コンバイン
【課題】圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、接地部のスムーズな接地摺動を現出させることができるとともにとともに軟弱圃場での接地部による移動抵抗の増大や接地部への土の乗り上がりの発生を回避しやすいコンバインを提供する。
【解決手段】刈取り部10を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させてある。刈取り部10を接地支持する接地部18を、接地部18の前端側に位置した支点Pまわりに上下揺動する姿勢変化をさせる姿勢変更手段40を介して刈取り部10の分草杆13に支持させてある。
【解決手段】刈取り部10を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させてある。刈取り部10を接地支持する接地部18を、接地部18の前端側に位置した支点Pまわりに上下揺動する姿勢変化をさせる姿勢変更手段40を介して刈取り部10の分草杆13に支持させてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取り部を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、従来、たとえば特許文献1に示されたものがあった。
特許文献1に示されたコンバインでは、刈取り部が走行機体の基台に上下揺動自在に支持されているとともに油圧シリンダによって昇降操作される。
刈取り部が刈取り作業高さ域まで自重下降されると、刈取り部横移動機構における揺動支持枠の下端横杆部が、走行機体の前端部下部に設けられた弾性バランス機構の前端に弾性的に接当支持される。すると、刈取り部の重量の一部が弾性バランス機構のバネ力によって相殺され、刈取り部の前方下部に配備した接地体が比較的小さい接地圧で圃場面に接地する。つまり、刈取り部を自重下降させて軽く接地支持させて刈取り走行を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−211972号公報(段落〔0022〕、〔0024〕、〔0041〕、〔0043〕、図1,8,9、18)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される如く、刈取り部を接地追従させるコンバインでは、接地圧などの面から安定的な接地追従が得られるよう、板橇形などの接地部を刈取り部に支持させる。
【0005】
圃場面が硬い場合、刈取り部に支持された接地部の圃場面への沈み込みが発生しにくい。すると、刈取り部の走行機体に対する連結姿勢が変化しにくく、接地部の対地姿勢が変化しにくい。このため、圃場面が硬い場合に接地部がこれの走行機体前後方向での広範囲にわたって接地するよう設定した取り付け姿勢で接地部を刈取り部に支持させると、圃場面が軟弱である場合、接地部による走行抵抗の増大や接地部での土詰まりが発生しやすくなる。
【0006】
つまり、圃場面が軟弱であると、刈取り部に支持された接地部が圃場面に沈み込みやすい。接地部の圃場面への沈み込みが発生すると、これに起因して刈取り部が前下がり姿勢になることから、接地部が圃場面に対して前下がりになる。このように接地部が圃場面に沈下するとともに前下がり状態になれば、接地部の圃場へのもぐり込み現象が発生しやすくなる。すなわち、接地部の沈み込みが増大しやすくなる。この結果、接地部に作用する土圧のために移動抵抗が増大する。また、接地部への土の乗り上がりが発生しやすくなるとともに進行しやすくなる。
【0007】
本発明の目的は、圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、接地部のスムーズな接地摺動を現出させることができるとともに上記した問題の発生を回避しやすいコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明は、刈取り部を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させたコンバインにおいて、
前記刈取り部を接地支持する接地部を、前記接地部の前端側に位置した支点まわりに上下揺動する姿勢変化をさせる姿勢変更手段を介して前記刈取り部に支持させてある。
【0009】
本第1発明の構成によると、圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、刈取り部を接地追従させるよう接地支持する接地部を、圃場面の硬さに適応した取り付け姿勢で支持させることができる。
【0010】
つまり、圃場面が硬い場合、接地部の圃場面への沈み込みが発生しにくくて刈取り部の前下がりが発生しにくい分、接地部を軟弱圃場面の場合よりも上昇揺動した取り付け姿勢に姿勢変更手段によって姿勢変化させ、接地部が地面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢またはこれに近い姿勢となった状態で接地するようにできる。
【0011】
圃場面が軟弱な場合、接地部の圃場面への沈み込みが発生して刈取り部の前下がりが発生する分、接地部を硬質圃場面の場合よりも下降揺動した取り付け姿勢に姿勢変更手段によって姿勢変化させ、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢、またはこれに近いやや前上がり姿勢であるとかやや前下がり姿勢となった状態で接地するようにできる。
【0012】
これにより、圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、接地部がこれの走行機体前後方向での広範囲にわたって接地圧が分散した状態で接地し、接地部の接地摺動をスムーズに行わせながら、かつ、接地部の沈み込みによる移動抵抗の増大や土詰まりを回避しながら刈取り部を接地追従させることができる。
【0013】
本第2発明では、前記姿勢変更手段は、前記接地部を下降揺動付勢する弾機を備えて構成されている。
【0014】
本第2発明によると、圃場面が硬いと、接地部に作用する接地反力のために弾機が弾性変形し、接地部が弾機に抗して上昇揺動した取り付け姿勢に自ずとなる。すなわち、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に自ずと姿勢変化する。圃場面が軟弱であると、接地部の沈み込みに起因して刈取り部が前下がり状態になっても、弾機が接地部を土圧に抗して下降揺動操作し、接地部が下降揺動した取り付け姿勢に自ずとなる。すなわち、刈取り部の前下がりにかかわらず、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に自ずと姿勢変化する。
【0015】
これにより、圃場面の硬さに変化があっても、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に自ずとなり、接地部の接地摺動をスムーズに行わせながら、かつ、接地部の沈み込みによる移動抵抗の増大や土詰まりを回避しながらの刈取り部の接地追従を信頼性の良い状態でかつ楽に行わせることができる。
【0016】
本第3発明では、前記姿勢変更手段は、前記接地部の取り付け角度を人為操作によって変更する手段である。
【0017】
本第3発明の構成によると、圃場面の硬さに変化があっても、姿勢変更手段を適切に人為操作することにより、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢になるよう接地部の取り付け姿勢を変更できる。
【0018】
従って、圃場面の硬さに変化があっても、接地部を圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に姿勢調節し、接地部の接地摺動をスムーズに行わせながら、かつ、接地部の沈み込みによる移動抵抗の増大や土詰まりを回避しながらの刈取り部の接地追従を信頼性の良い状態で行わせることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】コンバイン全体の平面図
【図3】昇降操作機構及びバランス支持手段の正面図
【図4】昇降操作機構の側面図
【図5】バランス支持手段の側面図
【図6】バランス支持手段の縦断側面図
【図7】バランス支持手段の縦断平面図
【図8】バランス支持手段の作用範囲を示す説明図
【図9】昇降シリンダの油圧回路図
【図10】(イ)は、圃場面が硬い場合における接地部の接地状態での側面図、(ロ)は、圃場面が軟弱な場合における接地部の接地状態での側面図
【図11】別の実施構造を備えた姿勢変更手段の側面図であり、(イ)は、圃場面が硬い場合における姿勢調整状態での側面図、(ロ)は、圃場面が軟弱な場合における姿勢調整状態での側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ式の走行装置1によって自走し、かつ、運転座席2が装備された運転部を有した自走機体と、この自走機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部10と、前記自走機体の機体フレーム3の後部側に設けた脱穀装置5および穀粒タンク6とを備えて構成してある。
【0021】
このコンバインは、稲、麦などの収穫を行うものである。すなわち、刈取り部10は、この刈取り部10が有する前処理部フレーム11と前記機体フレーム3とにわたって設けた昇降操作機構50により、前記前処理部フレーム11の基部11bが前記機体フレーム3の前部に位置する支持体4に相対回動自在に連結している自走機体横向きの軸芯Xまわりで自走機体に対して揺動操作され、刈取り部10の前部に自走機体横方向に並べて設けてある複数の接地部18が地面上に接地し、かつ、前記接地部18の後側に位置する一つのバリカン形の刈取り装置12が地面上近くに位置した下降作業状態と、前記接地部18が地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部10を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り部10は、この刈取り部10の前部に自走機体横方向に並んで位置する複数の分草具14によって植立穀稈を刈り取り対象と非刈取り対象とに分草するとともに刈取り対象の植立穀稈を各分草具14の後方に位置する引き起こし経路15に案内し、各引き起こし経路15に案内された植立穀稈を引き起こし装置16によって引き起こし処理するとともに前記刈取り装置12によって刈取り処理し、刈取り装置12からの刈取り穀稈を供給装置17によって機体後方向きに搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して機体後方向きに搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、その穂先側を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留していく。
【0022】
図1,2,3に示すように、前記前処理部フレーム11は、前記支持体4に基部11bが前記軸芯Xまわりで回動自在に支持された伝動ケースで成るメインフレーム11aと、このメイフレーム11aの先端部の自走機体横方向に並ぶ複数箇所から機体前方向きに延出した分草杆13とを備えている。前記各分草具14は、前記分草杆13の延出端部に設けてある。前記各接地部18は、前記分草具14の後方近くで前記分草杆13の下部に設けてある。
【0023】
図3は、前記昇降操作機構50の自走機体正面視での構造を示す。図4は、前記昇降操作機構50の自走機体側面視での構造を示す。これらの図に示すように、昇降操作機構50は、前記支持体4に固定された左右一対のブラケット52,52に連結軸部53bが自走機体横向きの軸芯53aまわりで回動自在に連結された揺動操作体53と、この揺動操作体53の遊端側軸部53dに固定されたブラケット58と機体フレーム3に固定されたブラケット54とにわたって連結された油圧式単動シリンダで成る昇降シリンダ51とを備えている。前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dと、揺動操作体53に固定された左右一対のブラケット56,56に支持された係止ロッド55とが前記メインフレーム11aを挟んでいることにより、揺動操作体53がメインフレーム11aに一体揺動自在に係止している。揺動操作体53の遊端側軸部53dは、メインフレーム11aに設けた保護プレート11cに当接してメインフレーム11aに押し上げ作用する。係止ロッド55は、仲介部材57を介してメインフレーム11aに係止作用する。図3,4に示す如く前記左右一対のブラケット56,56に回転自在に支持された螺旋軸60は、電動モータ61によって正回転方向や逆回転方向に回転操作され、横送り部材62を介してメインフレーム11aをこのメインフレーム11aと支持体4の連結軸に兼用の入力軸63に沿わせて移動操作し、刈取り部10を自走機体に対して中割り作業用の連結位置と回り刈り作業用の連結位置とに位置変更するものである。
【0024】
すなわち、昇降操作機構50は、昇降シリンダ51に油圧が供給されると、昇降シリンダ51が油圧によって伸長操作されて揺動操作体53を介してメインフレーム11aを上昇揺動操作することにより、刈取り部10を上昇操作し、昇降シリンダ51から油圧が排出されると、昇降シリンダ51が刈取り部10の重量によって短縮操作されてメインフレーム11aを下降揺動操作することにより、刈取り部10を下降操作する。
【0025】
図3,5,6,7に示すように、機体フレーム3の前部にバランス支持手段20を設けてある。図3は、バランス支持手段20の自走機体正面視での構造を示す。図5は、バランス支持手段20の自走機体側面視での構造を示す。図6は、バランス支持手段20の縦断側面図である。図7は、バランス支持手段20の縦断平面図である。これらの図に示すように、バランス支持手段20は、機体フレーム3に固定されたバネ受け台26と、このバネ受け台26に固定されている一対の支軸27,27に支持された基端側バネホルダ25および先端側バネホルダ28と、前記基端側バネホルダ25と前記先端側バネホルダ28とバネカバー30との内部に設けたコイルバネで成るバランスバネ21と、前記基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とにわたって装着した連結杆29とを備えている。連結杆29は、基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とを設定間隔以上離れないように連結し、これによってバランスバネ21に初期弾性変形を備えさせている。一対の支軸27,27は、先端側バネホルダ28を摺動自在に支持している。連結杆29は、基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とを接近自在に連結している。バネカバー30は、伸縮自在になっている。
【0026】
刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aの上側部分B(図8参照)に位置した場合、前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dが先端側バネホルダ28から上方に離れ、バランス支持手段20は、刈取り部10に対して支持作用しない。刈取り部10が前記昇降範囲Aのうちの下側の作業部位C(図8参照)に位置した場合、前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dが先端側バネホルダ28に当接し、バランスバネ21が刈取り部10の重量によって初期弾性変形状態を超えた変形状態に圧縮操作され、バランス支持手段20は、バランスバネ21によって揺動操作体53を介してメインフレーム11aに上昇操作力を付与するよう刈取り部10に支持作用し、刈取り部10が接地部18の接地反力の変化に敏感に応答して自走機体に対して昇降するよう刈取り部10の接地圧を減少させる。
【0027】
図9は、昇降操作機構50の油圧回路を示す。この図に示すように、前記昇降シリンダ51の制御弁Vは、「中立」に切り換え操作されると、昇降シリンダ51に対する油圧の供給及び排出を停止する。制御弁Vが「中立」に操作された状態においても、昇降シリンダ51は、接地部18に作用する接地反力の大きさによっては、この接地反力と、バランスバネ21による上昇操作力との合力のために、かつ、圧油の気泡含有などのために若干伸長操作され、この分刈取り部10が自走機体に対して昇降することを許容する。
【0028】
つまり、作業を行うに当たり、昇降レバー70によって制御弁Vを「下降」に切り換え操作する。すると、昇降シリンダ51が制御弁Vによって排油されて短縮操作され、刈取り部10が下降する。刈取り部10の下降によって接地部18が接地すると、制御弁Vを「中立」に切り換え操作する。すると、刈取り部10が接地部18によって接地支持された状態となり、遊端側軸部53dと先端側バネホルダ28とが当接し、バランス支持手段20がバランスバネ21によって刈取り部10の接地圧を減少させる。これにより、刈取り部10は、接地部18の接地反力の変化に敏感に応答して自走機体に対して昇降する状態となり、接地部18によって接地追従する下降作業状態となる。このため、刈取り部10は、走行機体の前後傾斜にかかわらず、刈取り装置12による刈り高さを一定またはほぼ一定にしながら刈取り作業する。
【0029】
刈取り部10を上昇させる場合、昇降レバー70によって制御弁Vを「上昇」に切換え操作する。すると、昇降シリンダ51が制御弁Vから油圧を供給されて伸長操作され、刈取り部10が上昇する。刈取り部10がストロークエンドなど所望の連結高さまで上昇すると、制御弁Vを「中立」に切換え操作する。すると、昇降シリンダ51が停止し、刈取り部10が所望の連結高さになる。
【0030】
図10は、前記各接地部18の側面図である。この図に示すように、各接地部18は、前端部に前上がり傾斜部18aを、後端部に後上がり傾斜部18bをそれぞれ備えた板金製の板橇によって構成してある。各接地部18は、接地部18の前端側に配置した連結軸41を有した姿勢変更手段40を介して前記分草杆13に支持させてある。
【0031】
図10に示すように、前記姿勢変更手段40は、前記連結軸41を備える他、接地部18の後端部と前記分草杆13とにわたって連結したコイルスプリング42を備えて構成してある。
【0032】
前記連結軸41は、接地部18の前端側に配置した連結部材18cと、分草杆13にブラケットを付設して設けた支持部13aとを相対回動自在に連結し、接地部18の前端側を分草杆13に回動自在に支持させている。前記コイルスプリング42は、接地部18の後端側を下降付勢している。
【0033】
これにより、姿勢変更手段40は、圃場面の硬さが変化すると、接地部18がこれの前端側に位置した前記連結軸41の走行機体横向き軸芯を支点Pとして上下揺動する姿勢変化を接地部18に自ずと行わせる。
【0034】
すなわち、図10(イ)は、圃場面Sが硬い場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。図10(ロ)は、圃場面Sが軟弱な場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。
これらの図に示すように、圃場面Sが硬い場合、姿勢変更手段40は、接地部18に作用する圃場面Sから接地反力によってスプリング42を弾性変形させ、接地部18が前記支点Pまわりに上昇揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面Sに対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0035】
一方、圃場面Sが軟弱である場合、姿勢変更手段40は、スプリング42による接地部18の下降付勢により、接地部18が前記支点Pのまわりに下降揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18の圃場面Sへの沈み込みによる刈取り部10の前下がり側への姿勢変化にかかわらず、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面Sに対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0036】
図11は、別の実施構造を備えた姿勢変更手段45の側面図である。この図に示すように、別実施例の姿勢変更手段45は、接地部18の前端側に配置した連結軸41と、接地部18の後端側と分草杆13とにわたって設けた連結ねじ軸46とを備えて構成してある。
【0037】
前記連結軸41は、接地部18の前端側に配置した連結部材18cと、分草杆13の支持部13aとを相対回動自在に連結し、接地部18の前端側を分草杆13に回動自在に支持させている。
【0038】
前記連結ねじ軸46の下端部は、接地部18の後端部に固設の連結ブラケット18dに連結ピン47を介して相対回転自在に連結されている。前記連結ねじ軸46の上端側は、分草杆13にブラケットを付設して設けた支持部13bを位置変更自在に挿通しており、かつ、前記支持部13bの上下側に配置して連結ねじ軸46に装着された位置決めねじ体48によって支持部13bに固定される。
【0039】
この姿勢変更手段45は、位置決めねじ体48が人為操作によって回動調節され、接地部18の後端側と分草杆13とが連結ねじ軸46によって連結される間隔を変更されることにより、接地部18を前記連結ピン41の走行機体横向き軸芯を支点Pとして上下揺動させて接地部18の分草杆13に対する取り付け角度を変更する。
【0040】
図11(イ)は、圃場面が硬い場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。図11(ロ)は、圃場面が軟弱な場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。
これらの図に示すように、圃場面が硬い場合、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との連結間隔を小間隔になるよう人為調節する。すると、姿勢変更手段45は、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との間隔変更により、接地部18が前記支点Pまわりに上昇揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面に対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0041】
一方、圃場面が軟弱な場合、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との連結間隔を大間隔になるよう人為調節する。すると、姿勢変更手段45は、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との間隔変更により、接地部18が前記支点Pまわりに下降揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18の圃場面Sへの沈み込みによる刈取り部10の前下がり側への姿勢変化にかかわらず、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面に対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0042】
〔別実施例〕
上記コイルスプリング42に替え、ゴム材の弾性復元力を利用した構成を採用して実施しても本発明の目的を達成することができる。従って、コイルスプリング42、ゴム材などを総称して弾機42と呼称する。
【符号の説明】
【0043】
10 刈取り部
18 接地部
40,45 姿勢変更手段
42 弾機
P 支点
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取り部を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、従来、たとえば特許文献1に示されたものがあった。
特許文献1に示されたコンバインでは、刈取り部が走行機体の基台に上下揺動自在に支持されているとともに油圧シリンダによって昇降操作される。
刈取り部が刈取り作業高さ域まで自重下降されると、刈取り部横移動機構における揺動支持枠の下端横杆部が、走行機体の前端部下部に設けられた弾性バランス機構の前端に弾性的に接当支持される。すると、刈取り部の重量の一部が弾性バランス機構のバネ力によって相殺され、刈取り部の前方下部に配備した接地体が比較的小さい接地圧で圃場面に接地する。つまり、刈取り部を自重下降させて軽く接地支持させて刈取り走行を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−211972号公報(段落〔0022〕、〔0024〕、〔0041〕、〔0043〕、図1,8,9、18)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される如く、刈取り部を接地追従させるコンバインでは、接地圧などの面から安定的な接地追従が得られるよう、板橇形などの接地部を刈取り部に支持させる。
【0005】
圃場面が硬い場合、刈取り部に支持された接地部の圃場面への沈み込みが発生しにくい。すると、刈取り部の走行機体に対する連結姿勢が変化しにくく、接地部の対地姿勢が変化しにくい。このため、圃場面が硬い場合に接地部がこれの走行機体前後方向での広範囲にわたって接地するよう設定した取り付け姿勢で接地部を刈取り部に支持させると、圃場面が軟弱である場合、接地部による走行抵抗の増大や接地部での土詰まりが発生しやすくなる。
【0006】
つまり、圃場面が軟弱であると、刈取り部に支持された接地部が圃場面に沈み込みやすい。接地部の圃場面への沈み込みが発生すると、これに起因して刈取り部が前下がり姿勢になることから、接地部が圃場面に対して前下がりになる。このように接地部が圃場面に沈下するとともに前下がり状態になれば、接地部の圃場へのもぐり込み現象が発生しやすくなる。すなわち、接地部の沈み込みが増大しやすくなる。この結果、接地部に作用する土圧のために移動抵抗が増大する。また、接地部への土の乗り上がりが発生しやすくなるとともに進行しやすくなる。
【0007】
本発明の目的は、圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、接地部のスムーズな接地摺動を現出させることができるとともに上記した問題の発生を回避しやすいコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明は、刈取り部を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させたコンバインにおいて、
前記刈取り部を接地支持する接地部を、前記接地部の前端側に位置した支点まわりに上下揺動する姿勢変化をさせる姿勢変更手段を介して前記刈取り部に支持させてある。
【0009】
本第1発明の構成によると、圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、刈取り部を接地追従させるよう接地支持する接地部を、圃場面の硬さに適応した取り付け姿勢で支持させることができる。
【0010】
つまり、圃場面が硬い場合、接地部の圃場面への沈み込みが発生しにくくて刈取り部の前下がりが発生しにくい分、接地部を軟弱圃場面の場合よりも上昇揺動した取り付け姿勢に姿勢変更手段によって姿勢変化させ、接地部が地面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢またはこれに近い姿勢となった状態で接地するようにできる。
【0011】
圃場面が軟弱な場合、接地部の圃場面への沈み込みが発生して刈取り部の前下がりが発生する分、接地部を硬質圃場面の場合よりも下降揺動した取り付け姿勢に姿勢変更手段によって姿勢変化させ、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢、またはこれに近いやや前上がり姿勢であるとかやや前下がり姿勢となった状態で接地するようにできる。
【0012】
これにより、圃場面が硬い場合も軟弱な場合も、接地部がこれの走行機体前後方向での広範囲にわたって接地圧が分散した状態で接地し、接地部の接地摺動をスムーズに行わせながら、かつ、接地部の沈み込みによる移動抵抗の増大や土詰まりを回避しながら刈取り部を接地追従させることができる。
【0013】
本第2発明では、前記姿勢変更手段は、前記接地部を下降揺動付勢する弾機を備えて構成されている。
【0014】
本第2発明によると、圃場面が硬いと、接地部に作用する接地反力のために弾機が弾性変形し、接地部が弾機に抗して上昇揺動した取り付け姿勢に自ずとなる。すなわち、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に自ずと姿勢変化する。圃場面が軟弱であると、接地部の沈み込みに起因して刈取り部が前下がり状態になっても、弾機が接地部を土圧に抗して下降揺動操作し、接地部が下降揺動した取り付け姿勢に自ずとなる。すなわち、刈取り部の前下がりにかかわらず、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に自ずと姿勢変化する。
【0015】
これにより、圃場面の硬さに変化があっても、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に自ずとなり、接地部の接地摺動をスムーズに行わせながら、かつ、接地部の沈み込みによる移動抵抗の増大や土詰まりを回避しながらの刈取り部の接地追従を信頼性の良い状態でかつ楽に行わせることができる。
【0016】
本第3発明では、前記姿勢変更手段は、前記接地部の取り付け角度を人為操作によって変更する手段である。
【0017】
本第3発明の構成によると、圃場面の硬さに変化があっても、姿勢変更手段を適切に人為操作することにより、接地部が圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢になるよう接地部の取り付け姿勢を変更できる。
【0018】
従って、圃場面の硬さに変化があっても、接地部を圃場面に対して走行機体前後方向に沿った姿勢又はこれに近い姿勢に姿勢調節し、接地部の接地摺動をスムーズに行わせながら、かつ、接地部の沈み込みによる移動抵抗の増大や土詰まりを回避しながらの刈取り部の接地追従を信頼性の良い状態で行わせることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】コンバイン全体の平面図
【図3】昇降操作機構及びバランス支持手段の正面図
【図4】昇降操作機構の側面図
【図5】バランス支持手段の側面図
【図6】バランス支持手段の縦断側面図
【図7】バランス支持手段の縦断平面図
【図8】バランス支持手段の作用範囲を示す説明図
【図9】昇降シリンダの油圧回路図
【図10】(イ)は、圃場面が硬い場合における接地部の接地状態での側面図、(ロ)は、圃場面が軟弱な場合における接地部の接地状態での側面図
【図11】別の実施構造を備えた姿勢変更手段の側面図であり、(イ)は、圃場面が硬い場合における姿勢調整状態での側面図、(ロ)は、圃場面が軟弱な場合における姿勢調整状態での側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ式の走行装置1によって自走し、かつ、運転座席2が装備された運転部を有した自走機体と、この自走機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部10と、前記自走機体の機体フレーム3の後部側に設けた脱穀装置5および穀粒タンク6とを備えて構成してある。
【0021】
このコンバインは、稲、麦などの収穫を行うものである。すなわち、刈取り部10は、この刈取り部10が有する前処理部フレーム11と前記機体フレーム3とにわたって設けた昇降操作機構50により、前記前処理部フレーム11の基部11bが前記機体フレーム3の前部に位置する支持体4に相対回動自在に連結している自走機体横向きの軸芯Xまわりで自走機体に対して揺動操作され、刈取り部10の前部に自走機体横方向に並べて設けてある複数の接地部18が地面上に接地し、かつ、前記接地部18の後側に位置する一つのバリカン形の刈取り装置12が地面上近くに位置した下降作業状態と、前記接地部18が地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部10を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り部10は、この刈取り部10の前部に自走機体横方向に並んで位置する複数の分草具14によって植立穀稈を刈り取り対象と非刈取り対象とに分草するとともに刈取り対象の植立穀稈を各分草具14の後方に位置する引き起こし経路15に案内し、各引き起こし経路15に案内された植立穀稈を引き起こし装置16によって引き起こし処理するとともに前記刈取り装置12によって刈取り処理し、刈取り装置12からの刈取り穀稈を供給装置17によって機体後方向きに搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して機体後方向きに搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、その穂先側を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留していく。
【0022】
図1,2,3に示すように、前記前処理部フレーム11は、前記支持体4に基部11bが前記軸芯Xまわりで回動自在に支持された伝動ケースで成るメインフレーム11aと、このメイフレーム11aの先端部の自走機体横方向に並ぶ複数箇所から機体前方向きに延出した分草杆13とを備えている。前記各分草具14は、前記分草杆13の延出端部に設けてある。前記各接地部18は、前記分草具14の後方近くで前記分草杆13の下部に設けてある。
【0023】
図3は、前記昇降操作機構50の自走機体正面視での構造を示す。図4は、前記昇降操作機構50の自走機体側面視での構造を示す。これらの図に示すように、昇降操作機構50は、前記支持体4に固定された左右一対のブラケット52,52に連結軸部53bが自走機体横向きの軸芯53aまわりで回動自在に連結された揺動操作体53と、この揺動操作体53の遊端側軸部53dに固定されたブラケット58と機体フレーム3に固定されたブラケット54とにわたって連結された油圧式単動シリンダで成る昇降シリンダ51とを備えている。前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dと、揺動操作体53に固定された左右一対のブラケット56,56に支持された係止ロッド55とが前記メインフレーム11aを挟んでいることにより、揺動操作体53がメインフレーム11aに一体揺動自在に係止している。揺動操作体53の遊端側軸部53dは、メインフレーム11aに設けた保護プレート11cに当接してメインフレーム11aに押し上げ作用する。係止ロッド55は、仲介部材57を介してメインフレーム11aに係止作用する。図3,4に示す如く前記左右一対のブラケット56,56に回転自在に支持された螺旋軸60は、電動モータ61によって正回転方向や逆回転方向に回転操作され、横送り部材62を介してメインフレーム11aをこのメインフレーム11aと支持体4の連結軸に兼用の入力軸63に沿わせて移動操作し、刈取り部10を自走機体に対して中割り作業用の連結位置と回り刈り作業用の連結位置とに位置変更するものである。
【0024】
すなわち、昇降操作機構50は、昇降シリンダ51に油圧が供給されると、昇降シリンダ51が油圧によって伸長操作されて揺動操作体53を介してメインフレーム11aを上昇揺動操作することにより、刈取り部10を上昇操作し、昇降シリンダ51から油圧が排出されると、昇降シリンダ51が刈取り部10の重量によって短縮操作されてメインフレーム11aを下降揺動操作することにより、刈取り部10を下降操作する。
【0025】
図3,5,6,7に示すように、機体フレーム3の前部にバランス支持手段20を設けてある。図3は、バランス支持手段20の自走機体正面視での構造を示す。図5は、バランス支持手段20の自走機体側面視での構造を示す。図6は、バランス支持手段20の縦断側面図である。図7は、バランス支持手段20の縦断平面図である。これらの図に示すように、バランス支持手段20は、機体フレーム3に固定されたバネ受け台26と、このバネ受け台26に固定されている一対の支軸27,27に支持された基端側バネホルダ25および先端側バネホルダ28と、前記基端側バネホルダ25と前記先端側バネホルダ28とバネカバー30との内部に設けたコイルバネで成るバランスバネ21と、前記基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とにわたって装着した連結杆29とを備えている。連結杆29は、基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とを設定間隔以上離れないように連結し、これによってバランスバネ21に初期弾性変形を備えさせている。一対の支軸27,27は、先端側バネホルダ28を摺動自在に支持している。連結杆29は、基端側バネホルダ25と先端側バネホルダ28とを接近自在に連結している。バネカバー30は、伸縮自在になっている。
【0026】
刈取り部10が自走機体に対する昇降範囲Aの上側部分B(図8参照)に位置した場合、前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dが先端側バネホルダ28から上方に離れ、バランス支持手段20は、刈取り部10に対して支持作用しない。刈取り部10が前記昇降範囲Aのうちの下側の作業部位C(図8参照)に位置した場合、前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dが先端側バネホルダ28に当接し、バランスバネ21が刈取り部10の重量によって初期弾性変形状態を超えた変形状態に圧縮操作され、バランス支持手段20は、バランスバネ21によって揺動操作体53を介してメインフレーム11aに上昇操作力を付与するよう刈取り部10に支持作用し、刈取り部10が接地部18の接地反力の変化に敏感に応答して自走機体に対して昇降するよう刈取り部10の接地圧を減少させる。
【0027】
図9は、昇降操作機構50の油圧回路を示す。この図に示すように、前記昇降シリンダ51の制御弁Vは、「中立」に切り換え操作されると、昇降シリンダ51に対する油圧の供給及び排出を停止する。制御弁Vが「中立」に操作された状態においても、昇降シリンダ51は、接地部18に作用する接地反力の大きさによっては、この接地反力と、バランスバネ21による上昇操作力との合力のために、かつ、圧油の気泡含有などのために若干伸長操作され、この分刈取り部10が自走機体に対して昇降することを許容する。
【0028】
つまり、作業を行うに当たり、昇降レバー70によって制御弁Vを「下降」に切り換え操作する。すると、昇降シリンダ51が制御弁Vによって排油されて短縮操作され、刈取り部10が下降する。刈取り部10の下降によって接地部18が接地すると、制御弁Vを「中立」に切り換え操作する。すると、刈取り部10が接地部18によって接地支持された状態となり、遊端側軸部53dと先端側バネホルダ28とが当接し、バランス支持手段20がバランスバネ21によって刈取り部10の接地圧を減少させる。これにより、刈取り部10は、接地部18の接地反力の変化に敏感に応答して自走機体に対して昇降する状態となり、接地部18によって接地追従する下降作業状態となる。このため、刈取り部10は、走行機体の前後傾斜にかかわらず、刈取り装置12による刈り高さを一定またはほぼ一定にしながら刈取り作業する。
【0029】
刈取り部10を上昇させる場合、昇降レバー70によって制御弁Vを「上昇」に切換え操作する。すると、昇降シリンダ51が制御弁Vから油圧を供給されて伸長操作され、刈取り部10が上昇する。刈取り部10がストロークエンドなど所望の連結高さまで上昇すると、制御弁Vを「中立」に切換え操作する。すると、昇降シリンダ51が停止し、刈取り部10が所望の連結高さになる。
【0030】
図10は、前記各接地部18の側面図である。この図に示すように、各接地部18は、前端部に前上がり傾斜部18aを、後端部に後上がり傾斜部18bをそれぞれ備えた板金製の板橇によって構成してある。各接地部18は、接地部18の前端側に配置した連結軸41を有した姿勢変更手段40を介して前記分草杆13に支持させてある。
【0031】
図10に示すように、前記姿勢変更手段40は、前記連結軸41を備える他、接地部18の後端部と前記分草杆13とにわたって連結したコイルスプリング42を備えて構成してある。
【0032】
前記連結軸41は、接地部18の前端側に配置した連結部材18cと、分草杆13にブラケットを付設して設けた支持部13aとを相対回動自在に連結し、接地部18の前端側を分草杆13に回動自在に支持させている。前記コイルスプリング42は、接地部18の後端側を下降付勢している。
【0033】
これにより、姿勢変更手段40は、圃場面の硬さが変化すると、接地部18がこれの前端側に位置した前記連結軸41の走行機体横向き軸芯を支点Pとして上下揺動する姿勢変化を接地部18に自ずと行わせる。
【0034】
すなわち、図10(イ)は、圃場面Sが硬い場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。図10(ロ)は、圃場面Sが軟弱な場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。
これらの図に示すように、圃場面Sが硬い場合、姿勢変更手段40は、接地部18に作用する圃場面Sから接地反力によってスプリング42を弾性変形させ、接地部18が前記支点Pまわりに上昇揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面Sに対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0035】
一方、圃場面Sが軟弱である場合、姿勢変更手段40は、スプリング42による接地部18の下降付勢により、接地部18が前記支点Pのまわりに下降揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18の圃場面Sへの沈み込みによる刈取り部10の前下がり側への姿勢変化にかかわらず、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面Sに対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0036】
図11は、別の実施構造を備えた姿勢変更手段45の側面図である。この図に示すように、別実施例の姿勢変更手段45は、接地部18の前端側に配置した連結軸41と、接地部18の後端側と分草杆13とにわたって設けた連結ねじ軸46とを備えて構成してある。
【0037】
前記連結軸41は、接地部18の前端側に配置した連結部材18cと、分草杆13の支持部13aとを相対回動自在に連結し、接地部18の前端側を分草杆13に回動自在に支持させている。
【0038】
前記連結ねじ軸46の下端部は、接地部18の後端部に固設の連結ブラケット18dに連結ピン47を介して相対回転自在に連結されている。前記連結ねじ軸46の上端側は、分草杆13にブラケットを付設して設けた支持部13bを位置変更自在に挿通しており、かつ、前記支持部13bの上下側に配置して連結ねじ軸46に装着された位置決めねじ体48によって支持部13bに固定される。
【0039】
この姿勢変更手段45は、位置決めねじ体48が人為操作によって回動調節され、接地部18の後端側と分草杆13とが連結ねじ軸46によって連結される間隔を変更されることにより、接地部18を前記連結ピン41の走行機体横向き軸芯を支点Pとして上下揺動させて接地部18の分草杆13に対する取り付け角度を変更する。
【0040】
図11(イ)は、圃場面が硬い場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。図11(ロ)は、圃場面が軟弱な場合における接地部18の接地状態を示す側面図である。
これらの図に示すように、圃場面が硬い場合、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との連結間隔を小間隔になるよう人為調節する。すると、姿勢変更手段45は、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との間隔変更により、接地部18が前記支点Pまわりに上昇揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面に対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0041】
一方、圃場面が軟弱な場合、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との連結間隔を大間隔になるよう人為調節する。すると、姿勢変更手段45は、連結ねじ軸46による接地部18と分草杆13との間隔変更により、接地部18が前記支点Pまわりに下降揺動した取り付け姿勢となる姿勢変化を接地部18に行わせ、接地部18の圃場面Sへの沈み込みによる刈取り部10の前下がり側への姿勢変化にかかわらず、接地部18を前端側の前上がり傾斜部18aと後端側の後上がり傾斜部18bとの間で圃場面に対して走行機体前後方向で沿った姿勢にする。
【0042】
〔別実施例〕
上記コイルスプリング42に替え、ゴム材の弾性復元力を利用した構成を採用して実施しても本発明の目的を達成することができる。従って、コイルスプリング42、ゴム材などを総称して弾機42と呼称する。
【符号の説明】
【0043】
10 刈取り部
18 接地部
40,45 姿勢変更手段
42 弾機
P 支点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取り部を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させたコンバインであって、
前記刈取り部を接地支持する接地部を、前記接地部の前端側に位置した支点まわりに上下揺動する姿勢変化をさせる姿勢変更手段を介して前記刈取り部に支持させてあるコンバイン。
【請求項1】
刈取り部を接地追従するよう走行機体に昇降自在に支持させたコンバインであって、
前記刈取り部を接地支持する接地部を、前記接地部の前端側に位置した支点まわりに上下揺動する姿勢変化をさせる姿勢変更手段を介して前記刈取り部に支持させてあるコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−40019(P2012−40019A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233125(P2011−233125)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2007−87706(P2007−87706)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2007−87706(P2007−87706)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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