説明

ゴム組成物及び加硫ゴム

【課題】防振特性及び耐熱性のバランスに優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物及び防振材として好適に用いることができる加硫ゴムを提供する。
【解決手段】(A)極限粘度[η]が4.0dl/g以上であり、[η]/[η]blankで表される分岐指数(g)が0.70以上である、エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体及び(B)可塑化材料を含有するゴム組成物を提供する。
(但し、[η]は、デカリンを用いて測定温度135℃でJIS K7367−3に準拠して測定して求めた極限粘度であり、[η]blankは、その極限粘度[η]のエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体と同一重量平均分子量(GPC法による)を有し、且つエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそのゴム組成物を加硫した加硫ゴムに関し、特に、加硫することにより強度、防振特性のバランスに優れた加硫ゴムとなるゴム組成物及びその加硫ゴムに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合ゴムやエチレン・α−オレフィン共重合ゴムは、自動車用ゴム材料、建材用ゴム材料、ゴムベルト・ゴムローラー材、防振用ゴム材、熱可塑性エラストマー改質材、チューブ、ホース、一般ゴム製品などの幅広い用途に用いられている。
【0003】
一方、自動車用に用いられる防振ゴムとして、改良されたエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムの加硫物が種々提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
例えば、特許文献1には、ロール加工性に優れ、且つ加硫後には耐疲労性が良好であるゴム組成物を提供することを目的として、70℃のキシレン中で測定した極限粘度〔η〕が3dl/g以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体からなる高分子量共重合体と、70℃のキシレン中で測定した極限粘度〔η〕が0.7〜1dl/gであるエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体からなる低分子量共重合体とを含有し、バイモーダルな分子量分布を有するゴム組成物が開示されている。
【0005】
特許文献2には、優れた耐熱老化性を有し、且つ耐動的疲労性と耐へたり性が共に有利に高められ得る耐熱防振ゴム用ゴム組成物を提供することを目的とし、ポリマー分子量が20万以上、ポリマー粘度(ML1+4:121℃)が120以上のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を用い、パーオキサイド並びにコエージェント(架橋助剤)を配合した耐熱防振ゴム用ゴム組成物が開示されている。
【0006】
特許文献3には、耐久性及び耐動的疲労性が改良された加硫ゴムを提供することを目的として、70℃のキシレン中で測定した極限粘度〔η〕が3dl/g以上のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに、二重結合の70%以上を水素添加した液状ジエン系ポリマーを含有する加硫ゴムが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−173336号公報
【特許文献2】特開平7−268147号公報
【特許文献3】実開平7−292177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、防振特性及び耐熱性のバランスに優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物及びその加硫ゴム、特に防振材として好適に用いることができる加硫ゴムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的に対応すべく研究を行った結果、分子量が高く、且つ分岐の少ないエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、強度、伸びなどのゴムとして求められる特性と防振特性のバランスに優れた加硫ゴムとすることができることを見出した。本発明は、この知見に基づくものであり、以下のゴム組成物及び加硫ゴムを提供するものである。
【0010】
[1] (A)極限粘度[η]が4.0dl/g以上であり、[η]/[η]blankで表される分岐指数(g)が0.70以上である、エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体;及び
(B)可塑化材料
を含有するゴム組成物。
(但し、[η]は、デカリンを用いて測定温度135℃でJIS K7367−3に準拠して測定して求めた極限粘度であり、[η]blankは、その極限粘度[η]のエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と同一重量平均分子量(標準ポリスチレンを用いたGPC法により求めた)を有し、且つエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度である。)
【0011】
[2] 前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の合計100質量部に対して、(B)可塑化材料を10〜80質量部含有する上記[1]に記載のゴム組成物。
【0012】
[3] 前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、そのGPCクロマトグラムにおいて、分子量1×105未満の低分子量領域の面積割合が4%以下となる共重合体である上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
【0013】
[4] 前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の合計100質量部に対して、(C)フィラーを1〜100質量部含有する上記[1]〜[3]の何れかに記載のゴム組成物。
【0014】
[5] 前記(C)フィラーが、シリカ、カーボンブラック、ガラスファイバー、マイカ、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、クレー、硫酸バリウム、ガラスフレーク及びフッ素樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[4]に記載のゴム組成物。
【0015】
[6] (D)加硫剤により、上記[1]〜[5]の何れかに記載のゴム組成物が加硫された加硫ゴム。
【0016】
[7] 静動比が1.0〜1.4である上記[6]に記載の加硫ゴム。
(但し、静動比は、JIS K6394に準拠し、ブロック状の試験片を用い、温度25℃の条件で、70Hz,1%の動的歪及び0.1Hz,10%の動的歪での動的弾性率を各々測定し、以下の式により算出する値である。)
静動比=(70Hz,1%での動的弾性率)/(0.1Hz,10%での動的弾性率)
【0017】
[8] 上記[6]又は[7]に記載の防振用加硫ゴム。
【発明の効果】
【0018】
本発明のゴム組成物は、加硫後の防振特性に優れ、防振材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のゴム組成物、これを加硫した加硫ゴムについて具体例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0020】
[ゴム組成物]
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体:
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(以下、「(A)成分」ともいう)は、極限粘度[η]が4.0dl/g以上であり、[η]/[η]blankで表される分岐指数(g)が0.70以上である。
【0021】
本発明における極限粘度[η]は、デカリンを用いて測定温度135℃でJIS K7367−3に準拠して測定して求めた極限粘度である。本発明における分岐指数(g)は[η]/[η]blankで表される値であり、[η]は、上述した極限粘度である。[η]blankは、[η]を測定したエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体と同一重量平均分子量(GPC法による標準ポリスチレン換算分子量)を有し、且つエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度である。なお、GPC測定法は、温度135℃、O−ジクロルベンゼン溶媒、流速1ml/min、という条件で測定して求めた値である。
【0022】
極限粘度[η]は、通常分子量に対応して大きくなるが、同じ分子量の重合体を比較すると直鎖状の重合体が最も大きい[η]を示し、重合体が分岐しているほど[η]が小さくなる。従って、同一重量平均分子量の直鎖状の共重合体の極限粘度[η]blankに対する[η]の比([η]/[η]blank)は、最大で1であり、分岐度0、即ち直鎖状の共重合体であることを示し、この比([η]/[η]blank)が小さいほど、共重合体の分岐度が大きいことを示す。
【0023】
(A)成分は、[η]が4.0dl/g以上であり、且つ分岐指数(g)が0.70以上、即ち、分子量が高く、且つ分岐が少ないことにより、(A)成分を含むゴム組成物を架橋すると耐熱性及び防振特性のバランスに優れた架橋ゴムとすることができる。
【0024】
(A)成分の[η]は、強度及び静動比改良という観点から、4.0dl/g以上である。4.5dl/g以上であることがより好ましく、更に好ましくは5.0dl/g以上である。一方、(A)成分の[η]が大きすぎる、即ち、分子量が高すぎると共重合体の製造や加工が困難となる。従って、(A)成分の[η]は、11dl/g以下であることが好ましく、10dl/g以下であることが更に好ましい。
【0025】
(A)成分の分岐指数(g)は、静動比改良という観点から、0.70以上である。より好ましくは、0.75以上であり、更に好ましくは0.80以上である。なお、(A)成分の分岐指数(g)の上限は、上述のように1である。
【0026】
(A)成分の低分子量成分は極めて少ないことが好ましく、(A)成分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量1×105未満の低分子量領域の(A)成分全体に対する面積割合は4%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下である。即ち、GPC測定により得られる(A)成分の分子量分布を示すクロマトグラムにおいて、(A)成分全体の分子量分布曲線の積分値(クロマトグラム上の(A)成分全体のピーク面積に相当)に対する分子量1×105未満の部分(低分子量領域)の積分値(クロマトグラム上の分子量1×105未満の部分の面積に相当)の割合が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。この低分子量領域の割合が5%を超えると、即ち低分子量成分が多くなりすぎると静動比が大きくなり、防振特性が悪化する。
【0027】
(A)成分として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンは、炭素数3〜20のα−オレフィンであることが好ましい。好ましいα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、この中でもプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。これらのα−オレフィンは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。エチレン成分含量は、全単量体成分中に、50〜80質量%であることが好ましく、更に好ましくは54〜75質量%である。エチレン成分含量が上記範囲内にあることにより、良好な防振性を示す。エチレン成分含量が80質量%を超えると、温度依存性が悪化し、一方、50質量%未満であると、強度及び耐熱性の悪化、共重合ゴムの生産性の低下、コストアップなどの不具合が生じ好ましくない。
【0028】
(A)成分として用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体におけるα−オレフィンとしては、上述のエチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンと同様のものが挙げられ、同様のものが好ましい。エチレン成分含量は、全単量体成分中に、50〜80質量%であることが好ましく、特に好ましくは54〜75質量%である。エチレン成分含量が上記範囲内にあることにより、加硫ゴムのゴム的性質及び低温特性が適切なものとなる。エチレン成分含量が80質量%を超えると、加硫ゴムの低温における圧縮永久歪が悪化し、一方、50質量%未満であると、共重合ゴムの生産性の低下、コストアップなどの不具合が生じ好ましくない。
【0029】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体における非共役ポリエンとしては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエンなどの環状ポリエン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−エチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエンなどの炭素数が6〜15の内部不飽和結合を有する鎖状ポリエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエンなどのα,ω−ジエンが挙げられる。この中でも5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンが好ましく、特に5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。これら非共役ポリエンは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
非共役ポリエンは、共重合体のヨウ素価が0〜40、特に0〜30の範囲となるように共重合体中に含まれることが好ましい。このヨウ素価は、非共役ポリエン成分の含有量の目安であり、ヨウ素価が40を超えると、混練りの際、ゲル化を起こしやすくなり、押出しなどの成形工程でブツ発生などのトラブルが発生しやすくなる。
【0031】
(A)成分の重量平均分子量は、通常、80万〜300万、好ましくは100万〜200万、数平均分子量は、通常、30万〜120万、好ましくは40万〜100万であり、分子量分布を示すQ値(Mw/Mn)は、通常、1.7〜3.5、好ましくは1.7〜3.0である。
【0032】
(A)成分は、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの適宜の方法により製造することができる。これらの重合操作は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。上記溶液重合法あるいはスラリー重合法においては、反応媒体として、通常、不活性炭化水素が使用される。このような不活性炭化水素溶媒としては、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの炭化水素溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いることもできる。また、原料モノマーを炭化水素溶媒として利用することもできる。
【0033】
(A)成分を製造する際に用いられる重合触媒としては、例えばV、Ti、Zr及びHfから選ばれる遷移金属の化合物と有機金属化合物とからなるオレフィン重合触媒を挙げることができる。上記遷移金属の化合物及び有機金属化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。このようなオレフィン重合触媒の特に好ましい例としては、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物又は該メタロセン化合物と反応してイオン性錯体を形成するイオン性化合物とからなるメタロセン系触媒、又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチーグラー・ナッタ系触媒を挙げることができる。なお、(A)成分の製造の際に、分子量調整剤として、水素ガスが用いられることがある。水素ガスの使用量は、触媒種、触媒量、重合温度、重合圧力などの重合条件、及び重合スケール、撹拌状態、チャージ方法などの重合プロセスによっても異なるが、例えばチーグラー・ナッタ系触媒を用いた溶液重合では、全単量体成分に対し、通常、0.01〜20ppm、好ましくは0.1〜10ppmである。
【0034】
(B)可塑化材料:
本発明のゴム組成物は、(B)可塑化材料(以下、「(B)成分」ともいう)を含有する。可塑化材料を含有することにより、加工性が向上する。可塑化材料としては、伸展油、液状ポリマー、軟化剤等が挙げられる。軟化剤としてはプロセスオイル、潤滑油、パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の樹脂油系軟化材、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、バルチミン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などが挙げられる。
【0035】
伸展油として、鉱物油としてはアロマティック系伸展油、ナフテン系伸展油、パラフィン系伸展油が挙げられる。また、合成油としてはアルキルベンゼン系オイルが挙げられる。
【0036】
アロマティック系伸展油としては、出光興産社製の、ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58、エクソンモービル社製の、モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石社製の、共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学社製の、レゾックスNo.3、デュートレックス729UK、新日本石油社〔旧日本石油社〕製の、コウモレックス200,300,500,700、エクソンモービル社製の、エッソプロセスオイル110,同120、新日本石油社〔旧三菱石油社〕製の、三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
【0037】
ナフテン系伸展油としては、出光興産社製の、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エクソンモービル社製のナプレックス38、富士興産社製の、フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石社製の、共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学社製の、シェルフレックス371JY,同371N,同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、新日本石油社〔旧日本石油社〕製のコウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル社製の、エッソプロセスオイルL−2,同765、新日本石油社〔旧三菱石油社〕製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
【0038】
パラフィン系伸展油としては、出光興産社製の、ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産社製の、フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P400,P−500、日鉱共石社製の、共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学社製の、ルブレックス26,同100,同460、エクソンモービル社製の、エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エクソンモービル社製のナプレックス32、新日本石油社〔旧三菱石油社〕製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
【0039】
アルキルベンゼン系オイルはプロピレンのテトラマーとベンゼンとの反応、又はn−パラフィンの脱水素化反応により得られるn−オレフィンとベンゼンとの反応によって製造される炭化水素系オイルであり、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、ジフェニルアルカン等のアルキルベンゼン類を含有する合成オイルである。
【0040】
液状ポリマーは、常温で液状のポリマーであり、ポリブテン、液状ポリブタジエン及びその水添物、液状EBM、液状EPM、液状EPDM等が挙げられる。この中でもポリブテンが好ましい。
【0041】
(B)可塑化材料は2種類以上を複合して使用してもよく、その総配合量は、(A)成分100質量部に対して10〜80質量部であることが好ましく、10〜60質量部であることが更に好ましく、10〜50質量部であることが特に好ましい。可塑化材料の配合量が10質量部未満では、可塑化材料の添加による加工性改良効果が十分に得られず、80質量部を超えると強度低下となる。
【0042】
(C)フィラー:
本発明のゴム組成物は、(C)フィラー(以下、「(C)成分」ともいう)を含有することが好ましい。フィラーを含有することにより、強度が向上する。好ましいフィラーとしては、シリカ、カーボンブラック、ガラスファイバー、ガラス粉末、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、クレー、硫酸バリウム、ガラスフレーク及びフッ素樹脂などを挙げることができ、この中でもシリカ、カーボンブラック、ガラスファイバー、マイカ、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、クレー、硫酸バリウム、ガラスフレーク及びフッ素樹脂が好ましい。更にシリカ及びカーボンブラックが好ましく、特にシリカを含むことが好ましく、シリカとカーボンブラックとの両者を含むことがより好ましい。シリカは、静動比の点から好ましく、カーボンブラックは、ゴム組成物及び加硫ゴムの強度の点から好ましい。シリカには湿式法ホワイトカーボン、乾式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ等の種類があり、何れも使用できるが、なかでも含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。カーボンブラックには、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられる。いずれも使用することができるが、なかでもファーネスブラックが好ましく、具体例としてはSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、MTなどが好ましい。
【0043】
(C)フィラーの配合量は用途によって異なるが、(A)成分100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることが更に好ましく、10〜60質量部であることが特に好ましい。フィラーの配合量が1質量部未満では、フィラーの添加による強度向上の効果が十分に得られず、100質量部を超えるとゴム組成物の粘度が上がり過ぎ、混練り、成形加工が困難となる。
【0044】
(D)加硫剤:
本発明のゴム組成物は、(D)加硫剤(以下、「(D)成分」ともいう)を配合して加硫することにより加硫ゴムとすることにより、耐熱性、防振特性のバランスに優れた加硫ゴムとすることができる。
【0045】
加硫剤としては、有機化酸化物系加硫剤及びイオウ系加硫剤を挙げることができ、これらの少なくとも1種を含むことが好ましく、両者を含むことが更に好ましい。有機過酸化物系加硫剤としては、ジクミルペルオキシド、2、5−ジメチル−2、5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、第三ブチルヒドロペルオキシドなどを挙げることができ、この中でもジクミルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましい。イオウ系加硫剤としては、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどを挙げることができ、この中でもイオウが好ましい。
【0046】
イオウ系加硫剤は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜6質量部の割合で使用される。また、有機過酸化物系加硫剤は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.1〜15質量部、好ましくは0.2〜10質量部の割合で使用される。また、イオウ系加硫剤を使用するときは、必要に応じて、加硫促進剤、加硫助剤が併用される。
【0047】
加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル−ジスルフィド;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン、オルソトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア;2−メルカプトイミダゾリン;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などを挙げることができる。これら加硫促進剤は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の割合で使用される。
【0048】
加硫助剤としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物を挙げることができるが、酸化亜鉛の使用が好ましい。これらの加硫助剤は、(A)成分100質量部に対して、通常、1〜20質量部、好ましくは3〜10質量部使用される。
【0049】
また、有機過酸化物系加硫剤による加硫に際しては、イオウ、p−キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼンなどを架橋助剤として使用してもよい。この架橋助剤は、(A)成分100質量部に対し、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部使用される。
【0050】
発泡体を製造するときは、発泡剤が配合される。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、N,N′−ジメチルN,N′−ジニトロンテレフタルアミド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノネンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、P,P′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド、カルシウムアジド、4,4′−ジフェニルジスルホニルアジドバラトルエンマルホニルアジドを挙げることができる。発泡剤は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜30質量部、好ましくは1〜15質量部の割合で配合される。また、必要に応じて、発泡剤と併用して、発泡助剤を使用しても差し支えない。
【0051】
また、ゴム成分として、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、本発明の(A)成分と共に他の種類のゴムを併用しても差し支えない。併用する好ましいゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、又はこれらの水添物、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等が挙げられる。
【0052】
(A)〜(D)成分及びその他の添加剤は、従来から公知の混練機を用いてこれらの成分を混練することによりゴム組成物を調製することができる。即ち、上記の配合成分を、オープンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用い混練してゴム組成物とすることができる。この場合、溶融混練温度は、通常、30〜200℃、好ましくは60〜180℃である。なお、(B)成分である可塑化材料の添加方法としては、(A)成分の重合溶液に可塑化材料を添加し、溶液状態で混合する方法でもよい。この方法は、操作上、(A)成分と(B)成分とを混合する過程を省略することができ、両者の混合均一性に優れる点から好ましい。
【0053】
その後、ゴム組成物を押出機や金型により所望の形状に成形後、高周波加熱装置、エアーオーブン、PCM、LCMなどの加熱装置により、加硫して加硫ゴム製品を得ることができる。また、それ自体公知の加硫装置を用いて、金型内で、成形、加硫させる方法で加硫ゴム製品を製造してもよい。加硫ゴム製品の製造は、加硫方法、配合、用途により大幅に異なるが、例えばプレス加硫の場合、加硫条件としては、加熱温度は好ましくは140〜200℃、加熱時間が1〜60分程度である。
【0054】
このようにして得られる加硫ゴムは、静動比が1.0〜1.4であることが好ましく、1.0〜1.3であることが更に好ましい。静動比は、JIS K6394に準拠し、ブロック状の試験片を用い、温度25℃の条件で、70Hz,1%の動的歪及び0.1Hz,10%の動的歪での動的弾性率を各々測定し、以下の式により算出する値である。
静動比=(70Hz,1%での動的弾性率)/(0.1Hz,10%での動的弾性率)
【0055】
静動比は、1に近いほど防振特性に優れていることを示し、本発明のゴム組成物を加硫することにより上記好ましい範囲の静動比を示す加硫ゴムを容易に得ることができる。
【0056】
以上のゴム組成物及びこのゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムは、一般的なゴム用途は当然のことながら、防振特性に優れるとともに十分な耐久性を有することから、防振材として好適に用いることができ、特にエンジンマウント用防振ゴムのように高温雰囲気となる環境における防振材として好適に使用することができる。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例では非共役ポリエンとして5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を用いた。また、実施例中、部及び%は特に断らない限り質量基準である。
【0058】
(A)成分の特性値は以下の様にして求めた。
(極限粘度[η])
JIS K7367−3に準拠して、デカリン(デカヒドロナフタリン)を溶媒として用い、測定温度135℃で、ウベローデ形粘度計No.0Bにより溶液粘度を測定し、極限粘度を求めた。
(分岐指数(g))
下記式により算出した。
分岐指数(g)=[η]/[η]blank
(但し、[η]blankは、用いた(A)成分と同一重量平均分子量(標準ポリスチレンを用いたGPC法により求めた)を有し、且つエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度である)
(エチレン含量及びENB含量)
赤外吸収スペクトル法により質量%として求めた。
(Mn、Mw及びQ値)
以下の条件でGPC測定を行い。数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びQ値(Mw/Mn)を求めた。なお、検量線は東ソー社製の標準ポリスチレンを使用し、常法により作成した。測定データの処理はポリマーラボラトリー社製の「CIRRUS」を使用して行った。
GPC測定装置:ポリマーラボラトリー社製PL−GPC220形
カラム:ポリマーラボラトリー社製PLgel 10μm MiXED−B 3本を接続
サンプル量:500μl(ポリマー濃度1.0mg/ml)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:O−ジクロルベンゼン
(分子量1×105未満の面積割合)
上記のGPC測定条件にて測定した(A)成分の標準ポリスチレン換算GPCクロマトグラムから分子量1×105未満の低分子量成分の面積割合をポリマーラボラトリー社製の「CIRRUS」を使用して算出した。
【0059】
(使用原料)
(B)成分
オイルPW90:出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスPW90」
(C)成分
シリカ:日本シリカ社製、商品名「ER」
SRFカーボン:東海カーボン社製、商品名「シーストS」
(D)成分
ジクミルペルオキシド:日本油脂社製、商品名「パークミルD−40」、純度40%
イオウ:鶴見化学工業社製、商品名「イオウ」
(その他の添加剤)
酸化亜鉛:白水化学工業社製、商品名「酸化亜鉛2種」
カップリング剤:東芝シリコーン社製、商品名「TSL8370」
ステアリン酸:花王社製 商品名「ルナックS30」
【0060】
(実施例1)
(A)成分として、極限粘度[η]が5.7dl/g、エチレン含量が68%、ENB含量が4.6%、Q値が2.1、Mnが638000、Mwが1330000、分岐指数(g)が0.84であるエチレン・α−オレフィン・ENB共重合体を用い、この共重合体のヘキサン溶液中に(B)成分(可塑化材料)としてオイルPW90を共重合体100部に対し40部添加して、撹拌し、スチームストリッピングにより組成物を得た。その後、乾燥してゴム組成物(I)を得た。
【0061】
得られたゴム組成物(I)140部((A)成分100部)、シリカ30部、SRFカーボン5部、酸化亜鉛5部、カップリング剤3部、及びステアリン酸0.5部を、容量250CCのプラストミルを用いて150℃で5分間混練してゴム組成物(II)を得た。得られたゴム組成物(II)183.5部((A)成分100部)、ジクミルペルオキシド5部及びイオウ0.2部を、6インチのオープンロールで混練りし、ゴム組成物(III)を得た。
【0062】
(実施例2〜4及び比較例1、2)
(A)成分として、表1に示す特性のエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・α−オレフィン・ENB共重合体を用い、オイルPW90を表1に示す量添加した以外は実施例1と同様にしてゴム組成物(I)を得、表1に示す量の各成分を加えた以外は実施例1と同様にしてゴム組成物(II)を得、実施例1と同様にしてゴム組成物(III)を得た。
【0063】
(性能評価)
表1に示す各ゴム組成物(III)を170℃のプレス成型機により、プレス圧150kgf/cm2の圧力下で20分間加熱して、厚さ2mmの試験片(加硫ゴムのシート)を作製した。また、以下の粘弾性試験に用いた試験片(加硫ゴムのサンプル)は、各ゴム組成物(III)を20分間加熱することにより作製した。得られた試験片を用いて以下に記載の方法により性能評価を行った。その結果を表1の加硫ゴムの特性の項に示す。
【0064】
引張り試験:
JIS K6251に準拠し、加硫ゴムのシートから得た3号型試験片を用い、測定温度23℃、引張り速度500mm/minの条件で、引張り強さTB及び破断伸びEBを測定した(常態物性)。また、生ゴム強度は生ゴムのプレスシートから同様に試験片を採り、同条件にて測定した。
硬さ試験:
JIS K6253に準拠し、加硫ゴムのシートから得た試験片のスプリング硬さ(デュローメーターA硬度)を測定した。
粘弾性(ARESS)試験:
JIS K6394に準拠し、加硫ゴムのサンプルから得たブロック状の試験片を用い、レオメトリック社製「ARESS」により、温度25℃の条件で、70Hz,1%の動的歪及び0.1Hz,10%の動的歪での動的弾性率を各々測定した。そして、以下の式により、静動比を算出した。
静動比=(70Hz,1%での動的弾性率)/(0.1Hz,10%での動的弾性率)
圧縮永久歪:
JIS K6262に準拠し、120℃×70時間の条件で測定した。
【0065】
【表1】

【0066】
表1より実施例1〜4で得られた本発明の加硫ゴムは、比較例1〜2で得られた加硫ゴムと比べていずれも、常温の引張り強度及び伸びに優れていることがわかる。更に、実施例1〜4で得られた加硫ゴムは比較例1〜2で得られた加硫ゴムに比べ静動比特性、圧縮永久歪の特性においても好適な範囲にあり、強度、防振特性のバランスに極めて優れたゴム組成物であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のゴム組成物から形成される加硫ゴムは、強度、圧縮永久歪に優れることから一般的なゴム用途に好適に用いることができ、更に、防振特性に優れる特性を有することから、エンジンマウント用防振ゴムのような防振材として、好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)極限粘度[η]が4.0dl/g以上であり、[η]/[η]blankで表される分岐指数(g)が0.70以上である、エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体;及び
(B)可塑化材料
を含有するゴム組成物。
(但し、[η]は、デカリンを用いて測定温度135℃でJIS K7367−3に準拠して測定して求めた極限粘度であり、[η]blankは、その極限粘度[η]のエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と同一重量平均分子量(標準ポリスチレンを用いたGPC法により求めた)を有し、且つエチレン含量が70モル%の直鎖エチレン・プロピレン共重合体の極限粘度である。)
【請求項2】
前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の合計100質量部に対して、(B)可塑化材料を10〜80質量部含有する請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、そのGPCクロマトグラムにおいて、分子量1×105未満の低分子量領域の面積割合が4%以下となる共重合体である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の合計100質量部に対して、(C)フィラーを1〜100質量部含有する請求項1〜3の何れかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記(C)フィラーが、シリカ、カーボンブラック、ガラスファイバー、マイカ、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、クレー、硫酸バリウム、ガラスフレーク及びフッ素樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載のゴム組成物。
【請求項6】
(D)加硫剤により、請求項1〜5の何れかに記載のゴム組成物が加硫された加硫ゴム。
【請求項7】
静動比が1.0〜1.4である請求項6に記載の加硫ゴム。
(但し、静動比は、JIS K6394に準拠し、ブロック状の試験片を用い、温度25℃の条件で、70Hz,1%の動的歪及び0.1Hz,10%の動的歪での動的弾性率を各々測定し、以下の式により算出する値である。)
静動比=(70Hz,1%での動的弾性率)/(0.1Hz,10%での動的弾性率)
【請求項8】
請求項6又は7に記載の防振用加硫ゴム。

【公開番号】特開2007−99942(P2007−99942A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292603(P2005−292603)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】