説明

ゴム組成物及びゴム組成物の製造方法

【課題】伸縮率が優れ、耐絶縁破壊性が良好である圧電アクチュエータ用のゴム組成物を提供する。
【解決手段】圧電アクチュエータ用であって、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が100,000以上の共重合体ゴム(A)と、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が50,000以下の共重合体ゴム(B)と、を含み、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)との混合比率が、質量比で、50/50〜90/10で、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)に含有される不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の総量が、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)に含有される構造単位の総量に対して20〜70質量%であり、アルカリ金属の含有量が、100ppm以下であるゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びゴム組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である圧電アクチュエータ用のゴム組成物及びゴム組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気モーター、電圧素子、油圧シリンダ、空圧シリンダ等としてアクチュエータが使用されている。このアクチュエータは、電気、熱、または光などの入力されたエネルギーを物理的な運動に変換する機構を有するものであり、近年では、ゴム組成物を用いたアクチュエータが提案されている。
【0003】
ゴム組成物を用いたアクチュエータとしては、イオン導電性高分子型ポリマーアクチュエータや、誘電型ポリマーアクチュエータなどが知られている。このゴム組成物を用いたアクチュエータは、軽量で、柔軟性が高く、作動電圧が低いなどの特徴を有している。そして、最近では、全ての運動方向における慣性・剛性が小さく、伸縮・屈曲・捻りなどの複雑な運動が可能なアクチュエータ、いわゆるソフト・アクチュエータの開発が行われており、このソフト・アクチュエータは、医療用器具、人工筋肉、ロボットアーム等として使用されることが期待されている。
【0004】
このようなソフト・アクチュエータとしては、例えば、所定の厚さの誘電性ゴム層と、この誘電性ゴム層の両面に配置された電極層とを備える誘電性ゴム積層体(圧電アクチュエータ)などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2008−53527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の誘電性ゴム積層体は、その誘電性ゴム層(誘電エラストマー層)が、十分な収縮率を有するものではなく、また、高電圧に対する耐久性、即ち、耐絶縁破壊性も十分ではないため未だ改良の余地があった。従って、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である誘電エラストマー層が求められており、この誘電エラストマー層を形成するための、即ち、圧電アクチュエータ用のゴム組成物の開発が切望されていた。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である誘電エラストマー層を形成することができるゴム組成物及びゴム組成物の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、以下のゴム組成物及びゴム組成物の製造方法が提供される。
【0009】
[1] 圧電アクチュエータ用のゴム組成物であって、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が100,000以上の共重合体ゴム(A)と、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が50,000以下の共重合体ゴム(B)と、を含み、前記共重合体ゴム(A)と前記共重合体ゴム(B)との混合比率(前記共重合体ゴム(A)/前記共重合体ゴム(B))が、質量比で、50/50〜90/10であり、前記共重合体ゴム(A)と前記共重合体ゴム(B)に含有される不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の総量が、前記共重合体ゴム(A)と前記共重合体ゴム(B)に含有される構造単位の総量に対して、20〜70質量%であり、アルカリ金属の含有量が、100ppm以下であるゴム組成物。
【0010】
[2] 前記アルカリ金属の含有量が、80ppm以下である前記[1]に記載のゴム組成物。
【0011】
[3] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第一の高分子合成工程と、得られた前記第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第一の混合液を得、得られた前記第一の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(A)を析出させる第一の高分子析出工程と、90質量%以下の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第一の低分子合成工程と、得られた前記第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第二の混合液を得、得られた前記第二の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(B)を析出させる第一の低分子析出工程と、得られた前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第一の混合工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0012】
[4] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第二の高分子合成工程と、得られた前記第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第一の混合液を得、得られた前記第一の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(A)を析出させる第二の高分子析出工程と、90質量%以下の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第二の低分子合成工程と、得られた前記第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第二の混合液を得、得られた前記第二の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(B)を析出させる第二の低分子析出工程と、
得られた前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第一の混合工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0013】
[5] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の高分子含有ラテックスを得る第二の高分子合成工程と、得られた前記第二の高分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して前記共重合体ゴム(A)を析出させる第二の高分子析出工程と、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の低分子含有ラテックスを得る第二の低分子合成工程と、得られた前記第二の低分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して前記共重合体ゴム(B)を析出させる第二の低分子析出工程と、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第二の混合工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0014】
【化1】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【0015】
[6] 前記共重合体ゴム(A)を析出させた後、前記共重合体ゴム(A)を溶剤に溶解させて高分子溶解液を得、得られた前記高分子溶解液をアルコールと混合し、精製された共重合体ゴム(A)を析出させる工程と、前記共重合体ゴム(B)を析出させた後、前記共重合体ゴム(B)を溶剤に溶解させて低分子溶解液を得、得られた前記低分子溶解液をアルコールと混合し、精製された共重合体ゴム(B)を析出させる工程とを更に有する前記[3]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【0016】
[7] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の二段重合用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第一の重合反応液を得る第一の重合工程と、得られた前記第一の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、前記第一の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第一のゴム組成物ラテックスを得る第二の重合工程と、得られた前記第一のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第三の混合液を得、得られた前記第三の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第一のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0017】
[8] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の二段重合用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第一の重合反応液を得る第一の重合工程と、得られた前記第一の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、前記第一の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第一のゴム組成物ラテックスを得る第二の重合工程と、得られた前記第一のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第三の混合液を得、得られた前記第三の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第一のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0018】
[9] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の二段重合用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第二の重合反応液を得る第三の重合工程と、得られた前記第二の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、前記第二の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第二のゴム組成物ラテックスを得る第四の重合工程と、得られた前記第二のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる第二のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0019】
【化2】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【0020】
[10] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有する第三の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第三の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、得られた前記第三の高分子含有ラテックス及び前記第三の低分子含有ラテックスを、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第三のゴム組成物ラテックスを得る第三の混合工程と、得られた前記第三のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第四の混合液を得、得られた前記第四の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第三のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0021】
[11] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有する第三の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第三の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、得られた前記第三の高分子含有ラテックス及び前記第三の低分子含有ラテックスを、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第三のゴム組成物ラテックスを得る第三の混合工程と、得られた前記第三のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第四の混合液を得、得られた前記第四の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第三のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0022】
[12] 前記[1]または[2]に記載のゴム組成物の製造方法であって、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(A)を含有する第四の高分子含有ラテックスを得る第四の高分子合成工程と、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第四の低分子含有ラテックスを得る第四の低分子合成工程と、得られた前記第四の高分子含有ラテックス及び前記第四の低分子含有ラテックスを、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第四のゴム組成物ラテックスを得る第四の混合工程と、得られた前記第四のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる第四のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【0023】
【化3】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【発明の効果】
【0024】
本発明のゴム組成物は、圧電アクチュエータ用のゴム組成物、即ち、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なものであり、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である誘電エラストマー層を形成することができるという効果を奏するものである。
【0025】
本発明のゴム組成物の製造方法は、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0027】
[1]ゴム組成物:
本発明のゴム組成物の一実施形態は、圧電アクチュエータ用のゴム組成物であって、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が100,000以上の共重合体ゴム(A)と、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が50,000以下の共重合体ゴム(B)と、を含むものである。そして、本実施形態のゴム組成物は、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)との混合比率(共重合体ゴム(A)/共重合体ゴム(B))が、質量比で、50/50〜90/10であり、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)に含有される不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の総量が、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)に含有される構造単位の総量に対して、20〜70質量%であり、アルカリ金属の含有量が、100ppm以下のものである。
【0028】
このようなゴム組成物は、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である誘電エラストマー層を形成することができる。
【0029】
本実施形態のゴム組成物は、圧電アクチュエータ用のゴム組成物である。圧電アクチュエータとしては、例えば、誘電エラストマー層と、この誘電エラストマー層の両面に配置される一対の電極層とを備えるものなどを例示することができる。この圧電アクチュエータは、上記一対の電極層によって誘電エラストマー層に電圧をかけると、誘電エラストマー層が伸縮するため、この伸縮運動を利用して、医療用器具、人工筋肉、ロボットアーム等の部品として使用することができる。本実施形態のゴム組成物は、このような圧電アクチュエータの誘電エラストマー層を形成するための材料として好適に使用することができる。
【0030】
本実施形態のゴム組成物は、上述したように、共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)との混合比率(共重合体ゴム(A)/共重合体ゴム(B))が、質量比で、50/50〜90/10であり、50/50〜80/20であることが好ましい。上記混合比率が50/50未満であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が柔らかくなりすぎるため生産性が悪化する。一方、90/10超であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が固くなりすぎるため弾性率が悪化する。
【0031】
本実施形態のゴム組成物は、アルカリ金属の含有量が、100ppm以下であり、80ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることが更に好ましい。上記アルカリ金属の含有量が100ppm超であると、耐絶縁破壊性が低下する。ここで、本明細書において「アルカリ金属の含有量」は、原子吸光光度計を用いて測定される値である。
【0032】
なお、従来、ゴム組成物に含有される重合体は、乳化重合法によって製造されており、この乳化重合法では、一般に、乳化剤として、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属を含むアニオン系乳化剤が広く使用され、また、ラテックスから重合体を得る際に、凝固剤として、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの金属化合物が用いられている。そのため、重合体中には、金属イオン(特に、アルカリ金属イオン)が必ず残留し、この金属イオンは、重合体を水洗等しても除去することは困難である。一方、本実施形態のゴム組成物は、アルカリ金属の含有量が100ppm以下、即ち、実質的にアルカリ金属を含有していないものである。
【0033】
[1−1]共重合体ゴム(A):
本実施形態のゴム組成物に含有される共重合体ゴム(A)は、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が100,000以上のものである。このような共重合体ゴム(A)を含有することによって、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層の耐絶縁破壊性が良好になるという利点がある。
【0034】
不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位を形成するための不飽和ニトリル単量体は、重合性二重結合とニトリル基(シアノ基)とを一分子内に有する単量体である。具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、メチルα−イソプロピルアクリロニトリル、メチルα−n−ブチルアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル類;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−(2−シアノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−シアノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(2−シアノエトキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(2−シアノエトキシ)エトキシ〕エチル(メタ)アクリレート等のシアノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類の他、フマロニトリル、2−メチレングルタロニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。なお、不飽和ニトリル単量体は、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0035】
共重合体ゴム(A)中の不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(A)中の全構造単位に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0036】
共役ジエン単量体に由来する構造単位を形成するための共役ジエン単量体は、二つの炭素−炭素二重結合が一つの炭素−炭素単結合により結合された構造を有する単量体である。具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)等を挙げることができる。これらの中でも、ブタジエン、イソプレンが好ましく、ブタジエンが更に好ましい。なお、共役ジエン単量体は、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0037】
共重合体ゴム(A)中の共役ジエン単量体に由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(A)中の全構造単位に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0038】
共重合体ゴム(A)は、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位以外に、その他の単量体に由来する構造単位を更に含有することができる。
【0039】
その他の単量体に由来する構造単位を形成するためその他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、4,4,4,3,3,2,2−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0040】
メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリプロピレングリコール等のアルコキシポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数:2〜23程度)の(メタ)アクリレート類;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のアリーロキシアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシポリエチレングリコール、フェノキシポリプロピレングリコール等のアリーロキシポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数:2〜23程度)のモノ(メタ)アクリレート類;
【0041】
2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等のシアノアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのモノ−(メタ)アクリレート類またはジ−(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数:通常2〜23)のモノ−(メタ)アクリレート類またはジ−(メタ)アクリレート類;
【0042】
グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールアルカン(アルカンの炭素数:通常1〜3)、テトラメチロールアルカン(アルカンの炭素数:通常1〜3)等の3価以上の多価アルコール類のモノ−(メタ)アクリレート類またはオリゴ−(メタ)アクリレート類;上記3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物(アルキレングリコール単位数:通常2〜23)のモノ−(メタ)アクリレート類またはオリゴ−(メタ)アクリレート類;4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール、1,4−ジ−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン等の環式ポリオールのモノ−(メタ)アクリレート類またはオリゴ−(メタ)アクリレート類;
【0043】
ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(ジアルキルアミノアルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート類等のカルボキシル基のエステル化されたもの、ラクトン変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0044】
これら中でも、炭素数1〜4のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、または炭素数2〜6のアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、炭素数2〜6のアルキル(メタ)アクリレートを用いることが更に好ましい。なお、上記その他の単量体は、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0045】
共重合体ゴム(A)中のその他の単量体に由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(A)中の全構造単位に対して、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0046】
共重合体ゴム(A)は、その重量平均分子量が、100,000以上であり、200,000以上であることが好ましい。上記重量平均分子量が100,000未満であると、ゴムが柔らかくなりすぎ機械的強度が低下する。ここで、本明細書において「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にてポリスチレンを標準物質に用いて測定される値である。なお、共重合体ゴム(A)は、水素添加されたものであってもよい。
【0047】
[1−1−A]共重合体ゴム(A)の製造方法:
共重合体ゴム(A)は、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が100,000以上である限り特に制限はないが、以下に示す3つの態様(第一〜第三の態様)によって製造されるものであることが好ましい。
【0048】
[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様:
まず、第一の態様としては、第一の高分子合成工程と第一の高分子析出工程とを有する製造方法である。即ち、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第一の高分子合成工程と、得られた第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第一の混合液を得、得られた第一の混合液を加熱して共重合体ゴム(A)を析出させる第一の高分子析出工程とを有する製造方法である。
【0049】
このような製造によると、金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)が低減された共重合体ゴム(A)を得ることができる。
【0050】
第一の高分子合成工程に用いる第一の高分子用単量体成分に含まれる不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。この不飽和ニトリル単量体の含有割合は、第一の高分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0051】
第一の高分子合成工程に用いる第一の高分子用単量体成分に含まれる共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。この共役ジエン単量体の含有割合は、第一の高分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0052】
第一の高分子用単量体成分には、不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、その他の単量体を含有させることができる。その他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0053】
乳化剤成分は、イオン性乳化剤を含有するものである。そのため、乳化剤成分としてイオン性乳化剤のみを用いても良いし、イオン性乳化剤以外に、ノニオン性乳化剤を更に含有することもできる。また、乳化剤成分の使用量は、第一の高分子用単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることが更に好ましい。上記使用量が0.1質量部未満であると、重合安定性が低下するおそれがある。一方、50質量部超であると、重合中に発泡が起こり生産性が低下するおそれがある。
【0054】
イオン性乳化剤は、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、または両性乳化剤である。アニオン系乳化剤としては、例えば、石鹸、ロート油、乳化油、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルコールエトキシサルフエイト、第2級アルカンスルホネート、α−オレフィンスルホン酸、タモールなどを挙げることができる。
【0055】
カチオン系乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などを挙げることができる。また、両性乳化剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸などを挙げることができる。
【0056】
乳化剤成分中のイオン性乳化剤の含有割合は、乳化剤成分の総量に対して、1〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が1質量%未満であると、重合安定性が悪化するおそれがある。一方、40質量%超であると、凝固し難くなるおそれがある。
【0057】
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルスルフィニルアルコール、脂肪酸モノグリセリドなどを挙げることができる。
【0058】
乳化剤成分中のノニオン性乳化剤の含有割合は、乳化剤成分の総量に対して、60〜99質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が60質量%未満であると、凝固し難くなるおそれがある。一方、99質量%超であると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0059】
分子量調節剤としては、例えば、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレンなどを挙げることができる。これらの中でも、t−ドデシルメルカプタンが好ましい。
【0060】
第一の高分子用単量体成分の重合条件は、特に制限はなく、従来公知の条件で重合を行うことができる。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0061】
第一の高分子用単量体成分は、乳化剤成分及び分子量調節剤以外のその他の成分の存在下で、重合することができる。
【0062】
その他の成分としては、例えば、重合開始剤などを挙げることができる。
【0063】
重合開始剤としては、例えば、過酸化物、レドックス系化合物、アゾ系化合物、過硫酸塩などを挙げることができる。
【0064】
第一の高分子析出工程において用いる、第一の混合液中の、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種のアンモニウム塩は、これらの中でも硫酸アンモニウムが好ましい。
【0065】
第一の混合液を加熱する方法は、特に制限はなく、例えば、高温の水蒸気を第一の混合液中に吹き込むことによって加熱する方法などを挙げることができる。第一の混合液の加熱条件は、40〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることが更に好ましい。
【0066】
本態様では、更に、共重合体ゴム(A)を析出させた後、共重合体ゴム(A)を溶剤に溶解させて高分子溶解液(第一の高分子溶解液)を得、得られた第一の高分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(A)を析出させる工程(以下、「第一のメタノール凝固工程」と記す場合がある)を有することが好ましい。このような第一のメタノール凝固工程を行うことによって、得られる共重合体ゴム(A)を精製すること、即ち、共重合体ゴム(A)中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0067】
共重合体ゴム(A)を溶解させる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエンなどの方法を挙げることができる。
【0068】
溶剤の使用量としては、第一の高分子溶解液の固形分含量が、0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましい。上記固形分含量が0.5質量%未満であると、ゴムが析出し難くなるおそれがある。一方、50質量%超であると、アルコールと混合した際、溶剤を含んだゴム分がそのまま残るおそれがある。
【0069】
なお、水素添加された共重合体ゴム(A)を用いる場合、水素添加された共重合体ゴム(A)の製造方法は、例えば、水素添加触媒の存在下、反応温度130〜250℃、水素圧5〜15MPa、及び反応時間1〜24時間の条件で、共重合体ゴム(A)に水素を添加する方法を挙げることができる。
【0070】
水素添加触媒としては、例えば、固体状または液体状の触媒を挙げることができる。固体状の触媒の具体例としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、ニッケル等貴金属の微粉末、またはこれら貴金属類を活性炭、シリカ、アルミナ等の担体上に担持した触媒等を挙げることができる。液体状の触媒の具体例としては、クロム、またはコバルト等の遷移金属元素を有機溶媒に可溶化した錯体をアルキル金属化合物で還元した触媒等を挙げることができる。
【0071】
[1−1−A2]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様:
次に、第二の態様としては、第二の高分子合成工程と第二の高分子析出工程とを有する製造方法である。即ち、まず、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第二の高分子合成工程と、次に、得られた第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第一の混合液を得、得られた第一の混合液を加熱して共重合体ゴム(A)を析出させる第二の高分子析出工程とを有する製造方法である。
【0072】
本態様は、本態様の第二の高分子析出工程に用いる第一の混合液を得る際に、ノニオン性乳化剤を混合する代わりに、予め第二の高分子合成工程で用いる乳化剤成分中にノニオン性乳化剤を含有させておく点において、既に上述した第一の態様と異なる。従って、本態様で用いる各成分は、第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。また、本態様における重合方法などの各方法は、第一の態様と同様の方法を同様に採用することができる。
【0073】
[1−1−A3]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様:
次に、第三の態様としては、第三の高分子合成工程と第三の高分子析出工程とを有する製造方法である。即ち、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値(溶解度パラメータ)が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、得られた第二の高分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して共重合体ゴム(A)を析出させる第三の高分子析出工程とを有する製造方法である。
【0074】
【化4】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【0075】
第三の高分子合成工程に用いる第二の高分子用単量体成分に含まれる不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。この不飽和ニトリル単量体の含有割合は、第二の高分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0076】
第三の高分子合成工程に用いる第二の高分子用単量体成分に含まれる共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。この共役ジエン単量体の含有割合は、第二の高分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0077】
第三の高分子合成工程に用いる第二の高分子用単量体成分には、不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、その他の単量体を含有させることができる。その他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0078】
本態様で用いる乳化剤は、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、上記一般式(1)の乳化剤、及び上記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種である。このような乳化剤は、親水性が大きいため、共重合体ゴム(A)中に残留し難くなるという利点がある。
【0079】
本態様で用いる乳化剤は、スルホン酸基を少なくとも1つ有するものであり、スルホン酸基を1つまたは2つ有するものであることが好ましい。また、SP値が10以上であり、13以上であることが好ましい。
【0080】
このような乳化剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩(脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)及び硫酸化オレフィン(オレフィンを硫酸化して中和したもの)などの硫酸エステル塩を挙げることができる。また、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩などのアルキルベンゼンスルホン酸塩などのスルホコハク酸ジエステル型、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型などのスルホン酸塩を挙げることができる。
【0081】
上記乳化剤の使用量は、第三の高分子合成工程に用いる第二の高分子用単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることが更に好ましい。上記使用量が0.1質量部未満であると、重合安定性が低下するおそれがある。一方、50質量部超であると、重合中に発泡が起こり生産性が低下するおそれがある。
【0082】
分子量調節剤としては、既に上述した第一の態様で用いる分子量調節剤と同様のものを同様の用いることができる。
【0083】
第三の高分子合成工程に用いる第二の高分子用単量体成分の重合条件は、特に制限はなく、従来公知の条件で重合を行うことができる。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0084】
第三の高分子合成工程に用いる第二の高分子用単量体成分は、上記乳化剤及び分子量調節剤以外のその他の成分の存在下で、重合することができる。その他の成分は、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0085】
第三の高分子析出工程において用いる凝固剤は、共重合体ゴム(A)を析出させることができるものであれば特に制限はないが、例えば、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。
【0086】
本態様では、更に、共重合体ゴム(A)を析出させた後、共重合体ゴム(A)を溶剤に溶解させて高分子溶解液を得、得られた高分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(A)を析出させる工程(以下、「第二のメタノール凝固工程」と記す場合がある)を有することが好ましい。このような第二のメタノール凝固工程によって、得られる共重合体ゴム(A)を精製すること、即ち、共重合体ゴム(A)中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0087】
本態様に用いることができる溶剤は、既に上述した第一の態様で用いることができる溶剤と同様のものを同様に用いることができる。
【0088】
なお、水素添加された共重合体ゴム(A)を用いる場合の、水素添加された共重合体ゴム(A)の製造方法は、既に上述した第一の態様と同様の製造方法を採用することができる。
【0089】
[1−2]共重合体ゴム(B):
本実施形態のゴム組成物に含有される共重合体ゴム(B)は、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が50,000以下のものである。このような共重合体ゴム(B)を含有することによって、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層の伸縮率が良好になるという利点がある。
【0090】
共重合体ゴム(B)中の、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位を形成するための不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。
【0091】
共重合体ゴム(B)中の不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B)中の全構造単位に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0092】
共重合体ゴム(B)中の、共役ジエン単量体に由来する構造単位を形成するための共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。
【0093】
共重合体ゴム(B)中の共役ジエン単量体に由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B)中の全構造単位に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0094】
共重合体ゴム(B)は、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位以外に、その他の単量体に由来する構造単位を更に含有することができる。
【0095】
共重合体ゴム(B)中の、その他の単量体に由来する構造単位を形成するためその他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0096】
共重合体ゴム(B)中のその他の単量体に由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B)中の全構造単位に対して、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0097】
共重合体ゴム(B)は、その重量平均分子量が、50,000以下であり、20000以下であることが好ましい。上記重量平均分子量が50,000超であると、弾性率が増大してしまう。
【0098】
共重合体ゴム(B)は、水素添加されたものであってもよい。
【0099】
[1−2−A]共重合体ゴム(B)の製造方法:
共重合体ゴム(B)は、不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が50,000以下である限り特に制限はないが、以下に示す3つの態様(第四〜第六の態様)によって製造されるものであることが好ましい。
【0100】
[1−2−A1]共重合体ゴム(B)の製造方法の一の態様:
まず、第四の態様としては、第一の低分子合成工程と第一の低分子析出工程とを有する製造方法である。即ち、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び90〜10質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第一の低分子合成工程と、得られた第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第二の混合液を得、得られた第二の混合液を加熱して共重合体ゴム(B)を析出させる第一の低分子析出工程とを有する製造方法である。
【0101】
第一の低分子合成工程に用いる第一の低分子用単量体成分に含まれる不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。この不飽和ニトリル単量体の含有割合は、第一の低分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0102】
第一の低分子合成工程に用いる第一の低分子用単量体成分に含まれる共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。この共役ジエン単量体の含有割合は、第一の低分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0103】
第一の低分子用単量体成分には、不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、その他の単量体を含有させることができる。その他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0104】
第一の低分子合成工程に用いる乳化剤成分は、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。即ち、乳化剤成分としてイオン性乳化剤のみを用いても良いし、イオン性乳化剤以外に、ノニオン性乳化剤を更に含有することもできる。
【0105】
第一の低分子合成工程に用いる分子量調節剤は、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0106】
第一の低分子用単量体成分の重合条件は、特に制限はなく、従来公知の条件で重合を行うことができる。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0107】
第一の低分子用単量体成分は、上記乳化剤成分及び分子量調節剤以外のその他の成分の存在下で、重合することができる。その他の成分は、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0108】
第一の低分子析出工程において用いる、第二の混合液中の、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種のアンモニウム塩は、これらの中でも硫酸アンモニウムが好ましい。
【0109】
第二の混合液中に含有させるノニオン性乳化剤は、既に上述した第一の混合液中に含有させるノニオン性乳化剤と同様のものを同様に用いることができる。
【0110】
第二の混合液を加熱する方法は、特に制限はなく、例えば、水蒸気などの方法を挙げることができる。
【0111】
第二の混合液の加熱条件は、40〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることが更に好ましい。
【0112】
本態様では、更に、共重合体ゴム(B)を析出させた後、共重合体ゴム(B)を溶剤に溶解させて第一の低分子溶解液を得、得られた第一の低分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(B)を析出させる工程(以下、「第三のメタノール凝固工程」と記す場合がある)を更に有することが好ましい。このような第三のメタノール凝固工程を行うことによって、得られる共重合体ゴム(B)を精製すること、即ち、共重合体ゴム(B)中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0113】
本態様に用いることができる溶剤は、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0114】
なお、水素添加された共重合体ゴム(B)を用いる場合、水素添加された共重合体ゴム(B)の製造方法は、例えば、水素添加触媒の存在下、反応温度130〜250℃、水素圧5〜15MPa、及び反応時間1〜24時間の条件で、共重合体ゴム(B)に水素を添加する方法を挙げることができる。水素添加触媒としては、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0115】
[1−2−A2]共重合体ゴム(B)の製造方法の別の態様:
次に、第五の態様としては、第二の低分子合成工程と第二の低分子析出工程とを有する製造方法である。即ち、90質量%以下の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第一の低分子合成工程と、得られた第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第二の混合液を得、得られた第二の混合液を加熱して共重合体ゴム(B)を析出させる第一の低分子析出工程とを有する製造方法である。
【0116】
本態様は、本態様の第二の低分子析出工程に用いる第二の混合液を得る際に、ノニオン性乳化剤を混合する代わりに、予め第二の低分子合成工程で用いる乳化剤成分中にノニオン性乳化剤を含有させておく点において、既に上述した第四の態様と異なる。従って、本態様で用いる各成分は、第四の態様と同様のものを同様に用いることができる。また、本態様における重合方法などの各方法は、第四の態様と同様の方法を同様に採用することができる。
【0117】
[1−2−A3]共重合体ゴム(B)の製造方法の別の態様:
次に、第六の態様としては、第三の低分子合成工程と第三の低分子析出工程とを有する製造方法である。即ち、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び90〜10質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、得られた第二の低分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して共重合体ゴム(B)を析出させる第三の低分子析出工程とを有する製造方法である。
【0118】
第三の低分子合成工程に用いる第二の低分子用単量体成分に含まれる不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。この不飽和ニトリル単量体の含有割合は、上記第二の低分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0119】
第三の低分子合成工程に用いる第二の低分子用単量体成分に含まれる共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。この共役ジエン単量体の含有割合は、上記第二の低分子用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0120】
第三の低分子合成工程に用いる第二の低分子用単量体成分には、不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、その他の単量体を含有させることができる。その他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0121】
本態様で用いるスルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤は、既に上述した第三の態様で用いる乳化剤と同様のものを同様の用いることができる。
【0122】
分子量調節剤としては、既に上述した第一の態様で用いる分子量調節剤と同様のものを同様の用いることができる。
【0123】
第三の低分子合成工程に用いる第二の低分子用単量体成分の重合条件は、特に制限はなく、従来公知の条件で重合を行うことができる。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0124】
第三の低分子合成工程に用いる第二の低分子用単量体成分は、上記乳化剤及び分子量調節剤以外のその他の成分の存在下で、重合することができる。その他の成分は、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0125】
第三の低分子析出工程において用いる凝固剤は、既に上述した第三の態様で用いる凝固剤と同様のものを同様の用いることができる。
【0126】
本態様では、更に、共重合体ゴム(B)を析出させた後、共重合体ゴム(B)を溶剤に溶解させて低分子溶解液(第二の低分子溶解液)を得、得られた第二の低分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(B)を析出させる工程(以下、「第四のメタノール凝固工程」と記す場合がある)を更に有することが好ましい。このような第四のメタノール凝固工程を行うことによって、得られる共重合体ゴム(B)を精製すること、即ち、共重合体ゴム(B)中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0127】
本態様に用いることができる溶剤は、既に上述した第一の態様で用いる溶剤と同様のものを同様に用いることができる。
【0128】
なお、水素添加された共重合体ゴム(B)を用いる場合、水素添加された共重合体ゴム(B)の製造方法は、例えば、得られた共重合体ゴム(B)に、水素添加触媒の存在下、反応温度130〜250℃、水素圧5〜15MPa、及び反応時間1〜24時間の条件で、水素を添加する方法を挙げることができる。水素添加触媒としては、既に上述した第一の態様と同様のものを同様に用いることができる。
【0129】
[1−3]その他の共重合体ゴム、添加剤:
本実施形態のゴム組成物は、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)以外に、その他の共重合体ゴム、添加剤などを含有することもできる。
【0130】
その他の共重合体ゴムとしては、例えば、アクリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエン・イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン・スチレン・イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴムなどを挙げることができる。
【0131】
添加剤としては、例えば、架橋剤などを挙げることができる。
【0132】
[2]ゴム組成物の製造方法:
本実施形態のゴム組成物は、例えば、所定量の共重合体ゴム(A)、所定量の共重合体ゴム(B)、及び、必要に応じて、上記その他の共重合体ゴムや添加剤を混合して製造することができ、また、所定量の共重合体ゴム(A)及び所定量の共重合体ゴム(B)を、いわゆるワンポット重合により製造することによって得ることができる。
【0133】
具体的には、第一の高分子合成工程及び第一の高分子析出工程からなる第一高分子工程、第二の高分子合成工程及び第二の高分子析出工程からなる第二高分子工程、並びに、第三の高分子合成工程及び第三の高分子析出工程からなる第三高分子工程などの各高分子工程と、第一の低分子合成工程及び第一の低分子析出工程からなる第一低分子工程、第二の低分子合成工程及び第二の低分子析出工程からなる第二低分子工程、並びに、第三の低分子合成工程及び第三の低分子析出工程からなる第三低分子工程などの各低分子工程と、を適宜組み合わせることによって、ゴム組成物を製造することができる。
【0134】
より具体的には、以下に示す本発明のゴム組成物の製造方法によって製造することが好ましい。
【0135】
[3]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の一実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第一の高分子合成工程と、得られた第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第一の混合液を得、得られた第一の混合液を加熱して共重合体ゴム(A)を析出させる第一の高分子析出工程と、を有している。
【0136】
更に、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第一の低分子合成工程と、得られた第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第二の混合液を得、得られた第二の混合液を加熱して共重合体ゴム(B)を析出させる第一の低分子析出工程と、得られた共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第一の混合工程と、を有するものである。
【0137】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0138】
第一の高分子合成工程は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で説明した第一の高分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0139】
第一の高分子析出工程は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で説明した第一の高分子析出工程と同様の工程を採用することができる。
【0140】
第一の低分子合成工程は、[1−2−A1]共重合体ゴム(B)の製造方法の一の態様で説明した第一の低分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0141】
第一の低分子析出工程は、[1−2−A1]共重合体ゴム(B)の製造方法の一の態様で説明した第一の低分子析出工程と同様の工程を採用することができる。
【0142】
次に、第一の混合工程は、得られた共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る工程である。
【0143】
上記混合比率(質量比)は、50/50〜90/10であり、50/50〜80/20であることが好ましい。上記混合比率が50/50未満であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が柔らかくなりすぎるため、生産性が悪化する。一方、90/10超であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が固くなりすぎるため、弾性率が増大してしまう。
【0144】
共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)とを混合する方法は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー等の混練装置を用いる方法を挙げることができる。
【0145】
上記混合条件は、特に制限はなく、例えば、上記混練装置の温度を20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)の条件で所定時間混合する条件を採用することができる。
【0146】
本実施形態のゴム組成物の製造方法は、共重合体ゴム(A)を析出させた後、共重合体ゴム(A)を溶剤に溶解させて高分子溶解液(第一の高分子溶解液)を得、得られた第一の高分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(A)を析出させる工程(以下、「第一の高分子精製工程」と記す場合がある)を更に有することが好ましい。また、共重合体ゴム(B)を析出させた後、共重合体ゴム(B)を溶剤に溶解させて第一の低分子溶解液を得、得られた第一の低分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(B)を析出させる工程(以下、「第一の低分子精製工程」と記す場合がある)を更に有することが好ましい。
【0147】
上記のような工程を有すると、得られる共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を精製すること、即ち、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0148】
第一の高分子精製工程は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で説明した第一のメタノール凝固工程と同様の工程を採用することができる。
【0149】
第一の低分子精製工程は、[1−2−A1]共重合体ゴム(B)の製造方法の一の態様で説明した第三のメタノール凝固工程と同様の工程を採用することができる。
【0150】
[4]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の別の実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第一の高分子合成工程と、得られた第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第一の混合液を得、得られた第一の混合液を加熱して共重合体ゴム(A)を析出させる第一の高分子析出工程と、を有している。
【0151】
更に、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、90質量%以下の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第一の低分子合成工程と、得られた第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第二の混合液を得、得られた第二の混合液を加熱して共重合体ゴム(B)を析出させる第一の低分子析出工程と、得られた重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第一の混合工程と、を有するものである。
【0152】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0153】
本発明のゴム組成物の製造方法は、第二の高分子析出工程に用いる第一の混合液を得る際に、ノニオン性乳化剤を混合する代わりに、予め第二の高分子合成工程で用いる乳化剤成分中にノニオン性乳化剤を含有させておく点、及び、第二の低分子析出工程に用いる第二の混合液を得る際に、ノニオン性乳化剤を混合する代わりに、予め第二の低分子合成工程で用いる乳化剤成分中にノニオン性乳化剤を含有させておく点において、既に上述した一の実施態様と異なる。従って、本実施態様で用いる各成分は、既に上述した一の実施態様と同様のものを同様に用いることができる。また、本実施態様における重合方法などの各方法は、既に上述した一の実施態様と同様の方法を同様に採用することができる。
【0154】
[5]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の別の実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、得られた第二の高分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して共重合体ゴム(A)を析出させる第三の高分子析出工程と、を有している。
【0155】
更に、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、得られた第二の低分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して共重合体ゴム(B)を析出させる第三の低分子析出工程と、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第二の混合工程と、を有するものである。
【0156】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0157】
第三の高分子合成工程は、[1−1−A3]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で説明した第三の高分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0158】
第三の高分子析出工程は、[1−1−A3]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で説明した第三の高分子析出工程と同様の工程を採用することができる。
【0159】
第三の低分子合成工程は、[1−2−A3]共重合体ゴム(B)の製造方法の別の態様で説明した第三の低分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0160】
第三の低分子析出工程は、[1−2−A3]共重合体ゴム(B)の製造方法の別の態様で説明した第三の低分子析出工程と同様の工程を採用することができる。
【0161】
次に、第二の混合工程は、得られた共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る工程である。
【0162】
上記混合比率(質量比)は、50/50〜90/10であり、50/50〜80/20であることが好ましい。上記混合比率が50/50未満であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が柔らかくなりすぎるため、生産性が悪化する。一方、90/10超であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が固くなりすぎるため、弾性率が増大してしまう。
【0163】
共重合体ゴム(A)と共重合体ゴム(B)とを混合する方法は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー等の混練装置を用いる方法を挙げることができる。
【0164】
上記混合条件は、特に制限はなく、例えば、上記混練装置の温度を20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)の条件で所定時間混合する条件を採用することができる。
【0165】
本実施形態のゴム組成物の製造方法は、共重合体ゴム(A)を析出させた後、共重合体ゴム(A)を溶剤に溶解させて高分子溶解液(第二の高分子溶解液)を得、得られた第二の高分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(A)を析出させる工程(以下、「第二の高分子精製工程」と記す場合がある)を更に有することが好ましい。また、共重合体ゴム(B)を析出させた後、共重合体ゴム(B)を溶剤に溶解させて低分子溶解液(第二の低分子溶解液)を得、得られた第二の低分子溶解液をメタノールと混合し、精製された共重合体ゴム(B)を析出させる工程(以下、「第二の低分子精製工程」と記す場合がある)を更に有することが好ましい。
【0166】
上記第二の高分子精製工程及び第二の低分子精製工程を有すると、得られる共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)を精製すること、即ち、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0167】
第二の高分子精製工程は、[1−1−A3]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で説明した第二のメタノール凝固工程と同様の工程を採用することができる。
【0168】
第二の低分子精製工程は、[1−2−A3]共重合体ゴム(B)の製造方法の別の態様で説明した第四のメタノール凝固工程と同様の工程を採用することができる。
【0169】
[6]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の別の実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の二段重合用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第一の重合反応液を得る第一の重合工程と、を有している。
【0170】
更に、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、得られた第一の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、第一の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第一のゴム組成物ラテックスを得る第二の重合工程と、得られた第一のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第三の混合液を得、得られた第三の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第一のゴム組成物析出工程と、を有するものである。
【0171】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0172】
[6−1]第一の重合工程:
まず、本実施形態のゴム組成物の製造方法の第一の重合工程は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の二段重合用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第一の重合反応液を得る工程である。
【0173】
第一の重合工程に用いる第一の二段重合用単量体成分に含まれる不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。この不飽和ニトリル単量体の含有割合は、第一の二段重合用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0174】
第一の重合工程に用いる第一の二段重合用単量体成分に含まれる共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。この共役ジエン単量体の含有割合は、第一の二段重合用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0175】
第一の二段重合用単量体成分には、不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、その他の単量体を含有させることができる。その他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0176】
本工程に用いる乳化剤成分は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で使用する乳化剤成分と同様のものを用いることができる。
【0177】
乳化剤成分の使用量は、第一の二段重合用単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることが更に好ましい。上記使用量が0.1質量部未満であると、重合安定性が低下するおそれがある。一方、50質量部超であると、重合中に発泡が起こり生産性が低下するおそれがある。
【0178】
本工程に用いる分子量調節剤は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で使用する分子量調節剤と同様のものを用いることができる。
【0179】
本工程の重合条件は、特に制限はなく、従来公知の条件で重合を行うことができる。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0180】
第一の二段重合用単量体成分は、上記乳化剤成分及び分子量調節剤以外のその他の成分の存在下で、重合することができる。その他の成分は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で使用することができるその他の成分と同様のものを同様に用いることができる。
【0181】
第一の二段重合用単量体成分を重合させて得られる第一の重合反応液は、重合転化率が10〜90%であり、50〜90%であることが好ましい。
【0182】
[6−2]第二の重合工程:
次に、第二の重合工程は、得られた第一の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、第一の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第一のゴム組成物ラテックスを得る工程である。即ち、得られた第一の重合反応液に、更に分子量調節剤を添加し、大量の分子量調節剤の存在下で、第一の重合反応液の重合反応を行う工程である。本工程によって、共重合体ゴム(B)が合成される。
【0183】
本工程に用いる分子量調節剤は、上記第一の重合工程で用いた分子量調節剤と同様のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0184】
本工程の重合条件は、上記第一の重合工程の重合条件と同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0185】
[6−3]第一のゴム組成物析出工程:
次に、第一のゴム組成物析出工程は、得られた第一のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第三の混合液を得、得られた第三の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる工程である。
【0186】
第一のゴム組成物析出工程において用いる、第三の混合液中の、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種のアンモニウム塩は、これらの中でも硫酸アンモニウムが好ましい。
【0187】
本工程に用いるノニオン性乳化剤は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で説明した第一の混合液中に含有させるノニオン性乳化剤と同様のものを用いることができる。
【0188】
第三の混合液を加熱する方法は、特に制限はなく、例えば、水蒸気などの方法を挙げることができる。
【0189】
第三の混合液の加熱条件は、40〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることが更に好ましい。
【0190】
本実施態様のゴム組成物の製造方法は、更に、第一のゴム組成物析出工程において、ゴム組成物を析出させた後、このゴム組成物を溶剤に溶解させて第一のゴム組成物溶解液を得、得られた第一のゴム組成物溶解液をメタノールと混合し、精製されたゴム組成物を析出させることが好ましい。
【0191】
ゴム組成物を溶解させる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトンなどの方法を挙げることができる。
【0192】
溶剤の使用量としては、第一のゴム組成物溶解液の固形分含量が、0.1〜50質量%であることが好ましい。上記固形分含量が0.1質量%未満であると、ゴムが析出しがたくなるおそれがある。一方、50質量%超であると、アルコールと混合した際、溶剤を含んだゴム分がそのまま残るおそれがある。
【0193】
[7]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の別の実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の二段重合用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第二の重合反応液を得る第三の重合工程と、得られた第二の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、第二の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第二のゴム組成物ラテックスを得る第四の重合工程と、得られた第二のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる第二のゴム組成物析出工程と、を有するものである。
【0194】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0195】
[7−1]第三の重合工程:
まず、本実施形態のゴム組成物の製造方法の第三の重合工程は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の二段重合用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第二の重合反応液を得る工程である。
【0196】
第三の重合工程に用いる第二の二段重合用単量体成分に含まれる不飽和ニトリル単量体は、既に上述した不飽和ニトリル単量体と同様のものを用いることができる。この不飽和ニトリル単量体の含有割合は、第二の二段重合用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、比誘電率が低下するおそれがある。一方、90質量%超であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。
【0197】
第三の重合工程に用いる第二の二段重合用単量体成分に含まれる共役ジエン単量体は、既に上述した共役ジエン単量体と同様のものを用いることができる。この共役ジエン単量体の含有割合は、第二の二段重合用単量体成分の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。上記含有割合が10質量%未満であると、弾性率が増大してしまうおそれがある。一方、90質量%超であると、比誘電率が低下するおそれがある。
【0198】
第二の二段重合用単量体成分には、不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、その他の単量体を含有させることができる。その他の単量体は、既に上述したその他の単量体と同様のものを用いることができる。
【0199】
本工程に用いる乳化剤は、[1−1−A2]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で使用する乳化剤と同様のものを用いることができる。
【0200】
上記乳化剤の使用量は、第二の二段重合用単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることが更に好ましい。上記使用量が0.1質量部未満であると、重合安定性が低下するおそれがある。一方、30質量部超であると、重合中に発泡が起こり生産性が低下するおそれがある。
【0201】
分子量調節剤としては、[1−1−A2]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で使用する分子量調節剤と同様のものを用いることができる。
【0202】
第二の二段重合用単量体成分の重合条件は、特に制限はなく、従来公知の条件で重合を行うことができる。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0203】
第二の二段重合用単量体成分は、上記乳化剤及び分子量調節剤以外のその他の成分の存在下で、重合することができる。その他の成分は、[1−1−A2]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で使用することができるその他の成分と同様のものを同様に用いることができる。
【0204】
第二の二段重合用単量体成分を重合させて得られる第二の重合反応液は、重合転化率が10〜90%であり、50〜90%であることが好ましい。
【0205】
[7−2]第四の重合工程:
次に、第四の重合工程は、得られた第二の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、第二の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第二のゴム組成物ラテックスを得る工程である。
【0206】
本工程に用いる分子量調節剤は、上記第三の重合工程で用いた分子量調節剤と同様のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0207】
本工程の重合条件は、上記第一の重合工程の重合条件と同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、0〜100℃、0.01〜30時間の条件で重合を行うことができる。
【0208】
[7−3]第二のゴム組成物析出工程:
次に、第二のゴム組成物析出工程は、得られた第二のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる工程である。
【0209】
本工程で用いる凝固剤は、ゴム組成物を析出させることができるものであれば特に制限はないが、例えば、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。
【0210】
本実施態様のゴム組成物の製造方法は、更に、第二のゴム組成物析出工程において、ゴム組成物を析出させた後、このゴム組成物を溶剤に溶解させて第二のゴム組成物溶解液を得、得られた第二のゴム組成物溶解液をメタノールと混合し、精製されたゴム組成物を析出させることが好ましい。
【0211】
ゴム組成物を溶解させる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトンなどの方法を挙げることができる。
【0212】
溶剤の使用量としては、第二のゴム組成物溶解液の固形分含量が、0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましい。上記固形分含量が0.5質量%未満であると、ゴムが析出し難くなるおそれがある。一方、50質量%超であると、アルコールと混合した際、溶剤を含んだゴム分がそのまま残るおそれがある。
【0213】
[8]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の別の実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有する第三の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第三の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、を有している。
【0214】
更に、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、得られた第三の高分子含有ラテックス及び第三の低分子含有ラテックスを、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第三のゴム組成物ラテックスを得る第三の混合工程と、得られた第三のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第四の混合液を得、得られた第四の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第三のゴム組成物析出工程と、を有するものである。
【0215】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0216】
[8−1]第三の高分子合成工程:
第三の高分子合成工程は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有する第三の高分子含有ラテックスを得る工程である。
【0217】
第三の高分子合成工程は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で説明した第一の高分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0218】
[8−2]第三の低分子合成工程:
第三の低分子合成工程は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第三の低分子含有ラテックスを得る工程である。
【0219】
第三の低分子合成工程は、[1−2−A1]共重合体ゴム(B)の製造方法の一の態様で説明した第一の低分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0220】
[8−3]第三の混合工程:
第三の混合工程は、得られた第三の高分子含有ラテックス及び第三の低分子含有ラテックスを、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第三のゴム組成物ラテックスを得る工程である。
【0221】
上記混合比率(質量比)は、50/50〜90/10であり、50/50〜80/20であることが好ましい。上記混合比率が50/50未満であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が柔らかくなりすぎるため、生産性が悪化する。一方、90/10超であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が固くなりすぎるため、弾性率が増大してしまう。
【0222】
第三の高分子含有ラテックスと第三の低分子含有ラテックスとを混合する方法は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、攪拌機等の混合装置を用いる方法を挙げることができる。
【0223】
上記混合条件は、特に制限はなく、例えば、上記混練装置の温度を20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)の条件で所定時間混合する条件を採用することができる。
【0224】
「共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して」とは、第三のゴム組成物ラテックス中の共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合することを意味する。
【0225】
[8−4]第三のゴム組成物析出工程:
第三のゴム組成物析出工程は、得られた第三のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第四の混合液を得、得られた第四の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる工程である。
【0226】
第三のゴム組成物析出工程において用いる、第四の混合液中の、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種のアンモニウム塩は、これらの中でも硫酸アンモニウムが好ましい。
【0227】
第四の混合液中に含有させるノニオン性乳化剤は、[1−1−A1]共重合体ゴム(A)の製造方法の一の態様で説明したノニオン性乳化剤と同様のものを同様に用いることができる。
【0228】
第四の混合液を加熱する方法は、特に制限はなく、例えば、水蒸気などの方法を挙げることができる。
【0229】
第四の混合液の加熱条件は、40〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることが更に好ましい。
【0230】
本発明態様のゴム組成物の製造方法は、更に、第三のゴム組成物析出工程において、ゴム組成物を析出させた後、このゴム組成物を溶剤に溶解させて第三のゴム組成物溶解液を得、得られた第三のゴム組成物溶解液をメタノールと混合し、精製されたゴム組成物を析出させることが好ましい。
【0231】
ゴム組成物を溶解させる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトンなどの方法を挙げることができる。
【0232】
溶剤の使用量としては、第三のゴム組成物溶解液の固形分含量が、0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましい。上記固形分含量が0.5質量%未満であると、ゴムが析出し難くなるおそれがある。一方、50質量%超であると、アルコールと混合した際、溶剤を含んだゴム分がそのまま残るおそれがある。
【0233】
[9]ゴム組成物の製造方法:
本発明のゴム組成物の製造方法の別の実施形態は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(A)を含有する第四の高分子含有ラテックスを得る第四の高分子合成工程と、を有している。
【0234】
更に、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第四の低分子含有ラテックスを得る第四の低分子合成工程と、得られた第四の高分子含有ラテックス及び第四の低分子含有ラテックスを、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第四のゴム組成物ラテックスを得る第四の混合工程と、得られた第四のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる第四のゴム組成物析出工程と、を有するものである。
【0235】
このような製造方法によると、比誘電率と弾性率とのバランスが良好であるため、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好である、圧電アクチュエータに備えられる誘電エラストマー層を形成可能なゴム組成物を製造することができる。
【0236】
[9−1]第四の高分子合成工程:
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(A)を含有する第四の高分子含有ラテックスを得る工程である。
【0237】
第四の高分子合成工程は、[1−1−A2]共重合体ゴム(A)の製造方法の別の態様で説明した第二の高分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0238】
[9−2]第四の低分子合成工程:
第四の低分子合成工程は、10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第四の低分子含有ラテックスを得る工程である。
【0239】
第四の低分子合成工程は、[1−2−A2]共重合体ゴム(B)の製造方法の別の態様で説明した第二の低分子合成工程と同様の工程を採用することができる。
【0240】
[9−3]第四の混合工程:
第四の混合工程は、得られた第四の高分子含有ラテックス及び第四の低分子含有ラテックスを、共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第四のゴム組成物ラテックスを得る工程である。
【0241】
上記混合比率(質量比)は、50/50〜90/10であり、50/50〜90/10であることが好ましい。上記混合比率が10/90未満であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が柔らかくなりすぎるため、生産性が悪化する。一方、90/10超であると、得られるゴム組成物によって誘電エラストマー層を形成した際に、誘電エラストマー層が固くなりすぎるため、弾性率が増大してしまう。
【0242】
第四の高分子含有ラテックスと第四の低分子含有ラテックスとを混合する方法は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、撹拌機等の混練装置を用いる方法を挙げることができる。
【0243】
上記混合条件は、特に制限はなく、例えば、上記混練装置の温度を20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)の条件で所定時間混合する条件を採用することができる。
【0244】
「共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して」とは、第四のゴム組成物ラテックス中の共重合体ゴム(A)及び共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合することを意味する。
【0245】
[9−4]第四のゴム組成物析出工程:
第四のゴム組成物析出工程は、得られた第四のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる工程である。
【0246】
本工程で用いる凝固剤は、ゴム組成物を析出させることができるものであれば特に制限はないが、例えば、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。
【0247】
本実施態様のゴム組成物の製造方法は、更に、第四のゴム組成物析出工程において、ゴム組成物を析出させた後、このゴム組成物を溶剤に溶解させて第四のゴム組成物溶解液を得、得られた第四のゴム組成物溶解液をメタノールと混合し、精製されたゴム組成物を析出させることが好ましい。このようにゴム組成物を精製することによって、ゴム組成物中の金属の含有量(特に、アルカリ金属の含有量)を更に低減することができる。
【0248】
ゴム組成物を溶解させる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエンなどの方法を挙げることができる。
【0249】
溶剤の使用量としては、第四のゴム組成物溶解液の固形分含量が、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましい。上記固形分含量が0.1質量%未満であると、ゴムが析出し難くなるおそれがある。一方、50質量%超であると、アルコールと混合した際、溶剤を含んだゴム分がそのまま残るおそれがある。
【実施例】
【0250】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0251】
[重量平均分子量]:
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。測定装置として「HLC−8120(商品名)」(東ソー社製)、カラムとして「GMHHR−Hカラム(商品名)」(東ソー社製)、検出器として示差屈折率計を用い、温度40℃、溶媒をテトラヒドロフラン、流速を0.4ml/分として測定した。
【0252】
[不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の総量]:
不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の総量は、元素分析により測定した窒素含有量から算出した。
【0253】
[アルカリ金属の含有量]:
ICP発光分光分析装置(リガク社製の型番「CIROS120」)を用いてアルカリ金属の含有量(ppm)を測定した。
【0254】
[ムーニー粘度]:
JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。
【0255】
[比誘電率]:
まず、コーター若しくはプレスによってゴム組成物をシート状に形成してシート状の誘電体エラストマーを得た。次に、得られた誘電体エラストマーの両面に電極を配置して、比誘電率を測定した。
【0256】
[弾性率]:
上記[比誘電率]と同様にして得られた誘電体エラストマーを用いて、引張り試験機を用いて試験をすることによって伸びが100%のときの弾性率を測定した。
【0257】
[耐絶縁破壊性]:
上記[比誘電率]と同様にして得られた誘電体エラストマーを用いて、両面に電極を配置して電圧をかけることによって耐絶縁破壊性を評価した。
【0258】
(合成例1)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110、表1中、「N−1」と示す)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L、表1中、「N−2」と示す)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(I)を得た。
【0259】
その後、この重合体ラテックス(I)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(I))を得た。
【0260】
得られた共重合体(I)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が33万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位(不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位)の含有割合(表1中、「AN量」と示す)が41%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0261】
【表1】

【0262】
(合成例2)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン12部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(II)を得た。
【0263】
その後、この重合体ラテックス(II)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(II))を得た。
【0264】
得られた共重合体(II)は、重量平均分子量が2万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が21ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が22ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0265】
(合成例3)
乳化剤としてブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスNB、表1中、「N−3」と示す)4部を水200部に溶解した水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてパラメンタハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(III)を得た。
【0266】
その後、この重合体ラテックス(III)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、凝固剤として塩化カルシウム10部を溶解させた凝固剤水溶液を得、この凝固剤水溶液中に、重合体ラテックスを投入して析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(III))を得た。
【0267】
得られた共重合体(III)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が33万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が8ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が9ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0268】
(合成例4)
乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学社製、商品名:フォスファノール702、表1中、「N−4」と示す)4部を水200部に溶解した水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン12部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてパラメンタハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(IV)を得た。
【0269】
その後、この重合体ラテックス(IV)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、凝固剤として塩化カルシウム10部を溶解させた凝固剤水溶液を得、この凝固剤水溶液中に、重合体ラテックスを投入して析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(IV))を得た。
【0270】
得られた共重合体(IV)は、重量平均分子量が2万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が15ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が16ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0271】
(合成例5)
まず、合成例1と同様の方法で共重合体(IV)を得た。次に、得られた共重合体(IV)100質量部を、500質量部のメチルエチルケトンに溶解させて溶解液を得た。この溶解液100質量部にメタノール500質量部を添加して、精製した共重合体(IV)を得た。得られた、精製した共重合体(IV)をメタノールで洗浄し、40℃の真空乾燥機で乾燥させて共重合体(V)を得た。
【0272】
得られた共重合体(V)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が33万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0273】
(合成例6)
まず、合成例3と同様の方法で共重合体(III)を得た。得られた共重合体(III)100質量部を、500質量部のメチルエチルケトンに溶解させて溶解液を得た。この溶解液100質量部にメタノール500質量部を添加して、精製した共重合体(III)を得た。得られた、精製した共重合体(III)をメタノールで洗浄し、40℃の真空乾燥機で乾燥させて共重合体(VI)を得た。
【0274】
得られた共重合体(VI)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が2万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が7ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が8ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0275】
(合成例7)
乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ネオペレックスG−25、表1中、「N−5」と示す)4部を水200部に溶解した水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてパラメンタハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して、重合反応を停止させ、重合体ラテックス(VII)を得た。
【0276】
その後、この重合体ラテックス(VII)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、凝固剤として塩化カルシウム10部を溶解した凝固剤水溶液を得、この凝固剤水溶液中に、重合体ラテックスを投入して析出物を得た。得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(VII))を得た。
【0277】
得られた共重合体(VII)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が33万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が200ppmであり、カリウムの含有量が16ppmであり、アルカリ金属の含有量が216ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0278】
(合成例8)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110、表1中、「N−1」と示す)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L、表1中、「N−2」と示す)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン83部及びアクリロニトリル17部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(VIII)を得た。
【0279】
その後、この重合体ラテックス(VIII)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(VIII))を得た。
【0280】
得られた共重合体(VIII)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が33万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位(不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位)の含有割合(表1中、「AN量」と示す)が31%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。
【0281】
(合成例9)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン83部及びアクリロニトリル17部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン12部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率75%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(IX)を得た。
【0282】
その後、この重合体ラテックス(IX)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(IX))を得た。
【0283】
得られた共重合体(IX)は、重量平均分子量が2万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が31%であり、ナトリウムの含有量が21ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が22ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0284】
(合成例10)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110、表1中、「N−1」と示す)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L、表1中、「N−2」と示す)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン95部及びアクリロニトリル5部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率60%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(X)を得た。
【0285】
その後、この重合体ラテックス(X)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(X))を得た。
【0286】
得られた共重合体(X)は、ムーニー粘度が55ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が30万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位(不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位)の含有割合が10%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0287】
(合成例11)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン95部及びアクリロニトリル5部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン12部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率60%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(XI)を得た。
【0288】
その後、この重合体ラテックス(XI)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(XI))を得た。
【0289】
得られた共重合体(XI)は、重量平均分子量が2万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が10%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0290】
(合成例12)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン10部及びアクリロニトリル90部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン12部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率30%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(XII)を得た。
【0291】
その後、この重合体ラテックス(XII)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(XII))を得た。
【0292】
得られた共重合体(XII)は、重量平均分子量が2万であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が55%であり、ナトリウムの含有量が19ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が20ppmであった。評価結果を表1に示す。
【0293】
(合成例13)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110、表1中、「N−1」と示す)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L、表1中、「N−2」と示す)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン1部及びアクリロニトリル99部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率10%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(XIII)を得た。
【0294】
その後、この重合体ラテックス(XIII)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(XIII))を得た。
【0295】
得られた共重合体(XIII)は、ムーニー粘度を測定することはできず、溶媒に不溶のため重量平均分子量も測定することはできず、アクリロニトリルに由来する構造単位(不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位)の含有割合が90%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。
【0296】
(合成例14)
まず、乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L)1部を水200部に溶解した水溶液を得た。次に、得られた水溶液と、ブタジエン1部及びアクリロニトリル99部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン12部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.01部を加えた。その後、重合転化率10%まで乳化重合を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックス(XIV)を得た。
【0297】
その後、この重合体ラテックス(XIV)中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム状の共重合体(共重合体(XIV))を得た。
【0298】
得られた共重合体(XIV)は、溶媒に不溶のため重量平均分子量は測定することはできず、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が90%であり、ナトリウムの含有量が22ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が23ppmであった。
【0299】
(実施例1)
合成例8で得られた共重合体(VIII)70部をオープンロールミルに投入し、このオープンロールミルのロールに巻き付かせた後、合成例9で得られた共重合体(IX)30部を上記オープンロールミルに投入し、40℃で混練し、ジクミルパーオキサイドを0.1部添加して混練物を得た。この混練物を170℃で15分間プレス加硫して、0.1mmシートを作製した。
【0300】
上記ゴム組成物について上述した各評価を行った。
【0301】
本実施例のゴム組成物は、比誘電率が15であり、弾性率が0.15MPaであり、耐絶縁破壊性が3200V/100μmであった。
【0302】
(実施例2〜8、比較例1〜5)
表1に示す配合量(質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物(実施例2〜8、比較例1〜5)を調製した。調製したゴム組成物のそれぞれについて、実施例1と同様に[比誘電率]、[弾性率]、及び[耐絶縁破壊性]の各評価を行った。評価結果を表2,3に示す。
【0303】
【表2】

【0304】
【表3】

【0305】
(実施例9)
乳化剤としてポリオキシエチレンイソデシルエーテル(第一工業製薬社製、商品名:SD−110)10部、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスSS−L)1部を水200部に溶解した水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてパラメンタハイドロパーオキサイド0.01部を加え、重合を開始した。その後、重合反応溶液の重合転化率が40%に達した時点で、この重合反応溶液に、t−ドデシルメルカプタン10部を追加し、重合転化率が75%に達するまで引き続き重合反応を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックスを得た。
【0306】
その後、この重合体ラテックス中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解したことを確認した後、スチームを吹き込み、液温を90℃以上に昇温して、析出物を得た。その後、得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム組成物(XV)を得た。
【0307】
得られたゴム組成物(XV)は、ムーニー粘度が65ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が50,000以下の含有割合が20質量%であり、重量平均分子量が100,000以上の含有割合が50質量%であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。また、比誘電率が17であり、弾性率が0.25MPaであり、耐絶縁破壊性が3200V/100μmであった。評価結果を表4に示す。
【0308】
【表4】

【0309】
(実施例10)
乳化剤としてブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名:ペレックスNB)4部を水200部に溶解した水溶液と、ブタジエン54部及びアクリロニトリル46部からなる単量体成分と、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、レドックス触媒とをオートクレーブに仕込み、10℃に温度調節した後、重合開始剤としてパラメンタハイドロパーオキサイド0.01部を加え、重合を開始した。その後、重合反応溶液の重合転化率が40%に達した時点で、この重合反応溶液に、t−ドデシルメルカプタン10部を追加し、重合転化率が75%に達するまで引き続き重合反応を行った。次に、反応停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止させ、重合体ラテックスを得た。
【0310】
その後、この重合体ラテックス中にスチームを吹き込み、減圧下、液温50℃以下で未反応の単量体成分を除去した後、室温になるまで放冷した。次に、凝固剤として塩化カルシウム10部を溶解した凝固剤水溶液を得、得られた凝固剤水溶液中に重厚体ラテックスを投入して析出物を得た。得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させてゴム組成物(XVI)を得た。
【0311】
得られたゴム組成物(XVI)は、ムーニー粘度が65ML1+4(100℃)であり、重量平均分子量が50,000以下の含有割合が20質量%であり、重量平均分子量が100,000以上の含有割合が50質量%であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が8ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が9ppmであった。また、比誘電率が17であり、弾性率が0.25MPaであり、耐絶縁破壊性が3600V/100μmであった。
【0312】
(実施例11)
まず、合成例8で得られる重合体ラテックス(VIII)を固形分で70部、及び合成例9で得られる重合体ラテックス(IX)を固形分で30部を混合してゴム組成物ラテックス(I)を得た。得られたゴム組成物ラテックス(I)に、曇点降下剤として硫酸アンモニウム20部を加え、この硫酸アンモニウムが完全に溶解した溶解液を得た。その後、この溶解液にスチームを吹き込み、液温を90℃以上にすることによって、析出物を得た。得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させて、ゴム組成物(XVII)を得た。
【0313】
本実施例のゴム組成物(XVII)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が31%であり、ナトリウムの含有量が20ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が21ppmであった。比誘電率が15であり、弾性率が0.15MPaであり、耐絶縁破壊性が3200V/100μmであった。
【0314】
(実施例12)
まず、合成例3で得られる重合体ラテックス(III)を固形分で70部、及び合成例4で得られる重合体ラテックス(IV)を固形分で30部を混合してゴム組成物ラテックス(II)を得た。得られたゴム組成物ラテックス(II)に、凝固剤として塩化カルシウム10部を溶解した凝固剤水溶液を加え、析出物を得た。得られた析出物を水洗、脱水し、90℃に設定した送風乾燥機で乾燥させて、ゴム組成物(XVIII)を得た。
【0315】
本実施例のゴム組成物(XVIII)は、ムーニー粘度が60ML1+4(100℃)であり、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が41%であり、ナトリウムの含有量が9ppmであり、カリウムの含有量が1ppmであり、アルカリ金属の含有量が10ppmであった。比誘電率が17であり、弾性率が0.25MPaであり、耐絶縁破壊性が3700V/100μmであった。
【0316】
(実施例13)
ステンレス製のオートクレーブに、実施例9で得られたゴム組成物(XV)100部、水素化触媒としてRuHClCO(Ph0.5部、及び、クロロベンゼン5000部を仕込み、140℃、水素圧8MPaで3時間反応させて反応液を得た。得られた反応液をメタノールに投入し重合体を析出させた後、40℃で真空乾燥してゴム組成物(XIX)を得た。このゴム組成物(XIX)のH−NMR分析による水素添加率は99%であった。このゴム組成物(XIX)について各種評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0317】
【表5】

【0318】
実施例1〜13のゴム組成物は、比較例1〜5のゴム組成物に比べて、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好であることが確認できた。従って、圧電アクチュエータ用のゴム組成物として好適であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0319】
本発明のゴム組成物は、優れた伸縮率を有するとともに、耐絶縁破壊性が良好であるため、圧電アクチュエータ用のゴム組成物として好適である。
【0320】
本発明のゴム組成物の製造方法は、本発明の圧電アクチュエータ用のゴム組成物を製造する方法として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電アクチュエータ用のゴム組成物であって、
不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が100,000以上の共重合体ゴム(A)と、
不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位及び共役ジエン単量体に由来する構造単位を含有し、重量平均分子量が50,000以下の共重合体ゴム(B)と、を含み、
前記共重合体ゴム(A)と前記共重合体ゴム(B)との混合比率(前記共重合体ゴム(A)/前記共重合体ゴム(B))が、質量比で、50/50〜90/10であり、
前記共重合体ゴム(A)と前記共重合体ゴム(B)に含有される不飽和ニトリル単量体に由来する構造単位の総量が、前記共重合体ゴム(A)と前記共重合体ゴム(B)に含有される構造単位の総量に対して、20〜70質量%であり、
アルカリ金属の含有量が、100ppm以下であるゴム組成物。
【請求項2】
前記アルカリ金属の含有量が、80ppm以下である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第一の高分子合成工程と、
得られた前記第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第一の混合液を得、得られた前記第一の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(A)を析出させる第一の高分子析出工程と、
90質量%以下の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第一の低分子合成工程と、
得られた前記第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第二の混合液を得、得られた前記第二の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(B)を析出させる第一の低分子析出工程と、
得られた前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第一の混合工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の高分子含有ラテックスを得る第二の高分子合成工程と、
得られた前記第一の高分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第一の混合液を得、得られた前記第一の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(A)を析出させる第二の高分子析出工程と、
90質量%以下の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第一の低分子含有ラテックスを得る第二の低分子合成工程と、
得られた前記第一の低分子含有ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第二の混合液を得、得られた前記第二の混合液を加熱して前記共重合体ゴム(B)を析出させる第二の低分子析出工程と、
得られた前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第一の混合工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の高分子含有ラテックスを得る第二の高分子合成工程と、
得られた前記第二の高分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して前記共重合体ゴム(A)を析出させる第二の高分子析出工程と、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて第二の低分子含有ラテックスを得る第二の低分子合成工程と、
得られた前記第二の低分子含有ラテックスと凝固剤とを混合して前記共重合体ゴム(B)を析出させる第二の低分子析出工程と、
前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)を、50/50〜90/10の混合比率(質量比)で混合して、ゴム組成物を得る第二の混合工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【化1】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【請求項6】
前記共重合体ゴム(A)を析出させた後、前記共重合体ゴム(A)を溶剤に溶解させて高分子溶解液を得、得られた前記高分子溶解液をアルコールと混合し、精製された共重合体ゴム(A)を析出させる工程と、
前記共重合体ゴム(B)を析出させた後、前記共重合体ゴム(B)を溶剤に溶解させて低分子溶解液を得、得られた前記低分子溶解液をアルコールと混合し、精製された共重合体ゴム(B)を析出させる工程とを更に有する請求項3〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の二段重合用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第一の重合反応液を得る第一の重合工程と、
得られた前記第一の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、前記第一の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第一のゴム組成物ラテックスを得る第二の重合工程と、
得られた前記第一のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第三の混合液を得、得られた前記第三の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第一のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第一の二段重合用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第一の重合反応液を得る第一の重合工程と、
得られた前記第一の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、前記第一の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第一のゴム組成物ラテックスを得る第二の重合工程と、
得られた前記第一のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第三の混合液を得、得られた前記第三の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第一のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第二の二段重合用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有し、重合転化率が10〜90%の第二の重合反応液を得る第三の重合工程と、
得られた前記第二の重合反応液に、分子量調節剤を添加した後、前記第二の重合反応液の重合反応を引き続き行い、第二のゴム組成物ラテックスを得る第四の重合工程と、
得られた前記第二のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる第二のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【化2】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【請求項10】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有する第三の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、及び、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第三の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、
得られた前記第三の高分子含有ラテックス及び前記第三の低分子含有ラテックスを、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第三のゴム組成物ラテックスを得る第三の混合工程と、
得られた前記第三のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、ノニオン性乳化剤と、を混合して第四の混合液を得、得られた前記第四の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第三のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の高分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて、共重合体ゴム(A)を含有する第三の高分子含有ラテックスを得る第三の高分子合成工程と、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第三の低分子用単量体成分を、イオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を含有する乳化剤成分、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第三の低分子含有ラテックスを得る第三の低分子合成工程と、
得られた前記第三の高分子含有ラテックス及び前記第三の低分子含有ラテックスを、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第三のゴム組成物ラテックスを得る第三の混合工程と、
得られた前記第三のゴム組成物ラテックスと、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、酢酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種と、を混合して第四の混合液を得、得られた前記第四の混合液を加熱してゴム組成物を析出させる第三のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法であって、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の高分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(A)を含有する第四の高分子含有ラテックスを得る第四の高分子合成工程と、
10〜90質量%の不飽和ニトリル単量体及び10〜90質量%の共役ジエン単量体を含有する第四の低分子用単量体成分を、スルホン酸基を少なくとも1つ有し、SP値が10以上の乳化剤、下記一般式(1)の乳化剤、及び下記一般式(2)の乳化剤よりなる群から選択される少なくとも一種の乳化剤、並びに、分子量調節剤の存在下で、重合させて共重合体ゴム(B)を含有する第四の低分子含有ラテックスを得る第四の低分子合成工程と、
得られた前記第四の高分子含有ラテックス及び前記第四の低分子含有ラテックスを、前記共重合体ゴム(A)及び前記共重合体ゴム(B)の混合比率(質量比)が、50/50〜90/10となるように混合して、第四のゴム組成物ラテックスを得る第四の混合工程と、
得られた前記第四のゴム組成物ラテックスと凝固剤とを混合してゴム組成物を析出させる第四のゴム組成物析出工程と、を有するゴム組成物の製造方法。
【化3】

(但し、上記(1)及び(2)中、Rは、炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のアルキルフェノール基、炭素数8〜30のアルキルフェニル基、炭素数8〜30のアルケニル基であり、nは1〜50の整数であり、mは1〜50の整数である。)

【公開番号】特開2010−126576(P2010−126576A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300712(P2008−300712)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】