説明

コードレス電話装置

【課題】 子機に複数の着信音の音源データを記憶しておき、子機側において着信音の音源データを切り替えて再生できるようにしたコードレス電話装置を提供する。
【解決手段】 コードレス電話装置10は電話回線に接続される親機20と、親機20と無線接続される子機30と、から構成される。子機30は、親機20と双方向通信する無線部33と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリ37と、メモリ37から読み出された音源データを再生出力する出力部(マイク・スピーカ部)35とを備え、親機20は電話回線から着信があった場合、子機30に送信する着信データに着信音を特定する識別符号を付加して子機30に送信する。子機30は識別符号に応じた音源データを出力部で再生出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信により通信する親機と子機からなり、発信電話番号によって着信音(着信メロディーを含む)を切り替える機能を有するコードレス電話装置に関するものであり、特に、親機から子機に送信する着信信号に子機側において切り替えるべき着信音を指示する着信音識別符号を付加するように構成したコードレス電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からオフィスや家庭において、公衆回線網に接続される加入電話のような固定電話装置の他、無線通信機能により結ばれる親機と子機からなるコードレス電話装置が広く使用されている。近年では親機にファクシミリ機能を備えたコードレス電話装置機も普及している。
【0003】
これらの電話装置においては、電話装置に着信があった場合、発信側電話番号を電話装置の表示部に表示する、いわゆるナンバーディスプレイサービスなども提供されている。また、電話装置に着信があった場合、着信音(呼び出し音)が電話装置のスピーカを通して発音されるが、着信の際にユーザの好みによって特定の着信音に切り替えて着信音を発生することも一般的に行われている。また、オフィス内において内線と外線により異なる着信音とする着信音切り替え制御方法や、ナンバーディスプレイサービスを利用して家族の携帯電話装置からの着信とそれ以外の電話装置からの着信、あるいは個々の発信側電話番号に応じてそれぞれ異なる着信音とするような着信音切り替え制御方法が一般的に利用されている。
【0004】
最近では、着信音の音源としてユーザの好みの音楽データを保存しておきこれを再生する、いわゆる着信メロディーを着信音として使用する機能が好まれている。このような機能は携帯電話において広く普及している。コードレス電話装置においても同様に音源として音楽データを利用できることが好ましい。本明細書において、用語「着信音」はこのような音楽データを利用した着信メロディーも含む用語として定義する。「コードレス電話装置」は、ファクシミリ機能を有するコードレス電話装置を含むものとして定義する。
【0005】
一般に上記のような着信音の切り替え機能を有するコードレス電話装置においては、親機、子機のそれぞれの機能設定メニューを操作して音質の設定や着信音のオン・オフ設定などの操作を行う必要があり、操作が煩雑である。このような操作の煩雑さを解消するために、親機側に音源手段を備え、親機側から子機側に着信音のアナログデータそのものを無線送信し、子機側で出力するコードレス電話装置も提案されている。
【0006】
このようなサードレス電話装置は、例えば、下記の特許文献1(特開2003−169106号公報)に「コードレス通信装置」として開示されている。このコードレス通信装置は、親機と子機とを有するコードレス通信装置において、親機に設けられ、着信音や簡易音楽プレーヤとして発生する音源発生手段と、上記音源発生手段が発生した着信音を、通話チャネルを使用して、上記子機に送信する送信手段とを有する構成としたものである。
【0007】
コードレス通信装置をこのように構成することによって、FM音源やPCM音源やMP3再生機能を搭載している高価な音源IC等を必要とする場合に、親機だけに上記高価な音源IC等を搭載し、子機に上記高価な音源IC等を搭載しなくても、その上記高価な音源ICで発生するメロディーを、親機でも子機でも、呼び出し音として発生させたり、簡易音楽プレーヤとすることができるようになる。
【0008】
また、下記の特許文献2(特開2004−80567号公報)にも「コードレス電話装置」として上記特許文献1と同様の電話装置か開示されている。このコードレス電話装置は、回線を通じて音声信号の送受信を行うと共に、子機と双方向に無線通信を行うための無線通信部と、着信音や保留音を高機能化するための高機能音源とを備えた親機と、親機と双方向に無線通信を行うための無線通信部を備えた子機と、で構成されたものである。コードレス電話装置は子機で使用する着信音や保留音を、親機と子機との間の通信規約により高機能音源を備えた親機で生成して子機へ転送させることで、子機側でも親機の高機能音源が生成する着信メロディーや保留メロディーを利用可能となる。
【特許文献1】特開2003−169106号公報(図1、段落[0010]、[0011])
【特許文献2】特開2004−80567号公報(図1、図3、段落[0015]〜[0018])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2に開示されたコードレス電話装置は、何れも親機に音源手段を備え、着信音のアナログデータは親機で生成され、親機と子機間の無線通信チャネル(通話チャネル)を使用して子機に無線送信されるものである。このように着信音のアナログデータそのものを無線通信により親機から子機に送信すると、音質が劣化するという問題があった。また、親機のスピーカから着信音が送出されるタイミングに比べて子機のスピーカから着信音が送出されるという問題点があった。
【0010】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、近年では容量の大きいメモリが小型化しかつ安価に提供されている点に着目し、子機に着信音の音源データを記憶しておくメモリを備え、当該メモリに親機に設定されていると同様の複数の着信音の音源データを記憶しておき、親機から子機に送信する着信データに子機側で選択すべき着信音を指定する識別符号を付加することによって上記問題を解消し得ることを着想して本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、前記の問題点を解消することを課題とし、子機に複数の着信音の音源データを記憶しておき、子機側において着信音の音源データを切り替えて再生できるようにしたコードレス電話装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、電話回線に接続される親機と、前記親機と無線接続される子機と、から構成されるコードレス電話装置であって、
前記子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部(例えばマイク・スピーカ部)とを備え、前記親機は電話回線から着信があった場合、子機に送信する着信データに着信音を特定する識別符号を付加して前記子機に送信することを特徴とする。
【0013】
また本願の請求項2にかかる発明は、電話回線に接続される親機と、前記親機と無線接続される子機と、から構成されるコードレス電話装置であって、前記子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部とを備え、前記親機は子機における着信音を特定する識別符号を設定した際、前記子機に当該識別符号を送信し、子機は親機から送信された前記識別符号をメモリに記憶し、前記親機は電話回線から着信があった場合、前記子機に着信データを送信し、前記子機はメモリ前記識別符号に対応した着信音を出力することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、電話回線に接続される親機と、前記親機と無線接続される子機と、から構成され、ナンバーディスプレイ関連サービス設定が可能なコードレス電話装置であって、前記子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部(例えばマイク・スピーカ部)とを備え、前記親機は電話回線から着信があった場合、前記ナンバーディスプレイ関連サービス設定において親機または子機に登録された電話番号を含む着信データを前記子機に送信する際、当該電話番号を含む着信データに着信音を特定する識別符号を付加して前記子機に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる発明においては、子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部とを備え、親機は電話回線から着信があった場合、子機に送信する着信データに着信音を特定する識別符号を付加して前記子機に送信する。
【0016】
従って、子機側においては何ら着信音切り替え操作、着信音切り替え設定を操作することなく、好みの着信音に切り替えることができるようになる。また、子機に音源データそのものを記憶しておき再生するものであるから、親機から着信音のアナログデータを無線通話チャネル経由で送信する従来の方法に比べ、音質が劣化することがない。また、子機において着信音が生成されるタイミングが遅れることもなくなる。
【0017】
また、本願の請求項2にかかる発明においては、親機は子機における着信音を特定する識別符号を設定した際、子機に当該識別符号を送信し、子機は親機から送信された前記識別符号をメモリに記憶し、親機は電話回線から着信があった場合、子機に着信データを送信し、子機はメモリに記憶した前記識別符号に対応した着信音を出力する
従って、子機側においては何ら着信音切り替え操作、着信音切り替え設定を操作することなく、好みの着信音に切り替えることができるようになる。また、子機に音源データそのものを記憶しておき再生するものであるから、親機から着信音のアナログデータを無線通話チャネル経由で送信する従来の方法に比べ、音質が劣化することがない。また、子機において着信音が生成されるタイミングが遅れることもなくなる。
【0018】
また、請求項3にかかる発明においては、子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部とを備え、親機は電話回線から着信があった場合、前記ナンバーディスプレイ関連サービス設定において親機または子機に登録された電話番号を含む着信データを前記子機に送信する際、当該電話番号を含む着信データに着信音を特定する識別符号を付加して前記子機に送信する。
【0019】
従って、子機側においては何ら着信音切り替え操作、着信音切り替え設定を操作することなく、ナンバーディスプレイサービスに登録した電話番号によって予め設定した異なる着信音に切り替えることができるようになる。また、子機に音源データそのものを記憶しておき再生するものであるから、親機から着信音のアナログデータを無線通話チャネル経由で送信する従来の方法に比べ、音質が劣化することがない。また、子機において着信音が生成されるタイミングが遅れることもなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施例にかかるコードレス電話装置の外観を示す図である。図2は本発明の実施例にかかる親機の構成を示すブロック図、図3は本発明の実施例にかかる子機の構成を示すブロック図である。図4は子機のメモリに記憶される着信音のデータを説明するための説明図である。図5は本発明の実施例1にかかる通常着信における着信音切り替え手順を示すシーケンス図である。図6は子機30における着信音切り替え処理の手順を示すフローチャートである。図7は実施例2における親機のメモリに記憶される着信音のデータを説明するための説明図である。図8は本発明の実施例2にかかるナンバーディスプレイサービス設定時の着信における着信信号切り替え手順を示すシーケンス図である。
【0021】
本発明の実施例1にかかるコードレス電話装置10の外観を示す図である。以下の実施例1においては、コードレス電話装置10において、好みの着信音に切り替える通常着信時の構成について説明する。
【0022】
コードレス電話装置10は親機20と子機30とが無線で接続された構成となっており、子機30から親機20を介して通話の受信、発信が行えるようになっている。親機20は、着信電話番号による着信音の切り替えが可能であり、同様に子機30も親機20からの着信信号に付加された識別符号によって当該識別符号に対応した着信音の音源データを子機30のメモリから読み出してスピーカ等の出力手段で出力することができる。
親機20は、図2のブロック図に示すように、電話回線制御部21、音声信号処理部22、無線部23、制御部24、マイク・スピーカ部25、操作・表示部26、メモリ27、アンテナ28を備えて構成されている。制御部24はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、図示していないROM、RAMを備えている。ROMには各部動作を制御するプログラムを記憶しており、制御部24が通話時間の計時、通話料金の算出を行えるプログラムなども書き込まれている。RAMには制御部24の動作に必要な情報を記憶する。
【0023】
電話回線制御部21は公衆回線Nからの着信、公衆回線Nへの発信を制御するものであり、着信検出、ダイアルトーン検出などを行う。音声信号処理部22は受話音声信号を処理してマイク・スピーカ部25を介して出力し、あるいは、マイク・スピーカ部25を介して入力された送話音声を処理して音声信号に変換して送出する。無線部23はアンテナ28を介して子機30との間で発信信号、着信信号、送話音声信号、受信音声信号を通信する。
【0024】
操作・表示部26は、ディスプレイ、機能キー、数字キーなどから構成され、数字キーは発信の際の電話番号入力に用いられ、機能キーは種々の機能を選択したり設定したりするために用いられる。すなわち、機能キーを操作してディスプレイに所望の機能設定画面を表示してコードレス電話装置10の種々の機能設定をしたり、通信キャリアが提供する種々のサービス機能のオン・オフの設定をしたりすることができる。例えば、ナンバーディスプレイサービスやキャッチホンディスプレイサービス、ネームディスプレイサービスなどのオン・オフの設定ができる。本明細書においては、ナンバーディスプレイサービスやキャッチホンディスプレイサービス、ネームディスプレイサービスなどのサービスを総称してナンバ―ディスプレイ関連サービスということとする。
【0025】
メモリ27にはコードレス電話装置の各種機能の設定状況や、上記のナンバーディスプレイ関連サービスの設定状況などが記憶される他、ユーザが入力する電話帳、短縮ダイヤルの登録情報を記憶することができる。また、着信音切り替え機能を使用する場合には、着信音切り替え設定情報が記憶される。着信音切り替え設定情報はユーザが操作・表示部26から入力するものであり、ユーザによって入力された着信電話番号と着信音の種別が関係付けられ、設定情報として記憶されるとともに、各着信音の音源データが記憶される。音源データは、各種リムーバブル記録媒体から入力したり、他の機器で再生した音源データを録音して入力したりすることができる。
【0026】
本発明においては、メモリ27に記憶する着信音切り替え設定情報には、後述するように子機30側で切り替えるべき着信音を指定するための識別符号も記憶される。そして親機20は電話回線制御部21で着信を検出すると、子機30に送信する着信データに識別符号を付加する。子機30はこの識別符号に従った音源データを子機30側のメモリから読み出して再生出力する。尚、上記識別符号は、ユーザのキー操作に応じて設定可能である。
【0027】
子機30は、図3のブロック図に示されるように、音声信号処理部32、無線部33、制御部34、マイク・スピーカ部35、操作・表示部36、メモリ37、アンテナ38を備えて構成されている。制御部34はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、図示していないROM、RAMを備えている。ROMには各部動作を制御するプログラムを記憶しており、制御部34が親機20と通信するためのプログラムなども書き込まれている。RAMには制御部34の動作に必要な情報を記憶する。
【0028】
音声信号処理部32は受話音声信号を処理してマイク・スピーカ部35を介して出力し、あるいは、マイク・スピーカ部35を介して入力された送話音声を処理して音声信号に変換して送出する。無線部33はアンテナ38を介して親機20との間で発信信号、送話音声信号、受信音声信号を通信する。
【0029】
操作・表示部36は、ディスプレイ、機能キー、数字キーなどから構成され、数字キーは発信の際の電話番号入力に用いられ、機能キーは種々の機能を選択したり設定したりするために用いられる。すなわち、機能キーを操作してディスプレイに所望の機能設定画面を表示して子機30の種々の機能設定をすることができる。
【0030】
メモリ37には子機30の各種機能の設定状況が記憶される他、ユーザが入力する電話帳、短縮ダイヤルの登録情報を記憶することができる。また、着信音切り替え機能を使用する場合には、子機30側で直接着信音を再生出力できるように音源データが記憶される。この音源データには、親機20から着信信号とともに送信される識別符号が対応付けられて記憶される。各着信音の音源データは、各種リムーバブル記録媒体から入力したり、他の機器で再生した音源データを録音して入力したりすることができる。
【0031】
子機30のメモリ37に記憶される着信音のデータは図4に示されるように、着信音名A、B、C、メロディーX、メロディーY、メロディー毎に名着信音の音源データそのものが記憶され、それぞれに2進3ビットの識別符号(000〜101)が対応付けられて記憶されている。親機20のメモリ27に記憶される着信音切り替え設定情報も同様であるが、親機20においては、ユーザが通常着信時に親機20および/または子機30において切り替えるべき音源データに選択情報が対応付けられ記憶されている。
【0032】
親機20に公衆回線Nから着信すると、電話回線制御部21が発信元の電話番号を解析し、制御部24が子機30に発信元電話番号を含む着信信号を送信する際、メモリ27に記憶された着信音切り替え設定情報を参照して選択情報が記憶されている着信音を判定し、その識別符号を着信信号に付加して子機30に送信する。
【0033】
子機30は親機20から送信された着信信号を受信すると制御部34は着信信号に付加された識別符号をもとにメモリ37から対応する着信音の音源データを読み出し、マイク・スピーカ部35により出力する。
【0034】
これによって、子機30側においては何ら着信音切り替え操作、着信音切り替え設定を操作することなく、好みの着信音に切り替えることができるようになる。また、子機30に音源データそのものを記憶しておき再生するものであるから、親機20から着信音のアナログデータを無線通話チャネル経由で送信する従来の方法に比べ、音質が劣化することがない。また、子機において着信音が生成されるタイミングが遅れることもなくなる。
【0035】
図5は、以上説明したコードレス電話装置10の着信音切り替えの手順を示すシーケンス図である。親機20、子機30はそれぞれシーケンスSQ10、SQ11において着信待ち受け状態にある。シーケンスSQ12において公衆回線Nから着信すると、電話回線制御部21で着信検出、ダイアルトーン検出などを行い親機20が着信状態になると、制御部24はシーケンスSQ13で子機20に着信データを送信する。
【0036】
この時、制御部24は子機30に無線送信する着信データに子機30で出力すべき着信音を指定する識別符号を付加して送信する。子機30は親機20から送信された識別符号が付加された着信データを受信すると、制御部34はシーケンスSQ14で識別符号を判定し、メモリ37から該当する着信音の音源データを読み出す。シーケンスSQ15で子機30が着信状態になると、シーケンスSQ16において制御部34はメモリ37から読み出した音源データをマイク・スピーカ部35で再生出力する。
【0037】
図6は、子機30における上記の手順を示すフローチャートである。子機30はステップS10の処理において、親機20からの着信データを受信すると、制御部34はステップST11の処理において着信データに識別符号が付加されているかを判定する。識別符号が付加されていればステップST12の処理においてメモリ37から対応する音源データを読み出す。制御部34は、ステップST12の処理でメモリ37から読み出された音源データをステップST14の処理においてマイク・スピーカ部35に再生出力する。
【0038】
一方、ステップST11の処理において識別符号が付加されていない場合には制御部34はステップS13の処理において子機20に設定してある着信音に基づいてその音源データをメモリ37から読み出す。制御部34は、ステップST13の処理でメモリ37から読み出された音源データをステップST14の処理においてマイク・スピーカ部35に再生出力する。
【0039】
ステップST14の処理において着信音を再生出力すると、子機30は次の通話シーケンス(SQ)に進む。なお、図6において通話シーケンスは一般的なコードレス電話装置の通話手順であり省略されている。
【0040】
尚、この実施例1において、着信時に識別符号を親機20から子機30へ送信する構成としたが、ユーザが親機20に、子機30に対応する識別符号を設定した時点で、親機20から子機30へ識別符号を送信し、子機30は受信した識別符号をメモリに記憶し、それ以降、子機30は着信時には記憶した識別符号に対応する着信音をスピーカ35から送信する構成としても良い。
【0041】
又、親機20から子機30へ識別符号を送信するタイミングとして、所定の時間間隔で送信する構成としても良い。
【0042】
次に本発明の実施例2にかかるコードレス電話装置10について説明する。実施例2はナンバーディスプレイサービスがオンに設定されている場合に発信元電話番号に応じて着信音を切り替え制御する構成である。この実施例2にかかるコードレス電話装置10のハードウエアブロックの構成は図1〜図3に示したコードレス電話装置10と全く同様である。また、子機30のメモリ37に記憶された着信音のデータは図4に示すデータと同様である。
【0043】
ただし、親機20のメモリ27には、図7に示すように各音源データに関連付けてユーザがナンバーディスプレイサービスに登録した電話番号が付加される点が実施例1と異なる。実施例2において、公衆回線Nから着信があると、電話回線制御部21は着信信号を解析して発信元の電話番号がナンバーディスプレイサービスに登録された電話番号であるかを検出する。ナンバーディスプレイサービスに登録された電話番号である場合、制御部24は、発信元電話番号が関連付けられた着信音の音源データの識別符号をメモリ27に記憶された着信音のデータから抽出する。そして、制御部24は子機30に発信元の電話番号を含む着信データを送信する際に、前記のようにして抽出した識別符号を付加して子機30に無線送信する。
【0044】
図8は上記の手順を示す着信音切り替えの手順を示すシーケンス図である。親機20、子機30はそれぞれシーケンスSQ20、SQ21において着信待ち受け状態にある。シーケンスSQ22において公衆回線Nから着信すると、電話回線制御部21で着信検出、ダイアルトーン検出などを行い、発信元電話番号がナンバーディスプレイサービスに対してユーザが登録した電話番号であるかを検出する。ナンバーディスプレイサービスで登録されている発信元からの着信である場合、親機20が着信状態になると、制御部24はシーケンスSQ23で子機20に発信元電話番号を含む着信データを送信する。
【0045】
この時、制御部24は発信元電話番号が関連付けられた着信音の音源データの識別符号をメモリ27に記憶された着信音のデータから抽出する。そして子機30に無線送信する着信データに子機30で出力すべき着信音を指定する識別符号を付加して送信する。子機30は親機20から送信された識別符号が付加された着信データを受信すると、制御部34はシーケンスSQ24で識別符号を判定し、メモリ37から該当する着信音の音源データを読み出す。シーケンスSQ25で子機30が着信状態になると、シーケンスSQ26において制御部34はメモリ37から読み出した音源データをマイク・スピーカ部35で再生出力する。子機30側の着信音切り替え制御の手順は実施例1と同様図6に示すフローチャートの手順である。
【0046】
シーケンスSQ22において電話回線制御部21で発信元電話番号がナンバーディスプレイサービスに対してユーザが登録した電話番号でない場合には、実施例1の通常着信の場合と同様に、制御部24が子機30に発信元電話番号を含む着信信号を送信する際、メモリ27に記憶された着信音切り替え設定情報を参照して選択情報が記憶されている着信音を判定し、その識別符号を着信信号に付加して子機30に送信する。
【0047】
これによって、子機30側においては何ら着信音切り替え操作、着信音切り替え設定を操作することなく、ナンバーディスプレイサービスに登録した電話番号によって予め設定した異なる着信音に切り替えることができるようになる。また、子機30に音源データそのものを記憶しておき再生するものであるから、親機20から着信音のアナログデータを無線通話チャネル経由で送信する従来の方法に比べ、音質が劣化することがない。また、子機において着信音が生成されるタイミングが遅れることもなくなる。
【0048】
上記実施例1、上記実施例2においては通常着信における着信音切り替え制御、ナンバーディスプレイサービスにおける発信元電話番号に応じた着信音切り替え制御の例を説明したが、本発明はそれに限られるものでなく、外線と内線着信によって着信音を切り替える着信音切り替え制御にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明にかかるコードレス電話装置の外観を示す図である。
【図2】本発明の実施例にかかる親機の構成を示すブロック図、
【図3】本発明の実施例にかかる子機の構成を示すブロック図である。
【図4】子機のメモリに記憶される着信音のデータを説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施例1にかかる通常着信における着信音切り替え手順を示すシーケンス図である。
【図6】子機30における着信音切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例2における親機のメモリに記憶される着信音のデータを説明するための説明図である。
【図8】本発明の実施例2にかかるナンバーディスプレイサービス設定時の着信における着信信号切り替え手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0050】
10・・・・コードレス電話装置
20・・・・親機
21・・・・電話回線制御部
22・・・・音声信号処理部
23・・・・無線部
24・・・・制御部
25・・・・マイク・スピーカ部
26・・・・操作・表示部
27・・・・メモリ
28・・・・アンテナ
30・・・・子機
32・・・・音声信号処理部
33・・・・無線部
34・・・・制御部
35・・・・マイク・スピーカ部
36・・・・操作・表示部
37・・・・メモリ
38・・・・アンテナ
N・・・・・公衆回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線に接続される親機と、前記親機と無線接続される子機と、から構成されるコードレス電話装置であって、
前記子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部とを備え、
前記親機は電話回線から着信があった場合、子機に送信する着信データに着信音を特定する識別符号を付加して前記子機に送信することを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項2】
電話回線に接続される親機と、前記親機と無線接続される子機と、から構成されるコードレス電話装置であって、
前記子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部とを備え、
前記親機は子機における着信音を特定する識別符号を設定した際、前記子機に当該識別符号を送信し、子機は親機から送信された前記識別符号をメモリに記憶し、
前記親機は電話回線から着信があった場合、前記子機に着信データを送信し、前記子機はメモリ前記識別符号に対応した着信音を出力することを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項3】
電話回線に接続される親機と、前記親機と無線接続される子機と、から構成され、ナンバーディスプレイ関連サービス設定が可能なコードレス電話装置であって、
前記子機は、親機と双方向通信する無線部と、複数の着信音の音源データを識別符号と対応付けて記憶したメモリと、前記メモリから読み出された音源データを再生出力する出力部とを備え、
前記親機は電話回線から着信があった場合、前記ナンバーディスプレイ関連サービス設定において親機または子機に登録された電話番号を含む着信データを前記子機に送信する際、当該電話番号を含む着信データに着信音を特定する識別符号を付加して前記子機に送信することを特徴とするコードレス電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−13876(P2007−13876A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195249(P2005−195249)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】