固定具と操作具とを兼用でき、合理的構成となる。
インタークーラー16の配管ホース54は、エンジン側接続部75と枠体43に取付けたインタークーラー16との間に、ラジエーター14を跨ぐように配置し、配管ホース54は、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分となる縦筒部76と各縦筒部76を繋ぐ横筒部77を有して構成しているので、インタークーラー16を外側オープンさせるとき、横筒部77を撓ませて、縦筒部76の変形を最小にすることができ、その結果、エンジン側接続部75とインタークーラー16との各接続部分(クランプ)に掛かる荷重を軽減させ、配管ホース54の接続部分の弛みや外れ等の不具合発生を防止する。
【0033】
インタークーラー16の配管ホース54は、平面視において、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの前後一対設け、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとの間にラジエーター14の給水口80を配置しているので、ラジエーター14への給水時に配管ホース54が邪魔にならず、また、前側配管ホース54Aと後側配管ホース54Bとを直線的に配置でき、ホースの全長を短くでき、抵抗も少なく効率的で効率も向上する。
ラジエーター14のロアホース52は、ラジエーター14の下方からシュラウド17の下を通り、前記グレンタンク5の排出装置25のベルト27および該ベルト27のテンションアーム81のスプリング82とシュラウド17の間を通して、ウォータポンプ83に至るように、配管構成しているので、交換を容易にし、配索も短くして安価となり、組立工数を少なくする。
【0034】
ロアホース52の撓みを利用して、ラジエーター14を回動支点S中心に上方回動させられ、本来の目的であるエンジン12の前面側のグレンタンク5への駆動部の点検、整備を容易にする。
ラジエーター14のロアホース52のうちラジエーター14の下方を通るロアホース52の部分はガイド85によりシュラウド17に一体的に固定状態にしているので、グレンタンク5への駆動部との干渉を防止する。
【0035】
ラジエーター14の下方のロアホース52とグレンタンク5の駆動部との間に干渉防止用ストッパ86を設けているので、一旦、ラジエーター14の外側オープンによりロアホース52が弾性変形しても、ラジエーター14を元の位置に戻すとき、ラジエーター14の下部は干渉防止用ストッパ86により所定位置にて回動を停止するので、グレンタンク5への駆動部とラジエーター14の下部およびロアホース52との干渉を防止する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0036】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置4、5…グレンタンク、7…操縦部、10…座席、11…エンジンルーム、12…エンジン、13…冷却用ファン、14…ラジエーター、15…オイルクーラー、16…インタークーラー、17…シュラウド、20…ラジエーターカバー、21…開口部、22…防塵ネット、23…フレーム、24…縦軸、25…排出装置、26…プーリー、27…ベルト、35…ストッパ部材、36…横軸、37…外側縦フレーム、38…ステー、39…長孔、40…係合ピン、43…枠体、44…取付部、45…連結部材、46…固定具、47…固定具、48…下側連結部材、52…ロアホース、53…配管ホース、54…配管ホース、60…ミッションオイルクーラー、61…HSTオイルクーラー、62…取付部材、63…ボルト、66…ステップ、70…取付枠、71…上部枠、72…切欠部、73…突起、75…エンジン側接続部、76…縦筒部、77…横筒部、80…給水口、81…テンションアーム、82…スプリング、83…ウォータポンプ、85…ガイド、86…干渉防止用ストッパ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(2)の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンク(5)を設け、前記走行装置(2)と刈取装置(4)と脱穀装置を駆動するエンジン(12)を設け、該エンジン(12)の外側には冷却用ファン(13)と該冷却用ファン(13)を覆うシュラウド(17)と冷却器(F)を設け、該冷却器(F)の内側の下側に、前記グレンタンク(5)の排出装置(25)へ前記エンジン(12)からの駆動力を伝達するベルト(27)を設け、前記冷却器(F)と前記シュラウド(17)とを上側の前後方向の回動支点(S)まわりに回動可能に軸支したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記冷却器(F)の所定位置には、該冷却器(F)およびシュラウド(17)を外側回動姿勢に保持するストッパ部材(35)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、 前記冷却器(F)の下部と前記機体フレーム1の間には、該冷却器(F)の下部と機体フレーム(1)の間の隙間を塞ぐ仕切り部材(41)を冷却器(F)の下部に一体的に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記冷却器(F)を、前記シュラウド(17)の外側のラジエータ(14)と該ラジエーター(14)の外側に設けた枠体(43)に取付けたオイルクーラー(15)およびインタークーラー(16)により構成し、前記シュラウド(17)と枠体(43)とを連結部材(45)により連結し、前記シュラウド(17)に前記回動支点(S)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記冷却器(F)の下部と前記エンジン(12)とを接続する冷却ホース(52)を設け、冷却ホース(52)の前記ベルト(27)側への移動を規制する干渉防止用ストッパ(86)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(2)の上方一側に脱穀装置を、上方他側にグレンタンク(5)を設け、前記走行装置(2)と刈取装置(4)と脱穀装置を駆動するエンジン(12)を設け、該エンジン(12)の外側には冷却用ファン(13)と該冷却用ファン(13)を覆うシュラウド(17)と冷却器(F)を設け、該冷却器(F)の内側の下側に、前記グレンタンク(5)の排出装置(25)へ前記エンジン(12)からの駆動力を伝達するベルト(27)を設け、前記冷却器(F)と前記シュラウド(17)とを上側の前後方向の回動支点(S)まわりに回動可能に軸支したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記冷却器(F)の所定位置には、該冷却器(F)およびシュラウド(17)を外側回動姿勢に保持するストッパ部材(35)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、 前記冷却器(F)の下部と前記機体フレーム1の間には、該冷却器(F)の下部と機体フレーム(1)の間の隙間を塞ぐ仕切り部材(41)を冷却器(F)の下部に一体的に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記冷却器(F)を、前記シュラウド(17)の外側のラジエータ(14)と該ラジエーター(14)の外側に設けた枠体(43)に取付けたオイルクーラー(15)およびインタークーラー(16)により構成し、前記シュラウド(17)と枠体(43)とを連結部材(45)により連結し、前記シュラウド(17)に前記回動支点(S)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記冷却器(F)の下部と前記エンジン(12)とを接続する冷却ホース(52)を設け、冷却ホース(52)の前記ベルト(27)側への移動を規制する干渉防止用ストッパ(86)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−130324(P2012−130324A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287521(P2010−287521)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]