説明

コーナーカット検査装置

【課題】搬送するシートが正しい状態として搬送されているか否か簡単に判定できるようにしたコーナーカット検査装置を提供する。
【解決手段】搬送手段3と、搬送位置を検知する検知手段3と、搬送されるシート状印刷物の先頭部分の両端角部において、搬送方向に対して垂直する直線上の同位置のコーナーカットの有無を判別するための2つのセンサ6a、6bと、2つのセンサ6a、6bで検知する2つの出力波形の立ち上がりの順番情報が予め登録された記憶手段11と、前記出力波形の立ち上がりの順番情報と、登録されている出力波形の立ち上がりの順番情報とを比較する比較手段7と、比較処理で不一致の際に警報を発生させる警報手段10と、比較処理で不一致の際にシート状印刷物の搬送を停止させる停止手段8と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーナーカットが設けられたシート状印刷物を搬送して処理する装置であって、シート状印刷物が正しい状態で搬送されているか否かを検査するコーナーカット検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状印刷物を搬送させながら様々な処理を行う場合において、種々の原因により、そのシート状印刷物が予め定めた進行方向で搬送されていない場合や、予め定めた表裏面の状態と異なる表裏の状態で搬送されてしまうなどの問題が発生することがある。
このような場合には、シート状印刷物の搬送処理を停止させたり、警報音を発生させるなどして係員に知らせて、正しい状態に修正したり、取り除くなどして迅速に対応する必要がある。
【0003】
従来から、搬送装置により搬送されるコーナーカットを有するシートの搬送状態を管理する方法として、搬送部の所定位置にセンサを設置し、通過するシートにレーザー光を照射して、受光部での受光状態により正常な状態で搬送されているか否かを判定する方法が知られている。(例えば、特許文献1〜4、参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−148985号公報
【特許文献2】特開昭59−189475号公報
【特許文献3】特開昭60−144882号公報
【特許文献4】特開平2−23321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送するシートにレーザー光を照射して、その受光状態でシートが正しい状態として搬送されているか否かを判定するには、複雑な処理をしなければならいという問題があった。
そこで、本発明は、搬送するシートにレーザー光を照射して、その受光状態でシートが正しい状態として搬送されているか否かの判定を簡単に行うことができるようにしたコーナーカット検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコーナーカット検査装置は、搬送手段により搬送されてくるシート状印刷物に対して、該シート状印刷物のコーナーカットの有無と、搬送状態が予め登録した状態で搬送されているか否かを検査するコーナーカット検査装置であって、前記シート状印刷物を搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送されてくる前記シート状印刷物の搬送位置を検知する検知手段と、前記搬送手段で搬送されてくる前記シート状印刷物に対して、前記搬送方向に対して垂直となるように設置され、該シート状印刷物の先頭部分の両端角部のコーナーカットの有無を判別するための2つのセンサと、前記2つのセンサからのそれぞれの出力波形の立ち上がりの順番情報が予め登録された記憶手段と、前記2つのセンサのそれぞれからの出力波形の立ち上がりの順番情報と、前記記憶手段に登録されている出力波形の立ち上がりの順番情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較処理で不一致となった場合に、警報を発生させる警報手段と、前記比較手段による比較処理で不一致となった場合に、前記搬送手段によるシート状印刷物の搬送を停止させる停止手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のコーナーカット検査装置は、前記センサは、レーザーセンサであって、レーザーセンサに照射されるレーザー光が前記シート状印刷物の搬送方向に対して垂直となるように設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明のコーナーカット検査装置は、記憶手段に、2つのセンサで検知する2つの出力波形の立ち上がりの順番情報が予め登録させておき、前記2つのセンサで検知した出力波形の立ち上がりの順番情報と、前記記憶手段に登録されている出力波形の立ち上がりの順番情報とを比較することで、搬送しているシートが正しい状態で搬送されているのか否かの判定を簡単に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のコーナーカット検査装置で搬送するシート状印刷物の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコーナーカット検査装置の搬送部分の平面図である。
【図3】図2にA−A線断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコーナーカット検査装置のシステムブロック図である。
【図5】本発明のコーナーカット検査装置で搬送するシート状印刷物を複数積み上げた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るコーナーカット検査装置で搬送するシート状印刷物の状態と、レーザーセンサで検知した出力波形との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るコーナーカット検査装置を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明のコーナーカット検査装置は、図1に示すように、略矩形状を有し、その1つの角部にコーナーカット2aを有するシート状印刷物2を搬送する機能を備えている装置からなる。
1つの角部にコーナーカット2aを有するシート状印刷物2は、そのシート状印刷物を搬送する場合のコーナーカット2aの位置として、次の4種類の位置のいずれかの状態となる。
【0011】
まず、図1(a)に示す状態では、コーナーカット2aを左上となるように位置させた場合の状態が示されており、図1(b)に示す状態では、コーナーカット2aを左下となるように位置させた場合の状態が示されており、図1(c)に示す状態では、コーナーカット2aを右上となるように位置させた場合の状態が示されており、図1(d)に示す状態では、コーナーカット2aを右下となるように位置させた場合の状態が示されている。
このようにコーナーカット検査装置でシート状印刷物を搬送する場合には、上記のように、シート状印刷物が上記(a)〜(d)の状態のいずれかの状態として搬送されることになる。
【0012】
通常、複数のシート状印刷物を搬送して処理する場合には、図5に示すように、搬送された後に複数のシート状印刷物を重ねた際に、それらのシート状印刷物2のコーナーカット2aの部分が同一側の位置となるように揃っているか否かをポイントにして、検査員による目視による確認や、またセンサなどの機械的な処理により検査することで確認することができるようにしてある。
つまり、搬送処理を行う前の状態が、図5に示すようにシート状印刷物2のコーナーカット2aの部分が同一側の位置となるように揃えた状態から、1枚ずつ搬送処理して、搬送後にも図5に示すように、シート状印刷物2のコーナーカット2aの部分が同一側の位置となるように揃っていれば、正しく搬送処理されたことになる。
【0013】
したがって、複数のシート状印刷物を搬送して処理する際に、上記した4種類のコーナーカットの位置のうち、予めいずれかを正しい位置であると任意に設定することで様々な状態について、搬送状態を確認することができる。
尚、このコーナーカット検査装置の実施形態の説明においては、一例として、図1(a)に示す左上のコーナーカット2aの位置を正しい状態であると設定して説明する。
【0014】
本発明のコーナーカット検査装置1は、搬送手段により搬送されてくるシート状印刷物に対して、コーナーカット2aの有無と、搬送状態が予め登録した状態で搬送されているか否かを検査する機能を有するもので、図2〜図4に示すように、シート状印刷物2を搬送する搬送手段3と、搬送手段3で搬送されてくるシート状印刷物2の搬送位置を検知する検知手段4と、搬送方向に対して垂直する直線上の同位置にコーナーカットの有無を判別するための2つのセンサ6a,6bと、2つのセンサで検知した出力波形の立ち上がりの順番情報と、前記記憶手段11に登録されている出力波形の立ち上がりの順番情報と、を比較する比較手段7と、を有している。
【0015】
コーナーカットの有無を判別するための2つのセンサ6a,6bとしては、従来から公知の種々のセンサを採用することができる。
本実施形態では、2つのセンサ6a,6bとしてレーザーセンサを用いた例を示しているので、2つのセンサ6a,6bの上方に、2つのレーザー照射手段5a,5bを備えている。
これらのセンサとしては、上記の他に例えば、投受光センサや反射センサなどを使用してもよい。
また、2つのセンサ6a,6bで検知した出力波形の立ち上がりの順番情報と、前記記憶手段11に登録されている出力波形の立ち上がりの順番情報と、を比較する比較手段7と、を有している。
【0016】
更に、本発明のコーナーカット検査装置1は、比較手段7による比較処理で不一致となった場合に、前記搬送手段によるシート状印刷物の搬送を停止させる停止手段8と、検知手段4で前記シート状印刷物の搬送位置を検知したタイミングに合わせて、2つのレーザー照射手段からレーザー光を照射させるように制御する制御手段9と、比較手段7による比較処理で不一致となった場合に、警報を発生させる警報手段10と、2つのセンサ6a,6bで検知する2つの出力波形の立ち上がりの順番情報が予め登録された記憶手段11と、を有している。
【0017】
搬送手段3は、図2に示すようにシート状印刷物2を載せて搬送するベルトコンベア3aを有している。
また、この搬送手段3のベルトコンベア3aは、シート状印刷物2を搬送させる進行方向に対して、シート状印刷物2の幅寸法が短く設定されており、ベルトコンベア3a上にシート状印刷物2を載せて搬送させた場合に、進行方向に対してシート状印刷物2の両側部分がベルトコンベア3aからはみ出した状態となるようにして搬送させるようになっている。
【0018】
そして、図2及び図3に示すように、2つのレーザー照射手段5a,5bから照射されたレーザー光は、ベルトコンベア3aの進行方向に対して両側の位置であって、シート状印刷物2の両側部分がベルトコンベア3aからはみ出した部分を照射するように設置され、2つのレーザー照射手段5a,5bから照射されたレーザー光が、その下側に設けられた2つのセンサ6a,6bで受光できるように構成されている。
つまり、2つのレーザー照射手段5a,5bから照射されたレーザー光は、搬送されるシート状印刷物2のコーナーカット2aが形成される部分に照射させるように構成されている。
【0019】
上記のように、2つのレーザー照射手段5a,5bから照射されたレーザー光が、その下側に設けられた2つのセンサ6a,6bで受光するが、2つのセンサ6a,6bで受光された状態を出力波形として示すと、シート状印刷物2の向きによって上記4種類の状態に対して、それらのシート状印刷物2の向きに対応する出力波形は、図6に示すようになる。
【0020】
まず、この実施形態では、この出力波形において、センサ6a,6bがレーザー照射手段5a,5bから照射されたレーザー光を受光しない場合に比較して、レーザー光を受光した場合には、高い波形となるように設定されている。
図6(a)〜(d)において、上下に並んでいる2つの波形のうち、上側に示されている波形12aが、レーザーセンサ6aの受光に対応し、下側に示されている波形12bが、レーザーセンサ6bの受光に対応するものである。
【0021】
まず、図6(a)では、シート状印刷物2を、コーナーカット2aを左上となるようにして搬送させた場合が示されているが、この場合には、レーザーセンサ6bでの受光がレーザーセンサ6aよりも先に受光できないために、波形でも下側に示す波形12bが先に立ち上がる状態となっている。
【0022】
次に、図6(b)では、シート状印刷物2を、コーナーカット2aを左下となるようにして搬送させた場合が示されているが、この場合には、レーザーセンサ6aでの受光がレーザーセンサ6bよりも先に受光できないために、波形でも上側に示す波形12aが先に立ち上がる状態となっている。
【0023】
次に、図6(c)では、シート状印刷物2を、コーナーカット2aを右上となるようにして搬送させた場合が示されているが、この場合には、2つのレーザーセンサ6a,6bが同時に受光できない状態となるが、その後、レーザーセンサ6aが先に受光可能になるので、上側に示す波形12aが先に下がる状態となっている。
【0024】
次に、図6(d)では、シート状印刷物2を、コーナーカット2aを右下となるようにして搬送させた場合が示されているが、この場合には、2つのセンサ6a,6bが同時に受光できない状態となるが、その後、センサ6bが先に受光可能になるので、下側に示す波形12bが先に下がる状態となっている。
【0025】
上記のように、シート状印刷物2をコーナーカット2aの位置を4種類の異なった位置となるようにして搬送させた場合には、2つのセンサ6a,6bが受光する順番によって4種類の異なる波形が示されることになる。
このことから、記憶手段11には、予め4種類の異なる波形の中から1つの波形を正しい波形として登録されている。
【0026】
次に、本発明のコーナーカット検査装置1の処理手順につい説明する。
コーナーカット検査装置1の電源を入れて、複数のシート状印刷物2を搬送手段3により順時搬送させる。
検知手段4でシート状印刷物2の搬送位置を検知したタイミングに合わせて、2つのレーザー照射手段5a,5bからレーザー光を照射させる。
2つのレーザー照射手段5a,5bから照射されたレーザー光は、2つのセンサ6a,6bで受光することで、その受光状態を信号波形として一時的に記憶させる。
【0027】
次に、予め記憶手段11に登録されている波形と、一時的に記憶した波形とを比較手段7により比較処理する。
この比較処理で2つの波形が一致した場合には、正しい状態でシート状印刷物2が搬送されているものとして順時搬送が継続する。
しかしながら、この比較処理で2つの波形が不一致した場合には、停止手段8により搬送が停止されると共に、警報手段10による警報音が鳴らされる。
警報手段10による警報音が鳴った場合には、係員がシート状印刷物2を正しい状態に直すなどして再度搬送処理を行う。
【0028】
上記のようにして、本発明のコーナーカット検査装置1は、間違えた状態でシート状印刷物2が搬送されている場合でも、自動的に搬送が停止すると共に、警報で異常が生じたことを知らせてくれるので、安心して搬送処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 コーナーカット検査装置
2 シート状印刷物
2a コーナーカット
3 搬送手段
4 検知手段
5a,5b レーザー照射手段
6a,6b センサ
7 比較手段
8 停止手段
9 制御手段
10 警報手段
11 記憶手段
12a,12b 波形


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送されてくるシート状印刷物に対して、該シート状印刷物のコーナーカットの有無と、搬送状態が予め登録した状態で搬送されているか否かを検査するコーナーカット検査装置であって、
前記シート状印刷物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送されてくる前記シート状印刷物の搬送位置を検知する検知手段と、
前記搬送手段で搬送されてくる前記シート状印刷物の先頭部分の両端角部のコーナーカットの有無を判別するための2つのセンサと、
前記2つのセンサからのそれぞれの出力波形の立ち上がりの順番情報が予め登録された記憶手段と、
前記2つのセンサのそれぞれからの出力波形の立ち上がりの順番情報と、前記記憶手段に登録されている出力波形の立ち上がりの順番情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較処理で不一致となった場合に、警報を発生させる警報手段と、
前記比較手段による比較処理で不一致となった場合に、前記搬送手段によるシート状印刷物の搬送を停止させる停止手段と、
を備えていることを特徴とするコーナーカット検査装置。
【請求項2】
前記センサは、レーザーセンサであって、レーザーセンサに照射されるレーザー光が前記シート状印刷物の搬送方向に対して垂直となるように設置されていることを特徴とする請求項1記載のコーナーカット検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−24709(P2012−24709A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166644(P2010−166644)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】