説明

サポート上に被覆を形成するための組成物、方法及び装置

【課題】サポートの上に低温で被覆(コーティング)を付着させるのに用いることができる組成物を提供する。
【解決手段】混合物に分散された少なくとも1つの成分を含む組成物であって、前記混合物は、Nメチルピロリドン及びシクロペンタノンから選択される第1の溶媒と、100℃よりも低い沸点を有する第2の溶媒と、トルエン及びベンゼンから選択される希釈剤と、結合剤とを有し、前記成分はサポート31の上に被覆される電極材料であり、前記サポート31は電極コレクタであり、前記溶媒の混合物は、100℃より低い温度で気化し、前記希釈剤は、前記混合物の溶解度を上昇させ前記第1の溶媒の低温での気化を容易にする性質を有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポートの上に低温で被覆(コーティング)を付着させるのに用いることができる組成物(composition)に関する。また、本発明は、本発明による組成物を用いてサポート上に被覆を得る方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は、リチウム・イオン電池のための電極又は電解質を製造する方法を提供することに関する。この方法では、電極又は電解質の製造に用いられる成分を分散させることができる溶媒の混合物が用いられる。そして、この混合物は、例えば赤外線を用いることにより僅かに温度を上昇させると気化させることができる。更に、本発明は、この混合物を構成する組成物の開発に関し、また、例えば、リチウム・イオン電池の電極又は電解質の製造に用いられるサポート・フィルムの上への被覆の形成とその乾燥とを確実にする伸展装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム・イオン電池のための電極又は電解質を準備する間に、電極又は電解質を構成する成分を、Nメチル・ピロリドン(N−methyl pyrolidone、以下ではNMPと称する)などの溶媒の中に混合できることが知られている。更なる詳細に関しては、1999年の10月8日、10月15日及び10月15日にそれぞれ出願公開された日本の特開平11−283612号、特開平11−283626号、特開平11−273680号を参照のこと。NMPは、濃度が大きく比重が大きな溶媒であり、高いすなわち202℃の沸点を有している。サポートの上に配置される溶液の準備に用いられる溶媒の沸点が高いために、濃度が大きく比重が大きな溶媒を気化させることにより電極又は電解質の成分を例えば金属又はプラスチック製のシートであるサポートの上に電極又は電解質の成分を配置するには、電極又は電解質を乾燥させるための高い温度が必要となる。乾燥は、また、溶媒の蒸気圧を上昇させるため、真空下における加熱によって実行される場合がある。この後者の場合には、電極を用意するための費用が上昇することになる。乾燥時間及び温度は、電極の拡がりと多孔性との制御を確実にするための2つの重要な要素である。従って、時間及び乾燥温度というファクタを改善することにより、電極と電解質との製造費用を低下させる緊急の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、リチウム・イオン型電池で用いられる電極又は電解質を用意する間など、サポートの上に被覆を形成する間に用いられる成分の十分な分散を確実にする溶媒の組成を提供することが本発明の目的である。
【0004】
また、沸点がほんの僅かに高くなるリチウム・イオン型電池のための電極又は電解質の成分の分散を生じさせることも本発明の目的である。
また、本発明による溶媒の組成物を被覆の成分の分散の形式で用いることにより、サポート上に被覆を形成する方法及び装置を提供することも本発明の目的である。
【0005】
電極の組成物において用いられる結合剤を同時に可溶化しほんの僅かに高い沸点を有する溶媒又は溶媒の混合物を提供することも本発明の目的である。
境界(インターフェース)を改良することによって、境界においてバブルが存在しないために被覆とサポートとの間に良好な接着を与えることも本発明の別の目的である。
【0006】
サポート上の接着が被覆が現実に剥離して失われることがないような被覆をサポート上に形成することも本発明の別の目的である。

【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、低温でサポートの上に前記サポートの上に配置されるべき少なくとも1つの成分の被覆を形成することを可能にする組成物であって、前記形成はこの組成物における分散からなされ、沸点が約150℃よりも高く濃度が大きく比重が大きな少なくとも1つの溶媒と、沸点が約100℃よりも低く濃度が小さな溶媒とを含んでおり、前記濃度が大きく比重が大きな溶媒と前記濃度が小さな溶媒とが約100℃より低い温度で気化する混合物を構成する組成物に関する。
【0008】
この組成物は、沸点が約80℃よりも低い希釈剤を更に含むことがあり、前記希釈剤は、前記混合物の溶解度を上昇させ前記濃度の大きな溶媒の低温での気化を容易にする性質を有する。
【0009】
本発明の好適実施例によると、前記混合物は赤外線下で気化し前記サポート上に前記被覆を構成する前記成分だけを残存させることがありうる。
前記濃度が大きく比重が大きな溶媒は、好ましくは、Nメチルピロリドン(N−methyl pyrolidone)とシクロペンタノン(cyclopentanone)とから選択され、前記濃度が小さな溶媒は、好ましくは、アセトン(acetone)又はエチルアセテート(ethyl acetate)から選択され、前記希釈剤は、好ましくは、トルエン(toluene)又はベンゼン(benzene)から選択される。
【0010】
別の実施例によると、体積比率では、前記混合物は、20%未満の濃度が大きな溶媒と、40%ないし60%の濃度が小さな溶媒と、15%ないし25%の希釈剤とで構成され、前記成分は、前記混合物の0.015g/ccないし0.04g/ccの割合で前記分散物質の中に存在している。濃度が小さな溶媒の希釈剤に対する体積百分率は、好ましくは、80/20から65/25の間である。
【0011】
別の実施例によると、本発明による組成物は、フッ素化ポリビニリデン(polyvinylidene fluore, fluorinated polyvinylidene)など、前記成分のための結合材を更に含みうる。
【0012】
本発明は、更に、本発明による組成物における、サポートの上に配置される成分の分散に関し、前記成分は、グラファイト・パウダ(poudre de graphite, graphite powder)を含むことがあり、前記グラファイト・パウダと前記組成物との重量比率は60:10から90:10の間を変動しうる。前記成分は、更に、コバルト酸化物を含みうる。
【0013】
本発明は、また、サポートの上に被覆を形成する方法であって、
(a)沸点が約150℃よりも高く濃度が大きく比重が大きな少なくとも1つの溶媒と、沸点が約100℃よりも低く濃度が小さな溶媒とを含む組成物であって、前記濃度が大きな溶媒と前記濃度が小さな溶媒とが、100℃より低い温度で気化することが可能な混合物を構成することができる比率で存在している、組成物を提供するステップと、
(b)前記サポートの上の被覆という形態で形成される成分を前記混合物の中に分散させるステップと、
(c)ステップ(b)において得られた分散物質を前記サポートの上に拡げるステップと、
(d)前記分散物質を乾燥させて前記被覆を取得するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、分散物質は100℃よりも低い温度で、例えば、別の加熱要素を追加して又は追加せずに、赤外線ランプなどの加熱要素を用いて、乾燥される。前記サポートが網状化可能なポリマ(polymere reticulable, cross−linkable polymer)であるときには、紫外線加熱を加えて、そのポリマを網状化することがある。ステップ(a)では、前記成分の結合剤を前記組成物に追加することができる。
【0015】
本発明の別の実施例によると、まず、前記結合剤が前記濃度の大きく比重が大きい溶媒の中で可溶化され、次に、前記濃度が低い溶媒が希釈剤と混合され、そのあとで前記組成物の全体が混合される。
【0016】
本発明の別の実施例によると、前記サポートは、再充電可能な電気化学発電機のためのフィルムの形態を有する電極又は電解質である。
本発明は、また、サポートの上にフィルムの形態の被覆を形成する装置であって、
フィルム・サポートのソースと、
請求項1ないし請求項15記載の分散物質を含むように設計された供給漕と、
前記供給漕の近傍にあるフィルム・サポートを循環させることを許容する解放手段と、
前記フィルム・サポートが前記供給漕の近傍を通過するときに所定の量の分散物質を前記フィルム・サポートの上に連続的に注ぐことを可能にする手段と、
受け取り手段、及び、前記フィルム・サポートとその被覆とを前記受け取り手段に連続的に伝達する巻き付け手段と、
前記解放手段と前記受け取り手段と前記巻き付け手段とを動作させるように設計されたモータ手段と、
前記分散物質の液体内容物を100℃よりも低い温度で気化させて前記フィルム・サポートの上に固体被覆を残存させることを可能にする加熱手段と、
を備えている装置に関する。
【0017】
前記加熱手段は、好ましくは、1つの赤外線ランプを備えている。
前記フィルム・サポートが網状化可能なポリマから構成されている場合には、網状化可能なポリマが例えば1%未満の僅かなパーセンテージの光触媒を含む場合には、前記加熱手段は前記網状化可能なポリマを網状化することができる少なくとも1つの紫外線ランプを更に備えている。網状化可能なポリマが例えば1%未満の僅かなパーセンテージの熱触媒を含む場合には、前記網状化は、赤外線ランプ又は加熱要素を用いて実行することができる。
【0018】
別の実施例によると、前記供給漕は、前記フィルム・サポートの上の前記分散物質の配置の幅と厚さとを所定のパラメータに従って調節することができる手段を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】質量分析によって得られるアセトンのスペクトルである。
【図2】トルエンの類似のスペクトルである。
【図3】Nメチル・ピロリドンの類似のスペクトルである。
【図4】トルエン、Nメチル・ピロリドン及びアセトンの20:20:60の比率での混合物に対応するスペクトルである。
【図5】本発明による組成物を用いてサポート上に被覆を形成するのに用いられる装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適実施例によると、3要素からなる溶媒の混合物が得られる。濃度の小さな溶媒と希釈剤とが濃度が大きな溶媒に加えられる。濃度の小さな溶媒は、アセトンなどのように、約65℃の沸点を有する。アセトンは、濃度の大きな溶媒の沸点よりも低い温度で気化する間、濃度の大きな溶媒を導く性質を有する。希釈剤は、一方では結合剤の溶解度を上昇させ他方では濃度の大きな溶媒の気化を生じさせる傾向を増加させる溶媒である。電極又は電解質の乾燥は、拡散線のすぐ上にある赤外線ランプによって実行される。
【0021】
結合剤は、通常その最大濃度で濃度の大きな溶媒の中で可溶化される(混合物A)。濃度の小さな溶媒と希釈剤との混合物(B)が準備される。この混合物(B)は、混合物(A)に加えられ、拡散溶媒(C)が構成される。この混合物の中のそれぞれの溶媒のパーセンテージは、一方では新たな混合物の性能に左右され、他方では濃度の大きな溶媒の溶解度に左右される。濃度の大きな溶媒が20%を超えないような3要素の関係では、0.015g/ccから0.04g/ccの間で変動しうる比率を拘束する混合物(C)において、濃度の小さな溶媒は40%から50%の間を変動し、希釈剤は15%から25%の間を変動する。
【0022】
個別の溶媒の分析は、気相クロマトグラフィ装置GC6890(アジレント・テクノロジーズ)に結合された空間サンプリング・システムHP7694(アジレント・テクノロジーズ)を用いて、核種の注入と分離とのために実行された。検出は、「総イオン」分析方法を用いて、質量スペクトロメータHP5973(アジレント・テクノロジーズ)によって実行された。化合物の分離は、厚さが0.25μmのフィルム(レステック)を有するポーラー・コラムStabilwax(登録商標)60mx0.25mmIDで実行された。
【0023】
20%のNMP、60%のアセトン及び20%のトルエンという体積比率の混合物が準備された。これらの溶媒の沸点は、202℃(NMP)、56℃(アセトン)及び110℃(トルエン)である。この混合物が、12時間の間、80℃まで加熱された。すべての液体は気化し、ポリマ・タイプの残存物が得られた。
【0024】
GCによる質量分析スペクトルは、アセトンに関する図1、トルエンに関する図2及びNMPに関する図3という個別に試験された溶媒のスペクトルとは異なる新たな相(図4)を示した。比較すると、80℃で1時間が経過すると、アセトンは完全に気化し、トルエンは22%が気化するのに対して、NMPについては気化は全く記録されていない。
【0025】
電極の乾燥は、赤外線ランプを用いる新たな方法によって実行された。この方法は、乾燥効率を高めるために行われた。この新たな方法によると、溶媒をより短い時間で気化させることが可能である。
【0026】
図5には、本発明の例を実験室において実行するのに用いられた機械の原型が図解されている。
図5を参照すると、本発明の好適実施例による装置は、4つの脚部3に取り付けられ、11において調整可能であり、その中にこの装置を構成する部品が配置されるように設計されたフレーム1を備えていることが示されている。この装置自体は、平行な態様に配置され脚部3の23に取り付けられた2つの長手方向のライザ19、21を含む。
【0027】
この装置は、また、ローラ33に取り付けられ巻かれた形式のサポート・フィルム31のソースを有している。図5の図解に見られるように、ローラ33は、2つのライザ19、21の間であってその下端部に、後に見るように、自由に回転してサポート・フィルムを自由に解放することが可能であるように、既知の態様で取り付けられている。巻かれたサポート・フィルム31と同じ水平面上には、やはり2つのライザ19、21の間に自由に回転するように取り付けられたローラ・サポート37が位置している。
【0028】
この装置の頂部には、従来型の構造を有し拡散システム(図示せず)が提供されている供給漕41があり、これによって、既に述べたようにサポート・フィルム35の上に電極又は電解質のための被覆を生じさせるのに用いられる所定の量の分散物質を連続的に注ぐことが可能になる。供給漕41は2つの制御部を含み、一方43は、所定の幅の分散物質の配置を生じさせることを意図しており、他方45は、所定の被覆厚を有するある量の分散物質を注ぐことを可能にするためのものである。供給漕41は、図5の図解において見ることができるように、2つのライザの間に既知の態様で取り付けられている。
【0029】
供給漕41の下側には、直径の大きなローラ・サポート47があり、サポート・フィルム35は、供給漕とローラ・サポート47との間を移動する間、その上に位置する。供給漕の上流においてライザ19、21の上側には、僅かに湾曲しているレスト・サポート49が既知の態様で取り付けられており、これらはすべて、被覆がなされたサポート・フィルムが巻き取りコイル51に向かってスライドすることを容易にする態様になっている。巻き取りコイル51については、後で詳述する。
【0030】
この装置の反対側には、フィルムが巻き取りコイル51に向かって戻る間にフィルム・サポートのためのレスト(支え)として用いられる2つの自由に回転するローラ53、55が、2つのライザ19、21の間に既知の態様で取り付けられている。この装置は、また、サポート49の下に位置しているレスト・サポート67を含んでおり、その下側を被覆のなされたサポート・フィルムが最終的には巻き取りコイル51に向かって導かれていく。
【0031】
巻き取りコイル51は、この装置の下部の、ローラ・レスト47の近傍において2つのライザ19、21の間に、既知の態様で取り付けられている。図解されてはいないが、動力手段がローラ・レスト47に配置されており、巻き取りコイル51がローラ・サポート47と摩擦を生じながら係合するときに、巻き取りコイル51を動作させる。このようにして、サポート・フィルム35の端部がいったん巻き取りコイル51に固定されると、この装置を動作させてフィルムの連続的な解放を達成するのに十分である。
【0032】
この装置を完成させるには、紫外線ランプ59と赤外線ランプ61とを提供することでほとんど十分である。紫外線ランプ59は、供給漕の出口において、レスト・サポート49の上方に、フィルム・サポート35の上側に配置される。赤外線ランプ51は、供給漕41とは反対側のこの装置の端部にあり、その光線がレスト・サポート49の上流端部に向くように方向が決定されている。
【0033】
この装置の動作は、以下で述べるように実行される。巻き取りコイル31に取り付けられたフィルム・サポート35の端部がつかまれ、サポート・フィルムは、レスト・ローラ37をバイパスすることによって解放され、次に、供給漕41とレスト・ローラ37との間に入り込むことが可能となる。サポート・フィルムは、次に、レスト・サポート49と、ローラ53、55と、レスト・サポート57とをバイパスして、最終的には、レスト・ローラ47が摩擦を生じながら63において巻き取りコイル51と係合し巻き取りコイル51を導くことを確実にすることによって、巻き取りコイル51に固定される。モータが動作され、赤外線ランプ61とおそらくは紫外線ランプ59もオンになり、サポート・フィルム35の分散物質の注ぎ込みが、幅と流率とを調節した後で、開始される。
【0034】
この機械は、また、異なるタイプの拡がり、すなわち、サイズ、形状及び粒子の分配が異なるアノード、カソード及び電解質に適するように構成することも可能である。この機械によると、例えば、赤外線、加熱要素又はそれら2つのモードの組合せなど、異なるモードの乾燥を用いることが可能になる。また、この機械は、電解質を網状化する紫外線ランプ(UV)のシステムと共に提供することも可能である。熱による網状化の場合には、加熱要素を網状化装置として用いることもできる。UV源と加熱要素との組合せは、このタイプの動作に容易に適合させることができる。
【0035】
本発明による装置の効果は、約1g程度の最小の量の活性物質を用いて被覆フィルムを得ることができることである。これは、実験室の規模で用いられるときには長所であるといえる。
【0036】
フィルムを拡げるのに溶媒の混合物を用いることにより、一方では乾燥温度を低下させ、拡げる速度を上昇させることができる。他方では、乾燥領域を縮小させることができる。
【0037】
次に、本発明の例を用いて図解する。
例1
PVDFフッ素化ポリビニリデンがNメチル・ピロリドン(NMP)の中で可溶化される。アセトン/トルエンの80/20の溶媒混合物が、PVDF−NMPのペーストに加えられ、拡がる組成物を構成する。グラファイト・パウダが、重量比率で90/10で拡がる組成物の中に分散される。この混合物が、ドクター・ブレード(登録商標)方法によって、銅製のコレクタ上に形成される。この電極は、赤外線ランプによって80℃で乾燥される。
【0038】
電極は、タイプ2035のディスク電池の上に取り付けられる。電解質1M LiPF6+EC/DMC:50/50(エチレン・カーボネート+ジメチルカーボネート)に浸されたセルガード(登録商標)2300のセパレータが用いられる。
【0039】
電気化学的な試験が室温で実行された。放電/充電曲線が、C/24で0Vから2.5Vの間で得られた。第1のサイクルのクーロン効率は88%であった。この結果は、真空下の140℃で複合材料(グラファイト−PVDF−NMP)を用いて準備された電極によって得られた結果に匹敵する。
【0040】
例2
例1において用いられたのと同じ拡がる組成物の中に、まず、カーボン・ブラックを分散させ、次に、重量比率で酸化物/カーボン・ブラック/PVDFの比率が80/10/10となるように、コバルト酸化物を分散させる。この混合物が、ドクター・ブレード(登録商標)方法によって、アルミニウムのコレクタ上に形成される。同時に、この電極は、赤外線ランプによって80℃で乾燥される。電極は、タイプ2035のディスク電池の上に取り付けられる。電解質1M LiPF6+EC/DMC:50/50(エチレン・カーボネート+ジメチルカーボネート)に浸されたセルガード(登録商標)2300のセパレータが用いられる。
【0041】
電気化学的な試験が室温で実行された。放電/充電曲線が、C/24で2.5Vから4.2Vの間で得られた。
本発明は、冒頭の特許請求の範囲に含まれる場合には、この技術分野の当業者にとって明らかなすべての修正をカバーすると理解される。
【0042】
(参考発明1)
低温でサポートの上に前記サポートの上に配置されるべき少なくとも1つの成分の被覆を形成することを可能にする組成物であって、前記形成はこの組成物における分散からなされる、組成物であって、沸点が約150℃よりも高く濃度が大きく比重が大きな少なくとも1つの溶媒と、沸点が約100℃よりも低く濃度が小さな溶媒とを含んでおり、前記濃度が大きく比重が大きな溶媒と前記濃度が小さな溶媒とが約100℃より低い温度で気化する混合物を構成する組成物。
【0043】
(参考発明2)
参考発明1記載の組成物において、沸点が約80℃よりも低い希釈剤を更に含み、前記希釈剤は、前記混合物の溶解度を上昇させ前記濃度の大きな溶媒の低温での気化を容易にする性質を有することを特徴とする組成物。
【0044】
(参考発明3)
参考発明1記載の組成物において、前記混合物は赤外線下で気化し前記サポート上に前記被覆を構成する前記成分だけを残存させることを特徴とする組成物。
【0045】
(参考発明4)
参考発明1記載の組成物において、前記濃度が大きく比重が大きな溶媒は、Nメチルピロリドンとシクロペンタノンとから選択されることを特徴とする組成物。
【0046】
(参考発明5)
参考発明1又は参考発明5記載の組成物において、前記濃度が小さな溶媒は、アセトン又はエチルアセテートから選択されることを特徴とする組成物。
【0047】
(参考発明6)
参考発明2記載の組成物において、前記希釈剤は、トルエン又はベンゼンから選択されることを特徴とする組成物。
【0048】
(参考発明7)
参考発明2記載の組成物において、前記混合物の体積比率は、20%未満の濃度が大きな溶媒と、40%ないし60%の濃度が小さな溶媒と、15%ないし25%の希釈剤とで構成されることを特徴とする組成物。
【0049】
(参考発明8)
参考発明1記載の組成物において、前記成分は、前記混合物の0.015g/ccないし0.04g/ccの割合で前記分散の中に存在していることを特徴とする組成物。
【0050】
(参考発明9)
参考発明1記載の組成物において、希釈剤に対する濃度が小さな溶媒の体積百分率は、80/20から65/25の間であることを特徴とする組成物。
【0051】
(参考発明10)
参考発明1記載の組成物において、前記成分のための結合材を更に含むことを特徴とする組成物。
【0052】
(参考発明11)
参考発明10記載の組成物において、前記結合材はフッ素化ポリビニリデンを含むことを特徴とする組成物。
【0053】
(参考発明12)
参考発明1ないし参考発明11の任意の参考発明記載の組成物におけるサポート上に配置される成分の分散。
【0054】
(参考発明13)
参考発明12記載の分散において、前記成分がグラファイト・パウダを含むことを特徴とする分散。
【0055】
(参考発明14)
参考発明13記載の分散において、前記グラファイト・パウダと前記組成物との重量比率は60:10から90:10の間を変動することを特徴とする分散。
【0056】
(参考発明15)
参考発明13記載の分散において、前記成分は更にコバルト酸化物を含むことを特徴とする分散。
【0057】
(参考発明16)
サポートの上に被覆を形成する方法であって、
(a)沸点が約150℃よりも高く濃度が大きく比重が大きな少なくとも1つの溶媒と、沸点が約100℃よりも低く濃度が小さな溶媒とを含む組成物であって、前記濃度が大きな溶媒と前記濃度が小さな溶媒とが、100℃より低い温度で気化することが可能な混合物を構成することができる比率で存在している、組成物を提供するステップと、
(b)前記サポートの上の被覆という形態で形成される成分を前記混合物の中に分散させるステップと、
(c)ステップ(b)において得られた分散を前記サポートの上に拡げるステップと、
(d)前記分散を乾燥させて前記被覆を取得するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【0058】
(参考発明17)
参考発明16記載の方法において、前記分散は100℃よりも低い温度で乾燥されることを特徴とする方法。
【0059】
(参考発明18)
参考発明16記載の方法において、前記分散は加熱要素を用いて乾燥されることを特徴とする方法。
【0060】
(参考発明19)
参考発明16記載の方法において、前記分散は赤外線ランプを用いて乾燥されることを特徴とする方法。
【0061】
(参考発明20)
参考発明16記載の方法において、前記分散は赤外線ランプと加熱要素とを用いて乾燥されることを特徴とする方法。
【0062】
(参考発明21)
参考発明16記載の方法において、前記成分の結合剤がステップ(a)の間に前記組成物に加えられることを特徴とする方法。
【0063】
(参考発明22)
参考発明21記載の方法において、前記結合剤が前記濃度の大きく比重が大きい溶媒の中で可溶化され、次に、前記濃度が低い溶媒が希釈剤と混合され、そのあとで前記組成物が混合されることを特徴とする方法。
【0064】
(参考発明23)
参考発明16記載の方法において、前記サポートは再充電可能な電気化学発電機のためのフィルムの形態を有する電極又は電解質であることを特徴とする方法。
【0065】
(参考発明24)
サポートの上にフィルムの形態の被覆を形成する装置であって、
フィルム・サポートのソースと、
参考発明1ないし参考発明15記載の分散を含むように設計された供給漕と、
前記供給漕の近傍にあるフィルム・サポートを循環させることを許容する解放手段と、
前記フィルム・サポートが前記供給漕の近傍を通過するときに所定の量の分散を前記フィルム・サポートの上に連続的に注ぐことを可能にする手段と、
受け取り手段、及び、前記フィルム・サポートとその被覆とを前記受け取り手段に連続的に伝達する巻き付け手段と、
前記解放手段と前記受け取り手段と前記巻き付け手段とを動作させるように設計されたモータ手段と、
前記分散の液体内容物を100℃よりも低い温度で気化させて前記フィルム・サポートの上に固体被覆を残存させることを可能にする加熱手段と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0066】
(参考発明25)
参考発明24記載の装置において、前記加熱手段は少なくとも1つの赤外線ランプを備えていることを特徴とする装置。
【0067】
(参考発明26)
参考発明25記載の装置において、前記フィルム・サポートは網状化可能なポリマから構成され、前記加熱手段は前記網状化可能なポリマを網状化することができる少なくとも1つの紫外線ランプを更に備えていることを特徴とする装置。
【0068】
(参考発明27)
参考発明24記載の装置において、前記供給漕は、前記フィルム・サポートの上の前記分散の配置の幅と厚さとを所定のパラメータに従って調節することができる手段を含むことを特徴とする装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物に分散された少なくとも1つの成分を含む組成物であって、前記混合物は、Nメチルピロリドン及びシクロペンタノンから選択される第1の溶媒と、100℃よりも低い沸点を有する第2の溶媒と、トルエン及びベンゼンから選択される希釈剤と、結合剤とを有し、
前記成分はサポートの上に被覆される電極材料であり、
前記サポートは電極コレクタであり、
前記溶媒の混合物は、100℃より低い温度で気化し、
前記希釈剤は、前記混合物の溶解度を上昇させ前記第1の溶媒の低温での気化を容易にする性質を有する組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物において、前記第2の溶媒はアセトン又はエチルアセテートから選択されることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1記載の組成物において、前記混合物の体積比率は、20%未満の第1の溶媒と、40%ないし60%の第2の溶媒と、15%ないし25%の希釈剤とで構成されることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1記載の組成物において、前記成分は、前記混合物の0.015g/ccないし0.04g/ccの割合で前記分散物質の中に存在していることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1記載の組成物において、希釈剤に対する第2の溶媒の体積百分率は、80/20から65/25の間であることを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項5記載の組成物において、前記結合材はフッ素化ポリビニリデンを含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項1記載の組成物において、前記成分がグラファイト・パウダを含むことを特徴とする分散物質。
【請求項8】
請求項7記載の組成物において、前記グラファイト・パウダと前記組成物との重量比率は60:10から90:10の間を変動することを特徴とする分散物質。
【請求項9】
請求項7記載の組成物において、前記成分は更にコバルト酸化物を含むことを特徴とする分散物質。
【請求項10】
電極コレクタであるサポートの上に被覆を形成する方法であって、
(a)結合剤と、Nメチルピロリドン及びシクロペンタノンから選択される第1の溶媒と、100℃よりも低い沸点を有する第2の溶媒と、トルエン及びベンゼンから選択される希釈剤とを含む組成物であって、前記第1の溶媒と前記第2の溶媒とが、100℃より低い温度で気化することが可能な混合物を構成することができる比率で存在している、組成物を提供するステップと、
(b)活性電極材料から選択され、前記サポートの上の被覆という形態で形成される成分を前記混合物の中に分散させるステップと、
(c)ステップ(b)において得られた分散物質を前記サポートの上に拡げるステップと、
(d)前記分散物質を乾燥させて前記被覆を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記分散物質は100℃よりも低い温度で乾燥されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、前記結合剤が前記第1の溶媒の中で可溶化され、次に、前記第2の溶媒が希釈剤と混合され、そのあとで前記組成物が混合されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、前記サポートは再充電可能な電気化学発電機のためのフィルムの形態を有する電極又は電解質であることを特徴とする方法。
【請求項14】
サポートの上にフィルムの形態の電極材料の被覆を形成する装置であって、
フィルム・サポートのソースと、
請求項1ないし請求項9記載の組成物を含むように設計された供給漕と、
前記供給漕の近傍にある前記フィルム・サポートを循環させることを許容する解放手段と、
前記フィルム・サポートが前記供給漕の近傍を通過するときに所定の量の組成物を前記フィルム・サポートの上に連続的に注ぐことを可能にする手段と、
受け取り手段、及び、前記フィルム・サポートとその被覆とを前記受け取り手段に連続的に伝達する巻き付け手段と、
前記解放手段と前記受け取り手段と前記巻き付け手段とを動作させるように設計されたモータ手段と、
前記分散物質の液体内容物を100℃よりも低い温度で気化させて前記フィルム・サポートの上に固体被覆を残存させることを可能にする加熱手段と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、前記加熱手段は少なくとも1つの赤外線ランプを備えていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、前記フィルム・サポートは網状化可能なポリマから構成され、前記加熱手段は前記網状化可能なポリマを網状化することができる少なくとも1つの紫外線ランプを更に備えていることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項14記載の装置において、前記供給漕は、前記フィルム・サポートの上の前記分散物質の配置の幅と厚さとを所定のパラメータに従って調節することができる手段を含むことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67801(P2013−67801A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−237589(P2012−237589)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2002−511404(P2002−511404)の分割
【原出願日】平成13年6月15日(2001.6.15)
【出願人】(597164909)イドロ−ケベック (30)
【氏名又は名称原語表記】Hydro−Quebec
【Fターム(参考)】