説明

コンピュータシステム、データベース復旧方法、データベース復旧プログラム

【課題】効率的にデータベースのバックアップを行うと共に、記憶装置に障害が発生した場合には、矛盾なくデータベースを復旧することができるデータベース復旧方法等を提供すること
【解決手段】コンピュータシステム1は、データベース12のバックアップデータを生成し、このバックアップデータをクライアント装置2に退避するバックアップデータ生成手段13と、クライアント装置から再受信したトランザクションデータからデータベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別手段17と、前記クライアント装置に退避した前記バックアップデータと前記データ選別手段により選別されたトランザクションデータとから前記データベースを復旧するデータベース復旧手段18とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベースの復旧方法に関し、特にトランザクションデータを含むデータベースの復旧を効率的に行う方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの記憶装置に格納されたデータのバックアップ方法としては、定期的に(例えば、1日1回)データ全体のバックアップ(フルバックアップ)を実行し、定期バックアップの実行から次の定期バックアップの実行までの間は、差分バックアップを実行する方法が広く用いられている。
この方法では、最後の定期または差分バックアップの実行後に追加されたデータを復旧することができないため、記憶装置に障害が発生した際に失うデータを少なくするためには、バックアップの実行を短い時間間隔で行う必要がある。あるいは、記憶装置として2個のハードディスク装置を用い、2個のハードディスク装置に同一のデータを書き込むディスクのミラーリングを併用する場合もある。
【0003】
しかし、コンピュータの性能やシステムの要件、費用等の制約から、上記のような方法をとることができない場合もある。特許文献1には、頻繁なバックアップの実行やミラーリングを行うことなく、障害発生直前のトランザクションまでの復旧を可能とするデータベース管理システムが記載されている。
【0004】
このシステムでは、クライアントマシンは当日に発生したトランザクションをSQL文に変換し、発生時刻データを付加してトランザクションデータファイルに順次保存し、サーバマシンは前日の最終データベースを前日データ記憶部にバックアップし、当該マシンで当日に独自に実行したトランザクションをSQL文に変換し、発生時刻データを付加してトランザクションデータファイルに順次保存していく。そして障害発生時には、当日にサーバマシンで独自に実行されたトランザクションデータと各クライアントマシンで実行されたトランザクションデータを収集して発生時刻順にソートし、前日の最終データベースを基にして、当日の全トランザクションを発生順に再実行してデータベースを障害発生直前の状態まで復旧する。
【0005】
【特許文献1】特開2000−20369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたデータベース管理システムは、再取込したトランザクションデータのすべてをデータベースに反映させるため、バックアップデータと矛盾するデータもデータベースに反映させてしまい、データベースに不整合を生じさせる恐れがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、効率的にデータベースのバックアップを行うと共に、記憶装置に障害が発生した場合には、矛盾なくデータベースを復旧することができるデータベース復旧方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の、コンピュータシステムは、データベースのバックアップデータを生成し、このバックアップデータをクライアント装置に退避するバックアップデータ生成手段と、クライアント装置から再受信したトランザクションデータからデータベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別手段と、クライアント装置に退避したバックアップデータとデータ選別手段により選別されたトランザクションデータとからデータベースを復旧するデータベース復旧手段とを備えている(請求項1ないし請求項4)。
【0009】
上記コンピュータシステムによれば、クライアントから再取込したトランザクションデータのすべてをデータベースに反映させるのではなく、データベースの復旧に必要なものを選別して反映させている。
そのため、データベースに不整合を生じさせることなく、正しく復旧することができる。
また、再受信の対象となるトランザクションデータは、クライアントに保管されているから、バックアップを頻繁に実行したり、記憶装置を2重化したりする必要もない。
【0010】
上記コンピュータシステムにおいて、バックアップデータは、データベース全体のバックアップデータである定期バックアップデータと、定期バックアップデータが作成された時点以降にコンピュータ装置で生成されデータベースに追加されたデータのバックアップデータである差分バックアップデータとからなり、データベース復旧手段は、定期バックアップデータ、再受信したトランザクションデータ、差分バックアップデータの順でデータベースに格納するようにしてもよい(請求項2)。
このようにすれば、差分バックアップのデータサイズを小さくすることができる。
【0011】
上記コンピュータシステムにおいて、再受信するトランザクションデータには、データベースの復旧のために必要であるか否かを示す選別用のフラグが付され、データ選別手段はフラグに基づいて選別を行うようにしてもよい(請求項3)。
このようにすれば、再受信したトランザクションデータの選別のためにコンピュータに与える負荷を小さくすることができる。
【0012】
上記コンピュータシステムにおいて、クライアント装置は、POS装置であり、トランザクションデータは、POS装置の設置された店舗で販売された商品に関する情報としてもよい(請求項4)。
このようなコンピュータシステムをPOS(Point Of Sale)システムのストアコンピュータとして用いれば、店舗の営業時間中は停止させることができないPOSシステムにおいても、記憶装置の障害時に、矛盾なくデータベースを復旧することができる。
【0013】
本発明の、データベース復旧方法は、データベースのバックアップデータを生成し、このバックアップデータをクライアント装置に退避するバックアップデータ生成工程と、クライアント装置から再受信したトランザクションデータからデータベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別工程と、クライアント装置に退避したバックアップデータとデータ選別工程で選別されたトランザクションデータとからデータベースを復旧するデータベース復旧工程とを備えている(請求項5ないし請求項8)。
【0014】
上記データベース復旧方法によれば、クライアントから再取込したトランザクションデータのすべてをデータベースに反映させるのではなく、データベースの復旧に必要なものを選別して反映させている。
そのため、データベースに不整合を生じさせることなく、正しく復旧することができる。
また、再受信の対象となるトランザクションデータは、クライアントに保管されているから、バックアップを頻繁に実行したり、記憶装置を2重化したりする必要もない。
【0015】
上記データベース復旧方法において、バックアップデータは、データベース全体のバックアップデータである定期バックアップデータと、定期バックアップデータが作成された時点以降にコンピュータ装置で生成されデータベースに追加されたデータのバックアップデータである差分バックアップデータとからなり、データベース復旧工程では、定期バックアップデータ、再受信したトランザクションデータ、差分バックアップデータの順でデータベースに格納するようにしてもよい(請求項6)。
このようにすれば、差分バックアップのデータサイズを小さくすることができる。
【0016】
上記データベース復旧方法において、再受信するトランザクションデータには、データベースの復旧のために必要であるか否かを示す選別用のフラグが付され、データ選別工程ではフラグに基づいて選別を行うようにしてもよい(請求項7)。
このようにすれば、再受信したトランザクションデータの選別のためにコンピュータに与える負荷を小さくすることができる。
【0017】
上記データベース復旧方法において、クライアント装置は、POS装置であり、トランザクションデータは、POS装置の設置された店舗で販売された商品に関する情報としてもよい(請求項8)。
このようなデータベース復旧方法をPOSシステムのストアコンピュータに適用すれば、店舗の営業時間中は停止させることができないPOSシステムにおいても、記憶装置の障害時に、矛盾なくデータベースを復旧することができる。
【0018】
本発明の、データベース復旧プログラムは、コンピュータに、データベースのバックアップデータを生成し、このバックアップデータをクライアント装置に退避するバックアップデータ生成処理と、クライアント装置から再受信したトランザクションデータからデータベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別処理と、クライアント装置に退避したバックアップデータとデータ選別処理により選別されたトランザクションデータとからデータベースを復旧するデータベース復旧処理とを実行させる(請求項9ないし請求項12)。
【0019】
上記データベース復旧プログラムによれば、クライアントから再取込したトランザクションデータのすべてをデータベースに反映させるのではなく、データベースの復旧に必要なものを選別して反映させている。
そのため、データベースに不整合を生じさせることなく、正しく復旧することができる。
また、再受信の対象となるトランザクションデータは、クライアントに保管されているから、バックアップを頻繁に実行したり、記憶装置を2重化したりする必要もない。
【0020】
上記データベース復旧プログラムにおいて、バックアップデータは、データベース全体のバックアップデータである定期バックアップデータと、定期バックアップデータが作成された時点以降にコンピュータ装置で生成されデータベースに追加されたデータのバックアップデータである差分バックアップデータとからなり、データベース復旧処理では、定期バックアップデータ、再受信したトランザクションデータ、差分バックアップデータの順でデータベースに格納するようにしてもよい(請求項10)。
このようにすれば、差分バックアップのデータサイズを小さくすることができる。
【0021】
上記データベース復旧プログラムにおいて、再受信するトランザクションデータには、データベースの復旧のために必要であるか否かを示す選別用のフラグが付され、データ選別処理はフラグに基づいて選別を行うようにしてもよい(請求項11)。
このようにすれば、再受信したトランザクションデータの選別のためにコンピュータに与える負荷を小さくすることができる。
【0022】
上記データベース復旧プログラムにおいて、クライアント装置は、POS装置であり、トランザクションデータは、POS装置の設置された店舗で販売された商品に関する情報であるようにしてもよい(請求項12)。
このようなデータベース復旧プログラムをコンピュータシステムをPOSシステムのストアコンピュータとして用いれば、店舗の営業時間中は停止させることができないPOSシステムにおいても、記憶装置の障害時に、矛盾なくデータベースを復旧することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、クライアントから再取込したトランザクションデータのすべてをデータベースに反映させるのではなく、データベースの復旧に必要なものを選別して反映させている。
そのため、データベースに不整合を生じさせることなく、正しく復旧することができる。
また、再受信の対象となるトランザクションデータは、クライアントに保管されているから、バックアップを頻繁に実行したり、記憶装置を2重化したりする必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図を参照しながら本発明の一実施形態であるPOSシステム4の構成と動作について説明する。
図1は、POSシステム4の機能ブロック図である。POSシステム4は、ストアコンピュータ装置(以下、「SC装置」と書く)1とPOS装置2により構成されている。SC装置1とPOS装置2はネットワーク3に接続され、相互にデータの送受信を行うことができる。図1には、POS装置を1台だけ示しているが、実際には、POS装置2は複数設置されている。POS装置2は、例えば商品の販売により発生したトランザクションデートをネットワーク3を介してSC装置1に送信する。トランザクションデータを受信したSC装置は、受信したデータをデータベースに格納すると共に、一定時間毎に集計処理等を行う。
【0025】
一般的にPOSシステムでは、POSのトランザクションデータを取得し、SCで選別を行ってから再度データ取り込み処理を行い、データの補完を行う。その他に、定期バックアップ以降に発生したデータの内、重要なデータのみ差分バックアップを行い、データの補完を行う。
この時、本実施の形態では更新元データのPOSのトランザクションデータを再度取り込む処理を行うため、差分バックアップで補完するデータ対象が少なくなるためバックアップデータサイズが小さくて済む特徴がある。
また、復旧時にPOSから取得したトランザクションファイルから再取り込みする際に、不要なデータの除去を行ってからデータ取り込み処理を行うことで差分バックアップとの不整合などの問題発生を回避する。この選別処理は、トランザクションデータ生成時に予め定めた規則で選別の目印を埋め込む方法ではなく、復旧時に行うことで選別処理の変更を可能としている。
【0026】
SC装置1は、データ送受信装置11、データ記憶装置12、バックアップデータ生成装置13、差分バックアップデータ生成装置14、トランザクションデータ記憶装置16、データ選別装置17、トランザクションデータ格納装置18、バックアップデータ格納装置15を備えている。
【0027】
データ送受信装置11は、POS装置2のデータ送受信装置21との間でネットワーク3を介してデータの送受信を行う。具体的には、データ記憶装置12のバックアップを実行したときに定期バックアップデータと差分バックアップデータを送信し、データ記憶装置12の復旧処理をするときにトランザクションデータとPOS装置2に退避してある定期バックアップデータ、差分バックアップデータを受信する。
【0028】
データ記憶装置12(記憶装置の一例)には、POS装置2から受信したトランザクションデータや集計結果がデータベースとして格納されている。
【0029】
バックアップデータ生成装置13は、データ記憶装置12に格納されているデータの定期バックアップを行い定期バックアップデータを生成する。定期バックアップは、例えば1日1回POS装置が設置されている店舗等の営業終了時に行い、生成した定期バックアップデータは、データ送受信装置11を介してPOS装置2に送信し、バックアップデータ記憶装置23に格納する。すなわち、データ送受信装置11とバックアップデータ生成装置13は、バックアップデータ生成手段の一例である。
【0030】
差分バックアップデータ生成装置14は、データ記憶装置12に格納されているデータの差分バックアップを行い差分バックアップデータを生成する。定期バックアップは、例えば1時間ごとに行い、直前の定期バックアップ実行時点からその時点までの差分を差分パックアップデータとして生成する。ただし、差分バックアップの対象とするデータは、SC装置1で生成したデータ、例えばトランザクションデータの集計結果等とし、トランザクションデータは差分バックアップの対象としない。生成した差分バックアップデータは、データ送受信装置11を介してPOS装置2に送信し、差分バックアップデータ記憶装置24に格納する。すなわち、データ送受信装置11と差分バックアップデータ生成装置14は、バックアップデータ生成手段の一例である。
【0031】
バックアップデータ格納装置15は、データ記憶装置12の復旧処理時に、データ送受信装置11を介して、POS装置2のバックアップデータ記憶装置23に退避してある定期バックアップデータと、POS装置2の差分バックアップデータ記憶装置24に退避してある差分バックアップデータを取得し、これらをデータ記憶装置12に格納する。
【0032】
トランザクションデータ記憶装置16は、データ記憶装置12の復旧処理時に、データ送受信装置11を介して、POS装置2のトランザクションデータ記憶装置22に記憶されているトランザクションデータを取得し、一時的に記憶する。このトランザクションデータは、直前の定期バックアップ実行時点からその時点までに発生したトランザクションデータがすべて含まれている。
【0033】
データ選別装置17(データ選別手段の一例)は、データ記憶装置12の復旧処理時に、トランザクションデータ記憶装置16に記憶されているトランザクションデータの中から、データ記憶装置12格納すると問題を生じるトランザクションデータを除去し、データベースの復旧必要なものを選別する。問題を生じるトランザクションデータとしては、例えば、精算処理用のデータがある。このようなデータを再度取り込んでしまうと、SC装置1の障害発生前に確定済みになった精算確定データを再度作成可能となり、精算確定データが二重で本部送信されてしまう。また、作成途中で修正可能なため、障害発生前と異なる金額のデータが発生し、SC装置1内部と本部側で数字の差異が生じてしまう。
【0034】
トランザクションデータ格納装置18は、データ記憶装置12の復旧処理時に、データ選別装置17による選別が行われた後にトランザクションデータ記憶装置16に記憶されているトランザクションデータをデータ記憶装置16に格納する。すなわち、バックアップデータ格納装置15とトランザクションデータ格納装置18は、データベース復旧手段の一例である。
【0035】
上記のSC装置1の各機能ブロックは、SC装置1のCPU(Central Processing Unit)がコンピュータプログラムを実行してSC装置1のハードウェアを制御することにより実現される。
【0036】
POS装置2は、POS装置2は、店舗等に設置した端末装置で、トランザクションデータを入力するための入力装置、例えばバーコード読取装置のほか、データ送受信装置21、トランザクションデータ記憶装置22、バックアップデータ記憶装置23、差分バックアップデータ記憶装置24を備えている。
データ送受信装置21は、SC装置1のデータ送受信装置11との間でネットワーク3を介してデータの送受信を行う。具体的には、データ記憶装置12のバックアップが実行されたときに定期バックアップデータと差分バックアップデータを受信し、データ記憶装置の復旧処理が行われるときにトランザクションデータ記憶装置22に格納されているトランザクションデータと、バックアップデータ記憶装置23に格納されている定期バックアップデータと、差分バックアップデータ記憶装置24に格納されている差分バックアップデータを送信する。また、POSシステムが正常に動作しているときは、POS装置2で発生したトランザクションデータを発生直後に送信する。
【0037】
トランザクションデータ記憶装置22には、SC装置1に送信したトランザクションデータが格納されている。トランザクションデータは、トランザクションデータ記憶装置22の記憶容量が許す限りで、送信したデータをすべて記憶しておくようにし、SC装置1から再送信要求があったときには、記憶されているデータをすべて送信する。このようにすれば、POS装置2側で送信するデータの選別を行わずに済むため、POS装置2側の処理を単純化することができる。
【0038】
バックアップデータ記憶装置23には、SC装置1から受信した定期バックアップデータが、差分バックアップデータ記憶装置24には、SC装置1から受信した差分バックアップデータが、それぞれ格納されている。
【0039】
POS装置2が複数設置されている場合は、各POS装置2がトランザクションデータ記憶装置22を備え、自己が送信したトランザクションデータを格納する。また、バックアップデータ記憶装置23と差分バックアップデータ記憶装置24については、それぞれ1台以上のPOS装置2に設けるようにすればよく、全部のPOS装置2に設ける必要はない。この実施例では、定期バックアップデータと差分バックアップデータをそれぞれ2台のPOS装置2に退避している。このようにすることで、2台中1台へのバックアップデータの退避が何らかの理由で失敗しても、バックアップデータを確保することができる。
【0040】
次に、POSシステム4のバックアップ動作について図1と図2を参照しながら説明する。バックアップは定期的に実施する定期バックアップ処理と、その間に実施する差分バックアップ処理に分かれる。
定期バックアップ処理では、SC装置1のバックアップデータ生成装置13がデータ記憶装置12に格納されたデータから定期バックアップデータを生成する(S101)。定期バックアップデータには、その時点にデータ記憶装置12に格納されているデータがすべて含まれている。バックアップデータ生成装置13は、データ送受信装置11とデータ送受信装置21を経て、定期バックアップデータをPOS装置2のバックアップデータ記憶装置23に格納する(S102)。
【0041】
定期バックアップと次の定期バックアップの間の期間は、差分バックアップデータ生成装置14がデータ記憶装置12のデータから差分バックアップデータを生成する(S103)。差分バックアップデータには、直前の定期バックアップの実行後にSC装置1で生成されたデータのみが含まれている。差分バックアップデータ生成装置14は、データ送受信装置11とデータ送受信装置21を経て、差分バックアップデータをPOS装置2の差分バックアップデータ記憶装置24に格納する(S104)。
【0042】
次に、復旧処理として、SC装置1の障害によりデータ記憶装置12のデータが消失した場合の復旧動作を図1と図3を参照して説明する。復旧処理は、(1)定期バックアップデータの復旧、(2)POSのトランザクションデータの再取り込み、(3)差分バックアップデータの復旧という手順で行う。
【0043】
図3を参照すると、まず、定期バックアップデータの復旧処理として、バックアップデータ格納装置15は、POS装置2のバックアップデータ記憶装置23からデータ送受信装置21とデータ送受信装置11を介して定期バックアップデータを取得し(S111)、これをデータ記憶装置12に格納する(S112)。この処理により、定期バックアップ採取時までのデータが復旧される。
【0044】
次に、POSのトランザクションデータの再取り込み処理として、POS装置2のトランザクションデータ記憶装置22のデータをデータ送受信装置21とデータ送受信装置11によりトランザクションデータ記憶装置16に格納する(S113)。次に、データ選別装置17は、トランザクションデータ格納装置15から問題を生じるデータを除去する(S114)。選別データ格納装置18は、問題を生じるデータを序済みのトランザクションデータ(選別されたトランザクションデータ)をデータベースに反映してデータ記憶装置12に格納する(S115)。これにより、トランザクションデータを元データに処理されたデータが復旧される。
【0045】
上記の動作例では、トランザクションデータの再受信後にデータ選別装置17がデータの内容やその属性に基づいて選別を行うようにしているが、POS装置2がトランザクションデータをトランザクションデータ記憶装置22に保存する際に、予め選別用のフラグ等を付加し、データ選別装置17はそのフラグ等の有無により選別を行うようにしてもよい。
【0046】
次に、バックアップデータ格納装置15は、POS装置2の差分バックアップデータ記憶装置23からデータ送受信装置21とデータ送受信装置11を介して差分バックアップデータを取得し(S116)、これをデータ記憶装置12に格納する(S117)。これにより、定期パックアップ実行以降の差分バックアップデータの分が復旧される。
【0047】
次に、POSシステム4の効果について説明する。
POS装置2に保存されたトランザクションデータをSC装置1に再送することにより、POS装置2から送られたトランザクションデータに基づく処理を再度実施することが可能となり、定期バックアップ以降のデータの補完が可能となる。
【0048】
POS装置2からのトランザクションデータをデータベースに反映した結果の分はバックアップする必要が無くなるため、差分バックアップで生成されるバックアップデータのサイズを小さくできる。
【0049】
データ選別装置17により、POS装置2に保存されたトランザクションデータを再度処理する場合に問題データを予め取り除くことで、不具合発生を防止することができる。
【0050】
データ選別装置17による選別処理をトランザクションデータ生成時POS装置1側で埋め込まれたフラグ等の識別情報を使う方法ではなく、復旧時点に再受信したデータ内容に基づいて行うようにすれば、選別処理の変更を容易に行うことができる。POS装置2でトランザクションデータ記憶装置22に格納する際に、識別フラグをトランザクションデータに付加するようにし、データ選別装置17がフラグの有無により選別を行うようにすれば、データ選別装置17による選別処理の負荷を低減させることができる。
【0051】
バックアップデータの保存先を店舗の標準構成モデルで必ず存在するPOS装置2とするため、バックアップデータ媒体(例えば、磁気テープ)の保管作業が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態であるPOSシステムの機能ブロック図である。
【図2】POSシステムのバックアップ動作を示すフローチャートである。
【図3】POSシステムのデータ復旧動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 SC装置
2 POS装置
3 ネットワーク
4 POSシステム
11 データ送受信装置
12 データ記憶装置
13 バックアップデータ生成装置
14 差分バックアップデータ生成装置
15 バックアップデータ格納装置
16 トランザクションデータ記憶装置
17 データ選別装置
18 トランザクションデータ格納装置
21 データ送受信装置
22 トランザクションデータ記憶装置
23 バックアップデータ記憶装置
24 差分バックアップデータ記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置から受信したトランザクションデータを含むデータベースを記憶する記憶装置を備えたコンピュータシステムにおいて、
前記データベースのバックアップデータを生成し、このバックアップデータを前記クライアント装置に退避するバックアップデータ生成手段と、
前記クライアント装置から再受信した前記トランザクションデータから前記データベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別手段と、
前記クライアント装置に退避した前記バックアップデータと前記データ選別手段により選別されたトランザクションデータとから前記データベースを復旧するデータベース復旧手段とを備えたことを特徴としたコンピュータシステム。
【請求項2】
前記バックアップデータは、前記データベース全体のバックアップデータである定期バックアップデータと、前記定期バックアップデータが作成された時点以降に前記コンピュータ装置で生成され前記データベースに追加されたデータのバックアップデータである差分バックアップデータとからなり、
前記データベース復旧手段は、前記定期バックアップデータ、前記再受信したトランザクションデータ、前記差分バックアップデータの順で前記データベースに格納することを特徴とした請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記再受信するトランザクションデータには、前記データベースの復旧のために必要であるか否かを示す選別用のフラグが付され、前記データ選別手段は前記フラグに基づいて選別を行うことを特徴とした請求項1または請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記クライアント装置は、POS装置であり、前記トランザクションデータは、前記POS装置の設置された店舗で販売された商品に関する情報であることを特徴とした請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
クライアント装置から受信したトランザクションデータを含むデータベースを復旧する方法において、
前記データベースのバックアップデータを生成し、このバックアップデータを前記クライアント装置に退避するバックアップデータ生成工程と、
前記クライアント装置から再受信した前記トランザクションデータから前記データベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別工程と、
前記クライアント装置に退避した前記バックアップデータと前記データ選別工程で選別されたトランザクションデータとから前記データベースを復旧するデータベース復旧工程とを備えたことを特徴としたデータベース復旧方法。
【請求項6】
前記バックアップデータは、前記データベース全体のバックアップデータである定期バックアップデータと、前記定期バックアップデータが作成された時点以降に前記コンピュータ装置で生成され前記データベースに追加されたデータのバックアップデータである差分バックアップデータとからなり、
前記データベース復旧工程では、前記定期バックアップデータ、前記再受信したトランザクションデータ、前記差分バックアップデータの順で前記データベースに格納することを特徴とした請求項5に記載のデータベース復旧方法。
【請求項7】
前記再受信するトランザクションデータには、前記データベースの復旧のために必要であるか否かを示す選別用のフラグが付され、前記データ選別工程では前記フラグに基づいて選別を行うことを特徴とした請求項5または請求項6に記載のデータベース復旧方法。
【請求項8】
前記クライアント装置は、POS装置であり、前記トランザクションデータは、前記POS装置の設置された店舗で販売された商品に関する情報であることを特徴とした請求項5ないし請求項7のいずれかひとつに記載のデータベース復旧方法。
【請求項9】
クライアント装置から受信したトランザクションデータを含むデータベースを復旧するプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記データベースのバックアップデータを生成し、このバックアップデータを前記クライアント装置に退避するバックアップデータ生成処理と、
前記クライアント装置から再受信した前記トランザクションデータから前記データベースの復旧のために必要なものを選別するデータ選別処理と、
前記クライアント装置に退避した前記バックアップデータと前記データ選別処理により選別されたトランザクションデータとから前記データベースを復旧するデータベース復旧処理とを実行させることを特徴としたデータベース復旧プログラム。
【請求項10】
前記バックアップデータは、前記データベース全体のバックアップデータである定期バックアップデータと、前記定期バックアップデータが作成された時点以降に前記コンピュータ装置で生成され前記データベースに追加されたデータのバックアップデータである差分バックアップデータとからなり、
前記データベース復旧処理では、前記定期バックアップデータ、前記再受信したトランザクションデータ、前記差分バックアップデータの順で前記データベースに格納することを特徴とした請求項9に記載のデータベース復旧プログラム。
【請求項11】
前記再受信するトランザクションデータには、前記データベースの復旧のために必要であるか否かを示す選別用のフラグが付され、前記データ選別処理は前記フラグに基づいて選別を行うことを特徴とした請求項9または請求項10に記載のデータベース復旧プログラム。
【請求項12】
前記クライアント装置は、POS装置であり、前記トランザクションデータは、前記POS装置の設置された店舗で販売された商品に関する情報であることを特徴とした請求項9ないし請求項11のいずれかひとつに記載のデータベース復旧プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−33778(P2008−33778A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208406(P2006−208406)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】