説明

コンバイン

【課題】刈取装置の接地圧を軽減するために単一のバネを設けているので、付勢力が不足する。単一のバネで刈取装置の上下ストロークの全てを支持するため、バネ機構の作動スペースが大きくなる。
【解決手段】橇体22を有し刈取上下シリンダ19により昇降する刈取装置4を設ける。刈取上下シリンダ19とは別に刈取装置4を上昇側に付勢する補助付勢手段20を設ける。補助付勢手段20は、二つの大径バネ40と小径バネ41により構成し、該大径バネ40の大径コイル部42の巻き方向と前記小径バネ41の小径コイル部43の巻き方向とを互いに反対にした状態で該小径バネ41を大径バネ40の内側空間部に挿入して装着する構成としたことを特徴とするコンバイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体フレームの下方に走行装置を設け、機体フレームの上方に脱穀装置を設け、機体フレームの前方には刈取上下シリンダにより昇降する刈取装置を設け、刈取上下シリンダとは別に刈取装置を支持して刈取装置の接地圧を軽減する補助支持手段を設けた構成は公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−267123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、刈取装置の接地圧を軽減するだけであるため、単一のバネを設けているが、刈取装置の重量が重くなると、付勢力が不足するという課題がある。
また、単一のバネで刈取装置の上下ストロークの全てを支持する構成のため、バネ機構の作動スペースを大きく必要とする課題がある。
本願は、刈取装置の接地圧を軽減する付勢手段の構成を工夫し、付勢手段の作動の確実性の向上を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、機体フレーム1の下方に走行装置2を設け、機体フレーム1の上方一側に脱穀装置3を設け、機体フレーム1の前方には橇体22を有し刈取上下シリンダ19により昇降する刈取装置4を設け、前記刈取上下シリンダ19とは別に刈取装置4を上昇側に付勢して圃場面の凸部で突き上げられた際の刈取装置4の上方退避を補助する補助付勢手段20を設け、補助付勢手段20は、刈取装置4を機体フレーム1側に支持する刈取支持フレーム16側に先端部を取付け内部にバネ29を有する伸縮自在の前側バネホルダ27により構成した前側バネ機構25Aと、基部を機体フレーム1側に取付け内部にバネ30を有する伸縮自在の後側バネホルダ28により構成した後側バネ機構25Bから構成し、前側バネ機構25Aの基部と後側バネ機構25Bの先端部とを上下方向に屈曲回動自在に中間取付軸26により連結し、前記後側バネホルダ28に備えた後側先端筒36と後側基部筒37は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないように機体フレーム1側に取付け、前記前側バネ手段29と後側バネ手段30の何れか一方または両方は二つの大径バネ40と小径バネ41により構成し、該大径バネ40の大径コイル部42の巻き方向と前記小径バネ41の小径コイル部43の巻き方向とを互いに反対にした状態で該小径バネ41を大径バネ40の内側空間部に挿入して装着する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、コンバインを前進させて、分草装置で分草するとともに引起装置9で引起し、その後刈刃で穀稈の根本側を切断し、切断した穀稈を穀稈搬送装置で搬送して穀稈の刈取作業を行う。
刈取装置4のフレームは刈取支持フレーム16の先側に設け、刈取上下シリンダ19により刈取装置4を昇降させて刈り高さを調節し、調節された刈り高さを保持した状態で、前進しながら刈取作業を行う。
刈取装置4には、圃場面への橇体22の接地圧力を軽減する補助付勢手段20を刈取上下シリンダ19とは別に設けているので、刈取装置4が圃場面の凸部で突き上げられると、その反力により刈取装置4を上方退避させる。
この場合、補助付勢手段20の前側バネ手段29と後側バネ手段30の何れか一方または両方は二つの大径バネ40と小径バネ41により構成し、該大径バネ40の大径コイル部42の巻き方向と前記小径バネ41の小径コイル部43の巻き方向とを互いに反対にした状態で該小径バネ41を大径バネ40の内側空間部に挿入しているので、小径バネ41の小径コイル部43が大径バネ40の大径コイル部42と交差し、小径バネ41の小径コイル部43が大径バネ40の大径コイル部42の間に嵌るのを防止する。
請求項2記載の発明は、前記後側バネホルダ28には、後側基部筒37に対して後側先端筒36が円周方向に回転するのを防止する回転防止機構45を設け、前記回転防止機構45は、後側先端筒36側に摺動軸部材46の先端を固定し、摺動軸部材46を後側基部筒37または後側基部筒37の基部を固定する機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定の縦板部47の係合孔48に摺動のみ自在に挿入する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、後側先端筒36側の摺動軸部材46が縦板部47の係合孔48内を、後側先端筒36の伸縮により移動し、この摺動軸部材46の移動の際に摺動軸部材46は係合孔48に案内されて、回転するのを防止される。
請求項3記載の発明は、前記摺動軸部材46と係合孔48とは、摺動軸部材46の側面を係合孔48の内周に摺接させて回転を防止する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、後側先端筒36が伸縮すると、摺動軸部材46の側面が係合孔48の内周に摺接して回転を防止する。
請求項4記載の発明は、前記後側バネホルダ28には、後側基部筒37に対して後側先端筒36が円周方向に回転するのを防止する回転防止機構45を設け、前記回転防止機構45は、後側先端筒36側に摺動軸部材46の先端を固定し、摺動軸部材46の後端に回転防止体52を設け、該回転防止体52を後側基部筒37または後側基部筒37の基部を固定する機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定の縦板部47の係合孔48に摺動のみ自在に係合する係合部53を備える構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、後側先端筒36側の摺動軸部材46が後側先端筒36の伸縮により移動し、この摺動軸部材46の移動により回転防止体52の係合部53が縦板部47の係合孔48に案内されて、回転するのを防止される。
請求項5記載の発明は、前記摺動軸部材46と回転防止体52はカバー55により包囲したことを特徴とするコンバインとしたものであり、後側先端筒36が伸縮すると、摺動軸部材46および回転防止体52がカバー55内を前後移動する。
請求項6記載の発明は、前記カバー55内には、前記回転防止体52の当接部54が当接する規制段部60を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、後側先端筒36の伸縮により摺動軸部材46および回転防止体52がカバー55内を前後移動し、回転防止体52が規制段部60に当接すると、後側先端筒36の前方移動を停止させる。カバー55は、摺動軸部材46の摺動方向の規制段部60の長さの相違するものを複数用意しているので、規制段部60の長さの相違するカバー55を選択的に取付けることにより、規制段部60に回転防止体52の当接部54が当接する位置を変更して、後側先端筒36の前方移動の停止位置を変更させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、刈取上下シリンダ19とは別に設けた補助付勢手段20により刈取装置4に備えた橇体22の接地圧力を軽減させて、刈取装置4の橇体22が圃場面の凸部で突き上げられた場合に、刈取装置4を円滑に上方退避させることができ、刈取装置4の破損を防止でき、更に、大径バネ40と小径バネ41により効率よく刈取装置4を支持できると共に、小径バネ41の小径コイル部43が大径バネ40の大径コイル部42の間に嵌るのを防止でき、補助付勢手段20を確実に作動させることができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、バネ機構25の後側先端筒36を後側基部筒37に対して回転するのを防止させることができる。
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明の効果に加え、簡単な構成で後側先端筒36の回転を防止することができる。
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明の効果に加え、回転防止体52により後側先端筒36の回転するのを防止することができ、回転防止体52を設ければよいので、簡単に製造組立できる。
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明の効果に加え、後側先端筒36の伸縮よって摺動軸部材46および回転防止体52がカバー55内を前後移動するので、カバー55内に塵埃や異物が入るのを防止でき、そのため、摺動軸部材46あるいは係合孔48への塵埃や異物の付着を防止でき、作動を確実にできる。
請求項6記載の発明は、上記請求項4記載の発明の効果に加え、後側先端筒36の伸縮を所定範囲内にすることができ、また、後側先端筒36の前方移動の停止位置を簡単に変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】回転防止機構を省略した補助付勢手段の側面図。
【図4】回転防止機構を省略した補助付勢手段の側面図。
【図5】回転防止機構の側面図。
【図6】同摺動軸部材(回転防止体の係合部)の断面図。
【図7】同他の実施例の断面図。
【図8】同他の実施例の断面図。
【図9】同他の実施例の断面図。
【図10】同他の実施例の断面図。
【図11】同側面図。
【図12】同他の実施例の側面図。
【図13】同背面図。
【図14】同他の実施例の側面図。
【図15】同背面図。
【図16】同他の実施例の側面図。
【図17】同背側面図。
【図18】同他の実施例の側面図。
【図19】同背側面図。
【図20】同他の実施例の側面図。
【図21】同背側面図。
【図22】同他の実施例の側面図。
【図23】同他の実施例の側面図。
【図24】同他の実施例の側面図。
【図25】同他の実施例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取装置、5はグレンタンク、6はグレンタンク5内の穀粒を排出する排出オーガ、7は操縦部である。
前記刈取装置4は、最先端位置に分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置11を設ける。
穀稈搬送装置11の構成は任意であり、分草装置8で分草して引起装置9で引起して刈刃10で株元を切断した穀稈を搬送する前側搬送装置(図示省略)や掻き込み装置13や後方に搬送する後側搬送装置(図示省略)等により構成する。12は脱穀装置3に穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置であり、穀稈供給搬送装置12の始端部に後側搬送装置(図示省略)からの穀稈を引き継ぐ引継搬送装置13を設けており、引継搬送装置13は前記穀稈搬送装置11の一部を構成している。
【0009】
分草装置8と引起装置9と刈刃10と刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置の一部を刈取フレーム15に設け、刈取フレーム15は刈取支持フレーム16の先側に設ける。17は刈取フレーム15の下部横伝動ケースである。
刈取装置4は、図示は省略するが、刈取支持フレーム16の基部を機体固定部に設けた刈取懸架支持台に回転自在に取付け、もって、刈取支持フレーム16の基部を中心に上下回動自在に取付ける。
刈取支持フレーム16と機体フレーム1の間には、刈取装置4を昇降させる刈取上下シリンダ19を取付ける。刈取上下シリンダ19は油圧ポンプにより送油されて刈取装置4を上昇させ、送油した油を戻すと刈取装置4を下降させる単動式シリンダにより構成する。
刈取上下シリンダ19とは別に、刈取装置4の接地圧力軽減する補助付勢手段20を設け、分草装置8を取付けた分草杆21の下面に設けた橇体22を圃場面に接地させて刈取作業を行って、刈取装置4が圃場面の凸部で突き上げられると、刈取装置4を上昇退避するように付勢し、上昇退避した刈取装置4が圃場面の凸部を通過すると、刈取装置4の自重で刈取装置4が下降するように構成する。
【0010】
即ち、刈取装置4の分草装置8を接地させた状態で刈取作業を行う際に、分草装置8が圃場の凸部で突き上げられると、刈取装置4を上昇退避させるので、刈取装置4の刈取高さを低く一定にでき、刈取高さ調節が容易になる。
補助付勢手段20はバネ機構25を有して構成し、バネ機構25は、刈取支持フレーム16側に取付けた前側バネ機構25Aと機体フレーム1に取付ける後側バネ機構25Bとにより構成し、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとを回動自在に中間取付軸26により連結してリンク機構のように互いに連結して構成する。
前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bともに伸縮自在の前後側バネホルダ27、28内に前側バネ手段29と後側バネ手段30とを夫々内蔵して構成する。
前側バネホルダ27の先端は刈取支持フレーム16側に前側取付軸31により回動自在に取付け、前側バネホルダ27の基部は後側バネホルダ28の先端に前記中間取付軸26により回動自在に取付ける。
また、後側バネホルダ28の基部は機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定状態に取付ける。
【0011】
そのため、バネ機構25は、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26の部分で刈取装置4の上下により屈折して刈取支持フレーム16を支持するように構成する。
即ち、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26が刈取装置4の上下により前後方向に移動し、この前後に移動する中間取付軸26を支点として、前側バネホルダ27の先端が上下して刈取装置4の上下に追随する動きとなる。
したがって、バネ機構25は、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bに分割構成し、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとは上下方向に屈曲し、後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないので、刈取支持フレーム16の移動軌跡付近に存在する他の構成品(油圧ポンプや走行装置2のミッションケース等)を避けて、補助付勢手段20を設けることができ、機体フレーム1の前側のスペースを有効利用することができる。
【0012】
前側バネホルダ27の前側先端筒34の基部には、大径の前側基部筒35の先端を嵌合させる。後側バネホルダ28の後側先端筒36は前記中間取付軸26に回動自在に連結し、後側先端筒36には後側バネホルダ28の後側基部筒37を嵌合させる。
補助付勢手段20の前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は、夫々、前側先端筒34および後側先端筒36と前側基部筒35および後側基部筒37とに分割形成し、前側先端筒34および後側先端筒36と前側基部筒35および後側基部筒37とは刈取装置4の最上昇位置から最下降位置の全ストローク域において、互いに重なるように重なり代を設ける。
そのため、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は、夫々、前側先端筒34および後側先端筒36と前側基部筒35および後側基部筒37の伸縮の全ストローク域において、摺動時の互いに案内部材として作用し、前側先端筒34および後側先端筒36と前側基部筒35および後側基部筒37とが外れるのを防止し、前側バネ手段29と後側バネ手段30とを前側バネホルダ27および後側バネホルダ28内の夫々に収納して適格に作動させられる。
【0013】
この前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は両者共に、直線状態の筒部材により形成した前側先端筒34および後側先端筒36と前側基部筒35および後側基部筒37の一部を重ねて二重筒構成にする。
そのため、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は、前側先端筒34および前側基部筒35と後側先端筒36および後側基部筒37を直線状態で支持でき、少ない前側先端筒34および後側先端筒36と前側基部筒35および後側基部筒37との重なり代Sでも、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28の夫々が中間部分で屈曲するのを防止し、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28の伸縮を円滑にする。
前記前側バネ手段29と後側バネ手段30の何れか一方または両方は二つのバネ体により構成する。実施例では、後側バネ手段30を二つの大径バネ40と小径バネ41により構成し、後側バネ機構25Bによる支持を強固にし、また、前側バネ機構25Aの伸縮の方が後側バネ機構25Bの伸縮より軽い力で行って、刈取装置4の振動に連動して振動する刈取支持フレーム16の振動を吸収する作用も期待する。
【0014】
前記大径バネ40と小径バネ41は、大径バネ40内に小径バネ41を挿入しうるように構成する。
即ち、大径バネ40の内径と小径バネ41の外径とを、相対的に設定し、大径バネ40内に小径バネ41を挿入する。
この場合、二つの大径バネ40と小径バネ41とを後側バネホルダ28に単に挿入すると、大径バネ40の各大径コイル部42の間の隙間に小径バネ41の小径コイル部43が自重で落ち込み、それゆえ、大径バネ40と小径バネ41の双方が伸縮不能状態になる。
これを、解消するには、小径バネ41が落ち込まないように支持したり、あるいは、小径バネ41の小径コイル部43の線径より大径バネ40の大径コイル部42のピッチが大きくならないようにしなくてはならず、容易でなかった。
【0015】
そこで、本願は、大径バネ40と小径バネ41とは、互いの大径コイル部42と小径コイル部43の巻き方向が反対になるように構成する。
そのため、小径バネ41の小径コイル部43と大径バネ40の大径コイル部42とは、どの状態であっても、互いに交差するので、大径バネ40の各大径コイル部42の間の隙間に小径バネ41の小径コイル部43が落ち込むのを防止し、伸縮しなくなる非作用状態となるのを防止する。
しかして、前記後側バネホルダ28は、後側基部筒37に対して後側先端筒36が軸心回り(円周方向)に回転しないように、回転防止機構45を設ける(図5)。
回転防止機構45は後側先端筒36側に摺動軸部材46の先端を固定する。摺動軸部材46は縦板部47に摺動のみ自在に設ける。縦板部47は、後側基部筒37または後側基部筒37の基部を固定する機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に設ける。縦板部47には係合孔48を形成し、係合孔48に対して摺動軸部材46を回転させないように摺動のみ自在に挿入する。
【0016】
図6は、摺動軸部材46と係合孔48の実施例を示し、摺動軸部材46を断面正方形の角軸50により構成し、摺動軸部材46の回転を防止する。
図7は、摺動軸部材46の他の実施例を示し、摺動軸部材46を断面長方形の角軸角軸50により構成し、摺動軸部材46の回転を防止する。
図8は、摺動軸部材46の他の実施例を示し、摺動軸部材46を断面多角形の角軸50により構成し、摺動軸部材46の回転を防止する。
図9は、摺動軸部材46の他の実施例を示し、摺動軸部材46の上下を円弧とし、中間を略平行に長くした楕円(小判)形状に構成し、摺動軸部材46の回転を防止する。
図10は、摺動軸部材46の他の実施例を示し、摺動軸部材46の基部は円形状とし、係合孔48に係合する部分の摺動軸部材46の両側面は縦フラット面51に形成し、縦フラット面51を係合孔48の内周に摺接させて、摺動軸部材46の回転を防止する。
【0017】
図14,図15は、摺動軸部材46の他の実施例を示し、摺動軸部材46の先端には、回転防止体52を取付け、回転防止体52の係合部53を摺動軸部材46の係合孔48に係合させる。
回転防止体52の係合部53の形状は、摺動軸部材46の回転を防止しうる形状であればよく、前記した正方形や長方形のように、図6〜図10の形状でもよい。
また、係合部53の後端に大径の当接部54を設ける。当接部54は縦板部47に当接して摺動軸部材46の抜け止めストッパーとしても作用する。
前記摺動軸部材46と回転防止体52は、カバー55により包囲する。
図16、図17の実施例では、前記縦板部47を後側基部筒37に設け、後側基部筒37より後方に突出する摺動軸部材46に回転防止体52を設け、摺動軸部材46と回転防止体52をカバー55により包囲する。カバー55は、上下一対の取付部56に半円形状の包囲部57を夫々固定し、上下一対の取付部56を後側基部筒37の縦板部47に固定具58により固定する。
【0018】
また、回転防止体52は背面視円形形状にすると、カバー55内に塵埃の浸入を防止できて好適である。
前記カバー55内には、カバー55内に突き出る規制段部60を設ける(図18,図19)。カバー55は、摺動軸部材46の摺動方向の規制段部60の長さの相違するものを複数用意し、選択的に取付ける。
そのため、カバー55を交換するだけで、回転防止体52の停止位置を変更調節できる。
図20,図21は、規制段部60の他の実施例であり、カバー55の上下の取付部56のうち、下側取付部56Aを後側基部筒37の縦板部47に固定し、この下側取付部56Aに上方に上側取付部56Bを重ねて固定具48により着脱自在に取付け、上側取付部56Bに回転防止体52に係合する規制段部60を形成する。上側取付部56Bは、摺動軸部材46の摺動方向の規制段部60の位置の相違するものを複数用意し、選択的に取付ける。
【0019】
そのため、上側取付部56Bを交換するだけで、回転防止体52の停止位置を変更調節できる。
図22は、カバー55の他の実施例であり、カバー55の包囲部57の後部に後付で栓63を着脱自在に設けたものである。
そのため、カバー55内に塵埃の浸入を防止できて好適である。
図23は、カバー55の他の実施例であり、カバー55の包囲部57の後部に閉塞部64を設けたものである。
そのため、カバー55内に塵埃の浸入を防止できて好適である。
図24は、閉塞部64の他の実施例であり、カバー55の上側取付部56Bに閉塞部64を設け、閉塞部64は下側取付部56Aの上面に当接させたものである。
そのため、製造・組立が容易となる。
図25は、摺動軸部材46の他の実施例を示し、摺動軸部材46は後側先端筒36と別体に形成し、後側先端筒36内に摺動軸部材46の取付部66を固定具67により固定し、この摺動軸部材46に大径バネ40と小径バネ41を挿通して、後側基部筒37を組付けるように構成する。
【0020】
(実施例の作用)
刈取装置4は、最先端位置に分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置11を設けているので、刈取装置4が前進すると、分草装置8が圃場の穀稈を分草し、各分草装置8が分草した穀稈を引起装置9が引起し、引起した穀稈を刈刃10が切断し、刈刃10によって刈り取った穀稈を穀稈搬送装置11が搬送する。
刈取装置4の刈取フレーム15は刈取支持フレーム16の先側に設け、刈取上下シリンダ19により刈取装置4を上下させて刈り高さを調節し、調節された刈り高さを保持して前進し、刈取作業を行う。
刈取装置4は、刈取装置4と圃場との接地圧力を軽減する補助付勢手段20を刈取上下シリンダ19とは別に設けているので、刈取装置4の橇体22が圃場面の凸部で突き上げられると、その反力により刈取装置4を上昇退避させる。
【0021】
即ち、「やじろべえ(弥次郎兵衛)」のように、刈取装置4の先端は下から軽く圃場面の凸部で突き上げられると、直ぐに上動するように、補助付勢手段20により刈取装置4の重さを支持しているので、刈取装置4の橇体22が圃場上面に接触すると、その反力により調節した刈取作業高さよりも高く上方に向けて刈取装置4を退避させ、圃場の圃場面の凸部を刈取装置4が通過すると、刈取装置4は自重で刈取作業高さまで下降して刈取作業を続行する。
補助付勢手段20は刈取装置4の不要な沈み込みを防止する。
補助付勢手段20はバネ機構25を有して構成し、バネ機構25は刈取支持フレーム16側に取付け内部に前側バネ手段29を有する前側バネ機構25Aと機体フレーム1に取付け内部に後側バネ手段30を有する後側バネ機構25Bとを前側バネ手段29と後側バネ手段30とが直列状態で作用するように構成し、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとを回動自在に中間取付軸26により連結してリンク機構のように互いに連結して構成し、バネ機構25は前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とに分割構成で、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とは上下方向に屈曲し、後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないので、バネ機構25は、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26の部分で刈取装置4の上下により屈折して刈取支持フレーム16を支持する。
【0022】
バネ機構25前記前側バネ手段29と後側バネ手段30の何れか一方または両方は二つのバネ体により構成し、二つのバネ体により強固に支持する。
実施例では、後側バネ手段30を二つのバネ体により構成し、後側バネ機構25Bによる支持を強固にし、また、前側バネ機構25Aの伸縮の方が後側バネ機構25Bの伸縮より軽い力で行って、刈取装置4の振動に連動して振動する刈取支持フレーム16の振動を吸収する。
前記後側バネ手段30は、径の相違するコイルバネである大径バネ40と小径バネ41により構成し、大径バネ40と小径バネ41は、大径バネ40内に小径バネ41を挿入するので、コンパクトに構成できる。
この場合、二つの大径バネ40と小径バネ41とを後側バネホルダ28に単に挿入すると、大径バネ40の各大径コイル部42の間の隙間に小径バネ41の小径コイル部43が自重で落ち込み、それゆえ、大径バネ40と小径バネ41の双方が伸縮不能状態になるが、本願は、大径バネ40と小径バネ41とは、互いの大径コイル部42と小径コイル部43の巻き方向が反対になるように構成しているので、小径バネ41の小径コイル部43と大径バネ40の大径コイル部42とがどの状態であっても、互いに交差するので、大径バネ40の各大径コイル部42の間の隙間に小径バネ41の小径コイル部43が落ち込むのを防止し、伸縮しなくなる非作用状態となるのを防止する。
【0023】
しかして、前記後側バネホルダ28は、後側基部筒37に対して後側先端筒36が軸心回り(円周方向)に回転しないように、回転防止機構45を設けているので、刈取部4を安定・確実に支持する。
回転防止機構45は後側先端筒36側に摺動軸部材46の先端を固定し、摺動軸部材46は縦板部47に摺動のみ自在に設けているので、摺動軸部材46が縦板部47に対して摺動することで回転防止する。
即ち、縦板部47は、後側基部筒37または後側基部筒37の基部を固定する機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に設け、縦板部47には係合孔48を形成し、係合孔48に対して摺動軸部材46を回転させないので、後側先端筒36を軸心方向に伸縮移動のみさせて、後側先端筒36が後側基部筒37に対して回転するのを防止する。
したがって、補助付勢手段20の作動の確実性を確保できる。
【0024】
図6の実施例では、摺動軸部材46を断面正方形の角軸50により構成しているので、角軸50の側面が係合孔48の縦長の内周面に摺接するので、摺動軸部材46が回転するのを防止する。
図7の摺動軸部材46の他の実施例では、角軸50の長方形の側面が、側面が係合孔48の縦長の内周面に摺接するので、摺動軸部材46が回転するのを防止する。
図8の摺動軸部材46の他の実施例では、摺動軸部材46を断面多角形の角軸50により構成し、角軸50の側面が係合孔48の縦長の内周面に摺接するので、摺動軸部材46が回転するのを防止する。
図9の摺動軸部材46の他の実施例では、摺動軸部材46の上下を円弧とし、中間を略平行に長くした楕円(小判)形状に構成しているので、摺動軸部材46の側面が係合孔48の縦長の内周面に摺接し、摺動軸部材46が回転するのを防止する。
【0025】
図10の摺動軸部材46の他の実施例では、摺動軸部材46の基部の先側の縦板部47の係合孔48に係合する部分の摺動軸部材46の両側面は縦フラット面51に形成しているので、左右の縦フラット面51が係合孔48の縦長の内周面に摺接するので、摺動軸部材46が回転するのを防止する。
図14,図15の摺動軸部材46の他の実施例では、摺動軸部材46の先端に回転防止体52を取付け、回転防止体52の係合部53は係合孔48の縦長の内周面に摺接する形状としているので、摺動軸部材46が回転するのを防止する。
摺動軸部材46の先端に回転防止体52を取付けているので、組立が容易となる。
また、係合部53の後端に当接部54を設けているので、当接部54が縦板部47に当接し、摺動軸部材46の抜け止めストッパーとしても作用する。、
【0026】
前記摺動軸部材46と回転防止体52は、カバー55により包囲しているので、塵埃や異物が摺動軸部材46あるいは係合孔48に付着するのを防止して、作動を確実にする。
図16、図17の実施例では、縦板部47を後側基部筒37に設け、後側基部筒37より後方に突出する摺動軸部材46に回転防止体52を設け、摺動軸部材46と回転防止体52をカバー55により包囲しているので、カバー55内に塵埃の浸入を防止する。
カバー55は、上下一対の取付部取付部56に包囲部57を夫々固定して構成しているので、上下一対の取付部56を後側基部筒37の縦板部47に固定具58により夫々固定すると取付けが終了し、取付を容易にする。
前記カバー55内には、カバー55内に突き出る規制段部60を設けているので(図18,図19)、摺動軸部材46が所定量前方移動すると、規制段部60に回転防止体52の当接部54が当接して、後側先端筒36の前方移動を停止させる。
【0027】
カバー55は、摺動軸部材46の摺動方向の規制段部60の長さの相違するものを複数用意しているので、規制段部60の長さの相違するカバー55を選択的に取付けることにより、規制段部60に回転防止体52の当接部54が当接する位置を変更して、後側先端筒36の前方移動の停止位置を変更させる。。
そのため、カバー55を交換するだけで、回転防止体52(後側先端筒36)の停止位置を変更調節できる。
図20,図21の規制段部60の他の実施例では、カバー55の上下の取付部56のうち、下側取付部56Aを後側基部筒37の縦板部47に固定し、この下側取付部56Aに上側取付部56Bを着脱自在に取付け、上側取付部56Bに回転防止体52に係合する規制段部60を形成しているので、摺動軸部材46の摺動方向の規制段部60の位置の相違する上側取付部56Bを選択的に取付けることにより、上側取付部56Bを交換するだけで、回転防止体52の停止位置を変更調節できる。
図22のカバー55の他の実施例では、カバー55の後部に後付で栓63を設けているので、カバー55内への塵埃の浸入を防止できる。
また、後付で栓63を取付けられるので、汎用性を向上させられる。
【0028】
図23のカバー55の他の実施例では、カバー55の後部に閉塞部64を設けているので、閉塞部64によりカバー55内への塵埃の浸入を防止できる。
図24の閉塞部64の他の実施例では、カバー55の上側取付部56Bに閉塞部64を設けているので、カバー55の製造が容易となる。
図25の摺動軸部材46の他の実施例では、摺動軸部材46は後側先端筒36と別体に形成し、後側先端筒36内に摺動軸部材46の取付部取付部66を固定具67により固定し、この摺動軸部材46に大径バネ40と小径バネ41を挿通して、後側基部筒37を組付けるように構成しているので、大径バネ40と小径バネ41を摺動軸部材46に装着したとき、後側先端筒36を着脱することができる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0029】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置4、5…グレンタンク、7…操縦部、8…分草装置、9…引起装置、10…刈刃、11…穀稈搬送装置、16…刈取支持フレーム、17…下部横伝動ケース、19…刈取上下シリンダ、20…補助付勢手段、21…分草杆、22…橇体、25…バネ機構、26…中間取付軸、27…前側バネホルダ、28…後側バネホルダ、30…後側バネ手段、33…バネ機構支持部材、34…前側先端筒、35…前側基部筒、36…後側先端筒、37…後側基部筒、40…大径バネ、41…小径バネ、42…大径コイル部、43…小径コイル部、45…回転防止機構、46…摺動軸部材、47…縦板部、48…係合孔、50…角軸、51…縦フラット面、52…回転防止体、53…係合部、54…当接部、55…カバー、56…取付部、57…包囲部、58…固定具、60…規制段部、63…栓、64…閉塞部、66…取付部、67…固定具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の下方に走行装置(2)を設け、機体フレーム(1)の上方一側に脱穀装置(3)を設け、機体フレーム(1)の前方には橇体(22)を有し刈取上下シリンダ(19)により昇降する刈取装置(4)を設け、前記刈取上下シリンダ(19)とは別に刈取装置(4)を上昇側に付勢して圃場面の凸部で突き上げられた際の刈取装置(4)の上方退避を補助する補助付勢手段(20)を設け、補助付勢手段(20)は、刈取装置(4)を機体フレーム(1)側に支持する刈取支持フレーム(16)側に先端部を取付け内部にバネ(29)を有する伸縮自在の前側バネホルダ(27)により構成した前側バネ機構(25A)と、基部を機体フレーム(1)側に取付け内部にバネ(30)を有する伸縮自在の後側バネホルダ(28)により構成した後側バネ機構(25B)から構成し、前側バネ機構(25A)の基部と後側バネ機構(25B)の先端部とを上下方向に屈曲回動自在に中間取付軸(26)により連結し、前記後側バネホルダ(28)に備えた後側先端筒(36)と後側基部筒(37)は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないように機体フレーム(1)側に取付け、前記前側バネ手段(29)と後側バネ手段(30)の何れか一方または両方は二つの大径バネ(40)と小径バネ(41)により構成し、該大径バネ(40)の大径コイル部(42)の巻き方向と前記小径バネ(41)の小径コイル部(43)の巻き方向とを互いに反対にした状態で該小径バネ(41)を大径バネ(40)の内側空間部に挿入して装着する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記後側バネホルダ(28)には、後側基部筒(37)に対して後側先端筒(36)が円周方向に回転するのを防止する回転防止機構(45)を設け、前記回転防止機構(45)は、後側先端筒(36)側に摺動軸部材(46)の先端を固定し、摺動軸部材(46)を後側基部筒(37)または後側基部筒(37)の基部を固定する機体フレーム(1)に設けたバネ機構支持部材(33)に固定の縦板部(47)の係合孔(48)に摺動のみ自在に挿入する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項2において、前記摺動軸部材(46)と係合孔(48)とは、摺動軸部材(46)の側面を係合孔(48)の内周に摺接させて回転を防止する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1において、前記後側バネホルダ(28)には、後側基部筒(37)に対して後側先端筒(36)が円周方向に回転するのを防止する回転防止機構(45)を設け、前記回転防止機構(45)は、後側先端筒(36)側に摺動軸部材(46)の先端を固定し、摺動軸部材(46)の後端に回転防止体(52)を設け、該回転防止体(52)を後側基部筒(37)または後側基部筒(37)の基部を固定する機体フレーム(1)に設けたバネ機構支持部材(33)に固定の縦板部(47)の係合孔(48)に摺動のみ自在に係合する係合部(53)を備える構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項4において、前記摺動軸部材(46)と回転防止体(52)はカバー(55)により包囲したことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項4において、前記カバー(55)内には、前記回転防止体(52)の当接部(54)が当接する規制段部(60)を設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−5358(P2012−5358A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141488(P2010−141488)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】