ゴミ脱水システム
【課題】ゴミかごが露出した場合にゴミかごが回転し続けることを抑制できるゴミ脱水システムを提供すること。
【解決手段】シンク開口部22が形成されている排水容器2と、排水容器内に着脱可能に収納されるゴミかご3と、シンク開口部に嵌合する蓋4と、蓋によって回転自在に支持される回転部材5とを備える。ゴミかごは、複数の脱水孔36と、底部に形成された軸受部33と、外周面に形成された複数のフィン35と、を有し、排水容器は、シンク開口部に向けて突出し、シンク開口部側の軸端部において軸受部を回転自在に支持する軸部材23と、フィンの翼面に向けて水を噴出する噴出部と、を有する。軸部材は、軸受部を支持した状態でゴミかごの回転軸線Xが鉛直軸に対して傾斜することを許容し、回転部材は、蓋がシンク開口部に嵌合することでゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつゴミかごを排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持する。
【解決手段】シンク開口部22が形成されている排水容器2と、排水容器内に着脱可能に収納されるゴミかご3と、シンク開口部に嵌合する蓋4と、蓋によって回転自在に支持される回転部材5とを備える。ゴミかごは、複数の脱水孔36と、底部に形成された軸受部33と、外周面に形成された複数のフィン35と、を有し、排水容器は、シンク開口部に向けて突出し、シンク開口部側の軸端部において軸受部を回転自在に支持する軸部材23と、フィンの翼面に向けて水を噴出する噴出部と、を有する。軸部材は、軸受部を支持した状態でゴミかごの回転軸線Xが鉛直軸に対して傾斜することを許容し、回転部材は、蓋がシンク開口部に嵌合することでゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつゴミかごを排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ脱水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンで発生する生ゴミは、多くの水分を含むため、家庭用ゴミの重量を増加する原因であるとともに悪臭の原因となる。従来のキッチンシステムでは、生ゴミなどの水分を含むゴミの固液分離が行われている。従来のキッチンシステムでは、シンクの底部に、排水管と接続された排水容器が設けられている。排水容器には、ゴミを捕集するゴミかごが着脱自在に挿入されている。ゴミかごは、ゴミかご内の水を排水容器に排出する複数の孔が形成されている。ゴミかご内のゴミの水分は、複数の孔を介して排水容器に排水として排出される。つまり、ゴミの固液分離は、ゴミを捕集したゴミかごにより行われる。ここで、ゴミかご内のゴミの固液分離が十分でないと、濡れたゴミを手で廃棄することとなり、大きなストレスとなる。
【0003】
従来、特許文献1,2に示すように、ゴミかごを回転させてゴミかご内のゴミに遠心力を作用させることで、固液分離を促進させ、ゴミを脱水する技術が提案されている。また、特許文献3には、運転中において水切りかごの蓋が外れたり、また外したりしたときには、水切りかごの回転駆動力が停止され、或いは水切りかごの回転が停止される厨芥脱水装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−16493号公報
【特許文献2】特開平8−199646号公報
【特許文献3】特開平7−16497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排水容器の蓋が外されるなどゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制できることが望まれている。例えば、簡易な構成でゴミかごが回転し続けることを抑制できることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、排水容器の蓋が外されるなどゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制できるゴミ脱水システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゴミ脱水システムは、シンクの底部に対してシンク開口部が形成されている排水容器と、前記排水容器内に着脱可能に収納されるゴミかごと、前記シンク開口部に嵌合する蓋と、前記蓋によって回転自在に支持される回転部材と、を備え、前記ゴミかごは、前記ゴミかご内の水を前記排水容器に排出する複数の脱水孔と、前記シンク開口部側に形成されたかご開口部と、底部に形成された軸受部と、外周面に形成され、かつ周方向において連続して配置された複数のフィンと、を有し、前記排水容器は、前記シンク開口部に向けて突出し、前記シンク開口部側の軸端部において前記軸受部を回転自在に支持する軸部材と、前記フィンの翼面に向けて水を噴出する噴出部と、を有し、前記軸部材は、前記軸受部を支持した状態で前記ゴミかごの回転軸線が鉛直軸に対して傾斜することを許容し、前記回転部材は、前記蓋が前記シンク開口部に嵌合することで前記ゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつ前記ゴミかごを前記排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持することを特徴とする。
【0008】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記ゴミかごの重心が、前記ゴミかごの回転軸線に対して偏心していることが好ましい。
【0009】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記噴出部による水の噴出方向は、前記蓋が前記シンク開口部から離脱した状態において、前記翼面に当たる水が前記ゴミかごに対して前記ゴミかごの回転軸線を傾斜させる力を発生させる方向であることが好ましい。
【0010】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記噴出部による水の噴出は、前記シンク開口部に嵌合した前記蓋が前記シンク開口部から離脱することで自動的に停止され、前記蓋が離脱してから前記噴出部による水の噴出が停止されるまでに所定の遅れ時間を有することが好ましい。
【0011】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、先が尖った尖端形状であることが好ましい。
【0012】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、前記シンク開口部側に向けて径が小さくなるテーパ形状であり、前記軸部材において、前記テーパ形状に形成されたテーパ部の軸方向の長さは、前記軸受部の軸方向の深さ以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるゴミ脱水システムでは、排水容器の軸部材が軸端部においてゴミかごの軸受部を回転自在に支持し、かつ軸受部を支持した状態でゴミかごの回転軸線が鉛直軸に対して傾斜することを許容する。回転部材は、蓋がシンク開口部に嵌合することでゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつゴミかごを排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持する。蓋がシンク開口部から取り外されると、回転部材がゴミかごを支持しない状態となり、ゴミかごが排水容器の内周面に接触する。よって、本発明にかかるゴミ脱水システムは、ゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態にかかるゴミ脱水システムを備えるキッチンシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるゴミ脱水システムを示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態にかかるゴミ脱水システムの要部断面図である。
【図4】図4は、実施形態にかかるゴミかごを示す斜視図である。
【図5】図5は、蓋および回転部材の断面図である。
【図6】図6は、蓋および回転部材を示す斜視図である。
【図7】図7は、蓋が外されたときのゴミかごの動作説明図である。
【図8】図8は、排水容器から蓋が外されているときの変形例にかかる軸受部を示す図である。
【図9】図9は、蓋が排水容器に嵌合しているときの変形例にかかる軸受部を示す図である。
【図10】図10は、円盤部が傾斜した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態にかかるゴミ脱水システムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
(第1実施形態)
図1から図7を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、ゴミ脱水システムに関する。図1は、本実施形態にかかるゴミ脱水システムを備えるキッチンシステムの概略構成を示す図、図2は、本実施形態にかかるゴミ脱水システムを示す斜視図、図3は、本実施形態にかかるゴミ脱水システムの要部断面図、図4は、本実施形態にかかるゴミかごを示す斜視図、図5は、蓋および回転部材の断面図、図6は、蓋および回転部材を示す斜視図、図7は、蓋が外されたときのゴミかごの動作説明図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態にかかるゴミ脱水システム1は、キッチンシステム100に設けられるものである。キッチンシステム100は、本体101、シンク102、給水管103、配管104、排水管105、分岐管7およびキッチン水栓106を備える。
【0018】
配管104は、給水管103からキッチン水栓106に上水を供給するものである。分岐管7は、配管104から分岐して排水容器2の後述するノズル27に接続されている。分岐管7には、開閉弁8が設けられている。
【0019】
図2および図3に示すように、ゴミ脱水システム1は、排水容器2、ゴミかご3、蓋4および回転部材5を備える。
【0020】
排水容器2は、有底円筒形状であり、シンク102の底部102aよりも鉛直方向の下側に形成されている。本実施形態において、特に記載がない限り、上下方向とは、鉛直方向における上下方向を示すものとする。排水容器2は、例えば、中心軸線が鉛直方向に延在するように配置される。図3に示すように、排水容器2には、底部21と反対側に開口部であるシンク開口部22が形成されている。シンク開口部22は、シンク102の底部102aと同一平面で開口するように形成されている。言い換えると、シンク102の底部102aに排水容器2のシンク開口部22が形成されている。シンク開口部22は、シンク102の内部に向けて開口している。図2に示すように、排水容器2は、外周面のうち底部側において排水管105と接続されている。排水容器2内の水は、排水管105を介して下水に排出される。
【0021】
図3に示すように、排水容器2は、軸部材23を備える。軸部材23は、排水容器2の底部21に形成されている。軸部材23は、シンク開口部22側に向けて突出しており、シンク開口部22側に向かって延在して形成されている。
【0022】
排水容器2には、下部フランジ部24および上部フランジ部25が形成されている。下部フランジ部24および上部フランジ部25は、それぞれ上方を向く面を有する。上部フランジ部25は、下部フランジ部24よりも上方に形成されている。また、上部フランジ部25は、下部フランジ部24よりも半径方向の外側に形成されている。上部フランジ部25は、シンク102の底部102aと同一平面上に形成されている。
【0023】
図2に示すように、排水容器2には、ノズル27が設けられている。ノズル27は、ゴミかご3の後述するフィン35の翼面35aに向けて水を噴出する噴出部である。ノズル27は、排水容器2の側壁26を貫通しており、取付部材28によって側壁26に固定されている。ノズル27は、フィン35の翼面35aに対して直交する方向から水を当てることができるように配置されている。ノズル27は、例えば、ゴミかご3の外周面の接線方向に延在するように固定されている。ノズル27の流入口27aには、分岐管7が接続されている。
【0024】
蓋4は、シンク開口部22に嵌合してシンク開口部22を閉塞するものである。蓋4は、上部が閉塞された円筒形状である。蓋4は、円盤部41および円筒部42を有する。円筒部42は、円筒形状をなしている。円盤部41は、円盤形状をなしており、円筒部42の上端を閉塞している。円盤部41の半径方向中央部には、凹部43が形成されている。凹部43の半径方向中央部には、上方に向けて突出するつまみ44が形成されている。つまみ44は、円柱形状であり、その先端は円盤部41の上面よりも上側に位置している。これにより、ユーザーは、凹部43に水が溜まった状態であっても、その水に触れることなくつまみ44を摘んで蓋4を引き上げることができる。
【0025】
円筒部42には、複数の貫通孔45および複数の支持突起46がそれぞれ形成されている。貫通孔45は、矩形に形成されており、円筒部42を内壁面から外壁面まで半径方向に貫通している。貫通孔45は、円筒部42の周方向に所定の間隔で連続的に形成されている。支持突起46は、隣接する貫通孔45,45の間に形成されている。支持突起46は、断面矩形の柱状の突起であり、円筒部42の外周面に対して半径方向外側に向けて突出している。本実施形態では、4本の支持突起46が周方向に等間隔で配置されている。支持突起46の下端46aと、貫通孔45の下端45aとは、同一平面上にある。
【0026】
ゴミかご3は、かご本体3Aとリング部材3Bとを有する。かご本体3Aは、図3および図4に示すように、有底円筒形状である。ゴミかご3は、排水容器2内に着脱可能に収納される。ゴミかご3には、底部31と反対側に開口部であるかご開口部32が形成されている。つまり、かご開口部32は、ゴミかご3が排水容器2内に収納された状態で、シンク開口部22側に形成されている。ゴミかご3が排水容器2内に収納された状態で、ゴミかご3におけるシンク開口部22側の先端部は、軸方向において排水容器2の上部フランジ部25と下部フランジ部24との間に位置している。かご本体3Aは、軸受部33を有する。軸受部33は、底部31に形成されている。軸受部33は、底部31の外壁面に対して上方に凹む凹部である。軸受部33は、軸部材23の軸端部が挿入されることで、ゴミかご3を回転自在に支持するものである。軸受部33は、有底円筒形状であり、底部31の外壁面に対して開口部を有し、底部31の外壁面からかご開口部32側(シンク開口部22側)に向かって延在して形成されている。
【0027】
軸部材23におけるシンク開口部22側には、テーパ部23aが形成されている。テーパ部23aは、基端側である底部側から先端側であるシンク開口部22側に向けて径が減少するテーパ形状に形成されている。テーパ部23aの先端は、シンク開口部22側に向けて凸な曲面となっている。つまり、軸部材23は、その先端であるシンク開口部22側の軸端部において軸受部33を点接触で回転自在に支持している。なお、テーパ部23aは、先が尖った尖端形状であってもよい。
【0028】
テーパ部23aの軸方向の長さは、軸受部33の軸方向の深さ以上である。このため、テーパ部23aは先端側の一部のみが軸受部33に挿入される。言い換えると、テーパ部23aの基端、すなわち底部側の端は、軸受部33よりも下側に位置している。これによりゴミかご3は、軸受部33がテーパ部23aの先端のみと接触した状態で回転することができる。
【0029】
リング部材3Bは、かご本体3Aにおけるシンク開口部22側の端部に取付けられている。リング部材3Bは、リング形状であり、その内径はかご本体3Aの内径と同一である。また、リング部材3Bの外径は、かご本体3Aの外径よりも大きい。つまり、リング部材3Bは、かご本体3Aに対して半径方向外側に張り出している。ゴミかご3が排水容器2内に収納された状態で、ゴミかご3の外径は、排水容器2の内周面における対応する内径よりも小さい。つまり、ゴミかご3は、排水容器2内に収納された状態で、排水容器2の内周面との間に隙間を保った状態に保持可能である。言い換えると、ゴミかご3は、軸受部33が軸部材23によって支持された状態で、排水容器2の内周面と接触することなく回転することが可能である。例えば、ゴミかご3の中心軸線(回転軸線)Xが排水容器2の中心軸線上にあるときは、ゴミかご3は排水容器2の内周面に接触することなく回転することができる。
【0030】
また、ゴミかご3は、回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜することで、排水容器2の内周面と接触する。本実施形態では、ゴミかご3の回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜することを単に「ゴミかご3が排水容器2に対して傾斜する」と記載する。ゴミかご3が排水容器2に対して傾斜すると、リング部材3Bの外周面が、排水容器2の内周面と接触する。リング部材3Bにおける外周側には、排水容器2の下部フランジ部24に対応するフランジ部37が形成されている。フランジ部37は、リング部材3Bにおいて半径方向外側に突出する突出部である。フランジ部37は、排水容器2の下部フランジ部24よりも上側に位置しており、かつ軸方向において下部フランジ部24と対向している。
【0031】
ゴミかご3が排水容器2に対して傾斜すると、ゴミかご3のフランジ部37が排水容器2の下部フランジ部24に接触する。つまり、リング部材3Bは、ゴミかご3の回転軸線Xが傾斜した場合に排水容器2の内周面と接触してゴミかご3の回転を停止させるブレーキ部材として機能することができる。
【0032】
リング部材3Bには、複数の係合溝34が形成されている。係合溝34は、後述する回転部材5の係合突起52と係合するものである。係合溝34は、リング部材3Bの上面に形成されている。係合溝34は、軸方向視において台形形状に形成されている。係合溝34は、半径方向の外側から内側に向けて周方向の幅が広がるテーパ形状である。また、係合溝34における半径方向内側の端部は、かご本体3Aの内部に向けて開放している。言い換えると、係合溝34は、リング部材3Bの内周面から半径方向の外側に向けて延在している。係合溝34は、周方向に所定の間隔で連続して形成されている。係合溝34は、例えば、周方向に等間隔で配置される。
【0033】
かご本体3Aの外周面には、複数のフィン35が形成されている。フィン35は、かご本体3Aにおける軸方向の中央部に形成されている。フィン35は、周方向に所定の間隔で連続して配置されている。フィン35は、例えば、周方向に等間隔で配置される。フィン35は、軸方向視における断面形状がL字形状の板状部材である。フィン35は、かご本体3Aの外周面に対して直交する方向、すなわち半径方向に突出しており、半径方向外側の端部が回転方向後方に向けて屈曲している。フィン35の大きさは、ゴミかご3が排水容器2に収納された状態で、ゴミかご3の半径方向におけるフィン35の先端部が排水容器2の内壁面に接触しない大きさに設定される。フィン35の翼面35aは、かご本体3Aの中心軸線(回転軸線)Xに対して平行であり、かつ回転方向に対して直交している。
【0034】
かご本体3Aには、複数の脱水孔36が形成されている。脱水孔36は、ゴミかご3内の水を排水容器2に排出するものである。複数の脱水孔36は、本実施形態では、ゴミかご3の底部31や外周面において、内壁面から外壁面まで貫通して形成されている。
【0035】
ユーザーによってゴミかご3が排水容器2内に収納されるときには、排水容器2の軸部材23がゴミかご3の軸受部33に挿入される。軸受部33における底部側は、シンク開口部22側よりも大径である。このように、軸受部33の開口部の径が奥部の径よりも大きな径とされていることで、ユーザーがゴミかご3を排水容器2内に収納するときに、容易に軸受部33に対して軸部材23を挿入することができる。ゴミかご3が排水容器2内に収納されると、軸部材23が軸受部33の天井面に当接し、ゴミかご3は軸部材23によって回転可能に支持される。
【0036】
図5および図6に示すように、回転部材5は、蓋4によって回転自在に支持されている。回転部材5は、円盤部51、係合突起52および軸受部53を有する。円盤部51は、円盤形状であり、軸方向において蓋4の円盤部41における裏面(下面)と対向している。軸受部53は、円盤部51における半径方向の中心部に配置されている。軸受部53は、ボルト47によって支持されて円盤部51を回転自在に支持する。ボルト47は、下方から軸受部53の貫通孔に挿入されてつまみ44のボルト孔44aに螺合している。このように、回転部材5は、ボルト47を介して蓋4によって支持されて蓋4に対して相対回転することができる。また、回転部材5の中心軸線と、蓋4の中心軸線とは同一線上にある。
【0037】
円盤部51には、複数の貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、円盤部51を表面から裏面まで軸方向に貫通して形成されている。貫通孔54は、扇形に形成されており、周方向に連続して形成されている。貫通孔54は、例えば、周方向に等間隔で配置される。
【0038】
係合突起52は、円盤部51の下面に形成されている。係合突起52は、円盤部51における外縁の近傍に配置されている。係合突起52は、円盤部51の下面に対して蓋4側と反対側に向けて突出している。係合突起52は、ゴミかご3の係合溝34と対応する形状に形成されている。係合突起52は、半径方向の外側から内側に向けて周方向の幅が広がるテーパ形状に形成されている。係合突起52は、周方向に所定の間隔で連続して形成されている。係合突起52は、例えば、周方向に等間隔で配置される。本実施形態では、4つの係合突起52が周方向に等間隔で配置されている。係合溝34および係合突起52がそれぞれ半径方向の外側から内側に向けて周方向の幅が広がるテーパ形状とされていることで、係合溝34に対して係合突起52を容易に係合させることができる。
【0039】
各係合突起52は、蓋4が排水容器2のシンク開口部22に嵌合することでゴミかご3の係合溝34にそれぞれ係合することができる。ユーザーが蓋4のつまみ44を持ち、図2に矢印Y1で示すようにシンク開口部22に蓋4を嵌合させるときに、ゴミかご3のリング部材3Bの上面と回転部材5の円盤部51の下面とが対向する。このときに、係合溝34の位置と係合突起52の位置とが合っていれば、係合溝34に係合突起52が係合する。また、係合溝34の位置と係合突起52の位置とがずれていたとしても、ユーザーが蓋4を回転させることで、容易に係合溝34に対して係合突起52を位置合せして係合させることができる。係合溝34に係合突起52が係合すると、回転部材5とゴミかご3との相対回転が規制される。つまり、係合溝34に係合突起52が係合することで、回転部材5はゴミかご3に対して一体回転可能に係合する。
【0040】
係合溝34に係合突起52が係合すると、蓋4の支持突起46が排水容器2の上部フランジ部25に当接する。これにより、蓋4の上下方向における位置決めがなされる。支持突起46が上部フランジ部25に当接した状態において、係合突起52は係合溝34に係合しており、かつ係合溝34の底部からは離間している。つまり、係合突起52は、ゴミかご3を下方に向けて押圧することなく、係合溝34に係合することができる。
【0041】
また、蓋4の円筒部42が排水容器2のシンク開口部22に係合することで、蓋4の半径方向における位置決めがなされる。円筒部42の外径と、シンク開口部22の内径とは対応する大きさである。例えば、円筒部42の外径に対して、シンク開口部22の内径がわずかに大きい。これにより、円筒部42がシンク開口部22に嵌合することで、排水容器2の軸部材23と蓋4のボルト47との軸合せがなされる。よって、ゴミかご3と回転部材5とは同軸上に位置し、一体となって回転することができる。また、排水容器2と蓋4との軸合せがなされることで、ゴミかご3は、回転部材5によって、排水容器2の内周面に対して径方向に離間した位置に保持される。すなわち、ゴミかご3は、排水容器2の内周面に対して径方向に隙間を保持しつつ回転することができる。回転部材5の係合突起52がゴミかご3の係合溝34に係合することで、回転部材5は、ゴミかご3の上部を回転自在に支持することができる。したがって、ゴミかご3は、その上部を回転部材5によって支持され、下部を軸部材23によって支持されていることで、回転軸がぶれることなく回転することができる。
【0042】
蓋4の貫通孔45は、シンク102の水を排出させるものである。蓋4の支持突起46が排水容器2の上部フランジ部25に当接した状態で、蓋4の貫通孔45は、シンク102と蓋4の内部とを連通させる。従って、蓋4が排水容器2に嵌合した状態において、シンク102内の水は、貫通孔45を介して蓋4内に流入し、回転部材5の貫通孔54を介してゴミかご3に流入することができる。ユーザーが調理や洗浄などでキッチン水栓106およびシンク102を使用すると、シンク102内の水が貫通孔45,54を介してゴミかご3に流入し、ゴミかご3によってゴミが捕集される。なお、ゴミかご3に流入した水は、複数の脱水孔36を介して下水に排出される。
【0043】
このように、蓋4が排水容器2に嵌合した状態において、シンク102内の水が常時排出される。よって、シンク102に水が溜まったままとなることが抑制される。つまり、ゴミかご3内のゴミの脱水が終了して蓋4を取り外すときに、シンク102内には水が溜まっていない状態としておくことができる。
【0044】
排水容器2のノズル27から噴出する水は、図4に矢印Y2で示すように、フィン35の翼面35aに向けられている。ノズル27からの水の噴出は、例えば、ユーザーによって脱水スイッチがONされることにより開始される。図1に示すように、ゴミ脱水システム1は、蓋4が排水容器2に嵌合していることを検知する蓋センサ9を有する。蓋センサ9は、係合溝34に係合突起52が嵌合するために十分な深さまで蓋4がシンク開口部22に対して挿入されている場合に蓋4の嵌合を検知する。蓋センサ9は、制御部6に接続されている。制御部6は、コンピュータを有する制御ユニットである。制御部6は、ゴミ脱水システム1を制御する機能を有する。
【0045】
制御部6には、開閉弁8が接続されており、開閉弁8は制御部6によって制御される。制御部6は、蓋センサ9によって蓋4が排水容器2に嵌合していることが検出されており、かつ脱水スイッチがONされているときに、開閉弁8を開弁する。開閉弁8が開弁されると、配管104から分岐管7を介してノズル27に高圧の水が供給され、ノズル27から水が噴出する。ノズル27から噴出する水は、ゴミかご3のフィン35の翼面35aに当たり、ゴミかご3を回転させる。フィン35は、半径方向外側の端部が回転方向後方に向けて折り曲げられていることで、受けた水圧を効率良くゴミかご3に対する回転力に変換することができる。
【0046】
ゴミかご3が回転すると、ゴミかご3の回転中は、ゴミかご3のゴミに遠心力が作用する。ゴミは、遠心力によってゴミかご3の内壁面に押しつけられ、ゴミの水分が複数の脱水孔36を介して排水容器2に排出されてゴミが脱水される。ユーザーによって脱水スイッチがOFFされた場合、および蓋4が排水容器2に嵌合していることが蓋センサ9によって検出されなくなった場合、制御部6は開閉弁8を閉弁する。つまり、制御部6は、シンク開口部22に嵌合した蓋4が、図7に矢印Y3で示すようにシンク開口部22から離脱すると、自動的にノズル27による水の噴出を停止する。
【0047】
開閉弁8が閉弁されて分岐管7が閉塞されると、ノズル27に対する水の供給が停止し、ノズル27は水の噴出を停止する。これにより、ゴミかご3は回転を停止する。ゴミかご3の回転軸線Xが傾斜すると、図7に示すように、ゴミかご3のフランジ部37が排水容器2の下部フランジ部24に接触してゴミかご3の回転にブレーキがかかり、ゴミかご3の回転が停止する。ゴミGは、ゴミかご3の内壁面に押しつけられて脱水された状態となっている。
【0048】
ユーザーは、ゴミかご3内のゴミGの脱水が完了して脱水スイッチをOFFとした後、蓋4をシンク開口部22から取り外し、ゴミかご3を排水容器2から取り外して、ゴミかご3内の脱水されたゴミGを廃棄する。なお、脱水時に複数のフィン35の翼面35aに当たった水は、ゴミかご3の外周面あるいは排水容器2の内周面を伝い、排水管105を介して下水に排出される。従って、ゴミかご3の回転中にゴミかご3および排水容器2が水にさらされることにより、ゴミかご3および排水容器2の汚れを洗浄することができる。これにより、ユーザーによる排水容器2およびゴミかご3の清掃を簡略化することができる。
【0049】
ここで、ノズル27による水の噴出が停止してから、ゴミかご3の回転が停止するまでには所定の時間を要する。ゴミかご3の回転が停止する前に蓋4が取り外されると、回転したままのゴミかご3が露出することになる。回転するゴミかご3が露出すると、ゴミかご3からシンク102に水が飛び散るなどして好ましくない。また、ユーザーが手を触れることができる状態でゴミかご3が回転し続けることは好ましくない。蓋4が取り外されたときに、速やかにゴミかご3の回転が停止することが好ましい。
【0050】
本実施形態のゴミかご3の重心は、ゴミかご3の回転軸線Xに対して偏心している。これにより、蓋4が取り外されるとゴミかご3のフランジ部37が排水容器2の下部フランジ部24に接触してゴミかご3の回転にブレーキがかかり、ゴミかご3の回転が速やかに停止する。ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していても、蓋4がシンク開口部22に嵌合して回転部材5がゴミかご3に係合している間は、回転部材5がゴミかご3を支持することで、ゴミかご3の回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜することが抑制される。一方、蓋4がシンク開口部22から取り外されて回転部材5とゴミかご3との係合が解除されると、ゴミかご3は、回転部材5によって支持されない状態となる。ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していることから、ゴミかご3の回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜し、リング部材3Bが排水容器2の内周面に接触する。その結果、蓋4が取り外されると、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触して短時間で回転を停止する。
【0051】
このように、本実施形態のゴミ脱水システム1によれば、蓋4が取り外される時点でゴミかご3が回転していたとしても、蓋4が取り外されることで速やかにゴミかご3の回転が停止する。ノズル27から水が噴出していても、ゴミかご3は排水容器2の内周面に接触して回転を停止する。よって、蓋4が取り外されたときに露出したゴミかご3が回転し続けたままとなることが抑制される。ゴミかご3の軸受部33は、軸部材23における先細のテーパ部によって支持されている。つまり、軸部材23は、ゴミかご3を軸方向において支持するものの、回転軸線Xを傾斜させる力に対してはゴミかご3を支持していない。つまり、軸部材23は、軸受部33を支持した状態でゴミかご3の回転軸線Xが鉛直軸に対して傾斜することを許容する。
【0052】
よって、蓋4が排水容器2から取り外されて回転部材5による支持がなくなると、ゴミかご3の回転軸線Xが傾斜しやすい状態となり、ゴミかご3は排水容器2の内周面に接触して速やかに回転を停止する。また、ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していることで、ゴミかご3の傾斜が促進され、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触しやすくされている。よって、本実施形態のゴミ脱水システム1によれば、複雑な機構を要することなく、ゴミかご3が回転し続けることを簡易な構成により抑制することができる。
【0053】
また、ゴミGを脱水するときには、回転部材5がゴミかご3のリング部材3Bを支持することで、ゴミかご3の回転軸線Xのぶれが抑制される。よって、リング部材3Bと排水容器2におけるリング部材3Bと対応する内壁面との径の差をわずかなものとすることができる。このように径の差がわずかであっても、回転部材5によって支持されている間は、リング部材3Bが内壁面に接触することなく、ゴミかご3が回転することができる。一方、蓋4が排水容器2から取り外された場合、ゴミかご3の回転軸線Xがぶれて、リング部材3Bが排水容器2の内壁面に接近する。リング部材3Bと排水容器2の内壁面との径の差をわずかなものとしておけば、蓋4が排水容器2から取り外されて回転軸線Xがわずかに傾斜するだけで、ゴミかご3が排水容器2の内壁面に接触して停止する。
【0054】
ゴミかご3の重心を回転軸線Xに対して偏心させる手段としては、例えば、予め重心が回転軸線Xに対して偏心するようにゴミかご3を成型してもよく、成型後にゴミかご3におもりを付けるようにしてもよい。かご本体3Aの重心を回転軸線Xに対して偏心させても、リング部材3Bの重心を回転軸線Xに対して偏心させてもよい。
【0055】
なお、回転部材5の重心を回転部材5の回転軸線に対して偏心させるようにして、ゴミかご3と回転部材5とが係合することで、ゴミかご3と回転部材5とを合わせた回転体の重心が回転軸線Xに一致するようにしてもよい。あるいは、ゴミかご3と回転部材5とが係合することで、ゴミかご3の単体の重心よりも、ゴミかご3と回転部材5とを合わせた回転体の重心の方が回転軸線Xに対する偏心の度合いが小さくなるようにしてもよい。このようにすることで、ゴミGを脱水するときのゴミかご3の回転をよりスムーズなものとすることが可能である。
【0056】
なお、本実施形態のゴミ脱水システム1では、ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していなくても、蓋4が取り外されるとゴミかご3の回転が速やかに停止する。ゴミかご3内において、ゴミGの分布には偏りが生じるため、ゴミGを含むゴミかご3の重心は、回転軸線Xに対して偏心する。また、図7に示すように、ゴミかご3の回転によってゴミGはゴミかご3の内壁面に押しつけられるが、このときにもゴミGの分布には偏りが生じる。こうしてゴミGを含むゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心することで、蓋4が取り外されると回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜し、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触する。よって、ゴミかご3の単体の重心が回転軸線X上にあったとしても、ゴミGの脱水後に蓋4が取り外されると、ゴミかご3の回転が速やかに停止する。
【0057】
なお、軸受部33や軸部材23の構成は、図示したものには限定されない。例えば、本実施形態の軸受部33は、かご本体3Aに対して着脱可能な別部材で形成されているが、これには限定されない。軸受部33は、かご本体3Aの底部の中央部をシンク開口部22側に凹ませたものであってもよい。また、軸部材23の形状は、軸受部33を点接触によって軸方向に支持するものであればよい。本実施形態のゴミ脱水システム1では、ゴミかご3の軸受部33がゴミかご3内に突出する量をわずかなものとして、ゴミかご3内の容量を十分に確保することができる。
【0058】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例について説明する。本変形例において、上記第1実施形態と異なる点は、蓋4が取り外されると、ばね機構によって、軸部材23が軸受部から押し出されることである。図8は、排水容器2から蓋4が取り外されているときの本変形例にかかる軸受部を示す図、図9は、蓋4が排水容器2に嵌合しているときの本変形例にかかる軸受部を示す図である。
【0059】
軸受部133は、円筒部133a、ばね133bおよび円盤部133cを有する。円筒部133aは、有底円筒形状であり、底部31の外壁面に対して開口部を有し、底部31の外壁面からシンク開口部22側に向かって延在して形成されている。円盤部133cは、円盤形状であり、円盤部133cの外径は、円筒部133aの内径に対応して定められている。円盤部133cは、円筒部133a内に配置されており、円盤部133cと円筒部133aとは、ばね133bを介して接続されている。ばね133bは、円盤部133cを底部側に向けて付勢している。
【0060】
蓋4が排水容器2から取り外されているときは、図8に示すように、ばね133bの付勢力によりゴミかご3が上方に押し上げられ、軸部材23は軸受部133の円筒部133aから押し出される。また、ユーザーが蓋4を排水容器2に嵌合させると、回転部材5がゴミかご3に係合し、蓋4および回転部材5が係合された押圧力によって、ゴミかご3が底部側に押圧される。これにより、図9に示すように、ばね133bの付勢力に抗してゴミかご3が押し下げられ、軸部材23が軸受部133の円筒部133aに挿入される。
【0061】
従って、本変形例の軸受部133を有するゴミ脱水システム1では、蓋4が排水容器2のシンク開口部22に嵌合しているときは、軸部材23が軸受部133に挿入されて円盤部133cを介してゴミかご3を回転自在に支持する。ここで、軸部材23が軸受部133に挿入された状態で、軸部材23の外周面が円筒部133aの内周面を支持するように軸部材23の挿入深さや軸部材23の径が設定されていてもよい。このようにすれば、脱水時におけるゴミかご3の回転の安定性を高めることができる。一方、蓋4が排水容器2から取り外されると、ゴミかご3がばね133bの付勢力で浮き上がり、軸部材23が軸受部133から押し出される。これにより、軸部材23が軸受部133に挿入された状態よりもゴミかご3の回転軸線Xが傾斜しやすくなり、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触してゴミかご3の回転が停止する。
【0062】
なお、蓋4が排水容器2から取り外されたときに、円盤部133cが傾斜するようにしてもよい。図10は、円盤部133cが傾斜した状態を示す図である。軸部材23が円筒部133aに挿入された状態では、図9に示すように円盤部133cが回転軸線Xに対して直交し、軸部材23が押し出された状態では、図10に示すように円盤部133cの中心軸線がゴミかご3の回転軸線Xに対して傾斜するようにする。このようにすれば、蓋4が排水容器2から取り外されたときに、速やかに回転軸線Xを傾斜させ、ゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させてゴミかご3の回転を停止させることができる。円盤部133cを傾斜させる手段としては、例えば、円筒部133aの内周面に突起を設けておくことができる。蓋4が排水容器2から取り外されて円盤部133cが底部側に向けて移動するときに、円盤部133cが突起に係合することで、円盤部133cを傾斜させることが可能である。
【0063】
その他、蓋4が排水容器2から取り外されることで、軸部材23の中心軸線に対して軸受部133の中心軸線を傾斜させる構成や、軸部材23の中心軸線に対して軸受部133の中心軸線を偏心させる構成が用いられてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態では、ノズル27から噴出してフィン35の翼面35aに当たる水によって積極的にゴミかご3の回転軸線Xを傾斜させる点が上記第1実施形態と異なる。
【0065】
図2に示すように、排水容器2に設けられたノズル27は一つである。また、ノズル27による水の噴出方向は、翼面35aに対して直交する方向である。このため、ノズル27から噴出してフィン35の翼面35aに当たる水により、ゴミかご3は、ゴミかご3を回転させる力と共に、回転軸線Xを傾斜させる力を受ける。ここで、回転軸線Xを傾斜させる力とは、ゴミかご3に対して回転軸線Xと直交する方向に作用する力である。ノズル27から水が噴出している間は、ゴミかご3は、回転軸線Xを傾斜させる力を受け続ける。蓋4がシンク開口部22から離脱した状態では、翼面35aに当たる水がゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力を発生させて、ゴミかご3を排水容器2に対して傾斜させる。なお、ノズル27による水の噴出方向は、翼面35aと直交する方向には限定されない。水の噴出方向は、翼面35aに当たる水がゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力を発生させる方向であればよい。
【0066】
蓋4が取り外されるときに、蓋4が排水容器2に嵌合していることを蓋センサ9が検出しなくなってから、開閉弁8が閉弁されてノズル27から噴出する水が翼面35aに当たらなくなるまでは、ゴミかご3は回転軸線Xを傾斜させる力を受けており、回転軸線Xが傾斜することとなる。よって、蓋4が取り外されるときに、ノズル27から噴出する水の力によってゴミかご3を排水容器2に対して傾斜させることができる。従って、蓋4が取り外されてから短時間でゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、ユーザーによって蓋4が取り外されて蓋4がシンク開口部22から離脱してから、ノズル27による水の噴出が停止されるまでに所定の遅れ時間が設けられている。これにより、蓋4が取り外されてからも遅れ時間が経過するまでは水の噴出が停止されず、ゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力が作用し続ける。よって、速やかにゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させてゴミかご3の回転を停止させることができる。
【0068】
制御部6は、蓋4が排水容器2に嵌合していることを蓋センサ9が検出しなくなってから、予め定められた遅れ時間が経過するまでは、開閉弁8を開弁したままとする。この遅れ時間は、例えば、ゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させるために必要な時間に基づいて定められる。制御部6は、遅れ時間が経過すると、開閉弁8を閉弁する。
【0069】
なお、本実施形態では、排水容器2に設けられたノズル27の数は一つであったが、これには限定されない。ノズル27は、複数であってもよい。複数のノズル27は、各ノズル27がフィン35に作用させる力の合力が、回転軸線Xを傾斜させる分力を有するように配置されていればよい。また、排水容器2に複数のノズル27を配置する場合に、全てのノズル27から水を噴出する場合にはゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力が作用せず、所定のノズル27による水の噴出を停止した場合にゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力が作用するようにしてもよい。このようにノズル27を配置した場合、蓋4が排水容器2に嵌合しているときには全てのノズル27に水を噴出させ、蓋4が取り外されたときには上記所定のノズル27による水の噴出を停止するようにすれば、水の力によってゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させることができる。
【0070】
なお、上記第1実施形態のようにゴミかご3の重心を回転軸線Xに対して偏心させると共に、本実施形態のように蓋4が取り外されるときにノズル27から噴出する水の力によってゴミかご3の回転軸線Xを傾斜させるようにしてもよい。
【0071】
上記の各実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかるゴミ脱水システムは、排水容器の蓋が外されるなどゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0073】
1 ゴミ脱水システム
2 排水容器
22 シンク開口部
23 軸部材
27 ノズル
3 ゴミかご
32 かご開口部
33,133 軸受部
35 フィン
35a 翼面
36 脱水孔
4 蓋
5 回転部材
6 制御部
102 シンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ脱水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンで発生する生ゴミは、多くの水分を含むため、家庭用ゴミの重量を増加する原因であるとともに悪臭の原因となる。従来のキッチンシステムでは、生ゴミなどの水分を含むゴミの固液分離が行われている。従来のキッチンシステムでは、シンクの底部に、排水管と接続された排水容器が設けられている。排水容器には、ゴミを捕集するゴミかごが着脱自在に挿入されている。ゴミかごは、ゴミかご内の水を排水容器に排出する複数の孔が形成されている。ゴミかご内のゴミの水分は、複数の孔を介して排水容器に排水として排出される。つまり、ゴミの固液分離は、ゴミを捕集したゴミかごにより行われる。ここで、ゴミかご内のゴミの固液分離が十分でないと、濡れたゴミを手で廃棄することとなり、大きなストレスとなる。
【0003】
従来、特許文献1,2に示すように、ゴミかごを回転させてゴミかご内のゴミに遠心力を作用させることで、固液分離を促進させ、ゴミを脱水する技術が提案されている。また、特許文献3には、運転中において水切りかごの蓋が外れたり、また外したりしたときには、水切りかごの回転駆動力が停止され、或いは水切りかごの回転が停止される厨芥脱水装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−16493号公報
【特許文献2】特開平8−199646号公報
【特許文献3】特開平7−16497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排水容器の蓋が外されるなどゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制できることが望まれている。例えば、簡易な構成でゴミかごが回転し続けることを抑制できることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、排水容器の蓋が外されるなどゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制できるゴミ脱水システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゴミ脱水システムは、シンクの底部に対してシンク開口部が形成されている排水容器と、前記排水容器内に着脱可能に収納されるゴミかごと、前記シンク開口部に嵌合する蓋と、前記蓋によって回転自在に支持される回転部材と、を備え、前記ゴミかごは、前記ゴミかご内の水を前記排水容器に排出する複数の脱水孔と、前記シンク開口部側に形成されたかご開口部と、底部に形成された軸受部と、外周面に形成され、かつ周方向において連続して配置された複数のフィンと、を有し、前記排水容器は、前記シンク開口部に向けて突出し、前記シンク開口部側の軸端部において前記軸受部を回転自在に支持する軸部材と、前記フィンの翼面に向けて水を噴出する噴出部と、を有し、前記軸部材は、前記軸受部を支持した状態で前記ゴミかごの回転軸線が鉛直軸に対して傾斜することを許容し、前記回転部材は、前記蓋が前記シンク開口部に嵌合することで前記ゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつ前記ゴミかごを前記排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持することを特徴とする。
【0008】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記ゴミかごの重心が、前記ゴミかごの回転軸線に対して偏心していることが好ましい。
【0009】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記噴出部による水の噴出方向は、前記蓋が前記シンク開口部から離脱した状態において、前記翼面に当たる水が前記ゴミかごに対して前記ゴミかごの回転軸線を傾斜させる力を発生させる方向であることが好ましい。
【0010】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記噴出部による水の噴出は、前記シンク開口部に嵌合した前記蓋が前記シンク開口部から離脱することで自動的に停止され、前記蓋が離脱してから前記噴出部による水の噴出が停止されるまでに所定の遅れ時間を有することが好ましい。
【0011】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、先が尖った尖端形状であることが好ましい。
【0012】
上記ゴミ脱水システムにおいて、前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、前記シンク開口部側に向けて径が小さくなるテーパ形状であり、前記軸部材において、前記テーパ形状に形成されたテーパ部の軸方向の長さは、前記軸受部の軸方向の深さ以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるゴミ脱水システムでは、排水容器の軸部材が軸端部においてゴミかごの軸受部を回転自在に支持し、かつ軸受部を支持した状態でゴミかごの回転軸線が鉛直軸に対して傾斜することを許容する。回転部材は、蓋がシンク開口部に嵌合することでゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつゴミかごを排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持する。蓋がシンク開口部から取り外されると、回転部材がゴミかごを支持しない状態となり、ゴミかごが排水容器の内周面に接触する。よって、本発明にかかるゴミ脱水システムは、ゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態にかかるゴミ脱水システムを備えるキッチンシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるゴミ脱水システムを示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態にかかるゴミ脱水システムの要部断面図である。
【図4】図4は、実施形態にかかるゴミかごを示す斜視図である。
【図5】図5は、蓋および回転部材の断面図である。
【図6】図6は、蓋および回転部材を示す斜視図である。
【図7】図7は、蓋が外されたときのゴミかごの動作説明図である。
【図8】図8は、排水容器から蓋が外されているときの変形例にかかる軸受部を示す図である。
【図9】図9は、蓋が排水容器に嵌合しているときの変形例にかかる軸受部を示す図である。
【図10】図10は、円盤部が傾斜した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態にかかるゴミ脱水システムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
(第1実施形態)
図1から図7を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、ゴミ脱水システムに関する。図1は、本実施形態にかかるゴミ脱水システムを備えるキッチンシステムの概略構成を示す図、図2は、本実施形態にかかるゴミ脱水システムを示す斜視図、図3は、本実施形態にかかるゴミ脱水システムの要部断面図、図4は、本実施形態にかかるゴミかごを示す斜視図、図5は、蓋および回転部材の断面図、図6は、蓋および回転部材を示す斜視図、図7は、蓋が外されたときのゴミかごの動作説明図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態にかかるゴミ脱水システム1は、キッチンシステム100に設けられるものである。キッチンシステム100は、本体101、シンク102、給水管103、配管104、排水管105、分岐管7およびキッチン水栓106を備える。
【0018】
配管104は、給水管103からキッチン水栓106に上水を供給するものである。分岐管7は、配管104から分岐して排水容器2の後述するノズル27に接続されている。分岐管7には、開閉弁8が設けられている。
【0019】
図2および図3に示すように、ゴミ脱水システム1は、排水容器2、ゴミかご3、蓋4および回転部材5を備える。
【0020】
排水容器2は、有底円筒形状であり、シンク102の底部102aよりも鉛直方向の下側に形成されている。本実施形態において、特に記載がない限り、上下方向とは、鉛直方向における上下方向を示すものとする。排水容器2は、例えば、中心軸線が鉛直方向に延在するように配置される。図3に示すように、排水容器2には、底部21と反対側に開口部であるシンク開口部22が形成されている。シンク開口部22は、シンク102の底部102aと同一平面で開口するように形成されている。言い換えると、シンク102の底部102aに排水容器2のシンク開口部22が形成されている。シンク開口部22は、シンク102の内部に向けて開口している。図2に示すように、排水容器2は、外周面のうち底部側において排水管105と接続されている。排水容器2内の水は、排水管105を介して下水に排出される。
【0021】
図3に示すように、排水容器2は、軸部材23を備える。軸部材23は、排水容器2の底部21に形成されている。軸部材23は、シンク開口部22側に向けて突出しており、シンク開口部22側に向かって延在して形成されている。
【0022】
排水容器2には、下部フランジ部24および上部フランジ部25が形成されている。下部フランジ部24および上部フランジ部25は、それぞれ上方を向く面を有する。上部フランジ部25は、下部フランジ部24よりも上方に形成されている。また、上部フランジ部25は、下部フランジ部24よりも半径方向の外側に形成されている。上部フランジ部25は、シンク102の底部102aと同一平面上に形成されている。
【0023】
図2に示すように、排水容器2には、ノズル27が設けられている。ノズル27は、ゴミかご3の後述するフィン35の翼面35aに向けて水を噴出する噴出部である。ノズル27は、排水容器2の側壁26を貫通しており、取付部材28によって側壁26に固定されている。ノズル27は、フィン35の翼面35aに対して直交する方向から水を当てることができるように配置されている。ノズル27は、例えば、ゴミかご3の外周面の接線方向に延在するように固定されている。ノズル27の流入口27aには、分岐管7が接続されている。
【0024】
蓋4は、シンク開口部22に嵌合してシンク開口部22を閉塞するものである。蓋4は、上部が閉塞された円筒形状である。蓋4は、円盤部41および円筒部42を有する。円筒部42は、円筒形状をなしている。円盤部41は、円盤形状をなしており、円筒部42の上端を閉塞している。円盤部41の半径方向中央部には、凹部43が形成されている。凹部43の半径方向中央部には、上方に向けて突出するつまみ44が形成されている。つまみ44は、円柱形状であり、その先端は円盤部41の上面よりも上側に位置している。これにより、ユーザーは、凹部43に水が溜まった状態であっても、その水に触れることなくつまみ44を摘んで蓋4を引き上げることができる。
【0025】
円筒部42には、複数の貫通孔45および複数の支持突起46がそれぞれ形成されている。貫通孔45は、矩形に形成されており、円筒部42を内壁面から外壁面まで半径方向に貫通している。貫通孔45は、円筒部42の周方向に所定の間隔で連続的に形成されている。支持突起46は、隣接する貫通孔45,45の間に形成されている。支持突起46は、断面矩形の柱状の突起であり、円筒部42の外周面に対して半径方向外側に向けて突出している。本実施形態では、4本の支持突起46が周方向に等間隔で配置されている。支持突起46の下端46aと、貫通孔45の下端45aとは、同一平面上にある。
【0026】
ゴミかご3は、かご本体3Aとリング部材3Bとを有する。かご本体3Aは、図3および図4に示すように、有底円筒形状である。ゴミかご3は、排水容器2内に着脱可能に収納される。ゴミかご3には、底部31と反対側に開口部であるかご開口部32が形成されている。つまり、かご開口部32は、ゴミかご3が排水容器2内に収納された状態で、シンク開口部22側に形成されている。ゴミかご3が排水容器2内に収納された状態で、ゴミかご3におけるシンク開口部22側の先端部は、軸方向において排水容器2の上部フランジ部25と下部フランジ部24との間に位置している。かご本体3Aは、軸受部33を有する。軸受部33は、底部31に形成されている。軸受部33は、底部31の外壁面に対して上方に凹む凹部である。軸受部33は、軸部材23の軸端部が挿入されることで、ゴミかご3を回転自在に支持するものである。軸受部33は、有底円筒形状であり、底部31の外壁面に対して開口部を有し、底部31の外壁面からかご開口部32側(シンク開口部22側)に向かって延在して形成されている。
【0027】
軸部材23におけるシンク開口部22側には、テーパ部23aが形成されている。テーパ部23aは、基端側である底部側から先端側であるシンク開口部22側に向けて径が減少するテーパ形状に形成されている。テーパ部23aの先端は、シンク開口部22側に向けて凸な曲面となっている。つまり、軸部材23は、その先端であるシンク開口部22側の軸端部において軸受部33を点接触で回転自在に支持している。なお、テーパ部23aは、先が尖った尖端形状であってもよい。
【0028】
テーパ部23aの軸方向の長さは、軸受部33の軸方向の深さ以上である。このため、テーパ部23aは先端側の一部のみが軸受部33に挿入される。言い換えると、テーパ部23aの基端、すなわち底部側の端は、軸受部33よりも下側に位置している。これによりゴミかご3は、軸受部33がテーパ部23aの先端のみと接触した状態で回転することができる。
【0029】
リング部材3Bは、かご本体3Aにおけるシンク開口部22側の端部に取付けられている。リング部材3Bは、リング形状であり、その内径はかご本体3Aの内径と同一である。また、リング部材3Bの外径は、かご本体3Aの外径よりも大きい。つまり、リング部材3Bは、かご本体3Aに対して半径方向外側に張り出している。ゴミかご3が排水容器2内に収納された状態で、ゴミかご3の外径は、排水容器2の内周面における対応する内径よりも小さい。つまり、ゴミかご3は、排水容器2内に収納された状態で、排水容器2の内周面との間に隙間を保った状態に保持可能である。言い換えると、ゴミかご3は、軸受部33が軸部材23によって支持された状態で、排水容器2の内周面と接触することなく回転することが可能である。例えば、ゴミかご3の中心軸線(回転軸線)Xが排水容器2の中心軸線上にあるときは、ゴミかご3は排水容器2の内周面に接触することなく回転することができる。
【0030】
また、ゴミかご3は、回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜することで、排水容器2の内周面と接触する。本実施形態では、ゴミかご3の回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜することを単に「ゴミかご3が排水容器2に対して傾斜する」と記載する。ゴミかご3が排水容器2に対して傾斜すると、リング部材3Bの外周面が、排水容器2の内周面と接触する。リング部材3Bにおける外周側には、排水容器2の下部フランジ部24に対応するフランジ部37が形成されている。フランジ部37は、リング部材3Bにおいて半径方向外側に突出する突出部である。フランジ部37は、排水容器2の下部フランジ部24よりも上側に位置しており、かつ軸方向において下部フランジ部24と対向している。
【0031】
ゴミかご3が排水容器2に対して傾斜すると、ゴミかご3のフランジ部37が排水容器2の下部フランジ部24に接触する。つまり、リング部材3Bは、ゴミかご3の回転軸線Xが傾斜した場合に排水容器2の内周面と接触してゴミかご3の回転を停止させるブレーキ部材として機能することができる。
【0032】
リング部材3Bには、複数の係合溝34が形成されている。係合溝34は、後述する回転部材5の係合突起52と係合するものである。係合溝34は、リング部材3Bの上面に形成されている。係合溝34は、軸方向視において台形形状に形成されている。係合溝34は、半径方向の外側から内側に向けて周方向の幅が広がるテーパ形状である。また、係合溝34における半径方向内側の端部は、かご本体3Aの内部に向けて開放している。言い換えると、係合溝34は、リング部材3Bの内周面から半径方向の外側に向けて延在している。係合溝34は、周方向に所定の間隔で連続して形成されている。係合溝34は、例えば、周方向に等間隔で配置される。
【0033】
かご本体3Aの外周面には、複数のフィン35が形成されている。フィン35は、かご本体3Aにおける軸方向の中央部に形成されている。フィン35は、周方向に所定の間隔で連続して配置されている。フィン35は、例えば、周方向に等間隔で配置される。フィン35は、軸方向視における断面形状がL字形状の板状部材である。フィン35は、かご本体3Aの外周面に対して直交する方向、すなわち半径方向に突出しており、半径方向外側の端部が回転方向後方に向けて屈曲している。フィン35の大きさは、ゴミかご3が排水容器2に収納された状態で、ゴミかご3の半径方向におけるフィン35の先端部が排水容器2の内壁面に接触しない大きさに設定される。フィン35の翼面35aは、かご本体3Aの中心軸線(回転軸線)Xに対して平行であり、かつ回転方向に対して直交している。
【0034】
かご本体3Aには、複数の脱水孔36が形成されている。脱水孔36は、ゴミかご3内の水を排水容器2に排出するものである。複数の脱水孔36は、本実施形態では、ゴミかご3の底部31や外周面において、内壁面から外壁面まで貫通して形成されている。
【0035】
ユーザーによってゴミかご3が排水容器2内に収納されるときには、排水容器2の軸部材23がゴミかご3の軸受部33に挿入される。軸受部33における底部側は、シンク開口部22側よりも大径である。このように、軸受部33の開口部の径が奥部の径よりも大きな径とされていることで、ユーザーがゴミかご3を排水容器2内に収納するときに、容易に軸受部33に対して軸部材23を挿入することができる。ゴミかご3が排水容器2内に収納されると、軸部材23が軸受部33の天井面に当接し、ゴミかご3は軸部材23によって回転可能に支持される。
【0036】
図5および図6に示すように、回転部材5は、蓋4によって回転自在に支持されている。回転部材5は、円盤部51、係合突起52および軸受部53を有する。円盤部51は、円盤形状であり、軸方向において蓋4の円盤部41における裏面(下面)と対向している。軸受部53は、円盤部51における半径方向の中心部に配置されている。軸受部53は、ボルト47によって支持されて円盤部51を回転自在に支持する。ボルト47は、下方から軸受部53の貫通孔に挿入されてつまみ44のボルト孔44aに螺合している。このように、回転部材5は、ボルト47を介して蓋4によって支持されて蓋4に対して相対回転することができる。また、回転部材5の中心軸線と、蓋4の中心軸線とは同一線上にある。
【0037】
円盤部51には、複数の貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、円盤部51を表面から裏面まで軸方向に貫通して形成されている。貫通孔54は、扇形に形成されており、周方向に連続して形成されている。貫通孔54は、例えば、周方向に等間隔で配置される。
【0038】
係合突起52は、円盤部51の下面に形成されている。係合突起52は、円盤部51における外縁の近傍に配置されている。係合突起52は、円盤部51の下面に対して蓋4側と反対側に向けて突出している。係合突起52は、ゴミかご3の係合溝34と対応する形状に形成されている。係合突起52は、半径方向の外側から内側に向けて周方向の幅が広がるテーパ形状に形成されている。係合突起52は、周方向に所定の間隔で連続して形成されている。係合突起52は、例えば、周方向に等間隔で配置される。本実施形態では、4つの係合突起52が周方向に等間隔で配置されている。係合溝34および係合突起52がそれぞれ半径方向の外側から内側に向けて周方向の幅が広がるテーパ形状とされていることで、係合溝34に対して係合突起52を容易に係合させることができる。
【0039】
各係合突起52は、蓋4が排水容器2のシンク開口部22に嵌合することでゴミかご3の係合溝34にそれぞれ係合することができる。ユーザーが蓋4のつまみ44を持ち、図2に矢印Y1で示すようにシンク開口部22に蓋4を嵌合させるときに、ゴミかご3のリング部材3Bの上面と回転部材5の円盤部51の下面とが対向する。このときに、係合溝34の位置と係合突起52の位置とが合っていれば、係合溝34に係合突起52が係合する。また、係合溝34の位置と係合突起52の位置とがずれていたとしても、ユーザーが蓋4を回転させることで、容易に係合溝34に対して係合突起52を位置合せして係合させることができる。係合溝34に係合突起52が係合すると、回転部材5とゴミかご3との相対回転が規制される。つまり、係合溝34に係合突起52が係合することで、回転部材5はゴミかご3に対して一体回転可能に係合する。
【0040】
係合溝34に係合突起52が係合すると、蓋4の支持突起46が排水容器2の上部フランジ部25に当接する。これにより、蓋4の上下方向における位置決めがなされる。支持突起46が上部フランジ部25に当接した状態において、係合突起52は係合溝34に係合しており、かつ係合溝34の底部からは離間している。つまり、係合突起52は、ゴミかご3を下方に向けて押圧することなく、係合溝34に係合することができる。
【0041】
また、蓋4の円筒部42が排水容器2のシンク開口部22に係合することで、蓋4の半径方向における位置決めがなされる。円筒部42の外径と、シンク開口部22の内径とは対応する大きさである。例えば、円筒部42の外径に対して、シンク開口部22の内径がわずかに大きい。これにより、円筒部42がシンク開口部22に嵌合することで、排水容器2の軸部材23と蓋4のボルト47との軸合せがなされる。よって、ゴミかご3と回転部材5とは同軸上に位置し、一体となって回転することができる。また、排水容器2と蓋4との軸合せがなされることで、ゴミかご3は、回転部材5によって、排水容器2の内周面に対して径方向に離間した位置に保持される。すなわち、ゴミかご3は、排水容器2の内周面に対して径方向に隙間を保持しつつ回転することができる。回転部材5の係合突起52がゴミかご3の係合溝34に係合することで、回転部材5は、ゴミかご3の上部を回転自在に支持することができる。したがって、ゴミかご3は、その上部を回転部材5によって支持され、下部を軸部材23によって支持されていることで、回転軸がぶれることなく回転することができる。
【0042】
蓋4の貫通孔45は、シンク102の水を排出させるものである。蓋4の支持突起46が排水容器2の上部フランジ部25に当接した状態で、蓋4の貫通孔45は、シンク102と蓋4の内部とを連通させる。従って、蓋4が排水容器2に嵌合した状態において、シンク102内の水は、貫通孔45を介して蓋4内に流入し、回転部材5の貫通孔54を介してゴミかご3に流入することができる。ユーザーが調理や洗浄などでキッチン水栓106およびシンク102を使用すると、シンク102内の水が貫通孔45,54を介してゴミかご3に流入し、ゴミかご3によってゴミが捕集される。なお、ゴミかご3に流入した水は、複数の脱水孔36を介して下水に排出される。
【0043】
このように、蓋4が排水容器2に嵌合した状態において、シンク102内の水が常時排出される。よって、シンク102に水が溜まったままとなることが抑制される。つまり、ゴミかご3内のゴミの脱水が終了して蓋4を取り外すときに、シンク102内には水が溜まっていない状態としておくことができる。
【0044】
排水容器2のノズル27から噴出する水は、図4に矢印Y2で示すように、フィン35の翼面35aに向けられている。ノズル27からの水の噴出は、例えば、ユーザーによって脱水スイッチがONされることにより開始される。図1に示すように、ゴミ脱水システム1は、蓋4が排水容器2に嵌合していることを検知する蓋センサ9を有する。蓋センサ9は、係合溝34に係合突起52が嵌合するために十分な深さまで蓋4がシンク開口部22に対して挿入されている場合に蓋4の嵌合を検知する。蓋センサ9は、制御部6に接続されている。制御部6は、コンピュータを有する制御ユニットである。制御部6は、ゴミ脱水システム1を制御する機能を有する。
【0045】
制御部6には、開閉弁8が接続されており、開閉弁8は制御部6によって制御される。制御部6は、蓋センサ9によって蓋4が排水容器2に嵌合していることが検出されており、かつ脱水スイッチがONされているときに、開閉弁8を開弁する。開閉弁8が開弁されると、配管104から分岐管7を介してノズル27に高圧の水が供給され、ノズル27から水が噴出する。ノズル27から噴出する水は、ゴミかご3のフィン35の翼面35aに当たり、ゴミかご3を回転させる。フィン35は、半径方向外側の端部が回転方向後方に向けて折り曲げられていることで、受けた水圧を効率良くゴミかご3に対する回転力に変換することができる。
【0046】
ゴミかご3が回転すると、ゴミかご3の回転中は、ゴミかご3のゴミに遠心力が作用する。ゴミは、遠心力によってゴミかご3の内壁面に押しつけられ、ゴミの水分が複数の脱水孔36を介して排水容器2に排出されてゴミが脱水される。ユーザーによって脱水スイッチがOFFされた場合、および蓋4が排水容器2に嵌合していることが蓋センサ9によって検出されなくなった場合、制御部6は開閉弁8を閉弁する。つまり、制御部6は、シンク開口部22に嵌合した蓋4が、図7に矢印Y3で示すようにシンク開口部22から離脱すると、自動的にノズル27による水の噴出を停止する。
【0047】
開閉弁8が閉弁されて分岐管7が閉塞されると、ノズル27に対する水の供給が停止し、ノズル27は水の噴出を停止する。これにより、ゴミかご3は回転を停止する。ゴミかご3の回転軸線Xが傾斜すると、図7に示すように、ゴミかご3のフランジ部37が排水容器2の下部フランジ部24に接触してゴミかご3の回転にブレーキがかかり、ゴミかご3の回転が停止する。ゴミGは、ゴミかご3の内壁面に押しつけられて脱水された状態となっている。
【0048】
ユーザーは、ゴミかご3内のゴミGの脱水が完了して脱水スイッチをOFFとした後、蓋4をシンク開口部22から取り外し、ゴミかご3を排水容器2から取り外して、ゴミかご3内の脱水されたゴミGを廃棄する。なお、脱水時に複数のフィン35の翼面35aに当たった水は、ゴミかご3の外周面あるいは排水容器2の内周面を伝い、排水管105を介して下水に排出される。従って、ゴミかご3の回転中にゴミかご3および排水容器2が水にさらされることにより、ゴミかご3および排水容器2の汚れを洗浄することができる。これにより、ユーザーによる排水容器2およびゴミかご3の清掃を簡略化することができる。
【0049】
ここで、ノズル27による水の噴出が停止してから、ゴミかご3の回転が停止するまでには所定の時間を要する。ゴミかご3の回転が停止する前に蓋4が取り外されると、回転したままのゴミかご3が露出することになる。回転するゴミかご3が露出すると、ゴミかご3からシンク102に水が飛び散るなどして好ましくない。また、ユーザーが手を触れることができる状態でゴミかご3が回転し続けることは好ましくない。蓋4が取り外されたときに、速やかにゴミかご3の回転が停止することが好ましい。
【0050】
本実施形態のゴミかご3の重心は、ゴミかご3の回転軸線Xに対して偏心している。これにより、蓋4が取り外されるとゴミかご3のフランジ部37が排水容器2の下部フランジ部24に接触してゴミかご3の回転にブレーキがかかり、ゴミかご3の回転が速やかに停止する。ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していても、蓋4がシンク開口部22に嵌合して回転部材5がゴミかご3に係合している間は、回転部材5がゴミかご3を支持することで、ゴミかご3の回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜することが抑制される。一方、蓋4がシンク開口部22から取り外されて回転部材5とゴミかご3との係合が解除されると、ゴミかご3は、回転部材5によって支持されない状態となる。ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していることから、ゴミかご3の回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜し、リング部材3Bが排水容器2の内周面に接触する。その結果、蓋4が取り外されると、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触して短時間で回転を停止する。
【0051】
このように、本実施形態のゴミ脱水システム1によれば、蓋4が取り外される時点でゴミかご3が回転していたとしても、蓋4が取り外されることで速やかにゴミかご3の回転が停止する。ノズル27から水が噴出していても、ゴミかご3は排水容器2の内周面に接触して回転を停止する。よって、蓋4が取り外されたときに露出したゴミかご3が回転し続けたままとなることが抑制される。ゴミかご3の軸受部33は、軸部材23における先細のテーパ部によって支持されている。つまり、軸部材23は、ゴミかご3を軸方向において支持するものの、回転軸線Xを傾斜させる力に対してはゴミかご3を支持していない。つまり、軸部材23は、軸受部33を支持した状態でゴミかご3の回転軸線Xが鉛直軸に対して傾斜することを許容する。
【0052】
よって、蓋4が排水容器2から取り外されて回転部材5による支持がなくなると、ゴミかご3の回転軸線Xが傾斜しやすい状態となり、ゴミかご3は排水容器2の内周面に接触して速やかに回転を停止する。また、ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していることで、ゴミかご3の傾斜が促進され、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触しやすくされている。よって、本実施形態のゴミ脱水システム1によれば、複雑な機構を要することなく、ゴミかご3が回転し続けることを簡易な構成により抑制することができる。
【0053】
また、ゴミGを脱水するときには、回転部材5がゴミかご3のリング部材3Bを支持することで、ゴミかご3の回転軸線Xのぶれが抑制される。よって、リング部材3Bと排水容器2におけるリング部材3Bと対応する内壁面との径の差をわずかなものとすることができる。このように径の差がわずかであっても、回転部材5によって支持されている間は、リング部材3Bが内壁面に接触することなく、ゴミかご3が回転することができる。一方、蓋4が排水容器2から取り外された場合、ゴミかご3の回転軸線Xがぶれて、リング部材3Bが排水容器2の内壁面に接近する。リング部材3Bと排水容器2の内壁面との径の差をわずかなものとしておけば、蓋4が排水容器2から取り外されて回転軸線Xがわずかに傾斜するだけで、ゴミかご3が排水容器2の内壁面に接触して停止する。
【0054】
ゴミかご3の重心を回転軸線Xに対して偏心させる手段としては、例えば、予め重心が回転軸線Xに対して偏心するようにゴミかご3を成型してもよく、成型後にゴミかご3におもりを付けるようにしてもよい。かご本体3Aの重心を回転軸線Xに対して偏心させても、リング部材3Bの重心を回転軸線Xに対して偏心させてもよい。
【0055】
なお、回転部材5の重心を回転部材5の回転軸線に対して偏心させるようにして、ゴミかご3と回転部材5とが係合することで、ゴミかご3と回転部材5とを合わせた回転体の重心が回転軸線Xに一致するようにしてもよい。あるいは、ゴミかご3と回転部材5とが係合することで、ゴミかご3の単体の重心よりも、ゴミかご3と回転部材5とを合わせた回転体の重心の方が回転軸線Xに対する偏心の度合いが小さくなるようにしてもよい。このようにすることで、ゴミGを脱水するときのゴミかご3の回転をよりスムーズなものとすることが可能である。
【0056】
なお、本実施形態のゴミ脱水システム1では、ゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心していなくても、蓋4が取り外されるとゴミかご3の回転が速やかに停止する。ゴミかご3内において、ゴミGの分布には偏りが生じるため、ゴミGを含むゴミかご3の重心は、回転軸線Xに対して偏心する。また、図7に示すように、ゴミかご3の回転によってゴミGはゴミかご3の内壁面に押しつけられるが、このときにもゴミGの分布には偏りが生じる。こうしてゴミGを含むゴミかご3の重心が回転軸線Xに対して偏心することで、蓋4が取り外されると回転軸線Xが排水容器2の中心軸線に対して傾斜し、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触する。よって、ゴミかご3の単体の重心が回転軸線X上にあったとしても、ゴミGの脱水後に蓋4が取り外されると、ゴミかご3の回転が速やかに停止する。
【0057】
なお、軸受部33や軸部材23の構成は、図示したものには限定されない。例えば、本実施形態の軸受部33は、かご本体3Aに対して着脱可能な別部材で形成されているが、これには限定されない。軸受部33は、かご本体3Aの底部の中央部をシンク開口部22側に凹ませたものであってもよい。また、軸部材23の形状は、軸受部33を点接触によって軸方向に支持するものであればよい。本実施形態のゴミ脱水システム1では、ゴミかご3の軸受部33がゴミかご3内に突出する量をわずかなものとして、ゴミかご3内の容量を十分に確保することができる。
【0058】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例について説明する。本変形例において、上記第1実施形態と異なる点は、蓋4が取り外されると、ばね機構によって、軸部材23が軸受部から押し出されることである。図8は、排水容器2から蓋4が取り外されているときの本変形例にかかる軸受部を示す図、図9は、蓋4が排水容器2に嵌合しているときの本変形例にかかる軸受部を示す図である。
【0059】
軸受部133は、円筒部133a、ばね133bおよび円盤部133cを有する。円筒部133aは、有底円筒形状であり、底部31の外壁面に対して開口部を有し、底部31の外壁面からシンク開口部22側に向かって延在して形成されている。円盤部133cは、円盤形状であり、円盤部133cの外径は、円筒部133aの内径に対応して定められている。円盤部133cは、円筒部133a内に配置されており、円盤部133cと円筒部133aとは、ばね133bを介して接続されている。ばね133bは、円盤部133cを底部側に向けて付勢している。
【0060】
蓋4が排水容器2から取り外されているときは、図8に示すように、ばね133bの付勢力によりゴミかご3が上方に押し上げられ、軸部材23は軸受部133の円筒部133aから押し出される。また、ユーザーが蓋4を排水容器2に嵌合させると、回転部材5がゴミかご3に係合し、蓋4および回転部材5が係合された押圧力によって、ゴミかご3が底部側に押圧される。これにより、図9に示すように、ばね133bの付勢力に抗してゴミかご3が押し下げられ、軸部材23が軸受部133の円筒部133aに挿入される。
【0061】
従って、本変形例の軸受部133を有するゴミ脱水システム1では、蓋4が排水容器2のシンク開口部22に嵌合しているときは、軸部材23が軸受部133に挿入されて円盤部133cを介してゴミかご3を回転自在に支持する。ここで、軸部材23が軸受部133に挿入された状態で、軸部材23の外周面が円筒部133aの内周面を支持するように軸部材23の挿入深さや軸部材23の径が設定されていてもよい。このようにすれば、脱水時におけるゴミかご3の回転の安定性を高めることができる。一方、蓋4が排水容器2から取り外されると、ゴミかご3がばね133bの付勢力で浮き上がり、軸部材23が軸受部133から押し出される。これにより、軸部材23が軸受部133に挿入された状態よりもゴミかご3の回転軸線Xが傾斜しやすくなり、ゴミかご3が排水容器2の内周面に接触してゴミかご3の回転が停止する。
【0062】
なお、蓋4が排水容器2から取り外されたときに、円盤部133cが傾斜するようにしてもよい。図10は、円盤部133cが傾斜した状態を示す図である。軸部材23が円筒部133aに挿入された状態では、図9に示すように円盤部133cが回転軸線Xに対して直交し、軸部材23が押し出された状態では、図10に示すように円盤部133cの中心軸線がゴミかご3の回転軸線Xに対して傾斜するようにする。このようにすれば、蓋4が排水容器2から取り外されたときに、速やかに回転軸線Xを傾斜させ、ゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させてゴミかご3の回転を停止させることができる。円盤部133cを傾斜させる手段としては、例えば、円筒部133aの内周面に突起を設けておくことができる。蓋4が排水容器2から取り外されて円盤部133cが底部側に向けて移動するときに、円盤部133cが突起に係合することで、円盤部133cを傾斜させることが可能である。
【0063】
その他、蓋4が排水容器2から取り外されることで、軸部材23の中心軸線に対して軸受部133の中心軸線を傾斜させる構成や、軸部材23の中心軸線に対して軸受部133の中心軸線を偏心させる構成が用いられてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態では、ノズル27から噴出してフィン35の翼面35aに当たる水によって積極的にゴミかご3の回転軸線Xを傾斜させる点が上記第1実施形態と異なる。
【0065】
図2に示すように、排水容器2に設けられたノズル27は一つである。また、ノズル27による水の噴出方向は、翼面35aに対して直交する方向である。このため、ノズル27から噴出してフィン35の翼面35aに当たる水により、ゴミかご3は、ゴミかご3を回転させる力と共に、回転軸線Xを傾斜させる力を受ける。ここで、回転軸線Xを傾斜させる力とは、ゴミかご3に対して回転軸線Xと直交する方向に作用する力である。ノズル27から水が噴出している間は、ゴミかご3は、回転軸線Xを傾斜させる力を受け続ける。蓋4がシンク開口部22から離脱した状態では、翼面35aに当たる水がゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力を発生させて、ゴミかご3を排水容器2に対して傾斜させる。なお、ノズル27による水の噴出方向は、翼面35aと直交する方向には限定されない。水の噴出方向は、翼面35aに当たる水がゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力を発生させる方向であればよい。
【0066】
蓋4が取り外されるときに、蓋4が排水容器2に嵌合していることを蓋センサ9が検出しなくなってから、開閉弁8が閉弁されてノズル27から噴出する水が翼面35aに当たらなくなるまでは、ゴミかご3は回転軸線Xを傾斜させる力を受けており、回転軸線Xが傾斜することとなる。よって、蓋4が取り外されるときに、ノズル27から噴出する水の力によってゴミかご3を排水容器2に対して傾斜させることができる。従って、蓋4が取り外されてから短時間でゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、ユーザーによって蓋4が取り外されて蓋4がシンク開口部22から離脱してから、ノズル27による水の噴出が停止されるまでに所定の遅れ時間が設けられている。これにより、蓋4が取り外されてからも遅れ時間が経過するまでは水の噴出が停止されず、ゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力が作用し続ける。よって、速やかにゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させてゴミかご3の回転を停止させることができる。
【0068】
制御部6は、蓋4が排水容器2に嵌合していることを蓋センサ9が検出しなくなってから、予め定められた遅れ時間が経過するまでは、開閉弁8を開弁したままとする。この遅れ時間は、例えば、ゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させるために必要な時間に基づいて定められる。制御部6は、遅れ時間が経過すると、開閉弁8を閉弁する。
【0069】
なお、本実施形態では、排水容器2に設けられたノズル27の数は一つであったが、これには限定されない。ノズル27は、複数であってもよい。複数のノズル27は、各ノズル27がフィン35に作用させる力の合力が、回転軸線Xを傾斜させる分力を有するように配置されていればよい。また、排水容器2に複数のノズル27を配置する場合に、全てのノズル27から水を噴出する場合にはゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力が作用せず、所定のノズル27による水の噴出を停止した場合にゴミかご3に対して回転軸線Xを傾斜させる力が作用するようにしてもよい。このようにノズル27を配置した場合、蓋4が排水容器2に嵌合しているときには全てのノズル27に水を噴出させ、蓋4が取り外されたときには上記所定のノズル27による水の噴出を停止するようにすれば、水の力によってゴミかご3を排水容器2の内周面に接触させることができる。
【0070】
なお、上記第1実施形態のようにゴミかご3の重心を回転軸線Xに対して偏心させると共に、本実施形態のように蓋4が取り外されるときにノズル27から噴出する水の力によってゴミかご3の回転軸線Xを傾斜させるようにしてもよい。
【0071】
上記の各実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかるゴミ脱水システムは、排水容器の蓋が外されるなどゴミかごが露出した場合に、ゴミかごが回転し続けることを抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0073】
1 ゴミ脱水システム
2 排水容器
22 シンク開口部
23 軸部材
27 ノズル
3 ゴミかご
32 かご開口部
33,133 軸受部
35 フィン
35a 翼面
36 脱水孔
4 蓋
5 回転部材
6 制御部
102 シンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの底部に対してシンク開口部が形成されている排水容器と、
前記排水容器内に着脱可能に収納されるゴミかごと、
前記シンク開口部に嵌合する蓋と、
前記蓋によって回転自在に支持される回転部材と、
を備え、
前記ゴミかごは、
前記ゴミかご内の水を前記排水容器に排出する複数の脱水孔と、
前記シンク開口部側に形成されたかご開口部と、
底部に形成された軸受部と、
外周面に形成され、かつ周方向において連続して配置された複数のフィンと、を有し、
前記排水容器は、
前記シンク開口部に向けて突出し、前記シンク開口部側の軸端部において前記軸受部を回転自在に支持する軸部材と、
前記フィンの翼面に向けて水を噴出する噴出部と、を有し、
前記軸部材は、前記軸受部を支持した状態で前記ゴミかごの回転軸線が鉛直軸に対して傾斜することを許容し、
前記回転部材は、前記蓋が前記シンク開口部に嵌合することで前記ゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつ前記ゴミかごを前記排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持する
ことを特徴とするゴミ脱水システム。
【請求項2】
前記ゴミかごの重心が、前記ゴミかごの回転軸線に対して偏心している
請求項1に記載のゴミ脱水システム。
【請求項3】
前記噴出部による水の噴出方向は、前記蓋が前記シンク開口部から離脱した状態において、前記翼面に当たる水が前記ゴミかごに対して前記ゴミかごの回転軸線を傾斜させる力を発生させる方向である
請求項1または2に記載のゴミ脱水システム。
【請求項4】
前記噴出部による水の噴出は、前記シンク開口部に嵌合した前記蓋が前記シンク開口部から離脱することで自動的に停止され、
前記蓋が離脱してから前記噴出部による水の噴出が停止されるまでに所定の遅れ時間を有する
請求項3に記載のゴミ脱水システム。
【請求項5】
前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、先が尖った尖端形状である
請求項1から4のいずれか1項に記載のゴミ脱水システム。
【請求項6】
前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、前記シンク開口部側に向けて径が小さくなるテーパ形状であり、
前記軸部材において、前記テーパ形状に形成されたテーパ部の軸方向の長さは、前記軸受部の軸方向の深さ以上である
請求項5に記載のゴミ脱水システム。
【請求項1】
シンクの底部に対してシンク開口部が形成されている排水容器と、
前記排水容器内に着脱可能に収納されるゴミかごと、
前記シンク開口部に嵌合する蓋と、
前記蓋によって回転自在に支持される回転部材と、
を備え、
前記ゴミかごは、
前記ゴミかご内の水を前記排水容器に排出する複数の脱水孔と、
前記シンク開口部側に形成されたかご開口部と、
底部に形成された軸受部と、
外周面に形成され、かつ周方向において連続して配置された複数のフィンと、を有し、
前記排水容器は、
前記シンク開口部に向けて突出し、前記シンク開口部側の軸端部において前記軸受部を回転自在に支持する軸部材と、
前記フィンの翼面に向けて水を噴出する噴出部と、を有し、
前記軸部材は、前記軸受部を支持した状態で前記ゴミかごの回転軸線が鉛直軸に対して傾斜することを許容し、
前記回転部材は、前記蓋が前記シンク開口部に嵌合することで前記ゴミかごに対して一体回転可能に係合し、かつ前記ゴミかごを前記排水容器の内周面に対して径方向に離間した位置に保持する
ことを特徴とするゴミ脱水システム。
【請求項2】
前記ゴミかごの重心が、前記ゴミかごの回転軸線に対して偏心している
請求項1に記載のゴミ脱水システム。
【請求項3】
前記噴出部による水の噴出方向は、前記蓋が前記シンク開口部から離脱した状態において、前記翼面に当たる水が前記ゴミかごに対して前記ゴミかごの回転軸線を傾斜させる力を発生させる方向である
請求項1または2に記載のゴミ脱水システム。
【請求項4】
前記噴出部による水の噴出は、前記シンク開口部に嵌合した前記蓋が前記シンク開口部から離脱することで自動的に停止され、
前記蓋が離脱してから前記噴出部による水の噴出が停止されるまでに所定の遅れ時間を有する
請求項3に記載のゴミ脱水システム。
【請求項5】
前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、先が尖った尖端形状である
請求項1から4のいずれか1項に記載のゴミ脱水システム。
【請求項6】
前記軸部材における前記シンク開口部側の軸端部は、前記シンク開口部側に向けて径が小さくなるテーパ形状であり、
前記軸部材において、前記テーパ形状に形成されたテーパ部の軸方向の長さは、前記軸受部の軸方向の深さ以上である
請求項5に記載のゴミ脱水システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−102597(P2012−102597A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254226(P2010−254226)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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