説明

コンピュータ機器一括管理システム

【課題】コンピュータ機器が通信ネットワークに繋がっていない状態においても電源ON/OFFを一括して行うことができると共に、また、コンピュータ機器の電源ON/OFFに関わらずコンピュータ機器に関する管理データを一括して処理できるコンピュータ一括管理システムを提供すること。
【解決手段】本実施の形態のコンピュータ機器一括管理システム10においては、リーダライタ1から電源ON/OFF要求を非接触通信で送信されると、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21のアンテナ46により電源がON/OFF状態であるか否かを判定し、次に、リーダライタ1が、コンピュータ機器1a、1b、1nで対応している機器であるか否かを判定し、次に、電源OFFの要求を受け入れ可能な状態であるか否かを判定し、電源制御部24に電源ON/OFF信号を送信することにより、電源をON/OFF状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを用いて非接触通信を行うコンピュータ機器と、コンピュータ機器に対して非接触通信により操作を行うための遠隔操作機器とを備えたコンピュータ機器一括管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータネットワークの発展により、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータ機器はサーバ機器にとどまらずOA機器としても多数普及してきた。こうしたコンピュータ機器は一般的な家電製品とは異なり、製品の一部に設けられた電源ボタンの押下で電源を操作するのではなく、電源OFFを行うために各々のコンピュータ機器に対して、ディスプレイ等の表示画面上でキーボードまたはマウスによってコマンド入力またはボタン操作を行うようになっている。
【0003】
これに対し、ネットワーク上に接続された各々のコンピュータ機器に対して一括電源ON/OFFするシステムとして、下記特許文献1、特許文献2に記載されている発明などが知られている。特許文献1に記載されている電源制御方法では、LANだけでなく公衆回線に接続された管理対象コンピュータに対しても、管理コンピュータ上でネットワーク経由で電源制御を行いネットワークOSのリモート・アクセス機能によってエージェントを介して一括集中的に電源制御を行っている。特許文献2に記載されているリモート電源制御では、パーティション内の全てのノードによって認識されるか、あるいは全てのノードに共通するマジック・パケットによってパーティション全体にわたるリモート・リスタートを可能としている。
【0004】
また、ネットワーク上に接続された各々のコンピュータ機器内に保持された管理データを取得する場合、取得対象の各々のコンピュータ機器のところまで作業者が移動し、そこでコンピュータ機器に接続されたディスプレイ装置を介して、ディスプレイ上で操作を行い管理データを取得する。
【0005】
これに対し、各々のコンピュータ機器に対して、複数代の情報収集対象コンピュータに対してハードウェア情報やインストールソフトウェア情報をアプレットにより収集してデータベースとして登録することで一括で管理データを取得するシステムとして、下記特許文献3に記載されているコンピュータ管理情報収集システムなどが知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−157128号公報
【特許文献2】特開2005−20728号公報
【特許文献3】特開2003−50754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コンピュータ機器の電源ON/OFFを一括制御するためには、LAN(Local Area Network)や公衆回線などの通信ネットワークに各コンピュータ機器を接続して利用することが前提であり、通信ネットワーク障害や構成変更時でネットワーク上の接続を外した場合などにより、ネットワークを介して情報の送受信が行えずコンピュータ機器がネットワークに繋がっていない場合は電源ON/OFF等の一括制御をすることができない。
【0008】
また、コンピュータ機器から管理データを取得する場合は、その取得対象となるコンピュータ機器の電源がONになっていることが前提として必要であるため、電源がOFF状態のコンピュータ機器は、一旦電源をONする作業を行う必要がある。このようなコンピュータ機器がネットワーク上に大量に存在する場合には、一旦電源をONするだけで膨大な時間を必要とすることになり、作業の負担が多大なものとなる。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンピュータ機器が通信ネットワークに繋がっていない状態においても電源ON/OFFを一括して行うことができると共に、また、コンピュータ機器の電源ON/OFFに関わらずコンピュータ機器に関する管理データを一括して処理できるコンピュータ機器一括管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、アンテナとこのアンテナを用いて電磁誘導により非接触通信および電力供給を行う非接触型ICとを備えたコンピュータ機器と、前記コンピュータ機器に対して非接触通信により操作を行うための遠隔操作機器とを備えたコンピュータ機器一括管理システムにおいて、
前記コンピュータ機器は、
前記遠隔操作機器から送信された電源のON/OFFを要求する電源要求情報を受信したことに応じて、前記電源要求情報に付加された前記遠隔操作機器を識別するための操作識別情報に基づいて、前記遠隔操作機器が前記コンピュータ機器の電源のON/OFF要求に対応しているか否かを判定する要求判定手段と、
前記要求判定手段が、前記遠隔操作機器が前記コンピュータ機器の電源のON/OFF要求に対応していると判定した場合に、前記電源要求情報に従って、前記コンピュータ機器の電源のON/OFF制御を行う電源制御手段と、
前記アンテナを通して外部から電力供給を受ける電力供給部と、
前記遠隔操作機器から送信された前記コンピュータ機器の電源管理に関する管理データを要求する管理要求情報に応じて、前記コンピュータ機器の電源のON/OFF状態を判定する電源判定手段と、
前記電源判定手段が、前記コンピュータ機器の電源がOFF状態と判定した場合に、前記電力供給部が受けた電力を用いて前記管理データを前記遠隔操作機器に送信する管理送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、上述のコンピュータ機器一括管理システムにおいて、
前記コンピュータ機器は、
前記電源制御手段が前記コンピュータ機器の電源をOFF状態とする際に、このOFF状態を通知するOFF通知情報を前記遠隔操作機器に送信するOFF通知手段を備え、
前記遠隔操作機器は、
前記コンピュータ機器から送信されたOFF通知情報に基づいて、電源がOFF状態となっているコンピュータ機器に対して電源のONを要求する旨の電源要求情報を送信するON送信手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるコンピュータ一括管理システムによれば、コンピュータ機器が通信ネットワークに繋がっていない状態においても電源ON/OFFを一括して行うことができると共に、また、コンピュータ機器の電源ON/OFFに関わらずコンピュータ機器に関する管理データを一括して処理できるという効果がある。
【0013】
請求項1にかかるコンピュータ一括管理システムにおいては、コンピュータ機器が、電源制御手段により、遠隔操作機器から送信された電源のON/OFFを要求する電源要求情報に従って、コンピュータ機器の電源のON/OFF制御を行うので、コンピュータ機器が情報の送受信が可能な通信のネットワークに繋がっていない状態においても電源ON/OFFを一括して行うことができ、管理対象機器が多数存在する環境でのシステム管理者のコンピュータ機器管理の負担を大幅に低減することが可能となる。
【0014】
また、電源制御手段がコンピュータ機器の電源をOFF状態とする場合に、コンピュータ機器の電源がOFF状態のときに、遠隔操作機器から送信された管理データを要求する管理要求情報に応じて、管理送信手段が、電力供給手段が受けた電力を用いて管理データを遠隔操作機器に送信するので、コンピュータ機器の電源がOFFの状態にあっても、管理データを一括して取得することができ、システム管理者の負担を低減することが可能となる。
【0015】
請求項2にかかるコンピュータ一括管理システムにおいては、遠隔操作機器が、ON送信手段によりコンピュータ機器から送信されたOFF通知情報に基づいて、電源がOFF状態となっているコンピュータ機器に対して電源のONを要求する旨の電源要求情報を送信するので、電源がOFF状態となっているコンピュータ機器のみに対して適切に電源をONとする制御を一括して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を適用したコンピュータ機器一括管理システムの最良の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システム10のシステム構成を示す説明図である。このコンピュータ機器一括管理システム10では、電磁誘導により非接触通信および電力供給を行うことが可能な非接触型IC(Integrated
Circuit)を備えた遠隔操作機器等のリーダライタ1と、同様の非接触型ICを備えたコンピュータ機器1a、1b、1nとからの構成となっている。
【0017】
図2は、コンピュータ機器1a、1b、1nの構成例を示すブロック図である。コンピュータ機器1a、1b、1nは、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションに相当し、リーダライタ1と電磁誘導により非接触通信でデータや情報をやり取りすると共にリーダライタ1等により外部から取り込んで電力供給を行うことが可能な非接触型IC部21と、ハードディスク25に格納されている制御プログラムをメモリ23に展開し非接触型IC部21を含む全体の動作を制御やデータや情報を用いた各種の処理を実行するCPU(Central
Processing Unit)22と、コンセント等の外部電源により外部から電力を得てコンピュータ機器1a、1b、1nに電力供給を行い電源のON/OFF状態の管理や制御を行う電源制御部24と、CPU(Central
Processing Unit)22が実行した処理等の出力結果を表示するディスプレイ装置26とから構成されている。
【0018】
ここで、ハードディスク25は、図3に示す管理データを記憶している。管理データは、図3に示すように、各コンピュータ機器1a、1b、1n毎に備えている非接触型IC部21を識別するためのIC識別ID31と、各コンピュータ機器1a、1b、1n毎で情報やデータを受信して処理を行う対応が可能な対応機種のリーダライタ1を識別する識別情報を示すリーダライタ識別ID32と、各コンピュータ機器1a、1b、1n毎でのユーザを示すユーザ名33と、各コンピュータ機器1a、1b、1n毎の機種等を示すマシン名34と、各コンピュータ機器1a、1b、1nが接続された公衆回線やLAN等のネットワーク上のアドレスを示すIPアドレス35と、リーダライタ1から送信された要求情報に従って電源をOFF状態とすることが可能か否かを示す電源OFF要求受入フラグ36との各データから構成されている。
【0019】
この管理データは、図1に示すコンピュータ機器一括管理システム10のシステム構成が変更される場合にシステム管理者やコンピュータユーザによって変更される。しかし、IC識別ID31、リーダライタ識別ID32については、システム構成の変更に関わらず各リーダライタ1やコンピュータ機器1a、1b、1n毎で備えている非接触型IC部21固有の識別情報であるため、初期設定後の変更は不可能となっている。また、これらの管理データは一例であり、必要に応じて項目を増減することが可能である。
【0020】
ここで例えば、システム管理者やコンピュータユーザが管理データを更新した場合、図3に示すように、IC識別ID31として「12345678」、リーダライタ識別ID32として「abcdefgh」、ユーザ名33として「日立 太郎」、マシン名34として「マシンa」、IPアドレス35として「192.168.100.1」、電源OFF要求受付フラグ36として「OK」等の情報が管理データに登録される。
【0021】
図4は、図2に示す各コンピュータ機器1a、1b、1n毎で備えている非接触型IC部21の構成例を示すブロック図である。すなわち、非接触型IC部21は、リーダライタ1等により外部から非接触通信でデータや情報を送受信すると共に電力を取り込むアンテナ46と、このアンテナ46からデータや情報、電力供給等が可能に電気的に接続されたICチップ41とから構成され、電磁誘導を利用して、近接されたリーダライタ1との間で非接触の通信を行う。これは、非接触型ICカード等の構成に相当する。
【0022】
ICチップ41はCPU42を備えており、CPU42は、ROM(Read Only
Memory)44に格納されている制御プログラムをRAM(Random Access
Memory)43に展開し、ICチップ41全体の動作を制御する機能を有する。例えば、リーダライタ1から送信されてくる情報をメモリ45に記憶したり、この情報に従ってコンピュータ機器1a、1b、1nに対して各種の処理を実行する。
【0023】
ICチップ41は、アンテナ46を通してリーダライタ1と電波で電力の供給のやりとりをするため、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源OFF時にも独立して動作することが可能である。メモリ45は、例えば、EEPROM(Electrically
Erasable and Programmable Read Only Memory)であり、CPU42の処理によってハードディスク25に保存されている管理データも記憶する機能を有する。
【0024】
続いて、本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システム10の動作について説明する。まず、図5に示すフローチャートを用いてコンピュータ機器の電源OFF処理について説明する。まず、リーダライタ1がコンピュータ機器1a、1b、1nに向けて電源のOFFを要求する電源OFF要求を非接触通信で送信すると、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21のアンテナ46により電源OFF要求を受信する(ステップ501)。
【0025】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21により電源制御部24のコンピュータ機器1a、1b、1nへの電力供給状態を確認することにより、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がON状態であるか否かを判定する処理を行う(ステップ502)。電源がOFF状態であった場合には(ステップ502のNO)、電源OFF要求を無視して処理を終了する。
【0026】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がON状態であった場合には(ステップ502のYES)、電源OFF要求を送信したリーダライタ1が、コンピュータ機器1a、1b、1nで電源の処理を行い対応している機器であるか否かを判定する処理を行う(ステップ503)。電源OFF要求に付加され、これと共に受信したリーダライタ識別IDに基づいて、ハードディスク25に保存されている管理データ内のリーダライタ識別ID32とを比較する処理を行い(ステップ503)、受信したリーダライタ識別IDとリーダライタ識別ID32とが一致しない場合には(ステップ503のNO)、対応しない機器であると判定し、電源OFF要求を無視して処理を終了する。
【0027】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、受信したリーダライタ識別IDとリーダライタ識別ID32とが一致する場合には(ステップ503のYES)、対応する機器であると判定し、電源OFF要求を受信したコンピュータ機器1a、1b、1nがその電源OFFの要求を受け入れ可能な状態であるか否かを判定する処理を行う(ステップ504)。ハードディスク25の管理データ内の電源OFF要求受入フラグ36の情報を参照し、この電源OFF要求受入フラグ36がOFFとなっており、受け入れ不可能であるならば(ステップ504のNO)、電源OFF要求を無視して処理を終了する。この電源OFF受入フラグ36の受け入れ可能・不可能の設定は、あらかじめシステム管理者が初期設定として行っておき、コンピュータ機器1a、1b、1nがプログラムやアプリケーションの処理の実行中であり電源をOFFとすることができない等の場合には、受け入れ不可能の設定等を行う。この電源OFF受入フラグ36の設定で、コンピュータ機器1a、1b、1nが無条件に電源OFFされてしまうことを防ぐようになっている。
【0028】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、電源OFF要求受入フラグ36がONとなっており、受け入れ可能な場合には(ステップ504のYES)、非接触型IC部21内のメモリ45にハードディスク25の管理データを記憶する処理を行う(ステップ505)。これにより、コンピュータ機器1a、1b、1nが電源OFF状態にあっても、非接触型IC部21がリーダライタ1から電力供給を受け独立して動作し、管理データをリーダライタ1側に取り出すことを可能にするようになっている。メモリ45に記憶した管理データは、システム管理者やコンピュータユーザがコンピュータ機器1a、1b、1nの電源ボタンを押下することによりOFF状態とするなどして、電源制御部24に対して直接電源OFF操作を行った場合にも、メモリ45にハードディスク25の管理データを記憶する処理を行って更新するようになっている。
【0029】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、電源をONからOFF状態に変更したことを、コンピュータ機器1a、1b、1nがメモリ45のIC識別ID31と共にリーダライタ1に通知する処理を行う(ステップ506)。非接触型IC部21が、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源のOFF状態を通知するOFF通知情報を、メモリ45のIC識別ID31と共にアンテナ46を通してリーダライタ1に送信する。これにより、電源をOFF状態としたコンピュータ機器1a、1b、1nを示す情報をリーダライタ1が記憶し把握可能となる。
【0030】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21のICチップ41がCPU22に電源OFF信号を送信することにより、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源をOFF状態とする処理を行う(ステップ507)。コンピュータ機器1a、1b、1nの電源OFFは、CPU22が信号を受信した契機やタイミングでコンピュータ機器1a、1b、1nをシャットダウンさせるシェルスクリプトを実行するなどの手順で行う。しかし、正しい手段での電源OFFを導くものであれば、この手順に限定するものではない。
【0031】
以上のようにして、リーダライタ1を用いてコンピュータ機器1a、1b、1nを一括して電源OFFすることが可能である。コンピュータ機器1a、1b、1nは、以上の処理を電源OFF要求を受信する度に実行する。
【0032】
続いて、図6に示すフローチャートを用いてコンピュータ機器の電源ON処理について説明する。まず、リーダライタ1がコンピュータ機器1a、1b、1nに向けて電源のONを要求する電源ON要求を非接触通信で送信すると、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21のアンテナ46により電源ON要求を受信する(ステップ601)。
【0033】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21により電源制御部24のコンピュータ機器1a、1b、1nへの電力供給状態を確認することにより、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がOFF状態であるか否かを判定する処理を行う(ステップ602)。電源がON状態であった場合には(ステップ602のNO)、電源ON要求を無視して処理を終了する。
【0034】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がOFF状態であった場合には(ステップ602のYES)、電源ON要求を送信したリーダライタ1が、コンピュータ機器1a、1b、1nで電源の処理を行い対応している機器であるか否かを判定する処理を行う(ステップ603)。電源ON要求に付加され、これと共に受信したリーダライタ識別IDに基づいて、ハードディスク25に保存されている管理データ内のリーダライタ識別ID32とを比較する処理を行い、受信したリーダライタ識別IDとリーダライタ識別ID32とが一致しない場合には(ステップ603のNO)、対応しない機器であると判定し、電源ON要求を無視して処理を終了する。
【0035】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、受信したリーダライタ識別IDとリーダライタ識別ID32とが一致する場合には(ステップ603のYES)、対応する機器であると判定し、非接触型IC部21のICチップ41が電源制御部24に電源ON信号を送信することにより、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源をON状態とする処理を行う(ステップ604)。そして、電源制御部24が外部から得た電力をコンピュータ機器1a、1b、1nに供給して電源ON状態とする。コンピュータ機器1a、1b、1nは、以上の処理を電源ON要求を受信する度に実行する。
【0036】
続いて、図7に示すフローチャートを用いて選択的に実行されるコンピュータ機器の電源ON処理について説明する。まず、リーダライタ1は、システム管理者が電源ON要求を行うコンピュータ機器を選択するか否かを判定させるための処理を行う(ステップ701)。例えば、リーダライタ1の操作画面上に、コンピュータ機器一括管理システム10のシステム構築時にリーダライタ1に電源ON要求の非接触通信の送信対象として登録済みの全てのコンピュータ機器1a、1b、1nのマシン名のリストを表示し、電源ON要求を行うコンピュータ機器を選択するか否かを判定させるメッセージを表示する。
【0037】
次に、リーダライタ1は、システム管理者がこの操作画面上のメッセージに従い選択する場合には(ステップ701のYES)、システム管理者がリーダライタ1に登録されたコンピュータ機器1a、1b、1nのマシン名のうち電源ON要求を送信する対象として選択したコンピュータ機器に対して、電源ON要求を送信する(ステップ702)。
【0038】
次に、リーダライタ1は、まだ電源ON要求を送信したいコンピュータ機器が存在するかシステム管理者に判定させる処理を行う(ステップ703)。例えば、リーダライタ1の操作画面上に、いまだ電源ON要求を送信していないコンピュータ機器1a、1b、1nのマシン名のリストを表示し、電源ON要求を行うコンピュータ機器を選択するか否かを判定させるメッセージを表示する。システム管理者がこの操作画面上のメッセージに従い選択する場合には(ステップ703のYES)、再度ステップ702の処理を繰り返し実行する。システム管理者が選択しない場合には(ステップ703のNO)、処理を終了する。
【0039】
次に、リーダライタ1は、ステップ701において、システム管理者が操作画面上のメッセージに従い選択しない場合には(ステップ701のNO)、現時点でコンピュータ機器の電源OFF処理によって電源OFF状態としたコンピュータ機器のみを電源ON状態とするか否かをシステム管理者に判定させるための処理を行う(ステップ704)。例えば、リーダライタ1の操作画面上に、現時点でコンピュータ機器の電源OFF処理によって電源OFF状態としたコンピュータ機器のマシン名のリストを表示し、これらのコンピュータ機器のみを電源ON状態とするか否かを判定させるメッセージを表示する。
【0040】
次に、リーダライタ1は、システム管理者がこの操作画面上のメッセージに従い電源OFF状態としたコンピュータ機器のみを電源ON状態とする場合には(ステップ704のYES)、現時点でコンピュータ機器の電源OFF処理によって電源OFF状態としたコンピュータ機器のみに順次電源ON要求を送信する処理を行う(ステップ705)。コンピュータ機器の電源OFF処理のステップ506において、コンピュータ機器から送信され記憶していたOFF通知情報およびIC識別ID31の情報をすべて参照し、これらのIC識別ID31に該当するコンピュータ機器に対してのみ順次電源ON要求を送信する処理を行う。これにより、例えば、計画停電前に電源OFFしたコンピュータ機器だけを計画停電後電源ONすることが可能となる。
【0041】
次に、リーダライタ1は、システム管理者がこの操作画面上のメッセージに従い電源OFF状態としたコンピュータ機器のみを電源ON状態としない場合には(ステップ704のNO)、コンピュータ機器一括管理システム10のシステム構築時にリーダライタ1に電源ON要求の非接触通信の送信対象として登録済みの全てのコンピュータ機器1a、1b、1nに順次電源ON要求を送信する処理を行う(ステップ706)。以上により、コンピュータ機器を選択的に一括して電源ON状態とすることが可能である。
【0042】
続いて、図8に示すフローチャートを用いてコンピュータ機器の管理データ取得処理について説明する。まず、リーダライタ1がコンピュータ機器1a、1b、1nに向けて管理データの取得を要求するデータ管理取得要求を非接触通信で送信すると、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21のアンテナ46により管理データ取得要求を受信する(ステップ801)。
【0043】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、データ管理取得要求を送信したリーダライタ1が、コンピュータ機器1a、1b、1nで管理データ取得のための処理を行い対応している機器であるか否かを判定する処理を行う(ステップ802)。管理データ取得要求に付加され、これと共に受信したリーダライタ識別IDに基づいて、非接触型IC部21のメモリ45の管理データ内のリーダライタ識別ID32とを比較する処理を行い、受信したリーダライタ識別IDとリーダライタ識別ID32とが一致しない場合には(ステップ802のNO)、対応しない機器であると判定し、管理データ取得要求を無視して処理を終了する。
【0044】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、受信したリーダライタ識別IDとリーダライタ識別ID32とが一致する場合には(ステップ802のYES)、非接触型IC部21により電源制御部24のコンピュータ機器1a、1b、1nへの電力供給状態を確認することにより、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がON状態であるか否かを判定する処理を行う(ステップ803)。
【0045】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がON状態であった場合には(ステップ803のYES)、非接触型IC部21が、ハードディスク25から管理データを読み出しアンテナ46を通してリーダライタ1に送信する(ステップ804)。
【0046】
次に、コンピュータ機器1a、1b、1nは、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がOFF状態であった場合には(ステップ803のNO)、非接触型IC部21が、ICチップ41内のメモリ45から管理データを読み出しアンテナ46を通してリーダライタ1に送信する(ステップ805)。ここで、メモリ45の管理データは、コンピュータ機器1a、1b、1nを電源OFFする際に、上述のステップ505において常に更新して記憶してあるので、リーダライタ1側では常に最新の管理データを取得できる。
【0047】
以上のように、本実施の形態のコンピュータ機器一括管理システム10においては、リーダライタ1から電源ON/OFF要求を非接触通信で送信されると、コンピュータ機器1a、1b、1nは、非接触型IC部21のアンテナ46により電源がON/OFF状態であるか否かを判定し、次に、リーダライタ1が、コンピュータ機器1a、1b、1nで対応している機器であるか否かを判定して、電源制御部24に電源ON/OFF信号を送信することにより、電源をON/OFF状態とする。
【0048】
このため、各コンピュータ機器1a、1b、1nがLANや公衆回線等のネットワークに繋がっていない状態においても、リーダライタ1からの非接触通信によって電源ON/OFFを一括して行うことができる。各コンピュータ機器1a、1b、1n等の管理対象となるコンピュータ機器が多数存在する環境において、各コンピュータ機器1a、1b、1n毎にその都度作業する手間が少なくなり、システム管理者のコンピュータ機器管理の負担を大幅に低減することが可能となる。
【0049】
また、リーダライタ1からデータ管理取得要求が非接触通信で送信されると、コンピュータ機器1a、1b、1nは、電源がON状態であるか否かを判定し、電源がON状態であった場合にはハードディスク25から管理データを読み出しリーダライタ1に送信する。電源がOFF状態であった場合にはICチップ41内のメモリ45から管理データを読み出しリーダライタ1に送信する。
【0050】
このため、各コンピュータ機器1a、1b、1nの電源のON/OFF状態に関わらずコンピュータ機器に関する管理データを一括して処理でき、コンピュータ機器1a、1b、1nの電源がOFF状態にあっても、電源を一旦ON状態とする等の作業の手間がなくなって、管理データを一括して取得することができ、システム管理者の負担を低減することが可能となる。
【0051】
更に、リーダライタ1は、現時点でコンピュータ機器の電源OFF処理によって電源OFF状態としたコンピュータ機器のみを電源ON状態とするか否かをシステム管理者に判定させるための処理を行い、電源OFF状態としたコンピュータ機器のみを電源ON状態とする場合には、コンピュータ機器の電源OFF処理において、コンピュータ機器から送信され記憶していたOFF通知情報およびIC識別ID31の情報に基づいて、電源OFF状態としたコンピュータ機器に対してのみ順次電源ON要求を送信する処理を行う。このため、電源がOFF状態となっているコンピュータ機器のみに対して適切に電源をONとし、コンピュータ機器の制御を選択的に一括して行うことができる。
【0052】
(他の実施の形態)
上述の実施の形態において、非接触型IC部21は、各コンピュータ機器1a、1b、1n内部に設けられているのではなく、周辺機器等を用いて外部に接続されて取り付けられていても良い。
【0053】
上述の実施の形態において、遠隔操作機器としてリーダライタ1を用いたが電磁誘導により各コンピュータ機器1a、1b、1nに対して、非接触通信および電力供給を行うことが可能な非接触型ICを備えるものであれば、他の機器であってもよい。
【0054】
上述の実施の形態において、非接触型IC部21を備えた各コンピュータ機器1a、1b、1nを一括管理の対象としていたが、これに限られず、非接触型IC部21と同様のものを備えていれば、サーバ機器や各種の電子機器についても一括管理の対象として用いても良い。
【0055】
上述の実施の形態においては、OFF通知情報およびIC識別ID31が送信されたコンピュータ機器に対してのみ電源ON要求を送信する処理を行ったが、電源OFF要求を送信する際には、OFF通知情報およびIC識別ID31が送信されていないコンピュータ機器に対してのみ、コンピュータ機器の電源OFF処理を行い、電源OFF要求を送信することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムのコンピュータ機器の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムの管理データの構成を示す説明図である。
【図4】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムの非接触型IC部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムのコンピュータ機器の電源OFF処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムのコンピュータ機器の電源ON処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムのリーダライタの電源ON要求処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態におけるコンピュータ機器一括管理システムのコンピュータ機器の管理データ取得処理の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 リーダライタ
1a、1b、1n コンピュータ機器
21 非接触型IC部
22 CPU
23 メモリ
24 電源制御部
25 ハードディスク
26 ディスプレイ装置
41 ICチップ
42 CPU
43 RAM
44 ROM
45 メモリ
46 アンテナ











【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを用いて非接触通信を行うコンピュータ機器と、前記コンピュータ機器に対して非接触通信により操作を行うための遠隔操作機器とを備えたコンピュータ機器一括管理システムにおいて、
前記コンピュータ機器は、
前記遠隔操作機器から送信された電源のON/OFFを要求する電源要求情報を受信したことに応じて、前記電源要求情報に付加された前記遠隔操作機器を識別するための操作識別情報に基づいて、前記遠隔操作機器が前記コンピュータ機器の電源のON/OFF要求に対応しているか否かを判定する要求判定手段と、
前記要求判定手段が、前記遠隔操作機器が前記コンピュータ機器の電源のON/OFF要求に対応していると判定した場合に、前記電源要求情報に従って、前記コンピュータ機器の電源のON/OFF制御を行う電源制御手段と、
前記アンテナを通して外部から電力供給を受ける電力供給部と、
前記遠隔操作機器から送信された前記コンピュータ機器の電源管理に関する管理データを要求する管理要求情報に応じて、前記コンピュータ機器の電源のON/OFF状態を判定する電源判定手段と、
前記電源判定手段が、前記コンピュータ機器の電源がOFF状態と判定した場合に、前記電力供給部が受けた電力を用いて前記管理データを前記遠隔操作機器に送信する管理送信手段とを備えたことを特徴とするコンピュータ機器一括管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータ機器一括管理システムにおいて、
前記コンピュータ機器は、
前記電源制御手段が前記コンピュータ機器の電源をOFF状態とする際に、このOFF状態を通知するOFF通知情報を前記遠隔操作機器に送信するOFF通知手段を備え、
前記遠隔操作機器は、
前記コンピュータ機器から送信されたOFF通知情報に基づいて、電源がOFF状態となっているコンピュータ機器に対して電源のONを要求する旨の電源要求情報を送信するON送信手段とを備えたことを特徴とするコンピュータ機器一括管理システム。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−148967(P2007−148967A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345189(P2005−345189)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】