説明

コンバイン

【課題】アンローダを、格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢に安定して保持すること。
【解決手段】アンローダFの揺動姿勢を維持する姿勢維持機構Jが、グレンタンクE側又はアンローダF側のいずれか一方に揺動自在に支持される連結ロッド80と、グレンタンクE側又はアンローダF側の他方に設けられる係合部材74とを備えて構成されており、アンローダFを揺動軸芯X周りに揺動させて格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢において連結ロッド80の端部が係合する自動係合部75を係合部材74に設け、アンローダFの揺動姿勢を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走機体にグレンタンクが備えられ、このグレンタンクの穀粒を排出スクリューにより排出するアンローダが備えられ、前記アンローダが、排出側端部を上方に向かわせる格納姿勢と、排出側端部を外側方に向かわせる排出姿勢とに切換自在となるように揺動軸芯周りで揺動自在に備えられているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとしては、例えば、特許文献1に示すものが知られている。ここでは、アンローダとしての排出用縦オーガが、グレンタンクの後面下端から後方側に延出する接続メタルに対して、接続メタルの中間筒部の軸心周りに揺動自在に取付けられており、これにより排出用縦オーガの先端を自走機体上方側に向かわせる格納姿勢(縦向き姿勢)と、排出用縦オーガの先端を自走機体外方側に傾倒させる排出姿勢(横向き姿勢)とに自在に切換えることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010‐98966号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるコンバインでは、排出用縦オーガを、格納姿勢から排出姿勢に切換える際、格納姿勢の排出用縦オーガが、揺動して排出姿勢に一気に切り換わってしまい、排出用縦オーガを途中の揺動姿勢に保持し難く、そのため穀粒の排出角度を調節し難いという操作上の問題があった。
【0005】
本発明の目的は、アンローダを、格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢に安定して保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインの第1特徴構成は、自走機体にグレンタンクが備えられ、このグレンタンクの穀粒を排出スクリューにより排出するアンローダが備えられ、前記アンローダが、排出側端部を自走機体上方に向かわせる格納姿勢と、排出側端部を自走機体外方側に向かわせる排出姿勢とに切換自在となるように揺動軸芯周りで揺動自在に備えられているコンバインであって、前記アンローダの揺動姿勢を維持する姿勢維持機構が、前記グレンタンク側又は前記アンローダ側のいずれか一方に揺動自在に支持される連結ロッドと、前記グレンタンク側又は前記アンローダ側の他方に設けられる係合部材とを備えて構成されており、前記アンローダを揺動軸芯周りに揺動させて格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢において前記連結ロッドの端部が係合する自動係合部を前記係合部材に設け、前記アンローダの揺動姿勢を維持するように前記姿勢維持機構が構成される点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、アンローダを揺動軸芯周りに揺動させて格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢において、連結ロッドの端部が係合部材の自動係合部に係合するため、格納姿勢のアンローダが、揺動して排出姿勢に一気に切り換わってしまうということがなく、穀粒の排出角度を調節し易い。
【0008】
第2特徴構成は、前記連結ロッドの端部を前記係合部材の自動係合部に係合する側に付勢する付勢機構を備える点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、付勢機構によって、連結ロッドの端部が係合部材の自動係合部に係合する側に付勢されるため、アンローダを格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢において、連結ロッドの端部を係合部材の自動係合部に対してより確実に係合させることができる。
【0010】
第3特徴構成は、前記自動係合部に対する前記連結ロッドの係合状態を固定する係合ロック機構を備える点にある。
【0011】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、係合ロック機構によって、自動係合部に対する連結ロッドの係合状態が固定される。そのため、穀粒を排出する際、例えば、グレンタンクが、穀粒を搬送する底スクリューを備える場合に、底スクリューの回転駆動力がアンローダに伝わり、自動係合部に対する連結ロッドの係合状態を解除するような力が作用したとしても、係合ロック機構によって、連結ロッドの係合状態が確実に維持される。
【0012】
第4特徴構成は、前記係合ロック機構が、前記係合部材に設けた第1ボルト貫通孔と、前記連結ロッドの端部に設けた第2ボルト貫通孔と、前記第1及び第2の貫通孔に亘って挿脱自在に挿通されるロックボルトとを備える点にある。
【0013】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、係合部材側の第1ボルト貫通孔、連結ロッド側の第2ボルト貫通孔、及びロックボルトという簡易な構成で係合ロック機構を実現することができ、ロックボルトを第1及び第2の貫通孔に対して挿脱するだけでロック操作やロック解除操作を容易に実施することができる。
【0014】
第5特徴構成は、前記係合部材が複数の前記自動係合部を備える長板で構成されており、前記連結ロッドが前記複数の自動係合部の何れかに対して選択的に係合可能である点にある。
【0015】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、連結ロッドを、長板における複数の自動係合部の何れかに対して選択的に係合させることができるため、アンローダの格納姿勢から排出姿勢まで傾斜角度を自由に設定することができ、穀粒の排出角度をより一層調節し易い。
【0016】
第6特徴構成は、前記複数の自動係合部が、長板の厚み方向に貫通する複数の貫通孔であり、該複数の貫通孔を、前記長板の長手方向に延びて厚み方向に貫通する長孔によって互いに連通してあり、前記連結ロッドの端部が前記長孔内を移動して、前記複数の貫通孔の何れかに対して選択的に入り込むことによって係合する点にある。
【0017】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、連結ロッドの端部が長孔内に沿って円滑に移動して自動係合部の貫通孔に入り易い。さらに、長板に対して、連結ロッドの端部が移動する際のガイドとなる長孔と、連結ロッドの端部が係合する自動係合部とを集約させてあるため、姿勢維持機構をコンパクトで簡易な構成とすることができる。
【0018】
第7特徴構成は、前記連結ロッドの端部がL字状に折り曲げられて構成されている点にある。
【0019】
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、連結ロッドの端部をL字状に折り曲げて成形したものであれば、連結ロッドの端部の構成が簡素化されて、組付けもし易い。
【0020】
第8特徴構成は、前記連結ロッドが、前記グレンタンク側に設けた受け台に対して揺動自在に支持され、前記係合部材が、前記アンローダの外周面に立設される点にある。
【0021】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、例えば、係合部材が複数の自動係合部を備える場合、係合部材は縦長の形状となるため、当該係合部材の設置する場所を、もとから縦長のアンローダの外周面とすれば、設置場所を新たに設ける必要がなく、取付けがし易い。
【0022】
第9特徴構成は、前記連結ロッドの基部がL字状に折り曲げられており、該基部を支点として揺動自在に支持されている点にある。
【0023】
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、連結ロッドの基部をL字状に折り曲げて成形したものであれば、連結ロッドの基部の構成が簡素化されて、組付けもし易い。
【0024】
第10特徴構成は、前記アンローダの長手方向の中間部に取っ手部を設けてある点にある。
【0025】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、作業者がアンローダの取っ手部を持ちながらアンローダの揺動操作を行うことができるため、作業性が良い。
【0026】
第11特徴構成は、前記グレンタンクが、穀粒を搬送する底スクリューを備え、該底スクリューの回転駆動力が、ベベルギヤ機構を介して前記アンローダの排出スクリューに伝達されて該排出スクリューが軸心周りに正回転し、前記グレンタンク内の穀粒が前記底スクリューから前記アンローダの排出スクリューに搬送されて前記アンローダの搬出端から排出されるように構成されており、前記底スクリューの停止状態において、前記アンローダを排出姿勢から格納姿勢に切り換える際、前記ベベルギヤ機構により前記アンローダの排出スクリューが逆回転するように構成される点にある。
【0027】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、排出作業が終了した後、底スクリューを停止させてからアンローダを排出姿勢から格納姿勢に切り換える際、アンローダの排出スクリューが逆回転して、アンローダ内にある穀粒が、アンローダの基端側に搬送される。これにより、アンローダを排出姿勢から格納姿勢に切り換える際の穀粒のこぼれ落ちをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】普通型コンバイン全体の右側面図である。
【図2】普通型コンバイン全体の平面図である。
【図3】グレンタンク後部とアンローダとを示す側面図である。
【図4】アンローダと支柱状部材とを示す後面図である。
【図5】エルボーユニット部の縦断側面図である。
【図6】受け部材におけるロック機構及び連結ロッドの斜視図である。
【図7】アンローダと支柱状部材との横断平面図である。
【図8】ロック機構における第1ロック部材(a)及び第2ロック部材(b)の後面図である。
【図9】連結ロッドと係合部材との係合状態を示す後面図(a)及び分解斜視図(b)である。
【図10】揺動状態にあるアンローダを示す後面図である。
【図11】姿勢維持機構の別実施形態を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2にコンバインの一例としての普通型コンバインが示されている。
この普通型コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1で走行する自走機体Aの前部位置に運転部Bと、刈取前処理部Cとを備えると共に、この刈取前処理部Cからの穀稈が投入される脱穀処理部Dと、脱穀処理部Dからの穀粒を貯留するグレンタンクEとを自走機体Aに備えている。
【0030】
グレンタンクEは、自走機体Aの後部位置の縦向き姿勢の縦軸芯Y周りでの旋回により自走機体Aに収納される作業姿勢(図2において実線で示す姿勢)と、自走機体Aから横方向に張り出す点検姿勢(図2において仮想線で示される姿勢)とに切換自在に支持され、このグレンタンクEの後面にはアンローダFが備えられている。このアンローダFは、排出側端部を自走機体Aの上方側に向かわせる格納姿勢(図4)と、排出側端部を自走機体Aの外方側に向かわせる排出姿勢(図10)とに切換自在となるように前後向き姿勢の揺動軸芯X周りで揺動自在に備えられている。また、自走機体Aの後端部でグレンタンクEの後方位置には燃料タンク4が備えられている。
【0031】
運転部Bの運転座席2の下方位置にはエンジン3が配置され、自走機体Aの前部の中央位置にはエンジン3からの駆動力を左右のクローラ走行装置1に伝えるミッションケース(図示せず)が備えられている。このミッションケースにはエンジン3からの駆動力を無段階に変速する無段変速装置が備えられると共に、左右のクローラ走行装置1に伝える駆動力の断続を行う操向クラッチ(図示せず)が内蔵されている。
【0032】
刈取前処理部Cは、植立穀稈の穂先側をリール5の回転作動によりで掻き起こし、その穀稈の株元をカッター6で切断し、刈り取られた穀稈(刈取穀稈)の全稈を横送オーガ7によって横方向に送り、この刈取穀稈の全稈をフィーダ8により脱穀処理部Dに投入するように構成されている。また、この刈取前処理部Cは、後端部の横軸心(図外)周りで上下揺動自在に連結されるとともに、この上下揺動を行う油圧シリンダ等のアクチュエータを備えており、このアクチュエータの作動による揺動量の設定により穀稈の刈取高さの調節が可能に構成されている。
【0033】
〔搭乗運転部〕
運転部Bには、エンジン3の上方側を覆う箱状のエンジンカバー11を備え、このエンジンカバー11の上面に運転者が着座できるように運転座席2を備えている。このエンジンカバー11の外側部には吸気ケース11aが形成され、この吸気ケース11aの外面側には冷却風の吸気するため防塵網が張設された吸気部11bが形成されている。運転座席2の前方側には自走機体Aの操向制御と刈取前処理部Cの昇降を制御する操向レバー12を備え、運転座席2の左側部には自走機体Aの走行速度を制御する変速レバー13と、刈取前処理部Cと脱穀処理部Dとを駆動する状態と停止させる状態を現出する作業レバー14を備えている。また、吸気ケース11aと運転座席2との間には排出クラッチレバー15が備えられている。
【0034】
操向レバー12は、非操作状態で中立姿勢に維持されるものであり、この中立姿勢を基準にして左右方向に揺動操作を行うことにより、ミッションケースに内蔵された操向クラッチを制御して自走機体Aの操向(旋回)を実現する。また、この操向レバー12を前後方向に操作することで前述したアクチュエータを制御して刈取前処理部Cの昇降を実現する。また、変速レバー13は前後方向への操作により無段変速装置を変速操作して走行速度の変更を実現する。作業レバー14は前後方向への操作により脱穀処理部Dに対する動力の断続を行うクラッチの入り切りを行うと共に、刈取前処理部Cに対する動力の断続を行うクラッチの入り切りを行う。
【0035】
エンジン3からの駆動力をグレンタンクEの排出系に伝える排出クラッチGが備えられ、この排出クラッチGを操作するように前述した排出クラッチレバー15が連係している。このような構成から、この排出クラッチレバー15を入り位置に操作することにより排出クラッチGを入り操作してエンジン3からの駆動力をグレンタンクEの底スクリュー21に伝え、更に、アンローダFを駆動してグレンタンクEからの穀粒の排出を実現する。
【0036】
〔脱穀部〕
脱穀処理部Dは、扱室に供給された刈取穀稈の脱穀処理を行うように自走機体Aの前後方向に沿う姿勢の軸芯周りに駆動回転する軸流型の扱胴(図示せず)を備えると共に、この扱胴の脱穀処理によって得られた処理物から穀粒を選別する選別処理装置(図示せず)を備えている。この選別処理装置において選別された穀粒は揚穀装置9がグレンタンクEに供給し、穀粒以外の藁屑等は、選別処理装置から自走機体Aの後方に落下放出されることになる。
【0037】
〔グレンタンクとアンローダ〕
図3〜図10に示すように、グレンタンクEは、タンク本体20に貯留した穀粒を後方に向けて送り出す底スクリュー21をタンク本体20の底部に備えている。タンク本体20の底壁20bは貯留した穀粒を自走機体Aの外側方に流下させるように傾斜面に形成され、このような構造であるため、底スクリュー21は、自走機体Aの外側に偏位した位置に配置されている。底スクリュー21のスクリュー軸21aの前端をタンク本体20の前壁20fから前方に突設し、この突設部位にベベルギヤ(図示せず)を介して連結する横向き姿勢の中間軸(図示せず)がタンク本体20の前壁20fの下部に備えられている。
【0038】
前述した排出クラッチGは、中間軸(図示せず)に対してエンジン3からの駆動力を伝えるベルトテンション式に構成され、排出クラッチレバー15は、このクラッチ機構のベルトのテンションを調節することにより、動力の断続を行うように構成されている。
【0039】
図3及び図5に示すように、底スクリュー21のスクリュー軸21aの軸芯と揺動軸芯Xとが一致しており、タンク本体20の後壁20rには底スクリュー21から送られる穀粒をアンローダFに送るエルボーユニット30が備えられている。
【0040】
このエルボーユニット30は、横向き姿勢の筒状の基端部31と、これに対して直交する姿勢で連なる筒状の延出部32とを有すると共に、基端部31が、グレンタンクEに連結する固定筒31aと、この固定筒31aに対して揺動軸芯Xと同軸芯上に配置される回転筒31bと、この固定筒31aと回転筒31bとを互いに回転自在に連結するジョイント機構31cを有している。
【0041】
ジョイント機構31cは、固定筒31aと回転筒31bとを揺動軸芯Xを中心にして揺動自在に連結する構造を有すると共に、回転筒31bを抜け止め状態で保持する複数の保持体33を備えており、この保持体33と回転筒31bとの相対回転を許容するためのブッシュやカラー等を備えている。保持体33は、グレンタンクEと一体的に回転する支持プレート62に支持されている。図面には示していないが、基端部31には内部の塵埃を排出する開口が形成され、この開口を閉じる蓋体が着脱自在に備えられ、この開口を開放して内部の塵埃を排出と、内部の点検とを行えるように構成されている。
【0042】
アンローダFは、排出筒41と、この排出筒41の内部に配置される排出スクリュー42とを備えると共に、排出側端部には排出筒41の長手方向と直交する方向に穀粒を案内する排出ガイド43を備えている。排出スクリュー42の基端側はスクリュー軸42aに対して2条のスクリューを形成した2重スクリューとして構成され、この基端側では穀粒を確実に搬送できるようにしている。尚、スクリュー軸42aは、回転軸芯Zを中心にして回転自在に支持されている。アンローダFの排出筒41の長手方向の中間部であって、且つ排出筒41の後面側には、作業者が把持する取っ手部46が設けられている。
【0043】
図3及び図4に示すように、取っ手部46は、アンローダFの排出筒41の長手方向の中間部の搬出端寄りに設けられている。取っ手部46は、棒状の部材をコの字型に折り曲げて成形されている。取っ手部46の基部46aが、アンローダFの排出筒41において、排出ガイド43が設けられている側の外周面に固定され、作業者が把持する把持部46bが排出筒41の後面側に周り込むように、平面視でL字状に折り曲げられた形状を有する。
【0044】
また、アンローダFが格納姿勢にあるときの取っ手部46の位置が、後述する支柱状部材25(支持部材)に取り付けた保持プレート27(受け部材)よりも高い位置になるように設定されている。
【0045】
図5に示すように、エルボーユニット30の基端部31の内部には、底スクリュー21のスクリュー軸21aの一部が挿入され、エルボーユニット30の延出部32の内部には排出スクリュー42の一部が挿入されている。底スクリュー21の搬送終端位置のスクリュー軸21aには穀粒を掻き上げる回転プレート21bが備えられ、このスクリュー軸21aの駆動力を排出スクリュー42のスクリュー軸42aに伝えるように互いに直交する軸芯周りで回転する一対のベベルギア44aを有するベベルギヤ機構44がエルボーユニット30の内部に備えられている。
【0046】
このような伝動構造から、底スクリュー21の駆動力をエルボーユニット30のベベルギヤ機構44を介して排出スクリュー42に伝えることが可能となり、グレンタンクEの穀粒を底スクリュー21から排出スクリュー42に搬送し、アンローダFの搬出端から排出できるように構成されている。
【0047】
このアンローダFでは、底スクリュー21の回転方向が、グレンタンクEを後方から見て左回り(反時計方向)に設定され、アンローダFから穀粒を搬出する際には、アンローダFの排出筒41に対して、このアンローダFを格納姿勢に向かわせる上向きのトルクが作用する(図10を参照)。これにより穀粒を排出する際にはアンローダFの排出側端部を持ち上げる方向に力が常に作用することになる。尚、底スクリュー21の形状の変更により、回転方向を逆向きに設定することも可能であり、このように回転方向を設定した場合には、穀粒の搬出時にはアンローダFの排出側端部を下げる方向に力が作用することになる。
【0048】
グレンタンクEのタンク本体20の後壁20rには、縦軸芯Yを同軸芯となる支柱状部材25(支持部材)がブラケット26により連結固定されている。この支柱状部材25は、円柱状に成形され、その下端部に中間体60が連結している。この中間体60の下面に円筒状で支柱状部材25より小径で縦軸芯Yと同軸芯上に支持軸61が連結し、この支持軸61の下端が機体フレーム50に連結するブラケット50aに備えた軸受体51に対して回転自在に支持されている。
【0049】
図3に示すように、支柱状部材25の上端には穀粒の排出方向の照明を行うライト45が備えられている。また、機体フレーム50には、自走機体Aの後方にはり出す状態で、丸パイプをコの字型に折り曲げて成形されたガード部材65が設けられている。これにより、アンローダFの下部に配置されるエルボーユニット30等が、後面衝突等によって破損するのを、ガード部材65によって防止することができる。
【0050】
支持軸61を前後位置から挟み込む状態で、支持軸61と中間体60とエルボーユニット30の基端部31とに連結する一対の支持プレート62が備えられ、一対の支持プレート62の一方に対して前述した保持体33が備えられている。これにより、グレンタンクEが縦軸芯Yを中心にして旋回自在に支持されることになり、この旋回時にはグレンタンクEと、アンローダFと、エルボーユニット30と、支柱状部材25と、中間体60と、支持軸61と、支持プレート62とが一体的に旋回することになる。
【0051】
図4に示すように、機体フレーム50には、支柱状部材25に隣接する位置で縦軸芯Yと平行する縦姿勢の縦フレーム52が備えられ、この縦フレーム52に回転支持体53が備えられている。この回転支持体53が環状に成形され支柱状部材25の外周面を回転自在に抱き込んでいる。また、支持軸61が支柱状部材25より小径であるため、エルボーユニット30の基端部31を支持軸61に近接配置することにより、平面視において支柱状部材25と基端部31とが一部重複する位置関係にして支柱状部材25とエルボーユニット30との近接配置を実現している(図7を参照)。
【0052】
このコンバインでは、縦軸芯YをグレンタンクEの後壁20rに近接する位置に配置し、この縦軸芯Yを基準にして自走機体Aの横幅方向での外側に揺動軸芯Xを配置し、縦軸芯Yより後方位置にアンローダFの回転軸芯Zを設定している。
【0053】
このように、縦軸芯Yより揺動軸芯Xが自走機体Aの外側に配置され、底スクリュー21が自走機体Aの外側に偏位して配置されているので、アンローダFが全体的に自走機体Aの外側部に配置されることになり、アンローダFの排出側端部を外側に揺動させた場合には排出位置と機体との距離を大きくする。
【0054】
また、図4に示すように、グレンタンクEが作業姿勢にあり、アンローダFが格納姿勢にある状態において、支柱状部材25とアンローダFの排出筒41とが後面視において一部が重複する位置に配置されている。これにより、支柱状部材25とアンローダFとを自走機体Aの横幅方向で近接させることで、これらを小さいスペースに配置することも可能にしている。
【0055】
図6に示すように、支柱状部材25には後方に突出する横平板状の保持プレート27(受け部材)が連結固定状態で備えられている。図3に示すように、保持プレート27は、支柱状部材25の上下方向の中間部の下部寄りに設けられている。
【0056】
図7に示すように、保持プレート27には平面視において2つの円弧状の凹部27a,27bが形成されており、保持プレート27が、凹部27aを自走機体Aの横外方側に向けて、凹部27bを自走機体Aの前方側に向けた状態で配置されている。
【0057】
保持プレート27の凹部27aに沿って、横断面形状が円弧状の収容板28が縦向きに設けられている。これにより、格納姿勢(縦向き姿勢)にあるアンローダFの排出筒41が、平面視において収容板28の中に収容される状態となる。
【0058】
また、保持プレート27の凹部27bには、支柱状部材25には後方側の半円部分が収容される状態となる。
【0059】
図8(a),(b)に示すように、保持プレート27が、支柱状部材25において、その凹部27a(収容板28)側がわずかに上方に位置するように水平方向に対して少し傾斜した姿勢で取り付けられており、収容板28が鉛直方向よりも自走機体Aの内方側にわずかに傾斜する。
【0060】
上記構成により、アンローダFを、排出姿勢(横向き姿勢)から格納姿勢(縦向き姿勢)に揺動させる際、アンローダFの排出筒41を、収容板28に沿うように鉛直方向よりもわずかに自走機体Aの内方側まで揺動させることができる。そのため、格納姿勢におけるアンローダFは、保持プレート27及び収容板28によって、鉛直方向よりも自走機体Aの内方側に傾斜する傾斜姿勢で保持される。尚、本実施形態においては、収容板28を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、収容板28については、必要に応じて設ける構成としても良い。
【0061】
図6及び図8(a)に示すように、保持プレート27には、格納姿勢にあるアンローダFを固定するための姿勢ロック機構Kが設けられている。姿勢ロック機構Kは、第1姿勢ロック機構K1及び第2姿勢ロック機構K2という、ロックする形式がそれぞれ異なる2種類のロック機構K1,K2を備えて構成されている。アンローダFは、これらの第1姿勢ロック機構K1及び第2姿勢ロック機構K2という2重のロック機構によって、格納姿勢、即ち、鉛直方向よりも自走機体Aの内方側に傾斜する傾斜姿勢(図4参照)に固定される。
【0062】
第1姿勢ロック機構K1は、掛合解除自在なバックル式の雄部材66(掛合部材)と雌部材67(被掛合部材)とを備える。雄部材66は、保持プレート27の後端に固定されるベース部66aと、ベース部66aの縦軸芯周りに揺動可能な把持部66bと、雌部材67に掛合する環状部66cとを備える。
【0063】
図4に示すように、雌部材67は、アンローダFの排出筒41の長手方向の中間部の基端寄りに設けられている。図6及び図8(a)に示すように、雌部材67は、アンローダFの排出筒41の後面に固定される断面がコの字型のブラケット67aと、ブラケット67aの上に固定されるフック部67bとを備える。
【0064】
雄部材66の把持部66bを揺動させることによって、雄部材66の環状部66cと、雌部材67のフック部67bとを解除自在に掛合させることができる。
【0065】
第2姿勢ロック機構K2は、挿脱自在なロックピンRPとピン孔PHとを備える。図7に示すように、ロックピンRPは、平面視において、第1姿勢ロック機構K1の雄部材66と、後述する姿勢維持機構Jにおける支点部材55との間に設けられている。
【0066】
図6及び図8(b)に示すように、ロックピンRPは、L字型の棒状の部材であって、保持プレート27の後部に設けた上下方向に貫通する貫通孔H1、及び保持プレート27の後部に立設されるL字型の第1ステー69に設けた上下方向に貫通する貫通孔H2(図8(b))という同一縦軸芯上に設けられた2つの貫通孔H1,H2を挿通した状態で、保持プレート27に支持されている。また、ロックピンRPは、その外周に設けられるコイルバネCS1によって、ロックピンRPの先端が第1ステー69の貫通孔H2から上方に突き出るように上方に付勢される。
【0067】
ピン孔PHは、アンローダFの排出筒41の後面に固定されるL字型の第2ステー70に設けられている。また、第2ステー70の先端にテーパー部73が形成されている。アンローダFが格納姿勢にあるとき、ピン孔PHは、保持プレート27の貫通孔H1及び第1ステー69の貫通孔H2が配置される縦軸芯と同一の縦軸芯上に配置されるように構成されている。
【0068】
アンローダFを、排出姿勢(横向き姿勢)から格納姿勢(縦向き姿勢)に揺動させるとき、ロックピンRPの上端が第2ステー70の先端のテーパー部73に当接して下方に案内されることで、ロックピンRPがコイルバネCS1の付勢力に抗して押し下げられるが、第2ステー70のピン孔PHがロックピンRPの上方に来ると同時に、ロックピンRPがコイルバネCS1の付勢力により上方に移動し、ロックピンRPの先端が第2ステー70のピン孔PHに挿入されて自動的に係合する。尚、作業者がロックピンRPの下端をコイルバネCS1の付勢力に抗して下方に引っ張ることによって、ロックピンRPの先端がピン孔PHから外して係合を解除することができる。
【0069】
また、保持プレート27とアンローダFの排出筒41との間にはアンローダFの揺動姿勢を維持する姿勢維持機構Jが備えられている。
【0070】
姿勢維持機構Jは、図4、図6、図9、図10に示すように、保持プレート27の上面に固定された支点部材55、アンローダの排出筒41の長手方向に沿ってその外周面に立設される長板74(係合部材)、及び保持プレート27の支点部材55とアンローダFの排出筒41の長板74とを連結する連結ロッド80を備えて構成されている。
【0071】
この姿勢維持機構Jは、保持プレート27が支柱状部材25に連結していることから、グレンタンクEが縦軸芯Yを中心にして旋回しても、支点部材55と長板74と連結ロッド80との相対位置関係が維持されアンローダFの姿勢を安定的に維持できるものにしている。
【0072】
支点部材55は、L字型の支持板56と、支持板56の側面に設けられたボス部材57と、ボス部材57の外周に設けられるコイルバネCS2(付勢機構)とを備えて構成される。
【0073】
図4に示すように、長板74は、アンローダFの排出筒41において、排出ガイド43が設けられている側とは反対側の外周面に立設されており、アンローダFの排出筒41の長手方向の中間部から搬出端に亘る部分(格納姿勢にあるアンローダFの排出筒41の上半部)に設けられている。
【0074】
図4及び図9(a),(b)に示すように、長板74には、その長手方向に沿って複数の自動係合部75が形成されている。自動係合部75は、長板74の厚み方向に貫通する複数の貫通孔であり、これら複数の自動係合部75が、長板74の長手方向に延びて厚み方向に貫通する長孔77によって互いに連通されている。尚、図9(a)に示すように、自動係合部75は、長孔77において、アンローダFの排出筒41側とは反対側に設けられる。また、複数の自動係合部75のそれぞれに対応するように、各自動係合部75の近くでアンローダFの基端側(揺動軸芯X側)に、長板74の厚み方向に貫通する第1ボルト貫通孔BH1が設けられている。
【0075】
連結ロッド80は、その端部80a及び基部80bのそれぞれがL字状に折り曲げられており、全体としてコの字型の形状を有する。
【0076】
図6に示すように、連結ロッド80の基部80bを、支点部材55における支持板56とボス部材57とに亘って形成された挿通孔(図示せず)に挿通させて、挿通孔から抜け出た基部80bの先端に抜け止めピンP1を設けることで抜け止めがなされている。これにより連結ロッド80が、支点部材55において連結ロッド80の基部80bの横軸芯周りに揺動自在に支持される。尚、連結ロッド80は、支点部材55のコイルバネCS2によって、連結ロッド80の端部80aが長板74の自動係合部75に係合する側、即ち自走機体Aの内方側(上方側)に揺動するように付勢されている。
【0077】
図9(b)に示すように、連結ロッド80の端部80aを、長板74の長孔77に挿通させて、長孔77から抜け出た端部の先端にワッシャ81と抜け止めピンP2を設けることで抜け止めがなされている。これにより、連結ロッド80の端部80aを、長板74の長孔77に挿入しつつ長孔77内を移動させて、複数の自動係合部75の何れかに対して選択的に入り込ませて係合させることができる。
【0078】
また、連結ロッド80の端部80aには、基部83aと端部83bからなるL字型の固定板83が設けられている。固定板83は、その基部83aに連結ロッド80の端部80aの先端を貫通させ、さらに固定板83の端部83bに形成した凹部83cに連結ロッド80の嵌め込んだ状態で固定されている。固定板83の基部83aには、その厚み方向に貫通する第2ボルト貫通孔BH2が形成されており、第2ボルト貫通孔BH2の位置に合わせて、固定板83の基部83aの裏面に雌ネジ孔を有するナットNを溶接して固定してある。
【0079】
また、姿勢維持機構Jは、長板74の自動係合部75に対する連結ロッド80の係合状態を固定する係合ロック機構Lを備える。
【0080】
係合ロック機構Lは、長板74の自動係合部75の付近に設けた第1ボルト貫通孔BH1と、連結ロッド80の端部80aの固定板83に設けた第2ボルト貫通孔BH2と、第1及び第2のボルト貫通孔BH1,BH2に亘って挿脱自在に挿通されるノブボルト84(ロックボルト)とを備えて構成されている。
【0081】
連結ロッド80の端部80aを、長板74の自動係合部75に入り込ませて係合させると、長板74の第1ボルト貫通孔BH1と、連結ロッド80の固定板83の第2ボルト貫通孔BH2とが同一の横軸芯上に位置するように構成されている。
【0082】
そのためノブボルト84を長板74の側から第1ボルト貫通孔BH1に挿入すると、固定板83の第2ボルト貫通孔BH2に挿入されて、固定板83の裏面にあるナットNに螺入させて締結して固定することができる。
【0083】
尚、アンローダFの揺動操作時においては、係合ロック機構Lによるロックを解除する必要があるためノブボルト84を取り外さなくてはならない。そこで、取り外したノブボルトは、自走機体Aの後方側で、燃料タンク4の上方に配置されている横フレーム54に設けてある雌ネジ部85(図10参照)に螺入して保持しておくことができる。
【0084】
〔アンローダの揺動操作〕
本実施形態における、アンローダFの揺動軸芯Xを中心にした揺動操作は、作業者の人為操作によって実施されるものである。
【0085】
上述のとおり、格納姿勢におけるアンローダFは、保持プレート27及び収容板28によって、鉛直方向よりも自走機体Aの内方側に傾斜する傾斜姿勢で保持されており、さらに、第1及び第2姿勢ロック機構K1,K2という2重のロック機構Kによって、その傾斜姿勢が固定される。
【0086】
このとき、姿勢維持機構Jの連結ロッド80の端部80aは、長板74の長孔77においてアンローダFの搬出端側(排出筒41の排出ガイド43側)の最も端に位置する。
【0087】
そして、アンローダFを格納姿勢から排出姿勢に切り換えるときは、まず、作業者が自走機体Aの後方に赴きグレンタンクEの後面を正面にして立ち、第1姿勢ロック機構K1の雄部材66の把持部66bを揺動させて、雄部材66と雌部材67との掛合を解除する。
【0088】
次いで、作業者は、右手でアンローダFの取っ手部46の把持部46bを持ちながら、左手で第2姿勢ロック機構K2のロックピンRPの下端を下方に引っ張って、ロックピンRPの先端をピン孔PHから外して係合を解除しつつ、右手でアンローダFを自走機体Aの外方側に揺動させる。
【0089】
このとき、姿勢維持機構Jの連結ロッド80が、支点部材55において連結ロッド80の基部の軸芯周りに自走機体Aの外方側に揺動して、連結ロッド80の端部80aが、長板74の長孔77に沿ってアンローダFの基端側に移動する。
【0090】
そして、連結ロッド80の端部80aは、支点部材55のコイルバネCS2の付勢力によって、アンローダFの最も搬出端側に設けられている自動係合部75に入り込んで自動的に係合し、その揺動姿勢が一旦保持される。尚、図9(a)に示すように、長板74の自動係合部75におけるアンローダFの搬出端側の角部には、テーパー面76が形成されている。これにより、アンローダFを格納姿勢から排出姿勢に切り換える際、連結ロッド80の端部80aがテーパー面76によって案内されて自動係合部75に係合し易くなるように構成されている。
【0091】
次いで、作業者は、右手でアンローダFの取っ手部46を持ち上げてアンローダFを少し自走機体Aの内方側に揺動させつつ、左手で連結ロッド80を支点部材55のコイルバネCS2の付勢力に抗して自走機体Aの外方側に押し込んで、連結ロッド80の端部80aを自動係合部75から外す。
【0092】
そして、そのまま左手で連結ロッド80を自走機体Aの外方側に押し込みながら、右手で、所望の揺動姿勢になるまでアンローダFを自走機体Aの外方側に揺動させる。このとき、連結ロッド80の端部80aが、長板74の長孔77内をアンローダFの基端側に移動するため、適当な自動係合部75を選択し、その自動係合部75に連結ロッド80の端部80aを入り込ませて係合させる。
【0093】
最後に、係合ロック機構Lによって、自動係合部75に対する連結ロッド80の係合状態を固定する。即ち、横フレーム54に保持してあるノブボルト84を取り外し、長板74の側から、連結ロッド80の端部80aを係合させてある自動係合部75の付近にある第1ボルト貫通孔BH1に挿入し、固定板83の第2ボルト貫通孔BH2に挿入して固定板83の裏面にあるナットNに螺入させて締結して、連結ロッド80の係合状態を固定する。
【0094】
一方、アンローダFを排出姿勢から格納姿勢に切り換えるときは、作業者は、まずノブボルト84を取り外して横フレーム54の雌ネジ部85に螺入して保持する。次いで、右手でアンローダFの排出筒41の取っ手部46を持ち上げてアンローダFを少し自走機体Aの内方側に揺動させつつ、左手で連結ロッド80を支点部材55のコイルバネCS2の付勢力に抗して自走機体Aの外方側に押し込んで、連結ロッド80の端部80aを自動係合部75から外す。
【0095】
そして、そのまま左手で連結ロッド80を自走機体Aの外方側に押し込みつつ、右手で、アンローダFが格納姿勢(傾斜姿勢)になるまで自走機体Aの内方側に揺動させると、第2姿勢ロック機構K2のロックピンRPの先端が第2ステー70のピン孔PHに挿入されて自動的に係合する。このとき、連結ロッド80の端部80aが、長板74の長孔77内をアンローダFの搬出端側に移動して、再び長板74の長孔77においてアンローダFの搬出端側(排出筒41の排出ガイド43側)の最も端に位置する。
【0096】
最後に、第1姿勢ロック機構K1の雄部材66の把持部66bを揺動させて、雄部材66と雌部材67とを掛合させてロックする。上述の操作は、一人の作業者で行う例を示したが、勿論複数人の作業者で行うようにしても良い。
【0097】
尚、本実施形態では、グレンタンクEが、穀粒を搬送する底スクリュー21を備え、底スクリュー21の回転駆動力が、ベベルギヤ機構44を介してアンローダFの排出スクリュー42に伝達されて排出スクリュー42が軸心周りに左回り(反時計方向)に正回転し、グレンタンクE内の穀粒が底スクリュー21からアンローダFの排出スクリュー42に搬送されてアンローダFの搬出端から排出されるように構成されている。そのため、排出作業が終了した後、底スクリュー21を停止させてからアンローダFを排出姿勢から格納姿勢に切り換える際、アンローダFの排出スクリュー42が右回り(時計方向)に逆回転して、アンローダFの排出筒41内にある穀粒が、アンローダFの基端側に搬送される。これにより、アンローダFを排出姿勢から格納姿勢に切り換える際の穀粒のこぼれ落ちをより確実に防止することができる。
【0098】
〔別実施形態〕
〔1〕図11に示すように、前述の実施形態における自動係合部75を、長板74において、長孔77に対してアンローダFの排出筒41側に下向きに設け、連結ロッド80の基部80bにおけるコイルバネCS2(付勢機構)による付勢を無くし、連結ロッド80の自重によって、自動係合部75に係合するように構成しても良い。この場合、連結ロッド80の端部80aを自重によって自動係合部75に係合させて、その揺動姿勢を一旦保持した後、作業者は、右手でアンローダFの取っ手部46を持ち上げてアンローダFを少し自走機体Aの内方側に揺動させつつ、左手で連結ロッド80をその自重に抗して自走機体Aの内方側に揺動させて、連結ロッド80の端部80aを自動係合部75から外す。そして、そのまま左手で連結ロッド80を自走機体Aの内方側に押し込みながら、右手で、所望の揺動姿勢になるまでアンローダFを自走機体Aの外方側に揺動させる。
【0099】
〔2〕前述の実施形態では、アンローダFの揺動姿勢を維持する姿勢維持機構Jが、グレンタンクE側(支柱状部材25の保持プレート27)に揺動自在に支持される連結ロッド80と、アンローダF側(アンローダFの排出筒41)に設けられる係合部材(長板74)とを備える構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、姿勢維持機構Jが、アンローダF側に揺動自在に支持される連結ロッドと、グレンタンク側に設けられる係合部材とを備えて構成されるようにしても良い。
【0100】
〔3〕前述の実施形態では、姿勢ロック機構Kとして、第1及び第2姿勢ロック機構K1、K2という2つのロック機構を設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、必要に応じて、第1姿勢ロック機構K1又は第2姿勢ロック機構K2にいずれか一方のみを設けたり、あるいは、さらに多くの姿勢ロック機構Kを設けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、普通型のコンバインに限らず、自脱型のコンバインにも利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
21 底スクリュー
27 保持プレート(受け台)
42 排出スクリュー
44 ベベルギヤ機構
46 取っ手部
74 長板(係合部材)
75 自動係合部
77 長孔
80 連結ロッド
80a 端部
80b 基部
84 ノブボルト(ロックボルト)
A 自走機体
E グレンタンク
F アンローダ
J 姿勢維持機構
L 係合ロック機構
BH1 第1ボルト貫通孔
BH2 第2ボルト貫通孔
CS2 コイルバネ(付勢機構)
X 揺動軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機体にグレンタンクが備えられ、このグレンタンクの穀粒を排出スクリューにより排出するアンローダが備えられ、
前記アンローダが、排出側端部を自走機体上方に向かわせる格納姿勢と、排出側端部を自走機体外方側に向かわせる排出姿勢とに切換自在となるように揺動軸芯周りで揺動自在に備えられているコンバインであって、
前記アンローダの揺動姿勢を維持する姿勢維持機構が、前記グレンタンク側又は前記アンローダ側のいずれか一方に揺動自在に支持される連結ロッドと、前記グレンタンク側又は前記アンローダ側の他方に設けられる係合部材とを備えて構成されており、
前記アンローダを揺動軸芯周りに揺動させて格納姿勢から排出姿勢に切り換える途中の揺動姿勢において前記連結ロッドの端部が係合する自動係合部を前記係合部材に設け、前記アンローダの揺動姿勢を維持するように前記姿勢維持機構が構成されるコンバイン。
【請求項2】
前記連結ロッドの端部を前記係合部材の自動係合部に係合する側に付勢する付勢機構を備える請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記自動係合部に対する前記連結ロッドの係合状態を固定する係合ロック機構を備える請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記係合ロック機構が、前記係合部材に設けた第1ボルト貫通孔と、前記連結ロッドの端部に設けた第2ボルト貫通孔と、前記第1及び第2の貫通孔に亘って挿脱自在に挿通されるロックボルトとを備える請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記係合部材が複数の前記自動係合部を備える長板で構成されており、前記連結ロッドが前記複数の自動係合部の何れかに対して選択的に係合可能である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記複数の自動係合部が、長板の厚み方向に貫通する複数の貫通孔であり、該複数の貫通孔を、前記長板の長手方向に延びて厚み方向に貫通する長孔によって互いに連通してあり、前記連結ロッドの端部が前記長孔内を移動して、前記複数の貫通孔の何れかに対して選択的に入り込むことによって係合する請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記連結ロッドの端部がL字状に折り曲げられて構成されている請求項6に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記連結ロッドが、前記グレンタンク側に設けた受け台に対して揺動自在に支持され、前記係合部材が、前記アンローダの外周面に立設される請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記連結ロッドの基部がL字状に折り曲げられており、該基部を支点として揺動自在に支持されている請求項8に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記アンローダの長手方向の中間部に取っ手部を設けてある請求項1〜9のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項11】
前記グレンタンクが、穀粒を搬送する底スクリューを備え、該底スクリューの回転駆動力が、ベベルギヤ機構を介して前記アンローダの排出スクリューに伝達されて該排出スクリューが軸心周りに正回転し、前記グレンタンク内の穀粒が前記底スクリューから前記アンローダの排出スクリューに搬送されて前記アンローダの搬出端から排出されるように構成されており、前記底スクリューの停止状態において、前記アンローダを排出姿勢から格納姿勢に切り換える際、前記ベベルギヤ機構により前記アンローダの排出スクリューが逆回転するように構成される請求項1〜10のいずれか1項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−210196(P2012−210196A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78543(P2011−78543)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】