説明

コンバイン

【課題】運転座席の後方に位置する装置を操作する操作レバーを運転座席の後方に構造面やコスト面で有利に配備することができるコンバインを提供する。
【解決手段】エンジンからの駆動力を脱穀装置6に伝達するよう運転座席の後方に配備した伝動ケース33が備える入力軸34に相対回転自在に外嵌するボス部51、及びボス部51から一体回転自在に延出するレバー本体52を備えて、操作レバー50を構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置、及びエンジンからの駆動力を前記脱穀装置に伝達する伝動ケースを運転座席の後方に配備したコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば特許文献1に記載されているように、運転座席の後方にタンク穀粒排出レバーを配備したコンバインがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−87531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインにおいて、運転座席の後方に配備される穀粒貯留装置などの装置のための操作レバーを運転座席の後方に配備し、装置と操作レバーを連動させる連動系の長さを短く済ませるとか、運転部から操作する装置を視やすくするよう構成される。
【0005】
ところが、操作レバーのための専用の支持構造やガイド構造を採用した場合、構造面やコスト面で不利になる。
【0006】
本発明の目的は、上記した如く操作レバーを運転座席の後方に配備するものでありながら、構造面やコスト面で有利に得ることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、脱穀装置、及びエンジンからの駆動力を前記脱穀装置に伝達する伝動ケースを運転座席の後方に配備したコンバインにおいて、
前記運転座席の後方に位置する装置を操作する操作レバーを、前記伝動ケースが備える入力軸に相対回転自在に外嵌するボス部、及び前記ボス部から一体回転自在に延出するレバー本体を備えて構成してある。
【0008】
本第1発明の構成によると、入力軸を操作レバーの支軸に利用して、操作レバーを運転座席の後方に揺動操作自在に配備することができる。
【0009】
従って、操作レバーを運転座席の後方に配備して、装置と操作レバーを連動させる連動系の長さを短く済ませるなど有利なものでありながら、操作レバーの支持構造を入力軸を利用した構造簡単なものにして安価に得ることができる。また、操作レバーと伝動ケースを運転座席の後方にコンパクトに配備することができる。
【0010】
本第2発明は、前記入力軸の上方を覆うカバーに、前記操作レバーのためのガイド溝を設けてある。
【0011】
本第2発明の構成によると、カバーに操作レバーのためのガイド機能を備えさせることができる。
【0012】
従って、カバーをレバーガイドに活用して安価に得ることができる。
【0013】
本第3発明は、前記操作レバーにより、穀粒タンクから穀粒搬出する搬出オーガを停止及び駆動操作するように構成し、
前記搬出オーガを旋回及び起伏操作する操作スイッチ装置を前記カバーに設けてある。
【0014】
本第3発明の構成によると、搬出オーガの停止及び駆動操作のための操作レバーと、搬出オーガの旋回及び起伏操作のための操作スイッチ装置とを操作し易いように纏まって位置する状態で配備できる。
【0015】
従って、操作レバー及び操作スイッチ装置によるオーガの停止、駆動、旋回及び起伏操作が行ない易く、穀粒の排出作業を能率よく行なうことができる。
【0016】
本第4発明は、前記入力軸のうちのこの入力軸が備えるベルトプーリに対して前記伝動ケースが位置する側とは反対側の部位に前記ボス部を支持し、
前記レバー本体を前記ボス部に対して脱着自在に連結してある。
【0017】
本第4発明の構成によると、レバー本体をボス部から取り外すことにより、ベルトプーリの手前側のベルト脱着経路からレバー本体を退避させ、レバー本体による障害を受けずに伝動ベルトをベルトプーリに対して脱着することができる。
【0018】
従って、伝動ベルトの交換作業を行なう場合、ベルトプーリに対する伝動ベルトの脱着を容易かつ迅速に行なって能力よく作業できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置及び搬出オーガを駆動する伝動装置を示す概略図である。
【図4】排出クラッチ及び操作レバーの配設部を示す側面図である。
【図5】操作レバーを示す側面図である。
【図6】操作レバーを示す正面図である。
【図7】操作レバーの配設部を示す平面図である。
【図8】(a)は、刈取り部による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す後面図、(b)は、刈取り部による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す側面図である。
【図9】(a)は、刈取り部による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す後面図、(b)は、刈取り部による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す側面図である。
【図10】(a)は、刈取り部による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す後面図、(b)は、刈取り部による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す側面図である。
【図11】(a)は、刈取り部による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す後面図、(b)は、刈取り部による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部を示す側面図である。
【図12】(a)は、刈取り部による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置を下降エンドに昇降調節した状態での支持装置を示す側面図、(b)は、刈取り部による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置を上昇エンドに昇降調節した状態での支持装置を示す側面図である。
【図13】(a)は、刈取り部による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置を下降エンドに昇降調節した状態での支持装置を示す側面図、(b)は、刈取り部による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置を上昇エンドに昇降調節した状態での支持装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1、機体前部の横一端側に設けた運転部2、運転座席2aの下方に設けたエンジン3を備えて、左右一のクローラ走行装置1,1をエンジン3の駆動力によって駆動して自走するように自走機体を構成し、自走機体の機体フレーム4の前部に刈取り部5を連結し、運転座席2aの後方に脱穀装置6と穀粒貯留の装置7を機体横方向に並べて設けて構成してある。
【0021】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、刈取り部5は、機体フレーム4から走行機体前方向きに上下揺動自在に延出する刈取り部フレーム10を備え、刈取り部フレーム10が油圧シリンダ21を有した昇降操作機構20によって上下に揺動操作されることにより、刈取り部5の前端部に位置する分草具11が圃場面近くに下降した下降作業状態と、分草具11が圃場面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部5を下降作業状態に下降させて走行機体を走行させることにより、刈取り部5は、刈取対象の植立穀稈を分草具11によって引起し装置12に導入して引起し処理しながらバリカン形の刈取装置13によって刈取処理し、刈取り穀稈を供給装置14によって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置6の脱穀フィードチェーン6aに供給する。脱穀装置6は、脱穀フィードチェーン6aによって刈取穀稈の株元側を挟持して走行機体後方向きに搬送し、搬送する刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒貯留の装置7は、穀粒タンク25及び穀粒タンク25の底部内に連通している搬出オーガ26を備え、脱穀装置6から搬送された脱穀粒を穀粒タンク25に回収して貯留し、貯留した脱穀粒を穀粒タンク25の底部内に設けた底スクリュー27(図3参照)、及び搬出オーガ26によって搬出する。
【0022】
図3は、脱穀装置6及び搬出オーガ26を駆動する伝動装置を示す概略図である。この図に示すように、伝動装置は、エンジン3の出力軸3aの駆動力を伝動ベルト30によって中間伝動軸31の入力プーリ31aに伝達し、中間伝動軸31の出力プーリ31bの駆動力を伝動ベルト32によって伝動ケース33の入力軸34に伝達し、伝動ケース33の出力軸35に設けた出力プーリ35aの駆動力を伝動ベルト36によって扱胴6bの回転支軸6cに伝達するよう構成してある。伝動ベルト36は、伝動ケース33に揺動自在に支持されたテンション輪体37によって緊張状態に張り操作されている。
【0023】
伝動装置は、エンジン3の出力軸3aの駆動力を伝動ベルト40によって底スクリュー駆動ケース41の入力軸42に設けた入力プーリ42aに伝達し、底スクリュー27の駆動力を、搬出オーガ26の縦送りオーガ部26a(図1,2参照)のスクリューに伝達し、縦送りオーガ部26aのスクリューの駆動力を、搬出オーガ26の横オーガ部26b(図1,2参照)のスクリューに伝達するよう構成してある。
【0024】
扱胴6bに伝動する伝動ケース33は、運転座席2aの後方に配置され、脱穀装置6に設けた支持枠6d及びステー6eに支持されている。伝動ケース33の入力軸34は、入力側が伝動ケース33から機体横外向きに突出する取付け姿勢で伝動ケース33に回転自在に支持されている。伝動ケース33の出力軸35は、出力側が伝動ケース33から機体前方向きに突出する取付け姿勢で伝動ケース33に回転自在に支持されている。伝動ケース33は、入力軸34に一体回転自在に設けたベベルギヤと、出力軸35に一体回転自在に設けたベベルギヤとの咬み合いによって入力軸34と出力軸35を連動させるギヤ機構33aを収容している。
【0025】
底スクリュー駆動ケース41は、穀粒タンク25の前面側の底部に取り付けられている。底スクリュー駆動ケース41の入力軸42は、入力側が底スクリュー駆動ケース41から機体横内向きに突出する取り付け姿勢で底スクリュー駆動ケース41に回転自在に支持されている。底スクリュー駆動ケース41は、入力軸42に一体回転自在に設けたベベルギヤと底スクリュー27のスクリュー軸に一体回転自在に設けたベベルギヤとの咬み合いによって入力軸42の駆動力を底スクリュー27に伝達するギヤ機構41aを収容している。
【0026】
図3,4に示すように、底スクリュー駆動ケース41に伝動する伝動ベルト40を、入力軸42に上下揺動自在に支持されるテンションアーム46によって伝動用の緊張状態と伝動解除の弛緩状態とに切り換え操作されるように構成して、伝動ベルト40とテンションアーム46とによって搬出クラッチ47を構成してある。搬出クラッチ47は、底スクリュー27に対する伝動を入り状態と切り状態に切り換えることにより、底スクリュー27及び搬出オーガ26を駆動及び停止操作する。
【0027】
搬出クラッチ47のテンションアーム46を運転座席2aの後方に配備された操作レバー50に連動させ、操作レバー50により、搬出クラッチ47を切り換え操作して搬出オーガ26を駆動及び停止操作するよう構成してある。
【0028】
すなわち、図4,5,6に示すように、操作レバー50は、伝動ケース33の入力軸34に相対回転自在に外嵌するボス部51と、このボス部51から延出するレバー本体52とを備えて構成してある。
【0029】
ボス部51は、入力軸34の端部34aに外嵌され、抜け止めリング34bによって抜け止めされた軸受部51bと、軸受部51bの外輪部材に装着された支持板部51aとを備えて構成してある。レバー本体52は、支持板部51aから一体回転自在に延出している。支持板部51aに設けたピン支持部53aに取り付けた連結ピンで成る連結部53とテンションアーム46とが連動部材54を介して連結されていることにより、ボス部51とテンションアーム46とが連動している。連動部材54は、連結部53に一端側が相対回転自在に連結している帯板状の連動杆54aと、この連動杆54aの他端側をテンションアーム46に連結するスプリング54bとを備えて構成してある。ボス部51は、支持板部51aから突設され、固定側の位置決め体55が備えるガイド溝55aに摺動自在に係入された位置決めピン56を備えている。固定側の位置決め体55は、脱穀装置6の支持枠6dに固定されている。
【0030】
図6,7に示すように、レバー本体52は、入力軸34及び入力軸34に伝動ベルト32が巻回するよう設けられたベルトプーリ34cを覆うカバー60に設けたガイド溝61を挿通している。カバー60は、ベルトプーリ34cの横側方に位置する横カバー板部60aと、入力軸34及びベルトプーリ34cの上方に位置する上カバー板部60bと、入力軸34及びベルトプーリ34cの前方に位置する前カバー板部60cとを備えて構成してある。横カバー板部60aは、脱穀装置6の機体壁部から横外向きに延出する一対の支持アーム62に連結されている。一対の支持アーム62,62は、一方の支持アーム62の基部が連結している主基板62aと、他方の支持アーム62の基部が連結されている副基板62bとを介して脱穀装置6の機体壁部に連結されている。副基板62bは、主基板62aに連結されている。上カバー板部60bと前カバー板部60cとは、一体形成されて単一部材になっている。上カバー板部60b及び前カバー板部60cは、脱穀装置6の機体壁部に設けたステー63に連結ボルト63aによって脱着自在に取り付けられている。上カバー板部60bと前カバー板部60cとにわたってガイド溝61を形成してある。
【0031】
つまり、操作レバー50は、入力軸34に機体前後方向に揺動自在に支持されており、操作レバー50を入力軸34の軸芯まわりにガイド溝61に沿わせて機体前方側に揺動操作し、位置決めピン56がガイド溝55aの一端側に移動して位置決め体55のガイド溝内部に当接すると、操作レバー50がクラッチ入り位置になり、連動部材54が引き上げ操作されてテンションアーム46を緊張操作位置に揺動操作して搬出クラッチ47が入り状態になり、底スクリュー27及び搬出オーガ26を駆動状態に操作できる。
【0032】
操作レバー50を入力軸34の軸芯まわりにガイド溝61に沿わせて機体後方側に揺動操作し、位置決めピン56がガイド溝55aの他端側に移動して位置決め体55のガイド溝内部に当接すると、操作レバー50がクラッチ切り位置になり、連動部材54が押し下げ操作されてテンションアーム46を弛緩操作位置に揺動操作して搬出クラッチ47が切り状態になり、底スクリュー27及び搬出オーガ26を停止状態に操作できる。
【0033】
図6に示すように、操作レバー50のボス部51を、入力軸34のうちのベルトプーリ34cに対して伝動ケース33が位置する側とは反対側に位置する部位に支持させてある。レバー本体52をボス部51の支持板部51aに対して連結ボルト57によって脱着自在に連結してある。
【0034】
つまり、ベルトプーリ34cに対する伝動ベルト32の脱着を行なう場合、レバー本体52をボス部51から取り外すことにより、ベルトプーリ34cの手前側のベルト脱着経路からレバー本体52を退避させ、レバー本体52による障害を受けずに伝動ベルト32の脱着ができるように構成してある。
【0035】
図5,6,7に示すように、カバー60における上カバー板部60bに操作スイッチ装置70を設け、操作スイッチ装置70によって搬出オーガ26を旋回及び起伏操作できるように構成してある。
【0036】
すなわち、操作スイッチ装置70に、手動操作の上昇スイッチ71、下降スイッチ72、左旋回スイッチ73及び右旋回スイッチ74を設けてある。操作スイッチ装置70の手動操作の各スイッチ71〜74より機体前方側の部位に、自動操作の右スイッチ75、後スイッチ76及び収納スイッチ77を設けてある。
【0037】
手動操作の上昇スイッチ71を入り操作することにより、昇降シリンダ78(図1,2参照)が伸長側に駆動され、横オーガ部26bを起立側に上昇揺動操作できる。手動操作の下降スイッチ72を入り操作することにより、昇降シリンダ78が短縮側に駆動され、横オーガ部26bを倒伏側に下降揺動操作できる。手動操作の右旋回スイッチ74を入り操作することにより、旋回モータ79(図2参照)が右旋回側に駆動され、横オーガ部26bを右回りに旋回操作できる。手動操作の左旋回スイッチ73を入り操作することにより、旋回モータ79が左旋回側に駆動され、横オーガ部26bを右回りに旋回操作できる。
【0038】
自動操作の右スイッチ75を入り操作することにより、旋回モータ79が駆動されて横オーガ部26bが旋回し、横オーガ部26bが右横外向きに延出した姿勢になると自動的に停止する。自動操作の後スイッチ76を入り操作すると、旋回モータ79が駆動されて横オーガ部26bが旋回し、横オーガ部26bが後向きに延出した姿勢になると自動的に停止する。収納スイッチ77を入り操作すると、昇降シリンダ78及び旋回モータ79が駆動されて横オーガ部26bが収納スタンドに収まった状態に自動的に収納される。
【0039】
刈取り部5について説明する。
図1,8に示すように、分草具11、引起し装置12及び刈取装置13を支持する刈取り部フレーム10を機体横向きの支軸80にスライド操作自在に支持し、刈取り部フレーム10を左右にスライド操作することにより、刈取り部5による刈取位置を左右に位置変更できるように構成してある。
【0040】
供給装置14の搬送終端側を支軸80の端部に設けた支持体80aに機体横方向及び上下方向に揺動自在に枢支し、供給装置14の搬送始端側を左右スライド自在な刈取り部フレーム10に支持装置90を介して支持させてある。
【0041】
図8,12に示すように、支持装置90は、横スライド自在な刈取り部フレーム10を構成するフレーム材81に設けたステー82に上下揺動自材に支持される揺動アーム91と、揺動アーム91から下向きに回動自在に延出し、延出端側が供給装置14に設けた連結部材14aに連結する吊下げロッド92とを備えて構成してある。
【0042】
フレーム材81は、支軸80に摺動自在に外嵌する刈取り部フレーム10のボス部10aと右端の引起し装置12の引起しケースの上端部とに連結されて引起し装置12を支持するよう構成してある。揺動アーム91の回転支軸91aに一体回転自在に設けた扇形の駆動ギヤ93と、ステー82に支持される電動モータ94の出力ギヤ94aとが咬み合っており、揺動アーム91は、電動モータ94が停止状態にあると、電動モータ94による駆動ギヤ93の停止操作によって所定の揺動位置に保持される。
【0043】
つまり、刈取り部フレーム10のスライド操作による刈取位置の位置変更が行なわれると、支持装置90による供給装置14の搬送始端側の吊下げ支持、及び刈取り部フレーム10の横スライドに起因して供給装置14の搬送始端側が搬送終端側を揺動支点にして横方向に揺動操作され、供給装置14の搬送終端部の脱穀フィードチェーン6aに対する位置を一定あるいはほぼ一定に維持しながら、供給装置14の搬送始端部が、横移動した引起し装置12及び刈取装置13に対する所定の受継ぎ箇所に位置するように移動調節され、供給装置14による刈取装置13からの刈取り穀稈の受継ぎ、及び脱穀フィードチェーン6aに対する供給装置14からの刈取穀稈の受け渡しが刈取位置の位置変更にかかわらず適切に行われる。
【0044】
支持装置90は、電動モータ94が駆動されると、電動モータ94による駆動ギヤ93の回動操作により、吊下げロッド92を昇降調節して供給装置14の搬送始端側を、搬送終端側を揺動支点にして上下に揺動調節する。
【0045】
つまり、電動モータ94を駆動操作することにより、供給装置14の搬送始端側を刈取り穀稈の稈身方向に昇降調節でき、供給装置14が刈取装置13からの刈取り穀稈を受け継ぐ際における供給装置14の穀稈挟持位置を稈身方向に変更調節して、供給装置14が脱穀フィードチェーン6aに刈取り穀稈を受け渡しする際における脱穀フィードチェーン6aの穀稈挟持位置を稈身方向に変更調節し、脱穀フィードチェーン6aによって扱室に挿入される刈取り穀稈の稈身長さを変更調節できるように構成してある。すなわち扱き深さを変更調節できるように構成してある。
【0046】
図8(a)は、刈取り部5による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置14を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す後面図である。図8(b)は、刈取り部5による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置14を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す側面図である。図12(a)は、刈取り部5による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置14を下降エンドに昇降調節した状態での支持装置90を示す側面図である。
【0047】
図9(a)は、刈取り部5による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置14を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す後面図である。図9(b)は、刈取り部5による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置14を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す側面図である。図12(b)は、刈取り部5による刈取位置を右端に調節し、かつ供給装置14を上昇エンドに昇降調節した状態での支持装置90を示す側面図である。
【0048】
図10(a)は、刈取り部5による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置14を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す後面図である。図10(b)は、刈取り部5による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置14を下降エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す側面図である。図13(a)は、刈取り部5による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置14を下降エンドに昇降調節した状態での支持装置90を示す側面図である。
【0049】
図11(a)は、刈取り部5による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置14を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す後面図である。図11(b)は、刈取り部5による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置14を上昇エンドに昇降調節した状態での刈取り部5を示す側面図である。図13(b)は、刈取り部5による刈取位置を左端に調節し、かつ供給装置14を上昇エンドに昇降調節した状態での支持装置90を示す側面図である。
【0050】
これらの図に示すように、支持装置90が供給装置14を吊下げ支持しながら昇降調節することにより、揺動アーム91の揺動軸芯から吊下げロッド92の連結点までの長さ、すなわち供給装置14の昇降操作を行うための揺動アーム91のアーム長さを大にできる。さらに、供給装置14が上昇エンドと下降エンドの間の昇降位置に位置する状態で揺動アーム91が水平姿勢になることにより、揺動アーム91の単位揺動角の昇降による吊下げロッド92の昇降ストロークが大になるよう操作効率がよい状態で供給装置14を昇降調節できる。
【0051】
さらに、これらの図に示すように、供給装置14が上昇エンド位置に位置した状態での揺動アーム91の水平姿勢に対する揺動角Aと、供給装置14が下降エンドに位置した状態での揺動アーム91の水平姿勢に対する揺動角Bとが同じまたはほぼ同じになることにより、供給装置14を中立位置と上昇エンドの間で昇降調節する場合の操作効率と、供給装置14を中立位置と下降エンドの間で昇降調節する場合の操作効率とが同じあるはほぼ同じになるより良好な操作効率の状態で供給装置14を昇降調節できる。
【0052】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、入力軸34に支持する操作レバー50として、搬出オーガ26を駆動及び停止操作する操作レバーを採用した例を示したが、脱穀装置6における唐箕の吸気口を開度調節する装置、あるいは脱穀排ワラを細断装置、結束装置及び長ワラ放出経路に供給切り換えする装置など、運転座席2aの後方に位置する各種の装置を操作対象とする操作レバーを採用して実施してもよい。
【0053】
(2)上記した実施例では、レバー本体52をボス部51に対して脱着自在に構成した例を示したが、ボス部51とレバー本体52とを一体形成した構成を採用して実施してもよい。
【0054】
(3)上記した実施例では、操作レバー50を入力軸34のうち、ベルトプーリ34cに対して伝動ケース33が位置する側とは反対側の部位に支持する例を示したが、ベルトプーリ34cに対して伝動ケース33が位置する側の部位に支持する構成を採用して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
自脱形の脱穀装置が装備されたコンバインの他、刈取り穀稈の株元から穂先までの全体にわたって扱室に供給して脱穀処理するよう構成した脱穀装置が装備されたコンバインに利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
2a 運転座席
3 エンジン
6 脱穀装置
7 装置
25 穀粒タンク
26 搬出オーガ
33 伝動ケース
34 入力軸
34c ベルトプーリ
50 操作レバー
51 ボス部
52 レバー本体
60 カバー
61 ガイド溝
70 操作スイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置、及びエンジンからの駆動力を前記脱穀装置に伝達する伝動ケースを運転座席の後方に配備したコンバインであって、
前記運転座席の後方に位置する装置を操作する操作レバーを、前記伝動ケースが備える入力軸に相対回転自在に外嵌するボス部、及び前記ボス部から一体回転自在に延出するレバー本体を備えて構成してあるコンバイン。
【請求項2】
前記入力軸の上方を覆うカバーに、前記操作レバーのためのガイド溝を設けてある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記操作レバーにより、穀粒タンクから穀粒搬出する搬出オーガを停止及び駆動操作するように構成し、
前記搬出オーガを旋回及び起伏操作する操作スイッチ装置を前記カバーに設けてある請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記入力軸のうちのこの入力軸が備えるベルトプーリに対して前記伝動ケースが位置する側とは反対側の部位に前記ボス部を支持し、
前記レバー本体を前記ボス部に対して脱着自在に連結してある請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−74843(P2013−74843A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216898(P2011−216898)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】