説明

ゴム組成物

【課題】耐熱性に優れたゴム製品の製造に用いられるゴム組成物の提供。
【解決手段】有機過酸化物による架橋が可能なゴムと、有機過酸化物と、水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物とを含有し、
前記有機過酸化物の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.5〜15質量部であり、前記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.4〜15質量部であるゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤ、ベルト、型物、ロール、ホース等の多くのゴム製品には、高温加圧下で長時間の使用を可能とすべく、種々の物性(耐熱性、耐油性、高モジュラス性等)が要求されてきている。
中でも、自動車用パワーステアリングホースなどのホースは、エンジンルームのコンパクト化、エンジンの高出力化等によるエンジンルームの高温化により、より高いレベルの耐熱性が要求されてきている。
【0003】
このような高温(140〜150℃程度)環境下で連続使用に耐え得るゴム製品のゴム材料としては、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等が知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【0004】
しかしながら、このようなゴム材料を用いた場合であっても、得られるゴム製品の耐熱性は、その製品によっては十分でない場合があり、更なる耐熱性の向上が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開2000−212333号公報
【特許文献2】特開2003−96241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、耐熱性に優れたゴム製品の製造に用いられるゴム組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有機過酸化物による架橋が可能なゴム(以下、単に「有機過酸化物架橋ゴム」ともいう。)に対し、有機過酸化物ならびに特定量の水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物を含有させたゴム組成物が、耐熱性に優れたゴム製品となることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1)有機過酸化物による架橋が可能なゴムと、有機過酸化物と、水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物とを含有し、
上記有機過酸化物の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.5〜15質量部であり、上記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.4〜15質量部であるゴム組成物。
(2)上記有機過酸化物架橋ゴムが、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)およびエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)からなる群から選択される少なくとも1種のゴムである上記(1)に記載のゴム組成物。
(3)上記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物を添加してなる上記(1)または(2)に記載のゴム組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接する補強層とを有するホース。
【発明の効果】
【0009】
以下に説明するように、本発明によれば、耐熱性に優れたゴム製品の製造に用いられるゴム組成物を提供することができる。
特に、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)を用いた場合は、本発明のゴム組成物は、架橋後の組成物のモジュラスが高く、また、低永久歪みとなることから、ホースのゴム材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、有機過酸化物による架橋が可能なゴムと、有機過酸化物と、水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物とを含有し、
上記有機過酸化物の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.5〜15質量部であり、上記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.4〜15質量部であるゴム組成物である。
次に、有機過酸化物架橋ゴム、有機過酸化物、ならびに水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物について詳述する。
【0011】
<有機過酸化物架橋ゴム>
本発明のゴム組成物に用いられる有機過酸化物架橋ゴムは、有機過酸化物による架橋が可能なゴムのことをいう。
ここで、有機過酸化物は、ゴム架橋に一般に用いられるものであれば特に限定されないが、ゴム組成物中において加工時の温度で架橋反応が極度に進行しない有機過酸化物であるのが好ましく、分解温度(半減期が10時間になる温度)が80℃以上である有機過酸化物であるのがより好ましい。
有機過酸化物としては、具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、4,4´−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレリック酸n−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0012】
このような有機過酸化物による架橋が可能なゴムとしては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ポリブタジエンゴム(BR)(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状1,2−ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合ゴム、液状ポリクロロプレンなどのジエン系ゴム;水素化スチレン−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム(EVM)、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体の臭素化物(BIMS)、ヒドリンゴム(ECO)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム(例えば、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴム(例えば、ポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えば、ビニリデンフルオロライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)などの非ジエン系ゴム;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
本発明においては、上記で例示した有機過酸化物架橋ゴムのうち、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)およびエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)からなる群から選択される少なくとも1種のゴムであるのが好ましく、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)または塩素化ポリエチレン(CM)もしくはクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)を用いるのがより好ましい。
【0014】
<有機過酸化物>
本発明のゴム組成物に用いられる有機過酸化物は、従来公知のものを用いることができ、具体的には、上記で例示したものを用いることができる。
【0015】
本発明においては、上記有機過酸化物の含有量は、有機過酸化物の活性酸素量にもよるため特に限定されないが、上記有機過酸化物架橋ゴム100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、1〜15質量部であるのが好ましい。含有量がこの範囲であると、得られる本発明のゴム組成物の架橋密度が適当になり、引張応力および切断時伸びも良好となる。
【0016】
<水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物>
本発明のゴム組成物に用いられる分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの水酸基を1個有するもの(1価アルコール);エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの水酸基を2個有する脂肪族グリコール(2価アルコール);1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの水酸基を2個有する脂環式ジオール(2価アルコール);キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの水酸基を2個有する芳香環含有ジオール(2価アルコール);グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオールなどの水酸基を3個有するもの(3価アルコール);等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明においては、分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物における水酸基には、カルボニル基に水酸基が結合したカルボキシ基中の水酸基は含まれない。
【0018】
また、本発明においては、このような分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物として、分子量が100以下の化合物を用いるのが好ましく、また、水酸基が2個の化合物を用いるのが好ましい。分子量が100以下であるとゴム組成物における分散性が良好となり、水酸基が2個であると架橋効率が向上する。
具体的には、上記で例示したもののうち、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンであるのが、得られる本発明のゴム組成物の混合、押出し等の製造工程において、加工操作が容易になるため好ましい。
【0019】
本発明においては、このような水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物を含有することにより、得られる本発明のゴム組成物の架橋後の物性、特に、耐熱老化後の切断時伸びの変化率が低くなるため、耐熱性に優れる。耐熱性が良好となる理由は明らかではないが、水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物が、有機過酸化物による架橋反応(ラジカル反応)を促進させ、架橋効率を向上させているためと考えられる。
特に、上記有機過酸化物架橋ゴムとして、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)を用いた場合は、得られる本発明のゴム組成物の架橋後の耐熱性が良好となる以外に、モジュラスも高く、また、低永久歪みとなる。
【0020】
また、本発明においては、上記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物の含有量は、上記有機過酸化物架橋ゴム100質量部に対して、0.4〜15質量部であり、上述した耐熱性がより良好となる観点から、0.5〜10質量部であるのが好ましい。
なお、上記含有量は、水および分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物を併用する場合は、これらの合計の含有量をいう。
また、上記含有量には、フィラー(例えば、シリカ)に吸着した水分や空気中の水分によるものも含まれるが、本発明においては、上記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物を添加してなるのが好ましい。
【0021】
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、軟化剤、架橋助剤、接着助剤、加工助剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0022】
充填剤としては、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。
補強剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、フタル酸エステル、ジアリルフタレート、アジピン酸エステル、脂肪酸エステル、トリメリット酸エステルなどの合成可塑剤;液状ゴム;等が挙げられる。
【0023】
老化防止剤は、耐熱性老化防止剤、耐候性老化防止剤等でゴム組成物に通常使用されるものであれば特に限定されないが、その具体例としては、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、スチレン化フェノール(SP)等が挙げられる。
【0024】
軟化剤としては、具体的には、例えば、プロセスオイル、植物油等が挙げられる。
架橋助剤としては、具体的には、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製)等が挙げられる。
接着助剤としては、具体的には、例えば、ゴムと真鍮との接着助剤である2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0025】
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、上記有機過酸化物架橋ゴム、上記有機過酸化物、ならびに上記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物、ならびに所望により含有していてもよい各種添加剤を、オープンロール、ニーダー、押出し機、バッチ式混練機等により混合(混練)する方法が挙げられる。
【0026】
本発明のホースは、本発明のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接する補強層とを有するホースである。
【0027】
ここで、本発明のホースの好適な実施態様の一例を図1を用いて説明する。図1は、ホースの各層を切り欠いて示す斜視図である。
図1のように、ホース1は、ゴム内層2を内管として有し、その上層に補強層3およびゴム外層4を外管として有するものである。
【0028】
次に、本発明のホースを構成するゴム層(ゴム内層、ゴム外層)および補強層について詳述する。
【0029】
<ゴム層>
上記ゴム層は、上記補強層に隣接する層であり、本発明のホースは、上述したゴム内層およびゴム外層を具備するものである。
本発明においては、上記ゴム層のうち少なくとも一方の層を本発明のゴム組成物を用いて形成するものである。
このように本発明のゴム組成物を用いてゴム層を形成することにより、耐熱性に優れるホースを得ることができる。
【0030】
また、本発明においては、上記ゴム内層の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。同様に、上記ゴム外層の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
【0031】
<補強層>
上記補強層は、上記ゴム内層の外側に、強度保持の観点から所望により設けられる層である。
本発明においては、上記補強層は、ブレード状で形成されたものでもスパイラル状で形成されたものでもよい。また、上記補強層を形成する材料は特に限定されないが、上述した種々の繊維材料、硬鋼線(例えば、防錆および接着性付与のために使用するブラスメッキワイヤー、亜鉛メッキワイヤー等)などの金属材料等が好適に例示される。
【0032】
上記ゴム層および上記補強層を有する本発明のホースの製造方法は特に限定されず、ホースの製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、マンドレル上に、上記ゴム内層、上記補強層および上記ゴム外層をこの順に積層させた後に、それらの層を140〜190℃下、30〜180分の条件で、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)または温水加硫することにより加硫接着させて製造する方法等が好適に例示される。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を用いて本発明のホースについてより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1〜9、比較例1〜3)
下記表1に示す成分を下記表1に示す割合(質量部)で配合し、ゴム組成物を調製した。
具体的には、まず、下記表1に示す成分のうち有機過酸化物を除く成分をバンバリーミキサー(3.4リットル)で5分間混練し、160℃に達したときに放出し、マスターバッチを得た。
次に、得られたマスターバッチに有機過酸化物をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
得られた各ゴム組成物を、以下に示す方法により、架橋後の物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
(1)引張強さ、切断時伸び、引張応力
得られた各ゴム組成物を153℃で60分間熱プレスすることで架橋し、2mm厚の架橋シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2004に準拠して行い、引張強さ(TB)[MPa]、切断時伸び(EB)[%]、伸び50%の時の引張応力(M50)[MPa]、および、伸び100%の時の引張応力(M100)[MPa]を室温(23℃)下にて測定した。
また、この試験片を150℃下で168時間(7日間)放置した後(以下、「耐熱老化後」ともいう。)に、同様の方法により引張強さ(TB)、切断時伸び(EB)および伸び50%の時の引張応力(M50)を測定した。
【0036】
(2)耐熱性(耐熱老化後の切断時伸びの変化率)
耐熱老化前(ブランク)の切断時伸びと耐熱老化後の切断時伸びの値から、下記式によりその変化率を算出し、耐熱性を評価した。その結果、変化率が−45%以上(例えば、−35%)であれば耐熱性が優れているといえる。
変化率(%)={(耐熱老化後の値)−(ブランク値)/(ブランク値)}×100
【0037】
(3)JIS A硬さ
上記と同様の各ダンベル状3号形試験片について、JIS K6253-1997の「タイプAデュロメータ硬さ試験」に準じて、JIS A硬さを測定した。
また、この試験片を150℃下で168時間放置した後に、同様の方法によりJIS A硬さを測定した。
【0038】
(4)引裂強さ
得られた各ゴム組成物を153℃で60分間熱プレスすることで架橋し、2mm厚の架橋シートを作製した。このシートからクレセント形試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6252:2001に準拠して行い、引裂強さ[N/mm]を室温(23℃)下にて測定した。
また、この試験片を150℃下で168時間放置した後に、同様の方法により引裂強さ(N/mm)を測定した。
【0039】
(5)圧縮歪み(C−set)
得られた各ゴム組成物を153℃で60分間熱プレスすることで架橋し、円筒状試験片(直径29mm×厚さ12.5mm)を作製した。
この円筒状サンプルを、専用治具で25%圧縮し、150℃で72時間放置した後の圧縮永久歪みをJIS K6262に準じて測定した。
【0040】
【表1】



【0041】
上記表1中の各成分は、以下のものを使用した。
・HNBR:Zetpol 2000L、日本ゼオン社製
・カーボンブラック:SRF級(#50、旭カーボン社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種、正同化学工業社製
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸、日本油脂社製
・加硫促進剤:2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(ノクラックMBZ、大内新興化学工業社製)
・架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製)
・可塑剤:ジアリルフタレート(DAP、ダイソー社製)
・ペンタエリスリトール:ノイライザーP、日本合成化学社製
・有機過酸化物1:1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(パーカドックス14/40(40質量%品)、化薬アクゾ社製)
・接着助剤:2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン(ZISNET−F、三協化成社製)
【0042】
上記表1に示す結果から、実施例1〜9で調製したゴム組成物は、架橋後の物性、特に、耐熱性に優れ、高モジュラスで低永久歪みであること分かった。
【0043】
(実施例10〜19、比較例4〜8)
下記表2に示す成分を下記表2に示す割合(質量部)で配合し、ゴム組成物を調製した。
具体的には、まず、下記表2に示す成分のうち有機過酸化物を除く成分をバンバリーミキサー(3.4リットル)で5分間混練し、160℃に達したときに放出し、マスターバッチを得た。
次に、得られたマスターバッチに有機過酸化物をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
得られた各ゴム組成物を、上述した方法により、架橋後の物性として引張強さ、切断時伸び、引張応力、耐熱性、JIS A硬さおよび引裂強さを測定した。その結果を表2に示す。なお、切断時伸びの変化率に関して、有機過酸化物架橋ゴムとしてCSMを用いた例においては、−65%以上であれば耐熱性が優れているといえ、有機過酸化物架橋ゴムとしてCMを用いた例においては、−75%以上であれば耐熱性が優れているといえる。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
上記表2中の各成分は、以下のものを使用した。
・CSM:Hypalone40S、デュポン社製
・CM:タイリンCM0136、デュポン・ダウ・エラストマー社製
・酸化マグネシウム:キョーワマグ150、協和化学工業社製
・カーボンブラック:SRF級(#50、旭カーボン社製)
・脂肪酸エステル:ストラクトールWB−212、SCHILL&SEILACHER GMBH&Co.社製
・ペンタエリスリトール:ノイライザーP、日本合成化学社製
・可塑剤:TOTM(アデカサイザーC−8、ADEKA社製)
・架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製)
・有機過酸化物2:ジクミルパーオキサイド(カヤクミルD−40C(40質量%品)、化薬アクゾ社製)
・有機過酸化物3:1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(パーカドックス14/40(40質量%品)、化薬アクゾ社製)
【0047】
上記表2に示す結果から、実施例10〜19で調製したゴム組成物は、架橋後の物性、特に、耐熱性に優れること分かった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明のホースの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ホース
2 ゴム内層
3 補強層
4 ゴム外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機過酸化物による架橋が可能なゴムと、有機過酸化物と、水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物とを含有し、
前記有機過酸化物の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.5〜15質量部であり、前記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.4〜15質量部であるゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴムが、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)およびエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)からなる群から選択される少なくとも1種のゴムである請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記水および/または分子量200以下で水酸基を1〜3個有する化合物を添加してなる請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接する補強層とを有するホース。

【図1】
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【公開番号】特開2008−74926(P2008−74926A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254240(P2006−254240)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】