説明

コーン部材とコーン型標示具及びそれを使用した区画装置

【課題】 コーン型標示具を構成するコーン部材であって、不使用時には折り畳むことができ、また立体的に組み立てたときに先部側が潰れずに筒状に開くようにすることにより、先部側が潰れて折れ曲がったものと比べ、製品としての見た目が良く、風に対する抵抗も小さくなるようにしたもの等に関する。
【解決手段】 コーン部材1でコーン型標示具A1を構成できる。コーン部材1は、自立性を有し、折り畳むことができるシート状材料で形成されている。コーン部材1の先端には開口部3が設けてある。開口部3の周りには、組み立てた際に開口部3が開くようにするための所要数の折り目4,4が、または組み立てた際にコーン部材1の先部側が潰れることを防止するための所要数の折り目4,4が開口部3から底部側に向けて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーン部材とコーン型標示具及びそれを使用した区画装置に関する。
更に詳しくは、コーン型標示具を構成するコーン部材であって、不使用時には折り畳むことができ、また立体的に組み立てたときに先部側が潰れずに筒状に開くようにすることにより、先部側が潰れて折れ曲がったものと比べ、製品としての見た目が良く、風に対する抵抗も小さくなるようにしたもの等に関する。
【0002】
また、コーン部材と共に仕切区域を形成するための仕切用テープをコーン部材の先部側に装着した場合に、仕切用テープがコーン部材から簡単に外れてしまうことを防止できるようにしたもの等に関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、交通規制や危険な場所の区画表示に「セーフティコーン」と呼ばれるコーン型標示具が使用されている。通常、コーン型標示具の本体部分であるコーン部材は肉厚のプラスチック製で相当の重量があるが、近年では、ダンボール等の紙製素材を使用して軽量化を図ったものが提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載のものは、土台から取り外したコーン部材を三角形状に薄く畳むことができる。コーン部材は先部側も薄く畳めるように、先端に開口部を有している。
【特許文献1】特開2003−206515号公報(第6図及び第8図)
【0004】
一方、コーン型標示具と共に仕切区域を形成するため、所要間隔で並べたコーン型標示具の先端部分を棒状の連結具で連結することが行われている。近年では、この連結具の代わりに、コーン型標示具の先部側に嵌め入れて使用する仕切用テープが提案されている(特許文献2)。この仕切用テープの長手方向には、コーン部材に嵌め入れるための管状の嵌入部が所要間隔で複数設けてある。嵌入部は上方へすぼまるように形成されている。これにより、コーン部材の先端から強く嵌め込むと、嵌入部の内面全体がコーン部材の表面に密着して嵌入部の口部が締まり、しっかりと固定される。
【特許文献2】特開平11−336033号公報(第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載された紙製のコーン型標示具を実際に使用してみると、次のような課題があることが分かった。
【0006】
コーン部材の先部側は細くすぼまっているため、畳んだコーン部材を開いて組み立てても、図12に示すように、先端の開口部91がうまく開かずに、横に曲げ皺92が入った状態で先部側が潰れて折れ曲がりやすい。先部側が潰れて曲がったものは見た目が悪く、風に対する抵抗が大きいだけではなく、上記した仕切用テープを装着しても、仕切用テープをしっかりと固定することができない。即ち、先端側が潰れているために、管状の嵌入部をコーン部材に嵌め込んでも嵌入部の内面全体がコーン部材の表面に密着せず、その結果、嵌入部の口部が締まらずに簡単に抜けてしまう。
【0007】
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、コーン型標示具を構成するコーン部材であって、不使用時には折り畳むことができ、また立体的に組み立てたときに先部側が潰れずに筒状に開くようにすることにより、先部側が潰れて折れ曲がったものと比べ、製品としての見た目が良く、風に対する抵抗も小さくなるようにすることにある。
【0008】
本発明の他の目的は、コーン部材と共に仕切区域を形成するための仕切用テープをコーン部材の先部側に装着した場合に、仕切用テープがコーン部材から簡単に外れてしまうことを防止することにある。
【0009】
また本発明の他の目的は、仕切区域を形成するために仕切用テープを使用しているときは、コーン部材から仕切用テープが簡単に外れないようにし、仕切用テープを使用しないときにはコーン部材から仕切用テープを取り外せるようにすることにある。
【0010】
更に本発明の他の目的は、コーン部材と、コーン部材に着脱可能なベース部材を備えたコーン型標示具であって、コーン部材がベース部材から簡単に外れることを防止することにある。
【0011】
また更に本発明の他の目的は、上記したコーン部材を備えたコーン型標示具及び区画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
なお、後述する作用の説明の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、各構成要件を図面記載のものに限定するものではない。
【0013】
第1の発明にあっては、
コーン型標示具(A1)(A2)(A3)を構成するコーン部材であって、
自立性を有し、折り畳むことができるシート状材料で形成されており、
コーン部材(1)(1a)(1b)の先端に開口部(3)を備え、該開口部(3)の周りには、組み立てた際に開口部(3)が開くようにするための所要数の折り目(4,4)が、または組み立てた際にコーン部材(1)(1a)(1b)の先部側が潰れることを防止するための所要数の折り目(4,4)が開口部(3)から底部側に向けて形成されていることを特徴とする、
コーン部材である。
【0014】
第2の発明にあっては、
コーン部材を折り畳むための一対の折り畳み線(12,12)が開口部(3)から底部側に向けて形成されており、該折り畳み線(12,12)の間の面に折り目(4,4)が設けてあることを特徴とする、
第1の発明に係るコーン部材である。
【0015】
第3の発明にあっては、
コーン型標示具(A2)(A3)を構成するコーン部材であって、
自立性を有し、折り畳むことができるシート状材料で形成されており、
コーン部材(1a)(1b)の先端に開口部(3)を備え、コーン部材(1a)(1b)の周面側には仕切用テープ(5)を装着するために周面部(11)から内方に形成された凹部(7)(8)が設けてあり、該周面部(11)と凹部(7)(8)の奥部(71)(41)との段差によって仕切用テープ(5)が引っ掛かる引掛部(40)(70)が構成されように構成されていることを特徴とする、
コーン部材である。
【0016】
第4の発明にあっては、
コーン部材を折り畳むための一対の折り畳み線(12,12)が開口部(3)から底部側に向けて形成されており、
該折り畳み線(12,12)または該折り畳み線(12,12)の間の面に設けてある折り目(4,4)でコーン部材(1a)(1b)の先部側を折り畳むことにより、周面部(11)と凹部(7)(8)の奥部(71)(41)との段差が本質的になくなり、引掛部(40)(70)が作用しなくなるように構成されていることを特徴とする、
第3の発明に係るコーン部材である。
【0017】
第5の発明にあっては、
第1,2,3または第4の発明に係るコーン部材(1)(1a)(1b)を備えていることを特徴とする、
コーン型標示具である。
【0018】
第6の発明にあっては、
第1,2,3または第4の発明に係るコーン部材(1a)と、コーン部材(1a)に着脱可能なベース部材(2a)を備えており、
コーン部材(1a)の底部側の周面部(11)に掛止受部(13)が設けてあり、コーン部材(1a)の底部側に嵌め込まれるベース部材(2a)の嵌合孔(21)側に上記掛止受部(13)に掛け止める掛止部(23)が設けてあることを特徴とする、
第5の発明に係るコーン型標示具である。
【0019】
第7の発明にあっては、
第5または第6の発明に係るコーン型標示具(A1)(A2)(A3)と、該コーン型標示具(A1)(A2)(A3)のコーン部材(1)(1a)(1b)に装着して仕切区域を形成するための仕切用テープ(5)を備えていることを特徴とする、
区画装置である。
【0020】
柔軟性、可撓性または変形性を有するシート状材料としては、例えば厚紙等の紙製材料やプラスチック製材料を挙げることができる。
【0021】
(作 用)
本発明は次のように作用する。
コーン部材(1)(1a)(1b)は、自立性を有し、折り畳むことができるシート状材料で形成されている。よって、使用しないときにはコーン部材を折り畳んで重ねておけば良い。
【0022】
コーン部材(1)(1a)(1b)の先端に設けてある開口部(3)の周りに、開口部(3)から底部側に向けて所要数の折り目(4)が設けてあるものは、コーン部材(1)(1a)(1b)を立体的に組み立てると、この折り目(4)によって開口部(3)が開くようになるか、またはコーン部材(1)(1a)(1b)の先部側が潰れることが防止される。
【0023】
その結果、先部側が潰れて折れ曲がりやすい従来のコーン部材(図12参照)と相違して、コーン部材(1)(1a)(1b)の先部側が周面方向に膨らみをもって筒状に開く。したがって、例えば嵌込部を備えた仕切用テープ(5)をコーン部材(1)(1a)(1b)の先部側に嵌め込んで取り付ける場合には、嵌込部がコーン部材(1)(1a)(1b)の周面部に密着して締まり、しっかりと固定される。これにより、仕切用テープ(5)がコーン部材(1)(1a)(1b)から簡単に外れてしまうことを防止できる。
【0024】
コーン部材(A2)(A3)の周面側に、仕切用テープ(5)を装着するために周面部(11)から内方に形成された凹部(7)(8)が設けてあるものは、例えば嵌込部を備えた仕切用テープ(5)をコーン部材(1a)(1b)の先部側に嵌め込んで取り付ける場合には、この凹部(7)(8)に仕切用テープ(5)の嵌込部を装着する。
【0025】
仕切用テープ(5)を取り付けると、コーン部材(1a)(1b)の周面部(11)と凹部(7)(8)の奥部(71)(41)との段差によって構成される引掛部(40)(70)に、仕切用テープ(5)が引っ掛かる。これにより、仕切用テープ(5)がコーン部材(1)(1a)(1b)から簡単に外れてしまうことを防止できる。
【0026】
また仕切用テープ(5)を取り外すときには、折り畳み線(12,12)または該折り畳み線(12,12)の間の面に設けてある折り目(4,4)でコーン部材(1a)(1b)の先部側を折り畳む。これにより、周面部(11)と凹部(7)(8)の奥部(71)(41)との段差が本質的になくなり、それによって引掛部(40)(70)が作用しなくなる。このため、仕切用テープ(5)は引掛部(40)(70)に引っ掛かることなく、簡単に取り外せる。
【0027】
コーン部材(1a)とベース部材(2a)を備えたコーン型標示具によれば、コーン部材(1a)の
の先部側からベース部材(2a)を嵌め込んで組み立てることで、コーン部材(1a)の底部側の周面部(11)に嵌合孔(21)が位置する。コーン部材(1a)の底部側の周面部(11)には掛止受部(13)が設けてあり、ベース部材(2a)の嵌合孔(21)側には上記掛止受部(13)に掛け止められる掛止部(23)が設けてある。よって、コーン部材(1a)の先部側を掴んで持ち上げると、コーン部材(1a)の掛止受部(13)にベース部材(2a)の掛止部(23)が掛け止められ、コーン部材(1a)はベース部材(2a)から簡単には外れない。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明に係るコーン部材によれば、開口部の周りに、組み立てた際に開口部が開くようにするための所要数の折り目が、または組み立てた際にコーン部材の先部側が潰れることを防止するための所要数の折り目が開口部から底部側に向けて形成されている。この折り目により、コーン部材を立体的に組み立てたときに先部側は潰れずに筒状に開く。したがって、先部側が潰れて折れ曲がったものと比べ、製品としての見た目も良く、また風に対する抵抗も小さくなるため、強風でも倒れにくい。
【0029】
(b)また本発明に係るコーン部材によれば、仕切用テープをコーン部材の先部側に装着して仕切区域を形成する場合でも、仕切用テープがコーン部材から簡単に外れてしまうことを防止できる。
【0030】
(c)更に本発明に係るコーン部材によれば、上記したように仕切区域を形成するときには、コーン部材から仕切用テープが簡単に外れることを防止でき、しかも仕切用テープを使用しないときには、コーン部材から仕切用テープを取り外すことができる。
【0031】
(d)本発明に係るコーン型標示具によれば、コーン部材がベース部材から簡単に外れることを防止できる。
【0032】
(e)本発明に係る区画装置よれば、上記した効果を備えたコーン型標示具と仕切用テープによって仕切区域を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明を図面に示した実施例に基づき更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
図1ないし図5は、本発明に係るコーン型標示具の第一の実施例を示す説明図である。
図1は、コーン型標示具の斜視説明図、
図2は、図1に示すベース部材から取り外したコーン部材を折り畳んで重ねた状態を示す平面視説明図である。
【0035】
コーン型標示具A1は、略円錐形状のコーン部材1と、コーン部材1に着脱可能に取り付けられるベース部材2を有する。
【0036】
(コーン部材1)
コーン部材1は、自立性を有し、折り畳むことができる柔軟性、可撓性または変形性を備えたシート状材料である厚紙で形成されている。厚紙には防水加工が施されている。コーン部材1は紙製材料を素材とするため、「福岡県」など文字や広告等の印刷が容易にできる。更に、紙製材料を素材としているため、焼却しても有害物質が発生しにくく、廃棄処分が容易である。
【0037】
コーン部材1の周面部11には、山折り線である一対の折り畳み線12,12(図1では左側の折り畳み線は隠れて表れず)が対向して設けてある。コーン部材1の先端には開口部3が設けてある。コーン部材1は、ベース部材2から取り外して折り畳み線12,12で折り畳めば、図2に示すように、平面視略三角形状または略扇形に薄く畳むことができる。
【0038】
図1に示すように、コーン部材1を組み立てた状態の開口部3の周りには、組み立て後にコーン部材1の先部側が潰れることを防止するための所要数の折り目4,4が開口部3から底部側に向けて形成されている。本実施例では、折り目4,4は山折り線であり、コーン部材1の正面と背面の先部側のそれぞれに対向するようにして設けてある。折り目4は、図1で左右両側に設けてある折り畳み線12,12の中間またはほぼ中間に位置している。なお、折り目4,4は二本だけでなく、複数設けても良い。
【0039】
上記したコーン部材1は一枚の厚紙シートで作製できる。即ち、例えば略扇形の厚紙シートの一端側の縁部に設けてある糊代部110(図2参照)を、接着剤等を使用して他端側の縁部に接着すれば作製できる。なお、二枚または二枚以上の厚紙シートを連設して作製しても良い。
【0040】
(ベース部材2)
ベース部材2は、略円錐状に組み立てられたコーン部材1の土台(座板)となるものである。ベース部材2は例えばゴムや合成樹脂製で相当の重量を有し、コーン部材1を倒れないように固定できる。ベース部材2は、コーン部材1を嵌め入れて取り付けるための平面視円形の嵌合孔21を有している。ベース部材2をコーン部材1に装着する際は、ベース部材2をコーン部材1の先端から嵌め込み、基部側へ落とし込む。装着時の詳細は後述する作用で説明する。
【0041】
後述する図3に示すように、ベース部材2の嵌合孔21の内面22は、傾斜したコーン部材1の周面部11に密着した状態で当接するように、内側から外側に向けて下り傾斜している。これにより、コーン部材1の先部側を手で掴んで持ち上げても、コーン部材1がベース部材2から簡単に外れないようになっている。
【0042】
(仕切用テープ5)
図3は、図1に示すコーン型標示具を正面側から見た説明図であり、コーン部材の先部側に装着可能な仕切用テープの一部を合わせて図示している。
図4は、図3に示すコーン型標示具に仕切用テープを装着した状態を示す正面視説明図である。
なお、図3では、コーン部材1とベース部材2の当接状態が分かるように、ベース部材2の一部を切り欠き断面して表している。
【0043】
コーン部材1の先端側に装着するための仕切用テープ5について説明する。仕切用テープ5は、例えばインフレーション成形によって得られたポリエチレンフィルム製の管状テープなどから作製できる。仕切用テープ5の両面には、「立入禁止」等の文字が一定間隔で繰り返し表示されている。
【0044】
仕切用テープ5には、コーン部材1の先端側に嵌め込むための嵌込部51が長さ方向に一定間隔で複数設けられている。なお、図3では仕切用テープ5の一部のみを表しているため、一つしか表れていない。嵌込部51は幅方向の両側に開口部511,512を有して管状に形成されており、幅方向に対して所要の傾斜角度で上方側にすぼまるように形成されている。よって、嵌込部51の上部側の開口部511の大きさは、その下側の開口部512の大きさより小さくなっている。
【0045】
嵌込部51をコーン部材1に嵌め入れた際に、開口部511,512が広がって仕切用テープ5が引き裂かれることのないよう、嵌込部51の左右両端側は溶着され厚めに形成されている。なお、仕切用テープ5は、公知技術を採用しているので、その製造方法や構造についての詳細な説明は省略する。
【0046】
上記したように嵌込部51は上方側がすぼまっているため、コーン部材1の先端側から強く押し入れることで、嵌込部51が密着して締まり、コーン部材1にしっかりと固定できる。更に、仕切用テープ5はポリエチレンフィルムで形成されているので、嵌込部51をコーン部材1に押し嵌めると嵌込部51の周面部分が多少伸びるため、仕切用テープ5とコーン部材1の密着度が増し、仕切用テープ5をコーン部材1にしっかりと固定することができる。
【0047】
(作 用)
コーン型標示具A1の組み立て手順と使用方法を説明しながら、コーン型標示具A1の作用を説明する。
【0048】
コーン型標示具A1を使用しないときには、コーン部材1をベース部材2から取り外せるので、別々に保管できる。図2に示すように、コーン部材1は折り畳んで重ねておくことができるので、保管時のスペースも最小限で済む。また厚紙で形成されたコーン部材1は軽量であり、しかも何枚も重ねた状態でベース部材2と一緒に自動車のトランク等に収容できるので、持ち運びが便利である。
【0049】
コーン型標示具A1を使用する際は、コーン部材1を立てた状態でその先端部からベース部材2を嵌め込んで落とし込む。ベース部材2を嵌め込むことで、図1に示すようにコーン部材1の底部側が締まって丸くなり、全体が略円錐形状に立体的に組み立てられる。
【0050】
上記したように、コーン部材1の開口部3の周りには、折り畳み線12,12以外に所要数の折り目4,4が開口部3から底部側に向けて形成されている。この折り目4,4によって、コーン部材1を組み立てた際に、開口部3が開くようになり、コーン部材1の先部側が潰れることを防止する。その結果、コーン部材1の先部側は周面方向に膨らみをもって筒状に開く。
【0051】
仕切用テープ5と共に仕切区域を形成する際には、図3及び図4に示すように、仕切用テープ5をコーン部材1の先部側に装着する。本実施例に係るコーン部材1では、先部側が潰れて折れ曲がりやすい従来のコーン部材(図12参照)と相違して、先部側が潰れないので仕切用テープ5をしっかりと固定できる。
【0052】
即ち、上記したように、コーン部材1の先部側は潰れずに周面方向に膨らみをもって筒状に開くため、仕切用テープ5をコーン部材1の先部側から強く押し嵌めることで、嵌込部51がコーン部材1の周面部に密着して締まり、しっかりと固定される。
【0053】
なお、仕切用テープ5は、上記した形態のものに限定するものではない。図示はしていないが、その他の形態としては、切込部によって嵌込部51を構成したものを挙げることができる。例えば切込部を仕切用テープ5の幅方向に所要の間隔をおいて上下に並設することで、この並設した切込部の両方を拡げてコーン部材1に嵌め入れれば良い。この場合は、略円錐形のコーン部材1の形状に合わせて、嵌め込んだ際に上側となる切込部ほど切込みの長さが短くなっているものがより好ましい。この仕切用テープについては、公知技術を採用できるので、構造についての詳細な説明は省略する。
【0054】
更に、コーン部材1は先部側が曲がらずに立体的に膨らんでいるため、先部側が潰れて折れ曲がった従来のコーン部材1(図12参照)と比べ、風に対する抵抗が小さく、強風でも倒れにくい。
【0055】
一方、ベース部材2からコーン部材1を取り外す際は、まずベース部材2を足で踏むなどして上から押え、続いてコーン部材1の先部側を握り、コーン部材1を倒すようにやや力を加えて横に傾ける。そうすると、コーン部材1の底部側が撓んで変形し、ベース部材2の嵌合孔21から上方にコーン部材1を取り外せる。このように、やや力を加えて横に傾けるだけで、コーン部材1を簡単に取り外せる。よって、相当の重量があるベース部材2をコーン部材1の先端まで持ち上げて引き抜く操作は必要なく、軽い操作力でコーン部材1を取り外すことができる。
【0056】
図5は、図1に示すコーン型標示具の先端部に表示部材を取り付けた状態を示す正面視説明図である。
従来のコーン部材(図12参照)と相違して、本実施例に係るコーン部材1は、上記したように開口部3が開いた状態となっている。よって、開口部3に立て札のような表示部材6を嵌め入れることができる。表示部材6は厚紙やプラスチック等で形成できる。表示部材6には「徐行」等といった注意事項などを表記できる。
【0057】
表示部材6は開口部3に差し入れるための嵌入部61を有する。嵌入部61の幅は開口部3の直径よりも大きく、折曲線611,611で折り畳んだ状態で開口部3に嵌め入れることができる。嵌め入れた後の状態では、折曲線611,611で折り畳んだ部分である側片62,62が元に復帰しようとして横に拡がり、その結果、嵌入部61の厚みが増し、表示部材6が開口部3から簡単に外れないようになっている。
【実施例2】
【0058】
図6ないし図9は、本発明に係るコーン型標示具の第二の実施例を示す説明図である。
図6は、コーン型標示具を正面側から見た説明図であり、コーン部材の先部側に装着可能な仕切用テープを合わせて図示している。
【0059】
なお、実施例1と同一または同等箇所には同一の符号を付して示している。また、実施例1で説明した箇所については、説明を省略し、主に相異点を説明する。これについては後述の実施例3についても同じである。
【0060】
本実施例に係るコーン型標示具A2では、図6に示すように、コーン部材1aの先部寄りの周面側に仕切用テープ5を装着するための凹部7,7が設けてある。更に、コーン部材1の底部側の周面部11には、ベース部材2の掛止部23(後述する図9参照)が掛け止められる掛止受部13が設けてある。
【0061】
なお、凹部7,7と掛止部23との組み合わせは必須ではなく、それぞれ単独に設けることができる。
【0062】
以下、コーン型標示具A1の各構成部分について、順を追って詳しく説明する。
(コーン部材1の凹部7)
図7は、図6に示すコーン型標示具の先部側に仕切用テープを装着した状態を示す部分拡大斜視説明図、
図8は、コーン型標示具の先部側に装着した仕切用テープを取り外している状態を示す部分拡大斜視説明図である。
【0063】
図6及び図7に示すように、仕切用テープ5を装着するための凹部7,7は、コーン部材1の先部寄りの周面側で対向する一対の折り畳み線12,12の部分にそれぞれ設けてある。凹部7,7は、折り畳み線12,12で平面視略三角形状または略扇形に折り畳んだコーン部材1の先部側の両縁部をそれぞれ一部切り欠くようにして形成されている。
【0064】
凹部7,7が位置する部分のコーン部材1aは、装着した仕切用テープ5の嵌込部51の内面がコーン部材1aの周面部11に本質的に密着するようにその太さ(外周の大きさ)が設定されている。つまり、そのように密着する高さ位置に凹部7,7が形成されている。更に、図7に示すように、開口部3が開いてコーン部材1aが組み立てられた状態では、周面部11の折り畳み線12,12と凹部7の奥部71との段差によって引掛部70が構成される。
【0065】
そして、仕切用テープ5をコーン部材1の先部側から嵌め込みと、凹部7,7に嵌込部51の左右両端側が収まり、仕切用テープ5が装着される。しかも、単に仕切用テープ5を上に引っ張って取り外そうとしても、上記した引掛部70に仕切用テープ5(嵌込部51の上縁部)が引っ掛かって簡単に取り外すことはできない。
【0066】
仕切用テープ5を取り外すためには、図8に示すように、コーン部材1の先部側を握り、折り畳み線12,12同士が近づくように折り目4,4でコーン部材1の先部側を薄く畳む。このようにすれば、折り畳み線12,12の左右両側に位置する周面部111,112が面一または本質的に面一になり、周面部111と凹部7の奥部71との段差がなくなる。その結果、その段差によって構成される引掛部70が平坦になって作用しなくなり、仕切用テープ5を上に引っ張るだけで簡単に仕切用テープ5を取り外すことができるようになる。
【0067】
なお、本実施例では、仕切用テープ5を取り外す際に引掛部70の角に当たって仕切用テープ5が破損することを防止するために、少なくとも図7で凹部7の上部側の内側部711,711が上方に向けて開くように斜めに形成されている。
【0068】
(コーン部材1の掛止受部13とベース部材2の係止部)
図9は、コーン部材とベース部材の当接状態を説明するために、ベース部材を断面して表したコーン型標示具の部分拡大説明図である。
【0069】
上記したように、コーン部材1の底部側の周面部11には、後述するベース部材2aの掛止部23に係合する掛止受部13が設けてある。掛止受部13は、例えば同じ厚紙を素材として平面視長方形状に形成された厚紙片で形成できる。この厚紙片をコーン部材1の底部側の周面部11に、接着剤等で所要の間隔をおいて複数貼り付けることで形成できる。即ち、掛止受部13はコーン部材1の周面部11よりも外方に張り出した状態で設けてある。
【0070】
一方、掛止受部13に係合する掛止部23は、コーン部材1に嵌め込むベース部材2の嵌合孔21側に設けてある。詳しくは、図9に示すように、嵌合孔21の上部側の上開口部211が下部側の下開口部212よりも径が小さくなっている。そして、コーン部材1aの掛止受部13の上部側に引っ掛かるように、上開口部211の周縁部が断面視で鍵形状(逆L字状)に突出し、掛止部23を構成している。このような構造により、コーン部材1aの先部側を掴んで持ち上げても、コーン部材1aがベース部材2aから簡単に外れることはない。
【0071】
更に、上記したように、掛止受部13はコーン部材1aの周面部11よりも外方に張り出した状態で設けてあるので、掛止受部13はベース部材2の掛止部23に必ず引っ掛かり、コーン部材1aの抜けは防止される。よって、地面に対する周面部11の傾斜角度がより垂直近くなるように、コーン部材1aを細長く棒状に近い形にすることが可能になる。コーン部材1aを細長く形成すれば、風に対する抵抗も小さくなってより倒れにくくなると共に、設置面積も小さくて済む。
【0072】
なお、このコーン部材1aとベース部材2aの係止構造は、上記した実施例1及び後述の実施例3に係るコーン型標示具A1に採用できることは言うまでもない。
【0073】
またコーン部材1aは、プラスチックを素材として形成することもできる。その際は、例えばブロー成形により立体的に成形することもでき、また厚紙の場合と同様に一枚または複数枚のプラスチックシートから形成することもできる。更にプラスチックを素材とする場合は、コーン部材1aの掛止部13についても同じプラスチック材料で一体的に成形することができる。これについては、実施例1及び後述の実施例3に係るコーン部材についても同じである。
【0074】
その他の作用及び効果は、実施例1と大体において同じであるため、説明を省略する。
【実施例3】
【0075】
図10及び図11は、本発明に係るコーン型標示具の第三の実施例を示す説明図である。
図10は、折り畳んだ状態のコーン部材の先部側を示す拡大平面視説明図、
図11は、図10に示すコーン部材を組み立てた後、先部側に仕切用テープを装着した状態を示す部分拡大斜視説明図である。
【0076】
本実施例に係るコーン型標示具A3では、図11に示すように、コーン部材1の先部寄りの周面側に仕切用テープ5を装着するための凹部8が設けてあるが、実施例2(図7参照)とはその凹部8の位置が異なっている。即ち、実施例2では、図7で凹部7,7は左右両側の折り畳み線12,12の部分に設けてあるが、実施例3では凹部8は図11で中央側の折り目4部分に設けてある。
【0077】
図10に示すように、コーン部材1bの先部側には、折り目4,4と垂直に交差するように、所要数の切れ目81,82が設けてある。本実施例では、切れ目81,82は図10で上下方向に所要の間隔をおいて二箇所設けてある。上部側の切れ目81の両端部と下部側の切れ目82の両端部は、折り目4と並行して設けられた山折り線83,84でそれぞれ繋がるように位置している。この切れ目81,82と山折り線83,84で囲まれた部分によって上記した凹部8の内側部80を構成する。
【0078】
更に実施例2と相違して、切り目81,82で挟まれた折り目41は谷折り線となっており、折り目41の上下方向に続く折り目部分(符号4で示す)は山折り線となっている。これにより、コーン部材1bを組み立てた後、谷折り線である折り目41の部分を内方に押せば、図11に示すように、内側部80が凹んで凹部8が構成される。
【0079】
なお、図面では表れないが、凹部8の背面側にも、同じく切り目81,82、山折り線83,84、折り目41が設けてあり、それによって凹部8が構成される。更に、図11で上方の切り目81の上方に位置する折り目4と、凹部8の奥部である折り目41との段差によって引掛部40が形成される。
【0080】
そうして、仕切用テープ5をコーン部材1bの先部側から嵌め込みと、凹部8,8に嵌込部51の中央部分が入り込み、仕切用テープ5が装着される。しかも、単に仕切用テープ5を上に引っ張って取ろうとしても、上記した引掛部40,40に仕切用テープ5(嵌込部51の上縁部)が引っ掛かって簡単に取り外すことはできない。
【0081】
仕切用テープ5を取り外すためには、図示はしていないが、コーン部材1bの先部側を握り、折り目4,4同士が近づくように左右両側の折り畳み線12,12でコーン部材1bの先部側を薄く畳む。このようにすれば、折り目4,4の左右両側に位置する周面部113,114と凹部8の内側部80が面一または本質的に面一になり、周面部113,114と折り目41との段差がなくなる。その結果、その段差によって構成される引掛部40が本質的になくなって平坦になり、仕切用テープ5を上に引っ張るだけで簡単に仕切用テープ5を取り外すことができるようになる。
【0082】
その他の作用及び効果は、実施例1と大体において同じであるため、説明を省略する。
【0083】
なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0084】
更に、特許請求の範囲には、請求項記載の内容の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、特許請求の範囲を図面記載のものに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係るコーン型標示具の第一の実施例を示す斜視説明図。
【図2】図1に示すベース部材から取り外したコーン部材を折り畳んで重ねた状態を示す平面視説明図。
【図3】図1に示すコーン型標示具を正面側から見た説明図。
【図4】図3に示すコーン型標示具に仕切用テープを装着した状態を示す正面視説明図。
【図5】図1に示すコーン型標示具の先端部に表示部材を取り付けた状態を示す正面視説明図。
【図6】本発明に係るコーン型標示具の第二の実施例を示す正面側から見た説明図。
【図7】図6に示すコーン型標示具の先部側に仕切用テープを装着した状態を示す部分拡大斜視説明図。
【図8】コーン型標示具の先部側に装着した仕切用テープを取り外している状態を示す部分拡大斜視説明図。
【図9】コーン部材とベース部材の当接状態を説明するために、ベース部材を断面して表したコーン型標示具の部分拡大説明図。
【図10】本発明に係るコーン型標示具の第三の実施例を示しており、折り畳んだ状態のコーン部材の先部側を示す拡大平面視説明図。
【図11】図10に示すコーン部材を組み立てた後、先部側に仕切用テープを装着した状態を示す部分拡大斜視説明図。
【図12】従来のコーン型標示具を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0086】
A1,A2,A3 コーン型標示具
1,1a, 1b コーン部材
2,2a ベース部材
3 開口部
4 折り目
5 仕切用テープ
6 表示部材
7,8 凹部
11 周面部
12 折り畳み線
13 掛止受部
21 嵌合孔
22 内面
23 掛止部
40 引掛部
41 折り目
51 嵌込部
61 嵌入部
62 側片
70 引掛部
71 奥部
80 内側部
81,82 切れ目
83,84 山折り線
110 糊代部
111,112,113,114 周面部
211 上開口部
212 下開口部
511,512 開口部
611 折曲線
711 内側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーン型標示具(A1)(A2)(A3)を構成するコーン部材であって、
自立性を有し、折り畳むことができるシート状材料で形成されており、
コーン部材(1)(1a)(1b)の先端に開口部(3)を備え、該開口部(3)の周りには、組み立てた際に開口部(3)が開くようにするための所要数の折り目(4,4)が、または組み立てた際にコーン部材(1)(1a)(1b)の先部側が潰れることを防止するための所要数の折り目(4,4)が開口部(3)から底部側に向けて形成されていることを特徴とする、
コーン部材。
【請求項2】
コーン部材を折り畳むための一対の折り畳み線(12,12)が開口部(3)から底部側に向けて形成されており、該折り畳み線(12,12)の間の面に折り目(4,4)が設けてあることを特徴とする、
請求項1記載のコーン部材。
【請求項3】
コーン型標示具(A2)(A3)を構成するコーン部材であって、
自立性を有し、折り畳むことができるシート状材料で形成されており、
コーン部材(1a)(1b)の先端に開口部(3)を備え、コーン部材(1a)(1b)の周面側には仕切用テープ(5)を装着するために周面部(11)から内方に形成された凹部(7)(8)が設けてあり、該周面部(11)と凹部(7)(8)の奥部(71)(41)との段差によって仕切用テープ(5)が引っ掛かる引掛部(40)(70)が構成されように構成されていることを特徴とする、
コーン部材。
【請求項4】
コーン部材を折り畳むための一対の折り畳み線(12,12)が開口部(3)から底部側に向けて形成されており、
該折り畳み線(12,12)または該折り畳み線(12,12)の間の面に設けてある折り目(4,4)でコーン部材(1a)(1b)の先部側を折り畳むことにより、周面部(11)と凹部(7)(8)の奥部(71)(41)との段差が本質的になくなり、引掛部(40)(70)が作用しなくなるように構成されていることを特徴とする、
請求項3記載のコーン部材。
【請求項5】
請求項1,2,3または4記載のコーン部材(1)(1a)(1b)を備えていることを特徴とする、
コーン型標示具。
【請求項6】
請求項1,2,3または4記載のコーン部材(1a)と、コーン部材(1a)に着脱可能なベース部材(2a)を備えており、
コーン部材(1a)の底部側の周面部(11)に掛止受部(13)が設けてあり、コーン部材(1a)の底部側に嵌め込まれるベース部材(2a)の嵌合孔(21)側に上記掛止受部(13)に掛け止める掛止部(23)が設けてあることを特徴とする、
請求項5記載のコーン型標示具。
【請求項7】
請求項5または6記載のコーン型標示具(A1)(A2)(A3)と、該コーン型標示具(A1)(A2)(A3)のコーン部材(1)(1a)(1b)に装着して仕切区域を形成するための仕切用テープ(5)を備えていることを特徴とする、
区画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−233647(P2006−233647A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51619(P2005−51619)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(502281921)
【Fターム(参考)】