説明

コンベア設備

【課題】傾斜搬送経路での被搬送物の滑走搬送を、被搬送物の形状や重量などに関係なく、常に所定の速度またはそれ以下の速度で確実に行え、高速で搬入された被搬送物は所定の速度に減速し得るコンベア設備を提供する。
【解決手段】コンベアフレーム23に複数のローラ25を遊転自在に配設した傾斜ローラコンベア21を有するコンベア設備10である。複数のローラの下方に駆動ベルト40を配設し、駆動ベルトが下方から当接される回転体41をコンベアフレーム側に遊転自在に設けた。回転体に、ワンウェイクラッチ47を介して輪体48を設け、輪体は少なくとも1個のローラに下方から当接させた。ワンウェイクラッチは、駆動ベルトにより回転される回転体に対して輪体が高速回転することを阻止するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば主搬送経路上で搬送されている被搬送物を、この主搬送経路の側部外方に設けた分岐搬送経路に移す転換設備の前記分岐搬送経路などに採用し得るコンベア設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、複数のローラによって傾斜搬送ラインが形成されるとともに、傾斜搬送ラインの搬送端にはストッパが設けられている。そしてストッパの近傍に配置されるローラは、荷が搬送される方向にのみ回転するワンウェイクラッチ付きに構成されている。この構成によって、ストッパに当接したパレット(荷)などが、その反動で、荷の搬送方向とは逆方向に移動するのを、ワンウェイクラッチ付きのローラの摩擦抵抗によって抑えている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実願平5−25404号(実開平6−78313号)のCD−ROM(第5−6頁、図1)
【特許文献2】特開平5−301631号公報
【特許文献3】実願平3−80064号(実開平5−22411号)のCD−ROM
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来構成によると、荷の重量に関係なく確実に滑走させるためには、傾斜搬送ラインの傾斜を急角度に設定しなければならず、この場合、重い荷の傾斜搬送ラインでの滑走速度が高くなり、ストッパへの当接時に大きな衝撃が生じることになる。これに対して、傾斜搬送ラインの傾斜を緩角度に設定したときには、軽い荷の滑走が円滑に行えないことになる。
【0004】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、傾斜搬送経路での被搬送物の滑走搬送を、被搬送物の形状や重量などに関係なく、常に所定の速度またはそれ以下の速度で確実に行えるとともに、高速で搬入された被搬送物は所定の速度に減速し得るコンベア設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のコンベア設備は、コンベアフレームに複数のローラを遊転自在に配設した傾斜ローラコンベアを有するコンベア設備であって、前記複数のローラの下方には駆動ベルトが配設され、この駆動ベルトが下方から当接される回転体がコンベアフレーム側に遊転自在に設けられ、前記回転体には、ワンウェイクラッチを介して輪体が設けられるとともに、この輪体は少なくとも1個のローラに下方から当接され、前記ワンウェイクラッチは、駆動ベルトにより回転される回転体に対して輪体が高速回転することを阻止するように構成されていることを特徴としたものである。
【0006】
したがって請求項1の発明によると、傾斜ローラコンベアにおいては、駆動ベルトによって回転体群を所定の回転速度で駆動回転させることにより、回転体にワンウェイクラッチを介して設けている輪体は、所定の回転速度と同速または低速で対応した遊転速度(回転速度)での回転が可能な状態とし得る。なお、このとき輪体やローラは回転しておらず、ワンウェイクラッチは作用しないことから、輪体に対して回転体が遊転状態にある。この状態で被搬送物を、傾斜ローラコンベアにおける上流側のローラ上に移すことにより、ローラ群(複数のローラ)を遊転させながら被搬送物を滑走搬送し得る。その際にローラ群は、搬入速度に応じた回転速度で回転し、このローラ群の回転に連動して輪体が遊転することになる。
【0007】
このとき、たとえば軽量の被搬送物で、遊転する輪体の遊転速度が回転体の回転速度と同速または低速のとき、ワンウェイクラッチは作用しないことから、所定の回転速度で駆動回転している回転体に対して、輪体を同方向に遊転速度で遊転させることになり、以てローラ群の回転を継続し得ることから、被搬送物を、搬入速度を制御することなく滑走搬送し得る。また、たとえば重量の被搬送物で、搬入速度による輪体の遊転速度が回転体の回転速度よりも高速であったとき、ワンウェイクラッチが作用して、回転体に対して輪体が高速回転することを阻止することになる。この回転阻止状態はローラにフィードバックされて、ローラも回転阻止状態とになり、以て被搬送物にブレーキをかけることになって、その滑走搬送を制御し得る。この制御によって回転阻止状態のローラ群上での被搬送物の滑走搬送を減速し得、そして輪体の遊転速度が回転体の回転速度と同速または低速になることで、前述した滑走搬送状態に戻ることになる。これにより、高速で搬入された被搬送物を所定の速度に減速して滑走搬送し得る。
【0008】
また本発明の請求項2記載のコンベア設備は、上記した請求項1記載の構成において、前後一対のローラに対して、1個の輪体が下方から当接されるように構成したことを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項2の発明によると、全体をコンパクトに構成し得るとともに、ローラから輪体の回転伝達を安定して行える。
そして本発明の請求項3記載のコンベア設備は、上記した請求項1または2記載の構成において、傾斜ローラコンベアを、搬送方向において複数に分割し、これら分割コンベア部の回転体を、ベルト駆動形式によって、下流側ほど低速として回転駆動するように構成したことを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項3の発明によると、傾斜ローラコンベアの各分割コンベア部においては、それぞれの駆動ベルトを回動して、回転体群を所定の回転速度で駆動回転させることになる。この状態で被搬送物を、上流側の分割コンベア部のローラ上に移すことにより、この上流側の分割コンベア部においてローラ群を遊転させながら被搬送物を滑走搬送し得る。その際に、たとえば軽量の被搬送物は搬入速度を制御することなく滑走搬送し得、また重量の被搬送物は滑走搬送を減速し得る。これにより、上流側の分割コンベア部に高速で搬入された被搬送物を、所定の速度に減速して滑走搬送し得る。そして上流側の分割コンベア部から下流側の分割コンベア部へと滑走搬送されてきた被搬送物は、この下流側の分割コンベア部において、上流側の分割コンベア部の搬送速度よりも低速の搬送速度の条件下において、上述した上流側の分割コンベア部と同様に滑走搬送の速度を制御し得る。
【0011】
さらに本発明の請求項4記載のコンベア設備は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、傾斜ローラコンベアの上手には、主搬送経路上から側部外方に分岐された被搬送物を受け入れる搬入コンベアが配設され、傾斜ローラコンベアの下手には搬出コンベアが配設されていることを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項4の発明によると、主搬送経路上で搬送してきた被搬送物を、分岐移動させて搬入コンベアに移したのち、この搬入コンベアから傾斜ローラコンベアに移し、そして傾斜ローラコンベアから搬出コンベアへと滑走搬送し得る。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明の請求項1によると、傾斜ローラコンベアにおいては、駆動ベルトによって回転体群を所定の回転速度で駆動回転させることにより、回転体にワンウェイクラッチを介して設けている輪体は、所定の回転速度と同速または低速で対応した遊転速度(回転速度)での回転が可能な状態にできる。なお、このとき輪体やローラは回転しておらず、ワンウェイクラッチは作用しないことから、輪体に対して回転体が遊転状態にある。この状態で被搬送物を、傾斜ローラコンベアにおける上流側のローラ上に移すことにより、ローラ群(複数のローラ)を遊転させながら被搬送物を滑走搬送できる。その際にローラ群は、搬入速度に応じた回転速度で回転し、このローラ群の回転に連動して輪体が遊転することになる。
【0014】
このとき、たとえば軽量の被搬送物で、遊転する輪体の遊転速度が回転体の回転速度と同速または低速のとき、ワンウェイクラッチは作用しないことから、所定の回転速度で駆動回転している回転体に対して、輪体を同方向に遊転速度で遊転できることになり、以てローラ群の回転を継続できることから、被搬送物を、搬入速度を制御することなく滑走搬送できる。また、たとえば重量の被搬送物で、搬入速度による輪体の遊転速度が回転体の回転速度よりも高速であったとき、ワンウェイクラッチが作用して、回転体に対して輪体が高速回転することを阻止できる。この回転阻止状態はローラにフィードバックして、ローラも回転阻止状態にでき、以て被搬送物にブレーキをかけることになって、その滑走搬送を制御できる。この制御によって回転阻止状態のローラ群上での被搬送物の滑走搬送を減速でき、そして輪体の遊転速度が回転体の回転速度と同速または低速になることで、前述した滑走搬送状態に戻すことができる。これにより、高速で搬入された被搬送物を所定の速度に減速して滑走搬送できる。
【0015】
以上のような搬送制御によって、傾斜ローラコンベアでの被搬送物の滑走搬送は、被搬送物の形状や重量などに関係なく、常に所定の速度またはそれ以下の速度で確実に行うことができるとともに、高速で搬入された被搬送物は所定の速度に減速でき、以て傾斜ローラコンベアでの被搬送物の滑走搬送を、衝撃を少なくして円滑に行うことができる。
【0016】
また上記した本発明の請求項2によると、全体をコンパクトに構成できるとともに、ローラから輪体の回転伝達を常に安定して行うことができる。
そして上記した本発明の請求項3によると、傾斜ローラコンベアの各分割コンベア部においては、それぞれの駆動ベルトを回動して、回転体群を所定の回転速度で駆動回転でき、この状態で被搬送物を、上流側の分割コンベア部のローラ上に移すことにより、この上流側の分割コンベア部においてローラ群を遊転させながら被搬送物を滑走搬送できる。その際に、たとえば軽量の被搬送物は搬入速度を制御することなく滑走搬送でき、また重量の被搬送物は滑走搬送を減速できる。これにより、上流側の分割コンベア部に高速で搬入した被搬送物を、所定の速度に減速して滑走搬送できる。そして上流側の分割コンベア部から下流側の分割コンベア部へと滑走搬送されてきた被搬送物は、この下流側の分割コンベア部において、上流側の分割コンベア部の搬送速度よりも低速の搬送速度の条件下において、上述した上流側の分割コンベア部と同様に滑走搬送の速度を制御できる。
【0017】
さらに上記した本発明の請求項4によると、主搬送経路上で搬送してきた被搬送物を、分岐移動させて搬入コンベアに移したのち、この搬入コンベアから傾斜ローラコンベアに移すことができ、そして傾斜ローラコンベアから搬出コンベアへと滑走搬送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施の形態]
以下に、本発明の実施の形態を、たとえば主搬送経路上で搬送されている被搬送物を、この主搬送経路の側部外方に設けた分岐搬送経路に移したりするのに使用される転換設備に採用した状態として、図に基づいて説明する。
【0019】
図2、図3において、転換設備1は、支持体2群を循環移動させることで、始端部の支持体2群上に供給したケース状のコンテナ(被搬送物の一例)Aを主搬送経路5上で搬送し得るとともに、各支持体2に左右移動自在に設けた横押し体3を、搬送方向に移動しながら主搬送経路5を横切らせることで、横押し体3群をコンテナAに横押し作用させて、このコンテナAを、その向きを変えながら、主搬送経路5に対して左右に傾斜状で分岐移動させるように構成されている。
【0020】
このように分岐移動させたコンテナAを受け取って分岐搬送経路上で搬送するコンベア設備10の一例として、主搬送経路5側から順に、分岐コンベア11と、カーブコンベア(搬入コンベアの一例)12と、傾斜ローラコンベア21と、搬出コンベア51とからなる構成が設けられている。ここで前記分岐コンベア11は駆動ローラ形式であって、主搬送経路5側から分岐される始端部を終端部に対して上位とした状態で、後述する傾斜ローラコンベア21の所定の傾斜角度θと同様(同じ角度、または少し急角度、緩角度)に傾斜して形成されている。またカーブコンベア12は遊転ローラ形式であって、前記分岐コンベア11に連なる状態で傾斜して形成されている。そして傾斜ローラコンベア21は駆動形式であって、前記カーブコンベア12に連なる状態で所定の傾斜角度θで形成されている。さらに搬出コンベア51はフリーローラ形式であって、水平状に近い緩やかな傾斜角度θαで配設されている。
【0021】
図2〜図5において、前記カーブコンベア12は、左右一対の円弧状フレーム13と、円弧状フレーム13間においてコンベア幅方向の3箇所(複数箇所)に配設された円弧状の中間フレーム14と、前記円弧状フレーム13における円弧方向の複数箇所に、その長さ方向を円弧中心に向けた状態として配設された外側ローラ15、ならびに内側ローラ16などにより構成されている。ここで外側ローラ15や内側ローラ16は、円弧状フレーム13や中間フレーム14に遊転自在に支持されている。
【0022】
図1、図4〜図7において、前記傾斜ローラコンベア21のフレーム本体22は、傾斜した左右一対のコンベヤフレーム23と、両コンベヤフレーム23の下部間に設けられた連結フレーム24などにより構成されている。両コンベヤフレーム23間には、長さ方向における複数箇所(多数箇所)に位置されてローラ25が遊転自在に配設されている。すなわちローラ25群は、前記コンベヤフレーム23に形成された六角孔(または切り欠き部)にローラ軸26の六角軸部が位置されることで、両コンベヤフレーム23間で遊転自在に支持されている。これにより、ローラ25群の上方に傾斜搬送経路28が形成される。
【0023】
ここで前記傾斜ローラコンベア21は、上位で傾斜される上流側分割コンベア部21Aと下位で傾斜される下流側分割コンベア部21Bとに、搬送方向において2つ(複数)に分割されている。これら分割コンベア部21A,21Bは、上流側分割コンベア部21Aの方が搬送経路を長くされ、下流側分割コンベア部21Bが低速として駆動されることを除いて、同様に構成されている。そして両分割コンベア部21A,21Bには、前記フレーム本体22内でかつ一方のコンベヤフレーム23側に位置されて、それぞれコンベヤ駆動手段31A,31Bが配設されている。
【0024】
すなわち、ローラ25群の下方で傾斜搬送経路28の方向における両端にはそれぞれ反転輪体32が配設されている。そして、両コンベヤフレーム23の下部間にボックス状の駆動部フレーム33が設けられ、この駆動部フレーム33に減速機付きのモータ34が搭載されるとともに、モータ34の出力軸には駆動輪体35が設けられている。さらにモータ34の近くにおいて、一方のコンベヤフレーム23には一対の反転案内輪体36が設けられるとともに、駆動部フレーム33には位置調整自在なテンション案内輪体37が設けられている。また、両反転輪体32間において、ローラ25群の下方には多数の上位案内輪体38が設けられ、そして上位案内輪体38群の下方には複数の下位案内輪体39が設けられている。
【0025】
無端ベルトなどからなる駆動ベルト40は、両反転輪体32と上位案内輪体38群とに亘って上方から掛けられて、複数のローラ25、すなわちローラ25群に下方から対向して配設されている。そして、下位案内輪体39群に上方から掛けられるとともに、両反転案内輪体36、テンション案内輪体37に掛けられたのち、駆動輪体35に掛けられることで、回動力が付与される構成になっている。
【0026】
前記駆動ベルト40が下方から当接される回転体41がコンベアフレーム23側に遊転自在に設けられている。すなわち、一方のコンベヤフレーム23の外面側には、タッププレート42が連結されるとともに、このタッププレート42上にはガイドプレート43が載置されている。そしてローラ軸心に沿った支軸44が内方へ突出する状態で設けられるとともに、この支軸44は、その外端ねじ部44aなどがコンベヤフレーム23に形成された上下方向の長孔23aからガイドプレート43に挿通されたのち、ボルト・ナットなどの連結具45やカラー49などを介してコンベヤフレーム23側に連結されている。
【0027】
前記回転体41は受動筒部41aと駆動軸部41bとからなり、その受動筒部41aが前記支軸44に軸受(ボールベアリング)46を介して外嵌されることでコンベアフレーム23側に遊転自在に設けられるとともに、受動筒部41aに前記駆動ベルト40が下方から当接されることで駆動回転可能に構成されている。そして前記回転体41の駆動軸部41bには、ワンウェイクラッチ47を介して輪体48が外嵌されている。ここで輪体48は、前後一対(少なくとも1個)のローラ25に対して、1個の輪体48が下方から当接されるように、ローラ25群に対して2個置きに配設されている。また前記ワンウェイクラッチ47は、駆動ベルト40により回転される回転体41に対して輪体48が高速回転することを阻止するように構成されている。
【0028】
以上の32〜49などによりコンベヤ駆動手段31A,31Bの一例が構成され、そして21A,21B〜49などにより傾斜ローラコンベア21の一例が構成される。
このように構成された傾斜ローラコンベア21は、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAに対して下流側分割コンベア部21Bの搬送速度VBを低速として駆動されるように、そのコンベヤ駆動手段31A,31Bのモータ34が制御されている。すなわち、たとえば上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAが70〜120m/minに対して、下流側分割コンベア部21Bの搬送速度VBが50〜60m/minとして設定されている。なお傾斜ローラコンベア21の所定の傾斜角度θは、取り扱うコンテナAの形状や重量などに関係なく、コンテナAを滑走搬送し得る角度に設定されている。
【0029】
前記搬出コンベア51は、左右一対のコンベアフレーム52と、コンベアフレーム52の長さ方向の複数箇所において両コンベアフレーム52間で遊転自在に支持されたローラ53などによってフリーローラ形式に構成されている。なお、分岐コンベア11、カーブコンベア12、傾斜ローラコンベア21、搬出コンベア51は、脚体55などを介して床56上に所定の姿勢(角度など)で配設されている。
【0030】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
主搬送経路5上で搬送してきたコンテナAを、その向きを変えながら、主搬送経路5に対して左右に傾斜状で分岐移動させて分岐コンベア11上に移し得る。そしてコンテナAを、分岐コンベア11により駆動搬送してカーブコンベア12に移し、このカーブコンベア12によりカーブ経路上で滑走搬送し得る。次いでコンテナAを、カーブコンベア12から傾斜ローラコンベア21に移し、そして傾斜ローラコンベア21から搬出コンベア51へと滑走搬送し得る。
【0031】
すなわち、傾斜ローラコンベア21の両分割コンベア部21A,21Bにおいては、それぞれのコンベヤ駆動手段31A,31Bにおけるモータ34の駆動により駆動輪体35を回転させることで、駆動ベルト40を回動し得る。その際に駆動ベルト40は、傾斜搬送経路28の方向での両端部分では反転輪体32に反転案内され、反転輪体32間の作用経路部においては上位案内輪体38群により支持案内され、またリターン経路部においては下位案内輪体39群により支持案内され、駆動輪体35の近くでは反転案内輪体36やテンション案内輪体37により支持案内される。
【0032】
図6において、上述したようにして回動させている駆動ベルト40は、作用経路部において前記回転体41の受動筒部41a群に下方から当接し得、以て駆動ベルト40によって回転体41群を、支軸44の周りに所定の回転速度aで駆動回転させることになる。これにより、回転体41の駆動筒部41bにワンウェイクラッチ47を介して外嵌されている輪体48は、前述した所定の回転速度aと同速または低速で対応した遊転速度(回転速度)b、すなわち(a≧b)での回転が可能な状態とされている。なお、このとき輪体48やローラ25は回転しておらず、ワンウェイクラッチ47は作用しないことから、輪体48に対して回転体41が遊転状態にある。
【0033】
この状態で、カーブコンベア12によりカーブ経路上で滑走搬送されてきたコンテナAを、傾斜ローラコンベア21における上流側分割コンベア部21Aのローラ25上に移すことにより、この上流側分割コンベア部21Aにおいてローラ25群を遊転させながらコンテナAを滑走搬送し得る。その際にローラ25群は、カーブコンベア12からの搬入速度に応じた回転速度で回転し、このローラ25群の回転に連動して輪体48が遊転することになる。
【0034】
このとき、たとえば軽量のコンテナAで、遊転する輪体48の遊転速度bが回転体41の回転速度aと同速または低速のとき、ワンウェイクラッチ47は作用しないことから、所定の回転速度aで駆動回転している回転体41に対して、輪体48を同方向に遊転速度bで遊転させることになり、以てローラ25群の回転を継続し得ることから、コンテナAを、搬入速度を制御することなく上流側分割コンベア部21Aで滑走搬送し得る。
【0035】
また、たとえば重量のコンテナAで、カーブコンベア12からの搬入速度による輪体48の遊転速度bが回転体41の回転速度aよりも高速であったとき、ワンウェイクラッチ47が作用して、回転体41に対して輪体48が高速回転することを阻止することになる。この回転阻止状態はローラ25にフィードバックされて、ローラ25も回転阻止状態とになり、以てコンテナAにブレーキをかけることになって、その滑走搬送を制御することになる。この制御によって回転阻止状態のローラ25群上でのコンテナAの滑走搬送を減速し得、そして輪体48の遊転速度bが回転体41の回転速度aと同速または低速になることで、前述した滑走搬送状態に戻ることになる。これにより、上流側分割コンベア部21Aに高速で搬入されたコンテナAを所定の速度に減速して、上流側分割コンベア部21Aで滑走搬送し得る。
【0036】
そして上流側分割コンベア部21Aから下流側分割コンベア部21Bへと滑走搬送されてきたコンテナAは、この下流側分割コンベア部21Bにおいては、上流側分割コンベア部21Aの搬送速度VAよりも低速の搬送速度VBの条件下において、上述した上流側分割コンベア部21Aと同様に滑走搬送の速度が制御される。そして滑走搬送させたのち、その終端から搬出コンベア51に搬送し得ることになる。
【0037】
以上のような搬送制御によって、傾斜搬送経路28(傾斜ローラコンベア21)でのコンテナAの滑走搬送は、コンテナAの形状や重量などに関係なく、常に所定の速度またはそれ以下の速度で確実に行えるとともに、高速で搬入されたコンテナAは所定の速度に減速し得、以て傾斜搬送経路28でのコンテナAの滑走搬送を、衝撃を少なくして円滑に行えることになる。
【0038】
なお、搬出コンベア51が満杯で、下流側分割コンベア部21Bの終端部分にコンテナAが、コンテナAどうしの当接によりストレージ状のとき、または下流側分割コンベア部21Bや上流側分割コンベア部21Aの終端部分にストッパ手段を設けて、下流側分割コンベア部21Bや上流側分割コンベア部21AにコンテナAが、ストッパ手段への当接やコンテナAどうしの当接によりストレージ状のとき、コンテナAは滑走することなく停止状態にある。このとき、ローラ25ならびに輪体48も回転停止しているが、ワンウェイクラッチ47は作用しないことから、回転体41は所定の回転速度aで回転されることになる。すなわち、コンテナAに対してローラ25は摩擦回転せず、以てコンテナAやローラ25の損傷を防止し得る。
【0039】
上記した実施の形態では、前後一対のローラ25に対して1個の輪体48を下方から当接させた形式としており、これによると全体をコンパクトに構成できるとともに、ローラ25から輪体48の回転伝達を安定して行うことができるが、これは1個のローラ25に対して1個の輪体48が下方から当接されるように構成した形式などであってもよい。
【0040】
上記した実施の形態では、傾斜ローラコンベア21を、搬送方向において2つに分割した形式が示されているが、これは分割しない形式や、2つ以上に分割して、下流側ほど低速として回転駆動するように構成した形式などであってもよい。
【0041】
上記した実施の形態では、傾斜ローラコンベア21の上手に、主搬送経路5上から側部外方に分岐されたコンテナAを受け入れる搬入コンベアが配設され、傾斜ローラコンベアの21下手には搬出コンベアが配設された形式が示されているが、これは搬入コンベアと搬出コンベアとのいずれか一方または両方を省略した形式や、搬入コンベアと搬出コンベアに代えて別の装置(ロボットなど)を備えた形式などであってもよい。
【0042】
上記した実施の形態では、被搬送物としてコンテナAが示されているが、これは種々な被搬送物に対応し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態を示し、コンベア設備における傾斜ローラコンベア部分の一部切り欠き側面図である。
【図2】同コンベア設備を組み込んだ転換設備の概略側面図である。
【図3】同コンベア設備を組み込んだ転換設備の概略平面図である。
【図4】同コンベア設備の一部切り欠き側面図である。
【図5】同コンベア設備の一部切り欠き平面図である。
【図6】同コンベア設備における傾斜ローラコンベアの要部の縦断側面図である。
【図7】同コンベア設備における傾斜ローラコンベアの要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 転換設備
2 支持体
3 横押し体
5 主搬送経路
10 コンベア設備
11 分岐コンベア
12 カーブコンベア(搬入コンベア)
21 傾斜ローラコンベア
21A 上流側分割コンベア部
21B 下流側分割コンベア部
22 フレーム本体
23 コンベヤフレーム
25 ローラ
28 傾斜搬送経路
31A コンベヤ駆動手段
31B コンベヤ駆動手段
34 モータ
40 駆動ベルト
41 回転体
41a 受動筒部
41b 駆動軸部
44 支軸
46 軸受
47 ワンウェイクラッチ
48 輪体
51 搬出コンベア
A コンテナ(被搬送物)
θ 所定の傾斜角度
VA 上流側分割コンベア部21Aの搬送速度
VB 下流側分割コンベア部21Bの搬送速度
a 回転体41の回転速度
b 輪体48の遊転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアフレームに複数のローラを遊転自在に配設した傾斜ローラコンベアを有するコンベア設備であって、前記複数のローラの下方には駆動ベルトが配設され、この駆動ベルトが下方から当接される回転体がコンベアフレーム側に遊転自在に設けられ、前記回転体には、ワンウェイクラッチを介して輪体が設けられるとともに、この輪体は少なくとも1個のローラに下方から当接され、前記ワンウェイクラッチは、駆動ベルトにより回転される回転体に対して輪体が高速回転することを阻止するように構成されていることを特徴とするコンベア設備。
【請求項2】
前後一対のローラに対して、1個の輪体が下方から当接されるように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンベア設備。
【請求項3】
傾斜ローラコンベアを、搬送方向において複数に分割し、これら分割コンベア部の回転体を、ベルト駆動形式によって、下流側ほど低速として回転駆動するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載のコンベア設備。
【請求項4】
傾斜ローラコンベアの上手には、主搬送経路上から側部外方に分岐された被搬送物を受け入れる搬入コンベアが配設され、傾斜ローラコンベアの下手には搬出コンベアが配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベア設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−145456(P2007−145456A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339546(P2005−339546)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】