説明

サイクリン依存性キナーゼインヒビターとしてのピラゾロピリミジン

【課題】CDKに関連する疾患および障害の処置または予防または軽減において有用な化合物を提供すること。
【解決手段】本発明は、その多くの実施形態において、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新規クラスのピラゾロ[1,5−α]ピリミジン化合物、このような化合物を調製する方法、このような化合物を一種以上含有する薬学的組成物、このような化合物を一種以上含有する薬学的処方物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用してCDKと関連する一種以上の疾患を処置するか、予防するか、阻害するか、または改善する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用なピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、この化合物を含有する薬学的組成物、ならびにこの化合物および組成物を使用して疾患(例えば、癌、炎症、関節炎、ウイルス性疾患、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管疾患、ならびに真菌性疾患)を処置するための処置方法に関する。本願は、2002年9月4日に出願された、米国仮特許出願番号60/407,999からの優先権の権利を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これらは、細胞周期および細胞増殖の背後にある駆動力である。個々のCDK(例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7、CDK8など)は、細胞周期の進行において異なる役割を果たし、そしてG1期、S期、またはG2M期の酵素のいずれかとして分類され得る。制御されない増殖は、癌細胞の特徴であり、そしてCDK機能の誤調節は、多くの重要な固形腫瘍において、高い頻度で起こる。CDK2およびCDK4は、特に興味深い。なぜなら、これらの活性は、広範な種々のヒト癌において頻繁に誤調節されるからである。CDK2活性は、細胞周期のG1期を介してS期への進行のために必要とされ、そしてCDK2は、G1チェックポイントの主要な構成要素の1つである。チェックポイントは、細胞周期の事象の適切な順序を維持するように働き、そして細胞が傷害または増殖シグナルに応答することを可能にし、一方で、癌細胞における適切なチェックポイント制御の損失は、腫瘍原性に寄与する。CDK2経路は、腫瘍抑制因子機能(例えば、p52、RB、およびp27)および癌遺伝子活性化(サイクリンE)のレベルで腫瘍原性に影響を与える。多くの報告は、CDK2の共アクチベーター(サイクリンE)とインヒビター(p27)との両方が、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、胃癌、前立腺癌、膀胱癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および他の癌において、それぞれ過剰発現または過少発現のいずれかをされることを実証した。これらの変更された発現は、増加したCDK2活性レベルおよび乏しい全体の生存に相関することが示された。この観察は、CDK2およびその調節経路を何年もの間開発が強要される目標とし、アデノシン5’−三リン酸(ATP)と競合する多数の有機低分子およびペプチドが、文献において、潜在的な癌処置のためのCDKインヒビターとして報告されている。米国特許第6,413,974号の第1欄第23行〜第15欄第10行は、種々のCDKおよび種々の型の癌とそれらとの関係の、良好な記載を与える。
【0003】
CDKインヒビターは、公知である。例えば、フラボピリドール(式I)は、現在ヒト臨床試験を受けている、非選択的CDKインヒビターである。A.M.Sanderowiczら,J.Clin.Oncol.(1998)16,2986−2999。
【0004】
【化13】

【0005】
他の公知のCDKインヒビターとしては、例えば、オロモウシン(olomoucine)(J.Veselyら,Eur.J.Biochem.,(1994)224,771−786)およびロスコビチン(roscovitine)(I.Meijerら,Eur.J.Biochem.,(1997)243,527−536)が挙げられる。米国特許第6,107,305号は、CDKインヒビターとして特定のピラゾロ[3,4−b]ピリジン化合物を記載する。’305特許からの例示的な化合物は、式IIを有する:
【0006】
【化14】

【0007】
K.S.Kimら,J.Med.Chem.45(2002)3905−3927およびWO02/10162は、CDKインヒビターとして、特定のアミノチアゾール化合物を開示する。
【0008】
ピラゾロピリミジンは、公知である。例えば、WO92/18504、WO02/50079、WO95/35298、WO02/40485、EP94304104.6、EP0628559(米国特許第5,602,136号、同第5,602,137号および同第5,571,813号に相当)、米国特許第6,383,790号、Chem.Pharm.Bull.,(1999)47 928、J.Med.Chem.,(1977)20,296、J.Med.Chem.,(1976)19 517およびChem.Pharm.Bull.,(1962)10 620は、種々のピラゾロピリミジンを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CDKに関連する疾患および障害を処置するための、新たな化合物、処方物、処置および治療に対する必要性が存在する。従って、本発明の目的は、このような疾患および障害の処置または予防または軽減において有用な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
その多くの実施形態において、本発明は、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新規なクラスのピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、このような化合物を調製する方法、1つ以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1つ以上のこのような化合物を含有する薬学的処方物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用する、CDKに関連する1つ以上の疾患の処置、予防、阻害または軽減の方法を提供する。
【0011】
1つの局面において、本願は、化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、この化合物は、式IIIに示される一般構造を有する:
【0012】
【化15】

【0013】
ここで:
Qは、−S(O)−または−C(O)−であり;
Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、このアリールまたはヘテロアリールは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、この部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、CN、−OR、SR、−S(O)R、−S(O)NR、−NR、−C(O)NR、CF、アルキル、アリールおよびOCFからなる群より独立して選択され;
は、CN、NR、−C(O)R、−C(O)NR、−OR、SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)R、および−N(R)C(O)NR;同じであっても異なっていてもよい1〜6個のR基で置換された、アルキニル、ヘテロアリール、CF、ヘテロシクリル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、アルキルからなる群より選択され、Rは、以下:
【0014】
【化16】

【0015】
に示すRの列挙から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、−NR、−C(O)NR、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル、
【0016】
【化17】

【0017】
からなる群より選択され、ここで、Rについてのこのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル、ならびに構造をRについて直前に示すヘテロシクリル部分の各々は、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、この部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−(CROR、−OR、−NR、−(CRNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立して選択され;
は、H、ハロまたはアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、このアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、この部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より独立して選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、このアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、この部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立して選択されるか;
または、必要に応じて、(i)この部分−NR10中のRおよびR10、もしくは、(ii)この部分−NR中のRおよびRは、一緒に結合して、シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成してもよく、このシクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分のそれぞれは、置換されていないか、または、必要に応じて独立して一つ以上のR基で置換されており;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、このアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、この部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群より独立して選択され;
は、R、−C(O)NR10、−S(O)NR10、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群より選択され;
は、ハロゲン、CN、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
mは0〜4であって;そして、
nは1〜4である。
【0018】
式IIIの化合物は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であり得、そして増殖疾患(例えば、癌、炎症、および関節炎)の処置および予防において有用であり得る。これらはまた、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管疾患、ウイルス性疾患および真菌性疾患の処置において有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、構造式IIIによって表されるピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を開示し、ここで、種々の部分は、上に定義されたとおりである。
【0020】
別の実施形態において、Rは、フェニル、ナフチル、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジン−3−イルおよびピリダジン−3−イルからなる群より選択される。
【0021】
別の実施形態において、Rは、CF、CN、シクロアルキル、−OR、−C(O)OR、−CHOR、アリールまたはヘテロアリールである。
【0022】
別の実施形態において、Rは、H、アルキル、非置換のアリール、非置換のヘテロアリール、またはハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、低級アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたアリール、ヘテロシクリル、またはハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたヘテロアリール、
【0023】
【化18】

【0024】
である。
【0025】
別の実施形態において、Rは、Hまたは低級アルキルである。
【0026】
別の実施形態において、Rは、Hまたは低級アルキルである。
【0027】
別の実施形態において、mは、0〜2である。
【0028】
別の実施形態において、nは、1または2である。
【0029】
さらなる実施形態において、Rは、フェニル、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イルおよびピリミジン−5−イルからなる群より選択される。
【0030】
さらなる実施形態において、Rは、CF、CNまたはシクロアルキルである。
【0031】
さらなる実施形態において、Rは、H、低級アルキル、シクロアルキル、C(O)ORもしくはアリールまたは
【0032】
【化19】

【0033】
であり、このアルキルおよびアリールは、置換されていないか、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されており、この部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、メトキシおよびCNからなる群より独立して選択される。
【0034】
さらなる実施形態において、RはHである。
【0035】
さらなる実施形態において、RはHである。
【0036】
さらなる実施形態において、mは0である。
【0037】
さらなる実施形態において、Rは、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−ピリジルのN−オキシドまたは3−ピリジルのN−オキシドである。
【0038】
さらなる実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルである。
【0039】
さらなる実施形態において、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ヘテロアリール、Cl、置換されていないフェニル、またはF、Br、Cl、OMe、CHおよびCFからなる群より選択される1以上の部分で置換されたフェニル、
【0040】
【化20】

【0041】
である。
【0042】
さらなる実施形態において、Rは、
【0043】
【化21】

【0044】
である。
【0045】
さらなる実施形態において、Rは(CHOHまたは(CHOCHであり、ここで、nは1または2である
さらなる実施形態において、Rは、フラニルである。
【0046】
本発明の化合物の群を、表1に示す。
【0047】
【化22】

【0048】
【化23】

【0049】
【化24】

【0050】
上記および本開示を通して使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
「患者」は、ヒトと動物との両方を包含する。
【0051】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0052】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であり得、そして約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、約1〜約12個の炭素原子を、鎖中に含む。より好ましいアルキル基は、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に有する、直鎖であっても分枝鎖であってもよい基を意味する。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0053】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして約2〜約15個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、約2〜約12個の炭素原子を、鎖中に含む;そしてより好ましくは、約2〜約4個の炭素原子を、鎖中に含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0054】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6〜約10個の炭素原子を含む、芳香族単環式環系または芳香族多環式環系を意味する。アリール基は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0055】
「ヘテロアリール」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは、約5〜約10個の環原子を含み、ここで、これらの環原子のうちの1つ以上が、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である、芳香族単環式環系または芳香族多環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。ヘテロアリールの語根の前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0056】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが先に記載されたとおりである、アリール−アルキル基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0057】
「アルキルアリール」とは、アルキルおよびアリールが先に記載されたとおりである、アルキル−アリール基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する。
【0058】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上に定義されるとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0059】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素および臭素である。
【0060】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族の環系に結合する置換基を意味し、これらは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。
【0061】
「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含み、ここで、環系中の1つ以上の原子が、単独でかまたは組み合わせて、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である、非芳香族の飽和単環式環系または飽和多環式環系を意味する。この環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの語根の前の接頭語である、アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環中のあらゆる−NHは、例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基などのように保護されて存在し得;このような保護された部分はまた、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい、本明細書中で定義された通りの1以上の「環系置換基」で置換され得る。このヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドへと酸化され得る。適切な単環式へテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。
【0062】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接する炭素原子上にはヒドロキシル基は存在せず、ならびに、別のヘテロ原子に隣接する炭素原子上にはN基もS基も存在しないことに注意すべきである。従って、例えば、環
【0063】
【化25】

【0064】
において、2および5の印のついた炭素に直接結合する−OHは存在しない。
【0065】
「アルキニルアルキル」は、アルキニルおよびアルキルが、先に定義された通りである、アルキニル−アルキル−基を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介してである。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0066】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介してである。
【0067】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは、上記で定義された通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0068】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0069】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0070】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介してである。
【0071】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介してである。
【0072】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル基が、先に定義された通りである、アラルキル−O−基を意味する。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0073】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0074】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0075】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0076】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0077】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0078】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0079】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルであるアルキル−S(O)−基が好ましい。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0080】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0081】
用語「置換された」は、指定された原子上の1つ以上の水素が、指示された群から選択されたもので置き換えられていることを意味するが、ただし、既存の状況下での指定された原子の通常の原子価は超えず、置換により安定な化合物を生じる。置換基および/または可変基の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造体」とは、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および、有効な治療剤への処方に耐える程度に十分頑強である化合物を意味する。
【0082】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0083】
本明細書中の文、スキーム、実施例および表において、不飽和価を有するあらゆるヘテロ原子が、その原子価を満たすように水素原子を有するものとみなされることがまた、注意されるべきである。
【0084】
化合物中の官能基が「保護された」と称される場合、これは、この基が、修飾された形態にあって、化合物が反応に供される場合に、保護された部位において所望でない副反応を防止することを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkのような標準的な教科書を参照して認識される。
【0085】
任意の可変基(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の構成または式III中に1回より多く生じる場合、各出現箇所におけるその定義は、他の出現箇所毎にその定義が独立している。
【0086】
本明細書中で使用する場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、ならびに特定の量での特定の成分の組合せから直接的もしくは間接的に生じる任意の製品を包含することが意図される。
【0087】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式IIIの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0088】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、液相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0089】
「有効量」または「治療的有効量」は、CDKを阻害する際に有効な、従って、所望の治療効果、緩和効果、阻害効果または予防効果を生じる際に有効な、本発明の化合物または組成物の量を意味する。
【0090】
式IIIの化合物は、これもまた本発明の範囲内にある塩を形成し得る。本明細書中の式IIIの化合物に対する言及は、他に示さない限り、その塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成された塩基性塩を示す。さらに、式IIIの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「内部の塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する場合の用語「塩」の範囲に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式IIIの化合物の塩は、例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中、または水性媒体中)で、式IIIの化合物をある量(例えば、当量)の酸または塩基と反応させることによって形成され得、その後、凍結乾燥され得る。
【0091】
例示的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルン酸塩、二硫酸酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても公知)など。加えて、塩基性の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般にみなされる酸は、例えば、以下によって考察される:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(ウェブサイト上))これらの開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0092】
例示的な塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)との塩、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化ブチル)、スルホン酸ジアルキル(例えば、スルホン酸ジメチル、スルホン酸ジエチル、およびスルホン酸ジブチル)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤を用いて四級化され得る。
【0093】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0094】
式IIIの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0095】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)として、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0096】
本発明に従う化合物は、薬理学的特質を有し;特に、式IIIの化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)(例えば、CDC2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7およびCDK8)のような、プロテインキナーゼのインヒビターであり得る。式IIIの新規化合物は、癌のような増殖性疾患、自己免疫疾患、ウイルス性疾患、真菌性疾患、神経障害/神経変性障害、関節炎、炎症、抗増殖性疾患(例えば、眼性網膜症)、ニューロン性疾患、脱毛症疾患ならびに心臓血管性疾患の治療において有用であることが予期される。これら疾患および障害の多くは、前出の米国特許第6,413,974号に列挙され、この開示は、本明細書中に援用される。
【0097】
より具体的には、式IIIの化合物は、以下を含む(しかし、これらに限定されない)、種々の癌の処置において有効なものであり得る:膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、小細胞肺癌を含む肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および扁平上皮細胞癌を含む皮膚癌、を含む癌腫:
白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽性白血病、B細胞性リンパ腫、T細胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系統の造血性腫瘍;
急性および慢性の骨髄性白血病、骨髄異型性症候群、ならびに前骨髄球性白血病を含む、骨髄系統の造血性腫瘍;
繊維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉起源の腫瘍;
星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む、中枢神経系および末梢神経系の腫瘍;ならびに
黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、ケラトアカントーマ(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌、およびカポジ肉腫を含む、他の腫瘍。
【0098】
一般に細胞増殖の調節におけるCDKの重要な役割に起因して、インヒビターは、可逆的な細胞増殖抑制剤として作用し得、これは、異常な細胞増殖(例えば、良性前立腺肥大、家族性腺腫性ポリポーシス)、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成または血管手術直後の再狭窄、肥大性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶反応、内毒素性ショック、および真菌感染症を特徴とする任意の疾患プロセスの処置において有用であり得る。
【0099】
式IIIの化合物はまた、CDK5が、τタンパク質のリン酸化に関係しているという近年の発見により示されるように、アルツハイマー病の処置において有効であり得る(J.Biochem,(1995)117,741−749)。
【0100】
式IIIの化合物は、アポトーシスを誘導、または阻害し得る。アポトーシス反応は、種々のヒト疾患において、異常なものであり得る。アポトーシスの調節因子としての式IIIの化合物は、以下の処置に有効である:癌(本明細書中上述の型を含むが、これらに限定されない)、ウイルス感染(ヘルペスウイルス(herpevirus)、ポックスウイルス、Epstein−Barrウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスを含むが、これらに限定されない)、HIV感染個体におけるAIDS発症の予防、自己免疫疾患(全身性の狼瘡、エリテマトーデス、自己免疫媒介性糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患および真性自己免疫性糖尿病を含むが、これらに限定されない)、神経変性障害(アルツハイマー病、AIDS関連性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症および小脳変性症を含むが、これらに限定されない)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞に関連する虚血性障害、脳卒中損傷および再潅流損傷、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発性肝臓疾患またはアルコール関連性肝臓疾患、血液疾患(慢性的貧血および再生不良性貧血(aplastic anemia)を含むが、これらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗しょう症および関節炎を含むが、これらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患ならびに癌性疼痛。
【0101】
CDKのインヒビターとしての、式IIIの化合物は、細胞のRNA合成およびDNA合成のレベルを調節し得る。これらの因子は、そのため、ウイルス感染(HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バーウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスを含むが、これらに限定されない)の処置において、有用である。
【0102】
式IIIの化合物は、癌の予防的化学療法にまた、有用なものであり得る。予防的化学療法は、変異促進性事象の開始を阻止することによるか、または既に傷害を被ったか、前悪性細胞の進行を阻止するか、もしくは腫瘍再発を阻害するかのいずれかにより、侵襲性癌の発生を阻害するものとして定義される。
【0103】
式IIIの化合物はまた、腫瘍の血管新生および転移を阻害するのに有用なものであり得る。
【0104】
式IIIの化合物はまた、例えば、プロテインキナーゼC、her2、raf 1、MEK1、MAPキナーゼ、EGFレセプター、PDGFレセプター、IGFレセプター、PI3キナーゼ、wee1キナーゼ、Src、AbIのような、他のプロテインキナーゼのインヒビターとして作用し得、そのため、他のプロテインキナーゼに関連する疾患の処置に有効であり得る。
【0105】
本発明の別の局面は、哺乳動物に少なくとも一つの治療有効量の式IIIの化合物か、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、もしくは、溶媒和物を投与することにより、CDKに関連する疾患または、状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法である。
【0106】
好ましい投薬量は、式IIIの化合物の約0.001〜500mg/体重kg/日である。特に好ましい投薬量は、式IIIの化合物またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、もしくは溶媒和物の約0.01〜25mg/体重kg/日である。
【0107】
本発明の化合物はまた、放射線療法のような一以上の抗癌処置との、および/または以下から選択される、一以上の抗癌剤との併用(同時に投与されるか、または連続的に投与される)において、有用であり得る:細胞増殖抑制剤、細胞傷害性剤(例えば、DNA相互作用剤(例えば、シスプラチンまたはドキソルビシン)であるが、これらに限定されない);タキサン(例えば、タキソテール、タキソール);トポイソメラーゼIIインヒビター(例えば、エトポシド);トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、イリノテカン(すなわち、CPT−11)、カンプトスター(camptostar)、もしくはトポテカン);チューブリン相互作用剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセルもしくはエポチロン);ホルモン剤(例えば、タモキシフェン);チミジル酸シンセターゼインヒビター(例えば、5−フルオロウラシル);代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート(methoxtrexate));アルキル化剤(例えば、テモゾロミド(Schering−Plough Corporation,Kenilworth,New Jersey製のTEMODARTM)、シクロフォスファミド);ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター(例えば、SARASARTM(4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、もしくはSchering−Plough Corporation,Kenilworth,New Jersey製のSCH66336)、チピファルニブ(tipifarnib)(Janssen Pharmaceuticals製のZarnestra(登録商標)もしくはR115777)、L778,123(Merck&Company,Whitehouse Station,New Jersey製のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、BMS214662(Bristol−Myers Squibb Pharmaceuticals,Princeton,New Jersey製のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター);シグナル伝達インヒビター(例えば、Iressa(Astra Zeneca Pharmaceuticals,England製)、Tarceva(EGFRキナーゼインヒビター)、EGFRに対する抗体(例えば、C225)、GLEEVECTM(Novartis Pharmaceuticals,East Hanover,New Jersey製のC−ablキナーゼインヒビター);例えば、イントロン(Schering−Plough Corporation製)、Peg−イントロン(Schering−Plough Corporation製)のようなインターフェロン;ホルモン療法の併用;アロマターゼの併用;ara−C、アドリアマイシン、シトキサン、およびゲムシタビンよりなる群。
【0108】
他の抗癌剤(抗新生物剤としても知られる)としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン(Triethylenethiophosphoramine)、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンリン酸塩、オキサリプラチン、ロイコビリン、オキサリプラチン(Sanofi−Synthelabo Pharmaeuticals,France製のELOXATINTM)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ネイベルベン(Navelbene)、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン(Reloxafine)、ドロキサフィン(Droloxafine)、またはヘキサメチルメラミンを含むが、これらに限定されない。
【0109】
一定用量として処方された場合、このような併用製品は、本明細書中に記載される投薬量範囲内において、本発明の化合物を使用し、そしてその投薬量範囲内において、他の薬学的活性因子または処置を使用する。例えば、CDC2インヒビターであるオロムチンは、アポトーシス誘導において公知の細胞傷害性剤と相乗的に作用することが見出された(J.Cell Sci.(1995)108,2897)。式IIIの化合物はまた、併用処方物が、不適切である場合、公知の抗癌剤または細胞傷害性剤と共に連続的に投与され得る。本発明は、投与の順序に制限されない;式IIIの化合物は、公知の抗癌剤または細胞傷害性剤の投与前もしくは投与後のいずれでも投与され得る。例えば、サイクリン依存性キナーゼインヒビターであるフラボピリドールの細胞傷害性活性は、抗癌剤を用いた投与の順序により、影響される(Cancer Research,(1997)57,3375)。このような技術は、当業者および主治医の技術の範囲内のものである。
【0110】
従って、一つの局面において、本発明は、一定量の少なくとも一つの式IIIの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに一定量の上に列挙された一以上の抗癌処置および抗癌剤を含む、併用を含み、ここで化合物/処置の量は、望ましい治療効果を生じる。
【0111】
本発明の化合物の薬理学的特性は、多数の薬理学的アッセイにより確認され得る。後に記載される、例示された薬理学的アッセイは、本発明に従う化合物およびその塩を用いて実施された。
【0112】
本発明はまた、式IIIの少なくとも一つの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物に関する。
【0113】
本発明により記載される化合物から薬学的組成物を調製するために、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれであってもよい。固形調製物は、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤を含む。散剤および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分から成り得る。適切な固形キャリア(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、またはラクトース)は、当該分野において公知である。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適切な固形の投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および種々の組成物についての製造方法は、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvaniaに、見出され得る。
【0114】
液状形態の調製物としては、液剤、懸濁剤、および乳濁剤が挙げられる。例としては、非経口的な注射もしくは、経口用の液剤、懸濁剤および乳濁剤のための甘味料および乳白剤の添加のための記載した水溶液、または水−プロピレングリコール溶液であり得る。液状形態の調製物はまた、経鼻投与のための溶液を含み得る。
【0115】
吸入に適切なエアロゾル調製物は、溶液および粉末形状の固体を含み得、これは、不活性の圧縮ガス(例えば、窒素)のような、薬学的に受容可能なキャリアとの併用におけるものであり得る。
【0116】
また含まれるものは、使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのために、液状形態の調製物へと変えられることが意図される固形調製物である。このような液体形態は、溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。
【0117】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能なものであり得る。経皮組成物は、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤、および/または乳濁剤の形態を取り得、そして、この目的のために当該分野において従来のものであるような、マトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含められ得る。
【0118】
本発明の化合物はまた、皮下に送達され得る。
【0119】
好ましくはこの化合物は、経口投与される。
【0120】
好ましくは、この薬学的調製物は、単位投薬形態におけるものである。このような形態においては、調製物は、活性成分の適切な量、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含む、適切な大きさの単位用量へと細分化される。
【0121】
調製物の単位用量における活性化合物の量は、特定用途に従って、変化し得るか、または約1mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約25mgに調整され得る。
【0122】
使用される実際の投薬量は、患者の必要要件、および処置される状態の重篤度に従って変化され得る。特定の状況のための適切な投薬量レジメンの決定は、当業者の技術の範囲内のものである。便宜のため、一日の全投薬量は、分割され得、そして必要に応じてその日の間に、分けて投与され得る。
【0123】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与量ならびに投与回数は、患者の年齢、状態、および大きさ、ならびに処置される症状の重篤度のような要因を考慮して主治医の判断に従って調節される。経口投与についての代表的な推奨される一日の投薬レジメンは、2回〜4回に分割された用量において、約1mg/日〜約500mg/日、好ましくは1mg/日〜200mg/日の範囲であり得る。
【0124】
本発明の別の局面は、治療有効量の少なくとも一つの式IIIの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤を含むキットである。
【0125】
本発明のさらに別の局面は、一定量の少なくとも一つの式IIIの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに一定量の上記の少なくとも一つの抗癌治療および/または抗癌剤を含むキットであり、ここで二以上の成分の量は、所望される治療効果を生じる。
【0126】
本明細書中に開示される発明は、以下の調製物および実施例(開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない)により例証される。代替的な機構経路および類似の構造は、当業者に明らかである。
【0127】
NMRデータが示される場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz,H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得られた。そして、プロトンの数を伴うMeSiに由来するppm下降フィールド(down field)、多重性、括弧内に示された結合定数(ヘルツ)として報告される。LC/MSデータが示された場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配フロー(gradient flow):0分−10%CHCN、5分−95%CHCN、7分−95%CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止、を使用して実施された。保持時間および観測された親イオンを示す。
【0128】
以下の溶媒および試薬は、括弧内のその略語として、言及され得る。
【0129】
薄層クロマトグラフィー:TLC;
ジクロロメタン:CHCl
酢酸エチル:AcOEtまたはEtOAc;
メタノ−ル:MeOH;
トリフルオロ酢酸:TFA;
トリエチルアミン:EtNまたはTEA;
ブトキシカルボニル:n−BocまたはBoc;
核磁気共鳴分光学:NMR;
液体クロマトグラフィー質量分析:LCMS;
高分解能質量分析:HRMS;
ミリリットル:mL;
ミリモル:mmol;
マイクロリットル:μl;
グラム:g;
ミリグラム:mg;
室温またはrt(周囲):約25℃;
N−ブロモスクシンイミド:NBS;
N−クロロスクシンイミド:NCS。
【実施例】
【0130】
一般的に、本発明に記載される化合物は、下記の一般経路により調製され得る。t−ブトキシドカリウムおよびギ酸エチルを用いた出発ニトリルの処理(スキーム1)は、中間体エノール2を生じ、これはヒドラジンを用いた処理によって、所望の置換された3−アミノピラゾールを生じる。適切に官能化された5型ケトエステルを用いた3型化合物の縮合は、スキーム3に示すようなピリドン6を生じる。この一般的な経路において使用されるケトエステルは、市販されるものであっても、スキーム2に例示されるように作製され得てもよい。
【0131】
(スキーム1)
【0132】
【化25A】

【0133】
7型塩化物は、POClを用いたピリドン6の処理により調製され得る。RがHと同じである場合、この位置における置換は、求電性のハロゲン化、アシル化、および種々の他の求電性の芳香族置換により、9型化合物上で可能である。
【0134】
(スキーム2)
【0135】
【化26】

【0136】
N7−アミノ官能性の取り込みは、アンモニアを用いた反応による、9型化合物の塩化物の置換により達成され得る(スキーム3)。適切に置換された酸塩化物またはスルホニル塩化物を用いたアシル化は、所望の10型化合物を生じる。
【0137】
(スキーム3)
【0138】
【化27】

【0139】
6型化合物においてRがOEtである場合、12型二塩化物は、スキーム4に概説されるように、容易に調製され得る。7塩化物の選択的な置換は、13型の化合物を生じ、これは、14型生成物または対応するスルホンイミドへと容易に変換され得る。
【0140】
(スキーム4)
【0141】
【化28】

【0142】
(調製実施例1)
【0143】
【化29】

【0144】
独国特許DE19834047A1の第19頁の手順に従った。無水THF(40mL)中のKOtBu(6.17g、0.055mol)溶液に、無水THF(4mL)中のシクロプロピルアセトニトリル(2.0g、0.025mol)およびギ酸エチル(4.07g、0.055mol)の溶液を滴下した。沈殿物がすぐに形成された。この混合物を12時間撹拌した。これを減圧下で濃縮し、EtO(50mL)を用いて、残渣を撹拌した。得られた残渣をデカントし、そしてEtO(2×50mL)で洗浄し、そして減圧下で、残渣からEtOを除去した。冷HO(20mL)に残渣を溶解し、12N HClを用いてpHを4〜5に調節した。この混合物をCHCl(2×50mL)を用いて抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で濃縮して黄褐色の液体としてアルデヒドを得た。
【0145】
(工程B:)
【0146】
【化30】

【0147】
調製実施例1の工程A由来の生成物(2.12g、0.0195mol)、NHNH・HO(1.95g、0.039mol)および氷CHCOH(1.8g、0.029mol)の1.8g(0.029mol)を、EtOH(10mL)に溶解させた。この混合物を6時間還流させ、そして真空下で、濃縮させた。この残渣を、CHCl(150mL)でスラリーにし、そしてpHを、1N NaOHを用いて調整した。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で濃縮して、ろう状の橙色固体としての生成物を得た。
【0148】
(調製実施例2〜3)
表2のカラム2に示すニトリルに置換する以外は、調製実施例1に示したものと本質的に同一の手順により、表2のカラム3の化合物を、調製した。
【0149】
【化31】

【0150】
(調製実施例4)
【0151】
【化32】

【0152】
反応を、(Olsen,K.O.,J.Org.Chem.,(1987)52,4531−4536)に概説されるように行った。そのため、−65℃〜−70℃でTHF中のリチウムジイソプロピルアミドの撹拌溶液に、新たに蒸留した酢酸エチルを滴下した。得られた溶液を、30分間撹拌し、そして酸塩化物を、THF溶液として加えた。反応混合物を、30分間、−65℃〜−70℃にて撹拌し、次いで1N HCl溶液の添加により、終了した。得られた二相の混合物を周囲温度まで温めた。得られた混合物を、EtOAc(100mL)を用いて希釈し、有機層を回収した。水層を、EtOAc(100mL)を用いて抽出した。有機層を合わせ、ブラインを用いて洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして減圧下で濃縮して粗製β−ケトエステルを生じた。これを、続く縮合において使用した。
【0153】
(調製実施例5〜10)
表3のカラム2に示す酸塩化物に置換する以外は、調製実施例4に示したものと本質的に同一の手順により、表3のカラム3に示すβ−ケトエステルを調製した:
【0154】
【化33】

【0155】
(調製実施例11)
【0156】
【化34】

【0157】
THF中の酸溶液に、EtNを加え、続いて−20℃〜−30℃で、イソブチルクロロホルメートを加えた。混合物を−20〜−30℃にて30分間撹拌した後、トリエチルアミンヒドロクロリドを、アルゴン下で濾別し、そして、濾液を、−65℃〜−70℃にてLDA−EtOAc反応混合物(方法Aに概説されるように調製した)に加えた。1N HClの添加、続く反応混合物の慣用的な溶解、および溶媒のエバポレーション後、粗製β−ケトエステルを、単離した。この粗製物質を、続く縮合において、使用した。
【0158】
(調製実施例12〜14)
表4のカラム2に示す酸塩化物で置換する以外は、調製実施例11に示したものと本質的に同一の手順により、表4のカラム3に示す化合物を調製した:
【0159】
【化35】

【0160】
(調製実施例15)
【0161】
【化36】

【0162】
AcOH(15mL)中の3−アミノピラゾール(2.0g、24.07mmol)およびエチルベンゾイルアセテート(4.58mL、1.1当量)の溶液を、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷やし、減圧下で濃縮した。得られる固体をEtOAcで希釈して濾過して、白色固体(2.04g、40%収率)を得た。
【0163】
(調製実施例16〜37)
表5のカラム2に示されるアミノピラゾールおよび表5のカラム3に示されるエステルに置換する以外は、調製実施例15に記載した手順と本質的に同一の手順によって、表5のカラム4に示される化合物を調製した:
【0164】
【化37】

【0165】
【化38】

【0166】
【化39】

【0167】
【化40】

【0168】
(調製実施例38)
【0169】
【化41】

【0170】
酢酸(5.0mL)および水(10mL)中のエチルベンゾイルアセテート(1.76mL、1.1当量)および3−アミノ−4−シアノピラゾール(1.0g、9.25mmol)を、72時間加熱還流した。得られる溶液を室温まで冷やし、減圧下で濃縮し、酢酸エチルで希釈した。得られる沈殿物を濾過して、酢酸エチルで洗浄して減圧下で乾燥した(0.47g、21%収率)。
【0171】
(調製実施例39)
【0172】
【化42】

【0173】
米国特許第3,907,799号の手順に従った。ナトリウム(2.3g、2当量)を、エタノール(150mL)に少しずつ加えた。ナトリウムが完全に溶解したとき、3−アミノピラゾール(4.2g、0.05mol)およびマロン酸ジエチル(8.7g、1.1当量)を加えて、得られる溶液を3時間加熱還流した。得られる懸濁液を室温まで冷やし、濾過した。このフィルタケークを水に溶解し、濃HClを用いてpHを1〜2に調整し、得られる固体を濾過して、水(100mL)で洗浄して、減圧下で乾燥して、白色固体(4.75g、63%収率)を得た。
【0174】
(調製実施例40〜41)
表6のカラム2に示される化合物に置換すること以外は、調製実施例9に記載される手順と本質的に同様の手順によって、表6のカラム3に示される化合物を調製する:
【0175】
【化43】

【0176】
(調製実施例42)
【0177】
【化44】

【0178】
POCl(5mL)およびピリジン(0.25mL)中の調製実施例15で調製される化合物(1.0g、4.73mmol)の溶液を室温にて3日間攪拌した。得られるスラリーをEtOで希釈して、濾過して、そしてこの固体残渣をEtOで洗浄した。合わせたEtO洗浄物を0℃まで冷却し、氷で処理した。激しい反応が終了したら、得られた混合物をHOで希釈し、分離し、そして水層をEtOで抽出した。合わせた有機物を水および飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、淡黄色固体(0.86g、79%収率)を得た。LCMS:MH=230。
【0179】
(調製実施例43〜65)
表7のカラム2に示される化合物に置換すること以外は、調製実施例42に記載される手順と本質的に同様の手順によって、表7のカラム3に示される化合物を調製した:
【0180】
【化45】

【0181】
【化46】

【0182】
【化47】

【0183】
【化48】

【0184】
(調製実施例66)
【0185】
【化49】

【0186】
DMF(6mL)中の調製実施例42からの化合物(1.0g、4.35mmol)の溶液に、POCl(1.24mL、3.05当量)を添加し、そして得られた混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、そして過剰のPOClを、氷の添加によってクエンチした。得られた溶液を1N NaOHで中和し、HOで希釈し、そしてCHClで抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗製生成物を、溶離液としてCHCl中の5%MeOH溶液を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(0.95g、85%の収率)。LCMS:MH=258。
【0187】
(調製実施例67)
【0188】
【化50】

【0189】
0℃のCHCl(75mL)中のPPh(4.07g、4.0当量)およびCBr(2.57g、2.0当量)の溶液に、調製実施例168において調製した化合物(1.0g、3.88mmol)を添加した。得られた溶液を0℃で1時間攪拌し、そして減圧下で濃縮した。残渣を、溶離液としてヘキサン中の20%EtOAc溶液を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(1.07g、67%の収率)。
【0190】
(調製実施例68)
【0191】
【化51】

【0192】
POCl(62mL)を、窒素下5℃まで冷まして、ジメチルアニリン(11.4g、2.8当量)および調製実施例39で調製される化合物(4.75g、0.032mol)を加えた。この反応混合物を60℃まで温めて、一晩攪拌した。反応混合物を30℃まで冷まして、POClを減圧下で蒸留した。この残渣をCHCl(300mL)に溶解して氷に注いだ。15分攪拌した後、混合物のpHを、固体NaHCOを用いて7〜8に調整した。層を分離させて、有機相を水(3×200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥して、濾過して濃縮した。溶離液として50:50のCHCl:ヘキサン溶液を使用してジメチルアニリンを溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製した。次いで、溶離液を75:25のCHCl:ヘキサンに変えて、所望の生成物(4.58g、77%収率)を溶出させた。MS:MH=188。
【0193】
(調製実施例69〜70)
表8のカラム2に示される化合物に置換すること以外は、調製実施例68に記載される手順と本質的に同様の手順によって、表8のカラム3に示される化合物を調製する:
【0194】
【化52】

【0195】
(調製実施例71)
【0196】
【化53】

【0197】
調製実施例42で調製される化合物(0.10g、0.435mmol)のCHCN(3mL)溶液を、NBS(0.085g、1.1当量)で処理した。この反応混合物を室温で1時間攪拌して、減圧下で濃縮した。この粗生成物を、溶離液として20%EtOAcのヘキサン溶液を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(0.13g、100%収率)。LCMS:MH=308。
【0198】
(調製実施例72〜90)
NBSまたはNISを用い、そして表9のカラム2に示す化合物に置換する以外は、調製実施例71に示した手順と本質的に同一の手順により、表9のカラム3に示す化合物を調製する:
【0199】
【化54】

【0200】
【化55】

【0201】
【化56】

【0202】
【化57】

【0203】
(調製実施例91)
【0204】
【化58】

【0205】
調製実施例71において調製した化合物(3.08g、10.0mmol)、2−プロパノール(50mL、100.0mmol)中の2.0M NH、および37%水性NH(10.0mL)を、閉じた圧力容器中で50℃にて1日間攪拌した。溶媒をエバポレートし、そして粗製生成物を、3:1のCHCl:EtOAcを溶離液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。淡黄色固体(2.30g、80%)が得られた。LCMS:M=289.
(調製実施例92〜101)
表10のカラム2に示す化合物に置換する以外は、調製実施例91に示した手順と本質的に同一の手順により、表10のカラム3に示す化合物を調製する。
【0206】
【化59】

【0207】
【化60】

【0208】
【化61】

【0209】
(調製実施例102)
【0210】
【化62】

【0211】
無水ジオキサン(10mL)中の調製実施例95で調製した化合物(0.50mmol)、およびDMAP(0.66mmol)の混合物をN下で25℃にて攪拌し、次いでBocO(1.20mmol)を添加し、そしてこの混合物を25℃にて20時間攪拌する。この反応混合物を飽和水性NaHCO(100mL)中に注ぎ、そしてCHCl(3×30mL)で抽出する。合わせた抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒をエバポレートする。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得る。
【0212】
(調製実施例103〜106)
表11のカラム2に示す化合物に置換する以外は、調製実施例102に示した手順と本質的に同一の手順により、表11のカラム3に示す化合物を調製する。
【0213】
【化63】

【0214】
(調製実施例107)
【0215】
【化64】

【0216】
無水DMF(4mL)中の調製実施例102で調製した化合物(1.00mmol)、トリエチル(トリフルオロメチル)シラン(3.60mmol)、フッ化カリウム(3.60mmol)、およびCuI(4.46mmol)の混合物を、閉じた圧力容器中で80℃にて72時間攪拌する。CHCl(80mL)を添加し、そして混合物をCeliteを通して濾過する。溶媒をエバポレートし、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して所望の生成物を得る。
【0217】
(調製実施例108〜109)
表12のカラム2に示す化合物に置換する以外は、調製実施例107に示した手順と本質的に同一の手順により、表12のカラム3に示す化合物を調製する。
【0218】
【化65】

【0219】
(調製実施例110)
【0220】
【化66】

【0221】
−78℃のTHF(4.0mL)中の調製実施例106で調製した化合物(0.21mmol)の溶液に、−78℃のnBuLi(ヘキサン中2.16M、5.0当量)を添加する。反応混合物を−78℃にて2時間攪拌し、HOでクエンチし、室温まで温め、そしてEtOAcで抽出する。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮する。粗製生成物を分取TLCによって精製して、所望の生成物を得る。
【0222】
(調製実施例111)
【0223】
【化67】

【0224】
TFAを0℃にてN下で、無水CHCl中の調製実施例107で調製した化合物の攪拌溶液に添加する。この混合物を0℃にて10分間攪拌し、次いで25℃にて2時間攪拌する。これを10%水性NaCO(50mL)中に注ぎ、CHCl(3×15mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、そして濾過する。溶媒をエバポレートし、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して所望の生成物を得る。
【0225】
(調製実施例112〜114)
表13のカラム2に示す化合物に置換する以外は、実施例に示した手順と本質的に同一の手順により、表13のカラム3に示す化合物を調製する。
【0226】
【化68】

【0227】
(実施例1)
【0228】
【化69】

【0229】
調製実施例92からの生成物(1.0当量)、イソニコチノイルクロリドヒドロクロリド(1.1当量)およびピリジン(2.5当量)をCHCl中で24時間攪拌する。反応混合物を飽和NaHCOで希釈し、そしてCHClで抽出する。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0230】
(実施例2〜11)
表14のカラム2に示す化合物に置換する以外は、実施例1に示した手順と本質的に同一の手順により、表14のカラム3に示す化合物を調製する。
【0231】
【化70】

【0232】
【化71】

【0233】
【化72】

【0234】
(実施例12)
【0235】
【化73】

【0236】
調製実施例107からの生成物(1.0当量)、4−ピリジルスルホニルクロリドヒドロクロリド(1.1当量)およびピリジン(2.5当量)をCHCl中で24時間攪拌する。反応混合物を飽和NaHCOで希釈し、そしてCHClで抽出する。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0237】
(実施例13〜22)
表15のカラム2に示す化合物に置換する以外は、実施例12に示した手順と本質的に同一の手順により、表15のカラム3に示す化合物を調製する:
【0238】
【化74】

【0239】
【化75】

【0240】
【化76】

【0241】
(実施例23)
【0242】
【化77】

【0243】
(工程A)
室温のジオキサン/DIPEA(2.5/1.0)中の実施例6 で調製した化合物の溶液に、シクロペンチルアミン(1.2当量)を滴下する。得られた溶液を還流しながら16時間加熱し、室温まで冷却し、そして減圧下で濃縮する。粗製物質を分取薄層クロマトグラフィー(8×1000μM)によって精製する。
【0244】
(工程B)
室温のCHCl中の実施例23の工程Aで調製した化合物の溶液に、TFA(5当量)を滴下する。得られた溶液を室温にて18時間攪拌し、そして減圧下で濃縮する。粗製物質をCHCl中に再溶解し、そして有機層を飽和水性NaHCO(2×2mL)およびブライン(1×2mL)で連続的に洗浄する。有機層を乾燥(NaSO)し、濾過し、そして減圧下で濃縮する。粗製物質を分取薄層クロマトグラフィー(8×1000μM)によって精製する。
【0245】
(実施例24〜33)
表16のカラム2の塩化物に示す化合物に置換する以外は、実施例23に示した手順と本質的に同一の手順により、表16のカラム3に示す化合物を調製する。
【0246】
【化78】

【0247】
【化79】

【0248】
【化80】

【0249】
(実施例34)
【0250】
【化81】

【0251】
無水アセトニトリル中の実施例10で調製した化合物の溶液に、TMSI(4当量)を室温にて滴下する。10分後、アセトニトリルを減圧下で除去する。得られた黄色泡状体を2N HCl溶液(7mL)で処理し、次いで直ちにEtO(5×)で洗浄する。水性物のpH を50%NaOH(aq)によって10に調整し、そして生成物をNaCl(s)でのこの溶液の飽和、続いてCHCl(5×)での抽出によって単離して、所望の生成物を得る。
【0252】
(実施例35〜37)
表17のカラム2に示す化合物に置換する以外は、実施例34に示した手順と本質的に同一の手順により、表17のカラム3に示す化合物を調製した。
【0253】
【化82】

【0254】
(アッセイ)
本発明の化合物についてのアッセイを、以下の通りに実施し得る。
【0255】
(バキュロウイルス構築):サイクリンEを、アミノ末端に5ヒスチジン残基を加えて、PCRによりpVL1393(Pharmingen,La Jolla,California)にクローン化して、ニッケル樹脂上での精製を可能にする。発現するタンパク質は、約45kDaである。CDK2を、カルボキシ末端に赤血球凝集素エピトープタグ(YDVPDYAS)を加えて、PCRによりpVL1393にクローン化する。発現するタンパク質は、約34kDaの大きさである。
【0256】
(酵素産生):サイクリンEおよびCDK2を発現する組換えバキュロウイルスを、等しい感染多重度(MOI=5)で48時間、SF9細胞に共感染させる。細胞を、1000RPMで10分間の遠心分離により集めて、次いで、このペレットを、30分間、ペレット容積の5倍量の溶解緩衝液(50mM Tris pH8.0、150mM NaCl、1% NP 40、1mM DTTおよびプロテアーゼインヒビター(Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany)を含む)に、氷上で溶解させる。溶解産物を15000PRMで10分間遠沈させて、この上清を保持する。(1リットルのSF9細胞につき)5mLのニッケルビーズを、溶解緩衝液(Qiagen GmbH,Germany)中で3回洗浄する。バキュロウイルス上清にイミダゾールを加えて20mMの最終濃度にして、次いで、ニッケルビーズを用いて45分間4℃にてインキュベートする。タンパク質を、250mMイミダゾールを含む溶解緩衝液で溶出させる。溶出物を、50mM Tris pH8.0、1mM DTT、10mM
MgCl、100μMオルトバナジン酸ナトリウムおよび20%グリセロールを含む2Lのキナーゼ緩衝液中で一晩透析する。酵素を、アリコートに分けて−70℃で保存する。
【0257】
(インビトロでのキナーゼアッセイ):サイクリンE/CDK2キナーゼアッセイを、低タンパク質結合96−ウェルプレート(Corning Inc,Corning,New York)において行なう。酵素を、50mM Tris pH8.0、10mM MgCl、1mM DTTおよび0.1mMオルトバナジン酸ナトリウムを含むキナーゼ緩衝液中に希釈して50μg/mlの最終濃度にする。これらの反応で使用される基質は、ヒストンH1由来のビオチン化ペプチド(Amersham,UK製)である。この基質を氷上で解凍して、キナーゼ緩衝液中で2μMになるように希釈する。化合物を10%DMSOに希釈して、所望の濃度にする。各キナーゼ反応について、20μlの50μg/ml酵素溶液(1μgの酵素)および20μlの2μM基質溶液を混合して、次いで、試験するために、各ウェルにおいて、10μlの希釈された化合物と混ぜ合わせる。このキナーゼ反応を、50μlの2μM ATPおよび0.1μCiの33P−ATP(Amersham,UK製)の添加によって開始する。この反応を、1時間室温にて行なう。反応を、0.1%Triton X−100、1mM ATP、5mM EDTAおよび5mg/mlストレプトアビジンコーティングSPAビーズ(Amersham,UK製)を含む200μlの停止緩衝液を、15分間にわたって加えることにより停止させる。次いで、このSPAビーズを、Filtermate universal harvester(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)を使用して、96ウェルGF/Bフィルタプレート(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)上に捕獲する。このビーズを2M NaClを用いて2回、次いで、1%リン酸を含む2M NaClで2回洗浄することによって、非特異的シグナルを除去する。次いで、放射性シグナルを、トップカウント96ウェル液体シンチレーション計数器(Packard/Perkin Elmer Life Sciences製)を用いて測定する。
【0258】
(IC50決定):用量−応答曲線を、各2連で、阻害化合物の8ポイント段階希釈から作成される阻害データからプロットする。化合物の濃度を、キナーゼ活性%に対してプロットして、未処理サンプルのCPMにより除算した処理されたサンプルのCPMによって計算する。次いで、IC50値を得るために、用量−応答曲線を、標準S字曲線に当てはめて、IC50値を非曲線回帰分析によって誘導する。
【0259】
本発明を、上記の特定の実施形態に関して記載しているが、その多くの代替物、改変体、それらの他のバリエーションは、当業者に明らかである。全てのそのような代替物、改変体、およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に含まれることが意図される。
【0260】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
構造式:
【化1】

によって表される化合物であって、ここで、
Qは、−S(O)−または−C(O)−であり;
Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、該部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、該各部分は、ハロゲン、CN、−OR、SR、−S(O)R、−S(O)NR、−NR、−C(O)NR、CF、アルキル、アリールおよびOCFからなる群より独立して選択され;
は、CN、NR、−C(O)R、−C(O)NR、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)R、および−N(R)C(O)NR;同じであっても異なっていてもよい1〜6個のR基で置換された、アルキニル、ヘテロアリール、CF、ヘテロシクリル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、アルキルからなる群より選択され、Rは、以下:
【化2】

に示すRの列挙から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、−NR、−C(O)NR、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル、
【化3】

からなる群より選択され、ここで、Rについての該アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル、ならびに構造をRについて直前に示すヘテロシクリル部分の各々は、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、該部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−(CROR、−OR、−NR、−(CRNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立して選択され;
は、H、ハロまたはアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、該部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より独立して選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、該部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立して選択されるか;
または、必要に応じて、(i)該部分−NR10中のRおよびR10、もしくは、(ii)該部分−NR中のRおよびRは、一緒に結合して、シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成してもよく、該シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分のそれぞれは、置換されていないか、または、必要に応じて独立して一つ以上のR基で置換されており;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくても、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されていてもよく、該部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群より独立して選択され;
は、R、−C(O)NR10、−S(O)NR10、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群より選択され;
は、ハロゲン、CN、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
mは0〜4であって;そして、
nは1〜4である、
化合物。
(項目2)
項目1に記載の化合物であって、Rが、フェニル、ナフチル、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジン−3−イルおよびピリダジン−3−イルからなる群より独立して選択され、
が、CF、CN、シクロアルキル、−OR、−CHORまたはヘテロアリールであり;
が、H、非置換のアリール、非置換のヘテロアリール、またはハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、低級アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたアリール、ヘテロシクリル、またはハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたヘテロアリール、
【化4】

であり;
が、H、ハロまたは低級アルキルであり;
が、Hまたは低級アルキルであり;
mが、0〜2であり;そして、
nが、1または2である、
化合物。
(項目3)
Rが、フェニル、2−ピリジル、4−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル−N−オキシド、3−ピリジル−N−オキシド、1,3−チアゾール−2−イルおよびピリミジン−5−イルからなる群より選択される、項目2に記載の化合物。
(項目4)
が、CF、CN、シクロアルキル、−OR、−CHORまたはヘテロアリールである、項目2に記載の化合物。
(項目5)
項目2に記載の化合物であって、Rが、H、低級アルキル、シクロアルキル、C(O)ORもしくはアリールまたは
【化5】

であり、該アルキルおよびアリールが、置換されていないか、または一つ以上の部分で必要に応じて独立して置換されており、該部分は、同じであっても、または異なっていてもよく、各部分は、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、メトキシおよびCNからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目6)
がHである、項目2に記載の化合物。
(項目7)
がHである、項目2に記載の化合物。
(項目8)
mが0である、項目2に記載の化合物。
(項目9)
Rが2−ピリジルである、項目2に記載の化合物。
(項目10)
Rが3−ピリジルである、項目2に記載の化合物。
(項目11)
Rが4−ピリジルである、項目2に記載の化合物。
(項目12)
Rが、4−ピリジルのN−オキシドまたは3−ピリジルのN−オキシドである、項目2に記載の化合物。
(項目13)
前記RがCFである、項目4に記載の化合物。
(項目14)
前記RがCNである、項目4に記載の化合物。
(項目15)
がシクロアルキルである、項目4に記載の化合物。
(項目16)
が−CHOHまたは−CHOCHである、項目4に記載の化合物。
(項目17)
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである、項目15に記載の化合物。
(項目18)
がヘテロアリールである、項目4に記載の化合物。
(項目19)
が低級アルキルまたは低級アリールである、項目2に記載の化合物。
(項目20)
前記低級アルキルが、メチル、エチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである、項目19に記載の化合物。
(項目21)
が、t−ブチルである、項目20に記載の化合物。
(項目22)
が、Cl、置換されていないフェニル、またはF、Br、Cl、OMe、CHおよびCFからなる群より選択される1以上の部分で置換されたフェニル、ヘテロアリール、
【化6】

である、項目2に記載の化合物。
(項目23)
が、
【化7】

である、項目15に記載の化合物。
(項目24)
が(CHOHまたは(CHOCHであって、nが1または2である、項目17に記載の化合物。
(項目25)
前記ヘテロアリールが、フラニルである、項目22に記載の化合物。
(項目26)
化合物または薬学的に受容可能なこれらの塩もしくはこれらの溶媒和物であって、該化合物は、以下:
【化8】

【化9】

【化10】

からなる群より選択される、化合物または薬学的に受容可能なこれらの塩もしくはこれらの溶媒和物。
(項目27)
化合物または薬学的に受容可能なこれらの塩もしくはこれらの溶媒和物であって、式:
【化11】

【化12】

の化合物または薬学的に受容可能なこれらの塩もしくはこれらの溶媒和物。
(項目28)
一つ以上のサイクリン依存性キナーゼを阻害する方法であって、このような阻害の必要な患者に項目1に記載の少なくとも一つの化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目29)
サイクリン依存性キナーゼと関連する一つ以上の疾患を処置する方法であって、このような処置の必要な患者に項目1に記載の少なくとも一つの化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目30)
前記サイクリン依存性キナーゼがCDK2である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記疾患が、以下:
膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および扁平上皮癌を含めた皮膚癌;
白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫;
急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ならびに前骨髄球性白血病;
線維肉腫、横紋筋肉腫;
星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン腫;
黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトアカントーマ、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目32)
サイクリン依存性キナーゼと関連する一つ以上の疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置の必要な哺乳動物に、
一定量の第一の化合物であって、該第一化合物が、項目1に記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくはこれらの溶媒和物である、化合物;および
一定量の少なくとも一つの第二の化合物であって、該第二化合物が抗癌剤である、化合物;
を投与する工程を包含し、
該第一化合物の量および該第二化合物の量は、治療効果を生じる量である、方法。
(項目33)
放射線療法をさらに包含する、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記抗癌剤が、細胞増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、CPT−11、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、5FU、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS 214662、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、グリーベク、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、オキサリプラチン、ロイコボリン(leucovirin)、ELOXATINTM、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミンからなる群より選択される、項目32に記載の方法。
(項目35)
治療有効量の項目1に記載の少なくとも一つの化合物を、少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含有する、薬学的組成物。
(項目36)
項目35に記載の薬学的組成物であって、細胞増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、CPT−11、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、5FU、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS 214662、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、グリーベク、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミンからなる群より選択される一種以上の抗癌剤をさらに含有する、薬学的組成物。
(項目37)
単離され、そして精製された形態である、項目1に記載の化合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−168406(P2010−168406A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112695(P2010−112695)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【分割の表示】特願2004−534459(P2004−534459)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【出願人】(504023936)ファーマコピア インコーポレーテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Pharmacopeia, Inc
【Fターム(参考)】