説明

コードレスIP電話機およびIP電話システム

【課題】コードレスIP電話機において、契約電話番号に対する着信においては設定された子機を一斉鳴動させ、特定の追加の電話番号に対する着信の場合、該当する子機のみ着信鳴動させる。
【解決手段】コードレスIP電話機の親機200には契約電話番号が付与され、複数の子機300には追加番号サービスによる追加電話番号がそれぞれ付与され、親機200は各子機への着信を制御する着信制御部211を備え、該着信制御部211は各子機300に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させる。また、契約電話番号への着信時には各子機を一斉呼出しして一斉着信鳴動させる。この時、一斉鳴動着信可を設定した子機300のみを一斉着信鳴動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP電話機として機能するコードレスIP電話機およびIP電話システムに関するものであり、特に、コードレスIP電話機が一般のアナログ電話などにおいて提供されている追加番号サービスのように1つの契約電話番号に追加して複数の追加の電話番号を利用する設定がなされ、該コードレスIP電話機の複数の子機にそれぞれの追加の電話番号を割り当てて運用される場合に、契約電話番号への着信に対して子機を一斉着信鳴動させる設定および特定の子機に割り当てられた追加の電話番号への着信に対して該特定の子機のみ着信鳴動させる設定を可能としてIPコードレス電話機およびIP電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークを使用したIP電話サービスが行なわれている。IP電話システムにおいて、音声はデジタル化され、さらにIPパケットに変換され、IPネットワーク上を流れ、通話先まで到達する。通話先において受信されたIPパケットは元の情報に復元され、こうして送り側と通話先との間で通話を行なうことができる。このIP電話システムは、既存の電話網と比べて、運用・保守・管理コストを削減することができるため、広く使用されつつある。
【0003】
このようなIP電話システムとして、現在、VoIP(Voice over Internet Protocol)システムが市販されている。VoIPシステムの代表的な呼制御プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)がある。このSIPのサーバによる呼制御にはINVITEと呼ばれる発信用の制御コマンドがある。INVITEコマンドは発信側のIP電話機より送信先に送られる最初の制御メッセージで、このメッセージには、宛先アドレス、発信者アドレス、通信能力情報のほか発信者名や会社名などを電話機毎に発呼用の付帯情報として着信先に送ることができる。
【0004】
IPネットワークでは、IPアドレスのような機器に割当てられたアドレスを使用することによって相手を一意に認識する必要がある。このため、一般に、SIPサーバと呼ばれる装置を使用する。SIPサーバは、IP電話機に割当てられた電話番号とIPアドレスとを関連付けたデータベースを管理しており、IP電話機からの電話番号の指定に応じ、対応するIPアドレスを検索することによって、通話先のIP電話機のIPアドレスを指定できるようにする。
【0005】
尚、SIPのシステムでは電話番号とIPアドレスをSIPサーバで関連づけているが、H.323のシステムではゲートキーパが電話番号とIPアドレスを関連づけている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2004−147101号公報)に開示されたIP電話システムにおいては、IP電話機の運用開始前に、IP電話機からMACアドレスおよびIPアドレスを受信し、そのネットワークアドレスに含まれるアドレスに基づいて予め設定された電話番号を採番してIP電話機に通知するとともに、電話番号、IPアドレスおよびMACアドレスを関連づけて登録・管理する電話番号採番手段を備えたゲートキーパ装置を開示している。上記特許文献1で開示されたような装置を使用すると、ユーザー端末ごとに、電話番号などの固有のアドレスや設定情報を電源投入時等に自動的に設定することができる。
【0007】
前述のようなIP電話システムにおいて、特定のIP電話機に着信があった場合、相手側(発信側)IP電話機と着信側IP電話機との間で、音声コーデックやパケット長などの接続メディアを確認しあった後に接続、通話が開始される。このプロセスを一般にはネゴシエーションプロセスという。ネゴシエーションプロセスは、例えば現在市販されているVoIP(Voice over Internet Protocol)システムを用いて行われる。
【0008】
一方、最近では、通信コストを削減するため通信料金が安価なIP電話機を導入するオフィスが増加している。更にIP電話システム用の各種機器も比較的低価格になってきており、IP電話システムを設置する家庭も増加している。また、一般の加入者電話においては、代表番号着信、グループ着信、不在登録や不在転送サービスなど、通信事業者が提供するサービスが充実している。また、企業内に設置される構内交換機に同様の機能を搭載する例もある。
【0009】
例えば、下記の特許文献2(特開2004−235778号公報)には上記SIPシステムを用いたIP電話システムが開示されている。このようなSIPシステムによれば、代理応答機能、自動転送機能、一斉呼出し機能など種々の機能を有するIP電話システムを構築することができる。従って、グループ電話番号と当該グループ電話番号に着信した通話を接続させる複数のIP電話機とをグループとして設定し、当該グループ電話番号に対する着信をグループ設定したIP電話機の何れかに着信させるシステムとすることができる。
【0010】
また、家庭内にIP電話システムを設置した場合、IP電話システムに接続されるIP電話機として、単なる固定電話でなく、複数の子機を無線接続することができるコードレス電話機を設置すると、子機を複数の部屋にそれぞれ置いておくことができ便利であり、IP電話機として機能するコードレスIP電話機も提供されている。
【特許文献1】特開2004−147101号公報
【特許文献2】特開2004−235778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、一般のアナログ加入者電話などにおいては、1つの契約電話番号に追加して複数の追加の電話番号を利用することができる追加番号サービスが提供されている。コードレス電話機を用いて追加番号サービスの提供を受けると、複数の子機に複数の追加の電話番号を個別に割り当て家族のそれぞれが利用するようにできる。すなわち、子機に割り当てた追加の電話番号を家族のそれぞれが専用に利用することができる。
【0012】
家庭内に設置したIP電話システムのIP電話機としてコードレスIP電話機を用いて前述と同様の追加番号サービスを利用する場合、各子機には特定の追加の電話番号が割り当てられており、家族のそれぞれが特定の子機(特定の追加の電話番号)を使用することから、親機が着信に際して子機を区別して呼び出し着信鳴動させることができると好都合である。
【0013】
すなわち、親機が着信電話番号に対して子機を呼び出して着信鳴動させる際に、契約電話番号に対する着信と複数の追加の電話番号に対する着信がある。契約電話番号に対する着信においては全ての子機を一斉鳴動させ、特定の追加の電話番号に対する着信の場合、該当する子機のみ着信鳴動させるように子機呼び出しを行うことができると着信を子機側で区別でき好都合である。しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に開示されたIP電話機においてはこのような考慮がなされておらず、子機側で着信を区別することができないという問題点があった。
【0014】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、複数の子機にそれぞれの追加の電話番号を割り当てて運用されるコードレスIP電話機において、契約電話番号への着信に対して子機を一斉着信鳴動させる設定および特定の子機に割り当てられた追加の電話番号への着信に対して該特定の子機のみ着信鳴動させる設定を可能となせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、複数の子機にそれぞれの追加の電話番号を割り当てて運用されるコードレスIP電話機において、契約電話番号に対する着信においては全ての子機を一斉鳴動させ、特定の追加の電話番号に対する着信の場合、該当する子機のみ着信鳴動させるようにしたコードレスIP電話機およびIP電話システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、親機と複数の子機を有するコードレスIP電話機が接続されたIP電話システムにおいて、前記コードレスIP電話機の親機には契約電話番号が付与され、前記複数の子機には追加番号サービスによる追加電話番号がそれぞれ付与され、前記親機は各子機への着信を制御する着信制御部を備え、該着信制御部は各子機に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とする。
【0017】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるIP電話システムにおいて、更に、前記着信制御部は、契約電話番号に対する着信時には、複数の子機を一斉に呼出し、一斉着信鳴動させることを特徴とする。
【0018】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかるIP電話システムにおいて、前記各子機は、一斉呼出しにおける一斉着信鳴動の可否を設定する子機設定登録部を備え、前記親機の着信制御部は契約電話番号に対する着信時には、前記一斉着信鳴動が可に設定された子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項4にかかる発明は、IP電話システムに接続され、親機と複数の子機を有するコードレスIP電話機において、前記コードレスIP電話機の親機には契約電話番号が付与され、前記複数の子機には追加番号サービスによる追加電話番号がそれぞれ付与され、前記親機は各子機への着信を制御する着信制御部を備え、該着信制御部は各子機に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とする。
【0020】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかるコードレスIP電話機において、更に、前記着信制御部は、契約電話番号に対する着信時には、複数の子機を一斉に呼出し、一斉着信鳴動させることを特徴とする。
【0021】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかるコードレスIP電話機において、前記各子機は、一斉呼出しにおける一斉着信鳴動の可否を設定する子機設定登録部を備え、前記親機の着信制御部は契約電話番号に対する着信時には、前記一斉着信鳴動が可に設定された子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、請求項4にかかる発明においては、コードレスIP電話機の親機には契約電話番号が付与され、前記複数の子機には追加番号サービスによる追加電話番号がそれぞれ付与され、前記親機は各子機への着信を制御する着信制御部を備え、該着信制御部は各子機に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させる。
【0023】
このような構成によれば、追加電話番号への着信に対しては該追加電話番号が割り当てられた子機のみを着信鳴動させ、子機ユーザーは自子機に対する着信のみを識別できるようになる。
【0024】
請求項2、請求項5にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項4にかかる発明において、更に、前記着信制御部は、契約電話番号に対する着信時には、複数の子機を一斉に呼出し、一斉着信鳴動させる。また、請求項3、請求項6にかかる発明においては、それぞれ請求項2、請求項5にかかる発明において、子機は、一斉呼出しにおける一斉着信鳴動の可否を設定する子機設定登録部を備え、前記親機の着信制御部は契約電話番号に対する着信時には、前記一斉着信鳴動が可に設定された子機を呼出し、着信鳴動させる。
【0025】
このような構成によれば、契約電話番号の着信に対しては各子機を一斉着信鳴動させることができる。また、子機設定登録において一斉着信鳴動を可と設定した子機のみを契約電話番号への着信に対して一斉着信鳴動させるようにすることができる。この結果、子機のユーザーの好みにより自子機宛ての着信のみ着信鳴動させ、契約電話番号宛ての着信に対しては一斉着信鳴動させないようにすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのコードレスIP電話機およびIP電話システムを例示するものであって、本発明をこの実施例のコードレスIP電話機およびIP電話システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のコードレスIP電話機およびIP電話システムにも等しく適用し得るものである
【実施例】
【0027】
図1は、本発明のコードレスIP電話機を備えたIP電話システムの全体概略図である。コードレスIP電話機を備えたIP電話システムは、LAN等のネットワーク1にそれぞれ接続された複数のコードレスIP電話機10、設定管理サーバ20、接続制御サーバ30、管理者用PC装置40を備える。図1では、一例として三台のコードレスIP電話機(コードレスIP電話機A、コードレスIP電話機B、コードレスIP電話機C)が接続されている。
【0028】
図2は、ネットワークに接続された設定管理サーバ20の全体概略図である。設定管理サーバ20は、ネットワーク1に接続された各IP電話機10を動作させるための各種設定情報(IPアドレス、MACアドレス、サーバ設定情報など)を管理したり、各IP電話機を使用するユーザーに関する情報(ユーザーID、パスワード、ユーザー設定情報、ユーザー入力情報など)を管理したりするものであり、管理者の準備するサーバ用コンピュータ、パーソナルコンピュータと必要なソフトウエアを使用して構成することができる。設定管理サーバ20は、ネットワーク制御部21、メイン制御部22、ユーザー認証部23、設定要求処理部24、登録要求処理部25、データベース管理部26を備える。さらに設定管理サーバ20は、ユーザー管理テーブル27、端末管理テーブル28、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から成る管理データベースを備える。
ネットワーク制御部21は、設定管理サーバ20をネットワークに接続し、ネットワーク1に接続された各IP電話機10と通信を可能にするためのものであり、設定管理サーバ20において生成されるデータを適切なデータ形式に変換し、各IP電話機10等に送信し、また、IP電話機10からの信号を受信し、設定管理サーバ20で使用できる形式に変換するものである。メイン制御部22は、設定管理サーバ20の各種制御・処理を実行するものであり、図示しないメモリに記憶されたプログラムを、図示しないCPUによって実行することにより実現される。
【0029】
ユーザー認証部23は、各IP電話機10から認証時にユーザーが入力したユーザー認証情報(ユーザーIDとパスワード)を含むログイン要求を受信した際に、ユーザー管理テーブル27にアクセスし、権限があるかどうか判定を行なう。設定要求処理部24は、各IP電話機10からログイン要求・ログアウト要求等各種設定要求を受信した場合に、それを解読し各種処理を実行する。登録要求処理部25は、後述するが、ユーザー管理テーブル27に記憶されているユーザーごとに割当てられた電話番号と、ログイン要求を受信したIP電話機のIPアドレスとを関連付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録するとともに、接続制御サーバ30に上記電話番号とIPアドレスとを登録し、通話が行なえるようにする。
【0030】
また、各IP電話機10から受信するログアウト要求に応じて、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から登録を削除するとともに、接続制御サーバ30へ上記電話番号とIPアドレスの登録削除要求を送出する。なお、ここで設定管理サーバ20は各種設定情報やユーザー情報を管理し、登録・登録削除の処理を行ない、接続制御サーバ30は管理サーバ20によって行なわれる登録情報に基づいてIP電話機の接続を主に行なうものとしたが、接続制御サーバ30と管理サーバ20を一つの装置にまとめ、各種設定情報またユーザー情報の管理と接続制御を一つの装置において動作させてもよい。
【0031】
本実施例においてIP電話機10はコードレスIP電話機であり親機と複数の子機から構成される。また、コードレスIP電話機は追加番号サービス登録したコードレスIP電話機であって、親機には契約電話番号が付与され(割り当てられ)、各子機にはそれぞれ追加の電話番号が付与(割り当てられ)ている。以下、このコードレスIP電話機の構成について説明する。
【0032】
図3、図4は、本発明の実施例にかかるコードレスIP電話機の親機200および子機300の構成を示すブロック図である。親機200は、図3に示すようにVoipエンジン(Voip EG)230を備え、LANインターフェイス(IF)240を介してLAN等のネットワークに接続されている。
親機200は、音声出力のためのスピーカ201、音声入力のためのマイク202、音声コーデック203を備え、音声コーデック203は音声の符号化と複合化、すなわち音声のアナログとデジタルの変換を行っている。この音声コーデック203はその他に受話音量やマイクの感度変更の機能を備えている。無線部220は、アンテナを介して子機300との間で発信信号、着信信号、送話音声信号、受信音声信号を通信する。
【0033】
また、親機200は、ディスプレイパネルによる表示部204と、主としてプッシュ釦などから構成される入力部205と、ROM206、RAM207、EEPROM208、無線部220を備えている。主制御部210はマイクロプロセッサ等のコンピュータ装置で構成され、ROM206やEEPROM208に蓄積された制御プログラムや各種設定値に基づいて各部の制御を行う。また、主制御部210はRAM207に各部の処理において必要なデータ類を一時記憶する。
【0034】
主制御部210は、各子機への着信を制御する着信制御部211を有する。該着信制御部211は各子機に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させる。また、契約電話番号に対する着信時には、複数の子機を一斉に呼出し、一斉着信鳴動させる。各子機の呼出し、着信鳴動は一般のコードレス電話機と同様に、着信データに含まれる着信先の電話番号に基づき行われる。
【0035】
更に、着信制御部211は、以下に説明する子機設定登録情報に基づいて、契約電話番号への着信時に一斉着信鳴動させる子機を特定して着信制御する。すなわち、子機設定において契約電話番号に対する着信時の一斉着信鳴動を可と設定した子機300を特定して一斉着信鳴動させ、一斉着信鳴動を不可と設定した子機300は一斉着信鳴動させないように着信制御することもできる。
【0036】
一方、子機300は図4に示すように、音声信号処理部302、無線部303、制御部304、マイク・スピーカ部305、操作・表示部306、メモリ307、アンテナ308を備えて構成されている。制御部304はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、図示していないROM、RAMを備えている。ROMには各部動作を制御するプログラムを記憶しており、制御部304が親機200と通信するためのプログラムなども書き込まれている。RAMには制御部304の動作に必要な情報を記憶する。
【0037】
音声信号処理部302は受話音声信号を処理してマイク・スピーカ部305を介して出力し、あるいは、マイク・スピーカ部305を介して入力された送話音声を処理して音声信号に変換して送出する。無線部303はアンテナ308を介して親機200との間で発信信号、送話音声信号、受信音声信号を通信する。
【0038】
操作・表示部306は、ディスプレイ、機能キー、数字キーなどから構成され、数字キーは発信の際の電話番号入力に用いられ、機能キーは種々の機能を選択したり設定したりするために用いられる。すなわち、機能キーを操作してディスプレイに所望の機能設定画面を表示して子機300における種々の機能設定をすることができる。この子機設定登録の各項目の設定内容はメモリ307の子機設定登録部371に登録される。
【0039】
制御部304は、着信検出制御部341を有しており、親機200からの着信呼出しを検出して着信鳴動させ、自子機に対して応答操作が行われると、着信接続を確立して発信元との通話を開始する。メモリ307には子機300の各種機能の設定状況が記憶される他、ユーザーが入力する電話帳、短縮ダイヤルの登録情報を記憶することができる。
【0040】
図5は、子機設定登録部371に登録する子機設定の項目の一例を示す図である。子機設定の項目には、図5に示すように、子機の名前(子機名前)、指定着信番号、一斉着信鳴動の可否などを登録することができ、指定着信番号には設定内容の欄に示すように当該子機300に付与された追加電話番号が設定される。また、一斉着信鳴動の可否登録の項目には、契約電話番号への着信に対して当該子機を一斉着信鳴動の対象とするか否かを設定することができる。図5に示す子機の場合、一斉着信鳴動を可とする設定がなされている。この子機設定登録の情報は親機200に送られ、親機200はこの子機設定登録に従って着信制御する。
【0041】
図6は、親機300における子機の呼出し、着信鳴動制御の手順を示すフローチャートである。着信制御部211は、ステップS11の処理において接続制御サーバ30を介して送信される情報を受け、自機に対する着信であるかを判別する。着信でない場合、ステップS12に進み、送信された情報に対する処理を行い、ステップS11の処理を繰り返す。
【0042】
ステップS11の判定処理において自機に対する着信であると判定すると、ステップS13の処理において接続制御サーバ30からの受信情報に基づいて着信先の電話番号を検出する。そしてステップS14の判定処理に進み、検出した着信先の電話番号が契約電話番号か、あるいは、各子機に割り当てられた追加電話番号か、を判定する。
【0043】
着信先の電話番号が契約電話番号である場合、ステップS16の処理に進み各子機300を一斉に呼び出して一斉着信鳴動をさせる。契約電話番号に対する着信でない場合はステップS15の処理に進み、着信電話番号すなわち追加電話番号に対応した子機300を呼出して着信鳴動させる。
【0044】
なお、ステップS16の一斉着信鳴動の処理において、着信制御部211は各子機300の子機設定登録のデータを参照して、一斉着信鳴動を可と設定した子機のみを一斉着信鳴動させる。この結果、契約電話番号に対する着信時に、一斉着信鳴動を不可と設定した子機300には一斉着信鳴動が行われず、前記のように不可を設定した子機300のユーザーは該子機に割り当てられた追加電話番号への着信時のみ着信鳴動が行われ、着信識別ができるようになる。
【0045】
そして、主制御部210は、ステップS17の処理において呼出しした子機からの応答有無を判定する。各子機300から応答がなければステップS17の処理を繰り返し、特定の子機300からの応答を検出すると、ステップS18の処理において該子機300の着信接続を確立して通話を開始する。次いで、ステップS19の処理において通話が終了したかを判定し、通話が終了していなければステップS18の処理に戻り、通話が終了したことが判定されると処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、本発明によれば、IP電話システムに接続され、追加番号サービス登録されたコードレスIP電話機において、追加電話番号への着信に対しては該追加電話番号が割り当てられた子機のみを着信鳴動させ、契約電話番号の着信に対しては各子機を一斉着信鳴動させることができる。また、子機設定登録において一斉着信鳴動を可と設定した子機のみを契約電話番号への着信に対して一斉着信鳴動させるようにすることができる。この結果、子機のユーザーの好みにより自子機宛ての着信のみ着信鳴動させ、契約電話番号宛ての着信に対しては一斉着信鳴動させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例にかかるコードレスIP電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】IP電話システムにおける設定管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかるコードレスIP電話機の親機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかるコードレスIP電話機の子機の構成を示すブロック図である。
【図5】子機設定登録部に設定される子機設定内容の一例を示す図である。
【図6】コードレスIP電話機の親機における子機呼出し、着信制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10・・・・コードレスIP電話機
200・・・親機
201・・・スピーカ
202・・・マイク
203・・・音声コーデック
204・・・表示部
205・・・入力部
206・・・ROM
207・・・RAM
208・・・EEPROM
210・・・主制御部
211・・・着信制御部
220・・・無線部
230・・・Voipエンジン
240・・・LANインタフェース(IF)
300・・・子機
302・・・音声信号処理部
303・・・無線部
304・・・制御部
341・・・着信検出制御部
305・・・マイク・スピーカ部
306・・・操作・表示部
307・・・メモリ
371・・・子機設定登録部
20・・・・設定管理サーバ
30・・・・接続制御サーバ
40・・・・管理者PC装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と複数の子機を有するコードレスIP電話機が接続されたIP電話システムにおいて、
前記コードレスIP電話機の親機には契約電話番号が付与され、前記複数の子機には追加番号サービスによる追加電話番号がそれぞれ付与され、
前記親機は各子機への着信を制御する着信制御部を備え、該着信制御部は各子機に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とするIP電話システム。
【請求項2】
更に、前記着信制御部は、契約電話番号に対する着信時には、複数の子機を一斉に呼出し、一斉着信鳴動させることを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項3】
前記各子機は、一斉呼出しにおける一斉着信鳴動の可否を設定する子機設定登録部を備え、
前記親機の着信制御部は契約電話番号に対する着信時には、前記一斉着信鳴動が可に設定された子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とする請求項2に記載のIP電話システム。
【請求項4】
IP電話システムに接続され、親機と複数の子機を有するコードレスIP電話機において、
前記コードレスIP電話機の親機には契約電話番号が付与され、前記複数の子機には追加番号サービスによる追加電話番号がそれぞれ付与され、
前記親機は各子機への着信を制御する着信制御部を備え、該着信制御部は各子機に割り当てられた追加電話番号への着信時に該当する子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とするコードレスIP電話機。
【請求項5】
更に、前記着信制御部は、契約電話番号に対する着信時には、複数の子機を一斉に呼出し、一斉着信鳴動させることを特徴とする請求項4に記載のコードレスIP電話機。
【請求項6】
前記各子機は、一斉呼出しにおける一斉着信鳴動の可否を設定する子機設定登録部を備え、
前記親機の着信制御部は契約電話番号に対する着信時には、前記一斉着信鳴動が可に設定された子機を呼出し、着信鳴動させることを特徴とする請求項5に記載のコードレスIP電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−187568(P2008−187568A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20519(P2007−20519)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】