ゴム物品補強用金属コード及びそのコードの製造方法
【課題】圧縮剛性を低下させずにゴム浸透度を向上させ、設備費や製造コストも低減させる。
【解決手段】金属フィラメント1の外周に金属フィラメント2、3を螺旋状に巻き付けて束4aを形成し、その束4aを螺旋状にねじりつつ撚ったゴム物品補強用金属コード4である。このコード4は、各フィラメントを単純に撚らず、フィラメントを螺旋状に巻き付けた後に撚りを加えており、フィラメント2、3に対して1撚りピッチの間に撚りによる三次元のS撚り方向の回転とは別に巻き付けによる回転を加え、各フィラメント間に適度な隙間Sを形成し、この隙間によって、ゴムの浸透度が高まる。また、その隙間をフィラメントに波状の癖を付けずに形成し、芯のフィラメント1に撚りによる螺旋の回転を与えたので、1×3の撚り構造のクローズドコードと同等の圧縮剛性を確保できる。フィラメントにフィラメントを螺旋状に巻き付けるだけなので、その設備も安価で、コスト面でも有利である。
【解決手段】金属フィラメント1の外周に金属フィラメント2、3を螺旋状に巻き付けて束4aを形成し、その束4aを螺旋状にねじりつつ撚ったゴム物品補強用金属コード4である。このコード4は、各フィラメントを単純に撚らず、フィラメントを螺旋状に巻き付けた後に撚りを加えており、フィラメント2、3に対して1撚りピッチの間に撚りによる三次元のS撚り方向の回転とは別に巻き付けによる回転を加え、各フィラメント間に適度な隙間Sを形成し、この隙間によって、ゴムの浸透度が高まる。また、その隙間をフィラメントに波状の癖を付けずに形成し、芯のフィラメント1に撚りによる螺旋の回転を与えたので、1×3の撚り構造のクローズドコードと同等の圧縮剛性を確保できる。フィラメントにフィラメントを螺旋状に巻き付けるだけなので、その設備も安価で、コスト面でも有利である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮剛性を低下させずに内部へのゴムの浸透度を向上させた低コストのゴム物品補強用金属コードとそのコードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、乗用車のタイヤ補強用金属コードは、複数本の金属フィラメント(特に記載のない場合、「素線又はストランド」の両者を含む。以下、同じ)を撚り合わせたものであり、そのコードに求められる要件は、ゴムの浸透度と車のコーナリング特性に影響を及ぼす圧縮剛性に優れていることが挙げられる。
しかし、通常、浸透度が高いことは、各金属フィラメント間の空隙が大きいことであり、一方、圧縮剛性が高いことは、各金属フィラメント間の空隙が少ないことであり、その浸透度と圧縮剛性は二律背反の関係にある。
【0003】
この二律背反の関係の浸透度と圧縮剛性の要求に応え得るとした従来のゴム物品補強用金属コードとして、撚り込み率を高めるために二次元、あるいは三次元の細かな波を付けた2本の素線をほぼ平行に束ねて第1素線束とし、この第1素線束と他の2本の素線(第2素線束)を、第2素線束についても第1素線束と同様な撚り込み率が得られるように第2素線束を第1素線束の波付けピッチよりも大きい螺旋ピッチで第1素線束に絡ませて相互に撚り合わせたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−73672号公報
【0004】
また、2本又は3本のフィラメントを互いに接するように並列した集束体の2組を、そのフィラメント径の8〜30%の隙間を保ちつつほぼ平行に相向き合って撚り合わせたものもある(特許文献2参照)。
【特許文献2】特公昭60−10151号公報、
【0005】
さらに、2本の互いに撚り合わされた線条体と2本の平行な線条体とを互いに撚り合わせてゴムの浸透性を高め、優れた弾性性能も確保したものもある(特許文献3参照)。
【特許文献3】特公昭61−01554号公報
【0006】
また、2本組の素線群と3本組の素線群とを、2本組の素線群がコード方向にパラレル状を呈し、3本組の素線群が2本組の素線群に対して半ピッチ毎に大略傘状、大略倒傘状の交互して撚り合わせたものもある(特許文献4参照)。
【特許文献4】特公平03−23673号公報
【0007】
さらに、50mm以上のねじれピッチを有する2本の第1ワイヤ束に、3本の第2ワイヤ束を第1ワイヤ束のねじれピッチよりも小さいピッチ、かつ、第1ワイヤ束との間に第1ワイヤ束のねじれの1ピッチ内で10%以上の隙間が構成されるように螺旋状に巻き付けたものもある(特許文献5参照)。
【特許文献5】特許第3174803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の金属コードは、ゴムの浸透度は向上するが、圧縮剛性は素線に波を付けていない金属コード(コンパクトコード)に比べて低下すると言う問題がある。
すなわち、素線に付与した波が、例え細かくても、また、二次元の波であっても、撚り合わせる過程で撚りピッチ分の三次元の大きな波が付いて細かい波の屈曲部の腹の部分が外側に現れ始める箇所が1撚りピッチに1回あり、この部分が圧縮負荷に対して弱くなるため、圧縮剛性が低下する。また、素線に予め付与する波の高さを大きくしている場合には、細かい波の屈曲部の腹の部分が外側にあるか内側にあるかとは関係なく、コードの全長にわたって圧縮剛性が低下する。
【0009】
特許文献3〜5に記載の金属コードは、素線の束のどれかに一度撚り加工を施した後に最終撚り合わせを行っており、設備費と製造コストの増加が避けられない。また、特許文献2の金属コードは、いわゆるオープン構造のコードであるので、低荷重域の伸度が大きく、中間工程でのコード引き揃え時、コード長さ方向での各素線の位置関係が不安定なために、コードの重なり等のトラブルが発生することがある。
【0010】
この発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、圧縮剛性を低下させずに内部へのゴムの浸透度を向上させ、また、設備費や製造コストも低減できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明は、一の金属フィラメント(1本又は複数の金属フィラメント)に他の金属フィラメント(1本又は複数の金属フィラメント)を螺旋状に巻き付け、その束を、前者の一の金属フィラメントが螺旋状になるように(前者の一の金属フィラメントに螺旋状のねじりを入れて)撚り合わせることとしたのである。
【0012】
この構成の金属コードは、上記一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付けたため、各金属フィラメント間には空隙が生じて、ゴム浸透度の高いものとなる。
また、一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付けた束をさらに撚っているため、各金属フィラメントの撚り状態がクローズドコードに近いものとなり、特許文献1の技術に比べれば、圧縮剛性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その束を、前者の一の金属フィラメントが螺旋状になるように撚り合わせることとしたので、従来の技術と同等なゴム浸透性及び圧縮剛性を容易に得ることができる。
また、単に、一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その束を撚るだけなので、例えば、簡易なサプライ装置とフライヤを用い、撚線機は単撚りタイプのものが1台あればよい等、その設備も安価なものとなり、コスト面の有利なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の実施形態としては、ゴム内に埋設されてそのゴムを補強する、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたゴム物品補強用金属コードであって、前記金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で前記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成を採用することができる。
そのコードをなす金属フィラメントの本数は、3本、4本、5本、6本・・等と複数であれば良く、また、そのコードの金属フィラメントの総数に対する「螺旋状に巻き付けられる及び巻き付ける」両金属フィラメントの本数も、1本、2本、3本、4本、5本・・等とそれぞれ任意である。
【0015】
具体的には、3本の金属フィラメントから成るものにおいては、例えば、一の金属フィラメントの外周に他の2本の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態で撚り合わせがなされて、前記一の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成となる。
この構成では、他の2本の金属フィラメントの間に隙間が形成され、その隙間にゴムが浸透するため、ゴム浸透度のより優れたものとなる。
【0016】
また、並列配置の2本の金属フィラメントの外周に他の1本の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態で撚り合わせがなされて、前記並列配置の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成ともし得る。
【0017】
これらの構成において、上記螺旋状の巻き付け方向と上記撚り方向とは、「同じ」又は「逆」の両方を採用できるが、撚りによるさらなる巻き付き力の向上を考えると、同じ方向が好ましい。また、同方向であると、逆方向に巻く場合に比べて巻き付けピッチをコード撚りピッチよりも小さくしてコード長手方向での巻き付け頻度を多くすることができる。
【0018】
上記撚り合わせ後において、金属フィラメントの螺旋状の巻き付けピッチpwと撚りピッチPの関係は、上記構成が成されるように、実験、実操業によって適宜に設定すれば良いが、pw≦Pの場合において、そのpwとPの差が小さ過ぎると、巻き付ける金属フィラメント間の隙間が不十分となってゴムの浸透度に悪影響が出る。一方、その差が大きくなると、ゴム浸透度は向上するが、コードが曲がり易くなって、圧縮剛性の低下を招く。このため、例えば、0.922≦pw/P≦0.988とする。
【0019】
上記撚りの撚り角α°は、撚りピッチPとコードの直径によって決まり、撚り角α°が小さいと、コード端末の「ばらけ」が生じ、逆に大きいと、コードが曲がり易くなって圧縮剛性が低下する。このため、撚り角α°は、実用できる範囲において、実験、実操業等により適宜に設定すれば良いが、例えば、3.3°≦α°≦7.3°とする。
その撚り角α°は、ワイヤーロープ便覧(昭和42年10月15日 白亜書房発行、154頁)に記載の、金属コード作成後、図9に示す、コード径(層心径)及び撚りピッチを測定して、次式で求める。
tanα=πd’s/P
ただし、α:撚り角(°) d’s:層心径 P:撚りの長さ
【0020】
この構成を成すゴム物品補強用金属コードの製造方法としては、種々のものが考え得るが、例えば、上記螺旋状に巻き付けられる少なくとも1本の金属フィラメントをパスラインの中心に通してこの金属フィラメントの外周に、その他の金属フィラメントをそれぞれフライヤを用いて螺旋状に巻き付け、さらに、その巻き付け後のフィラメント束を撚線機に導入して、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚りながら前記フィラメント束にも撚りを加える構成を採用する。
【実施例】
【0021】
一実施例を図1乃至図3に示し、この実施例の金属コード4は、第1金属フィラメント1の外周に他の第2、第3の金属フィラメント2、3を撚り合わせ後に所要のピッチpwとなるように螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態(フィラメント束4a)で、ピッチPで撚り合わせがなされたものである。
【0022】
図1は、この実施例のゴム物品補強用金属コード(図のそれはS撚りコード)4を、1/3P(P=コードの撚りピッチ)間隔で長手方向に切断した断面を模式的に示す。図中、各フィラメント1、2、3間において、その中心を結ぶ線分が描かれているのは両フィラメントが接していることを示す。また、この図3では、pw<Pのため、1撚りピッチ内において、巻き付けたフィラメント2、3は1ピッチ以上進むため、撚りによって、その両フィラメント2、3は徐々に離れていき、各フィラメント1、2、3の中心が1直線状に近くなると、後記の巻取り前の矯正器18等により矯正移動されてフィラメント1、2、3が3角形状断面となっている(aiのフィラメント3の鎖線から実線参照)。この作用が繰り返されて、所要の金属コード4となる。
【0023】
このゴム物品補強用金属コード4は、3本の金属フィラメント1、2、3を単純に撚り合わせるのではなく、第1の金属フィラメント1の外周に第2、第3の金属フィラメント2、3を螺旋状に巻き付けてその後に撚りを加えており、第2、第3の金属フィラメント2、3に対して1撚りピッチPの間に撚りによる三次元のS撚り方向の回転とは別に巻き付けによる回転が加えられるため、長手方向各部の断面内において第2、第3金属フィラメント2、3間に適度な隙間S(図1参照)が形成される。この隙間Sの存在によって、ゴムの浸透度が高まる。
【0024】
また、その隙間Sを、特定の金属フィラメントにイレギュラーなくせを付けずに生じさせ、さらに、芯になる第1の金属フィラメント1にも撚りによる螺旋の回転を与えているので、既存の1×3の撚り構造のクローズドコードと同等の圧縮剛性を確保することができる。
【0025】
この実施例の金属コード4は、例えば、図3に示す装置によって製造する。同図において、5はリール21をセットするドライブサプライ装置、7はガイド、8はリール置き台9上にセットするリール、10はリール8に装着するフライヤ、11はガイド、12はリール置き台13上にセットするリール、14はリール12に装着するフライヤ、15は撚りの逆流を防止するねじれ逆流防止ローラ、16は撚り口17を有する単撚り型の撚線機である。撚線機16の内部には矯正器18が設けられ、さらに、巻き取りリール19がセットされる。
【0026】
この装置においては、リール21から繰り出される第1の金属フィラメント1をガイド7経由でフライヤ10に導き、このフライヤ10の中心を通り抜けた金属フィラメント1の外周に、リール8から供給される第2の金属フィラメント2をフライヤ回転を利用して螺旋状に巻き付ける。
【0027】
次に、第1の金属フィラメント1に第2の金属フィラメント2を巻き付けた中間体(2本のフィラメントの束)を、ガイド11経由でフライヤ14に導き、リール12から供給される第3の金属フィラメント3を金属フィラメント2と同様にして金属フィラメント1の外周に螺旋状に巻き付ける。このとき、第2、第3の金属フィラメント2、3の巻き付けピッチpwは、金属フィラメント2、3をそれぞれに巻いているリール8、12の巻き量に応じて逐次変化する。
【0028】
このとき、リール8、12は固定されており、これらのリール8、12から繰り出される金属フィラメント2、3は、フライヤ1回転当たりに1回転のねじれが与えられ、これにより金属フィラメント2、3を金属フィラメント1に巻き付かせて、図2に示す、第1の金属フィラメント1の外周に第2、第3の金属フィラメント2、3を螺旋状に巻き付けたフィラメント束4aを得る。
なお、金属フィラメント1は、撚線機で撚りをかけるまではねじれが発生しないように、リール21を強制回転させて供給するのが好ましい。
【0029】
その3本の金属フィラメント1、2、3からなるフィラメント束4aを、ねじれ逆流防止ローラ15にたすき掛けの状態に巻き掛けた後、撚り口17に通して撚線機16に導き、この撚線機16でフィラメント束4aに撚りをかける。そして、矯正器18を通過して完成した金属コード4をリール19に巻き取る。
この製造装置は、単撚り型の簡単な設備であって、設備費や製造コストが低廉である。
【0030】
この実施例において、フィラメント(素線)の巻き付けピッチpw、撚りピッチP等を代えたもの(実施例3〜13)と、従来の波付け金属コード(従来例1〜2)との性能の比較評価試験を行った結果を表1に示す。
この表1に示される従来例の波付け金属コードは、1本の金属フィラメント(素線)のみに波付けを行ったものである。波の付与条件は、以下の通りである。
二次元波付 波付けピッチ:4.7mm(初期設定)
波付け高さ:0.025±0.005mm(撚り合わせ後)
三次元波付 波付けピッチ:1/2.5×P(初期設定)mm P:コード撚りピッチ
波付け高さ:0.028±0.005mm(撚り合わせ後)
二次元波付及び三次元波付の1×3×dの撚り構造のコードの断面を図10及び図11に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
−表1中の特性の説明−
(1)ゴム浸透度:1本の金属コード4に500gfの張力を与えた状態でゴム中で加圧加硫してサンプルを作成した後、ゴム中のコードを取り出し、フィラメント長手方向に分解して測定サンプルとする。そして、この測定サンプルに対するゴムのコード内への浸透度合いを目視又は拡大鏡で観察し、観察長全てにゴムが浸透しているものを100%とした。
(2)圧縮剛性:(1)で作成した加圧加硫サンプルにおいて、コード外側にあるゴム厚を約0.5mmになるまで削り、測定サンプルとする。この測定サンプルを圧縮試験機を使用して下記の条件で所定ストロークまで圧縮したときの抵抗値を調べ、基準コード(表1の従来例1のコード)を100%として判定した。
圧縮条件 掴み間隔:50mm
測定変位:6mm
圧縮速度:10mm/min
【0033】
この表1の試験結果から、この発明の金属コード4は、ゴム浸透度、圧縮剛性の両特性において十分に使用でき、条件を適宜に選択することによって、従来例に比べて優れたものとすることができる。
【0034】
他の実施例を図4乃至図6に示し、この実施例の金属コード6は、並列配置の第1、第2金属フィラメント1、2の外周に他の1本の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態で、ピッチPで撚り合わせがなされたものである。金属フィラメント1、2に対する第3の金属フィラメント3の巻き付け方向はコードの撚り方向と同じになっている。
【0035】
図4は、この実施例のゴム物品補強用金属コード(図のそれはS撚りコード)を、1/3P(P=コードの撚りピッチ)間隔で長手方向に切断した断面を模式的に示す。この図において、図1と同様に、各フィラメント1、2、3間において、その中心を結ぶ線分が描かれているのは両フィラメントが接していることを示す。また、pw<Pのため、同じく同様に、1撚りピッチ内において、巻き付けた第3フィラメント3は1ピッチ以上進むため、撚りによって、そのフィラメント3は接している第2フィラメント2から徐々に離れるとともに接している第1フィラメント1の周囲を移動し、やがて各フィラメント1、2、3の中心が1直線状に近くなると(同図a3参照)、後記の巻取り前の矯正器31等により矯正移動されて各フィラメント1、2、3が3角形状断面となり(同a3のフィラメント3の鎖線から実線参照)、この作用が繰り返されて、さらに、第2のフィラメント2に接して同様な作用を繰り返し(第3フィラメント3が第2フィラメント2の周囲を移動するとともに第1フィラメント1から徐々に離れ)、この第3フィラメント3と第2フィラメント2の接触状態でもって、各フィラメント1、2、3の中心が1直線状に近くなると(ai)、同様に、各フィラメント1、2、3が3角形状断面となる(同aiのフィラメント3の鎖線から実線参照)。これらの作用が繰り返されて、所要の金属コード6となる。
【0036】
このゴム物品補強用金属コード6は、上記実施例と同様に、3本の金属フィラメント1、2、3を単純に撚り合わせるのではなく、第1、第2の金属フィラメント1、2の外周に第3の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付けてその後に撚りを加えており、第3の金属フィラメント3に対して1撚りピッチの間に撚りによる三次元のS撚り方向の回転とは別に巻き付けによる回転が加えられるため、長手方向各部の断面内において第2金属フィラメント2と第3金属フィラメント3間又は第1金属フィラメント1と第3金属フィラメント3間に適度な隙間S(図4参照)が形成される。この隙間Sの存在によって、ゴムの浸透度が高まる。
【0037】
また、同様に、その隙間Sを、特定の金属フィラメントにイレギュラーなくせを付けずに生じさせ、さらに、芯になる第1、第2の金属フィラメント1、2にも撚りによる螺旋の回転を与えているので、既存の1×3の撚り構造のクローズドコードと同等の圧縮剛性を確保することができる。
【0038】
この実施例の金属コード6は、例えば、図6に示す装置によって製造する。同図において、20a、20bは、リール21a、21bをセットするドライブサプライ装置、23−1、23−2はガイド、24はリール25をセットするデッドサプライ装置、26は、リール25上にセットするフライヤ、27はねじれ逆流防止ローラ、28は撚線機、29は撚線機の目板、30は撚線機の撚り口、31は撚線機の内部に設けた矯正器、32は完成したコードを巻き取るリールを示している。
【0039】
リール21a、21bから繰り出される第1、第2金属フィラメント1、2をそれぞれガイド23−1、23−2に通した後、フライヤ26に導き、このフライヤ26の中心を通り抜けた金属フィラメント1、2の外周にリール25から繰り出される第3の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付ける。リール25は固定されており、ここから繰り出される金属フィラメント3はフライヤ1回転当たりに1回転のねじれが与えられ、これにより、金属フィラメント3を芯になる金属フィラメント1、2の外周に巻き付かせ、図5に示す、並列配置の第1、2の金属フィラメント1、2の外周に第3の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付けたフィラメント束6aを得る。金属フィラメント3の巻き付けピッチは、この金属フィラメント3を巻いているリール25の巻き量に応じて逐次変化する。
【0040】
次に、このフィラメント束6aを、ねじれ逆流防止ローラ27にたすき状に巻き掛けた後、目板29のガイド穴と撚り口30に通して撚線機28に導く。そしてここで、このフィラメント束6aにピッチPの撚りを加える。これによりフィラメント束6aは螺旋状にねじれて、目的の金属コード6に仕上がる。これを矯正器31に通して形を整え、完成した金属コード6をリール32に巻き取る。
【0041】
なお、S撚りコード6を製造するときには、フライヤ26を平面視において反時計周りに回転させると、第1、第2金属フィラメント1、2に対する金属フィラメント3の巻き付け方向がコード6の撚り方向と同一方向になる。
【0042】
金属フィラメント1、2は、フィラメント束6aに撚りを加えるまではねじれが発生しないように、ドライブサプライ装置20a、20bでリール21a、21bを強制回転させて供給するのが望ましい。
この製造装置は、単撚り型の簡単な設備であって、設備費や製造コストが低廉である。
【0043】
この実施例において、フィラメント(素線)の巻き付けピッチpw、撚りピッチP等を代えたもの(実施例3〜13)と、従来の波付け金属コード(従来例1、2)との性能の比較評価試験を行った結果を表2に示す。
この表2に示される従来例の波付け金属コード6は、1本の金属フィラメント(素線)のみに波付けを行ったものである。波の付与条件は、上記実施例と同一である。また、ゴム浸透度、圧縮剛性も同一内容で判定した。
【0044】
【表2】
【0045】
この表2の試験結果から、この発明の金属コード6は、ゴム浸透度、圧縮剛性の両特性において十分に使用でき、条件を適宜に選択することによって、従来例に比べて優れたものとすることができる。
【0046】
図7、図8に他の実施例を示し、この実施例は、図3、図6示した製造装置において、その各リール8、12、25に歯車8a、12a、25aを設けるとともに、フライヤ10、14、26にも歯車10a、14a、26aを設け、その各歯車に駆動ピニオン8b、12b、25b、10b、14b、26bを設けたものであり、その駆動ピニオン及び歯車により、各リール及びフライヤを同期させて強制的に回転させ得るようにしたものである(ドライブ方式としたものである)。
【0047】
このドライブ方式によって、例えば、各リール8、12、25からの金属フィラメント1、2、3の繰り出し速度を一定に調整することにより、金属フィラメント2、3を金属フィラメント1に又は金属フィラメント1、2に金属フィラメント3をその長さ方向に一定ピッチに巻き付けることができる(定巻きピッチを得ることができる)。また、金属フィラメント1、2、3の繰り出し速度を変えることにより、そのピッチを任意に変化させることもできる。
【0048】
上記各実施例は、金属フィラメントが3本の場合であったが、4本、5本・・などの4本以上の場合でも、上記各実施例を参考にすれば、金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で前記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成を満たす限りにおいて、この発明の態様を得ることができて、その作用効果を発揮し得ることは推測できる。
【0049】
そのとき、そのコードをなす金属フィラメントの本数は、3本、4本、5本、6本・・・等と複数であれば良く、また、そのコードの金属フィラメントの総数に対する「螺旋状に巻き付けられる及び巻き付ける」両金属フィラメントの本数も、1本、2本、3本、4本、5本等とそれぞれ任意であることは勿論である。例えば、5本の場合は、「螺旋状に巻き付けられる及び巻き付ける」両金属フィラメントは、前者:1本、後者:4本、前者:2本、後者:3本、前者:3本、後者:2本、前者:4本、後者:1本の4通りが考えられる。
【0050】
また、金属フィラメントにメッキ処理したスチールフィラメントを素線として使用すると、スチールコードが得られるが、この発明のコードはスチールコードに限定されない。さらに、この発明は、S撚り、Z撚りに関係なく、上記各構成のコードに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ゴム物品補強用金属コードの一実施例の一定間隔で長手方向に切断した断面の模式図
【図2】同実施例の撚る前の部分斜視図
【図3】同実施例の製造方法を示す概念図
【図4】ゴム物品補強用金属コードの他の実施例の一定間隔で長手方向に切断した断面の模式図
【図5】同実施例の撚る前の部分斜視図
【図6】同実施例の製造方法を示す概念図
【図7】同製造方法の他の実施例を示す概念図
【図8】同製造方法の他の実施例を示す概念図
【図9】ゴム物品補強用金属コードの撚り角の定義図
【図10】二次元波付1×3×dの従来コードの断面図
【図11】三次元波付1×3×dの従来コードの断面図
【符号の説明】
【0052】
1 第1の金属フィラメント
2 第2の金属フィラメント
3 第3の金属フィラメント
4、6 ゴム物品補強用金属コード
4a、6a 金属フィラメント束
5 ドライブサプライ装置
8、12、20a、20b、21、25 リール
7、11 ガイド
9、13 リール置き台
10、14、26 フライヤ
15、27 ねじれ逆流防止ローラ
16、28 撚線機
17 撚り口
18、31 矯正器
19、32 巻き取りリール
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮剛性を低下させずに内部へのゴムの浸透度を向上させた低コストのゴム物品補強用金属コードとそのコードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、乗用車のタイヤ補強用金属コードは、複数本の金属フィラメント(特に記載のない場合、「素線又はストランド」の両者を含む。以下、同じ)を撚り合わせたものであり、そのコードに求められる要件は、ゴムの浸透度と車のコーナリング特性に影響を及ぼす圧縮剛性に優れていることが挙げられる。
しかし、通常、浸透度が高いことは、各金属フィラメント間の空隙が大きいことであり、一方、圧縮剛性が高いことは、各金属フィラメント間の空隙が少ないことであり、その浸透度と圧縮剛性は二律背反の関係にある。
【0003】
この二律背反の関係の浸透度と圧縮剛性の要求に応え得るとした従来のゴム物品補強用金属コードとして、撚り込み率を高めるために二次元、あるいは三次元の細かな波を付けた2本の素線をほぼ平行に束ねて第1素線束とし、この第1素線束と他の2本の素線(第2素線束)を、第2素線束についても第1素線束と同様な撚り込み率が得られるように第2素線束を第1素線束の波付けピッチよりも大きい螺旋ピッチで第1素線束に絡ませて相互に撚り合わせたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−73672号公報
【0004】
また、2本又は3本のフィラメントを互いに接するように並列した集束体の2組を、そのフィラメント径の8〜30%の隙間を保ちつつほぼ平行に相向き合って撚り合わせたものもある(特許文献2参照)。
【特許文献2】特公昭60−10151号公報、
【0005】
さらに、2本の互いに撚り合わされた線条体と2本の平行な線条体とを互いに撚り合わせてゴムの浸透性を高め、優れた弾性性能も確保したものもある(特許文献3参照)。
【特許文献3】特公昭61−01554号公報
【0006】
また、2本組の素線群と3本組の素線群とを、2本組の素線群がコード方向にパラレル状を呈し、3本組の素線群が2本組の素線群に対して半ピッチ毎に大略傘状、大略倒傘状の交互して撚り合わせたものもある(特許文献4参照)。
【特許文献4】特公平03−23673号公報
【0007】
さらに、50mm以上のねじれピッチを有する2本の第1ワイヤ束に、3本の第2ワイヤ束を第1ワイヤ束のねじれピッチよりも小さいピッチ、かつ、第1ワイヤ束との間に第1ワイヤ束のねじれの1ピッチ内で10%以上の隙間が構成されるように螺旋状に巻き付けたものもある(特許文献5参照)。
【特許文献5】特許第3174803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の金属コードは、ゴムの浸透度は向上するが、圧縮剛性は素線に波を付けていない金属コード(コンパクトコード)に比べて低下すると言う問題がある。
すなわち、素線に付与した波が、例え細かくても、また、二次元の波であっても、撚り合わせる過程で撚りピッチ分の三次元の大きな波が付いて細かい波の屈曲部の腹の部分が外側に現れ始める箇所が1撚りピッチに1回あり、この部分が圧縮負荷に対して弱くなるため、圧縮剛性が低下する。また、素線に予め付与する波の高さを大きくしている場合には、細かい波の屈曲部の腹の部分が外側にあるか内側にあるかとは関係なく、コードの全長にわたって圧縮剛性が低下する。
【0009】
特許文献3〜5に記載の金属コードは、素線の束のどれかに一度撚り加工を施した後に最終撚り合わせを行っており、設備費と製造コストの増加が避けられない。また、特許文献2の金属コードは、いわゆるオープン構造のコードであるので、低荷重域の伸度が大きく、中間工程でのコード引き揃え時、コード長さ方向での各素線の位置関係が不安定なために、コードの重なり等のトラブルが発生することがある。
【0010】
この発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、圧縮剛性を低下させずに内部へのゴムの浸透度を向上させ、また、設備費や製造コストも低減できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明は、一の金属フィラメント(1本又は複数の金属フィラメント)に他の金属フィラメント(1本又は複数の金属フィラメント)を螺旋状に巻き付け、その束を、前者の一の金属フィラメントが螺旋状になるように(前者の一の金属フィラメントに螺旋状のねじりを入れて)撚り合わせることとしたのである。
【0012】
この構成の金属コードは、上記一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付けたため、各金属フィラメント間には空隙が生じて、ゴム浸透度の高いものとなる。
また、一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付けた束をさらに撚っているため、各金属フィラメントの撚り状態がクローズドコードに近いものとなり、特許文献1の技術に比べれば、圧縮剛性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その束を、前者の一の金属フィラメントが螺旋状になるように撚り合わせることとしたので、従来の技術と同等なゴム浸透性及び圧縮剛性を容易に得ることができる。
また、単に、一の金属フィラメントに他の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その束を撚るだけなので、例えば、簡易なサプライ装置とフライヤを用い、撚線機は単撚りタイプのものが1台あればよい等、その設備も安価なものとなり、コスト面の有利なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の実施形態としては、ゴム内に埋設されてそのゴムを補強する、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたゴム物品補強用金属コードであって、前記金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で前記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成を採用することができる。
そのコードをなす金属フィラメントの本数は、3本、4本、5本、6本・・等と複数であれば良く、また、そのコードの金属フィラメントの総数に対する「螺旋状に巻き付けられる及び巻き付ける」両金属フィラメントの本数も、1本、2本、3本、4本、5本・・等とそれぞれ任意である。
【0015】
具体的には、3本の金属フィラメントから成るものにおいては、例えば、一の金属フィラメントの外周に他の2本の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態で撚り合わせがなされて、前記一の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成となる。
この構成では、他の2本の金属フィラメントの間に隙間が形成され、その隙間にゴムが浸透するため、ゴム浸透度のより優れたものとなる。
【0016】
また、並列配置の2本の金属フィラメントの外周に他の1本の金属フィラメントを螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態で撚り合わせがなされて、前記並列配置の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成ともし得る。
【0017】
これらの構成において、上記螺旋状の巻き付け方向と上記撚り方向とは、「同じ」又は「逆」の両方を採用できるが、撚りによるさらなる巻き付き力の向上を考えると、同じ方向が好ましい。また、同方向であると、逆方向に巻く場合に比べて巻き付けピッチをコード撚りピッチよりも小さくしてコード長手方向での巻き付け頻度を多くすることができる。
【0018】
上記撚り合わせ後において、金属フィラメントの螺旋状の巻き付けピッチpwと撚りピッチPの関係は、上記構成が成されるように、実験、実操業によって適宜に設定すれば良いが、pw≦Pの場合において、そのpwとPの差が小さ過ぎると、巻き付ける金属フィラメント間の隙間が不十分となってゴムの浸透度に悪影響が出る。一方、その差が大きくなると、ゴム浸透度は向上するが、コードが曲がり易くなって、圧縮剛性の低下を招く。このため、例えば、0.922≦pw/P≦0.988とする。
【0019】
上記撚りの撚り角α°は、撚りピッチPとコードの直径によって決まり、撚り角α°が小さいと、コード端末の「ばらけ」が生じ、逆に大きいと、コードが曲がり易くなって圧縮剛性が低下する。このため、撚り角α°は、実用できる範囲において、実験、実操業等により適宜に設定すれば良いが、例えば、3.3°≦α°≦7.3°とする。
その撚り角α°は、ワイヤーロープ便覧(昭和42年10月15日 白亜書房発行、154頁)に記載の、金属コード作成後、図9に示す、コード径(層心径)及び撚りピッチを測定して、次式で求める。
tanα=πd’s/P
ただし、α:撚り角(°) d’s:層心径 P:撚りの長さ
【0020】
この構成を成すゴム物品補強用金属コードの製造方法としては、種々のものが考え得るが、例えば、上記螺旋状に巻き付けられる少なくとも1本の金属フィラメントをパスラインの中心に通してこの金属フィラメントの外周に、その他の金属フィラメントをそれぞれフライヤを用いて螺旋状に巻き付け、さらに、その巻き付け後のフィラメント束を撚線機に導入して、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚りながら前記フィラメント束にも撚りを加える構成を採用する。
【実施例】
【0021】
一実施例を図1乃至図3に示し、この実施例の金属コード4は、第1金属フィラメント1の外周に他の第2、第3の金属フィラメント2、3を撚り合わせ後に所要のピッチpwとなるように螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態(フィラメント束4a)で、ピッチPで撚り合わせがなされたものである。
【0022】
図1は、この実施例のゴム物品補強用金属コード(図のそれはS撚りコード)4を、1/3P(P=コードの撚りピッチ)間隔で長手方向に切断した断面を模式的に示す。図中、各フィラメント1、2、3間において、その中心を結ぶ線分が描かれているのは両フィラメントが接していることを示す。また、この図3では、pw<Pのため、1撚りピッチ内において、巻き付けたフィラメント2、3は1ピッチ以上進むため、撚りによって、その両フィラメント2、3は徐々に離れていき、各フィラメント1、2、3の中心が1直線状に近くなると、後記の巻取り前の矯正器18等により矯正移動されてフィラメント1、2、3が3角形状断面となっている(aiのフィラメント3の鎖線から実線参照)。この作用が繰り返されて、所要の金属コード4となる。
【0023】
このゴム物品補強用金属コード4は、3本の金属フィラメント1、2、3を単純に撚り合わせるのではなく、第1の金属フィラメント1の外周に第2、第3の金属フィラメント2、3を螺旋状に巻き付けてその後に撚りを加えており、第2、第3の金属フィラメント2、3に対して1撚りピッチPの間に撚りによる三次元のS撚り方向の回転とは別に巻き付けによる回転が加えられるため、長手方向各部の断面内において第2、第3金属フィラメント2、3間に適度な隙間S(図1参照)が形成される。この隙間Sの存在によって、ゴムの浸透度が高まる。
【0024】
また、その隙間Sを、特定の金属フィラメントにイレギュラーなくせを付けずに生じさせ、さらに、芯になる第1の金属フィラメント1にも撚りによる螺旋の回転を与えているので、既存の1×3の撚り構造のクローズドコードと同等の圧縮剛性を確保することができる。
【0025】
この実施例の金属コード4は、例えば、図3に示す装置によって製造する。同図において、5はリール21をセットするドライブサプライ装置、7はガイド、8はリール置き台9上にセットするリール、10はリール8に装着するフライヤ、11はガイド、12はリール置き台13上にセットするリール、14はリール12に装着するフライヤ、15は撚りの逆流を防止するねじれ逆流防止ローラ、16は撚り口17を有する単撚り型の撚線機である。撚線機16の内部には矯正器18が設けられ、さらに、巻き取りリール19がセットされる。
【0026】
この装置においては、リール21から繰り出される第1の金属フィラメント1をガイド7経由でフライヤ10に導き、このフライヤ10の中心を通り抜けた金属フィラメント1の外周に、リール8から供給される第2の金属フィラメント2をフライヤ回転を利用して螺旋状に巻き付ける。
【0027】
次に、第1の金属フィラメント1に第2の金属フィラメント2を巻き付けた中間体(2本のフィラメントの束)を、ガイド11経由でフライヤ14に導き、リール12から供給される第3の金属フィラメント3を金属フィラメント2と同様にして金属フィラメント1の外周に螺旋状に巻き付ける。このとき、第2、第3の金属フィラメント2、3の巻き付けピッチpwは、金属フィラメント2、3をそれぞれに巻いているリール8、12の巻き量に応じて逐次変化する。
【0028】
このとき、リール8、12は固定されており、これらのリール8、12から繰り出される金属フィラメント2、3は、フライヤ1回転当たりに1回転のねじれが与えられ、これにより金属フィラメント2、3を金属フィラメント1に巻き付かせて、図2に示す、第1の金属フィラメント1の外周に第2、第3の金属フィラメント2、3を螺旋状に巻き付けたフィラメント束4aを得る。
なお、金属フィラメント1は、撚線機で撚りをかけるまではねじれが発生しないように、リール21を強制回転させて供給するのが好ましい。
【0029】
その3本の金属フィラメント1、2、3からなるフィラメント束4aを、ねじれ逆流防止ローラ15にたすき掛けの状態に巻き掛けた後、撚り口17に通して撚線機16に導き、この撚線機16でフィラメント束4aに撚りをかける。そして、矯正器18を通過して完成した金属コード4をリール19に巻き取る。
この製造装置は、単撚り型の簡単な設備であって、設備費や製造コストが低廉である。
【0030】
この実施例において、フィラメント(素線)の巻き付けピッチpw、撚りピッチP等を代えたもの(実施例3〜13)と、従来の波付け金属コード(従来例1〜2)との性能の比較評価試験を行った結果を表1に示す。
この表1に示される従来例の波付け金属コードは、1本の金属フィラメント(素線)のみに波付けを行ったものである。波の付与条件は、以下の通りである。
二次元波付 波付けピッチ:4.7mm(初期設定)
波付け高さ:0.025±0.005mm(撚り合わせ後)
三次元波付 波付けピッチ:1/2.5×P(初期設定)mm P:コード撚りピッチ
波付け高さ:0.028±0.005mm(撚り合わせ後)
二次元波付及び三次元波付の1×3×dの撚り構造のコードの断面を図10及び図11に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
−表1中の特性の説明−
(1)ゴム浸透度:1本の金属コード4に500gfの張力を与えた状態でゴム中で加圧加硫してサンプルを作成した後、ゴム中のコードを取り出し、フィラメント長手方向に分解して測定サンプルとする。そして、この測定サンプルに対するゴムのコード内への浸透度合いを目視又は拡大鏡で観察し、観察長全てにゴムが浸透しているものを100%とした。
(2)圧縮剛性:(1)で作成した加圧加硫サンプルにおいて、コード外側にあるゴム厚を約0.5mmになるまで削り、測定サンプルとする。この測定サンプルを圧縮試験機を使用して下記の条件で所定ストロークまで圧縮したときの抵抗値を調べ、基準コード(表1の従来例1のコード)を100%として判定した。
圧縮条件 掴み間隔:50mm
測定変位:6mm
圧縮速度:10mm/min
【0033】
この表1の試験結果から、この発明の金属コード4は、ゴム浸透度、圧縮剛性の両特性において十分に使用でき、条件を適宜に選択することによって、従来例に比べて優れたものとすることができる。
【0034】
他の実施例を図4乃至図6に示し、この実施例の金属コード6は、並列配置の第1、第2金属フィラメント1、2の外周に他の1本の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付け、その螺旋状に巻き付けられた状態で、ピッチPで撚り合わせがなされたものである。金属フィラメント1、2に対する第3の金属フィラメント3の巻き付け方向はコードの撚り方向と同じになっている。
【0035】
図4は、この実施例のゴム物品補強用金属コード(図のそれはS撚りコード)を、1/3P(P=コードの撚りピッチ)間隔で長手方向に切断した断面を模式的に示す。この図において、図1と同様に、各フィラメント1、2、3間において、その中心を結ぶ線分が描かれているのは両フィラメントが接していることを示す。また、pw<Pのため、同じく同様に、1撚りピッチ内において、巻き付けた第3フィラメント3は1ピッチ以上進むため、撚りによって、そのフィラメント3は接している第2フィラメント2から徐々に離れるとともに接している第1フィラメント1の周囲を移動し、やがて各フィラメント1、2、3の中心が1直線状に近くなると(同図a3参照)、後記の巻取り前の矯正器31等により矯正移動されて各フィラメント1、2、3が3角形状断面となり(同a3のフィラメント3の鎖線から実線参照)、この作用が繰り返されて、さらに、第2のフィラメント2に接して同様な作用を繰り返し(第3フィラメント3が第2フィラメント2の周囲を移動するとともに第1フィラメント1から徐々に離れ)、この第3フィラメント3と第2フィラメント2の接触状態でもって、各フィラメント1、2、3の中心が1直線状に近くなると(ai)、同様に、各フィラメント1、2、3が3角形状断面となる(同aiのフィラメント3の鎖線から実線参照)。これらの作用が繰り返されて、所要の金属コード6となる。
【0036】
このゴム物品補強用金属コード6は、上記実施例と同様に、3本の金属フィラメント1、2、3を単純に撚り合わせるのではなく、第1、第2の金属フィラメント1、2の外周に第3の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付けてその後に撚りを加えており、第3の金属フィラメント3に対して1撚りピッチの間に撚りによる三次元のS撚り方向の回転とは別に巻き付けによる回転が加えられるため、長手方向各部の断面内において第2金属フィラメント2と第3金属フィラメント3間又は第1金属フィラメント1と第3金属フィラメント3間に適度な隙間S(図4参照)が形成される。この隙間Sの存在によって、ゴムの浸透度が高まる。
【0037】
また、同様に、その隙間Sを、特定の金属フィラメントにイレギュラーなくせを付けずに生じさせ、さらに、芯になる第1、第2の金属フィラメント1、2にも撚りによる螺旋の回転を与えているので、既存の1×3の撚り構造のクローズドコードと同等の圧縮剛性を確保することができる。
【0038】
この実施例の金属コード6は、例えば、図6に示す装置によって製造する。同図において、20a、20bは、リール21a、21bをセットするドライブサプライ装置、23−1、23−2はガイド、24はリール25をセットするデッドサプライ装置、26は、リール25上にセットするフライヤ、27はねじれ逆流防止ローラ、28は撚線機、29は撚線機の目板、30は撚線機の撚り口、31は撚線機の内部に設けた矯正器、32は完成したコードを巻き取るリールを示している。
【0039】
リール21a、21bから繰り出される第1、第2金属フィラメント1、2をそれぞれガイド23−1、23−2に通した後、フライヤ26に導き、このフライヤ26の中心を通り抜けた金属フィラメント1、2の外周にリール25から繰り出される第3の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付ける。リール25は固定されており、ここから繰り出される金属フィラメント3はフライヤ1回転当たりに1回転のねじれが与えられ、これにより、金属フィラメント3を芯になる金属フィラメント1、2の外周に巻き付かせ、図5に示す、並列配置の第1、2の金属フィラメント1、2の外周に第3の金属フィラメント3を螺旋状に巻き付けたフィラメント束6aを得る。金属フィラメント3の巻き付けピッチは、この金属フィラメント3を巻いているリール25の巻き量に応じて逐次変化する。
【0040】
次に、このフィラメント束6aを、ねじれ逆流防止ローラ27にたすき状に巻き掛けた後、目板29のガイド穴と撚り口30に通して撚線機28に導く。そしてここで、このフィラメント束6aにピッチPの撚りを加える。これによりフィラメント束6aは螺旋状にねじれて、目的の金属コード6に仕上がる。これを矯正器31に通して形を整え、完成した金属コード6をリール32に巻き取る。
【0041】
なお、S撚りコード6を製造するときには、フライヤ26を平面視において反時計周りに回転させると、第1、第2金属フィラメント1、2に対する金属フィラメント3の巻き付け方向がコード6の撚り方向と同一方向になる。
【0042】
金属フィラメント1、2は、フィラメント束6aに撚りを加えるまではねじれが発生しないように、ドライブサプライ装置20a、20bでリール21a、21bを強制回転させて供給するのが望ましい。
この製造装置は、単撚り型の簡単な設備であって、設備費や製造コストが低廉である。
【0043】
この実施例において、フィラメント(素線)の巻き付けピッチpw、撚りピッチP等を代えたもの(実施例3〜13)と、従来の波付け金属コード(従来例1、2)との性能の比較評価試験を行った結果を表2に示す。
この表2に示される従来例の波付け金属コード6は、1本の金属フィラメント(素線)のみに波付けを行ったものである。波の付与条件は、上記実施例と同一である。また、ゴム浸透度、圧縮剛性も同一内容で判定した。
【0044】
【表2】
【0045】
この表2の試験結果から、この発明の金属コード6は、ゴム浸透度、圧縮剛性の両特性において十分に使用でき、条件を適宜に選択することによって、従来例に比べて優れたものとすることができる。
【0046】
図7、図8に他の実施例を示し、この実施例は、図3、図6示した製造装置において、その各リール8、12、25に歯車8a、12a、25aを設けるとともに、フライヤ10、14、26にも歯車10a、14a、26aを設け、その各歯車に駆動ピニオン8b、12b、25b、10b、14b、26bを設けたものであり、その駆動ピニオン及び歯車により、各リール及びフライヤを同期させて強制的に回転させ得るようにしたものである(ドライブ方式としたものである)。
【0047】
このドライブ方式によって、例えば、各リール8、12、25からの金属フィラメント1、2、3の繰り出し速度を一定に調整することにより、金属フィラメント2、3を金属フィラメント1に又は金属フィラメント1、2に金属フィラメント3をその長さ方向に一定ピッチに巻き付けることができる(定巻きピッチを得ることができる)。また、金属フィラメント1、2、3の繰り出し速度を変えることにより、そのピッチを任意に変化させることもできる。
【0048】
上記各実施例は、金属フィラメントが3本の場合であったが、4本、5本・・などの4本以上の場合でも、上記各実施例を参考にすれば、金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で前記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られている構成を満たす限りにおいて、この発明の態様を得ることができて、その作用効果を発揮し得ることは推測できる。
【0049】
そのとき、そのコードをなす金属フィラメントの本数は、3本、4本、5本、6本・・・等と複数であれば良く、また、そのコードの金属フィラメントの総数に対する「螺旋状に巻き付けられる及び巻き付ける」両金属フィラメントの本数も、1本、2本、3本、4本、5本等とそれぞれ任意であることは勿論である。例えば、5本の場合は、「螺旋状に巻き付けられる及び巻き付ける」両金属フィラメントは、前者:1本、後者:4本、前者:2本、後者:3本、前者:3本、後者:2本、前者:4本、後者:1本の4通りが考えられる。
【0050】
また、金属フィラメントにメッキ処理したスチールフィラメントを素線として使用すると、スチールコードが得られるが、この発明のコードはスチールコードに限定されない。さらに、この発明は、S撚り、Z撚りに関係なく、上記各構成のコードに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ゴム物品補強用金属コードの一実施例の一定間隔で長手方向に切断した断面の模式図
【図2】同実施例の撚る前の部分斜視図
【図3】同実施例の製造方法を示す概念図
【図4】ゴム物品補強用金属コードの他の実施例の一定間隔で長手方向に切断した断面の模式図
【図5】同実施例の撚る前の部分斜視図
【図6】同実施例の製造方法を示す概念図
【図7】同製造方法の他の実施例を示す概念図
【図8】同製造方法の他の実施例を示す概念図
【図9】ゴム物品補強用金属コードの撚り角の定義図
【図10】二次元波付1×3×dの従来コードの断面図
【図11】三次元波付1×3×dの従来コードの断面図
【符号の説明】
【0052】
1 第1の金属フィラメント
2 第2の金属フィラメント
3 第3の金属フィラメント
4、6 ゴム物品補強用金属コード
4a、6a 金属フィラメント束
5 ドライブサプライ装置
8、12、20a、20b、21、25 リール
7、11 ガイド
9、13 リール置き台
10、14、26 フライヤ
15、27 ねじれ逆流防止ローラ
16、28 撚線機
17 撚り口
18、31 矯正器
19、32 巻き取りリール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム内に埋設されてそのゴムを補強する、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたゴム物品補強用金属コードであって、
上記金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で上記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られているゴム物品補強用金属コード。
【請求項2】
3本の金属フィラメント(1、2、3)から成るゴム物品補強用金属コード(4)であって、その一の金属フィラメント(1)の外周に他の2本の金属フィラメント(2、3)を螺旋状に巻き付けた請求項1に記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項3】
3本の金属フィラメント(1、2、3)から成るゴム物品補強用金属コード(6)であって、その並列配置の2本の金属フィラメント(1、2)の外周に他の1本の金属フィラメント(3)を螺旋状に巻き付けた請求項1に記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項4】
上記螺旋状の巻き付け方向を上記撚りの撚り方向と同じにした請求項1乃至3のいずれかに記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項5】
上記撚り合わせ後において、上記金属フィラメントの螺旋状の巻き付けピッチpwを前記撚りピッチPより短くした請求項1乃至4のいずれかに記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項6】
ゴム内に埋設されてそのゴムを補強する、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたゴム物品補強用金属コードの製造方法であって、
上記ゴム物品補強用金属コードは、上記金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で上記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られているものであり、
上記螺旋状に巻き付けられる少なくとも1本の金属フィラメントをパスラインの中心に通してこの金属フィラメントの外周に、上記その他の金属フィラメントをそれぞれフライヤを用いて螺旋状に巻き付け、さらに、その巻き付け後のフィラメント束を撚線機に導入して、上記少なくとも1本の金属フィラメントを螺旋状に撚りながら前記フィラメント束に撚りを加えるゴム物品補強用金属コードの製造方法。
【請求項1】
ゴム内に埋設されてそのゴムを補強する、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたゴム物品補強用金属コードであって、
上記金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で上記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られているゴム物品補強用金属コード。
【請求項2】
3本の金属フィラメント(1、2、3)から成るゴム物品補強用金属コード(4)であって、その一の金属フィラメント(1)の外周に他の2本の金属フィラメント(2、3)を螺旋状に巻き付けた請求項1に記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項3】
3本の金属フィラメント(1、2、3)から成るゴム物品補強用金属コード(6)であって、その並列配置の2本の金属フィラメント(1、2)の外周に他の1本の金属フィラメント(3)を螺旋状に巻き付けた請求項1に記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項4】
上記螺旋状の巻き付け方向を上記撚りの撚り方向と同じにした請求項1乃至3のいずれかに記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項5】
上記撚り合わせ後において、上記金属フィラメントの螺旋状の巻き付けピッチpwを前記撚りピッチPより短くした請求項1乃至4のいずれかに記載のゴム物品補強用金属コード。
【請求項6】
ゴム内に埋設されてそのゴムを補強する、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたゴム物品補強用金属コードの製造方法であって、
上記ゴム物品補強用金属コードは、上記金属フィラメントの少なくとも1本はその他の金属フィラメントに螺旋状に巻き付けられており、その螺旋状に巻き付けられた状態で上記撚り合わせがなされて、前記少なくとも1本の金属フィラメントは螺旋状に撚られているものであり、
上記螺旋状に巻き付けられる少なくとも1本の金属フィラメントをパスラインの中心に通してこの金属フィラメントの外周に、上記その他の金属フィラメントをそれぞれフライヤを用いて螺旋状に巻き付け、さらに、その巻き付け後のフィラメント束を撚線機に導入して、上記少なくとも1本の金属フィラメントを螺旋状に撚りながら前記フィラメント束に撚りを加えるゴム物品補強用金属コードの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−89902(P2006−89902A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164245(P2005−164245)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【出願人】(504211429)栃木住友電工株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【出願人】(504211429)栃木住友電工株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
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