説明

サイクリン依存性キナーゼインヒビターとしてのピラゾロピリミジン

【課題】新規クラスのサイクリン依存性キナーゼのインヒビターを提供すること。
【解決手段】本発明は、その多くの実施形態において、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新規クラスのピラゾール[1,5−α]ピリミジン化合物、このような化合物を調製する方法、このような化合物を一種以上含有する薬学的組成物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用してCDKと関連する一種以上の疾患を処置するか、予防するか、阻害するか、または回復する方法を提供する。また、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であり得、そして増殖疾患(例えば、癌、炎症、および関節炎)の処置および予防において有用であり得る化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用なピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、この化合物を含有する薬学的組成物、ならびにこの化合物および組成物を使用して疾患(例えば、癌、炎症、関節炎、ウイルス性疾患、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管病、ならびに真菌性疾患)を処置するための処置方法に関する。本願は、2002年9月4日に出願された、米国仮特許出願番号60/408,030からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これらは、細胞周期および細胞増殖の背後にある駆動力である。個々のCDK(例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7、CDK8など)は、細胞周期の進行において異なる役割を果たし、そしてG1期、S期、またはG2M期の酵素のいずれかとして分類され得る。制御されない増殖は、癌細胞の特徴であり、そしてCDK機能の誤調節は、多くの重要な固形腫瘍において、高い頻度で起こる。CDK2およびCDK4は、特に興味深い。なぜなら、これらの活性は、広範な種々のヒト癌において頻繁に誤調節されるからである。CDK2活性は、細胞周期のG1期を介してS期への進行のために必要とされ、そしてCDK2は、G1チェックポイントの主要な構成要素の1つである。チェックポイントは、細胞周期の事象の適切な連続を維持するように働き、そして細胞が傷害または増殖シグナルに応答することを可能にし、一方で、癌細胞における適切なチェックポイント制御の損失は、腫瘍原性に寄与する。CKD2経路は、腫瘍抑制機能(例えば、p52、RB、およびp27)および癌遺伝子活性化(サイクリンE)のレベルで腫瘍原性に影響を与える。多くの報告は、CDK2の共アクチベーター(サイクリンE)とインヒビター(p27)との両方が、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、胃癌、前立腺癌、膀胱癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および他の癌において、それぞれ過剰発現または過少発現のいずれかをされることを実証した。これらの変更された発現は、増加したCDK2活性レベルおよび乏しい全体の生存に相関することが示された。この観察は、CDK2およびその調節経路に、開発年間の目標を強要させ、有機低分子およびペプチドに競合する多数のアデノシン5’−三リン酸(ATP)が、文献において、潜在的な癌処置のためのCDKインヒビターとして報告されている。特許文献1の第1カラム、第23行〜第15カラム、第10行は、種々のCDKおよびそれらの種々の型の癌に対する関係の、良好な記載を与える。
【0003】
CDKインヒビターは、公知である。例えば、フラボピリドール(式I)は、現在ヒト臨床治験を受けている、非選択的CDKインヒビターである。非特許文献1。
【0004】
【化14】


他の公知のCDKインヒビターとしては、例えば、オロモウシン(olomoucine)(非特許文献2)およびロスコビチン(roscovitine)(非特許文献3)が挙げられる。特許文献2は、CDKインヒビターとしての特定のピラゾロ[3,4−b]ピリジン化合物を記載する。特許文献2からの例示的な化合物は、式IIを有する:
【0005】
【化15】


非特許文献4および特許文献3は、CDKインヒビターとして、特定のアミノチアゾール化合物を開示する。
【0006】
ピラゾロピリミジンは、公知である。例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9(特許文献10、特許文献11および特許文献12と等価)、特許文献13、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7および非特許文献8は、種々のピラゾロピリミジンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,413,974号明細書
【特許文献2】米国特許第6,107,305号明細書
【特許文献3】国際公開第02/10162号パンフレット
【特許文献4】国際公開第92/18504号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/50079号パンフレット
【特許文献6】国際公開第95/35298号パンフレット
【特許文献7】国際公開第02/40485号パンフレット
【特許文献8】欧州特許第94304104.6号明細書
【特許文献9】欧州特許第0628559号明細書
【特許文献10】米国特許第5,602,136号明細書
【特許文献11】米国特許第5,602,137号明細書
【特許文献12】米国特許第5,571,813号明細書
【特許文献13】米国特許第6,383,790号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A.M.Sanderowiczら、「J.Clin.Oncol.」、1998年、第16巻、p.2986−2999
【非特許文献2】J.Veseryら、「Eur.J.Biochem.」、1994年、第224巻、p.771−786
【非特許文献3】I.Meijerら、「Eur.J.Biochem.」、1997年、第243巻、p.527−536
【非特許文献4】K.S.Kimら、「J.Med.Chem.」、2002年、第45巻、p.3905−3927
【非特許文献5】「Chem.Pharm.Bull.」、1999年、第47巻、p.928
【非特許文献6】「J.Med.Chem.」、1997年、第20巻、p.296
【非特許文献7】「J.Med.CHem.」、1976年、第19巻、p.517
【非特許文献8】「Chem.Pharm.Bull.」、1962年、第10巻、p.620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CDKに関連する疾患および障害を処置するための、新たな化合物、処方物、処置および治療に対する必要性が存在する。従って、本発明の目的は、このような疾患および障害の処置または予防または軽減において有用な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
その多くの実施形態において、本発明は、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新規なクラスのピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、このような化合物を調製する方法、1つ以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1つ以上のこのような化合物を含有する薬学的処方物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用する、CDKに関連する1つ以上の疾患の処置、予防、阻害または軽減の方法を提供する。
【0011】
本発明は、以下を提供する。
(項目1)
構造式:
【化1】



によって、表される化合物であって、ここで、
Rは、ヘテロアリールであって、該ヘテロアリールは、置換されていなくてもよく、または、必要に応じて、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で独立に置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−C(ROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立に選択され;
は、R、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、CF、ヘテロシクリルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、−C(O)OR、以下に示されるRの一覧から独立に選択された同じであるか、または異なり得る1〜6個のR基で置換されたアルキル、
【化2】

からなる群から選択され、
ここで、上記のRに対する定義中の該アリールは、置換されていなくてもよく、または、必要に応じて、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、CN、−OR、SR、−CHOR、−C(O)R、−SOH、−S(O)R、−S(O)NR、−NR、−C(O)NR、−CF、および−OCFからなる群より独立に選択され;
は、H、ハロゲン、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、
【化3】



からなる群から選択され、
ここで、Rに対する該アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルならびに、構造がRに対して直前に示されたヘテロシクリル部分の各々は、置換されていてもよく、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−(CROR、−OR、−NR、−(CRNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立に選択され;
は、H、ハロまたはアルキルであって;
は、Hまたはアルキルであって;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より独立に選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立に選択されるか;
または、必要に応じて、(i)該部分−NR10中のRおよびR10、もしくは、(ii)該部分―NR中のRおよびRは、一緒に結合して、シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成し得、該シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分のそれぞれは、置換されていないか、または、必要に応じて、独立に、一つ以上のR基で置換されており;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、Rについての該アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群より独立に選択され;
は、R、−C(O)NR10、−CHOR、−C(O)OR、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群より選択され;
は、ハロゲン、−CN、−NR、−(CHOR、−C(O)R、−C(O)NR、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択され;
mは0〜4であって;そして、
nは1〜4である、
化合物。
(項目2)
項目1に記載の化合物であって、ここで、Rは、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジン−3−イルおよびピリダジン−3−イルからなる群より選択され、ここで、該ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニル部分のそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリールCF、OCF、CN、−OR、−NR、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR、−S(O)NR、および−N(R)S(O)Rからなる群より独立に選択され;
は、ハロゲン、CF、CN、低級アルキル、シクロアルキル、−OR、−C(O)OR、−(CHOR、アリールまたはヘテロアリールであって;
は、H、ハロゲン、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)OR、シクロアルキル、−NR、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキルアルキル、
【化4】



であって、
ここで、Rに対する該アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、置換されていないか、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていて、各部分は、ハロゲン、CF、OCF、低級アルキル、CNおよびORからなる群より独立に選択され;
は、Hまたは低級アルキルであって;
は、Hまたは低級アルキルであって;
mは、0〜2であって;そして、
nは、1または2である、
化合物。
(項目3)
Rが、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イルおよびピリミジン−5−イルからなる群より選択される、項目2に記載の化合物。
(項目4)
がF、Cl、Br、CF、CN、低級アルキル、シクロアルキルまたは−(CHORである、項目2に記載の化合物。
(項目5)
項目2に記載の化合物であって、Rは、H、低級アルキル、シクロアルキル、−C(O)OR、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、
【化5】



または、
【化6】



であって、
ここで、Rに対して上に示される該低級アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル部分は、置換されていないか、または、同じであるか、もしくは異なり得る一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていて、各部分は、ハロゲン、CF、低級アルキル、−OCH、−CHOH、−CHCHOH、およびCNからなる群より独立に選択される、
化合物。
(項目6)
がHである、項目2に記載の化合物。
(項目7)
がHである、項目2に記載の化合物。
(項目8)
mが0である、項目2に記載の化合物。
(項目9)
nが1である、項目2に記載の化合物。
(項目10)
Rが2−ピリジルである、項目2に記載の化合物。
(項目11)
Rが3−ピリジルである、項目2に記載の化合物。
(項目12)
Rが4−ピリジルである、項目2に記載の化合物。
(項目13)
Rが4−ピリジルのN−オキシドである、項目2に記載の化合物。
(項目149
前記RがBrである、項目4に記載の化合物。
(項目15)
前記RがClである、項目4に記載の化合物。
(項目16)
がイソプロピルまたはエチルである、項目4に記載の化合物。
(項目17)
が−CHOHまたは−CHOCHである、項目4に記載の化合物。
(項目18)
がシクロプロピルである、項目4に記載の化合物。
(項目19)
がCNである、項目4に記載の化合物。
(項目20)
が低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、−NR
【化7】



である、項目2に記載の化合物。
(項目21)
がイソプロピルである、項目20に記載の化合物。
(項目22)
が、
【化8】



である、項目21に記載の化合物。
(項目23)
が、置換されていないフェニルであるか、または、F、Br、Cl、OMe、CHおよびCFからなる群から選択される一つ以上の部分で置換されたフェニルである、項目20に記載の化合物。
(項目24)
がシクロヘキシルメチルである、項目20に記載の化合物。
(項目25)
化合物であって、以下、
【化9】


【化10】


【化11】


【化12】



からなる群から選択される化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩、または溶媒和物。
(項目26)
以下の化学式の化合物
【化13】



またはこれらの薬学的に受容可能な塩、または溶媒和物。
(項目27)
一つ以上のサイクリン依存性キナーゼを阻害するための方法であって、少なくとも一つの項目1の化合物の治療的有効量をこのような阻害を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目28)
サイクリン依存性キナーゼと関連する一つ以上の疾患を処置するための方法であって、少なくとも一つの項目1の化合物の治療的有効量をこのような処置を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目29)
前記サイクリン依存性キナーゼがCDK2である、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記疾患が、以下:膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、小細胞肺癌、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頸部、甲状腺、前立腺、および皮膚の癌、扁平上皮癌、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、バーケットリンパ腫;急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、前骨髄球性白血病;線維肉腫、横紋筋肉腫;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン腫;黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺小胞癌およびカポジ肉腫からなる群から選択される、項目28に記載の方法。
(項目31)
サイクリン依存性キナーゼと関連する一つ以上の疾患を処置するための方法であって、該方法は、
ある量の項目1に記載の化合物である第一の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物;および
ある量の少なくとも一つの第二の化合物であって、該第二化合物が抗癌剤である、化合物;
をこのような処置を必要とする哺乳動物に投与する工程を包含し、該第一化合物の量および該第二化合物の量は、所望の治療効果を生じる量である、方法。
(項目32)
さらに放射線療法を包含する、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記抗癌剤が、細胞成長抑止剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン(またはCPT−11)、カムプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、シクロホスファミド、4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、チピファルニブ、L778,123(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、グリーベク、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、オキサリプラチン、ロイコボリン(leucovirin)、オキサリプラチン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミンからなる群より選択される、項目31に記載の方法。
(項目34)
治療的に有効量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を、少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含有する薬学的組成物。
(項目35)
項目34に記載の薬学的組成物であって、細胞成長抑止剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、CPT−11、イリノテカン、カムプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、シクロホスファミド、4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、ザルネストラ(Zarnestra(登録商標))(チピファルニブ)、L778,123(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、グリーベク、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミンからなる群より選択される抗癌剤をさらに一種以上含有する、薬学的組成物。
(項目36)
単離され、そして精製された形態である、項目1に記載の化合物。
【0012】
1つの局面において、本願は、化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、この化合物は、式IIIに示される一般構造を有する:
【0013】
【化16】


ここで:
Rは、ヘテロアリールであり、ここで、このヘテロアリールは、非置換であっても、1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、この部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−C(ROR、C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択され;
は、R、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、CF、ヘテロシクリルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、−C(O)OR、1〜6個のRで置換されたアルキル(このRは、同じであっても異なっていてもよく、そして以下に示されるRの列挙から独立して選択される)、
【0014】
【化17】

からなる群より選択され、ここで、上記Rについての定義におけるアリールは、非置換であっても、1つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、この部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、CN、−OR、SR、−CHOR、−C(O)R、−SOH、−S(O)R、−S(O)NR、−NR、−C(O)NR、−CF、および−OCFからなる群より選択され;
は、H、ハロゲン、−R、−C(O)OR、−C(O)NR、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、
【0015】
【化18】


からなる群より選択され、ここで、Rについてのこれらのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル、ならびに構造が上記Rについてすぐ上に示されているヘテロシクリルの部分の各々は、置換され得るか、または必要に応じて独立して、1つ以上の部分で置換され得、この部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CHF、CN、−OCF、−(CROR、−OR、−NR、−(CRNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択され;
は、H、ハロまたはアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルの各々は、非置換であっても、1つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルの各々は、非置換であっても、必要に応じて1つ以上の部分で置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各々の部分は、独立して、
ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択されるか;
または必要に応じて、(i)部分−NR10におけるRおよびR10、または(ii)部分−NRにおけるRおよびRは、一緒に結合して、シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成し得、これらのシクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分の各々は、非置換であるか、または1つ以上のR基で必要に応じて独立して置換され得;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、Rについてのこれらのアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリールアルキルの各々は、非置換であっても、必要に応じて1つ以上の部分で独立して置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
は、R、−C(O)NR10、−CHOR、−C(O)OR、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群より選択され;
は、ハロゲン、−CN、−NR、−(CHOR、−C(O)R、−C(O)NR、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択され;
mは、0〜4であり;そして
nは、1〜4である。
【0016】
式IIIの化合物は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であり得、そして増殖疾患(例えば、癌、炎症、および関節炎)の処置および予防において有用であり得る。これらはまた、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管疾患、ウイルス性疾患および真菌性疾患の処置において有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、式IIIによって表されるピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を開示し、ここで、種々の部分は、上に定義されたとおりである。
【0018】
別の実施形態において、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジン−3−イル、およびピリダジン−3−イルであり、ここで、これらのピリジル部分、チアゾリル部分、ピリミジニル部分、ピラジニル部分およびピリダジニル部分の各々は、非置換であっても、必要に応じて1つ以上の部分で独立して置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリールCF、OCF、CN、−OR、−NR、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR、−S(O)NR、および−N(R)S(O)Rからなる群より選択される。
【0019】
別の実施形態において、Rは、ハロゲン、CF、CN、低級アルキル、シクロアルキル、−OR、−C(O)OR、−CHOR、アリールまたはヘテロアリールである。
【0020】
別の実施形態において、Rは、H、ハロゲン、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)OR、シクロアルキル、−NR、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキルアルキル、
【0021】
【化19】


であり、ここで、Rについてのこれらのアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、非置換であるか、または必要に応じて、1つ以上の部分で独立して置換されており、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、CF、OCF、低級アルキル、CNおよびORからなる群より選択される。
【0022】
別の実施形態において、Rは、H、ハロ、または低級アルキルである。
【0023】
別の実施形態において、Rは、Hまたは低級アルキルである。
【0024】
別の実施形態において、mは、0〜2である。
【0025】
別の実施形態において、nは、1〜2である。
【0026】
さらなる実施形態において、Rは、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジン−3−イルおよびピリダジン−3−イルである。
【0027】
さらなる実施形態において、F、Cl、Br、CF、CN、低級アルキル、シクロアルキルまたは−(CHORである。
【0028】
さらなる実施形態において、Rは、H、低級アルキル、シクロアルキル、−C(O)OR、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、
【0029】
【化20】


であり、ここで、これらの低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびアリールの各々は、非置換であるか、または必要に応じて1つ以上の部分で独立して置換されており、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、CF、低級アルキル、OMeおよびCNからなる群より選択される。
【0030】
さらなる実施形態において、Rは、以下:
【0031】
【化21】


である。
【0032】
なおさらなる実施形態において、Rは、以下:
【0033】
【化22】


である。
【0034】
さらなる実施形態において、Rは、Hである。
【0035】
さらなる実施形態において、Rは、Hである。
【0036】
さらなる実施形態において、mは、0である。
【0037】
さらなる実施形態において、nは、1である。
【0038】
本発明の化合物の群は、表1に示される。
【0039】
【表1−1】

【0040】
【表1−2】

【0041】
【表1−3】

【0042】
【表1−4】


上記および本開示を通して使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
「患者」は、ヒトと動物との両方を包含する。
【0043】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0044】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であり得、そして約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、約1〜約12個の炭素原子を、鎖中に含む。より好ましいアルキル基は、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に有する、直鎖であっても分枝鎖であってもよい基を意味する。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0045】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして約2〜約15個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、約2〜約12個の炭素原子を、鎖中に含む;そしてより好ましくは、約2〜約4個の炭素原子を、鎖中に含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0046】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6〜約10個の炭素原子を含む、芳香族単環式環系または多環式環系を意味する。アリール基は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0047】
「ヘテロアリール」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは、約5〜約10個の環原子を含み、ここで、これらの環原子のうちの1つ以上が、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である、芳香族単環式環系または多環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。ヘテロアリールの根名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0048】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが先に記載されたとおりである、アリール−アルキル基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0049】
「アルキルアリール」とは、アルキルおよびアリールが先に記載されたとおりである、アルキル−アリール基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する。
【0050】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上に定義されるとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0051】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいものは、フッ素、塩素および臭素である。
【0052】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族の環系に結合する置換基を意味し、これらは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく。各々が独立して、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。
【0053】
「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、非芳香族の飽和単環式環系または飽和多環式環系を意味し、ここで、この環系中の1つ以上の原子が、単独でかまたは組み合わせて、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。この環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの根名の前の接頭辞である、アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環中のあらゆる−NHは、例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基などのように保護されて存在し得;このような保護された部分はまた、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよく、1つ以上の本明細書中で定義された通りの「環系置換基」で置換され得る。このヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドへと酸化され得る。適切な単環式へテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。
【0054】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接する炭素原子上にはヒドロキシル基は存在せず、ならびに、別のヘテロ原子に隣接する炭素原子上にはN基もS基も存在しないことに注意すべきである。従って、例えば、環
【0055】
【化23】

において、2および5の印のついた炭素に直接結合する−OHは存在しない。
【0056】
「アルキニルアルキル」は、アルキニルおよびアルキルが、先に定義された通りである、アルキニル−アルキル基を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介してである。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0057】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介してである。
【0058】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは、上記の通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0059】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0060】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルが挙げられる。
【0061】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0062】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介してである。
【0063】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル基が、先に定義された通りである、アラルキル−O−基を意味する。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0064】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0065】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0066】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0067】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0068】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0069】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0070】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0071】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0072】
用語「置換される」は、指定された原子上の1つ以上の水素が、指示された基から選択されたもので置き換えられていることを意味するが、既存の状況下での指定された原子の通常の原子価は超えず、置換により安定な化合物を生じる。置換基および/または可変基の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および、有効な治療剤への処方に耐える程度に十分頑強である化合物を意味する。
【0073】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0074】
本明細書中の文、スキーム、実施例および表において、不飽和価を有するあらゆるヘテロ原子が、その原子価を満たすように水素原子を有するものとみなされることがまた、注意されるべきである。
【0075】
化合物中の官能基が「保護される」と称される場合、これは、この基が、修飾された形態にあって、化合物が反応に供される場合に、保護された部位において所望でない副反応を防止することを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkのような標準的な教科書を参照して認識される。
【0076】
任意の可変基(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の構成または式IIIまたは他の式中に1回以上生じる場合、各存在におけるその定義は、他の存在毎にその定義が独立している。
【0077】
本明細書中で使用する場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組み合わせから直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0078】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式IIIの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)Volume 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0079】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、液相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0080】
「有効量」または「治療的有効量」は、CDKを阻害し、従って、所望の治療効果、緩和効果、阻害効果または予防効果を生じるのに有効な、本発明の化合物もしくは組成物の量を意味する。
【0081】
式IIIの化合物は、これもまた本発明の範囲内にある塩を形成し得る。本明細書中の式IIIの化合物に対する言及は、他に示さない限り、その塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成された塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「内部の塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する場合の用語「塩」の範囲に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中、または後に凍結乾燥される水性媒体中)で、式Iの化合物をある量(例えば、等量)の酸または塩基と反応させることによって形成され得る。塩基性の(または酸性の)薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般にみなされる酸(および塩基)は、例えば、以下によって考察される:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(ウェブサイト上));およびP.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(2002)Int’l.Union of Pure and
Apllied Chemistry,pp.330−331。これらの開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0082】
例示的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ボレエート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルサルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、メチルサルフェート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチアネート、ニトレート、オキサレート、パモエート、ペクチネート、パースルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、スルホネート(例えば、本明細書中で言及されるもの)、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)、ウンデカノエートなど。
【0083】
例示的な塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アルミニウム塩、亜鉛塩、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジブチルスルフェートおよびジアミルスルフェート)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤を用いて四級化され得る。
【0084】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0085】
式IIIの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0086】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0087】
本発明に従う化合物は、薬理学的特性を有する;特に、式IIIの化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)(例えば、CDC2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7およびCDK8)のようなプロテインキナーゼのインヒビターであり得る。式IIIの新規化合物は、増殖性疾患(例えば、癌)、自己免疫疾患、ウイルス疾患、真菌疾患、神経性疾患/神経変性疾患、喘息、炎症、抗増殖(例えば、眼の網膜症)、神経細胞、脱毛症および心脈管疾患の治療に有用であると期待される。これらの疾患および障害の多くは、前に引用した米国特許第6,413,974号に列挙され、この開示は、本明細書中に援用される。
【0088】
より具体的には、式IIIの化合物は、以下が挙げられる(がこれらに限定されない)種々の癌の処置に有用であり得る:
癌腫(膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺、前立腺および皮膚(扁平上皮細胞癌を含む)の癌を含む);
リンパ系統の造血性腫瘍(白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む);
骨髄系統の造血性腫瘍(急性および慢性の骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、および
前骨髄球性白血病を含む);
間葉系起源の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫を含む);
中枢神経系および末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および
神経鞘腫を含む);ならびに
他の腫瘍(メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、ゼノドローマ色素(xenoderoma pigmentosum)、角化細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫を含む)。
【0089】
一般に、細胞増殖の調節におけるCDKの重要な役割に起因して、インヒビターは、異常な細胞増殖を特徴とする任意の疾患プロセス(例えば、良性前立腺肥大、家族性大腸腺腫症、神経−線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成術または脈管手術後の再狭窄、肥大性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶、内毒素性ショックおよび真菌感染)の処置に有用であり得る、可逆的な細胞増殖抑制性薬剤として機能し得る。
【0090】
式IIIの化合物はまた、CDK5が、タウタンパク質のリン酸化に関与するという最近の知見(J.Biochem,(1995)117,741−749)により示唆されるように、アルツハイマー病の処置に有用であり得る。
【0091】
式IIIの化合物は、アポトーシスを誘導または阻害し得る。アポトーシス応答は、種々のヒト疾患において異常である。式IIIの化合物は、アポトーシスのモジュレーターとして、癌(本明細書中で上述した型が挙げられるがこれらに限定されない)、ウイルス感染(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、Epstein−Barrウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスが挙げられるがこれらに限定されない)、HIV感染者におけるAIDS発症の予防、自己免疫疾患(全身性狼蒼、エリテマトーデス、自己免疫媒介性糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病が挙げられるがこれらに限定されない)、神経変性障害(アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄筋萎縮症および小脳変性が挙げられるがこれらに限定されない)、骨髄異形性症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞に関連する虚血性損傷、脳卒中および再灌流障害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘導性またはアルコール関連の肝臓疾患、血液学的疾患(慢性貧血および再生不良性貧血が挙げられるがこれらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗鬆症および関節炎が挙げられるがこれらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎(rhinosinusitis)、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患および癌疼痛の処置に有用である。
【0092】
式IIIの化合物は、CDKのインヒビターとして、細胞のRNAおよびDNA合成のレベルを調節し得る。従って、これらの薬剤は、ウイルス感染(HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、Epstein−Barrウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスが挙げられるがこれらに限定されない)の処置に有用である。
【0093】
式IIIの化合物はまた、癌の化学的予防に有用であり得る。化学的予防は、変異促進性現象の開始をブロックするか、または、すでに損傷に冒されている前悪性細胞の増殖をブロックするか、または、腫瘍再発を阻害するかのいずれかによって、侵襲性の癌の発症を阻害するものとして定義される。
【0094】
式IIIの化合物はまた、腫瘍の血管形成および転移を阻害することにおいて有用であり得る。
【0095】
式IIIの化合物はまた、他のプロテインキナーゼ(例えば、プロテインキナーゼC、her2、raf1、MEK1、MAPキナーゼ、EGFレセプター、PDGFレセプター、IGFレセプター、P13キナーゼ、wee1キナーゼ、Src、Abl)のインヒビターとしても機能し得、従って、他のプロテインキナーゼに関連する疾患の処置に有効であり得る。
【0096】
本発明の別の局面は、CDKに関連する疾患または状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を、治療有効量の少なくとも1つの式IIIの化合物またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物をこの哺乳動物に投与することによって治療する方法である。
【0097】
好ましい投薬は、1日あたり約0.001〜500mg/kg体重の式IIIの化合物である。特に好ましい投薬は、1日あたり約0.01〜25mg/kg体重の式IIIの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0098】
本発明の化合物はまた、1つ以上の抗癌処置(例えば、放射線治療)、および/または細胞増殖抑制剤、細胞傷害剤(例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない)からなる群より選択される1つ以上の抗癌剤との組み合わせ(一緒にかまたは連続して投与される)において有用であり得る:DNA相互作用剤(interactive agent)(例えば、シスプラチンまたはドキソルビシン));タキサン(例えば、タキソテール(taxotere)、タキソール(taxol));トポイソメラーゼIIインヒビター(例えば、エトポシド(etoposide));トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、イリノテカン(irinotecan)(またはCPT−11)、カンポトスター(camptostar)、またはトポテカン(topotecan));チューブリン相互作用剤(interacting agent)(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル(docetaxel)またはエポチロン(epothilone));ホルモン剤(例えば、タモキシフェン);チミジン酸シンターゼインヒビター(例えば、5−フルオロウラシル);抗−代謝産物(例えば、メトキリトレセート(methoxtrexate));アルキル化剤(例えば、テモゾロミド(temozolomide)(TEMODARTMSchering−Plough Corporation社製,Kenilworth,New Jersey)、シクロホスファミド(cyclophosphamide));Farnesylタンパク質トランスフェラーゼインヒビター(例えば、SARASARTM(4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド(piperidinecarboxamide)、またはSCH 66336(Schering−Plough Corporation社製,Kenilworth,New Jersey),チピファルニブ(tipifarnib)(Zarnestra(登録商標)またはR115777(Janssen Pharmaceutical社製)、L778,123(ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター(Merck & Company社製、Whitehouse Station,New Jersey)、BMS 214662(ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター(Bristol−Myers Squibb Pharmaceuticals社製、Princeton,New Jersey);シグナル伝達インヒビター(例えば、Iressa(Astra Zeneca Pharmaceutical社製、England)、Tarceva(EGFRキナーゼインヒビター)、EGFRに対する抗体(例えば、C225)、GLEEVECTM(C−ablキナーゼインヒビター(Novartis Pharmaceutical社製、East Hanover,New Jersey);インターフェロン(例えば、イントロン(Schering−Plough Corporation社製)、Peg−Intron(Schering−Plough Corporation社製);ホルモン療法との組み合わせ;アロマターゼとの組み合わせ;ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン(cytoxan)、およびゲムシタビン(gemcitabine)。
【0099】
他の抗癌(抗新生物としても知られている)剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ウラシルマスタード、クロルメチン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、オキサリプラチン(oxaliplatin)、ロイコボリン(leucovirin)、オキサリプラチン、(ELOXATINTM、Sanofi−Synthelabo Pharmaeutical社製、France)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン(goserelin)、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミン。
【0100】
固定用量として処方される場合、このような組み合わせ生成物は、本明細書に記載される投薬範囲内の本発明の化合物と、他の薬学的に活性な因子またはその投薬範囲内での処置を使用する。例えば、CDC2インヒビターであるオロムシン(olomucine)は、アポトーシスを誘導する公知の細胞傷害剤との相乗作用を見出されている(J.Cell Sci.,(1995)108,2897。式IIIの化合物はまた、組み合わせ処方が適切でない場合、公知の抗癌剤または細胞傷害剤と連続して投与され得る。本発明は、連続
投与に限定されない;式IIIの化合物は、公知の抗癌剤または細胞傷害剤の投与前または後のいずれかで投与され得る。例えば、サイクリン依存性インヒビターであるフラボピリドール(flavopiridol)の細胞傷害活性は、抗癌剤との連続投与によってもたらされる。Cancer Research,(1997)57,3375。このような技術は、当業者ならびに主治医の技術範囲内である。
【0101】
従って、局面において、本発明は、ある量の少なくとも1つの式IIIの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物と、ある量の上に列挙される1つ以上の抗癌治療および抗癌剤とを含む組み合わせを包含し、ここで、化合物/治療の量は、所望の治療効果を生じる量である。
【0102】
本発明の化合物の薬理学的特性は、多くの薬理学的アッセイによって確認され得る。以下に記載される例示的な薬理学的アッセイは、本発明による化合物およびそれらの塩を用いて実施される。
【0103】
本発明はまた、少なくとも1つの式IIIの化合物、またはそれらの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物に関する。
【0104】
本発明によって記載される化合物から薬学的組成物を調製することに関して、不活性な薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれでもよい。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5パーセント〜約95パーセントの活性成分から構成され得る。
適切な固体キャリア(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトース)は、当該分野で公知である。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適切な固体投薬形態として用いられ得る。薬学的に受容可能なキャリアおよび種々の組成物の製造方法の例は、A.Gennaro編、Remington’s
Pharmaceutical Sciences、第18版(1990)、Mack
Publishing Co.、Easton、Pennsylvaniaに見出され得る。
【0105】
液体形態調製物としては、液剤、懸濁剤および乳濁剤が挙げられる。一例は、非経口注射のための、言及した水溶液もしくは水−プロピレングリコール溶液、または経口用の液剤、懸濁剤および乳濁剤のための甘味料および乳白剤の添加であり得る。液体形態調製物としてはまた、鼻腔内投与用溶液が挙げられ得る。
【0106】
吸入に適切なエアロゾル調製物としては、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性圧縮ガス(例えば、窒素))と組み合わされ得る、溶液および散剤形態の固体が挙げられ得る。
【0107】
また挙げられるのは、使用の少し前に、経口投与用または非経口投与用のいずれかの液体形態調製物へと転換されることが意図される、固体形態の調製物である。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤および乳濁剤が挙げられる。
【0108】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮組成物は、この目的で当該分野で従来行われるように、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤および/または乳濁剤の形態を採り得、そしてマトリクス型またはレザバ型の経皮パッチ中に含まれ得る。
【0109】
本発明の化合物はまた、皮下送達され得る。
【0110】
好ましくは、この化合物は、経口投与される。
【0111】
好ましくは、この薬学的調製物は、単位投薬量形態にある。このような形態では、この調製物は、適切な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性成分を含む適切なサイズの単位用量に細分される。
【0112】
単位用量調製物中の活性化合物の量は、特定の適用によって、約1mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約25mgに変動し得るかまたは調整され得る。
【0113】
用いられる実際の投薬量は、患者の必要要件および処置されるべき状態の重篤度に依存して変動し得る。特定の状況での適切な投薬量レジメンの決定は、当該分野の技術範囲内である。便宜上、総日投薬量は、必要に応じて分割され得、そして1日の間に少しずつ投与され得る。
【0114】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与量および投与頻度は、患者の年齢、状態およびサイズ、ならびに処置されるべき症状の重篤度のような要因を考慮して、担当医の判断に従って調節される。経口投与に関する代表的推奨一日投薬量レジメンは、2〜4回に分割された用量において、約1mg/日〜約500mg/日、より好ましくは約1mg/日〜約200mg/日の範囲にわたり得る。
【0115】
本発明の別の局面は、治療有効量の少なくとも1つの式IIIの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と、薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルもしくは希釈剤とを備えるキットである。
【0116】
本発明のさらに別の局面は、ある量の少なくとも1つの式IIIの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物と、ある量の上に列挙される1つ以上の抗癌治療および/もしくは抗癌剤とを備えるキットであり、ここで、2つ以上の成分の量は、所望の治療効果を生じる量である。
【0117】
本明細書に開示される本発明は、以下の調製および実施例によって例示されるが、この開示の範囲に限定することが意図されるべきではない。代替の機構経路および類似構造物は、当業者に明らかである。
【0118】
NMRデータを表す場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz,H)、Varian Gemini−300(300 MHz)またはXL−400(400 MHz)のいずれかにより得られ、そして括弧に示したヘルツでのプロトンの数、多重度、およびカップリング定数で、MeSiからのppmダウンフィールドとして報告される。LC/MSデータが示される場合、分析は以下を用いて実施した:Applied BiosystemsAPI−100質量分析計およびShimadzuSCL−10A LCカラム:Altech platinumC18,3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配フロー:0分−10% CHCN,5分−95% CHCN,7分−95% CHCN,7.5分−10% CHCN,9分−停止。保持時間および観察された親イオンが提供される。
【0119】
以下の溶媒および試薬は、カッコ内のその略語によって参照され得る:
薄層クロマトグラフィー:TLC
ジクロロメタン:CHCl
酢酸エチル:AcOEtまたはEtOAc
メタノール:MeOH
トリフルオロアセテート:TFA
トリエチルアミン:EtNまたはTEA
ブトキシカルボニル:n−BocまたはBoc
核磁気共鳴分光計:NMR
液体クロマトグラフィー質量分析計:LCMS
高分解能質量分析計:HRMS
ミリリットル:mL
ミリモル: mmol
マイクロリットル:μl
グラム:g
ミリグラム: mg
室温またはrt(周囲):約25℃
【実施例】
【0120】
(実施例)
一般に、本発明の化合物は、下記のスキーム1における一般経路によって調製され得る(スキーム1)
【0121】
【化24】


出発ニトリルをt−ブトキシドカリウムおよび蟻酸エチルで処理して、中間体エノール2を得る。ヒドラジンでの処理の際、所望の置換3−アミノプラゾールを得る。適切に官能化された5型ケトエステルと3型化合物との縮合は、スキーム3に示されるようにピリドンを生じる。この一般経路において使用されるケトエステルは、市販かまたはスキーム2に示されるように作製され得るかのいずかである。
(スキーム2)
【0122】
【化25】


(スキーム3)
【0123】
【化26】


9型クロリドは、ピリドン8のPOClでの処理によって調製され得る。RがHと同じである場合、この位置での置換は、求電子ハロゲン化、アシル化、および他の種々の求電子芳香族置換によって9型化合物上で可能である。
【0124】
N7−アミノ官能基の導入は、スキーム3に示されるように適切なアミンとの反応による9型化合物のクロリドの置換によって達成され得る。
【0125】
6型化合物においてR=OEtの場合、12型のジクロリドは、スキーム4に概説するように容易に調製され得る。7−クロリドの選択的な置換は、14型の生成物に容易に転換され得る13型の化合物を生じる。
(スキーム4)
【0126】
【化27】


(調製実施例:)
(調製実施例1:)
【0127】
【化28】


ドイツ国特許DE 19834047A1,第19頁の手順を実施した。無水THF(40mL)中のKOtBu(6.17g,0.055 mol)の溶液に、無水THF(4mL)中のシクロプロピルアセトニトリル(2.0g,0.025 mol)および蟻酸エチル(4.07g,0.055 mol)の溶液を滴下した。すぐに沈殿が形成された。この混合物を12時間攪拌した。減圧下で濃縮し、そして残渣をEtO(50mL)とともに攪拌した。得られた残渣をデンカントし、EtO(2×50mL)で洗浄し、減圧下で残渣からEtOを除去した。この残渣を冷HO(20mL)に溶解し、そして12N HClでpHを4〜5に調整した。この混合物をCHCl(2×50 mL)で抽出した。この有機層をあわせ、MgSOで乾燥させ、褐色の液体としてアルデヒドが得られるまで減圧下にて濃縮した。
(工程B:)
【0128】
【化29】


調製実施例1、工程Aからの生成物(2.12g,0.0195mol)、NHNH・HO(1.95g,0.039 mol)および氷酢酸CHCOH(1.8g,0.029 mol)の1.8g(0.029 mole)を、EtOH(10mL)に溶解した。これを6時間還流し、減圧下で濃縮した。この残渣を、CHCl(150mL)にスラリーし、1N NaOHを用いてpH9に調整した。この有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、蝋状のオレンジ固体として生成物を得た。
(調製実施例2〜4:)
調製実施例1に記載したのと本質的に同様の手順(ただし、表2のカラム2に示されるニトリルを置換する)によって、表2のカラム3における化合物を調製した:
(表2)
【0129】
【表2】


(調製実施例4:)
【0130】
【化30】


この反応を、(K.O.Olsen,J.Org.Chem.,(1987)52,4531−4536)に概説されるとおりに実施した。従って、THF中ジイソプロピルアミドリチウムの攪拌溶液に、−65〜−70℃にて、新たに蒸留した酢酸エチルを滴下した。得られた溶液を30分間攪拌し、酸塩化物をTHF溶液として添加した。この反応混合物を、−65〜−70℃にて30分間攪拌し、次いで1N HCl溶液の添加によって終了した。得られた2相の混合物を室温まで暖めた。得られた混合物を、EtOAc(100mL)に希釈し、有機層を回収した。この水層をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層をあわせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして真空下にて濃縮し、粗生成物(β−ケトエステル、これを次の濃縮において使用した)を得た。
(調製実施例5〜10:)
調製実施例4に記載したのと本質的に同様の手順(ただし表3のカラム2に示される酸塩化物を置換する)によって、表3のカラム3における化合物(β−ケトエステル)を調製した:
(表3)
【0131】
【表3−1】

【0132】
【表3−2】


(調製実施例11:)
【0133】
【化31】


THF中の酸溶液に、EtNを添加し、次いで−20〜30℃にてイソブチルクロロホルメートを添加した。混合物を−20〜30℃にて30分間攪拌した後、トリメチルアミンヒドロクロリドをアルゴン下で濾過し、濾液をLDA−EtOAc反応混合物(方法Aに概説したように調製した)に、−65〜−70℃にて添加した。1N HClの添加後、反応混合物のルーチンのワークアップおよび溶媒のエバポレーションを実施し、粗β−ケトエステルを単離した。粗物質を次の濃縮において使用した。
(調製実施例12および13:)
調製実施例11に記載したのと本質的に同様の条件(ただし表4のカラム2に示されるカルボン酸を置換する)によって、表4のカラム3に示される化合物を調製した:
(表4)
【0134】
【表4−1】

【0135】
【表4−2】


(調製実施例14:)
【0136】
【化32】


AcOH(15mL)中、3−アミノピラゾール(2.0g,24.07mmol)およびエチルベンゾイルアセテート(4.58 mL,1.1等量)の溶液を3時間還流して加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた固体をEtOAcに希釈し、濾過して、白色固体(2.04g,40%収率)を得た。
(調製実施例15〜32.15:)
調製実施例14に記載したのと本質的に同様の手順(ただし表5のカラム2に示されるアミノピラゾールおよび表5のカラム3に示されるエステルを置換する)によって、表5のカラム4における化合物を調製した:
(表5)
【0137】
【表5−1】

【0138】
【表5−2】

【0139】
【表5−3】

【0140】
【表5−4】

【0141】
【化33】


AcOH(5.0mL)およびHO中(10mL)酢酸エチルベンゾイル(1.76mL、1.1当量)および3−アミノ−4−シアノピラゾール(1.0g、9.25mmol)を、還流で72時間加熱した。得られた溶液を、室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、そしてEtOAcで稀釈した。得られた沈殿物を、濾過し、EtOAcで洗浄し、そして減圧下で乾燥した(0.47g、収率21%)。
【0142】
【化34】

米国特許第3,907,799号における手順に従った。ナトリウム(2.3g、2当量)を、EtOH(150mL)に少しずつ加えた。ナトリウムが完全に溶解したときに、3−アミノピラゾール(4.2g、0.05mol)およびジエチルマロネート(8.7g、1.1当量)を加え、そして得られた溶液を、還流するまで3時間加熱した。得られた懸濁物を、室温まで冷却して濾過した。濾過ケーキを、EtOH(100mL)で洗浄し、そして水(250mL)中に溶解させた。得られた溶液を、氷浴中で冷却し、そしてpHを、濃HClで1〜2に調整した。得られた懸濁物を、濾過し、水(100mL)で洗浄し、そして減圧下で乾燥させて、白色固体(4.75g、収率63%)を得た。
【0143】
(調製実施例33.11〜33.12:)
表5.1のカラム2に示した化合物を置換したこと以外は調製実施例33.10に示した手順と本質的に同一の手順によって、表5.1のカラム3に示した化合物を調製する:
【0144】
【表5A】

【0145】
【化35】


調製実施例14で調製された化合物(1.0g、4.73mmol)のPOCl(5mL)およびピリジン(0.25mL)中溶液を、室温で3日間撹拌した。得られたスラリーを、EtOで稀釈し、濾過し、そして固体残渣をEtOで洗浄した。合わせたEtO洗浄液を、0℃まで冷却し、氷で処理した。激しい反応が収まったら、得られた混合物を、HOで稀釈し、分離し、そして水層をEtOで抽出した。合わせた有機層をHOおよび飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、淡黄色固体を得た(0.86g、収率79%)。LCMS:MH=230。
【0146】
(調製実施例35〜53.15:)
表6のカラム2に示した化合物を置換したこと以外は調製実施例34に示した手順と本質的に同一の手順によって、表6のカラム3に示した化合物を調製した:
【0147】
【表6−1】

【0148】
【表6−2】

【0149】
【表6−3】

【0150】
【表6−4】

【0151】
【化36】


POCl(62mL)を、窒素下で5℃まで冷却し、そしてジメチルアニリン(11.4g、2.8当量)および調製実施例33.10で調製された化合物(4.75g、0.032mol)を調製した。反応混合物を、60℃まで加熱し、そして一晩撹拌した。反応混合物を、30℃まで冷却し、そしてPOClを、減圧下で蒸留した。残渣をCHCl(300mL)中で溶解させ、そして氷上に注いだ。15分間の撹拌後、混合物のpHを、固体NaHCOで7〜8に調整した。層を分離させ、そして有機層をHOで洗浄し(3×200mL)、MgSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。粗生成物を、50:50 CHCl:ヘキサン溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製し、ジメチルアニリンを溶出した。次いで、溶出液を75:25 CHCl:ヘキサンに変え、所望の生成物を溶出した(4.58g、収率77%)。MS:MH=188。
【0152】
(調製実施例53.17〜53.18)
表6.10のカラム2における化合物を置換したこと以外は調製実施例53.16に示した手順と本質的に同一の手順によって、表6.10のカラム3に示した化合物を、調製した:
【0153】
【表6A】

【0154】
【化37】


調製実施例34で調製された化合物(0.10g、0.435mmol)のCHCN(3mL)中溶液を、N−ブロモスクシンイミド(「NBS」)(0.085g、1.1当量)で処理した。反応混合物を、室温で1時間撹拌し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中20% EtOAc溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(0.13g、収率100%)。LCMS:MH=308。
【0155】
(調製実施例55〜68.15:)
表7のカラム2に示した化合物を置換したこと以外は調製実施例54に示した手順と本質的に同一の手順によって、表7のカラム3に示した化合物を、調製した:
【0156】
【表7−1】

【0157】
【表7−2】

【0158】
【表7−3】

【0159】
【化38】


調製実施例35で調製された化合物(0.3g、1.2mmol)のCHCN(15mL)中溶液を、NCS(0.18g、1.1当量)で処理し、そして得られた溶液を、還流するまで4時間加熱した。さらなるNCS(0.032g、0.2当量)を添加し、そして得られた溶液を、還流で一晩撹拌した。反応混合物を、室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、そして残渣をヘキサン中20% EtOAc溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(0.28g、収率83%)。LCMS:MH=282。
【0160】
(調製実施例70:)
表8のカラム2に示した化合物を置換したこと以外は調製実施例69に示した手順と本質的に同一の手順によって、表8のカラム3に示した化合物を、調製した:
【0161】
【表8】

【0162】
【化39】


調製実施例34からの化合物(1.0g、4.35mmol)のDMF(6mL)中溶液に、POCl(1.24mL、3.05当量)を添加し、そして得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、0℃まで冷却し、そして過剰なPOClを、氷の添加によってクエンチした。得られた溶液を、1N NaOHで中和し、HOで稀釈し、そしてCHClで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。粗生成物を、CHCl中5% MeOH溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(0.95g、85%収率)。LCMS:MH=258。
【0163】
【化40】


調製実施例71の生成物(0.25g、0.97mmol)のTHF中溶液に、NaBH(0.041g、1.1当量)を加え、そして得られた溶液を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、HOの添加によってクエンチし、CHClで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を、60:40 ヘキサン:EtOAc混合物を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(0.17g、収率69%)。LCMS:MH=260。
【0164】
【化41】

調製実施例72で調製された化合物(0.12g、0.462mmol)、ジメチルスルフェート(0.088mL、2.0当量)、50% NaOH(0.26mL)および触媒BuNBrのCHCl(4mL)中溶液を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、HOで稀釈し、そしてCHClで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中30% EtOAc溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(0.062g、収率48%)。
【0165】
【化42】


調製実施例35で調製された化合物(0.3g、1.2mmol)、KCO(0.33g、2当量)、および4−アミノピリジン(aminompyridine)(1.1当量)を、5mL CHCN中で2日間反応させ、そして減圧下で濃縮する。残渣を、HOとCHClとの間で分配する。有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮する。粗生成物を、CHCl中5%(MeOH中10% NHOH)溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得る。
【0166】
【化43】


調製実施例74からの化合物(0.91mmol)、BOCO(0.22g、1.1当量)、およびDMAP(0.13g、1.1当量)を、ジオキサン(10mL)中で、室温で3日間反応させる。さらなるBOCO(0.10g、0.5当量)を加え、そして4時間撹拌する。次いで、減圧下で濃縮し、飽和NaHCO(15mL)で稀釈し、そしてCHCl(2×100mL)で抽出する。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、濾過し、そして減圧下で濃縮する。粗生成物を、CHCl中5%(MeOH中10% NHOH)溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得る。
【0167】
【化44】


調製実施例75で調製された化合物を置換したこと以外は調製実施例54に示した手順と本質的に同一の手順によって、上記生成物を調製する。
【0168】
【化45】


調製実施例76(0.3mmol)の生成物、フェニルボロン酸(0.073g、2.0当量)、KPO(0.19g、3.0当量)、およびPd(PPh(0.017g、5mol%)を、還流DME(16mL)およびHO(4mL)中で7時間反応させる。得られた溶液を、室温まで冷却し、HOで稀釈し(10mL)、そしてCHClで抽出する(3×50mL)。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮する。粗生成物を、CHCl中2.5%(MeOH中10% NHOH)溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得る。
【0169】
【化46】


調製実施例53.15で調製された化合物(0.25g、1.3mmol)のジオキサン(5mL)中溶液に、iPrNEt(0.47mL、2.0当量)および3アミノメチルピリジン(0.15ml、1.1当量)を加えた。得られた溶液を、室温で72時間撹拌する。反応混合物を、HOで稀釈し、そしてEtOAcで抽出する。合わせた有機層を、HOおよび飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮する。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0170】
(調製実施例79−81:)
表8.10のカラム2に示した化合物を置換したこと以外は調製実施例78に示した手順と本質的に同一の手順によって、表8.10のカラム3に示した化合物を、調製する。
【0171】
【表8A】

【0172】
【化47】


調製実施例80からの化合物を置換したこと以外は調製実施例75に示した手順と本質的に同一の手順によって、上記化合物を調製する。
【0173】
(実施例1:)
【0174】
【化48】


調製実施例54からの生成物(0.875mmol)、4−アミノピリジン(0.12g、1.3当量)、およびKCO(0.24g、2当量)を、CHCN(5mL)中で、調製実施例74に記載のように反応させ、生成物を得る。
【0175】
(実施例2−46.18:)
表9のカラム2およびカラム3に示した反応物を用いること以外は実施例1に記載の手順と本質的に同一の手順に従い、カラム4に示した生成物を得ることが出来る。
【0176】
【表9−1】

【0177】
【表9−2】

【0178】
【表9−3】

【0179】
【表9−4】

【0180】
【表9−5】

【0181】
【表9−6】

【0182】
【表9−7】

【0183】
【表9−8】

【0184】
【表9−9】

【0185】
【表9−10】

【0186】
【表9−11】


(実施例47:)
【0187】
【化49】


TFA(0.5mL)を、調製実施例76で調製された化合物(0.16mmol)のCHCl(2.0mL)中溶液に0℃で加え、そしてこの溶液を、2.5時間撹拌した。これを4℃で一晩保存し、ここでさらなるTFA(0.5mL)を添加した。これを、4時間撹拌し、そして減圧下で濃縮した。これを、1N NaOHで中和し、CHClで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を、CHCl中2.5%(MeOH中10% NHOH)溶液を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た。
【0188】
(実施例48:)
【0189】
【化50】

(工程A:)
5−クロロ付加化合物のジオキサン/DIPEA(2.5/1.0)中溶液に、室温でシクロペンチルアミン(1.2当量)を滴下する。得られた溶液を、還流で16時間撹拌し、室温まで冷却し、そして減圧下で濃縮する。粗物質を、分取薄層クロマトグラフィー(8×1000μM)によって精製する。
【0190】
(工程B:)
実施例48工程Aで調製された化合物CHCl中の溶液に、室温でTFA(5当量)を滴下する。得られた溶液を、室温で18時間撹拌し、そして減圧下で濃縮する。粗物質を、CHCl中に再溶解させ、そして有機層を、順に飽和NaHCO(2×2mL)水溶液およびブライン(1×2mL)で洗浄する。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして減圧下で濃縮する。粗物質を、分取薄層クロマトグラフィー(8×1000μM)によって精製する。
【0191】
(実施例49−58:)
表10のカラム2におけるクロリドを置換すること以外は実施例48に示した手順と本質的に同一の手順によって、表10のカラム3に示した化合物を、調製する。
【0192】
【表10−1】

【0193】
【表10−2】

【0194】
【表10−3】


(実施例59:)
【0195】
【化51】


実施例46.14で調製された化合物の無水アセトニトリル中溶液に、TMSI(4当量)を室温で滴下する。10分間後、減圧下でアセトニトリルを除去する。得られた黄色泡状物を、2N HCl溶液(7mL)で処理し、次いで、直ちにEtOで洗浄する(5×)。50% NaOH(水溶液)を用いて水溶液のpHを10に調製し、そして生成物を、NaClを用いた溶液の飽和およびその後のCHClを用いた抽出(5×)により単離し、所望の生成物を得る。
【0196】
(実施例60−62:)
表11のカラム2に示した化合物を置換したこと以外は実施例58に示した手順と本質的に同一の手順によって、表11のカラム3に示した化合物を調製した
【0197】
【表11】


アッセイ:本発明の化合物におけるアッセイを、以下のように行い得る。
【0198】
バキュロウイルス構築物:PCRにより、サイクリンEを、pVL1393(Pharmingen,LaJolla,California)内にアミノ末端に5つのヒスチジン残基を付加してクローン化し、ニッケル樹脂の精製に供する。発現したタンパク質は、約45kDaである。PCRにより、CDK2をpVL1393内にカルボキシ末端にヘマグルチニンエピトープタグ(YDVPDYAS)を付加してクローン化する。発現したタンパク質は、34kDaの大きさである。
【0199】
酵素産生:組換えバキュロウイルス発現サイクリンEおよびCDK2を、SF9細胞に等しい感染多様性(MOI=5)で、48時間同時感染させる。細胞を、1000RPMで10分間の遠心分離により回収し、次いでペレットを、氷上で30分間、ペレット体積の5倍量の溶解緩衝液(50mM Tris(pH8.0)、150mM NaCl、1% NP40、1mM DTTおよびプロテアーゼインヒビター(Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany)含有)で溶解させる。溶解物を、15000RPMで10分間遠心分離して沈殿させ、上清を得る。5mlのニッケルビーズ(SF9細胞1リットルにつき)を、溶解緩衝液(Qiagen GmbH,Germany)中で3回洗浄する。イミダゾールを、バキュロウイルス上清に、終濃度20mMになるまで加え、次いでニッケルビーズと共に45分間4℃でインキュベートする。タンパク質を、250mMイミダゾール含有溶解緩衝液で溶出する。溶出液を、2リットルのキナーゼ緩衝液(50mM Tris(pH8.0)、1mM DTT、10mM MgCl、100μMオルトバナデートナトリウムおよび20%グリセロール)中で一晩透析する。酵素を、−70℃でアリコート中で保存する。
【0200】
インビトロキナーゼアッセイ:サイクリンE/CDK2キナーゼアッセイを、96ウェルプレート(Corning Inc,Corning,New York)に結合した低タンパク質中で行う。酵素を、終濃度50μg/mlまでキナーゼ緩衝液(50mM Tris(pH8.0)、10mM MgCl、1mM DTT、および0.1mMオルトバナデートナトリウム含有)中に希釈する。これらの反応において使用される基質は、ヒストンH1に由来するビオチン化ペプチド(Amersham,UK)である。この基質を、氷上で融解し、そして2μMまでキナーゼ緩衝液中に希釈する。化合物を、10% DMSO中に、望ましい濃度まで希釈する。各キナーゼ反応につき、20μlの50μg/ml酵素溶液(酵素1μg)および20μlの2μM基質溶液を混合し、次いで試験する各ウェル中で、10μlの希釈化合物と合わせる。キナーゼ反応を、50μlの2μM ATPおよび0.1μCiの33P−ATP(Amersham,UK)の添加によって開始する。反応を、室温で1時間行わせる。反応を、200μlの停止緩衝液(0.1% TritonX−100、1mM ATP、5mM EDTA含有)および5mg/mlのストレプトアビジンコートしたSPAビーズ(Amersham,UK)の15分間の添加によって停止させる。次いで、SPAビーズを、Filtermate universal harvester(Packard/Perkin Elmer
Life Sciences)を用いて96ウェルGF/Bフィルタープレート(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)上に捕捉する。ビーズを2M NaClで2回洗浄し、次いで1%リン酸を含む2M NaClで2回洗浄して、非特異的シグナルを除去する。次いで、放射活性シグナルを、TopCount
96ウェル液体シンチレーションカウンター(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)を用いて測定する。
【0201】
IC50決定:用量−反応曲線を、2連で作成した阻害データから、阻害化合物の8点連続希釈からプロットする。化合物の濃度を、処理サンプルCPMを未処理サンプルのCPMで割ることにより算出し、%キナーゼ活性に対してプロットする。IC50値を算出するために、次いで、用量−反応曲線を、標準シグモイド曲線に当てはめる。IC50値は、非線形回帰分析から誘導される。
【0202】
本発明は、上に示した特定の実施形態に関連して記載されているが、多くの代替、改変およびこれらの他のバリエーションが、当業者に明らかである。このような全ての代替、改変およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の方法。

【公開番号】特開2010−132704(P2010−132704A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45900(P2010−45900)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【分割の表示】特願2004−534424(P2004−534424)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【出願人】(501249331)ファーマコピア, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】