説明

コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト

【課題】高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができるコンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルトの提供。
【解決手段】天然ゴム(NR)およびポリブタジエンゴム(BR)からなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、
前記ゴム成分中の天然ゴムとポリブタジエンゴムとの量比(NR/BR)が80/20〜25/75であり、前記カーボンブラックの含有量が前記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、前記シリカの含有量が前記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、前記シランカップリング剤の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、前記ジエチレングリコールの含有量が前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、コンベヤベルト用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルトは、資材等の輸送によく用いられているが、輸送量の増大、輸送効率の向上等により、大型化および高強力化が要請され、近年には、全長が数kmにも及ぶものも登場してきている。
このため、設備コスト、消費電力が膨らんでおり、低コストおよび低消費電力のベルトコンべヤシステムが求められており、特に、ベルトを構成するゴム特性の改良により、ベルトコンべヤの低コスト化および低消費電力化が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「駆動プーリーと遊動プーリー間に巻き掛けされて走行する物品の搬送システムに供されるコンベアベルトにあって、コンベアベルトの前記プーリーに接触するベルト内面ゴムの物性ロスファクタ−(tanδ)及び動的弾性率(E′)を、夫々0.04≦tanδ≦0.12、E′≧20kgf/cm2、としたことを特徴とするコンベアベルト。」および「駆動プーリーと遊動プーリー間に巻き掛けされて走行する物品の搬送システムに供されるコンベアベルトにあって、コンベアベルトの内面ゴムを、天然ゴム40〜100重量部、BRゴム60〜0重量部からなるポリマーに対して、カーボンブラックを20〜55重量部配合したことを特徴とするコンベアベルト。」が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、「芯体層の少なくとも上下いずれか一面側に、ベルト支持部材と接するカバーゴムを備えてなるコンベヤベルトにおいて、該カバーゴムに、シリカおよびシランカップリング剤が含有されてなることを特徴とするコンベヤベルト。」が記載されている。
【0005】
更に、本出願人により、「ゴム成分100質量部に対し、以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックを30〜65質量部含有するコンベヤベルト用ゴム組成物。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2/g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上」や、「周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。」などが提案されている(特許文献3参照。)。
【0006】
更に、特許文献4には、請求項1に「次の:(a)天然ゴム、ジエン系単量体から誘導されるゴムおよびそれらの混合物より成る群から選ばれるゴム;
(b)約0.1から約10phrの、次の一般式(I):
【化1】


(式中、Rは二価の、約2から16個の炭素原子を有する非環状脂肪族基、約5から20個の炭素原子を有する環状脂肪族基、約6から18個の炭素原子を有する芳香族基または約7から24個の炭素原子を有するアルキル芳香族基であり、ここでこれら二価の基はO、NおよびSから選ばれるヘテロ原子を含んでいてもよく;Xは0、または1から3の整数であり;そしてYは水素または‐CH3である。)を有するビスマレインイミド化合物、および(c)約0.1から約10phrの、次の一般式(II):
【化2】


(式中、R1は1から20個の炭素原子を有するアルキレン基、6から24個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、6から18個の炭素原子を有するアリーレン基、7から25個の炭素原子を有するアルカリーレン基および次式:
【化3】


で示される二価の基より成る群から選ばれる。)を有するビスベンゾチアゾリルジチオ化合物を含んでなる改善された加硫もどり抵抗性を有するゴムコンパウンド。」が記載され、請求項2に「タイヤ、ホース、ベルトまたは靴底の形状をしている、請求項1に記載のゴムコンパウンド。」が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−139523号公報
【特許文献2】特開2004−10215号公報
【特許文献3】特開2004−18752号公報
【特許文献4】特開平10−77361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のコンベヤベルトは、tanδ値を小さくして低消費電力化を目的としたものであるが、tanδ値を小さくしすぎると破断強度(TB)および破断伸び(EB)も低下し、引裂き強さおよび耐疲労性に劣る場合があるため、コンベヤベルトの走行時にカバーゴム等の表面破壊が進行し、コンベヤベルトの表面故障を引き起こし、稼動が安定しない問題があった。
また、特許文献2に記載のコンベヤベルトは、エネルギーロス指数が高くなるため、消費電力の低減が十分ではない問題があった。
更に、特許文献3に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いたコンベヤベルトは、エネルギーロス指数が高くなるため、ベルト稼動ラインの相違(例えば、ラインの勾配や曲がり等)によって、消費電力の低減が十分ではない場合があった。
更に、特許文献4に記載のコンパウンドを用いたベルトは、天然ゴム(NR)が80質量部より多いと耐摩耗性が劣ることが分かった。また、NRが25質量部より少ない場合は25%モジュラス(M25)が低下し、エネルギーロス指数(ΔH)が大きくなり、消費電力の低減が図れないという問題があることが分かった。更に、引用文献4に記載コンパウンドはシリカを含有するがシランカップリング剤およびジエチレングリコールを含有しないため、損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)が大きくなり、消費電力の低減が図れないという問題があることが分かった。
【0009】
そこで、本発明は、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができるコンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定割合の天然ゴム(NR)およびポリブタジエンゴム(BR)からなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを特定量含有するゴム組成物、ならびに、損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)が特定の値となるゴム組成物を用いて裏面表面を形成するコンベヤベルトが高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、下記(1)〜(15)を提供する。
(1)NRおよびBRからなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、
上記ゴム成分中のNRとBRとの量比(NR/BR)が、80/20〜25/75であり、
上記カーボンブラックの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、
上記シリカの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、
上記シランカップリング剤の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、
上記ジエチレングリコールの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、コンベヤベルト用ゴム組成物。
(2)更に、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物を含有する、上記(1)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(3)上記1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、上記ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜2質量部である、上記(2)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(4)上記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が、100〜250m2/gである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(5)上記ポリブタジエンゴム(BR)が、末端変性ポリブタジエンゴムである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【0012】
(6)上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、
上記下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成される、コンベヤベルト。
【0013】
(7)20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数tanδが0.04〜0.07となり、
下記式[1]に示すエネルギーロス指数(ΔH)が0.080以下となる、コンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M25 [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )、tanδは、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数、M25は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。
(8)NRおよびBRからなるゴム成分を含有する上記(7)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(9)NRおよびBRからなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有する上記(7)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(10)NRおよびBRからなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、
上記ゴム成分中のNRとBRとの量比(NR/BR)が、80/20〜25/75であり、
上記カーボンブラックの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、
上記シリカの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、
上記シランカップリング剤の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、
上記ジエチレングリコールの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、上記(7)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(11)上記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が、100〜250m2/gである上記(9)または(10)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(12)上記ポリブタジエンゴム(BR)が、末端変性ポリブタジエンゴムである上記(8)〜(11)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【0014】
(13)更に、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物を含有する上記(7)〜(12)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(14)上記1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、上記ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜2質量部である、上記(13)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【0015】
(15)上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、
上記下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、上記(7)〜(14)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成される、コンベヤベルト。
【発明の効果】
【0016】
以下に説明するように、本発明によれば、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができるコンベヤベルトを提供することができるため有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の態様に係るコンベヤベルト用ゴム組成物(以下、単に「本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物」という場合がある。)は、NRおよびBRからなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、
上記ゴム成分中のNRとBRとの量比(NR/BR)が80/20〜25/75であり、上記カーボンブラックの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、上記シリカの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、上記シランカップリング剤の含有量が上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、上記ジエチレングリコールの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、ゴム組成物である。
次に、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の各成分について詳述する。
【0018】
(ゴム成分)
上記ゴム成分は、NRおよびBRからなる。
上記ゴム成分中のNRとBRとの量比(NR/BR)が80/20〜25/75であり、70/30〜50/50であるのが好ましく、70/30〜60/40であるのがより好ましい。
NRおよびBRの含有割合が上述の範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および耐摩耗性がいずれも良好となり、コンベヤベルトとしての基本物性を維持することができる。これは、NRとBRの相溶性が良好となり、補強性がより向上するためであると考えられる。
【0019】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、BRは、重量平均分子量が50万以上であるのが好ましく、55万以上であるのがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および引裂き強さが向上し、耐摩耗性もより良好となる。
【0020】
また、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、BRは、末端変性ポリブタジエンゴムであるのが好ましい。
末端変性ポリブタジエンゴムは、末端が変性されたBRであれば特に限定されない。また、BRの末端変性方法としては、例えば、変性剤を使用してBRの末端(活性末端)を変性する方法を用いることができる。
このような変性剤としては、具体的には、例えば、四塩化スズ、四臭化スズなどのハロゲン化スズ;トリブチルスズクロライドなどのハロゲン化有機スズ化合物;四塩化ケイ素、クロロトリエチルシランなどのケイ素化合物;フェニルイソシアネートなどのイソシアネート基含有化合物;N−メチルピロリドン(NMP)などのアミド化合物;ラクタム化合物;尿素化合物;イソシアヌル酸誘導体;等が挙げられる。
【0021】
このような末端変性ポリブタジエンゴムを用いることにより、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれも良好な範囲となるため、消費電力の低減を十分に図ることができる。これは、変性した末端部分が架橋に寄与するため、加硫後の架橋密度が上がるためであると考えられる。
【0022】
重量平均分子量が50万以上である末端変性ポリブタジエンとしては市販品を用いることができる。
具体的には、例えば、日本ゼオン社製のNipol BR1250H(重量平均分子量:57万、NMP変性)等が挙げられる。
【0023】
(カーボンブラック)
上記カーボンブラックは、特に限定されないが、GPF(General Purpose Furnace)を含むものであるのが好ましく、以下に示すその他のカーボンブラックを含むものであってもよい。
【0024】
その他のカーボンブラックとしては、具体的には、例えば、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
【0025】
このようなカーボンブラックとしては、市販品を用いることができる。
具体的には、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シーストV(東海カーボン社製)、ダイアブラックG(三菱化学社製)等が例示され、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)、ショウブラックN339(昭和キャボット社製)等が例示される。
また、ISAFとしてはショウブラックN220(昭和キャボット社製)、SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(新日化カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)や三菱ダイアブラックR(三菱化学社製)、FTとしては旭#15(旭カーボン社製)やHTC#20(新日化カーボン社製)等が例示される。
【0026】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、このようなカーボンブラックの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、15〜35質量部であり、20〜30質量部であるのが好ましく、25〜30質量部であるのがより好ましい。
カーボンブラックの含有量が上述の範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および耐摩耗性がいずれも良好となるためコンベヤベルトとしての基本物性を維持でき、また、後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれも良好な範囲となるため消費電力の低減を十分に図ることができる。これは、カーボンブラックと上記ゴム成分との間の分子間の相互作用が大きく、補強性が向上するためであると考えられる。
【0027】
また、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、このようなカーボンブラックとして、少なくともGPFを用いることにより、得られるゴム組成物から形成される本発明の第1のコンベヤベルトのエネルギーロス指数がより良好となる。
【0028】
(シリカ)
上記シリカは、特に限定されないが、その具体例としては、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、無水微粉ケイ酸、含水微粉ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
これらのうち、含水微粉ケイ酸であるのが、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および耐摩耗性がより良好となる理由から好ましい。
【0029】
このようなシリカとしては、市販品を用いることができる。
具体的には、含水微粉ケイ酸として、ニップシールAQ(日本シリカ工業社製)、トクシールGU(トクヤマ社製)等が例示される。
【0030】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、このようなシリカの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、5〜25質量部であり、10〜20質量部であるのが好ましい。
シリカの含有量が上述の範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれも良好な範囲となるため、消費電力の低減を十分に図ることができる。これは、シリカと上記ゴム成分との間の分子間の相互作用をカーボンブラックに比べ小さくすることができるためであると考えられる。
【0031】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、このようなシリカとして、窒素吸着比表面積(N2SA)が100〜250m2/gのものを用いるのが好ましく、125〜200m2/gのものを用いるのがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積は、シリカがゴム分子との吸着に利用できる表面積の代用特性であり、シリカ表面への窒素吸着量で測定される。この値が上記範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれもより良好な範囲となるため、消費電力の低減をより十分に図ることができる。
【0032】
(シランカップリング剤)
上記シランカップリング剤は、ゴム用途に使用されるポリスルフィド系シランカップリング剤を用いるのが好ましい。
上記ポリスルフィド系シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドであるのが、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度がより良好となる理由から好ましい。
【0033】
このようなシランカップリング剤としては、市販品を用いることができる。
具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69、デグッサ社製)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si75、デグッサ社製)等が例示される。
【0034】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、このようなシランカップリング剤の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部であり、1〜2質量部であるのが好ましい。
シランカップリング剤の含有量が上述の範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度が良好となる。これは、シランカップリング剤と上記シリカとの化学結合が増大するためであると考えられる。
【0035】
(ジエチレングリコール)
上記ジエチレングリコールは、(CH2OHCH22Oの化学式で表される化合物である。
上記ジエチレングリコールとしては、日本触媒社製の市販品を用いることができる。
【0036】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、上記ジエチレングリコールの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜4.5質量部であり、0.5〜2質量部であるのが好ましく、0.6〜1.8質量部であるのがより好ましい。
ジエチレングリコールの含有量が上述の範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれも良好な範囲となるため消費電力の低減を十分に図ることができる。これは、シリカと上記ゴム成分との間の分子間の相互作用を低減することができるためであると考えられる。
【0037】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物を含有するのが好ましい態様の1つである。
ここで、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンは、下記式(1)で表されれる化合物であり、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物は下記式(2)で表される化合物である。
【0038】
【化4】

【0039】
これらの化合物を含有することにより、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の後述するエネルギーロス指数(ΔH)がより小さくなり、消費電力の低減をより十分に図ることができる。
これは、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の後述する25%伸び時における引張応力(M25)が向上し、損失係数tanδが小さくなるためであるが、これらの化合物がゴム組成物のリバージョン(加硫戻り)を防止する試薬(リバージョン防止剤)であることを鑑みれば、意外な効果である。
【0040】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、これらの化合物の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜2質量部であるのが好ましく、0.2〜1質量部であるのがより好ましい。
なお、この含有量は、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンおよびヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物をいずれも含有する場合は、合計の含有量をいう。
【0041】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物においては、これらの化合物として市販品を用いることができる。
具体的には、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンとしては、FLEXSYS社製のPERKALINK 900を用いることができ、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物としては、FLEXSYS社製のDURALINK HTSを用いることができる。
【0042】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤等の架橋剤や加硫遅延剤を含有していてもよく、更に、本発明の目的を損わない範囲で、各種配合剤を含有していてもよい。
【0043】
加硫剤としては、例えば、イオウ系、有機過酸化物系、金属酸化物系、フェノール樹脂、キノンジオキシム等の加硫剤が挙げられる。
イオウ系加硫剤としては、具体的には、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
有機過酸化物系の加硫剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられる。
その他として、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリン等が挙げられる。
【0044】
加硫促進剤としては、例えば、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系等の加硫促進剤が挙げられる。
アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(H)等が挙げられる。
グアニジン系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。
チオウレア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、エチレンチオウレア等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのZn塩等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等が挙げられる。
チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、Na−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等が挙げられる。
【0045】
加硫助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華、ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩等が挙げられる。
【0046】
このような加硫剤、加硫促進剤および加硫助剤を含有する場合の合計の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.5〜5質量部であるのがより好ましい。含有量の範囲がこの範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度がより良好となり、後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)もより良好となる。
【0047】
加硫遅延剤としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸などの有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体などのニトロソ化合物;トリクロルメラニンなどのハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール;サントガードPVI:等が挙げられる。
加硫遅延剤を含有する場合の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜0.3質量部であるのが好ましく、0.1〜0.2質量部であるのがより好ましい。含有量の範囲がこの範囲であると、得られる本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物からコンベヤベルトを押出加工する際のスコーチ安定性が向上し、生産性が向上する。
【0048】
配合剤としては、具体的には、例えば、上述したカーボンブラック以外の補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変成付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、加工助剤等が挙げられる。
これらの配合剤は、ゴム用組成物用の一般的なものを用いることができる。それらの配合量も特に制限されず、任意に選択できる。
【0049】
本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物の製造は、上述したゴム成分、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤およびジエチレングリコールならびに所望により含有する各種配合剤を加え、バンバリーミキサー等で混練し、ついで、混練ロール機等で加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤を混練して行うことができる。
また、加硫は、通常行われる条件で行うことができる。具体的には、例えば、温度140〜150℃程度、0.5時間の条件下、加熱することにより行われる。
【0050】
本発明の第1の態様に係るコンベヤベルト(以下、単に「本発明の第1コンベヤベルト」という場合がある。)は、上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、該下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、上述した本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物により形成されるコンベヤベルトである。
以下に、図1を用いて本発明の第1コンベヤベルトを説明するが、本発明の第1コンベヤベルトの構造は、下面カバーゴム層の裏面表面に上述した本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物を用いていれば特にこれに限定されない。
【0051】
図1は、本発明の第1コンベヤベルトの好適な実施態様の一例を模式的に示した断面図である。図1において、1はコンベヤベルト、2は上面カバーゴム層、3は補強層、4は下面カバーゴム層、5は運搬物搬送面、11および16は外層、12および15は内層である。
図1に示すように、コンベヤベルト1は、補強層3を中心層とし、その両側に上面カバーゴム層2と下面カバーゴム層4が設けられており、上面カバーゴム層2は外層11と内層12の2層から構成され、下面カバーゴム層4は外層16と内層15の2層から構成されている。ここで、上面カバーゴム層2および下面カバーゴム層4の外層と内層(外層11と内層12、外層16と内層15)は、それぞれ互いに異なるゴム組成物を用いて形成されていてもよい。
【0052】
図1において、上面カバーゴム層2は、外層11と内層12の2層から構成されているが、本発明の第1コンベヤベルトにおいては、上面カバーゴム層2を構成する層の数は、2に限定されず、1でもよく、3以上であってもよい。そして、3以上の場合にも、これらの層は、互いに異なるゴム組成物を用いて形成されてもよい。また、下面カバーゴム層4も同様である。
上面カバーゴム層2の運搬物搬送面5を構成する外層11は、耐熱性、耐摩耗性、耐油性等に優れたゴム組成物から形成されるのが望ましいため、上面カバーゴム層2は2層から構成されていることが好ましい。
下面カバーゴム層4の裏面表面を構成する外層16は上述した本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物により形成され、また、下面カバーゴム層4の内層15は製造コストや補強層3との接着性が重視されることから他のゴム組成物から形成されるのが望ましいため、カバーゴム層4は2層から構成されていることが好ましい。
【0053】
補強層3の芯体は特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるものを適宜選択して用いることができ、その具体例としては、綿布と化学繊維または合成繊維とからなるものにゴム糊を塗布、浸潤させたもの、RFL処理したものを折り畳んだもの、特殊織のナイロン帆布、スチールコード等が挙げられ、これらを一種単独で用いてもよく、2種以上のものを積層して用いてもよい。
また、補強層3の形状は特に限定されず、図1に示すようにシート状であってもよく、ワイヤー状の補強線を並列に埋込むものであってもよい。
【0054】
上面カバーゴム層2の内層12および下面カバーゴム4の内層15を形成するゴム組成物は特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるゴム組成物を適宜選択して用いることができ、一種単独で用いてもよく、2種以上のものを混合して用いてもよい。
【0055】
上面カバーゴム層2の外層11を形成するゴム組成物は特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるゴム組成物を、該外層に要求される基本特性(例えば、耐熱性、耐摩耗性、耐油性等)に応じて適宜選択して用いることができる。
【0056】
本発明の第1コンベヤベルトは、下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物により形成されるため、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができる。
【0057】
本発明の第1コンベヤベルトにおいては、下面カバーゴム層の厚さが、5〜20mmであるのが好ましく、6〜15mmであるのがより好ましい。ここで、下面カバーゴム層の厚さは、下面カバーゴム層が内層および外層で構成されている場合は、これらの層の合計の層厚をいう。
下面カバーゴム層の厚さがこの範囲であると、高温の運搬物を搬送に用いる場合であっても、ゴムの劣化等により生ずるベルトの反り返り(カッピング)を防ぐことができる。
【0058】
本発明の第1コンベヤベルトの製造方法は特に限定されず、通常用いられる方法等を採用することができる。
具体的には、まず、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて原料を混練りした後、カレンダー等を用いて各カバーゴム層用にシート状に成形し、次に、得られた各層を補強層を挟み込むように所定の順序で積層し、140〜170℃の温度で10〜60分間加圧する方法が好適に例示される。
【0059】
本発明の第2の態様に係るコンベヤベルト用ゴム組成物(以下、単に「本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物」という場合がある。)は、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数tanδが0.04〜0.07となり、
下記式[1]に示すエネルギーロス指数(ΔH)が0.080以下となる、ゴム組成物である。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M25 [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )、tanδは、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数、M25は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。
【0060】
本発明の第2の態様は、ベルトコンベヤ装置(システム)におけるエネルギーロス、特に、稼動時にコンベヤベルトがローラを乗り越える際に生じるエネルギーロスに注目し、このエネルギーロスを低減することにより、ベルトコンベヤ装置全体の消費電力の低減を図るものである。
次に、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物で規定する各物性値について詳述する。
【0061】
(損失係数tanδ)
損失係数tanδは、ゴム組成物の動的性質を表す貯蔵弾性率E′と損失弾性率E″との比、tanδ=E″/E′で表され、この値が小さいほどゴム組成物の変形の間に熱として散逸されるエネルギー量(エネルギーロス量)が小さいことを意味し、エネルギーロスの尺度として用いることができる。
一方、tanδ値が小さいと低消費電力化が可能になると考えられるが、[発明が解決しようとする課題]でも述べたように、tanδ値をあまりに小さくしすぎると破断強度(TB )および破断伸び(EB )も低下するため、コンベヤベルトの稼動が安定しない。
したがって、本発明では、低消費電力化と破断強度、破断伸び等の基本物性とを両立し、高物性のコンベヤベルトが要求されるコンベヤラインにも用いることができるように、tanδ値を特定の範囲としている。
【0062】
そこで、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物の損失係数tanδは、0.04〜0.07となり、0.05〜0.07となるのが好ましく、0.05〜0.065となるのがより好ましく、0.055〜0.065であるのが更に好ましい。
なお、本発明において、損失係数tanδは、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物を148℃、30分の条件で加硫させて得られた加硫物から短冊状(長さ20mm×幅5mm×厚み2mm)に切り抜いた試験片を用い、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した時の損失係数をいう。
【0063】
(エネルギーロス指数(ΔH))
エネルギーロス指数(ΔH)は、上記式[1]により表される。
上記式[1]は、従来タイヤの分野で用いられている路面との摩擦低減効率の目安となる式であるが、コンベヤベルト用ゴム組成物の消費電力の低減評価においても有効と考えられる。
上記式[1]中のSpGrは、20℃での比重(g/cm3 )を示す。この値が小さいと総質量の低減が可能になることから小負荷と同等の低消費電力効果が得られる。
また、上記式[1]中のtanδは、上述したように、ローラ乗り越え時のゴム組成物の変形によるエネルギーロスに影響する。この値が小さいと低消費電力効果が得られる。
また、上記式[1]中のM25は、25%伸び時における引張応力(MPa)を示すが、ベルト剛性としての硬度の代用特性と考えることができるため、ゴム組成物の撓みの大小に影響する。この値が大きいと撓みが小さくなり低消費電力効果が得られる。なお、本発明において、M25は、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物を148℃、30分の条件で加硫させて得られた加硫物から3号ダンベル状に打ち抜いた試験片を用い、JIS K6251-2004に準じて、引張速度500mm/分での引張試験を行い、25%伸び時における引張応力(M25)[MPa]を室温にて測定した値である。
したがって、上記式[1]の技術的な意義は、SpGrとtanδの積をM25で除することにより、これらの物性に基づいて、ゴム組成物がローラを乗り越える時のエネルギーロスを総合的に判断でき、コンベヤベルト用のゴム組成物が、消費電力の低減を図るコンベヤベルトに適しているか否かの指標となることにある。
【0064】
そこで、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物の上記式[1]に示すエネルギーロス指数(ΔH)は、0.080以下となり、0.07以下となるのが好ましく、0.07未満となるのがより好ましく、0.030〜0.065であるのが更に好ましい。
【0065】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物は、上述したように、所定の条件で測定した損失係数tanδが0.04〜0.07となり、上記式[1]に示すエネルギーロス指数(ΔH)が0.080以下となるゴム組成物である。
ここで、上記式[1]中にtanδが規定されているにも関わらず、損失係数tanδの値を0.04〜0.07の範囲に規定したのは、単にエネルギーロス指数(ΔH)が0.080以下であっても、tanδが0.04未満であると、破断強度、破断伸び等の基本物性が担保できないためである。
【0066】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物は、NRおよびBRからなるゴム成分を含有しているのが好ましい。NRおよびBRからなるゴム成分を含有することにより、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および耐摩耗性がいずれも良好となり、コンベヤベルトとしての基本物性を維持することができる。
ここで、BRとしては、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物において詳述したものを用いることができ、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物における理由と同様の理由から、重量平均分子量が50万以上であるのが好ましく、また、末端変性ポリブタジエンであるのが好ましい。
【0067】
また、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物は、NRおよびBRからなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有しているのが好ましい。NRおよびBRのみならず、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤およびジエチレングリコールを含有することにより、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および耐摩耗性がいずれも良好となるためコンベヤベルトとしての基本物性を維持できるとともに、損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がより良好な範囲となるため消費電力の低減をより十分に図ることができる。
ここで、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤およびジエチレングリコールとしては、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物において詳述したものを用いることができる。
【0068】
更に、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物は、NRおよびBRからなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、上記ゴム成分中のNRとBRとの量比(NR/BR)が80/20〜25/75であり、上記カーボンブラックの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、上記シリカの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、上記シランカップリング剤の含有量が上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、上記ジエチレングリコールの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部であるのが好ましい。カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤およびジエチレングリコールを特定量含有することにより、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度および耐摩耗性がいずれも良好となるためコンベヤベルトとしての基本物性を維持できるとともに、損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)が更に良好な範囲となるため消費電力の低減を更に十分に図ることができる。
【0069】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物においては、上記ゴム成分中のNRとBRとの量比(NR/BR)は、70/30〜50/50であるのがより好ましく、70/30〜60/40であるのが更に好ましい。
また、上記カーボンブラックの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、20〜30質量部であるのがより好ましく、25〜30質量部であるのが更に好ましい。
また、上記シリカの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、10〜20質量部であるのがより好ましい。
また、上記シランカップリング剤の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、1〜2質量部であるのがより好ましい。
また、上記ジエチレングリコールの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜2質量部であるのがより好ましく、0.6〜1.8質量部であるのが更に好ましい。
【0070】
また、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物においては、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物と同様、上記シリカとして、窒素吸着比表面積(N2SA)が100〜250m2/gのものを用いるのが好ましく、125〜200m2/gのものを用いるのがより好ましい。
【0071】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物は、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物と同様、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物を含有するのが好ましい態様の1つである。
ここで、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物と同様、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンは、上記式(1)で表されれる化合物であり、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物は上記式(2)で表される化合物である。
【0072】
これらの化合物を含有することにより、得られる本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物のエネルギーロス指数(ΔH)がより小さくなり、消費電力の低減をより十分に図ることができる。
これは、得られる本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物の25%伸び時における引張応力(M25)が向上し、損失係数tanδが小さくなるためであるが、これらの化合物がゴム組成物のリバージョン防止剤であることを鑑みれば、意外な効果である。
【0073】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物においては、これらの化合物の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜2質量部であるのが好ましく、0.2〜1質量部であるのがより好ましい。
なお、この含有量は、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンおよびヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物をいずれも含有する場合は、合計の含有量をいう。
【0074】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物においては、これらの化合物として、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物と同様の市販品を用いることができる。
【0075】
本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤等の架橋剤や加硫遅延剤を含有していてもよく、更に、本発明の目的を損わない範囲で、各種配合剤を含有していてもよい。
ここで、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤および各種の配合剤としては、本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物において詳述したものを用いることができる。
【0076】
本発明の第2の態様に係るコンベヤベルト(以下、単に「本発明の第2コンベヤベルト」という場合がある。)は、上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、該下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、上述した本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物により形成されるコンベヤベルトである。
即ち、本発明の第2コンベヤベルトは、上述した本発明の第1コンベヤベルトにおいて用いた本発明の第1コンベヤベルト用ゴム組成物に代えて、本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物を用いるものであり、それ以外の構成は本発明の第1コンベヤベルトと同様である。
【0077】
本発明の第2コンベヤベルトは、下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が本発明の第2コンベヤベルト用ゴム組成物により形成されるため、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができる。
【0078】
本発明の第2コンベヤベルトの製造方法は特に限定されず、通常用いられる方法等を採用することができ、本発明の第1コンベヤベルトと同様の方法により製造することができる。
【実施例】
【0079】
以下に実施例を挙げ、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1〜26、比較例1〜8、参考例1および2)
ゴム成分100質量部に対して、下記第1表に示す組成成分(質量部)で、各コンベヤベルト用ゴム組成物を調製した。得られた各ゴム組成物について、加硫後の各種物性を以下に示す方法により測定し評価した。その結果を下記第1表に示す。
なお、参考例1および2は、特開平11−139523号公報に記載の実施例5および比較例2と同様のゴム組成物を調製したものである。いずれの参考例もシリカ、ジエチレングリコールおよびシランカップリング剤を含有していないため比較例となり、耐摩耗性以外の物性を以下に示す方法により測定し評価した。
【0080】
<加硫後の物性>
(1)破断強度
得られた各ゴム組成物を、148℃、30分間、加硫し、加硫ゴム組成物を調製した。
調製した各加硫ゴム組成物から3号ダンベル状に打ち抜いた試験片を用い、JIS K6251-2004に準じて、引張速度500mm/分での引張試験を行い、破断強度(TB)[MPa]を室温にて測定した。
破断強度が14MPa以上であれば、高破断強度を有するものとして評価できる。
【0081】
(2)耐摩耗性
調製した各加硫ゴム組成物から円板状(直径16.2mm×厚さ6mm)に切り抜いた試験片を用い、JIS−K6264−2-2005に準じて、DIN摩耗試験を行った。室温でDIN摩耗試験を行った際の摩耗量(mm3)を測定した。
その結果、摩耗量が120mm3以下であったものは、耐摩耗性を有するものとして「○」と評価した。
【0082】
(3)損失係数tanδ
調製した各加硫ゴム組成物から短冊状(長さ20mm×幅5mm×厚み2mm)に切り抜いた試験片を用い、東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメータを用いて損失係数tanδを測定した。測定は、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて行った。
【0083】
(4)エネルギーロス指数(ΔH)
調製した各加硫ゴム組成物の比重を測定した。
また、調製した各加硫ゴム組成物から3号ダンベル状に打ち抜いた試験片を用い、JIS K6251-2004に準じて、引張速度500mm/分での引張試験を行い、25%伸び時における引張応力(M25)[MPa]を室温にて測定した。
次いで、比重、M25、および上記で測定した損失係数tanδの値を用い、調製した各加硫ゴム組成物のエネルギーロス指数(ΔH)を、上記式[1]から求めた。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
【表6】

【0090】
上記第1表に示すゴム成分等の各組成成分としては、以下に示すものを用いた。
・天然ゴム(NR):RSS#3
・ポリブタジエンゴム(VCR):VCR617(宇部興産社製)
・BR1:Nipol BR1220(重量平均分子量:46万、末端未変性、日本ゼオン社製)
・BR2:Nipol BR1250H(重量平均分子量:57万、末端NMP変性、日本ゼオン社製)
・カーボンブラック1:HAF(ショウブラックN339、昭和キャボット社製)
・カーボンブラック2:GPF(ダイアブラックG、三菱化学社製)
・シリカ1:含水微粉ケイ酸(窒素吸着比表面積(N2SA):202m2/g、ニップシールAQ、日本シリカ工業社製)
・シリカ2:含水微粉ケイ酸(窒素吸着比表面積(N2SA):120m2/g、トクシールGU、トクヤマ社製)
・シリカ3:含水微粉ケイ酸(窒素吸着比表面積(N2SA):144m2/g、Zeosil 165GR、Rhodia Silica korea社製)
・シリカ4:含水微粉ケイ酸(窒素吸着比表面積(N2SA):159m2/g、Ultrasil 7000GR、United Silica Industrial社製)
・ジエチレングリコール:日本触媒社製
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69、デグッサ社製)
・加硫剤1:硫黄(油処理硫黄、細井化学工業社製)
・加硫促進剤1:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(ノクセラーNS、大内新興化学工業社製)
・リバージョン防止剤1:1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(PERKALINK 900、FLEXSYS社製)
・リバージョン防止剤2:ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物(DURALINK HTS、FLEXSYS社製)
【0091】
第1表に示す結果より、実施例1〜26で得られたゴム組成物は、加硫後の各物性から、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、消費電力の低減を十分に図ることができるコンベヤベルトに適したゴム組成物であることが分かった。
これに対し、ジエチレングリコール等を含有しないゴム組成物(比較例1〜5)、NRの割合が少ないゴム成分を含有するゴム組成物(比較例6)、カーボンブラック量の多いゴム組成物(比較例7)およびシリカ量の多いゴム組成物(比較例8)ならびに参考例1および2のゴム組成物は、加硫後の各物性から、いずれもエネルギーロス指数(ΔH)が高く、消費電力の低減が不十分となるゴム組成物であることが分かった。
【0092】
また、リーバージョン防止剤を含有する実施例13〜21で得られたゴム組成物は、M25が向上し、損失係数tanδが小さくなるため、エネルギーロス指数(ΔH)がより小さくなり、消費電力の低減をより十分に図ることができるコンベヤベルトに適したゴム組成物であることが分かった。
特に、リバージョン防止剤を含有し、かつ、窒素吸着比表面積が好適範囲(125〜200m2/g)であるシリカを含有する実施例18〜21で得られたゴム組成物は、M25が向上し、損失係数tanδが小さくなるため、エネルギーロス指数(ΔH)がより小さくなり、消費電力の低減をより十分に図ることができるコンベヤベルトに適したゴム組成物であることが分かった。
【0093】
更に、BRとして、重量平均分子量が50万以上であり、末端が変性されたポリブタジエンを含有する実施例24〜26で得られたゴム組成物は、M25が向上し、損失係数tanδが小さくなるため、エネルギーロス指数(ΔH)が更に小さくなり、消費電力の低減をより十分に図ることができるコンベヤベルトに適したゴム組成物であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の第1コンベヤベルトの好適な実施態様の一例を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1:コンベヤベルト
2:上面カバーゴム層
3:補強層
4:下面カバーゴム層
5:運搬物搬送面
11、16:外層
12、15:内層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム(NR)およびポリブタジエンゴム(BR)からなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、
前記ゴム成分中の天然ゴムとポリブタジエンゴムとの量比(NR/BR)が、80/20〜25/75であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、
前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、
前記ジエチレングリコールの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、コンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項2】
更に、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物を含有する、請求項1に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項3】
前記1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、前記ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1〜2質量部である、請求項2に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項4】
前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が、100〜250m2/gである請求項1〜3のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項5】
前記ポリブタジエンゴム(BR)が、末端変性ポリブタジエンゴムである請求項1〜4のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項6】
上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、
前記下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、請求項1〜5のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成される、コンベヤベルト。
【請求項7】
20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数tanδが0.04〜0.07となり、
下記式[1]に示すエネルギーロス指数(ΔH)が0.080以下となる、コンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M25 [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )、tanδは、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数、M25は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。
【請求項8】
天然ゴム(NR)およびポリブタジエンゴム(BR)からなるゴム成分を含有する請求項7に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項9】
天然ゴム(NR)およびポリブタジエンゴム(BR)からなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有する請求項7に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項10】
天然ゴム(NR)およびポリブタジエンゴム(BR)からなるゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、シランカップリング剤と、ジエチレングリコールとを含有し、
前記ゴム成分中の天然ゴムとポリブタジエンゴムとの量比(NR/BR)が、80/20〜25/75であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、
前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、
前記ジエチレングリコールの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、請求項7に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項11】
前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が、100〜250m2/gである請求項9または10に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項12】
前記ポリブタジエンゴム(BR)が、末端変性ポリブタジエンゴムである請求項8〜11のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項13】
更に、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物を含有する請求項7〜12のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項14】
前記1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および/または、前記ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩ニ水和物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1〜2質量部である、請求項13に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項15】
上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、
前記下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、請求項7〜14のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成される、コンベヤベルト。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−38133(P2008−38133A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79313(P2007−79313)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】