説明

ゴーヤー(Momordicacharantia)又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を含む皮膚明色化組成物

ゴーヤー又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を含む皮膚明色化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚明色化剤、哺乳類の皮膚中のメラニンの生成を阻害するためのこれらの作用剤の使用、及びこれらの使用に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然に、より黒っぽい皮膚タイプを有する人々の一部は、彼(女)らの全体的の皮膚色における明色化の程度を誘起することを望む。皮膚の色は、表皮中にあるメラノサイトによって皮膚の内部で生成される物質である、メラニンの量と型によって主に決定される。メラニンは、2つの形態、すなわち、黒色メラニン(dark melanin)及び肌色メラニン(light melanin)において存在する。黒色メラニンの生成が減少、及び/又は、黒色メラニンに対する肌色メラニンの生成の比率が増加すると、皮膚明色化は起こる。
【非特許文献1】McCutcheon's Detergents and Emulsifiers, North American Edition, pages 317-324 (1986)
【特許文献1】米国特許第4,663,157号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
我々は、野菜ゴーヤーの抽出物とマツ樹皮抽出物との組合せが相乗的に黒色メラニンの生成を減少させることをここに発見した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明はゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を含む皮膚明色化組成物を提供する。
【0005】
本発明は、また、哺乳類の皮膚中のメラニンの生成を阻害するための方法であって、上記ヒトに、有効量のゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を投与することを含む方法を提供する。
【0006】
関連する態様として、本発明はさらに、哺乳類の皮膚中のメラニンの生成の阻害のために使用するための、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を提供する。
【0007】
本発明はさらに、哺乳類の皮膚中の黒色メラニンに対する肌色メラニンの比率を増加させるための方法であって、上記哺乳類に、有効量のゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を投与することを含む方法を提供する。
【0008】
本発明は、また、哺乳類の皮膚中の黒色メラニンに対する肌色メラニンの比率を増加するために使用するための、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物の使用を提供する。
【0009】
別の態様においては、本発明は、哺乳類の皮膚中のメラニンの生成を阻害、及び/又は、黒色メラニンに対する肌色メラニンの比率を増加させるための組成物の製造における、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物の使用を提供する。
【0010】
本発明は、また、個体の皮膚中における、メラノサイトからケラチノサイトへのメラニンの輸送を阻害するための方法であって、上記個体に、有効量のゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を投与することを含む方法を提供する。
[詳細な説明]
【0011】
別途規定しない限り、ここに用いられる全ての技術的及び科学的用語は、当業者により、一般的に理解されるものと同様の意味を持つものとする。
[組成物及び製品形態]
【0012】
本発明の組成物は、未加工のゴーヤー、又はその抽出物、及びマツ樹皮抽出物を含む。ゴーヤー(Momordica charantia)は、ビターメロン(bitter melon)としても知られている。
【0013】
抽出物と、それが由来する未加工の植物材料とは、未加工の野菜に存在する様々な成分が異なった量で存在していたり又は実質的に存在しない点で相違する。
【0014】
植物原料の抽出は、典型的に、溶媒抽出によりおこなわれる。植物材料の抽出物は、機械的処理、例えば、抽出前の轢き潰しを受けてもよい。「溶媒」は、極性の及び無極性有機溶媒、水、及びこれらの混合物を含む。好ましい溶媒は、アセトン、水、エタノール及びこれらの混合物である。抽出手順は、加熱工程を含んでもよい。溶媒抽出された成分は、更なる浄化/分離工程、例えば、クロマトグラフィー、又は、分別蒸留を受けてもよい。ここで使用される、「分留物」は、1以上のゴーヤー/マツ樹皮成分を含む溶媒の、あらゆる分留により得られた画分、例えば、クロマトグラフィー、又は、分別蒸留により得られた画分を意味する。
【0015】
好ましくは、マツ樹皮抽出物は、フランス海洋マツ(Pinus pinatus)の樹皮の抽出物である。これらの好ましい抽出物の1つはピクノジェノール(Pycnogenol)(登録商標)として入手できる。
【0016】
本発明の組成物は、局所的、及び/又は、全身的投与の形態で提供されてもよい。例えば、ゴーヤー及びマツ樹皮抽出物の両者が全身的に投与されてもよく、又は、両者が局所的に投与されてもよく、又は、一方が全身的に投与され、もう一方が局所的に投与されてもよい、例としては、ゴーヤーは全身的に、マツ樹皮抽出物が局所的に送達されてもよく、また、その逆でもよい。上記ゴーヤー成分は、2以上の異なる分留物、又は、2以上の異なる抽出方法による製品を含んでもよい。これらは、全てが全身的に、又は、全てが局所的に投与用されてもよく、又は、それぞれが局所的及び全身的送達形態に分割されてもよい。同様に、上記マツ樹皮抽出物は、2以上の異なる分留物、又は、2以上の異なる抽出方法による製品を含んでもよい。これらは、全てが全身的に、又は、全てが局所的に投与されてもよく、又は、それぞれが局所的及び全身的送達形態に分割されてもよい。好ましくは、ゴーヤー及びマツ樹皮抽出物は、別々の投与形態において提供され、マツ樹皮抽出物を含む投与形態はゴーヤーを含まず、また、その逆もいえる。
【0017】
このように、本発明に係る組成物のコンテクストにおいて、ここに使用される用語「組成物」は、両方とも、全ての必須成分を含有する分割できない組成物について言及する。しかし、上記用語は、全体的組成物の個々の成分、すなわち、ゴーヤー及びマツ樹皮抽出物が、1つの製品として一緒に供給される、2つの別々の組成上の形態に分割される場合をも包含する。例えば、製品は、その成分の全身的送達のための1の組成上形態、及び、その成分の局所的送達のための1の組成上形態を含んでもよい。これらの成分形態の組合せを含む製品の例は、スキンクリーム及び栄養補助錠剤である。
【0018】
[局所的組成物]
1の実施態様において、本発明の組成物は、局所的投与のために配合される、すなわち、上記組成物は局所的組成物の形態である。従って、本発明の組成物は被検者に局所的に、すなわち、皮膚上への組成物の直接塗布又は拡散により投与されてもよい。これらの組成物は、上述の活性物質の安全かつ有効量を、製薬的に許容可能な局所用の担体又は希釈剤、つまり、皮膚科学的に許容可能な担体又は希釈剤と組み合わせることにより調製してもよい。
【0019】
組成物は、それぞれの活性成分を、典型的に約0.01重量%〜約35重量%において、好ましくは、約0.1重量%〜約35重量%において、例えば、5又は10重量%〜約25重量%において含有する。
【0020】
この発明において有用な局所的組成物は、多種多様な製品型においてなされてもよい。これらは、ローション、クリーム、ジェル、スティック、スプレー、軟膏及びペーストを含むが、これらに制限されない。これらの製品は、いくつかの型の担体系を含んでもよく、その系は溶液、エマルション、ゲル、及び固体を含むが、これらに制限されない。
【0021】
溶液として配合された、本発明の有益な組成物は、典型的に、製薬的に許容可能な水性又は有機溶媒を含む。用語「製薬的に許容可能な水性溶媒」及び「製薬的に許容可能な有機溶媒」は、そこに活性物質を分散又は溶解することができ、かつ、許容可能な安全特性(例えば、刺激及び過敏化特性)を有する溶媒をいう。適切な有機溶媒の例は、以下を含む:プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200-600)、ポリプロピレングリコール(425-2025)、ポリビニルピロリジン、プロピレングリコール-14ブチルエーテル、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ブタンジオール、及び、これらの混合物。これらの組成物は、それぞれの活性物質を、好ましくは、約0.1重量%〜約20重量%において、より好ましくは、約1重量%〜約20重量%において、さらにより好ましくは、約1重量%〜約10重量%において含有する。
【0022】
この発明において有用な局所的組成物がエアゾールとして配合されて、スプレー(spray-on)として皮膚に適用されるならば、推進剤が、溶液組成物に添加される。
【0023】
局所的組成物は、皮膚軟化剤、すなわち、皮膚の保護並びに乾燥の防止又は軽減のために用いられる物質を含む溶液として配合されてもよい。多種多様な適切な皮膚軟化剤が公知となっており、ここに使用してもよい(Sagarin, Cosmetics, Science and Technology 2nd Edition, Vol. 1, pp. 32-43 (1972)参照)。これらの組成物は、局所的な製薬的に許容可能な皮膚軟化剤を、好ましくは、約2重量%〜約50重量%において含有する。
【0024】
担体がエマルションとして配合されるなら、好ましくは、担体系の約1重量%〜約10重量%において、より好ましくは、約2重量%〜約5重量%において、乳化剤を含む。乳化剤は非イオン性、アニオン性、又はカチオン性である。適切な乳化剤は、例えば、McCutcheon's Detergents and Emulsifiers, North American Edition, pages 317-324 (1986)に開示される。
【0025】
水中油型及び油中水型の単相エマルションスキンケア調剤、例えばローション及びクリーム、は、化粧品の分野において周知である。このようなエマルションは、活性物質の浸透を安定及び改良してもよい。多相エマルジョン組成物、例えば、水中油中水型のものを使用してもよい。一般に、これらの単相又は多相エマルションは、必須の成分として、水、皮膚軟化剤及び乳化剤を含有する。
【0026】
使用してもよいもう一つのエマルション担体系は、マイクロエマルション担体系である。
これらの系は、約9%〜約15%のスクアラン;約25%〜約40%のシリコーン油;約8%〜約20%の脂肪族アルコール;約15%〜約30%のポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸(商品名Tweensにおいて市場において入手可能なもの)又はその他の非イオン類;及び約25%〜約40%の水を含む。
【0027】
リポソーム配合物を使用してもよい。これらの配合物は活性物質を安定させてもよく、更に、適切に浸透しない活性物質の送達を改善してもよい。このような組成物は、最初に、活性物質を、リン脂質(例えばジパルミトイルフォスファジリルコリン)、コレステロール、及び水と、Mezei & Gulasekharam, Journal of Pharmaceutics and Pharmacology, Vol. 34 (1982), pp. 473-474に記載される方法又はその修正に基づいて、組み合わせることにより調製してもよい。リポソームを形成するための適切な組成物の中において、表皮性脂質でリン脂質を置換してもよい。リポソーム調剤は、リポソーム配合物を生産するために、上記の局所用の担体系(例えば、ジェル又は水中油型エマルション)の1つに、その後、取り込まれる。局所的に適用されるリポソーム類の他の組成物類、及び、化粧用/製薬的使用は、Mezei, M., "Liposomes as a Skin Drug Delivery System", Topics in Pharmaceutical Sciences (D. D. Breimer and P. Speiser, eds.), Elsevier Science Publishers B. V., New York, N.Y., 1985, pp. 345-358に記載される。
【0028】
上記局所的組成物がジェル又は化粧用スティックとして配合されるならば、これらの組成物は、クリーム又はローション配合物に適切な量の増粘剤を添加することによって配合してもよい。
【0029】
局所的組成物は、メイクアップ製品(例えばファンデーション)として配合してもよい。ファンデーションは、適切な量の増粘剤、顔料及び芳香剤を有する溶液又はローション系のものである。
【0030】
種々の水溶性物質が、組成物中に存在してもよい。これらは、湿潤薬、プロテイン及びポリペプチド並びに保存料を含む。加えて、ここで有用な局所的組成物は従来からの化粧用補助剤を含有してもよく、例えば、染料、明白化剤(例えば、二酸化チタン)、顔料及び香料が挙げられる。
【0031】
この発明において有用な局所的組成物は、浸透性改良剤を安全かつ有効な量において含んでもよい。浸透性改良剤の好ましい量は、上記組成物の約1%〜5%である。有用な浸透性改良剤の例は、米国特許6,068,834に記載される。他の従来からのスキンケア製品添加剤も、上記組成物に含有されてよい。例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、加水分解物、プリムローズオイル、ホホバ油、上皮細胞成長因子、大豆サポニン、ムコ多糖類、及びこれらの混合物を使用してもよい。
【0032】
望ましくは、本発明の組成物は、1以上の日焼け止め剤を含んでもよい。多種多様な従来からの日焼け止め剤は、例えば、Cosmetics, Science and Technology 2nd Edition (1972), Vol. 1, Chapter VIII, pages 189 et seqに開示される。米国特許6,068,834も参照されたい。
【0033】
上記日焼け止め剤は、活性物質と適合性でなければならない。上記組成物は、好ましくは、約1%〜約20%において、より好ましくは、約2%〜約10%の日焼け止め剤を含有する。正確な量は、選択される日焼け止め剤及び太陽光保護因子(SPF)に依存して変化する。
【0034】
本発明の組成物のいずれかに、それらの組成物の表皮永続性、特に、水により洗い流されること又は擦り落とされることに対する耐性、を改善するために、薬剤を添加してもよい、この便益を提供するだろう好ましい薬剤は、エチレンとアクリル酸のコポリマーである。このコポリマーを含む組成物は、米国特許第4,663,157に開示される。
【0035】
本発明は、哺乳類、典型的にはヒトの皮膚中のメラニン生成の阻害方法に関連する。1つの実施態様において、これらの方法は皮膚又は皮膚の部分への本発明の組成物の安全で有効な量の投与を含む。活性剤の量と適用の頻度は、表皮の初期状態及び所望の結果によって変化する。一般に、組成物は、目にみえて表皮を白くするのに十分な量において、かつ、十分な期間に亘って投与すべきである。
【0036】
毒性を有する濃度未満のあらゆる投与量が用いられ、ある種の投与形態、特に、局所的投与形態については、「投与量」は、所望の効果を提供するあらゆる量であり、その適用頻度及び量が原因で非常に大きくて、最大有効量と無関係であってもよい。
【0037】
局所的組成物における、安全かつ有効な量の活性物質が適用され、一般に、1回の適用あたり、1cm2の皮膚について、約1μgから約1mg、好ましくは、1回の適用あたり、1cm2の皮膚について、約2μgから約800μg、より好ましくは、1回の適用あたり、1cm2の皮膚について、約75μgから約250μgが適用される。適用の頻度は、典型的には、1日に約4回から、1週間に約2回の範囲にあり、より好ましくは、1日に約3回から一日おきの範囲にあり、より好ましくは少なくとも1日2回である。少なくとも1の適用を夜に行なうことが、一般に好ましい。
【0038】
[全身的組成物]
本発明の組成物は、製薬的な組成物を生産するために製薬的に許容可能な担体又は希釈剤と組み合わせてもよい。これらの組成物中においての使用に適切な、製薬的に許容可能な担体又は希釈剤は、製薬の技術分野において周知である。本発明の組成物は、典型的には、それぞれの活性物質を0.1〜35重量%含み、例えば、1〜25重量%の活性物質、より好ましくは少なくとも5又は10重量%の活性物質を含む。
【0039】
製薬組成物は、固体投与形態、例えば、薬剤の錠剤、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル、原薬粉末及びマイクロカプセルからなってもよい。代替的には、それは液体投与形態(例えば水性又は非水性溶液、エマルション又は懸濁液)からなってもよい。
【0040】
経口投与のための固体組成物は本発明の好ましい組成物である。本発明の固体組成物は、単位投与形態、例えば、錠剤及びカプセルの形態において調製される。適切には、錠剤は崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、及び平滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムの存在下において、活性物質組合せを燐酸カルシウム等の不活性希釈剤と混合し、公知の方法によって上記混合物を錠剤にすることすることによって調製してもよい。このような錠剤は、必要に応じて、公知の方法による腸溶性コーティングとともに提供されてもよい、例えば酢酸フタル酸セルロースを用いるものである。同様に、賦形剤の添加の有無にかかわらず、任意に小さな粒の形態であってよい活性物質の組合せを含むカプセル、例えば硬質又は軟質ゼラチンカプセルを、従来からの方法により、及び、必要に応じて腸溶性コーティング法を伴って、調製してもよい。上記錠剤は、当業者にとって既知の方法により、本発明の化合物を制御放出とすべく処方してもよい。
【0041】
本発明の製薬組成物の制御放出形態は、可溶性顆粒又は溶解物充填(melt filled)高速放出カプセル等の高速放出配合物、例えば、酢酸フタル酸セルロースの腸溶性コーティングを伴う錠剤等の遅延性放出配合物、及び、特に、持続性放出配合物を含む。持続性放出配合物の多数の型は、当業者に知られている。典型的に、上記活性物質組合せは、放出遅延性コート、例えば、セルロースエーテルとアクリレートとのコポリマー中にカプセル化してもよく、例えば、イオン交換ビーズ等の小粒子に固定してもよい。代替的には、上記活性物質組合せは、放出遅延剤、例えば、親水性ガム、例、キサンタンガム、セルロース誘導体、例、ヒドロキシメチルセルロース、又はポリサッカリド、ワックス、又はプラスチック物質を含むマトリックスに取り込まれていてもよい。
【0042】
上記活性物質組合せは、2つの分離されている固体投与形態中に配合してもよい。例えば、投与形態は、活性成分が異なる層に含有される2層錠剤であってもよい。上記異なる層は、それぞれの薬剤が最適に放出されるべく配合してもよい。
【0043】
液体充填組成物、例えば、粘性液体充填物、液体ペースト充填物、又は揺変性液体充填物もまた、経口投与に適切である。溶解物充填組成物は、活性物質組合せを天然野菜オイル脂肪酸のある種のエステル、例えばGattefosseより入手可能なGelucire(登録商標)シリーズと混合することにより、様々な放出率を有するものとして得てもよい。適切なものとしては、溶解物充填カプセルは、10〜80%の合計活性物質、及び、20〜90%の脂肪酸エステル賦形剤であって、1以上のポリオールエステル類、及び、天然野菜オイル脂肪酸のトリグリセリド類を含むものを含む。
【0044】
好ましくは、経口液体組成物は、それぞれの活性物質1〜5重量%を、1〜50重量%の希釈剤と伴に含み、残りは殺菌水からなる。任意に、組成物は、沈殿防止剤、増粘剤、アルコール等の共溶媒、及び/又は保存剤を含有してもよい。適切な希釈剤は、甘味料(例えばソルビトール、キシリトール又はスクロース)を含む。適切な沈殿防止剤又は増粘剤は、セルロースガム、寒天又は天然ゴム(例えばキサンタンガム)を含む。当業者に公知である香味付け剤、又は、他の味覚マスキング剤、例えば、サッカリン、ナトリウムサッカリン、アセサルファム K又はアスパルテームを添加してもよい。
【0045】
非経口投与に適切な本発明の組成物は、活性物質と、これらの投与のために公知の製薬形態、例えば、食塩水等の適切な溶媒中の活性物質の無菌の懸濁液又は無菌液との組合せによって調製してもよい。
【0046】
投与の好ましい形態は、経口による。
【0047】
一般に、組成物は、目にみえて表皮を白くするために、十分な量において、かつ、十分な期間に亘って投与しなければならない。
【0048】
投与される化合物の量は、特に、経口投与が使用される場合、製薬組成物の化合物のバイオアベイラビリティに依存する。本発明の化合物は、典型的には、体重当たり約0.01mg/kg〜100 mg/kg、好ましくは体重当たり約0.1mg/kg〜30 mg/kgの量において投与する。しかし、医薬組成物の量は、その配合物における化合物のパーセンテージに依存し、これは、投与当たりに必要とされる化合物の量、その安定性、放出特性及びその他の製薬パラメータの量の関数である。投与は、典型的には、週に一回又は二回から、一日一回又は二回投与される。
【0049】
熟練した開業医があらゆる特定の個人のために容易に最高の投与経路及び用量を決定することが可能と考えられるので、記述される投与経路及び用量は手引きに過ぎない。
【0050】
全身的投与の別の方法は、食製品中の前記組成物のいずれかの投与を含み、よって、必ずしも製薬的に許容可能な担体の使用を必要としない。
【0051】
ここに使用されるように、用語「食製品」は、以下の食品と飲料を含む。これらの適切な食製品は、スプレッド、酪農製品(ミルク及びヨーグルトを含む)、デザート、コンビニエンスフード/軽食、朝食のシリアルとシリアルバー、簡易調理の食事、パンと冷凍菓子、例えば、アイスクリーム、ウォーターアイスとシャーベット並びにヨーグルトアイスクリームを含む。食品は、食餌性/栄養補助食品をも含む。適切な飲料は、茶、お茶味の飲物、コーヒー、清涼飲料(例えば炭酸入りスカッシュその他)と果汁を含む。
【0052】
食製品は、典型的に本発明の活性成分を補充され、通常含むより多量の活性成分を含む。
【0053】
上記ゴーヤー、又はその抽出物、及びマツ樹皮抽出物が局所的及び全身的療法に分割されている場合、最適の毎日の用量の上下の値の範囲は局所的と全身的との分割に、適切に、比例する。
[使用]
【0054】
本発明の組成物は、哺乳類、特にヒトの皮膚中のメラニン生成を調整するために使用してもよい。より詳しくは、例えば、表皮における黒色メラニン(真正メラニン)の生成を阻害することにより、皮膚中の肌色メラニン:黒色メラニンの比率を増加するのに用いられる。例えば、皮膚中の黒色メラニン(真正メラニン)の生成を阻害することにより、好ましくは、肌色メラニン:黒色メラニンの比率は、コントロールに対して少なくとも1.5倍増加する。(肌色メラニンのコントロールに対してのパーセンテージを黒色メラニンのコントロールに対してのパーセンテージで除したものにより評価をする。例えば、肌色メラニンがコントロールの150%に増加し、黒色メラニンがコントロールの50%に減少した場合、比率は、コントロールに対して3:1とする。)結果的に、本発明の組成物は、ヒト等の哺乳類における皮膚明色化を引き起こすために使用してもよい。単に両方のメラニンの生成を阻害するよりむしろ、皮膚中の肌色メラニン:黒色メラニンの比率を増加させることの長所は、良好な皮膚の色合いが生成されることである。
【0055】
ここに、本発明を以下の実施例を参照することにより説明するが、これらは解説用に過ぎず、非限定的なものである。
[実施例]
【0056】
これらの例において、ゴーヤーとピクノジェノールの黒色及び肌色メラニンのレベルへの影響の評価を、商業的に入手可能なメラノダーム(Melanoderm)(登録商標)システムを使用してテストした。
【0057】
ゴーヤー抽出物は、試料を-80℃に冷凍し、コーヒーグラインダーにより、細かくつぶすことにより調製した。試料はその後、一晩かけて凍結乾燥し、200mlのアセトンで、16時間に亘ってソクスレー抽出した。その後、上記抽出物を真空下、40℃で回転蒸留し、濃縮された残余物を窒素還流下で乾燥した。その後、得られたサンプルを、窒素下、-20℃で保存した。
【0058】
ピクノジェノールは、Solgar社(Pycnogenol( 登録商標) 30 mg)製品から得た。
[メラノダーム(登録商標)のための処理療法]
【0059】
MatTeks systemのメラノダーム(登録商標)は、正常の、ヒト由来の表皮性ケラチノサイト(NHEK)及びメラノサイト(NHM)であって、ヒトの表皮の、多層の、高度に分化したモデルを形成すべく培養されたものからなる。共培地中のNHMは、自然発生のメラニン産生を経て、様々な程度の色素沈着を有する組織となる。組織は、無血清媒体を使用して、メラニン産生の人工的な刺激要因(例えばTPA及びIBMX)なしで生成される。培養物は、気液接触面における細胞培地挿入物上で生育し、試験される薬剤の局所的適用を許容する。培地への薬剤の導入は、全身的投与をシミュレーションする。このように、このモデルは、皮膚の色素沈着を調節する薬剤を評価するのに有益なin vitro方法を提供する。
【0060】
送達に際し、メラノダーム(MatTek MEL-300-B)は5mlの予め暖められた維持培地(EPI-100-MM-PRFの)を含有する6穴プレートにおける金属リング支持体の上に、MatTekのプロトコルにおける静菌技術を使用して置いた。37℃及び4%CO2において、一晩インキュベーションを実行し、メラノダームを回復させ、完全な平衡状態とした。これらの条件下に置かれることにより、MEL-300組織は、メラニン生成及び分化をおこなう。
【0061】
処理は、次の朝に開始した。試験される薬剤を適切な溶媒に溶解し、メラノサイト毒性について予め評価された最終濃度で、予め暖められた培地に添加した。培地が変更される度に、使用済み培地をメラノダームから吸引し、毒性(ラクテートヒドロゲナーゼ(Promega))及びインターロイキン-1放出(R&D systems)試験のために保存し、上記メラノダームの培地内であろうとなかろうと、新しい培地の用量に試験薬剤を加えたもので置換した。メラノダームをインキュベーターに戻した。この処理療法は、48時間毎に、コントロールと試験薬剤との間に黒色化の相対的な差が観察されるまで繰り返した。
【0062】
黒色化の差の観察には、顕微鏡での、及び、肉眼での黒色化を写真で記録した。メラノダームの組織の回収はプラスチック支持体からの組織の切り離しを伴い、その後、処理後に存在するメラニンの、処理されていないものに対する定量化を行なった。
[メラノダーム組織からのメラニンの選択的な溶解]
【0063】
(1)アルカリ可溶性メラニン(肌色メラニン)の定量
メラノダームサンプルをプラスチック支持体から切り取り、組織の湿重量を測定した。メラノダームサンプルに、200 μl 1 M NaOH/8Mの尿素を添加し、その組織をミクロチューブにおいて均一化した。サンプルを30分に亘って断続的に室温で攪拌混合し、可溶性メラニンを放出させた。試料を10分に亘って13,000rpmで遠心処理し、可溶性メラニンを含有する上澄みを新しいチューブに分離した。
【0064】
200μlのクロロホルムを添加し、その後、一分間激しく混合することにより、タンパク質を上記上澄みから抽出した。10分に亘って13,000rpmで遠心処理することにより、相を分離した。上澄みの150μlを、マイクロタイタープレートに添加し(二重)、OD340nMにおいて確認した。
【0065】
(2)アルカリ不溶性メラニン(黒色メラニン)の定量
上記不溶性メラニンを含む残余沈殿物に、1 M NaOHを添加し、サンプルを1分間に亘りボルテックスした。その後、サンプルを37℃の水浴中で、96時間に亘り絶えず攪拌することにより、不溶性メラニンを放出させた。試料を200μlのクロロホルムと共に10分に亘って13,000rpmで遠心処理し、可溶性メラニンを含有する上澄み190μlを新しい試験管に分離した。上澄みを再度遠心分離処理し、その150μlを、マイクロタイタープレートに取り出し、340nmの吸収の分析をした。
【0066】
[絶対メラニン濃度の計算]
絶対メラニンを既に決定されている肌色メラニン標準カーブから計算された実質メラニン量として計算した。
【0067】
x =(y-0.003)/4.76423
(ここで、 x = メラニンの濃度 及び y = 340nmにおける吸光度である)
【0068】
黒色メラニンについては、カーブは、
x =(y - 0.00553 )13.70312である。
【0069】
[結果]
【0070】
【表1】

【0071】
ゴーヤーとピクノジェノールとの組合せによる処理が、メラノダームにより生成されるメラニン合計をそれぞれの成分個々による処理より、ずっと大きな程度で減少させた。溶解性メラニンが全ての場合において増加し、不溶性メラニンは、ゴーヤーとピクノジェノールとの組合せによる処理により、それぞれの成分で個々に処理した場合と比較して実質的に大きな程度で減少した。ゴーヤーとピクノジェノールとの組合せについて、可溶性メラニン:不溶性メラニンの比率を計算した。コントロールの比率と比較して、50%の増加があった。
【0072】
これらの結果は、この組合せが肌色メラニン生成を阻害することなく、黒色メラニン生成を相乗的に阻害することを示す-実際、全ての場合において、肌色メラニンの生成に増加があった。
【0073】
上述のそれぞれのセクションにおいて参照される本発明の様々な特質及び態様は、それぞれに見合って、必要に応じて変更を加えて他のセクションに適用される。結果的に、1つのセクションにおいて特定される特質は、それぞれに見合って、他のセクションにおいて特定される特質と組み合わされてもよい。
【0074】
上記明細書において言及される全ての出版物は、ここにその全体を本願に援用する。本発明の上述の方法及び製品の修正及び変形は、発明の範囲から離れることなしに、当業者にとって明らかなものである。発明は特定の好ましい態様に関連して記述されてきたが、クレームされた発明は、不当にこれらの特定の実施態様に制限されることはないものとする。実際、関連分野の当業者にとって明白である、発明を実施するための上述の方法の様々な修正は、以下のクレームの範囲にあるものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴーヤー又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を含む皮膚明色化組成物。
【請求項2】
全身的投与のために配合される請求項1に記載の皮膚明色化組成物。
【請求項3】
前記ゴーヤー又はその抽出物は、前記組成物の10重量%〜35重量%の量において存在する請求項2に記載の皮膚明色化組成物。
【請求項4】
前記マツ樹皮抽出物は、前記組成物の10重量%〜35重量%の量において存在する請求項2又は3に記載の皮膚明色化組成物。
【請求項5】
局所的投与のために配合される請求項1に記載の皮膚明色化組成物。
【請求項6】
前記ゴーヤー又はその抽出物は、前記組成物の1重量%〜35重量%の量において存在する請求項5に記載の皮膚明色化組成物。
【請求項7】
前記マツ樹皮抽出物は、前記組成物の1重量%〜35重量%の量において存在する請求項5又は6に記載の皮膚明色化組成物。
【請求項8】
(i)有効量のゴーヤー又はその抽出物を含む固体投与形態と、(ii)有効量のマツ樹皮抽出物を含む局所的組成物とを含む皮膚明色化製品。
【請求項9】
(i)有効量のマツ樹皮抽出物を含む固体投与形態と、(ii)有効量のゴーヤー又はその抽出物を含む局所的組成物とを含む皮膚明色化製品。
【請求項10】
哺乳類の皮膚中のメラニンの生成を阻害するための方法であって、ヒトに、有効量のゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を投与することを含む方法。
【請求項11】
前記ゴーヤー、又はその抽出物、及び/又は、マツ樹皮抽出物は全身的に投与される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ゴーヤー、又はその抽出物、及び/又は、マツ樹皮抽出物は局所的に投与される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
哺乳類の皮膚中のメラニンの生成の阻害のために使用するための、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を含む組成物。
【請求項14】
哺乳類の皮膚中のメラニンの生成を阻害するための組成物の製造における、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物の使用。
【請求項15】
哺乳類の皮膚中の黒色メラニンに対する肌色メラニンの比率を増加するため方法であって、ヒトに、有効量のゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を投与することを含む方法。
【請求項16】
ゴーヤー、又はその抽出物は全身的に投与され、マツ樹皮抽出物は局所的に投与される、又は、その逆である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
哺乳類の皮膚中の黒色メラニンに対する肌色メラニンの比率を増加するために使用するための、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を含む組成物。
【請求項18】
哺乳類の皮膚中の黒色メラニンに対する肌色メラニンの比率を増加するための組成物の製造における、ゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物の使用。
【請求項19】
個体の皮膚中の、メラノサイトからケラチノサイトへのメラニンの輸送を阻害するための方法であって、前記個体に、有効量のゴーヤー、又はその抽出物、及び、マツ樹皮抽出物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−530606(P2007−530606A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505403(P2007−505403)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001821
【国際公開番号】WO2005/094774
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】