説明

ゴム補強用ポリエステル繊維コードおよびタイヤ

【課題】従来技術では達成できなかった高弾性率を有し、かつ高温に曝された場合のポリエステル繊維とゴムとの耐熱接着性、耐熱強力保持性が改善され、かつ耐疲労性が実用上十分であるゴム補強用ポリエステル繊維コード、特にラヂアルタイヤのキャッププライコードに好適なゴム補強用ポリエステル繊維コードを提供する。
【解決手段】ポリエステル繊維が、オキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスが含まれる第1処理剤によって被覆され、さらにその外層がレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、前記第1処理剤は全固形分を100重量%中に、ゴムラテックスを30〜70重量%含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ、ホースおよびベルトなどに使用されるゴム補強用ポリエステル繊維コードに関する。さらに詳しくは、高弾性率を有し、かつゴム加硫工程や製品使用中に、ゴム中で長時間高温に曝された時の耐熱接着性、耐熱強力保持性が著しく改善され、かつ耐疲労性が実用上問題ないレベルにあるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、特に、ラヂアルタイヤのキャッププライコード用として好適なゴム補強用ポリエステル繊維コードおよびこのゴム補強用ポリエステル繊維コードを使用してなるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル繊維は、優れた強度、弾性率および熱寸法安定性を有するため、タイヤ、ホース、ベルトなどのゴム製品用補強材として従来から広く使用されている。ポリエステル繊維は、補強材としてゴム製品中に埋め込まれて使用される時に、その高温環境下では熱劣化する傾向がある。そして、その化学的熱劣化は、ゴム自身およびゴム中に配合されている種々の添加物の影響を受ける。ゴム中には、チウラム系、スルフェンアミド系あるいはグアニジン系などの加硫促進剤やアミン系老化防止剤などが配合されており、ゴム中で高温処理を受けたポリエステル繊維は、主にこれらのアミン系化合物やゴム自身の酸化劣化によって生じた低分子量化合物、水分子およびゴム中に含まれていた水分等によって、アミン分解や加水分解される。かかるアミン分解や加水分解されたポリエステル繊維は、接着性や強力等の初期特性が著しく低下するため、使用に耐えられなくなるという問題があった。
【0003】
ポリエステル繊維がアミン分解や加水分解すると、分子鎖切断に伴う強力低下やゴムと繊維層との接着性の低下が招かれる。しかるに、ポリエステル繊維をゴム補強用繊維として用いた場合には、かかる欠点を有するものの、高強力、高弾性率、熱寸法安定性に優れたタイヤが得られ、かつ耐疲労性や接着性の改良も進んでいるばかりか、タイヤ製造技術の向上とも相まって、近年では殆どの乗用車ラヂアルタイヤのカーカス材として用いられるようになっている。
【0004】
しかしながら、ポリエステル繊維は、上記したような本質的な欠点を有しているため、タイヤ高速走行時に発熱した熱がこもりにくく化学劣化し難いことから、比較的小さなタイヤサイズの乗用車用カーカス材に限られて使用されているのが現状であり、トラック、バス等の大型タイヤではごく一部に使用されているに過ぎない。一般には、トラック、バス用タイヤ、航空機用タイヤ、大型乗用車用タイヤおよびレーシングカータイヤ等の分野には、ポリエステル繊維コードは使用されていないのが現状である。
【0005】
しかも、近年益々高速走行に適した高性能タイヤが要求され、その要求を満たすために開発されたラヂアルタイヤは、高速走行時の遠心力によるタイヤの膨張と接地時の圧縮をスチールベルトの上からしっかりと抑えるために、キャッププライコードが用いられるようになった。このキャッププライコードは、カーカス部に比べ一段と発熱し高温となるため、従来のポリエステルコードでは使用に耐えず、高温時の接着性に優れたナイロン66繊維が用いられている。
【0006】
しかしながら、キャッププライコードの特性としては高弾性率が好ましいため、繊維素材としてはポリエステル繊維が好ましく、またポリエステル繊維は、ナイロン66繊維対比、コスト面で有利であることもあり、キャッププライ用として使用可能なポリエステル繊維コードの開発が強く要望されていた。その達成のためには、第一に耐熱接着性の大幅な改善が、そして第二に耐熱強力保持性の改善が必要である。
【0007】
ポリエステル繊維の耐熱接着性の改善に関する代表的な従来技術としては、次の四例が挙げられる。
【0008】
(1)(A)キャリアーを含む処理液、(B)ブロックドイソシアネート水溶液を含む処理液でポリエステル繊維を処理した後、エポキシ化合物を含むRFLにて処理したコード(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
(2)熱可塑性重合体、熱反応型水性ウレタン、およびエポキシ化合物を含む処理液でポリエステル繊維を処理したコードであり、160℃雰囲気下での弾性率が所定の弾性率以上であるコード(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
(3)エチレン系不飽和酸変性スチレン−ブタジエン−ゴムラテックス、熱反応型水性ウレタン、およびエポキシ化合物を含む処理液でポリエステル繊維を処理したコード(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
(4)熱可塑性エラストマー、ブロックイソシアネート、およびオキサゾリン化合物を含む処理液でポリエステル繊維を処理したコード(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
しかるに、上記(1)〜(4)の従来技術によれば、従来のポリエステル繊維の接着方法に比べて、高温下での耐熱接着性および耐熱強力保持性の改善がある程度認められるものの、実用上十分ではないか、あるいは耐疲労性が十分とはいえないものであった。特に、本発明の目的とするラヂアルタイヤのキャッププライ用コードとしては実用化できるレベルではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−2327号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2005−112065号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2008−169504号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2006−214013号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術では達成できなかった、高弾性率を有し、かつ高温に曝された場合のポリエステル繊維とゴムとの耐熱接着性、耐熱強力保持性が改善され、かつ耐疲労性が実用上十分であるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、特にラヂアルタイヤのキャッププライコードに好適なゴム補強用ポリエステル繊維コードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため本発明によれば、ポリエステル繊維が、オキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスが含まれる第1処理剤によって被覆され、さらにその外層がレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、前記第1処理剤は全固形分を100重量%中に、ゴムラテックスを30〜70重量%含むものであり、かつ、この第1処理剤による乾燥皮膜のデュロメーター硬さがA40〜A80であり、さらに、前記第1処理剤による乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後のデュロメーター硬さがA50〜A90であることを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維コードが提供される。
【0016】
なお、本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードにおいては、
前記第1処理剤による乾燥皮膜の破断伸度が300%〜1000%であり、かつこの第1処理剤による乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後の破断伸度が150%〜700%であること、
前記第1処理剤による乾燥皮膜の引張強度が1MPa〜6MPaであり、かつこの第1処理剤による乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後の引張強度が2MPa〜7MPaであること、
前記第1処理剤に含まれるゴムラテックスの全固形分100重量部中に、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜35℃であるスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが10〜80重量部含まれること、
前記スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスによる乾燥被膜の破断伸度が5%〜400%であること、
前記第2処理剤のレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)中に、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜35℃であるスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが含まれること、および
前記第1処理剤による被膜の樹脂付着量が1〜4重量%、前記第2処理剤による被膜の樹脂付着量が1〜4重量%であり、かつ、これら第1処理剤による被膜と第2処理剤による被膜の合計の樹脂付着量が2〜6重量%であること、
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0017】
また、本発明のタイヤは、上記のゴム補強用ポリエステル繊維コードをキャッププライ部材に使用してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高弾性率を有し、かつゴム加硫工程や製品使用中に、ゴム中で長時間高温に曝された時の耐熱接着性、耐熱強力保持性が著しく改善され、かつ耐疲労性が実用上十分であるゴム補強用ポリエステル繊維コードが得られる。本発明によるポリエステル繊維コードで補強されたゴム製品は、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に長期間の過酷な使用に耐えることができる。特に、従来のポリエステル繊維コードでは適用できなかったラヂアルタイヤのキャッププライコードとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明について詳述する。
【0020】
本発明で用いるポリエステル繊維は、ジカルボン酸とグリコール成分とからなるポリエステルからなり、特にテレフタール酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0021】
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードは、高強度、高タフネス、高弾性率、低収縮、高耐疲労性等の優れた機械的特性を有し、かつゴム中で高温に長時間曝されても優れた耐加水分解性や耐アミン分解性等の優れた化学的耐久性を有するため、本発明で用いるポリエステル繊維は、以下の特性を有することが好ましい。
(1)固有粘度(IV)=0.7〜1.2、より好ましくは0.8〜1.1
(2)カルボキシル末端基(COOH)=10〜30eq/t、より好ましくは12〜25eq/t
(3)ジエチレングリコール(DEG)の含有量=0.5〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.2重量%
(4)強度(T)=6.0〜10.0cN/dtex、より好ましくは7.0〜9.0cN/dtex
(5)伸度(E)=8〜20%、より好ましくは10〜16%
(6)中間伸度(ME)=4.0〜6.5%、より好ましくは4.5〜6.0%
(7)乾熱収縮率(ΔS150℃)=2.0〜12.0%、より好ましくは3.0〜10.0%
【0022】
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードに用いるポリエステル繊維が特に化学的耐久性を有するためには、粘度が高く、カルボキシル末端基が少なく、ジエチレングリコールが少ないことが有利である。
【0023】
本発明で用いるポリエステル繊維は、カルボキシ末端基を少なくするため、例えばカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物およびオキサゾリン化合物などの末端カルボキシル基封鎖剤を用いて改質されていてもよい。
【0024】
また、本発明のポリエステル繊維は、あらかじめ製糸工程においてポリエポキシド化合物が付与されたものであってもよい。本発明で使用することのできるポリエポキシド化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.1g当量以上含有する化合物を挙げることができる。具体的には、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酸化または過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、すなわち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキリレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペート、フェノールノボラック型、ハイドロキノン型、ビフェニル型、ビスフェノールS型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシフェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェノール型のポリエポキシド等の芳香族ポリエポキシド等が挙げられる。特に好ましいのは、ソルビトールグリシジルエーテル型やクレゾールノボラック型のポリエポキシドである。
【0025】
これらの化合物は、通常は乳化液として使用されるが、乳化液、又は溶液にするには、該化合物をそのままか、もしくは必要に応じて少量の溶媒に溶解したものを公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化又は溶解して用いる。
【0026】
該ポリエポキシド化合物は、ポリエステル繊維の製糸工程において紡糸油剤と共に付与される。この際の該ポリエポキシド化合物の付着量は、0.1〜5重量%の範囲である。該ポリエポキシド化合物の付着量が0.1重量%未満では、ポリエポキシド化合物の効果が十分に発揮されず、ポリエステル繊維とゴムとの間で満足できる接着性が得られないおそれがある。一方、該ポリエポキシド化合物の付着量が5重量%を超えると繊維が非常に硬くなり、製糸工程において付与することが困難であるだけでなく、次工程以降で処理する処理剤の浸透性が低下する結果、接着性能が低下するため好ましくない。
【0027】
本発明で用いるポリエステル繊維は、繊度、フィラメント数、断面形状等の制約を受けないが、通常、200〜5000dtex、30〜1000フィラメント、円断面糸が用いられ、250〜3000dtex、50〜500フィラメント、円断面糸が好ましい。
【0028】
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードは、上記ポリエステル繊維を撚糸して生コードとし、生コードそのまま、または生簾反に製織した後接着剤処理して得られる。通常のカーカス用タイヤコードに用いる生コードは、SまたはZ方向に下撚りした後、2本または3本の下撚りコードを合わせて下撚りと反対方向に通常同数の上撚りをかけ諸撚りコードとしたものである。次いで該生コードを経糸とし、緯糸に綿糸、またはポリエステル繊維に綿糸をカバリングして緯糸とし、生簾反に製織する。次に、該生簾反を接着剤処理してディップ反が得られる。
【0029】
一方、ホースやベルト、およびキャッププライコードの場合には、下撚りをかけ、下撚りコードのまま、あるいは前記と同様、2本または3本合わせて下撚りと反対方向に通常同数の上撚りをかけて諸撚りコードとし、コード形態のまま接着剤処理してディップコードとする。
【0030】
本発明の接着剤が付与されたゴム補強用ポリエステル繊維コードとは、上記ディップ反およびディップコードの両者を指す。
【0031】
本発明のポリエステル繊維コードは、下撚りおよび上撚りを施された撚糸コードであることが好ましい。この時、下撚り係数K1が、600≦K1≦2000であることが好ましく、より好ましくは800≦K1≦2000、さらに好ましくは1000≦K1≦2000であるのが良い。下撚り係数が好ましい範囲を外れると、高温暴露後の接着力が低下したり、ゴム中での耐疲労性が悪化したりすることがある。また、上撚り係数K2は、800≦K2≦3000であることが好ましく、より好ましくは1200≦K2≦3000、さらに好ましくは1600≦K2≦3000であるのが良い。上撚り係数が好ましい範囲を外れると、高温暴露後の接着力が低下したり、ゴム中での耐疲労性が悪化したりすることがある。(ただし、K=T×D1/2、K:撚り係数、T:単位長さあたりの撚り数(回/10cm)、D:繊度)
【0032】
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードは、ポリエステル繊維が、オキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスを含む第1処理剤によって被覆され、さらにその外層にレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなるものである。
【0033】
本発明で使用するオキサゾリン基を有する化合物とは、一般の有機化合物または有機ポリマー、オリゴマーを主骨格とした物質の末端または側鎖にオキサゾリン基(好ましくは2−オキサゾリン基)を有する化合物をいう。オキサゾリン基は、その骨格に1つまたは2つ以上持つことができるが、接着性能の向上のためには反応性官能基であるオキサゾリン基を多く持つ方がより好ましい。オキサゾリン基含有物質の主鎖の骨格としては、炭化水素鎖、エチレングリコール鎖、ビスフェノールA等のビスフェノール類やフェノール樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などの初期重合物が用いられ、それらの分子骨格中には芳香環や複素環を含む物質も使用される。さらに主成分モノマー及び/またはそれからなるポリマーやオリゴマーの末端や側鎖にオキサゾリン基を含有する物質も有用である。これらのモノマーとしては、スチレン、スチレン誘導体、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸、エチレン、ブタジエン、アクリルアミドなどが用いられ、これらは単独のポリマー及び/またはオリゴマーとして、さらに共重合物質としても使用される。また、これらの混合物としても使用できる。
【0034】
オキサゾリン基含有物質の形態としては、液状、溶融状、固体またはこれらを溶解しうる水や有機溶媒中での溶液状、さらに水などに分散した懸濁液状(エマルジョン粒子、ラテックス粒子状など)で使用される。例えばかかる化合物をそのままあるいは必要に応じて少量の溶媒に溶解したものを、公知の乳化剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化又は溶解する方法を用いてもよい。
【0035】
さらに、オキサゾリン基を有する化合物はガラス転移温度(Tg)が−20℃〜70℃であることが好ましい。この範囲をはずれると耐熱接着力が不足することがある。
【0036】
第1処理剤の全固形分に対するオキサゾリン基を有する化合物の割合は、乾燥重量で下限として5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上である。また上限としては50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは40重量%以下である。5重量%未満であると、接着力が不足することがあり、50重量%を超えると、コードが硬くなり、耐疲労性が悪化することがある。
【0037】
本発明における第1処理剤に使用できるゴムラテックスは、第1処理剤の全固形分100重量%中に30〜70重量%含まれる必要があり、より好ましくは30〜60重量%である。この範囲より多いと接着力が不足することがあり、この範囲より少ないと耐疲労性が悪化することがある。
【0038】
本発明に使用できるゴムラテックスは、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン・ブタジエン・ゴムラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することができる。中でも、スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが含まれることが耐熱接着性向上の観点から最も好ましい。
【0039】
ここで用いられるエチレン系不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、およびアクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩、アクリルアミドプロパンスルホン酸などの不飽和スルホン酸またはそのアルカリ塩などが挙げられ、これらは一種もしくは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
なお、カルボキシル基はエチレン性不飽和酸エステル単量体またはエチレン系不飽和酸無水物単量体を共重合した後に加水分解することによってラテックスに導入してもよい。エチレン系不飽和酸エステル単量体やエチレン系不飽和酸無水物単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸のモノ、ジ、又はトリエステル、およびマレイン酸無水物などが例示され、これらの一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
また、ゴムとの接着性および耐屈曲疲労性を両立させる観点から、前記スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスは、ガラス転位温度(Tg)が、0〜35℃であること好ましく、より好ましくは5〜30℃であるのが良い。
【0042】
さらには、コードの柔軟性、耐屈曲疲労性を向上させる観点から、前記スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスによる乾燥被膜の破断伸度が5%〜400%であることが好ましく、さらに好ましくは、10%〜300%である。
【0043】
本発明における第1処理剤に使用できるゴムラテックスは、前記スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス以外にもゴムラテックスを混合することができるが、耐熱接着性をより向上させる観点から、スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスと他のゴムラテックスの固形分合計量を100重量部として、スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが10〜80重量部(乾燥重量部)含有されるように添加することが好ましい。他のゴムラテックスとしては特に限定されないが、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスが好適に使用できる。
【0044】
本発明の第1処理剤には、耐熱接着性を向上させる観点からエポキシ化合物を混合することが好ましい。本発明に使用できるエポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものである。
【0045】
分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は、例えば、分子内に水酸基を有する化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に不飽和結合を有する化合物から得られる環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプが分子内に混在するエポキシ樹脂などである。
【0046】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノールと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールSと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、多価アルコール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物であるポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるエポキシ樹脂、その他ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲンあるいはアルキル置換体などを使用することができる。
【0047】
本発明で使用する第1処理剤の、後述する実施例記載の方法により得られる乾燥皮膜のデュロメーター硬さは、A40〜A80の範囲にある必要があり、好ましくはA40〜A70の範囲である。さらに、第1処理剤の、後述する実施例記載の方法により得られる乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後のデュロメーター硬さは、A50〜A90の範囲にあることが必要であり、好ましくはA60〜A80の範囲である。デュロメーター硬さがこの範囲より下の値であると耐熱接着力が悪化することがあり、この範囲より上の値であると耐熱接着力や耐疲労性が悪化することがある。処理剤による被膜のデュロメーター硬さは、後述する方法にて測定でき、このデュロメーター硬さは、処理剤に混合される薬剤種、混合比によって調整可能である。
【0048】
本発明で使用する第1処理剤の、後述する実施例記載の方法により得られる乾燥皮膜の破断伸度は、300%〜1000%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは400%〜900%の範囲である。さらに、後述する実施例記載の方法により得られる乾燥被膜を170℃で70分間熱処理した後の破断伸度は、150〜700%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは200〜600%の範囲である。破断伸度がこの範囲より下の値であると、耐熱接着力や耐疲労性が悪化することがあり、この範囲より上の値であると耐熱接着力が悪化することがある。処理剤による被膜の破断伸度は、後述する方法にて測定でき、破断伸度は、処理剤に混合される薬剤種、混合比によって調整可能である。
【0049】
また、本発明で使用する第1処理剤の、後述する実施例記載の方法により得られる乾燥皮膜の引張強度は1MPa〜6MPaの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1MPa〜4MPaの範囲である。さらに、第1処理剤の、後述する実施例記載の方法により得られる乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後の引張強度は2MPa〜7MPaの範囲にあることが好ましく、より好ましくは2.5MPa〜6MPaの範囲である。引張強度がこの範囲外であると、耐熱接着力や耐疲労性が悪化することがある。処理剤による被膜の引張強度は後述する方法にて測定でき、引張強度は、処理剤に混合される薬剤種、混合比によって調整可能である。
【0050】
ポリエステル繊維に対する第1接着処理剤による被膜の固形分付着量は、繊維重量に対して1〜4重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲であるのが良い。固形分付着量が低すぎると、接着性が低下し、一方固形分付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下するため好ましくない。
【0051】
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードの第2処理剤の主成分は、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスからなる。該レゾルシン・ホルムアルデヒドは、特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物を用いて調製することが好ましい。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルムアルデヒドを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
【0052】
レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1:0.3〜1:5、好ましくは1:0.75〜1:2.0の範囲のものを用いる。ホルムアルデヒドのモル比が前記範囲よりも少ないと、処理コードが粘着性を帯び、処理機の汚れを招くことがあり、一方、ホルムアルデヒドのモル比がこの範囲よりも多いと、接着性が不十分になることがある。
【0053】
レゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックスの調製に用いるゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエン−ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン−ゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することができる。中でも、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスを単独、又は他のものと併用して使用することが好ましい。さらに好ましくは、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン−ゴムラテックスに、エチレン系不飽和酸が共重合されてなるスチレン−ブタジエン−ビニルピリジン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスを単独又は他のものと併用して使用することが好ましい。
【0054】
ここで用いられるエチレン系不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、およびアクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩、アクリルアミドプロパンスルホン酸などの不飽和スルホン酸またはそのアルカリ塩などが挙げられ、これらは一種もしくは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
なお、カルボキシル基はエチレン性不飽和酸エステル単量体またはエチレン系不飽和酸無水物単量体を共重合した後に加水分解することによってラテックスに導入してもよい。エチレン系不飽和酸エステル単量体やエチレン系不飽和酸無水物単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸のモノ、ジ、又はトリエステル、およびマレイン酸無水物などが例示され、これらの一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
さらに、本発明の第2処理剤には、ガラス転移温度(Tg)が、0℃〜35℃であるスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス、より好ましくは5〜30℃であるスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが含まれていることが、耐熱接着性向上の観点から好ましい。
【0057】
レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックス(RFL)におけるレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で1:3〜1:8であることが好ましく、1:4〜1:6の範囲であることがさらに好ましい。この範囲を外れると接着性が不十分になることがある。また、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスと、上記フェノール系化合物の配合比率は、固形分重量比で、10:1〜10:5であることが好ましく、より好ましくは10:2〜10:4であることが良い。この範囲を外れると接着性が不十分になることがある。
【0058】
また、本発明の第2処理剤には、接着性をさらに向上させる観点から、(P)クロロ変性レゾルシンを含有させることができる。(P)クロロ変性レゾルシンとは、パラクロロフェノールとホルマリンおよびレゾルシンを縮合した化合物であり、下記一般式(I)で表されるフェノール系化合物である。
【0059】
【化1】

【0060】
ただし、式中のWはCH、またはS、S−Sを、X、Yの少なくとも一部はClを示し、残りはBr、I、H、OHおよびC〜Cのアルキル基から選ばれた基を示し、mは1〜15の整数である。上記式で示されるクロロ変性レゾルシンは、ハロゲン化フェノール化合物とホルムアルデヒドとの初期縮合物、硫黄変性レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合粒またはハロゲン化硫黄変性レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物である。
【0061】
これら(P)クロロ変性レゾルシンの調整方法は特に限定されないが、例えば、パラクロロフェノール、オルソクロロフェノール、パラブロモフェノール、パラヨウドフェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、パラターシャルブチルフェノールおよび2,5−ジメチルフェノールなどが出発原料として挙げられ、なかでもパラクロロフェノール、パラブロモフェノール、パラクレゾール、およびパラターシャルブチルフェノールが、とくにパラクロロフェノールが好ましく用いられる。
【0062】
このような出発原料をアルカリ触媒存在下にホルムアルデヒドと縮合させることによって、または、出発原料を予め酸触媒の存在下で反応させ得られた縮合物をアルカリ触媒の存在下でホルムアルデヒドと反応させることによって、フェノール系化合物を得ることができる。
【0063】
(P)クロロ変性レゾルシンの具体例としては、2,6−ビス(2’,4’−ジヒドロキシ−フェニルメチル)−4−クロロフェノール(トーマスワン(株)製“カサボンド”、ナガセ化成工業(株)製“デナボンド”など)が挙げられるが、なかでも特にベンゼン核を3以上有するクロロフェノール化合物を主成分とするものが接着性および工程通過性の点から好ましく用いられる。
【0064】
上記一般式(I)で表される(P)クロロ変性レゾルシンとレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)との配合比は、固形分重量比でP/RFL=1/1〜1/5であることが好ましく、さらに好ましくはP/RFL=1/2〜1/4であるのが良い。P/RFL>1/1の場合は、コードが硬くなることがあり、P/RFL<1/5の場合は接着性が低下することがある。
【0065】
また、本発明の第2処理剤には、接着性をさらに向上させる観点から、ブロックドポリイソシアネート化合物、および/またはエチレンイミン化合物を含有させることができる。
【0066】
本発明に使用できるブロックドポリイソシアネート化合物、および/またはエチレンイミン化合物としては、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物と、フェノール、クレゾール、レゾルシンなどのフェノール類、ε−カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類およびエチレンイミンなどのブロック化剤との反応物が挙げられる。これらの化合物のうち、特にε−カプロラクタムでブロックされた芳香族ポリイソシアネート化合物、およびジフェニルメタンジエチレン尿素などの芳香族エチレン尿素化合物が好ましく用いることができる。
【0067】
本発明のポリエステル繊維コードにおいて、第2接着処理剤による被膜の樹脂分付着量は、繊維重量に対して1〜4重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲である。樹脂付着量が低すぎると、接着性が低下し、一方樹脂付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下したり、また、工程中のロールに固形分がガムアップし、操業安定性が悪化したりすることがある。
【0068】
また、本発明のポリエステルコードにおいて、第1処理剤による被膜と第2処理剤による被膜の合計の樹脂付着量は、繊維重量に対して2〜6重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.5〜5.5重量%の範囲である。樹脂付着量が低すぎると、接着性が低下し、一方樹脂付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下したり、また、工程中のロールに固形分がガムアップし、操業安定性が悪化したりすることがある。
【0069】
上記によって特徴づけられる本発明のポリエステル繊維コードは、ゴム加硫工程やゴム製品使用中、長時間高温に曝された時の耐熱接着性、耐熱強力保持性が著しく改善される。本発明によるポリエステル繊維コードで補強されたゴム製品は、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に長期間の過酷な使用に耐えることができる。特に、従来のポリエステル繊維コードでは適用できなかったラヂアルタイヤのキャッププライコードとして好適である。
【0070】
次に、本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードの製造方法について説明する。
【0071】
本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードは、接着剤が付与されたゴム補強用ポリエステル繊維コードを2浴ディップ法によって製造する方法においては、オキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスを含む第1処理剤を付与し、2浴目でレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを含む第2処理剤を付与することによって得ることが好ましい。
【0072】
本発明で用いるポリエステル繊維は、撚糸して前記した撚り係数の生コードとなし、次いで同様に簾織り用織機を用いてコード簾反とする。ホース、ベルトおよびキャッププライコードの場合には下撚りコードまたは諸糸コードのまま、製織することなく次のディッピング工程に供することもある。
【0073】
本発明は2浴ディップ法によって製造することが可能で、1浴目でオキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスを含む第1処理剤を付与し、2浴目でレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤を付与することが好ましい。
【0074】
1浴目でオキサゾリン基とゴムラテックスを有する化合物を含む第1処理剤を付与する方法は、該成分を含む接着剤を水溶液または水分散体として調整したディップ液に、ポリエステル繊維生コードまたは生コード簾を浸漬し、次いで乾燥、熱処理することによって行われる。該1浴目のディップ液の総固形分濃度は、2〜20重量%、好ましくは3〜15重量%の範囲で使用することがよい。該固形分濃度が低すぎると接着剤表面張力が増加し、ポリエステル繊維表面に対する均一付着性が低下すると共に、固形分付着量が低下することによって接着性が低下し、また、該固形分濃度が高すぎると、固形分付着量が多くなり過ぎることに起因して、コードが硬くなり、耐疲労性が低下することがあるため好ましくない。
【0075】
また、1浴目のディップ液には分散剤、すなわち界面活性剤を該ディップ液の全固形分に対し、10重量%以下、好ましくは、5重量%以下で用いることが好ましい。10重量%を越えると接着性が低下する。
【0076】
ポリエステル繊維に対する1浴目のディップ液の固形分付着量は、繊維重量に対して1〜4重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲である。固形分付着量が低すぎると、接着性が低下し、一方固形分付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下することがある。該ポリエステル繊維に対する固形分付着量を制御するためには、例えば、ディップ液に浸漬した後圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧力空気による飛ばし、吸引等の方法を使用することができる。また、付着量を多くするために、複数回付着させることもできる。
【0077】
1浴目のディップ液を付与したポリエステル繊維コードは、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥後(以下ドライ処理と呼ぶ)、200〜255℃で0.5〜5分間熱処理(以下ホット処理と呼ぶ)して繊維表面に接着剤による被膜を形成させるが、場合によっては乾燥を省略することもできる。
【0078】
上記熱処理の温度が200℃未満では、繊維上への接着剤による被膜の形成およびゴムとの反応が不十分で、接着力が不十分となることがあり、一方、255℃を越える高温では、繊維上に形成された処理剤による被膜が劣化して接着力が低下したり、ポリエステル繊維が熱劣化し、強力が低下したりするため好ましくない。
【0079】
上記のように1浴目のディップ液を付与した後、引き続き、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤を付着させる。
【0080】
レゾルシン・ホルマリン・ラテックスを含む2浴目ディップ液は、固形分濃度が5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。5重量%未満であると、2浴目のディップ液の固形分付着量が不十分となり、接着力が十分でないことがある。固形分濃度が30重量%を超えると、該ディップ液の保存安定性が悪くなり、固形分が凝集して濃度変化がおこり、ポリエステル繊維コード表面にディップ液を均一に付着させることが困難となる。
【0081】
ポリエステル繊維コードに対する該2浴目の固形分付着量は、1〜4重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲である。固形分付着量が低すぎると、接着性が低下することがあり、一方固形分付着量が高すぎると、コードが硬くなり、耐疲労性が低下することがあり、また、処理工程上でのロールに固形分のガムアップが生じ、操業安定性が悪化することがある。
【0082】
ポリエステル繊維に対する固形分付着量を制御するには、例えば、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧空による吹き飛ばし、吸引等の方法を使用することができる。また、付着量を多くするために、複数回付着させてもよい。
【0083】
2浴目ディップ液を付与したポリエステル繊維コードは、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥(ドライ処理)した後、200〜255℃で0.5〜5分間熱処理し(ホット処理)、続いてコード物性制御のため、200〜255℃で0.5〜5分間熱処理(以下ノルマライズ処理と呼ぶ)ことによって、繊維表面に接着剤による被膜を形成できるが、場合によっては乾燥を省略することもできる。ホット処理およびノルマライズ処理の温度が200℃未満では、繊維上への接着剤による被膜の形成およびゴムとの接着が不十分となることがあり、一方、255℃を越える高温では、繊維上に形成された処理剤による被膜が劣化して接着力が低下したり、ポリエステル繊維が熱劣化を起こし、強力低下したりするため好ましくない。
【0084】
上記2浴ディップ法によって製造された本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードは、オキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスを含む第1処理剤層とレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを含む第2処理剤層からなるゴム補強用ポリエステル繊維コードとなる。そして、耐熱接着性および耐熱強力保持性に優れ、かつ耐疲労性が実用上十分であり、従来のタイヤカーカス材、ホースおよびベルト等のゴム資材として用いたとき、長期間、過酷な使用に耐え、従来適用できなかったタイヤのキャッププライ部材として好適に使用できる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明においてゴム補強用ポリエステル繊維コードの物性の測定方法、評価方法は以下に示すとおりである。
【0086】
(1)樹脂付着量
一定長さあたりの撚糸コードの重量を予め測定しておき、接着剤処理後の同一長さのコード重量を測定することで、差分としての樹脂付着量を計算した。
【0087】
(2)T−初期接着力およびT−耐熱接着力
処理コードとゴムとの接着力を示すものである。JIS L−1017(2002)の接着力−A法に従って、処理コードを未加硫ゴムに埋め込み、加圧下で初期接着力は、150℃、30分、耐熱接着力は170℃、70分間プレス加硫を行い、放冷後、コードをゴムブロックから300mm/minの速度で引き抜き、その引き抜きに要した加重をN/cmで表示した。
【0088】
なお、T−接着力の測定に使用したゴムコンパウンドの組成は下記のとおりである。 天然ゴム (RSS#1):70(重量部)
SBR(JSR1501):30(重量部)
RFカーボンブラック:40(重量部)
ステアリン酸:2(重量部)
硫黄:2(重量部)
亜鉛華:5(重量部)
2,2’−ジチオベンゾチアゾール:4(重量部)
ナフテン酸プロセスオイル:3(重量部)。
【0089】
(3)デュロメーター硬さ
第1処理剤の水分散体を乾燥後の被膜の厚みが5mmとなるようにガラス板に塗工し、室温で72時間乾燥した後ガラス板から剥離し120℃オーブンで15分間熱処理したものを乾燥皮膜とし、これを2枚重ねて厚みを10mmとしたものを用意した。また、乾燥皮膜をさらに170℃オーブンで70分間熱処理し2枚重ねて厚みを10mmとしたものを用意した。これらを、タイプAデュロメータ(島津製作所製)を用いて、JIS K−6253(2006)の6.デュロメータ硬さ試験により評価した。A90を越える場合はA90超とした。
【0090】
(4)第1処理剤による乾燥皮膜と乾燥被膜の170℃70分間熱処理後の引張強度および破断伸度
第1処理剤の水分散体を乾燥後の被膜の厚みが2mmとなるようにガラス板に塗工し、室温で72時間乾燥した後、ガラス板から剥離し120℃オーブンで15分間熱処理したものを乾燥皮膜とし、これと、乾燥皮膜をさらに170℃オーブンで70分間熱処理したものを用意した。これらを2号ダンベル型で打ち抜き、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型試験機を用いて、25℃雰囲気下でクロスヘッドスピード300mm/分で引張試験を行った。
【0091】
(5)スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスによる乾燥被膜の破断伸度
スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスに、ポリアクリル酸ソーダを固形分重量で0.5%の割合で添加し、混合、ガラス板上に塗布し、室温で1日間乾燥する。フィルム状(厚み約0.5mm)のサンプルをさらに、120℃15分間加熱し、乾燥ラテックスフィルムとした。これを2号ダンベル型で打ち抜き、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型試験機を用いて、25℃雰囲気下でクロスヘッドスピード300mm/分で引張試験を行った。
【0092】
(6)ゴム中耐疲労性(保持率)
JIS−L1017(2002)附属書1の2.2.2 ディスク疲労強さ(グッドリッチ法)により評価した。処理コード2本をタイヤ用ゴム中に埋め込み、150℃で30分間加硫して、ゴムコンポジットを作成する。この試験片を圧縮6.3%、伸張12.6%を1サイクルとする変形を2600サイクル/分で48時間与えた後、ゴムからコードを取り出して疲労後の破断強力を測定し、該疲労試験前後の保持率で表したものである。
【0093】
(7)タイヤ高速耐久性
ドラム試験機により、JIS D4230(1998)6.3に規定される耐久性能試験を終了した後、さらに30分毎に速度を10km/h単位で増加させてタイヤが破壊するまでの走行距離を測定した。評価は、従来キャッププライ用に使用されているナイロン66処理コード(ナイロン66、1400T/2、37×37(t/10cm)、2cN/dTex時伸度7.8%)をキャッププライに適用したタイヤの評価結果を100とする指数で示した。指数値が大きいほど高速耐久性に優れていることを意味する。
【0094】
(8)タイヤロードノイズ
タイヤサイズが195/65R15で空気入りラジアルタイヤを製作し、以下の試験を行った。タイヤに空気圧200kPaを充填し、排気量2000ccの乗用車に装着し粗い路面を速度60km/hで走行させながら、運転席の窓側耳許位置に設置した集音マイクを介して、狭帯域240Hzの付近の気柱共鳴音のピーク値の音圧レベルを測定し、該測定値からロードノイズを評価した。評価は、従来キャッププライ用に使用されているナイロン66処理コード(ナイロン66、1400T/2、37×37(t/10cm)、2cN/dTex時伸度7.8%)をキャッププライに適用したタイヤの評価結果を100とする指数で示した。指数値が小さいほどロードノイズが低く、優れていることを示す。
【0095】
(9)スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスのガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計装置(DSC−50:島津製作所製)を用いて測定した。予め、常温にて乾燥させたラテックス10mgを所定のアルミニウム−パンに封入し、−50℃から100℃まで速度5℃/minで昇温し、各ラテックスのガラス転移温度を測定した。
【0096】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
オキサゾリン基含有アクリル・スチレン系共重合体エマルジョン(“エポクロス”K2030E(Tg=50℃、株式会社日本触媒製))、グリセロールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(“デナコール”EX614B(ナガセ化成社製))、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2518FS(日本ゼオン社製))、スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス(“ナルスター”SR−100(日本A&L社製))、スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス(“ナルスター”SR−104(日本A&L社製))、スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス(“ナルスター”SR−108(日本A&L社製))、ブロックイソシアネート化合物(“エラストロン”BN69(第一工業製薬社製))を、それぞれ表1〜2に示す固形分重量比にて混合し、総固形分量5.0重量%の接着剤を得た(第1処理剤)。なお、表1〜2における記号内容は以下に示すとおりである。
A:オキサゾリン基含有アクリル・スチレン系共重合体エマルジョンの配合割合(重量部)
B:グリセロールポリグリシジルエーテルの配合割合(重量部)
C1:ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(RFL)の配合割合(重量部)
C2〜C4:スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスの配合割合(重量部)
D:ブロックイソシアネート化合物の配合割合(重量部)
【0097】
第1処理剤による乾燥皮膜のデュロメーター硬さ、引張強度、破断伸度をそれぞれ測定した。その結果を表1〜2に示す。
【0098】
レゾルシン/ホルマリンのモル比を1/1.4の割合で、苛性ソーダの存在下混合し、固形分濃度が10%となるように調整し、2時間熟成することで、レゾルシン/ホルマリンの初期縮合物を得た。次にこの初期縮合物(RF)と、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(PYRATEX−LB(日本エイアンドエル社製))とスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス(SR100(日本エイアンドエル社製))の混合物(固形分重量比で100/20)(L)を、RF/L=1/5(固形分重量比)の割合で混合し、24時間熟成した。さらに、クロロ変性レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(“デナボンド−E”(ナガセ化成社製))を、上記レゾルシン・ホルマリン・ラテックスの固形分重量100重量部に対し、20部混合させ、さらに20時間熟成した。この混合物を水で希釈し、固形分重量15%の接着剤を得た(第2処理剤)。
【0099】
なお上記ラテックス「スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックス」のガラス転移温度および乾燥被膜の破断伸度は次のとおりであった。
C2:SR−100(ガラス転移温度:25℃、破断伸度:25%)
C3:SR−104(ガラス転移温度:3℃、破断伸度:450%)
C4:SR−108(ガラス転移温度:−9℃、破断伸度:300%)
1100dTexのポリエステルマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”1100−240−705M)2本を、下撚り47回/10cm、上撚り47回/10cmの撚り数で撚糸して、未処理コードとした。
【0100】
該未処理コードをコンピュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製)を用いて、前記の第1処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で1分間の熱処理(ホット処理)を行った。続いて、第2処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で0.5分間熱処理(ホット処理)を行い、さらに、240℃で0.5分間熱処理(ノルマライズ処理)を行った。
【0101】
得られた処理コードを未加硫ゴムに埋め込み加硫を行った後、T−初期接着力、T−耐熱接着力をそれぞれ測定した。その結果を表1(実施例1+比較例1〜5)および表2(実施例1〜6)に示す。また、得られたコードでタイヤを作製し、タイヤ評価を行った結果もあわせて表1〜表2に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
表1〜表2の結果のように、本発明による実施例1〜6の場合、従来のゴム補強用ポリエステル繊維(比較例1〜5)よりも、ゴム中での耐熱接着性および耐疲労性が良好であり、さらにタイヤキャッププライ材として高速耐久性、ロードノイズが良好であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本発明のゴム補強用ポリエステル繊維コードは、耐熱接着性および耐熱強力保持性に優れ、かつ耐疲労性が実用上十分であり、従来のタイヤカーカス材、ホースおよびベルト等のゴム資材として用いたとき、長期間、過酷な使用に耐え、従来適用できなかったタイヤのキャッププライ部材として好適に使用できることから、当該産業分野へ貢献するところが大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル繊維が、オキサゾリン基を有する化合物とゴムラテックスが含まれる第1処理剤によって被覆され、さらにその外層がレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、前記第1処理剤は全固形分を100重量%中に、ゴムラテックスを30〜70重量%含むものであり、かつ、この第1処理剤による乾燥皮膜のデュロメーター硬さがA40〜A80であり、さらに、前記第1処理剤による乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後のデュロメーター硬さがA50〜A90であることを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項2】
前記第1処理剤による乾燥皮膜の破断伸度が300%〜1000%であり、かつこの第1処理剤による乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後の破断伸度が150%〜700%であることを特徴とする請求項1記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項3】
前記第1処理剤による乾燥皮膜の引張強度が1MPa〜6MPaであり、かつこの第1処理剤による乾燥皮膜を170℃で70分間熱処理した後の引張強度が2MPa〜7MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項4】
前記第1処理剤に含まれるゴムラテックスの全固形分100重量部中に、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜35℃であるスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが10〜80重量部含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項5】
前記スチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスによる乾燥被膜の破断伸度が5%〜400%であることを特徴とする請求項4に記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項6】
前記第2処理剤のレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)中に、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜35℃であるスチレン−ブタジエン−エチレン系不飽和酸単量体共重合ラテックスが含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項7】
前記第1処理剤による被膜の樹脂付着量が1〜4重量%、前記第2処理剤による被膜の樹脂付着量が1〜4重量%であり、かつ、これら第1処理剤による被膜と第2処理剤による被膜の合計の樹脂付着量が2〜6重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コード。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のゴム補強用ポリエステル繊維コードをキャッププライ部材に使用してなることを特徴とするタイヤ。

【公開番号】特開2011−26743(P2011−26743A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175284(P2009−175284)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】