説明

ゴム脱硫

本発明は、二酸化炭素などの超臨界流体を用いて加硫ゴム中の架橋を優先的に破壊し、それによってゴムを脱硫する方法に関する。超臨界流体は、前記加硫ゴム材料の膨潤を引き起こすが、膨潤の時間は、前記超臨界流体中でのゴムの全体積平衡膨潤に必要とされる時間の50%以下であり、膨潤は超臨界流体圧力の急速な減少の後に生じる。架橋(3)は完全に延長され、そして超臨界気体の溶媒膨潤効果によって引き起こされた内圧を保持する歪みの下にある。平衡膨潤が達成されると、加工容器内の圧力は、所定のレベルまで迅速に低下し、加硫ゴム中に吸収された超臨界流体の脱気および膨張が引き起こされる。結果として生じるゴム分子の三次元分離によって、架橋にさらに迅速な歪みが生じ、それらは破壊され(7)、それによって脱硫の効果がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、加硫ゴムの脱硫方法に関する。
【0002】
耐用年数を経たタイヤなどの製品から、およびゴム加工業者が生じる製造ラインの廃物の両方から、世界中で毎年何百万トンもの加硫ゴム廃物が発生する。商業的、経済的および立法的な理由のため、長年そのような廃物を新しいゴム製品へとリサイクルする方法を発見する試みがなされてきて、一部の方法には技術的な将来性が示されるものの、ゴム産業に広く採用されているものはない。広範な製品で利用される加硫ゴムの優れた物理的および化学的特性のため、これらの材料からリサイクルを行うことは非常に難しい。隣接するゴム分子の化学的架橋結合によって、熱硬化特性と優れた耐熱性がもたらされる。したがって、熱可塑性ポリマーの場合のように、加硫ゴムを融解および改質することができない。同様に化学的に架橋されたゴム分子の安定した三次元網状構造のため、加硫ゴムは溶媒に不溶性であり、膨潤のみが生じ得る。加硫ゴムのさらなる特徴は、加硫方法では、ゴム分子に沿って大部分の化学的活性部位を利用するため、加硫ゴム表面の表面エネルギーは低くなり、新しいゴムマトリックスに対する界面接着が乏しいということである。したがって、一般に粉砕された加硫ゴムを未加工のゴムマトリックスに混合することにより、未加工のゴムの引裂強度より低い引裂強度を有する製品がもたらされる。この問題を解決するために、化学的、生物学的または機械的手段、熱または高周波エネルギーの使用、あるいはこれらの方法の組み合わせによる脱硫方法が開発された。多くの場合、記載される技術は遅い。あるいはそれらは毒性の化学薬品を使用するか、または高レベルのエネルギーを使用し、そしてゴムの分子量を減少することなく架橋を開裂のみすることが不可能となる傾向があるため、結果として物理的特性の重大な低下ももたらされる。
【0003】
本発明の目的は、未加工のゴムマトリックスの物理的特性を著しく悪化させることなく、未加工のゴムマトリックスと混合または硬化可能であるような加硫ゴム粒子を処理する方法を提供することである。
【0004】
本発明の態様に従って、超臨界圧力および温度に維持された超臨界流体中で材料を膨潤させ、それによって、前記超臨界流体が前記加硫ゴム材料の膨潤が引き起こすことと、超臨界流体圧力のその後の急速な減少とを含む加硫ゴムの脱硫方法であって、膨潤の時間が、前記超臨界流体中でのゴムの全体積平衡膨潤に必要とされる時間の50%以下であることを特徴とする方法が提供される。
【0005】
したがって、本発明は、ゴムポリマー鎖のC−C結合に損傷を与えることなく、硬化されたゴムの表面層における化学的架橋を破壊するための迅速で危険ではない方法を提供する。
【0006】
本発明のさらなる利点は、硬化ゴム粒子の表面層を迅速に脱硫する方法であって、プロセス操作者または環境に無害であり、低レベルの加工エネルギーを使用する方法を提供することである。
【0007】
いかなる理論にも拘束されることはないが、本発明は、部分的に膨潤された加硫ゴムの迅速であるが、制御された三次元膨張に基づき、それによって、ゴム粒子の表面で架橋の優先的な破壊が引き起こされると考えられる。
【0008】
好ましくは、架橋密度および架橋の種類、すなわち、環状スルフィド、モノスルフィド、ジスルフィドまたはポリスルフィドの分布によって決定されるような、平衡状態まで加硫ゴムを膨潤するために適切な溶解パラメーターを達成するために適切な温度および圧力で、超臨界流体として二酸化炭素を含有する加圧された容器中で加硫ゴムを加工処理するが、代わりに窒素または冷却剤などの他の超臨界流体を使用してもよい。部分的膨潤条件が達成されたら、超臨界流体に迅速であるが、制御された減圧を行うと、超臨界流体の気体化と、架橋の拘束力によって決定される部分的膨潤レベルを超える加硫ゴムの膨張が引き起され、それによって架橋が破壊される。架橋ジエンゴム系において、硫黄−硫黄結合が最も弱い化学結合であることは、Tobolskyらにより、Polymer Science and Materials;Wiley−Interscience:New York,1960に報告されている。ペルオキシド架橋加硫ゴムの炭素−炭素単結合エネルギーは93kcal/モルであり、モノスルフィド架橋ゴムの炭素−硫黄−炭素結合の結合エネルギーは50〜60kcal/モルであるのに対し、ジスルフィド架橋ゴムの炭素−硫黄−硫黄−炭素結合の結合エネルギーは35kcal/モルであり、そしてポリスルフィド架橋ゴムの炭素−(硫黄)n−炭素結合の結合エネルギーは27kcal/モルである。本発明は、架橋の破断歪みを超えるが、ゴム分子の骨格鎖に沿う炭素−炭素結合の破断歪みを超えないゴム粒子の表面層に三次元歪みを適用することによって、より弱い炭素−硫黄および硫黄−硫黄結合を利用する。
【0009】
膨潤の間の超臨界流体の温度および圧力の選択は、ゴムと超臨界流体の溶解パラメーターδが適合するように選択される。
【0010】
流体の溶解パラメーターは、通常、以下の通りに定義されるHildebrand溶解パラメーターから測定される。
δ=[(ΔH−RT)/V1/2
式中、δはHildebrand溶解パラメーター(MPa)1/2であり、
ΔHは気化熱(kJ モル−1)であり、
Rは一般気体定数(kJ モル−1−1)であり、
Tは温度(Kelvin)であり、
はモル体積(dm モル−1)である。
【0011】
一般に、同程度の値の溶解パラメーターを有する物質は良好に混合する。同程度の溶解パラメーターを有する流体とポリマーの場合、ポリマーは一般に流体に良好に溶解する。しかしながら、ポリマーがかなりの程度の架橋を示す場合(例えば加硫ゴム)の流体とポリマーの場合、ポリマーは流体に溶解しない。代わりに流体はポリマーに浸透し、膨潤を引き起こす。
【0012】
したがって、加硫ゴム中に拡散する超臨界流体(例えばCO)の場合、プロセス条件の選択によって、超臨界流体がゴムに浸透する程度が制御される。上記式から、超臨界COの溶解パラメーターは、流体の圧力または温度を変えることによって調節され得ることがわかる。温度を上昇させることによって、超臨界COの溶解パラメーターが減少する。対照的に、圧力を増加させることによって、溶解パラメーターが増加する。したがって、上記式に従って温度と圧力を調節することによって、超臨界流体の溶解パラメーターと加硫ゴムの溶解パラメーターを適合させ、加硫ゴムの膨潤を最大化することができる。ゴムの膨潤を最大化することは、外圧が減少される前に硫黄を含有する架橋が伸長され、この圧力低下が生じる時に硫黄を含有する架橋に最大の内圧が加えられ、それによって架橋が最大伸長点を超え、そして断裂が生じることを意味するため、好ましい。
【0013】
超臨界流体が加硫ゴムより低い溶解パラメーターを示す条件から開始し、超臨界流体の溶解パラメーターが、ゴム材料の溶解パラメーター値に向かって増加すると、ゴムの平衡膨潤レベルは増加する。超臨界流体の溶解パラメーターが加硫ゴムの溶解パラメーターに近づくと、加硫ゴムの膨潤度は安定し、その後、超臨界流体の溶解パラメーターが加硫ゴムの溶解パラメーターを超えて増加すると、減少し始める。
【0014】
ゴムの典型的な溶解パラメーターは、14〜22MPa1/2の範囲であり、極性加硫ゴムは、このスケールの上限で溶解パラメーターの値を持つ傾向がある。約305Kの温度(臨界点のちょうど上)の超臨界COに関して、これは約10〜40MPaの圧力範囲と一致する。しかしながら、実際には約10MPaまでの圧力では膨潤度は比較的速く増加することが観察される。
【0015】
高圧を適用することによってプロセスの費用が増加し、いくつかの実施形態において、初期の圧力が、平衡膨張の最大レベルを得るために要求される圧力より低いことが好ましく、例えば圧力増加による膨潤の変化が安定し始めるレベルに圧力レベルを設定するか、またはわずかに高く設定してもよい。したがって、選択される初期の圧力レベルは、加硫ゴム次第であるが、通常、30MPa未満などの40MPa未満、例えば20MPa未満または15MPa未満、例えば12MPa未満である。初期の圧力レベルは、流体の超臨界レベルより高くするべきであり、そして好ましくは8MPaより高く、例えば9MPaより高く、例えば10MPaより高い。
【0016】
圧力と同様に、超臨界流体の温度を制御することも必要である。温度を上昇させることによって溶解パラメーターは減少するので、所定の溶解パラメーターを達成するために要求される圧力を減少するために、初期の温度が、流体を超臨界のままにさせる時と同程度の低いレベルに維持されることが一般に好ましい。しかしながら、いくつかの実施形態では、特に初期の圧力減少段階の後に流体が超臨界のままであることが望ましい実施形態では、初期の温度はより高くてもよい。
【0017】
COの場合、臨界温度は31.1℃であり、そして実施形態次第で、COの初期の温度は好ましくは32℃より高い、例えば40℃より高い、例えば50℃より高い、または60℃より高い温度に維持される。また、COの初期の温度は通常、140℃未満、例えば120℃未満、例えば100℃未満または80℃未満である。
【0018】
上記のように、所定の温度で、加硫ゴムの膨潤度は、所定の圧力値までの圧力では比較的速く増加し、その後、圧力がこの値を超えて増加すると、ゆっくり増加する。これには、比較的高い圧力で、初期の圧力の低下後に得られる膨張度は、初期の圧力で得られる膨潤度よりもわずかに低いという都合のよい効果がある。
【0019】
これによって、あらかじめ指定されるように圧力が減少され、そしてゴムは平衡膨張に達し、その後、圧力が再び減少する多段階での圧力減少の使用が可能となる。流体が超臨界状態のままである場合、圧力減少時に流体が臨界値以下になる時より、初期の圧力減少に続く膨潤プロセスがさらに速く生じる。これによって、流体が超臨界になり、ゴムに再浸透するために、再圧入される必要がある場合よりも短い時間スケールで脱硫ゴムの収率を増加させることができる。
【0020】
ここで、添付の図面を参照し、本発明のより詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】通常の周囲条件での弛緩した架橋ゴム分子の図を示す。
【図2】超臨界状態を維持するために適切な温度および圧力での超臨界流体中の膨潤状態における架橋ゴム分子の図を示す。
【図3】超臨界流体の迅速な減圧によって、架橋の延長可能な制限を超えて分子の三次元分離が生じ、それによって架橋の分裂が生じた後の脱硫ゴム分子および破壊された架橋の図を示す。
【図4】本発明の機能操作を行うための加工装置の図を示す。
【0022】
本発明の中核をなすものは、超臨界流体が特有の生理化学的特性を示すということである。それらは粘性が低く、拡散係数が高く、そして高い熱伝導率を有する。正しい温度および圧力条件で、超臨界流体の溶解パラメーターを加硫ゴムの溶解パラメーターに接近して適合させるように制御して、超臨界流体を加硫ゴムに対して優れた溶媒にさせることができ、ゴムの三次元分子網状構造への容易な含浸が可能であり、それによって膨潤が生じる。いくつかの超臨界流体の中で、COは、臨界点を容易に得ることができ、化学的に不活性であり、非中毒性であり、不燃性であり、安価であるため、本発明に関して最も都合がよい。
【0023】
図1は、いくつかの鎖の絡み合い(2)によってであるが、主に隣接する分子の間の化学的架橋(3)の存在によって一緒に保持された長鎖の分子(1)からなる弛緩状態の加硫ゴムの図を示す。これは、高度に延長可能な長鎖の分子と、ゴムにその特有の弾力性を与える化学的架橋との組み合わせである。化学的架橋が影響せずに、ゴムは本来、主に可塑性であり、適切な溶媒に容易に溶解し、自由流動性の溶液を生じる。本発明の範囲内で、ゴムは、好ましくは、ゴム加工産業から発生した加硫プロセス廃物から、または耐用年数を経た加硫ゴム製品から供給される。また本発明の範囲内で、加硫ゴムは、好ましくは、本発明として本明細書に記載されるプロセスの前に粉砕プロセスを経て、加硫ゴムの微粒子を形成する。微粒子の大きさおよび形状は、本発明のプロセスの結果に対して重大でないが、その効率は影響を受ける。本発明の効果および効率に関して、粒子が小さいほど、体積比に対して改善された表面積を提供する。典型的に、加硫ゴム微粒子の粒径は、直径10mm〜0.038mm(ASTMメッシュNo.400)であるが、好ましくは、1.00mm(18メッシュ)〜0.15mm(100メッシュ)の範囲内であり、より好ましくは、0.425mm(40メッシュ)〜0.18mm(80メッシュ)の範囲内であり、これによって、有用な表面積対体積比および合理的な粉砕コストのバランスがもたらされる。
【0024】
記載されたとおり、好ましくは微粒子の形態の加硫ゴムをオートクレーブなどの温度制御可能な圧力容器に入れる。気体または液体状態、好ましくは液体状態の二酸化炭素を、7.4Mpaのその臨界圧以上で圧力容器にポンプ注入する。次いで、圧力容器の内部温度を、31.1℃以上と等しい二酸化炭素の超臨界温度以上まで高めると、二酸化炭素は超臨界流体になり、オートクレーブチャンバーを充填する。超臨界条件で超臨界流体である二酸化炭素の密度は、0.469g/cmである。しかしながら、超臨界流体の密度、そのポリマー材料への拡散係数およびその溶解パラメーターは、臨界点より高い温度および圧力への変化に非常に依存している。これについては、M.Kojima、M.Tosaka、E.Funami、K.Nitta、M.Ohshima、S.Kohjiyaによる「Phase Behaviour of Crosslinked Polyisoprene Rubber and Supercritical Carbon Dioxide」に記載されており、これによって当業者は、加工される加硫ゴムの溶解パラメーターを適合させ、それによって、平衡膨潤への急速な発達のために効果的な条件を可能とするために最適な条件の組み合わせを選択することができる。図2は、超臨界流体(4)中で平衡膨潤に近い条件での、ゴム粒子の表面における加硫ゴムを描写する。ゴム分子(1)は、超臨界流体の拡散(5)によって分離されるが、化学的架橋(3)の三次元網状構造によって、さらなる分離は抑制される。ゴム分子に対する抑制の影響として、ゴムが平衡膨潤状態にある時、架橋はそれらの最大歪み下にある。
【0025】
本発明の主な実施形態によって、加硫ゴム微粒子外面のみの近平衡膨潤が可能となる。超臨界体液は、外面を通って各加硫ゴム粒子の中心に向かって移動するため、各加硫ゴム粒子の外面は近平衡膨潤の状態に達し、その後、そのような状態がゴム粒子の中心で達成される。本発明の範囲内の本明細書に記載のその後の加工によって、各ゴム粒子の外皮の脱硫を達成し、そして各ゴム粒子の中心内ではゴムの最初の物理的特性の保持が可能である。処置された微粒子ゴムを、新しいゴムミックスに添加剤として後から含ませることによって、ゴムの脱硫された外面と新しいゴムマトリックスとの間で化学的架橋が可能となる。
【0026】
脱硫の表面深さは、粒子の形状次第で異なるが、典型的にかなりの脱硫(すなわち、領域での硫黄含有結合の10%を超える、例えば30%を超えるまたは50%を超える破壊)を最大粒径の20%未満、例えば5%未満などの10%未満の深さまで伴う。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、化学脱硫剤などの活性添加剤の担体として作用する超臨界流体の優れた溶媒および消散特性が利用される。脱硫剤は、好ましくは、フェニル−ヒドラジン−鉄塩化物、トリフェニルホスフィン、チオールおよびジスルフィドから選択される。そのような添加剤を使用することは、本発明の好ましい実施形態を通して、物理的開裂の前の一部の硫黄架橋の化学的開裂によって、脱硫プロセスを補助する。
【0028】
本発明のさらなる利点は、再び、超臨界流体の優れた溶媒および消散特性に基づく。したがって、超臨界流体は、典型的な加硫ゴムコンパウンド中に一般に発見される低分子量物質を抽出する。このような低分子量物質の例としては、モノマー、油、ワックスおよび石鹸が挙げられるが、これは個々に、あるいは組み合わせで、加硫ゴムの表面へと移動し、そしてゴム/接着剤界面において物理的および化学的結合を減少または破壊する表面汚染物質を生じるように作用する。加硫ゴム中に発見される低分子量汚染物質をそのように抽出することによって、本質的に界面湿潤性が改善されて、より密接な表面接触が導かれ、新しいゴムミックスマトリックス中への加硫ゴムの相溶性改善に役立つ。
【0029】
全体積平衡膨潤に必要とされる時間の50%以下の膨潤時間を選択することによって、表面の膨潤が達成されたら、圧力容器の内圧は迅速に低下する。加硫ゴム周辺の超臨界流体は気体状態(5)に戻り、ゴム分子間に部分的に閉じ込められた超臨界流体のため、オートクレーブチャンバー圧力と加硫ゴム粒子の表面内の内圧との間に急激な圧力差が生じる。圧力平衡を達成するために、ゴム分子間の超臨界流体が迅速に膨張し(6)、架橋の抑制能力を超えてゴム分子(1)の分離を引き起こし、架橋が分裂する(7)。
【0030】
Deeb,Victor MおよびRouse,Michael Wによる米国特許第6680110号明細書には、超臨界流体中で微粒子材料を平衡状態まで膨潤した後に迅速に大気圧まで圧力を低下させることによるゴムを含む微粒子材料のサイズ減少のための方法が記載されている。図3は、これらの条件で、抽出可能な材料の量が、最初の材料に存在する抽出可能な材料の量を超えることはほとんどないということを示す。
【0031】
Deebらによって有効に使用されるように、平衡膨潤の後に適用される圧力の急速な減少によって、長鎖ゴム分子の破壊を伴う爆発的減圧が生じ、ゴム粒子が分裂する。
【0032】
粒子の全体積平衡膨潤に必要とされる時間の50%以下の期間の膨潤後の圧力の減少によって、加硫された粒子のみの表面で脱硫が生じる。好ましくは設定された期間は、全体積平衡膨潤に必要とされる時間の40%以下であり、より好ましくは30%以下である。
【0033】
好ましくは、ゴムへの巨視的な構造的損傷(すなわち、爆発的減圧から生じ得る)を避けつつ、硫黄を含有する結合の破壊を最大化するために部分的に膨潤された加硫ゴム粒子の迅速な減圧を制御する際に、絶対初期圧力および最終圧力値は、減圧段階の絶対圧差ほど重要ではない。
【0034】
加硫ゴムの構造は、硫黄を含有する基によって分子が架橋され、超臨界流体が浸透する自由体積が効果的に生じている、もつれ合うゴム分子系であると考えてもよい。
【0035】
外圧の減少に続き、加硫ゴム粒子の内圧がいくつかの様式で解放され得る。
(i)ゴム粒子からの流体の拡散;
(ii)流体がより速く自由体積を出ることができるゴムポリマー鎖の再編成;
(iii)自由体積を膨張させ、それによって粒子の内圧を減らすことができる硫黄を含有する結合の破壊;
(iv)圧力が逃げることができる細孔を形成するゴム構造への巨視的な損傷。
【0036】
先に参照されたように、硫黄含有架橋の結合エネルギーは、ポリマーの炭素−炭素結合の結合エネルギーより小さい(27〜60kcal モル−1対93kcal モル−1)。したがって、異なる結合が壊れる程度は、1つには、加硫ゴム粒子内部と外部系との間での初期圧力差次第である。
【0037】
加硫ゴムに超臨界流体を最初に加える間、硫黄を含有する架橋によってゴム内の自由体積の膨張が等しく拘束される時に平衡膨潤が達成される。
【0038】
減圧段階に続き、圧力差が十分に低い場合、架橋の強さは、ゴム内部の連結性を保持するために十分であり、そして流体は粒子から拡散し、おそらくより急速な平衡を可能にするポリマー粒子のいくらかの再編成が生じる。
【0039】
外層で自由体積の膨張を拘束する最も弱い結合を破壊するために、少なくとも5%の最小圧力低下が要求されるようである(ポリスルフィド結合)。圧力低下がこの最小値未満である場合、流体は、その構造を変えることなく、単にゴム粒子から拡散する。
【0040】
硫黄含有架橋が破壊される割合を増加させるために、圧力低下を増加してもよい。圧力低下の大きさがさらに増加すると、結果として生じる圧力差は、C−S−S−Cジスルフィド結合、次いでC−S−Cモノスルフィド結合などのより強い硫黄含有架橋の破壊を開始するために十分となる。この段階で、収率は、圧力低下が増加した時のように、なお増加する。しかしながら、表面の膨潤のレベルに応じて、圧力低下が十分に大きくなると、内圧および外圧を平衡するため、脱硫ゴムに巨視的な損傷が生じ始める。この段階で、流体が粒子に微細な細孔を形成し、この細孔から流体が逃げていき、架橋での圧力が軽減されるため、収率は減少し始める。上記のように、拡散による内圧損失を最小化するため、粒子からの超臨界流体の拡散速度と比較して速い時間スケールで圧力低下は生じる。
【0041】
その最高速度の圧力低下の速度は、実質的に瞬間的であり、プロセスの設計によって支配されるが、有利には、時間に応じて調整および制御することができる。
【0042】
上記のように、減圧段階に続き、ゴム粒子の表面に最も近い自由体積の領域の硫黄含有結合は破壊され、この領域の自由体積のさらなる膨張を拘束している最も弱いポリスルフィド結合を破壊するためにもはや十分でないレベルまで領域内の圧力が減少するまで自由体積のこの領域を膨張させることができる。圧力低下の大きさを増加させることによって、破壊される結合の数を増加させることが可能である。しかしながら、最終的には、ゴムの構造に巨視的な損傷が生じることにより、収率の減少がもたらされる。
【0043】
しかしながら、外圧が減少する速度を制御することによって、ゴムの構造へのいかなる損傷も最小にしながら、一旦自由体積の外側領域の初期膨張が生じれば、さらなる硫黄含有結合の破壊を可能にするために十分高い、外部系と粒子の自由体積との間の圧力差を維持することが可能である。
【0044】
圧力が低下する速度を減少することによって、粒子が受ける減圧の重大度は減少されるため、初期値から最終値への圧力減少が、より長い時間スケールで生じる実施形態に関して、より大きな圧力差が典型的に使用されてもよい。
【0045】
圧力低下は、典型的に2バールより高く、例えば、1MPaより高い、または1.5MPaより高いなどの0.5MPaより高い。また圧力低下は、典型的に、20MPa未満または10MPa未満などの30MPa未満である。圧力低下は、3MPa未満、例えば、2.5MPa未満など、5MPa未満でもよい。
【0046】
圧力低下が短い時間スケール、例えば、5秒未満で生じる実施形態において、圧力低下は、一般に、この範囲の下限に向かうように選択される。一般に、この圧力低下は、5MPa未満、例えば3MPa未満または2.5MPa未満などの10MPa未満である。また圧力低下は、一般に、0.2MPaより高く、例えば、1.0MPaより高い、または1.5MPaより高いなどの0.5MPaより高い。
【0047】
一般に、圧力低下が、0.5秒より長い、例えば、2秒より長いなどの1秒より長い時間スケールで生じる。また圧力低下は、典型的に、60秒未満、例えば、15秒未満または5秒未満などの30秒未満の時間スケールで生じる。
【0048】
圧力低下が60秒未満の時間スケールで生じる実施形態において、圧力低下が、5秒より長い、例えば、30秒より長いなどの15秒より長い時間スケールで生じてもよい。
【0049】
圧力低下が30秒未満の時間スケールで生じる実施形態において、圧力低下が、5秒より長い、例えば、15秒より長い時間スケールで生じてもよい。
【0050】
圧力低下が15秒未満の時間スケールで生じる実施形態において、圧力低下が、5秒より長い時間スケールで生じてもよい。
【0051】
圧力低下が5秒未満(例えば、4秒未満または2秒未満)の時間スケールで生じる実施形態において、圧力低下が、0.5秒より長い、例えば、1秒より長い時間スケールで生じてもよい。
【0052】
ほとんどの実施形態において、圧力がその初期値からその最終値まで低下するためにかかる時間は、圧力が拡散によって平衡するために要求される時間の1/10未満、例えば、1/100未満または1/500未満などの1/50未満である。
【0053】
したがって、圧力低下の大きさと速度を選択することによって収率を最適化することが可能である。しかしながら、最高収率では、おそらくゴムの構造にいくらかの損傷が与えられている。
【0054】
本発明の更なる実施形態において、好ましい速度で2回以上の圧力低下が使用される多段プロセスを使用することによって脱硫ゴムの収率を改善することができる。この多段プロセスでは、一段階のプロセスの場合のように制御された圧力低下と速度が適用され、次いでさらに制御された圧力低下と速度が適用されることを含む。このプロセスを必要に応じて繰り返してよい。
【0055】
このように、ゴムの構造への損傷を最小にしながら、さらに硫黄含有架橋が破壊され、それによって脱硫ゴムの収率を増加させることができる。
【0056】
各圧力低下の後、次の圧力低下が適用される前に、表面の膨潤が達成されることは好ましい。これによって、架橋に歪みを与えるために要求される自由体積の膨張が最小化されるため、硫黄含有結合を破壊するために要求される圧力低下を減少する。この理由のために、超臨界流体の溶解パラメーターが加硫ゴムの溶解パラメーターに可能な限り近いままであるように全体的な圧力範囲が選択されることがさらに好ましい。これによって、各段階の間に粒子の表面におけるゴムの膨潤が最大化することが可能である。ゴムの溶解パラメーターが、過剰に高い圧力を使用せずに都合よく達成するには高すぎる場合、多段プロセスの最初の圧力は、最初の圧力低下に続き、超臨界流体の溶解パラメーターが、最初の溶解パラメーターの2MPa1/2の範囲内で、好ましくは1MPa1/2の範囲内で、より好ましくは0.5MPa1/2の範囲内のままであるように選択されてもよい。
【0057】
流体が多段プロセスの間に超臨界のままであり、段階間でより急速な平衡を可能とすることも好ましい。
【0058】
圧力低下段階の数が多いほど、脱硫ゴムの収率は大きい。しかしながら、連続して追加される収率は各段階で減少する。加えて、減圧段階の数が増加すると、プロセス時間が増加する。したがって、多段プロセスの圧力低下の典型的な数は、通常10未満、例えば2〜4などの5未満である。
【0059】
各圧力低下の大きさと速度は、硫黄含有架橋の破壊を引き起こすために十分大きいが、ゴムへの損傷を最小にするように選択される。
【0060】
圧力低下が比較的速く生じる実施形態において(例えば5秒未満の時間スケールで)、圧力低下は典型的に0.2MPaより高く、例えば1.0MPaより高いなどの0.5MPaより高い。圧力低下は通常3.0MPa未満でもあり、例えば2.0MPa未満または1.5MPa未満などの2.5MPa未満である。
【0061】
圧力低下が比較的遅く生じる実施形態において(例えば5〜60秒の時間スケールで)、圧力低下は典型的に1.0MPaより高く、例えば2.0MPaより高い、または2.5MPaより高いなどの1.5MPaより高い。圧力低下は通常、20MPa未満または10MPa未満などの30MPa未満である。また圧力低下は5MPa未満であってもよい。
【0062】
加えて、上記のように、流体が超臨界のままであることが必要とされる実施形態において、流体の最初の温度は、圧力低下と関連するいかなる温度減少も流体が超臨界のままであることを可能にするために十分小さいように選択されるべきである。
【0063】
本発明の脱硫プロセスに続き、製品は一般的なゴム用途で使用されてもよく、あるいは、ゴム材料中の加硫材料から脱硫材料を分離するために、例えば、溶媒抽出によってさらに加工されてもよい。
【0064】
溶媒抽出は、ゴム材料から脱硫ゴムを選択的に除去するいかなる溶媒も使用して実行することができる。溶媒は、好ましくは、非極性ゴムに関して15〜18MPa1/2の範囲の溶解パラメーターを示し、例えばトルエンであってよく、また極性ポリマーに関しては18〜24MPa1/2の範囲の溶解パラメーターを示し、例えばメチルエチルケトンであってよい。
【0065】
本発明の脱硫ゴムは、いくつかの都合のよい特性を含む。
【0066】
例えば、非脱硫ゴムと比較して、優れた加工特性と加硫物理特性を保持しながら、新しいゴムコンパウンドへの添加剤としての脱硫ゴムのより高い添加レベルを達成することができる。
【0067】
非脱硫ゴムと比較した場合、本発明のプロセスによって、脱硫ゴム内の溶媒抽出可能な材料のレベルが増加する。粘弾性および粘着性を有する溶媒抽出可能な材料は、新しいゴムミックスへの脱硫ゴムのより容易な混合に寄与し、それによって、非脱加硫ゴムと比較した場合、新しいゴムミックスへのより高い添加レベルが可能となる。
【0068】
加えて、脱硫ゴムは、加硫ゴムと比較して、遊離基に対する化学的活性の増加を示し、それによって新しいゴムミックス内での化学的架橋が可能となる。これによって、等量の添加レベルの加硫ゴムを使用した時と比較して、コンパウンドへの加硫物理特性の増加がもたらされる。
【0069】
NR、SRB、BRまたはこれらの混合物のような不飽和ゴム中で脱硫飽和ゴムを混合する場合、本発明の追加的な利点を得ることができる。
【0070】
本明細書中の飽和ゴムは、飽和骨格鎖を有するゴムであると理解される。飽和ゴムの例は、1個以上の非共役ポリエンを含むエチレンα−オレフィンコポリマーである。α−オレフィンの例は、例えば、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、オクテンなどの3〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンである。好ましくはプロピレンが使用される(EPDM)。非共役ポリエンの例は、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4ヘキサジエンまたはそれらの混合物である。
【0071】
低いUVおよびオゾン耐性は、不飽和ゴムの周知の問題である。例えば、Kannika Sahakaroらによって、Journal of Applied Polymer Science,Vol.103,2555−2563(2007)に記載されている。Kannika Sahakaroらによると、天然ゴム/ブタジエンゴム(NR/BR)の混合物に組み込まれたEPDMによってオゾン耐性が改善されることが記載されている。従来の単一混合によって一般に得られるNR/BR/EPDMブレンドの低い機械的特性は、反応加工技術を利用することで克服される。
【0072】
このような扱いにくい反応加工技術の代わりとなるものは、ベースポリマー、活性剤系、促進剤系および架橋剤、そして場合により構造的および非構造的充填剤、プロセスオイル、加工助剤、ならびに、または保護系をさらに含む新しいゴムミックスの成分としての脱硫飽和ゴムを使用することによって、本発明によってもたらされる。
【0073】
好ましくは、その優れたUVおよびオゾン耐性のため、そのような新しいゴムミックス中の脱硫飽和ゴムはEPDMである。EPDMは、ベースポリマーがSBR、BR、NRまたはこれらの混合物である新しいゴムミックスで特に都合がよい。
【0074】
図4は、本発明の方法の範囲内に記載される減圧脱硫を実行するために必要なプロセスの基本成分を示す。圧力容器(8)は、好ましくは+/−1℃の温度調節を維持しながら、20℃〜175℃の温度で操作可能であり、そして好ましくは0MPa〜20MPaの内部操作圧に耐え得る。好ましくは微粒子の形態で、そして好ましくは、その最大寸法で0.425mm〜0.18mmの粒径である加硫ゴムは、圧力容器内に装填され、密封される。圧力容器中に装填された加硫ゴムの体積は、加硫ゴムが平衡膨潤に達することができるように、またその後の迅速な減圧によってさらなる膨張が可能となるように十分小さくすべきである。加硫ゴムによって達成可能な膨潤のレベルは、ゴム調製で使用される成分によってかなり異なる。ベースポリマーの種類、種々の充填剤および装填、ならびに架橋の種類および密度は、全ての溶媒中の加硫ゴムの膨潤作用に影響を及ぼす。したがって、加硫ゴムのいずれかの特定の種類、バッチ、グレードまたは品質によって達成可能な膨潤のレベルを確立するために試験が必要である。しかしながら、通常、1つの加工バッチ内の加硫ゴムの初期体積は、圧力容器の内部体積の20%未満である。
【0075】
圧力容器(8)は、気体および流体の供給に適するインレットパイプ(9)および逆止め弁(10)に制御され、これを通して、気体または液体、好ましくは液体、さらに好ましくは液体二酸化炭素が、適切な高圧ポンプ(12)によって貯蔵容器(11)から圧力容器に、二酸化炭素に関しては7.4MPaの圧力である気体または液体の超臨界圧力まで、またはそれを超えて、ポンプ輸送される。超臨界圧力が達成されたら、圧力容器内のヒーターによって、二酸化炭素に関しては31.1℃である超臨界温度まで、またはそれを超えて、液体気体の温度を増加させ、液体気体を超臨界流体へと変化させる。超臨界流体は圧力容器を完全に充填し、加硫ゴムと密接する。次いで、加工される加硫ゴムに最適の溶解性能を達成するために、圧力容器内の圧力は当業者によって必要に応じて増加される。圧力および温度は、平衡膨潤を達成するために十分な期間、最適条件を保つように維持される。
【0076】
加硫ゴムが平衡膨潤状態に達したら、クイックリリース弁(13)を開け、加圧した超臨界流体を急速流出させ、それに伴って、圧力容器の内圧が急落する。圧力低下の制御は、雰囲気に流出させないことによって達成されるのではなく、圧力容器の内部体積を急増させる効果を有する調節可能な内部体積(15)のレシーバー(14)に流出させることによって達成される。種々の大きさのレシーバーの使用によって、または好ましくは調節可能な密封された内部のプレートの使用によって決定される調節可能な内部体積をレシーバーが有することは、本発明の一態様である。レシーバーの体積は、圧力容器内の圧力低下のレベルを決定し、したがって、加工されたゴムの三次元膨張の範囲を決定する。レシーバーの内部体積が大きいほど、圧力低下、および加工されたゴムが受ける三次元膨張の範囲は大きい。
【0077】
本発明の更なる態様は、急速な圧力低下が達成されたら、レシーバーのブリード出口弁(16)を開けることによって、さらなる遅い圧力低下は制御され、雰囲気へ、または好ましくはクーラー(17)を通して、制御された気体の圧力低下を可能にし、貯蔵容器(11)にポンプ輸送して戻す(18)ために気体を液体に戻し、加工気体の閉ループリサイクルを可能にすることである。遅い圧力低下の速度は、加工されたゴムへの物理的損傷を引き起こすことなく、加工されたゴム内から超臨界流体が放出されるように制御されなければならない。また好ましくは、気体に変換するため、加工されたゴムからの超臨界流体の拡散速度に適合させなければならない。
【0078】
圧力容器内の圧力が気圧と等しい圧力まで減少される場合、圧力容器を開けてもよく、そして、ここでは主に脱硫状態の加工されたゴムが除去されてもよい。
【0079】
調製、混合、ミリング、圧延、押出成形、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、製作および常圧硬化技術を含む一般にゴム加工産業で見られる従来のゴム混合、形成および硬化技術を使用する当業者であれば、本発明の実施形態に記載されるプロセスから得られた脱硫ゴムを加工することができる。完全に脱硫されたゴムの再利用は、脱硫ゴムと、所望の加工および硬化特性を達成するために当業者によって選択される活性剤、促進剤および硫黄などの架橋剤からなる硬化系とを混合することによって達成され得る。充填剤、加工油、可塑剤および種々の保護系などの他の成分も、所望の物理的および加工特性を達成するために必要に応じて添加されてよい。脱硫ゴムのさらなる使用は、新しいゴムミックスへの添加剤としてであり、ポリマー、補強充填剤および非補強充填剤を含む未加工のコンパウンド成分の部分的な代用として機能する。脱硫ゴムの使用は、全混合物の一部として脱硫ゴムを、所望の加工および硬化特性を達成するために当業者によって選択されるポリマー、補強充填剤および非補強充填剤、プロセスオイル、加工助剤、種々の保護系ならびに活性剤、促進剤および硫黄などの架橋剤からなる硬化系などの従来の成分と混合することによって達成されてもよい。
【0080】
コンパウンドの調製は、従来のミキサー、例えば接線ローターまたは噛み合い混合要素を備える内部ミキサーで実行可能である。他の種類の内部ミキサーまたは他のミキサーが使われてもよく、特別な装置が一般に必要とされないことがこの技術の特徴である。同時に、コンパウンド成分の添加の順序は、一般に従来通りでもよい。
【0081】
フィルファクターと添加時間は、コンパウンドが混合される機械に適するように従来の技能に沿って確立することができる。ダンプ温度は、スコーチ安全性を維持するように、例えば110℃未満に制御されなければならない。混合(主に剪断力に起因する)の間の混合物の温度は、典型的に100℃〜150℃である。混合時間は典型的に1〜8分間である。
【0082】
混合したら、分散されたゴムクラムを含有するコンパウンドから一貫処理可能なバッチを作成する。これは、2本ロールオープンミルなどの適切な加工装置上にミキサーから放出可能である。従来の実施に沿って、2本ロールミル上で混合されたバッチをカットおよびブレンドすることによって、成分の更なる分散を達成することができる。
【0083】
2本ロールミルから、それ自体の重量を支持することができる連続的な一貫シートとして、混合されたバッチを通過させることができる。次いでこれを従来の様式で加工することができ、例えば、抗粘着性の浸漬に通し、このプロセスから除去する前に冷却し、その後、例えば圧縮成形による形成をする。典型的に、これに、圧延カレンダーを使って、予め決められた厚さおよび幅のシートへの加工が関与してもよい。これによって、圧延されたシートの連続的な供給によるか、または圧延されたシートから切断された成形ブランクを使用することによる圧縮プレスでのその後の成形のために必要な正確な大きさとなる。典型的な成形は、所望の成形製品を完全に形成するために十分な最終の力を使用し、130℃〜180℃の温度で実行される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界圧力および温度に維持された超臨界流体中で材料を膨潤させ、それによって、前記超臨界流体が前記加硫ゴム材料の膨潤を引き起こすことと、超臨界流体圧力のその後の急速な減少とを含む加硫ゴムの脱硫方法であって、
膨潤の時間が、前記超臨界流体中でのゴムの全体積平衡膨潤に必要とされる時間の50%以下であることを特徴とする方法。
であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加硫ゴムを膨潤させる前に前記超臨界流体に添加剤を添加することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゴムがEPDMである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベースポリマーがSBR、BR、NRまたはこれらの混合物である請求項13に記載の方法。
【請求項5】
超臨界流体圧力の前記急速な減少における圧力減少が5%より大きい請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535913(P2010−535913A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520482(P2010−520482)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006626
【国際公開番号】WO2009/021715
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【出願人】(510035082)ラバー‐リーゲン エルエルピー (2)
【Fターム(参考)】