説明

コンビナトリアル・ケミストリ用ディスク基板

ベース部(20)と、上面(26)及び下面と、データ面(40)とを有するコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク(1)であって、上面又は下面のうちの1つはアッセイ面であり、データ面は、アッセイ面から離間し、アッセイ・ディスク上又はその内部にある、コンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク(1)。アッセイ面は、ベース部上に導電体層(64)を備え、導電体層上に誘電体又は光導電体の層(66)を備え、誘電体又は光導電体の層上に化学機能層(68、69)を備える。アッセイ面は平坦であってもよく、又は三次元構造(100、168)を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用の基板を作成し、提供するためのディスク・システムに関し、1つの具体的な実施形態においては生化学的アッセイ・ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
DNAアッセイなどのアッセイを行うためのコンビナトリアル・ケミストリ「チップ」の調製に関して、多数の提案が存在している。DNAチップの場合においては、これらは表面上に、多数の異なるプロセスによって形成される例えばDNAオリゴマーなどの多数の定められた構造を有する。DNA断片を含む試料が、DNA断片上の適切な蛍光化合物を用いて位置を検出することが可能なDNAハイブリダイゼーションが生じるチップの表面上を通される場合、DNA型を確認することができる。これらの技術は、DNA試料中に存在し得るDNA型の判定に用いることができる。
【0003】
しかしながら、1つのアッセイチップ上の全ての構造にアドレスを付すことに関わる問題、及び、DNAオリゴマーなどの構造を種々のチップ上に合成する問題が存在し得、本発明は、DNAオリゴマーなどの構造をその上で合成することが可能な基板を提供することに向けられる。
【0004】
本発明は、最も広範な形態においては、ディスク表面上における広範囲な任意の化学物質の空間的に定められた堆積に関し、そして、そのような表面を有するディスクに関する。物質としては、着色材料、色素、薬物分子、重合体、触媒、濡れ防止剤、顔料、エッチング薬品、レイヤリング(layering)、並びに固相化学基の脱ブロック化、ブロック化、誘導体化、及び活性化のための試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アレイは、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド、ペプチド核酸(PNA)、リボ核酸(RNA)、及び他の固相化学アレイ、並びにコンビナトリアル・ケミストリによって組み立てられるアレイを含むことができる。
【0005】
本発明は、DNA断片といった生物学的試料の生化学的アッセイへの適用に関して一般に論じられることになるが、本発明はそのように限定されるものではなく、アッセイ・ディスク上で行うことが可能な他の形態のコンビナトリアル・ケミストリに拡張可能である。この生化学的用途の発明は、主としてDNAに関して論じられることになるが、本発明はそのように限定されるものではなく、他のペプチド、ペプチド核酸(PNA)、リボ核酸(RNA)、及び他の固相生化学的アレイに拡張可能である。
【0006】
光ディスク技術は良く理解されており、光ディスクの読み取り及び書き込みに適した技術が利用可能である。光ディスクは、本質的に、ディスク内部の透明な材料内に成形されたデータ面を有する実質的に平坦なディスクから構成され、データ面上の螺旋状のピットをトラッキングする適切なレーザ技術を用いて読み取ることができる。本明細書において、データ面という用語は、適切なディスク形式におけるそのような螺旋状のデータ・ビットを表すのに用いられる。
【0007】
光ディスクの形式は、コンパクト・ディスク(CD)、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、又はナノメートル(青色光で読み取り可能な)ディスク(ブルーレイ(Blu Ray)(商標))とすることができる。その違いは、一枚のディスクの上に配置できるデータ・ビットの数、並びにこれらのデータ・ビットの間隔及び寸法に関する。読み取りは、異なるデータ密度を与えることができる選択された波長を持つレーザを用いることによって達成できる。より短い波長は、読み取り及び書き込みのための、より高いピット密度を可能にする。
【発明の開示】
【0008】
従って、必ずしも唯一の形態又は最も広範な形態でなくともよいが、1つの形態においては、本発明は、ベース部と、上面及び下面と、データ面とを有するコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスクであって、上面又は下面のうちの1つはアッセイ面であり、データ面は、アッセイ面から離間し、アッセイ・ディスク上又はその内部にある、コンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスクに属すると言える。
【0009】
アッセイ面及びデータ面はディスク上の半径方向に離間して設置することができる。よって、ディスクの内側の環状領域にデータ面を配置し、ディスクの外側の環状領域にアッセイ面を設置してもよく、その逆であってもよい。あるいは、ディスクの同一の環状領域においてデータ面の上方にアッセイ面があってもよい。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、アッセイ面は、各々が独立したアッセイ面として機能することが可能な複数の区域を備えることができ、そのため、ディスクを複数のアッセイに用いることが可能である。これらの区域は別々のディスク・セグメントによって定められてもよく、又はディスクのアッセイ面の螺旋状の区域に存在する複数の開始部分によって定められてもよい。使用の際には、より良好な精度とある程度の冗長性が与えられるように、複数の区域に同時に書き込み及び読み取りを行うことができる。アッセイは、例えばバイオアッセイとすることができる。
【0011】
本発明の1つの実施形態においては、アッセイ面は、リンカー分子のアレイを備えるか、又はリンカー分子をその上に受容する表面とすることができ、そのことにより、その上での直接的な光導電体活性化によるコンビナトリアル・ケミストリに適合されている。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、アッセイ面は、ベース部上の導電体層と、静電荷を保持する材料でできた誘電体層と、誘電体層に対する保護層を与え、且つ、化合物の共有結合及び合成、又は表面上への化合物の堆積のための化学反応面を与える化学機能層とを含み、それにより、静電荷パターンを基板上又は基板中に所定の方式で形成することができる。
【0013】
1つの実施形態において、導電体層は鏡面を呈する導電性材料の形態とすることができ、光導電体層は透明又は半透明とすることができる。このような状況においては、鏡面は、実際上、反射による光の増加を提供すると共にその後の露光効率及び読み取りレーザ光の増大を提供することができる。
【0014】
導電体層又は導電体層からの電気接続は、以下で説明されるようにディスクが処理装置にクランプされた場合に導電体層がアースされるか又は電気回路の一部となるように、ディスクの中央部分又は他の領域に延びることが好ましい。
【0015】
1つの実施形態においては、ベース部を透明にすることができ、それにより、アッセイ面及びベース部を通してデータ面上のデータを読み取ることが可能である。このことは、アッセイ層及びベース部を通してデータ面を読み取るのに用いられるレーザがアッセイ面にそれほど焦点を合わせていないため、アッセイ面上の成分がデータ面の読み取りに干渉しないので、達成できる。
【0016】
1つの代替的な実施形態においては、アッセイ面はディスクの一方の側から書き込まれ又は形成され、及び読み取られ、データ面はディスクの他方の側からベース部を通して読み取られる様にされる。
【0017】
好ましくは、データ面は、アッセイ・ディスク上の種々のアッセイ構造の位置を検出し、且つアドレス付けができるようにアドレス位置を有すると共に、アッセイの実行方法及び/又はアッセイ面上の種々の構造の位置に関する情報を含む少なくとも1つのプログラム部分を含む。あるいは、データ面、又はアドレス位置に関する情報は、アッセイ面上のアッセイ構造にインターリーブされてもよい。
【0018】
さらに、ディスクのアッセイ面側に取り付けることができ、アッセイ面を保護できるようにする蓋又はカバー部分を含むことができる。例えばアッセイ面は、埃から保護されることができる。このカバーは、アッセイ面の書き込み又は読み取りができるように取り外すことができ、又はアッセイ面上での形成プロセスの際にアッセイ面に化学物質を供給するため、及び解析の際にアッセイ面に検体などを供給するためのポートを含んでもよい。
【0019】
あるいは、ディスクは、密閉されたカセットに入れて供給されてもよく、ディスクの書き込み及び読み取り機器は、密閉されたカセットを、書き込み装置、ハイブリダイゼーション装置又は読み取り装置の埃のない環境内で自動的に開くための機構を含むことができる。
【0020】
1つの実施形態においては、ディスクは、実質的に平坦なディスクと、スピンドルを受け入れるための中心開口部と、ディスクの回転を可能にするクランプ機構とを備える。ディスクは、開口部に隣接するクランプ領域と、ラン・イン領域と、プログラム領域と、アッセイ領域と、ラン・アウト領域とを含む複数の環状領域を備えることができる。さらに内周シール領域と外周シール領域とが存在してもよい。
【0021】
本発明の1つの好ましい形態においては、アッセイ面は三次元構造を備え、アッセイ面は三次元構造の選択されたレベル上にあって、そのことにより、アッセイ領域と、アッセイ面の他のレベル上にある非アッセイ領域とのあいだのコントラストを増加させる。三次元構造を用いることにより、アッセイ領域の読み取り及び書き込みのためのレーザ・ビームに関する回折などのエッジ効果の問題を大幅に減らすことができる。
【0022】
1つの実施形態においては、三次元構造は、傾斜した側面と、より低い非アッセイ面とに囲まれた実質的に平坦な上面を有する、分離した隆起領域形状の複数のランド部を含むことができる。この形状は、メサ構成と呼ぶことができる。分離した隆起領域は、アッセイ領域の読み取り及び書き込みに用いられるレーザ光のタイプ及び波長に応じた寸法を有することができる。分離した隆起領域の高さは、例えば、分離した隆起領域の読み取り及び書き込みに用いられるレーザ・ビームの波長のほぼ四分の一とすることができる。その横方向の寸法は、用いられるレーザ光のほぼ半値エネルギー直径(half power energy diameter)とすることができる。その長手方向の寸法は、用いられるレーザ光の半値エネルギー直径の2倍から6倍までといった、化合物の堆積又は合成、及びその後の読み取りに都合のよい任意の長さとすることができる。その長手方向の間隔は、隣接する領域間でレーザ・ビームのオン・オフの切り換えが可能となるようなものとすることができる。横方向の間隔は、用いられるレーザ光の概ね半値エネルギー直径以上とすることができる。
【0023】
代替的な実施形態において、アッセイ・ディスクのアッセイ面は非平坦であってもよく、ランド部、溝部、及びランド部と溝部との間の側部によって定められる螺旋状パターンの、隆起した隆条部を含むことができ、構造がその上に生成されるアッセイ面は、螺旋状隆条部上のランド部上、又は隆条部間の溝部中に存在することができる。この配置により、アッセイ面上の構造の良好な横方向の離間を達成することができ、構造の品質を劣化させるエッジ効果による複雑さの可能性を回避することができる。ランド部又は溝部における構造を定め、且つそれを読み取るために用いられる光の波長、従って、可能なスポットの大きさが、ランド部及び溝部の幾何学的構造及びピッチ間隔を決定し得る。代替的な配置においては、コンビナトリアル・ケミストリ構造がその上に生成されるアッセイ面は螺旋状隆条部のランド部上にあり、データ面がランド部間の溝部中にあってもよい。
【0024】
ランド部上のコンビナトリアル・ケミストリ構造の、ランド部に沿った長手方向の間隔と、隣接するランド部間の横方向の間隔との両方は、これらの構造の書き込み及び読み取りが、隣接するランド部及び同じランド部の延長上にある構造の書き込み及び読み取りによって干渉されないような間隔とすることができる。例えば、DNA断片の蛍光解析のプロセスにおいては、蛍光試料の信号強度は、隣接する構造によって影響を受けないことが望ましい。
【0025】
1つの好ましい実施形態においては、アッセイ面は、DNA断片などの化合物のバイオアッセイに適合している。この目的のために、DNAを表面に結合させるための適切なリンカー分子が化学機能層に共有結合できるように、化学機能層を官能化することができる。後でオリゴヌクレオチドが選択されたアレイとしてアッセイ面上に配置されたときにより高密度のオリゴヌクレオチドが得られるように、リンカー分子はデンドリマーとすることができる。
【0026】
DNAアレイの製造に関して以下で論じられる選択的堆積技術を用いて、デンドリマーを選択されたアレイとして堆積させることができる。デンドリマー・リンカー分子は、以下で論じられるように、帯電したエマルジョンに入れて運ぶことができる。
【0027】
導電体層は、非常に薄い層とすることができ、且つ透明とすることができる。導電体層は、支持体上に真空蒸着させることができる。導電体層は、金属又はインジウムスズ酸化物のスパッタ層、又はカーボンナノチューブ層若しくは任意の他の好適な材料から選択することができる。導電体層は、その上の層が光導電体である場合には、導電体層に当たる光に増幅効果を与えるために、反射性とすることができる。
【0028】
誘導電荷を保持する材料でできた誘電体層又は光導電体層は、活性層とすることができ、この層上の電荷は、赤外線、可視光、紫外線、又はX線から選択される放射線によって影響を受けることができる。
【0029】
誘電体層又は光導電体層は、その上に入射光が当たったときに、予め帯電している表面から選択的に放電することによって形成される電荷パターンを有するようにされた材料から成るものとすることができる。基板上の予め帯電した表面は、コロナ放電、電子ビーム銃、ナノメートル電子ビーム、ドナー・ローラなどによって準備することができる。
【0030】
あるいは、誘電体層は、ソフト・リソグラフィのようなプロセスによって帯電可能とすることもできる。ソフト・リソグラフィとは、立体的な接触(conformational contact)による、導電性エラストマー・スタンプから誘電性物質へパターンの転写に基づく高解像度の帯電技術を指す。
【0031】
誘電体層は、ガラス、又はメチルメタクリレート(MMA)などのようなポリマー樹脂とすることができる。
【0032】
誘電体層が光導電体である場合には、層の材料は、酸化亜鉛、硫化カドミウム、非晶質セレン、セレン−テルルなどのセレン合金、セレン化鉛、セレンヒ素などから選択することができる。さらに、光応答性イメージング部材として、例えば、ポリビニルカルバゾール(PVK)、又はトリニトロフルオレノンで増感されたポリビニルカルバゾールの錯体を含む種々の有機光導電体材料を選択することができる。アリールアミン正孔輸送分子、及び光生成層を含む層状有機光応答性デバイスもまた、その開示が引用によりここに全体として組み入れられる参考文献米国特許第4,265,990号に開示されている。
【0033】
好適な光導電体材料の例は、金属化されたMylar(商標)(PET ポリエチレンテレフタレート)にコーティングされたZnO樹脂色素の組み合わせ、真空蒸着された硫化カドミウム、真空蒸着されたセレン、純セレン、PVK又はトリニトロフルオレノン(TNF)若しくは他の色素で増感されたPVK光導電体を含む。
【0034】
ポリビニルカルバゾール(PVK)は、増感剤を添加せずに用いることもできる。これは、帯電した光導電体を345nmの最適波長を用いて放電させることができるという利点を有する。純PVK光導電体は、書き込みを目的として、標準的な405nmのブルーレイ(商標)ダイオードを345nmのダイオードで置換することにより改造されたブルーレイ(商標)光記録システムを用いて露光させることが可能である。純PVKは透明である。
【0035】
あるいは、色素を用いて増感して、405nm波長域で光導電性となるが、この波長でルミネセンス又は蛍光を発しないようにしたポリビニルカルバゾールを用いることが有利な場合がある。これは、405nmの領域にある波長、即ち、アレイの書き込みに用いられるものと同じ波長を有する光のレーザを用いて読み取られる、アレイ面上の、ハイブリダイズされた標識されたDNAに付着する標識又は蛍光マーカーを可能にする。よって、405nmの領域にある波長を持った市販のレーザを書き込み及び読み取りの両方に用いることができる。
【0036】
ポリビニルカルバゾールは、気相成長法によって、又はPVK溶液のスピン・コーティングによって、堆積させることができる。必要であれば、レーザ・アブレーションを用いて、選択された領域においてPVKを選択的に取り除くことができる。
【0037】
化学機能層は、合成プロセスに用いられるエマルジョン又は他の液体中の液体又は試薬と、誘電体層又は光導電体層の成分との間のアクセス又は反応を防止するバリア層の役目を果たす。代替的に、又は付加的に、化学機能層は、その表面上で他の化合物と化学反応して、その後のリンカー分子などとの反応のために誘導体化又は官能化された表面を形成することを可能にする反応性材料とすることができる。代替的に、化学機能層を固有に反応性のものとしてもよく、バインダ分子又はリンカー分子の機能を提供することができる。化学機能層は電気絶縁体である。
【0038】
化学機能層は、シラン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素(Sixy)、二酸化チタン、Tyzor(商標)、架橋された又は部分的に架橋されたエポキシノボラック樹脂、重合オリゴマー、架橋された樹脂、官能化されたパリレン(1つ又はそれ以上の官能基を含むジ−パラ−キシレンの重合体)、官能基を含んでいてもよいアクリレート及びメタクリレート、マルチアクリレート及びメタクリレート・モノマー、光開始剤で架橋されたモノマーなどから形成することができる。マルチアクリレート及びメタクリレート・モノマーとは、複数の二重結合を持ったモノマーを指す。官能基は、活性エステル、エポキシ、芳香族、酸、脂肪族、ヒドロキシルなどとすることができる。
【0039】
化学機能層の形成は、反応性化学物質への基板の浸漬、塗布、浸漬コーティング、スピン・コーティング、真空蒸着、及び気相成長を含む種々のプロセスを用いて達成することができ、ここで化学機能層は、溶媒の蒸発後、或いは加熱、例えばUV光による照射によって、過酸化物若しくは触媒による処理によって、又はフリーラジカル機構などによって、樹脂が硬化した後、共有結合によって、又は他の引力によって固定された状態になる。このような層は、空気中、又は窒素などの不活性雰囲気下のいずれかで形成することができる。
【0040】
アッセイ・ディスク上の望ましくない領域に生化学的アレイが堆積することを妨げるために、種々の堆積技術により、化学機能層上に濡れ防止材料のパターンを設けることができる。例えば、ランド部及び溝部から構成され、ランド部に生化学的構造を有し、溝部にアドレス・データのパターンを有するアッセイ・ディスクの場合には、ランド部と溝部との間の表面の側部及び溝部自体を、フッ素又はシリコーン・ベースの組成物などの濡れ防止組成物でコーティングすることができる。
【0041】
アッセイ面を通してデータ層が読み取られる場合には、導電体層を、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、又は金若しくは銀の薄層などの透明な導電体とすることができる。その面を通してデータ層が読み取られる面の反対側にアッセイ面がある場合には、導電体層は不透明とすることができる。
【0042】
光導電体活性化による形態の本発明のアッセイ面の形成は、同時係属中のPCT出願番号第PCT/AU2004/000865号にさらに開示され、その開示の全体が引用によりここに組み入れられる。
【0043】
上述のように、データ面は、反射面中に形成された異なる色又はテクスチャのピット又は領域のような、螺旋状の読み取り可能なスポットを備えることが好ましい。本発明のアッセイ・ディスクの表面上の生化学的アッセイ構造などの構造は、データ面のピット構造と同様のサイズとしてもよく、又は任意の都合のよい大きさのサイズにしてもよい。例えば、生化学的アッセイの構造の最小面積はディスク読み取りにおける実際上の制限に応じたものとすることができ、そのような構造の幅は、ディスク・キャリア又はターンテーブル上で回転するディスクのジッタ及び/又は半径方向の移動の量、及び選択された波長のレーザ・ビームを都合よく集中させられる最小の大きさを考慮に入れたものとすることができる。構造は、データ面の螺旋状のピットなどと同様のラインを成す、実質的に正方形若しくは長方形としてもよく、又は長円形若しくはソーセージ型としてもよい。
【0044】
本発明のアッセイ・ディスクの表面上の生化学的アッセイ構造といった構造は、アッセイ領域の読み取り及び書き込みに用いることが意図されるレーザ光のタイプ及び波長に応じた寸法を持つことができる。その横方向の寸法は、用いられるレーザ光の半値エネルギー直径にほぼ等しくすることができる。その長手方向の寸法は、用いられるレーザ光の半値エネルギー直径の2倍から6倍までといった任意の都合のよい長さとすることができる。その長手方向の間隔は、隣接する領域の間でレーザ・ビームのオン・オフの切り換えが可能となるようなものとすることができる。横方向の間隔は、用いられるレーザ光の概ね半値エネルギー直径とすることができる。
【0045】
よって、CD技術に基づく光ディスクに関しては、アッセイ構造の幅は0.5ミクロンから2ミクロンまでとすることができ、長さは1ミクロンから10ミクロンまでとして、トラック・ピッチを1ミクロンから5ミクロンまでとすることができる。円周方向の構造間の間隔は1ミクロンから5ミクロンまでとすることができる。DVD技術に基づく光ディスクに関しては、構造の幅は0.3ミクロンから1ミクロンまでとすることができ、長さは0.3ミクロンから5ミクロンまでとして、トラック・ピッチを1ミクロンから2ミクロンまでとすることができる。円周方向の構造間の間隔は0.5ミクロンから3ミクロンまでとすることができる。ブルーレイ(商標)技術に基づく光ディスクに関しては、構造の幅は0.2ミクロンから0.5ミクロンまでとすることができ、長さは0.2ミクロンから1ミクロンまでとして、トラック・ピッチを0.5ミクロンから2ミクロンまでとすることができる。円周方向の構造間の間隔は0.2ミクロンから1.5ミクロンまでとすることができる。
【0046】
CD技術に基づく光ディスクの書き込み及び読み取りのためのレーザは、用いられる光導電体のタイプと、光導電体に十分に放電させるために必要な光の量とに応じて、約2.1ミクロンの第1リング直径、1.6ミクロンの半値エネルギー直径(half energy diameter)、及び直径1ミクロンから1.5ミクロンの有効エネルギー直径のスポット・サイズを有することができる。DVD技術に基づく光ディスクの書き込み及び読み取りのためのレーザは、用いられる光導電体のタイプと、光導電体に十分に放電させるために必要な光の量とに応じて、約1.3ミクロンの第1リング直径、1.1ミクロンの半値エネルギー直径、及び直径0.5ミクロンから1ミクロンの有効エネルギー直径のスポット・サイズを有することができる。ブルーレイ(商標)技術に基づく光ディスクの書き込み及び読み取りのためのレーザは、用いられる光導電体のタイプと、光導電体に十分に放電させるために必要な光の量とに応じて、約0.6ミクロンの第1リング直径、0.5ミクロンの半値直径、及び直径0.2ミクロンから0.4ミクロンの有効エネルギー直径のスポット・サイズを有することができる。
【0047】
一般に、基板上でのDNAアレイの製造は、次の分子ユニットが付加されるときに除去される保護基を各々に有する分子ユニットを選択的かつ逐次的に基板に付加することを伴う。DNAアレイを製造するそのような方法の1つは、トリチル基又はトリチル基の誘導体を保護基として用いるホスホロアミダイト法として知られるプロセスを用いる。本発明はこのプロセスに限定されないが、これに関して論じられる。
【0048】
ホスホロアミダイト法とは、重合体、特にDNAオリゴヌクレオチド配列を化学合成してDNAの部分を形成するための、反復的な4段階(脱保護、結合、キャッピング、及び酸化)のプロセスである。
【0049】
ホスホロアミダイト法においては、DNAを構成する4つの成分である(ホスホロアミダイト形態の)4つのヌクレオチド、即ちA、T、G、及びCヌクレオチドのうちのいずれか1つを所定の順序で逐次的に付加することにより、一本鎖形態のDNAの部分が形成される。各ヌクレオチドは化学的に除去可能な保護基を持っている。脱保護剤又は脱トリチル化剤として知られる化学試薬は保護基を取り除いて反応性ヒドロキシル基を露出させ、次の段階で、伸長しているDNAストリングに(ホスホロアミダイト形態の)ヌクレオチドが結合される。次の段階は、キャッピング・ステップであり、ここで、脱保護されているがヌクレオチドが結合されていない任意のDNAストリングが永続的にキャッピングされて、後の結合ステップにおいてその分子に不要なヌクレオチドの付加が追加されないようにされる。第4の、且つ最終のステップにおいて、新たに形成されたヌクレオチド間の亜リン酸エステル結合の酸化を行って、結合をリン酸トリエステルに変換する。
【0050】
DNAアレイの製造においては、多数の異なる配列のDNA鎖が基板上で作り上げられ、その後の生化学的分析の実行を可能にする。このプロセスにおいては、アレイの種々の部分を選択的に脱保護することが必要であり、本発明は、特にこの選択的な脱保護を可能にする基板に対して向けられる。
【0051】
アッセイ面上でDNAアレイを形成する方法は、各々の結合ステップに先立って化学的な脱保護ステップを伴う段階的な結合プロセスを用いることができ、この方法は、
(a)静電像を形成するなどして、ある領域にアッセイ面上の他の領域とは異なる電荷又は静電荷を形成することにより、アッセイ面上に少なくとも1つの領域を定めるステップと、
(b)アッセイ面に、荷電した不連続相と不連続相中に保持される化学的脱保護剤とを有するエマルジョンを付与するステップと、
(c)領域上の電場の引力によって、且つ随意的にバイアス電圧の使用によって、エマルジョンの不連続相を少なくとも1つの予め選択された領域に引きつけるステップと、
(d)少なくとも1つの領域において化学的脱保護を生じさせるステップと、
(e)エマルジョンを除去するステップと、
(f)その後の段階的な結合プロセスのステップを実施するステップと、
を含む。
【0052】
その後の段階的な結合プロセスのステップは、オリゴデオキシヌクレオチドを合成するための標準的なホスホロアミダイト化学において実施されるようなものとすることができるが、上述されたように、本発明はこの特定の化学に限定されない。
【0053】
上記で論じられたプロセスは、アッセイ面上で所定の空間的順序、位置及び長さの任意の配列の、選択されたオリゴヌクレオチドを合成するのに十分な回数だけ、繰り返すことができることが理解される。
【0054】
アッセイ・ディスクを構造の形成が行われる基板として用いることによって、構造は、データ面上のデータ・ピットの螺旋に類似した形態で、アッセイ面上で螺旋状に形成されることになるのが理解される。よって、いかなる構造も、データ面のデータ・ピットに対するその位置に関して、都合よくアドレス付けすることができる。よって、データ螺旋上の少なくとも幾つかのデータ・ピットは、対応するアッセイ構造に関するアドレス情報を提供することが可能である。
【0055】
ある領域に電荷又は静電荷を形成することによりアッセイ面上に少なくとも1つの領域を定めるステップは、選択された領域におけるエマルジョンの帯電した不連続相の引力及び堆積を制御するために、バイアス電圧の補助を含むことができる。
【0056】
堆積は、バイアス電圧の補助の下に行われることができる。バイアス電圧は、選択された距離をおいて基板の上方に配置されるバイアス・プレートと、導電体層に対してバイアス・プレートに印加される電圧(1Vから100V)とを用いることにより、供給することができる。必要とされるバイアス電圧の電圧は、基板のバイアス・プレートからの距離、元の静電荷のレベル、及び静電荷の残留レベルに依存し得る。バイアス・プレートに印加される電圧は、負であっても正であってもよい。バイアス電圧は、望ましくない領域における堆積を防止し、堆積密度を制御し、及び/又は逆堆積を生じさせるために用いられる。
【0057】
エマルジョンの小滴が正に帯電している場合には、バイアス・プレートに正電圧を用いることは、基板表面の望ましくない領域における堆積を減らす補助となり得る。エマルジョンの小滴が負に帯電している場合には、バイアス・プレートに負電圧を用いることは、基板表面の負ではない帯電領域における堆積を補助することになる。
【0058】
電荷又は静電荷の形成は、静電的手段によって行われることができ、例えば、アッセイ面が光導電体を含む場合、静電場の形成は、静電荷又は他の電荷の帯電と、その後の照射による選択的な放電とによる。DNA分子に損傷を引き起こす恐れがあるので、照射は短波長紫外線領域の放射線を含まないことが好ましい。しかしながら、他の化学的アッセイ・ディスク又はアレイの組み立てに関しては、UV放射線を用いることができる。
【0059】
エマルジョンを除去するステップは、エマルジョン中に残留するいかなる化学的脱保護剤をも中和して、アレイの望ましくない部分で反応させないようにするステップを含むことができる。残留流体を除去するステップは、ディスクを回転させることで行うことができる。
【0060】
本発明のために用いられるエマルジョンは、フルオロケミカルなどの電気絶縁性の連続相と、反応剤又は化学的脱保護剤を溶液として保持する、例えば炭化水素油などの水性又は非水性の不連続相を含むことができ、界面活性剤を含むことが好ましく、電荷制御剤を含むことが好ましい。
【0061】
不連続相が水である場合には、化学的脱保護剤は、酢酸などの弱い有機酸とすることができる。酢酸は、約80容量%までの濃度で存在することができる。
【0062】
不連続相が炭化水素油である場合には、化学的脱保護剤は、強いプロトン性有機酸又は無機酸とすることができる。
【0063】
溶液として化学的脱保護剤を保持する非水性の不連続相は、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド、又は、イソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノール若しくはイソプロパノール/塩化メチレンといった化合物の混合物から選択することができる。デカリンのような他の炭化水素もまた用いることができる。
【0064】
化学的脱保護剤は、ルイス酸又はプロトン酸とすることができる。ルイス酸は、臭化亜鉛、四塩化チタン、及び硝酸セリウムアンモニウムから選択することができるが、これらに制限されるものではなく、用いることが可能な希プロトン酸は、希鉱酸、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジフルオロ酢酸、過塩素酸、オルトリン酸、及びトルエンスルホン酸を含むが、これらに限定されるものではない。他の酸は、ドデシルベンゼンスルホン酸、及び酸性リン酸ジフェニルを含むことができる。
【0065】
本発明のためのエマルジョンの製造及び使用は、同時係属中のPCT出願第PCT/AU2004/000863号にさらに開示され、その開示の全体が引用によりここに組み入れられる。
【0066】
本発明をDNA分析への適用に関して一般に論じてきたが、本発明の装置を用いて、他の形態のアッセイ、及び、例えばタンパク質の析出といったコンビナトリアル・ケミストリを実施できることが理解される。
【0067】
本発明の光導電体活性化による形態でアッセイ面上でコンビナトリアル・ケミストリを用いることによる空間的アレイの製造は、同時係属中のPCT出願第PCT/AU2004/000864号にさらに開示され、その開示の全体が引用によりここに組み入れられる。
【0068】
本発明によるアッセイ・ディスクの使用のプロセスは、例えばDNAアッセイ装置として用いる場合、第1のステップにおいて、アッセイ面上に既知のアレイとしてDNAオリゴマーのアレイが堆積されることを必要とする。例えば特定の疾患又は状態を診断するために調製されたディスクを前もって準備し、使用者に供給するか又は販売することが可能である。あるいは、アッセイ・ディスクは、使用する際に調製することが可能である。後者は研究の場合に有用であり得る。
【0069】
目的のDNAを含んでいる可能性がある試料に対して分析を行うためには、適切な懸濁液状の試料は、各々のDNA断片に付着する標識又は蛍光化合物を用いて調製される。試料はアレイ面上に通され、ディスク面上に適合するDNAが位置しているところでDNAハイブリダイゼーションが生じる。これらの部位は、蛍光又は標識化合物の位置によって位置を検出することができる。
【0070】
蛍光又は標識化合物は色素であってもよいが、色素には退色という問題があり、そのため、その後で検出器がアッセイ面の上を通過したときに蛍光反応が顕在化しない場合がある。
【0071】
代替的に、(患者又は供給源からの)標的DNAは、光記録システム分野の最先端において用いられる標準的な405nmのブルーレイ(商標)レーザに露光された時に発光するように調節された量子ドット(Quantum Dots)(QDot(商標))又は均等物を用いて標識することができる。405nmの波長に合わせて調節されたQDot(商標)は標準的な材料である。QDot(商標)で標識されたDNAから発する光を光ダイオードによって収集及び測定して、標的DNA(患者の)が同定されることになる。
【0072】
DNAを標識するために405nmの吸収波長を有する量子ドットを用いることは、3つの主要な利点を有する。
(1)量子ドットで標識されたDNAは、標的DNAを標識するために現行で用いられている通常の長波長の有機色素に比べて、1000倍の光量を出す。
(2)量子ドットは、色素共役したCy3ストレプトアビジンのような標識付けに用いられる現行の通常の有機色素と違い、露光によって退色しない。
(3)大量生産されているブルーレイ(商標)ディスク・リーダ・ハードウェアは容易に入手可能であり、最小限の変更で、405nmのQDot(商標)で標識されたハイブリダイズしたDNAを読み取るように改造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
これにより本発明は一般的に説明されたが、理解を助けるために、これより本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照する。
ここで、より詳細に図面、具体的には図1を参照すると、本発明の1つの実施形態によるアッセイ・ディスクは、ディスクの回転を可能にするターンテーブルに取り付けるための中心開口部3を有する実質的に平坦な円形ディスク1であることがわかる。開口部3の周りの領域5は、ディスクをターンテーブル上にクランプして正確に回すために用いられる。ディスク上のクランプ領域5の外側の領域7は、ディスク上のレーザ・トラッキング装置がディスク上のデータ螺旋の開始位置を確認できるようにし、必要であればそのディスクに関する何らかのアドレス情報を与える、ラン・イン領域である。領域7の外側は、アッセイ・ディスクのタイプ、ディスクを管理するためのソフトウェア、ディスク上の構造に関する任意のアッセイ情報及びアドレス情報に関するデータを提供することが可能な、プログラム領域9である。
【0074】
ディスクの大部分の領域11はデータ領域とアッセイ領域との組合せであり、以下で説明されるように、データ領域はディスク内部に存在し、アッセイ領域はディスクの外面上に存在する。最後に、外側トラッキング領域を定め、データ螺旋及びアッセイ螺旋の終了を定める、ラン・アウト領域13が存在する。
【0075】
領域3、5、7及び13と、データ領域9は、既存の光ディスク読み取り及び書き込み技術で知られているものであることが理解される。領域11は、既存の光ディスク読み取り及び書き込み技術においてはデータ領域9に含まれる。
【0076】
図2は、図1のディスクの一部分の平面図を示す。図1の領域7、9、11、及び13には本質的に、データ・ピットの螺旋14が存在し、このデータ・ピットのうちの1つは図2の15として示され、これは以下で論じられるようにディスク内部に設置される。本発明によるディスクの表面上には、やはり螺旋状形態を取る複数の構造17を配置することができる。これらの構造は、例えば、上述の方法によって形成され、試料中のDNAの分析に使用できる所定のオリゴマーの群を含む。実際には、多数の異なるオリゴマーがディスク上の別々の構造として形成され、DNA断片試料が特定のオリゴマーにハイブリダイズすると、その試料中のDNAのタイプを判定することができる。
【0077】
図3は、図1のアッセイ・ディスクの一部分の断面を示す。アッセイ・ディスク1はポリカーボネートなどの透明な材料でできたベース部20を含み、ベース部20内部にデータ面22が存在する。データ面の下にはデータ面を擦過傷などから保護するための物理保護層24が存在する。ベース部20の表面上には、バイオアッセイ面26などのアッセイ面が存在する。データ面22及びアッセイ面26の性質は、以下でより詳細に論じられる。データ面22と物理保護層24の間に、反射層23が存在する。
【0078】
図4において、本発明によるアッセイ・ディスクの代替的な配置が断面で示される。この実施形態においては、ディスク1は、ポリカーボネートなどの透明なプラスチック材料から形成されたベース部30と、下面34からベース部を通して読み取ることが可能なデータ面32とを有する。ディスクの上面36はアッセイ面を含み、アッセイ面とデータ面32とのあいだに物理保護層37を有する。ここでもやはり、種々の層の構築は以下で論じられる。データ面32と物理保護層37との間には、反射層35が存在する。
【0079】
図5は、図3に示された実施形態によるディスク1の詳細を示し、各々の面をどのようにレーザが読み取ることができるかを示す。データ面22は多数のピット40を備え、これらは、レーザ43によって読み取られ、このレーザ43はアッセイ面26に対してはそれほど焦点を合わせていないので、従ってアッセイ面26上の構造27による影響をそれほど受けないが、ピット40に焦点を合わせているため、図2の14として示されるタイプの螺旋状のピット・ラインにピットが存在するか否かを判定することができる。
【0080】
アッセイ面26は、レーザ44を用いて上述された電子写真法によって書き込みができる。このレーザ44は、構造27を形成し読み取るためにアッセイ面26に焦点を合わせているので、ベース部30内部にあるデータ面22による影響を受けない。同様に、アッセイ面がレーザ44によって読み取られる必要があるときには、そのレーザはアッセイ面26に焦点を合わせられ、ベース部30内部にあるデータ面22による影響は受けない。
【0081】
図6に示された実施形態においては、図4に示された実施形態によるディスク1は、ベース部30を通ってデータ面52に焦点を合わせたレーザ50を示し、アッセイ面36はアッセイ面36に焦点を合わせたレーザ54によって書き込み及び読み取りがなされ、2つのレーザ間に干渉は生じない。
【0082】
図7は、図4及び図6に示された実施形態のデータ面及びアッセイ面の詳細を示す。データ面32は、その後ろに反射層62を伴った複数のピット60を含む。図6に見られるようなレーザ50が、ベース部材料30を通してピットを読み取る。
【0083】
アッセイ面36は保護層37上に形成されており、保護層37上に形成された薄い導電体層64と、導電体64上に形成された光導電体66とから構成される。光導電体66上には保護層68があり、保護層68上には化学的機能層69がある。定められたDNAオリゴヌクレオチド70を形成することができるのは、この化学機能層の上である。
【0084】
図8は、図3及び図5に示された実施形態のデータ面およびアッセイ面の詳細な構成を示す。この配置においては、データ面22は、保護層24とベース部30との間の反射層80として形成される。反射層80の中には多数のピット60が形成されており、これらはレーザ43(図5参照)によって読み取られ、データが取得されることを可能にする。
【0085】
アッセイ面の構成は、ベース部30の上面に形成されることを除けば、図7のものと同様である。データ面は、導電体層64と、光導電体層66と、化学機能層68aとから構成され、その上に、定められたDNAオリゴヌクレオチド70が形成される。しかしながら、この実施形態においては、アッセイ面を通してデータ面が読み取られるので、導電体64は、データ面の読み取りに用いられるレーザの波長に対して透明であるか、又は実質的に透明である。導電体64は、例えば、インジウムスズ酸化物から形成されてもよく、又は、導電特性に必要な厚さで透明であることができる、非常に薄い金又は銀のコーティングから形成されてもよい。この実施形態においては、保護層及び化学機能層の機能が単一の層68aとして組み合わされている。
【0086】
図9は、本発明によるアッセイ・ディスクの表面の一部分における構造の代替的な配置を示す。この実施形態においては、アッセイ面上の構造90は、データ面上のピット92の螺旋の約2倍の幅である。構造は、アッセイ・ディスク上でのレーザのトラッキングによって生じるいかなるジッタをも考慮に入れるとともに、1つのトラックからのレーザ・エネルギーが隣接するアッセイ構造の静電荷に対して有害な影響を与えないようにするだけの距離を空けて、横方向に離間する。アッセイ構造の長手方向の間隔は、アッセイ構造同士の間でレーザのオン・オフの切り換えを可能にするのに十分なものである。
【0087】
面26の上のアッセイ構造90の実際の位置は、データ面上のデータ・ピット92の螺旋と位置合わせされていなくてもよく、2者の間の空間関係が既知であれば、ディスク上で選択されたどの場所に構造があってもよいことが理解される。
【0088】
図10A及び図10Bは、本発明によるコンビナトリアル・ケミストリのためのディスク基板の特定の実施形態における、螺旋状隆条部を含むアッセイ面の代替的な三次元配置を示す。
【0089】
この実施形態においては、アッセイ面上に、螺旋状の堤又は隆条部と隆条部の間の螺旋状の溝部とが存在し、アッセイされる材料及びアッセイに用いられるDNAオリゴヌクレオチドなどの材料は、螺旋面の隆条部の上又は溝部の中に形成されることができる。
【0090】
図10A及び図10Bに示される実施形態の各々において、螺旋面は、適切な成形加工技術によってベース部95内に成形加工された螺旋状の隆条部及び溝部の配置を備えたベース部95から本質的に構成される。隆条部100は、上側ランド部102と、ランド部の間にある側部104と、側部104の間にある溝部103とを備える。アッセイ面は、導電体層108と光導電体層110とを備え、ディスクの全表面を覆う化学的機能層112が形成される。
【0091】
図10Aでは、オリゴマー106などのアッセイ要素はランド部102上に形成される。アッセイ面の書き込み及び読み取りにレーザ114が用いられる場合、レーザ・ビーム118のうち、ランド部102に当たる部分のみが利用され、側部領域104に当たる部分のレーザ・ビームは失われる。
【0092】
図10Bでは、オリゴマー106などのアッセイ要素は溝部103の中に形成される。アッセイ面の書き込み及び読み取りにレーザ114が用いられる場合、レーザ・ビーム118のうち、溝部103に当たる部分のみが利用され、側部領域104に当たる部分のレーザ・ビームは失われる。
【0093】
レーザ・ビームの中央の領域のみを用いることで、表面の書き込み及び読み取りにより優れた精度を与えることができ、種々の構造の不正確な配置によって生じる可能性のあるもののようなエッジ効果を打ち消すことができる。
【0094】
1つの好ましい構成において、隆条部の高さは、例えばランド部の読み取り及び書き込みに用いられるレーザ・ビームの波長のほぼ四分の一とすることができる。ランド部と溝部との間の側部の角度は、レーザ光を用いてランド部の領域を選択的に放電したときに側部表面に残る電荷が最大になるように選択することができる。レーザ光のうちの幾らかは側部表面に溢出する場合があり、側部表面の角度により、その光をより広い表面積に拡げることになり、それにより放電が最小化される。
【0095】
図11は、取り外し可能なカバーが付けられた、図1に示されたタイプのディスクの断面を示す。全体を120として示されるディスクは、ディスク・ターンテーブルへの取り付けを可能にする中心開口部122を有するが、このディスクは、ディスクの縁を把持し、ディスク上のアッセイ面126に保護を与える、取り外し可能なキャップ124を含む。保護は、埃又は水、或いは他の化学物質又は試薬からの保護とすることができる。
【0096】
幾つかの実施形態においては、やはり、レーザが蓋を通過するところにはあまり焦点が合っていないので、透明な蓋124を通してデータ面128を読み取ることが可能であるが、他の実施形態においては、データ面128と共にアッセイ面126の読み取りもできるように、蓋は、機械的に、又は手作業で取り外すことができる。
【0097】
他の実施形態においては、蓋はアッセイ面上の永続的な構造とすることができ、試薬及びアッセイ試料を添加するために、アッセイ面の部分の輪郭を区切る適切な開口部及び仕切りを設けることができることが理解される。
【0098】
あるいは、ディスクは、書き込み、ハイブリダイゼーション、又は読み取り装置の埃のない環境内で自動的にディスクを取り出すことができる防塵カセットに入れて供給されてもよい。
【0099】
図12は、本発明の1つの代替的な実施形態によるアッセイ・ディスクの平面図を示す。この実施形態においては、アッセイ・ディスク140は、中心スピンドル穴142と、内側シール領域144と、外側シール領域146とを有する。これらのシール領域は、機械にディスクにクランプして内側シール領域144と外側シール領域146との間の領域を隔離し、その領域に試薬などを供給できるようにするために設けられる。外側シール領域146の内方にはプローブ領域148が存在し、そこから内向きにリード・イン領域150が存在し、ディスクの残り部分はブランク領域152である。プローブ領域148は、例えば生化学的構造を含み、また、上述されたように、そこにインターリーブされたアドレス・データ領域を含むこともできる。
【0100】
1つの実施形態においては、本発明によるディスクは58mmの直径を有することができ、内側シール領域及び外側シール領域は半径の各々2mmから3mmまでを取ることができ、プローブ領域は半径の1mmから5mmまで取ることができ、リード・イン領域は半径の2mmから5mmまでを取ることができる。
【0101】
図13は、本発明の1つの実施形態によるアッセイ・ディスクの表面160上の構造162の代替的な配置を詳細に示す。この実施形態においては、ディスクは矢印164で示されるように回転し、プローブ構造162は幅がほぼ2μ、長さがほぼ3μの大きさであり、プローブ構造間の長手方向の間隔は1.6μであり、隣接する螺旋の巻きの間の横方向の間隔は0.5μとなっている。
【0102】
図14Aから図14Eまでは、エマルジョン技術を用いたDNAチップの製造における、本発明の種々の適用段階を示す。
【0103】
図14Aは、本発明の別の実施形態による光ディスクの断面を示す。
【0104】
この実施形態においては、アッセイ・ディスクの三次元表面は、周囲を囲む低い面169の上方に、メサの形態を取る複数の隆起した部分、即ちランド部168を備える。表面全体は、上述されたタイプの層によって覆われる。層は、機能/化学バリア層170と、光導電体層172と、ポリカーボネートの光ディスク基板176の上に真空蒸着された金属の導電体174とを含む。
【0105】
表面は、図14Bに示されるような均一な静電荷180を与えるコロナ放電装置又は他の装置によって帯電されている。
【0106】
図14Cは、レーザによる光ディスクの露光を(平面図で)示す。影付きの円182はレーザ光を表し、その上で、ディスク上の三次元構造168aの帯電した上面が露光する。これは、光導電体層174から導電体層176への導通を引き起こし、その領域において静電荷を放電させる。円184は、レーザ光がオフに切り換えられ、放電が起こらない領域を表す。
【0107】
図14Dは、このプロセスを側面図で示す。レーザ光182は三次元構造168aを放電させたが、まだ露光されていない三次元構造168bは放電させていない。
【0108】
図14Eは、アッセイ・ディスクの表面への帯電したエマルジョンの付与を示す。ディスク176の上に導電性のトップ・プレート188がクランプされ、密閉されたチャンバ190を形成する。トップ・プレート188と正の電位を有する導電体174との間に、負の電位が印加される。チャンバの中に、負に帯電した不連続相のエマルジョン191が注入される。
【0109】
エマルジョン191の負に帯電した不連続相192は正の導電体によって引きつけられて、放電された構造168aの上に堆積及び合着し(194)、負に帯電した領域168bからは斥けられる。その後、エマルジョン191の負に帯電した不連続相192に保持される試薬が、放電された領域において、脱トリチル化などの選択された化学反応を行う。
【0110】
本明細書の全体にわたって、本発明の範囲に関する種々の指示が与えられたが、本発明は、これらのうちのいずれか1つには限定されず、組み合わされた2つ又はそれ以上のものに存在する場合もある。実施例は説明のためにのみ与えられたものであり、限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明に適した光ディスクなどのディスクの一般図である。
【図2】本発明の1つの実施形態によるアッセイ・ディスクの部分の概略詳細図である。
【図3】本発明によるディスクの1つの実施形態の詳細な断面図である。
【図4】別の実施形態の断面図である。
【図5】図3の実施形態を用いて、データ面とアッセイ面の両方からどのようにして情報を読み取ることができるかを表す図である。
【図6】図4の配置を用いて、データ面とアッセイ面の両方からどのようにして情報を読み取ることができるかを示す図である。
【図7】図4に示された実施形態についての、データ面及びアッセイ面における構造体を詳細に示す図である。
【図8】図3に示された実施形態のデータ面及びアッセイ面における構造体を詳細に示す図である。
【図9】本発明の1つの実施形態によるアッセイ・ディスク上の構造の代替的な配置の詳細を示す図である。
【図10A】本発明によるコンビナトリアル・ケミストリのためのディスク基板の特定の実施形態における、螺旋状隆条部を含むアッセイ面の代替的な配置を示す図である。
【図10B】本発明によるコンビナトリアル・ケミストリのためのディスク基板の特定の実施形態における、螺旋状隆条部を含むアッセイ面の代替的な配置を示す図である。
【図11】本発明によるカバーを含むアッセイ・ディスクを示す図である。
【図12】本発明の代替的な実施形態によるアッセイ・ディスクの平面図である。
【図13】本発明の1つの実施形態によるアッセイ・ディスク上の構造の代替的な配置の詳細を示す図である。
【図14A】エマルジョン技術を用いたDNAチップの製造における、本発明の種々の適用段階を示す図である。
【図14B】エマルジョン技術を用いたDNAチップの製造における、本発明の種々の適用段階を示す図である。
【図14C】エマルジョン技術を用いたDNAチップの製造における、本発明の種々の適用段階を示す図である。
【図14D】エマルジョン技術を用いたDNAチップの製造における、本発明の種々の適用段階を示す図である。
【図14E】エマルジョン技術を用いたDNAチップの製造における、本発明の種々の適用段階を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、上面及び下面と、データ面とを有するコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスクであって、前記上面又は前記下面のうちの1つはアッセイ面であり、前記データ面は前記アッセイ面から離間し、前記アッセイ・ディスク上又はその内部にあることを特徴とする、コンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項2】
前記アッセイ面と前記データ面とは前記ディスク上において半径方向に離間することを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項3】
前記アッセイ面は、その各々が独立したアッセイ面として機能することが可能な複数の区域を備え、そのことにより、前記ディスクを複数のアッセイに用いることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項4】
前記アッセイ面は、リンカー分子のアレイを備えるか、又はリンカー分子をその上に受容する表面を備え、そのことにより、その上での直接的な光導電体活性化によるコンビナトリアル・ケミストリに適合されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項5】
前記アッセイ面は、前記ベース部上に導電体層を備え、前記導電体層上に誘電体又は光導電体の層を備え、前記誘電体又は光導電体の層上に化学機能層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項6】
前記導電体層は鏡面を呈する導電性材料であり、前記光導電体層は透明又は半透明であって、そのことにより、前記鏡面が反射による光の増加を提供すると共にその後の露光効率及び読み取りレーザ光の増大を提供することを特徴とする、請求項5に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項7】
前記ベース部は透明であり、そのことにより、前記アッセイ面及び前記ベース部を通して前記データ面からデータを読み取ることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項8】
前記アッセイ面は前記ディスクの一方の側から書き込まれ又は形成され、及び読み取られ、前記データ面は前記ディスクの他方の側から前記ベース部を通して読み取られることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項9】
前記データ面は、アッセイの実行方法及び/又は前記アッセイ面上の種々の構造の位置に関する情報を含む少なくとも1つのプログラム部分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項10】
前記ディスクの前記アッセイ面側に取り付けることで該アッセイ面を保護できるようにする蓋又はカバー部分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項11】
前記アッセイ面は三次元構造を備え、前記アッセイ面は前記三次元構造の選択されたレベル上にあって、そのことにより、アッセイ領域と、前記アッセイ面の他のレベル上にある非アッセイ領域とのあいだのコントラストを増加させることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項12】
前記アッセイ面は、より低い非アッセイ面に囲まれた実質的に平坦な上面を有する分離した隆起領域形状の複数のランド部を備えることを特徴とする、請求項11に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項13】
前記アッセイ・ディスクの前記アッセイ面は、ランド部、溝部、及び側部によって定められる螺旋状パターンの隆起した隆条部を備え、前記構造がその上に生成される前記アッセイ面は、前記螺旋状隆条部上の前記ランド部の上、又は前記隆条部間の前記溝部の中にあり、そのことにより、前記アッセイ面上の該構造の横方向の離間が達成され、該構造の品質を劣化させるエッジ効果による複雑さの可能性が回避されることを特徴とする、請求項1に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項14】
前記コンビナトリアル・ケミストリ構造がその上に生成される前記アッセイ面は前記螺旋状隆条部の前記ランド部上にあり、前記データ面は該ランド部間の前記溝部の中にあることを特徴とする、請求項13に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項15】
前記コンビナトリアル・ケミストリ構造がその上に生成される前記アッセイ面は前記溝部の中にあり、前記データ面は前記ランド部上にあることを特徴とする、請求項13に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項16】
前記アッセイ面はDNA断片のような化合物のバイオアッセイに適合しており、該アッセイ面は官能化された化学機能層を備え、そのことにより、DNAを前記表面に結合させるためのリンカー分子が前記化学機能層に共有結合することが可能であることを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項17】
前記導電体層が、金属又はインジウムスズ酸化物のスパッタ層、又はカーボンナノチューブ層若しくは任意の他の好適な材料を含む群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項18】
前記誘電体層が、ガラス、ポリマー樹脂、メチルメタクリレート(MMA)、又は、酸化亜鉛、硫化カドミウム、非晶質セレン、セレン−テルルなどのセレン合金、セレン化鉛、セレンヒ素、有機光導電体、ポリビニルカルバゾール(PVK)、若しくはトリニトロフルオレノンで増感されたポリビニルカルバゾール錯体から選択される光導電体、を含む群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項19】
前記化学機能層が、シラン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素(Sixy)、二酸化チタン、Tyzor(商標)、架橋された又は部分的に架橋されたエポキシノボラック樹脂、重合オリゴマー、架橋された樹脂、官能化されたパリレン(1つ又はそれ以上の官能基を含むジ−パラ−キシレンの重合体)、官能基を含んでいてもよいアクリレート及びメタクリレート、マルチアクリレート及びメタクリレート・モノマー、光開始剤で架橋されたモノマーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項20】
前記導電体層は、前記データ層が前記アッセイ面を通して読み取られる場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)、金の薄層、又は銀の薄層を含む群から選択される透明な導電体を含むことを特徴とする、請求項5に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項21】
前記ディスクは、実質的に平坦なディスクと、スピンドルを受け入れるための中心開口部と、ディスクの回転を可能にするクランプ機構と、を備えることを特徴とする、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項22】
前記導電体層又は該導電体層からの電気接続が前記ディスクの前記中心開口部に延びており、そのことにより、該ディスクが処理装置にクランプされた場合に該導電体層がアースされるか又は電気回路の一部となることを特徴とする、請求項21に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項23】
前記ディスクが、前記開口部に隣接するクランプ領域と、ラン・イン領域と、プログラム領域と、アッセイ領域と、ラン・アウト領域とを含む複数の環状領域を備えることを特徴とする、請求項21に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項24】
前記ディスクが、内周シール領域と、外周シール領域と、をさらに備えることを特徴とする、請求項22に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。
【請求項25】
前記アッセイ面に埃が到達することを防ぐ密閉されたカセットに入れられたことを特徴とする、請求項1から請求項24のいずれか1項に記載のコンビナトリアル・ケミストリによる形成及びアッセイ用ディスク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図14D】
image rotate

【図14E】
image rotate


【公表番号】特表2008−533450(P2008−533450A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500008(P2008−500008)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000313
【国際公開番号】WO2006/094356
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(506000173)ロウステック プロプライエタリー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】