説明

サリドマイド類似体

腫瘍壊死因子α(TNF-α)活性および血管新生を調節するサリドマイド類似体を開示する。特に開示した態様では、サリドマイド類似体は、等配電子構造の硫黄含有類似体である。類似体を用いた被験者の治療法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明はサリドマイド類似体、類似体の合成法、および類似体を使用し被験者において血管新生および腫瘍壊死因子αの活性を調節する方法に関する。より特定的には、本発明は硫黄含有サリドマイド類似体ならびにその製造法および使用法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年9月17日に出願された米国特許仮出願第60/504,724号の恩典を主張する。この出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
サリドマイド(N-α-フタルイミドグルタルイミド)は、1956年に催眠鎮静薬として売り出されたが、つわりでそれを使用した母親から生まれた赤ん坊に重篤な先天性異常が発症したため1961年に撤退されたグルタミン酸誘導体である。サリドマイドが癩性結節性紅斑(ENL)およびHIV消耗症候群ならびに様々な癌の治療において臨床的に有効であることが見いだされた後、この薬剤に対する関心が、呼び起こされた。ENL活性の機序研究から、抗腫瘍壊死因子α(抗-TNF-α)作用が証明された。具体的には、サリドマイドはTNF-α RNAの変性を増強し、これにより、その合成および分泌を低下させる。詳細な研究により、サリドマイドはCD8+およびCD4+ T細胞両方の補助刺激分子、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)および血管内皮増殖因子(VEGF)に対する阻害作用による血管新生阻害薬、転写因子、NFκBの阻害薬であることが同定された。
【0004】
TNF-αおよびファミリーメンバーは、細胞増殖および細胞分化、アポトーシス、免疫反応の調節、および炎症の誘導を含む、様々な生理学的および病理学的過程において極めて重要な役割を果たす。TNF-αは2つの受容体、TNFR1および2を介して作用する。前者は全ての組織において発現し、TNF-αに対する主なシグナル伝達受容体である。後者は主に、免疫細胞上で発現し、より限定的な生物学的応答を媒介する。細胞をTNF-αに曝露すると、カスパーゼカスケードが活性化され、アポトーシスによる細胞死に至る。実際、アポトーシスを開始することができる主細胞表面分子は、リガンドおよび受容体のTNFファミリーのメンバーである。例えば、TNF受容体ファミリーの死を誘導するメンバーはそれぞれ、細胞質「デスドメイン」(DD)を含み、これは、シグナル伝達機構の下流構成要素と結合するために重要な蛋白質-蛋白質相互作用モチーフである。
【0005】
最近、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドであるTRAILが、選択的に腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するが、ほとんどの正常細胞のアポトーシスを誘導しないことが示された。TRAILが胸腺細胞アポトーシスを媒介し、自己免疫疾患の誘導において重要であることが示される。しかしながら、より頻繁には、TNF-α受容体結合により転写因子AP-1およびNFκBの活性化が誘発され、その後、それらは急性および慢性炎症応答に関与する遺伝子を誘導する。このように、TNF-αの過剰産生は多くの炎症疾患、例えば関節リウマチ、移植片対宿主疾患およびクローン病に関与し、さらに、ENL、敗血性ショック、AIDSおよびアルツハイマー病(AD)に関連する認知症を悪化させる。
【0006】
TNF-α合成を減少させるように最適化された多くのサリドマイド類似体が設計され、合成されている。主に、これらの類似体は、サリドマイドのフタロイル環またはグルタルイミド環の構造的修飾を含む。さらに、サリドマイドの抗血管新生特性が、そのヒドロキシル化された、開環代謝産物に関連することが証明されてから、血管新生または腫瘍転移阻害薬としてのヒドロキシル化および加水分解代謝産物合成が報告されている。サリドマイドとTNF-αとの間の構造-活性関係に関する広範囲の研究が行われているが、サリドマイドの4つのアミドカルボニル基のその生物学的活性に対する寄与についてはほとんどわかっていない。
【発明の開示】
【0007】
概要
血管新生調節活性およびTNF-α調節活性を有するサリドマイド類似体を開示する。いくつかの態様では、開示したサリドマイド類似体は、1または複数のカルボニル基がチオカルボニル基に置換された、サリドマイドの硫黄-類似体、その開環代謝物およびその誘導体(例えば、そのヒドロキシル化誘導体)である。例えば、いくつかの態様では、サリドマイド類似体は、サリドマイドまたはサリドマイド類似体のフタロイル部分またはグルタルアミド部分(またはその開環形態)上の少なくとも1つのカルボニル基がチオカルボニル基により置換されている。特定の態様では、サリドマイドのカルボニル基のチオカルボニル基による連続置換により、TNF-α阻害活性の増大したチオサリドマイド類似体が提供される。驚くべきことに、サリドマイドのカルボニル基がチオカルボニル基により置換されることにより、TNF-α阻害が増大することと、毒性とは関連しない。
【0008】
サリドマイド類似体をチオサリドマイドに変換する方法のように、サリドマイドおよびサリドマイド類似体を製造するための改良法もまた、開示する。血管新生活性およびTNF-α調節活性のために、開示したサリドマイド類似体、とりわけ開示したチオサリドマイドを使用して、腫瘍または望ましくない血管新生などの、血管新生またはTNF-α活性に関連する疾患または状態を患う被験者を治療することができる。さらに、開示したチオサリドマイド類似体の生理学的および毒物学的特性により、注入せずに、例えば経口投与により、強力に、かつ安全に血管新生およびTNF-α活性を調節するのに適している。このことは、そのような目的のために使用される多くの現在使用可能な薬剤と対照的である。
【0009】
特に開示した態様の詳細な説明
I.略語
TNF-α-腫瘍壊死因子α
CDI-カルボキシアミドトリアゾール
ARE-アデニル酸/ウリジル酸(AU)-リッチエレメント
UTR-非翻訳領域
THF-テトラヒドロフラン
NMR-核磁気共鳴
LR-Lawesson試薬
【0010】
II.用語
提示した態様の理解を容易にするために、下記解説を提供する。
【0011】
単数形用語「1つの(a、an)」および「その(the)」は、特に文脈で明確に示されていなければ、複数の指示対象を含む。同様に、用語「または(or)」は、特に文脈で明確に示されていなければ、「および(and)」を含むものとする。用語「備える、有する、含む(comprises)」は、「含む(include)」を意味する。また、「AまたはBを含む」は、特に文脈で明確に示されていなければ、AもしくはB、またはAおよびBを含むことを意味する。化合物に関して示した分子量または分子量値は全て概数であり、説明のために示したものであることを、さらに理解すべきである。本開示内容を実施または試験する際に、本明細書で記述したものと同様または等価の方法および材料を使用することができるが、適した方法および材料を以下で説明する。さらに、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定するものではない。
【0012】
「被験者」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒトおよび獣医学的動物、例えば、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヒツジおよびウシ)を含む動物を示す。
【0013】
「R-基」または「置換基」は、単一原子(例えば、ハロゲン原子)または、互いに共有結合で結合された2もしくはそれ以上の原子の官能基を示し、典型的には、水素原子の代わりに、分子の1つの原子または複数の原子に、分子の1つの原子または複数の原子の原子価要件(valency requirement)を満たすように共有結合により結合される。R-基/置換基の例としては、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、メルカプト基、およびアリール基が挙げられる。
【0014】
「置換された」または「置換」は、分子またはR-基の水素原子の、1または複数の追加のR-基、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、アリールオキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジン-1-イル、ピペラジン-1-イル、ニトロ、スルファトまたは他のR-基による置換を示す。
【0015】
「アルキル」は、炭素および水素のみを含む、環状、分枝、または直鎖基を示し、特に記載がなければ、典型的には、1〜12の炭素原子を含む。この用語はさらに、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ピバリル、ヘプチル、アダマンチル、およびシクロペンチルなどの官能基により例示される。アルキル基は非置換とすることができ、または置換することができる。「低級アルキル」基は、1〜6の炭素原子を含むものである。
【0016】
「アシル」は、RCO-構造を有する官能基を示し、ここで、Rはアルキル、または置換アルキルであってもよい。「低級アシル」基は、1〜6の炭素原子を含むものである。
【0017】
「アシルオキシ」は、RCOO-構造を有する官能基を示し、ここで、Rはアルキル、または置換アルキルであってもよい。「低級アシルオキシ」基は、1〜6の炭素原子を含むものである。
【0018】
「アルケニル」は、炭素および水素のみを含む環状、分枝または直鎖基を示し、特に記載がなければ、典型的には、1〜12の炭素原子を含み、共役されてもされなくてもよい1または複数の二重結合を含む。アルケニル基は非置換であってもよく、置換されてもよい。「低級アルケニル」基は、1〜6の炭素原子を含む。
【0019】
「アルキニル」は、炭素および水素のみを含む環状、分枝または直鎖基を示し、特に記載がなければ、典型的には、1〜12の炭素原子を含み、1または複数の三重結合を含む。アルキニル基は非置換であってもよく、置換されてもよい。「低級アルキニル」基は、1〜6の炭素原子を含むものである。
【0020】
「アルコキシ」は、R-O-構造を有する官能基であり、ここで、Rはアルキル、または置換アルキルであってもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシ基が挙げられる。「低級アルコキシ」基は、1〜6の炭素原子を含むものである。
【0021】
「ハロゲン」という用語は、フルオロ、ブロモ、クロロおよびヨード置換基を示す。
【0022】
「アリール」は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する一価不飽和芳香族炭素環基を示し、任意で非置換であってもよく、置換されてもよい。
【0023】
「アミノ」という用語は、-NH2構造を有するR-基を示し、任意で、例えば低級アルキル基で置換されていてもよく、一般式-NHRまたは-NR2を有する官能基が得られる。
【0024】
「ニトロ」は、-NO2構造を有するR-基を示す。
【0025】
環状基に適用される「脂肪族」という用語は、環内に存在するどの二重結合も環構造全体で共役されない環構造を示す。
【0026】
環状基に適用される「芳香族」という用語は、場合によっては酸素原子または窒素原子などのヘテロ原子を介して、環構造全体で共役される二重結合を含む環構造を示す。アリール基、ピリジル基およびフラン基が芳香族基の例である。芳香族基の共役構造は、特徴的な数の電子、例えば、共役構造を構成する電子軌道、典型的には非混成p-軌道を占有する6または10の電子を含む。
【0027】
「薬学的組成物」は、一定量(例えば、単位用量)の1または複数の開示した化合物を、1または複数の、担体、希釈剤、および/またはアジュバントを含む非毒性の薬学的に許容される賦形剤、ならびに任意で他の生物学的に活性な成分と共に含む組成物である。そのような薬学的組成物は、標準製剤化技術、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA(19版)で開示されているものにより調製することができる。
【0028】
開示した化合物の「治療上有効な量」は、所望の治療効果、例えば、血管新生の阻害または抗腫瘍もしくは抗転移効果、またはTNF-α活性の阻害を達成するのに十分な化合物の用量である。いくつかの実施例では、治療上有効な量は、インビトロまたはインビボでの組織培養における血管新生またはTNF-α活性を調節することが示されている濃度と同様の、作用部位での組織濃度を達成するのに十分な量である。例えば、化合物の治療上有効な量は、被験者が約0.1μg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日の用量、例えば約1μg/kg体重/日〜約1000μg/kg体重/日の用量、例えば約5μg/kg体重/日〜約500μg/kg体重/日の用量を摂取するようなものとしてもよい。
【0029】
「立体異性体」という用語は、分子のエナンチオマー、ジアステレオマー、または幾何異性体である分子を示す。構造異性体とは異なり、立体異性体は、分子構造中の原子の数および型に関しては違いがなく、分子の原子の空間配列に関しては違いがある。立体異性体の例としては、光学活性な分子の(+)および(-)型が含まれる。
【0030】
「調節する」という用語は、開示した化合物が生物学的機能の量、程度または速度、疾患の進行を変更、または状態を改善することができる能力を示す。例えば調節は、化合物の、血管新生の増加または減少を誘導する、TNF-α活性を阻害する、または腫瘍転移もしくは腫瘍形成を阻害する能力を示すことができる。
【0031】
「血管新生活性」という用語は、開示した化合物または特定の濃度の開示した化合物の、血管新生を刺激する能力を示す。血管新生活性はインビボまたはインビトロで検出してもよい。血管新生化合物または血管新生濃度の開示化合物は血管新生を刺激し、そのような化合物および/または濃度は、当業者であれば、例えば、下記実施例に記述する方法を用いて容易に同定することができる。
【0032】
「抗血管新生活性」という用語は、化合物または特定の濃度の開示化合物の、血管新生を阻害する能力を示す。抗血管新生活性はインビボまたはインビトロで検出してもよい。抗血管新生化合物または抗血管新生濃度の開示化合物は血管新生を阻害し、そのような化合物および/または濃度は、当業者であれば、例えば、下記実施例に記述する方法を用いて容易に同定することができる。
【0033】
III.特に開示した態様の概要
TNF-α活性および/または血管新生を調節するサリドマイド類似体を開示する。それらを使用して、血管新生および/またはTNF-α活性に関連する広範囲にわたる病理学的状態を治療することができる。開示化合物全ての薬学的に許容される塩、立体異性体、および代謝産物も企図する。いくつかの態様では、サリドマイド類似体は、対応する硫黄を含有しないサリドマイド誘導体におけるカルボニル基が1または複数のチオカルボニル基により置換されたチオサリドマイド誘導体である。
【0034】
下記構造では、全ての原子価要件が満足されていると理解される。このように、例えば炭素原子は、例え全て図示されていなくても、他の原子への4つの結合を有する。当業者には理解されるように、炭素原子への4つの結合全てが図示されていない場合、水素原子への追加の結合が暗示される。そのように暗示された水素原子の更なる置換が可能である。
【0035】
別の態様では、開示した化合物は下記化学式を有する化合物を含む。

式中、XおよびYは独立して、CH2、酸素または硫黄であり、および、R1が硫黄原子を含まない場合、XおよびYのうち少なくとも1つは硫黄であり;R2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲン、ニトロであり、または結合して、5員もしくは6員の非置換もしくは置換脂肪族、芳香族または複素環を形成し、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒロドキシル、アミノまたはニトロであり、例えば水素、アシルオキシまたはヒドロキシルであり;およびR1は非置換または置換脂肪族または芳香族の複素環、非置換または置換シクロアルケニル環、または下記であり、

式中、WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、R6およびR7はそれぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシまたは置換アルコキシであり、R8〜R12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば水素、アシルオキシまたはヒドロキシルである。
【0036】
特定の態様では、R1は下記であり:

式中、WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、R13およびR14はそれぞれ、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルであり;R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキル、例えば、アリール置換アルキルであり;およびR15〜R19はそれぞれ、独立して水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲンヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルである。いくつかの態様では、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R15、R16、R17、R18およびR19のうちの少なくとも1つがヒドロキシルである。別の態様では、X、Y、WおよびZの少なくとも1つが硫黄であり、X、Y、WおよびZの少なくとも2つが硫黄であり、またはX、Y、WおよびZの少なくとも3つが硫黄である。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;またはXまたはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、WおよびZが存在する場合、

が可能である。他の特定の態様では、X=SおよびY=CH2である。
【0037】
より特定の態様では、開示した化合物は下記化学式を有し:

式中、X、Y、WおよびZは独立して、硫黄または酸素であり、および、X、Y、WおよびZの少なくとも1つが硫黄であり、ならびにR2〜R12は前述の通りである。例えばより特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも硫黄である。あるいはWおよびZが存在する場合、

が可能である。より特定の態様では、R2〜R5およびR8〜R11の少なくとも1つはヒドロキシルである。そのような化合物の具体的な例は下記を含む。

【0038】
別のより特定の態様では、開示した化合物は下記化学式を有し:

式中、W、X、YおよびZはそれぞれ、独立して硫黄または酸素であり、および、W、X、YおよびZの少なくとも1つが硫黄であり;ならびにR2〜R5およびR15〜R20は前述の通りである。例えばより特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、WまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。より特定の態様では、R2〜R5およびR15〜R19の少なくとも1つはヒドロキシルである。そのような化合物の具体的な例は下記を含む。

【0039】
開示した化合物は、下記式を有する化合物も含み:

式中、TおよびVは独立して酸素または硫黄であり、R21〜R25は独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルであり;およびR26は下記であり、

式中、W、ZおよびR13〜R20は前述の通りである。例えば、より特定の態様では、TまたはVは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;TおよびVはどちらも硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;TおよびVはどちらも酸素であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;TおよびVはどちらも硫黄であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;またはTもしくはVは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、WおよびZが存在する場合、

が可能である。いくつかの態様では、R15〜R19およびR22〜R26の少なくとも1つはヒドロキシルである。
【0040】
さらに、開示した化合物は下記式を有する化合物を含み:

式中、X、Yはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;W、XおよびR15〜R20は前述の通りであり;R27〜R33はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルであり;およびR34は水素、アルキルまたは置換アルキルである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素でありWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄でありWまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。
【0041】
さらに、開示した化合物は下記式を有する化合物を含み:

式中、XおよびYはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;W、Z、R15〜R20およびR34は前述の通りであり;R35はアルキルまたは置換アルキルであり;およびR36〜R39はそれぞれ、独立して水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素でありWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄でありWまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。
【0042】
別の態様は下記式を有する化合物を含み:

式中、XおよびYはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;W、ZおよびR15〜R20は前述の通りであり;およびR40〜R45はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素でありWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄でありWまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。
【0043】
開示した化合物はさらに、下記式を有する化合物を含み:

式中、X、Y、WおよびZは、独立して酸素または硫黄であり;およびR2〜R5およびR13〜R16は前述の通りである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、WまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。
【0044】
下記式を有するサリドマイド類似体化合物も開示し:

式中、X、YおよびZは独立して、酸素または硫黄であり;およびR2〜R5、R15〜R20およびR34は前述の通りである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、Zは酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、Zは酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、Zは硫黄である。あるいは、

が可能である。
【0045】
下記式を有するサリドマイド類似体化合物も開示し:

式中、XおよびYは独立して、酸素または硫黄であり;およびR1、R2、R4およびR5は前述の通りである。例えば、特定の態様では、R1は下記であり:

式中、W、ZおよびR13〜R20は前述の通りである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、WおよびZが存在する場合、

が可能である。より特定の態様では、化合物は下記式を有し:

式中、X、Yは独立して、酸素または硫黄であり;およびW、Z、R2、R4、R5およびR13〜R16は前述の通りである。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、WまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、WまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。さらにより特定の態様では、R2、R4、R5、R15およびR16の少なくとも1つはヒドロキシルである。
【0046】
下記式を有する化合物も開示し:

式中、GおよびDはそれぞれ、独立して酸素または硫黄であり、R2〜R5は前述の通りであり、およびR46は下記であり:

式中、W、ZおよびR13〜R20は前述の通りである。例えば、特定の態様では、GまたはDは硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;GおよびDはどちらも硫黄であり、WおよびZはどちらも酸素であり;GおよびDはどちらも酸素であり、WまたはZは硫黄であり;GおよびDはどちらも硫黄であり、WまたはZは硫黄であり;またはGもしくはDは硫黄であり、WおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、

が可能である。
【0047】
被験者においてTNF-α活性を調節するための方法も開示する。この方法は、被験者に治療上有効な量の1または複数の、任意の上記開示化合物、または下記式を有する化合物:

式中、XおよびYは、独立して酸素または硫黄であり;W、Z、R15〜R20は前述の通りであり;およびR47〜R52はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルである;または
下記式を有する化合物:

式中、n=1〜5であり;Xは酸素または硫黄であり;およびR2〜R5およびR15〜R19は前述の通りである;または
下記式を有する化合物:

式中、XおよびYはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、n=1〜5であり、およびR2〜R5は前述の通りである;または
下記式を有する化合物:

式中、R53およびR54は独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルであり;およびR55は水素、アルキル、または置換アルキルである;または
下記式を有する化合物:

式中、R2〜R5は前述の通りであり、および、R56は水素、アルキル、または置換アルキルである;または
それらの薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を投与する段階を含む。
【0048】
上記方法に関連して記述した構造を有する新規チオ置換類似体も、企図される。例えば、より特定の態様では、XまたはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも酸素であり;XおよびYはどちらも酸素であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;XおよびYはどちらも硫黄であり、存在すればWまたはZは硫黄であり;またはXもしくはYは硫黄であり、存在すればWおよびZはどちらも硫黄である。あるいは、WおよびZが存在する場合、

が可能である。
【0049】
特に開示した化合物および開示した方法において使用することができる化合物は、下記構造を有する1または複数の化合物を含む。


【0050】
さらに、被験者において血管新生を調節するための方法を開示する。方法は、被験者に治療上有効な量の1または複数の、任意の開示した化合物を投与する段階を含む。その方法において有益な化合物の例は上記で示す。いくつかの態様では、抗血管新生化合物または抗血管新生濃度の化合物を使用する場合、治療上有効な量の化合物を腫瘍患者に投与し、抗腫瘍効果、例えば腫瘍形成または腫瘍転移の阻害を達成することができる。別の態様では、治療上有効な量の化合物を、病的血管新生患者に投与する。また、血管新生刺激が望ましい場合、血管新生化合物または血管新生濃度の化合物を被験者に投与し、血管新生を刺激する。
【0051】
血管新生阻害剤として、開示した化合物は、乳癌、大腸癌、直腸癌、肺癌、中咽頭癌、下咽頭癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌および胆管癌、小腸癌、尿路癌(腎臓、膀胱および尿路上皮を含む)、女性生殖器官癌(頸部癌、子宮癌、および卵巣癌ならびに絨毛癌および妊娠性絨毛性疾患を含む)、男性生殖器官癌(前立腺癌、精嚢癌、精巣癌および胚細胞腫を含む)、内分泌腺(甲状腺、副腎、および下垂体を含む)癌、および皮膚癌、ならびに血管腫、メラノーマ、肉腫(骨組織および軟組織に由来するもの、およびカポジ肉腫を含む)、ならびに脳腫瘍、神経腫瘍、眼腫瘍および髄膜腫瘍(星状細胞腫、神経膠腫、グリア芽腫、網膜芽腫、神経腫、神経芽細胞腫、神経鞘腫、および髄膜腫を含む)を含む原発固形腫瘍および転移固形腫瘍の両方の治療に有益である。そのような化合物はまた、造血器悪性腫瘍、例えば白血病に由来する固形腫瘍(すなわち、緑色腫、形質細胞腫ならびに菌状息肉腫および皮膚T細胞リンパ腫/白血病のプラークおよび腫瘍)の治療、ならびにリンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫の両方)の治療において有益であるかもしれない。さらにこれらの化合物は、単独で、または放射線療法および/または他の化学療法薬と共に使用した場合、上記腫瘍からの転移の妨害に有益であるかもしれない。
【0052】
開示した抗血管新生化合物/濃度のさらなる使用は、自己免疫疾患、例えばリウマチ、免疫および変性関節炎の治療および予防を含む。そのような化合物はまた、病的(すなわち、異常な、有害な、または望ましくない)血管新生、例えば、様々な眼疾患、例えば糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植後拒絶反応、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、ルベオーシス、黄斑変性による網膜の新生血管形成、低酸素症、感染または外科的処置と関連した眼の血管新生、および眼の他の異常な新生血管形成状態;皮膚疾患、例えば乾癬;血管疾患、例えば血管腫、およびアテローム斑内の毛細血管増殖;オスラー-ウェーバー症候群;心筋血管新生;プラーク新生血管形成;血管拡張症;血友病関節;血管線維腫;および創部肉芽形成の治療に使用することができる。他の使用としては、内皮細胞の過剰または異常な刺激により特徴づけられる疾患の治療が挙げられる。そのようなものとしては、腸管癒着症、クローン病、アテローム性動脈硬化症、強皮症および肥厚性瘢痕、例えばケロイドが挙げられるが、これらに限定されない。他に、排卵および胎盤確立を阻害することにより、避妊薬として使用される。開示した化合物はまた、猫ひっかき病(Rochele minalia quintosa)および潰瘍(ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)などの病理学的帰結として血管新生を有する疾患の治療においても有益である。開示した化合物はまた、とりわけ切除可能な腫瘍の治療のための、外科的処置前に投与することにより出血を減少させるのに有益である。
【0053】
血管新生化合物または血管新生濃度の開示化合物を使用して、血管新生の刺激、血管形成の刺激、血流の増大、および/または血管分布の増大による恩典を得る様々な状態を治療することができる。開示した血管新生化合物、または血管新生濃度の開示化合物を用いた治療に適した状態および疾患の具体的な例としては、血管の閉塞、例えば、動脈、静脈、または毛細血管系の閉塞と関連する任意の状態が挙げられる。そのような状態または疾患の特定の例としては、冠動脈閉塞症、頸動脈閉塞症、動脈閉塞症、末梢動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、筋肉内膜(myointimal)過形成(例えば、血管手術またはバルーン血管形成術または血管ステント術による)、閉塞性血栓性血管炎、血栓性疾患、血管炎などが挙げられるが、これらに限定されない。開示した血管新生化合物/濃度を用いて予防できる可能性のある状態または疾患の例としては、心発症(心筋梗塞)または他の血管死、脳卒中、血流の減少に関連する四肢の死または喪失などが挙げられるが、これらに限定されない。開示による血管新生刺激のための他の治療的使用としては、創傷または潰瘍の治癒の促進;皮膚移植片または再付着四肢のそれらの機能および生存能を保存するための血管形成の改善;(例えば、消化管手術後の腸の再結合部における)外科的吻合の治癒の改善;および皮膚または毛髪の成長の改善が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0054】
さらに、開示した化合物を用いて被験者におけるTNF-α活性の阻害方法を提供する。方法は、治療上有効な量の開示化合物を被験者に投与し、TNF-α阻害効果を達成する段階を含む。TNF-α阻害効果を有する開示化合物は、多くの炎症性、感染性、免疫学的、および悪性疾患を治療するのに有益である。このようなものとしては、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、血行力学的(hemodynamic)ショックおよび敗血症候群、虚血後再かん流傷害、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬および他の皮膚疾患、鬱血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶反応、癌、腫瘍成長、望ましくない血管新生、自己免疫疾患、AIDSにおける日和見感染、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、他の関節炎状態、炎症性大腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ハンセン病におけるENL、放射線障害、および高酸素肺胞障害が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、化合物を他の神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、頭部外傷、脳卒中およびALSの治療に使用しても良い。
【0055】
開示した化合物は、疾患の治療のために、他の組成物および処置と組み合わせて使用することができる。例えば、腫瘍は従来通り外科的処置、放射線療法または化学療法により、抗血管新生化合物/濃度と組み合わせて治療することができ、その後任意で、化合物/濃度を被験者にさらに投与し、微小転移の休止を拡張し、任意の残った原発性腫瘍の成長を安定化および阻害することができる。あるいは、血管新生化合物または血管新生濃度の化合物を、他の血管新生刺激剤と組み合わせて使用することができる。例えば、熱エネルギー(抵抗性加熱、レーザエネルギー、または両方の形態)により熱的に処置された刺激ゾーンまたはポケット(任意で、少なくとも最初は細い管により相互に連結される)が組織内に形成され、血液由来の成長および治癒因子が導入されると共に、熱的処置を受けたゾーンの周囲では毛細血管成長が刺激される。そのような刺激ゾーンにより、以前は虚血の、および/または機能しない組織(例えば心臓組織)への血流が増大し、同時に、酸素および栄養の供給が増大し、最終的には、血管新生組成物/濃度と組み合わせて使用すると、組織の処置部分が再生する。別の態様では、TNF-α阻害活性を示す開示した化合物は他のTNF-α阻害剤、例えば、デキサメタゾンおよびプレドニゾロンなどのステロイドと組み合わせることができる。癌の治療に使用する場合、化合物は化学療法薬および/または放射線および/または外科的処置と組み合わせて使用することができる。
【0056】
開示した化合物と組み合わせて使用することができる他の化学療法薬の例としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然物、キナーゼ阻害剤、ホルモンおよびその拮抗薬、ならびにその他の種々の薬剤が挙げられる。アルキル化剤の例としては、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、ウラシルマスタードまたはクロラムブシル)、スルホン酸アルキル(例えばブスルファン)、およびニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、またはダカルバジン)が挙げられる。代謝拮抗剤の例としては、葉酸類似体(例えばメトトレキセート)、ピリミジン類似体(例えば、5-FUまたはシタラビン)、およびプリン類似体、例えばメルカプトプリンまたはチオグアニンが挙げられる。天然物の例としては、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、またはビンデシン)、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシドまたはテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、またはミトサイシンC)、および酵素(例えばL-アスパラギナーゼ)が挙げられる。キナーゼ阻害剤の例としては、小分子阻害剤(例えばイレッサ、タルセバ、PKI-166、CI-1033、CGP-5923A、EKB-569、TAK165、GE-572016、CI-1033、SU5416、ZD4190、PTK787/ZK222584、CGP41251、CEP-5214、ZD6474、BIBF1000、VGA1102、SU6668、SU11248、CGP-57148、三環系キノキサリン、SU4984、SU5406、グリーベック(Gleevec)、NSC680410、PD166326、PD1173952、CT53518、GTP14564、PKC412、PP1、PD116285、CGP77675、CGP76030、CEP-701、およびCEP2583)、リガンドモジュレーター(例えばベバシズマブ、MV833、可溶性Flt-1およびFlk-1、VEGF Trap、GFB 116、NM3、VEGF121-ジフテリア毒素複合体(conjugate)およびインターフェロン-α)、および受容体に対するモノクローナル抗体(例えば、セツキシマブ、ABX-EGF、Y10、MDX-447、h-R3、EMD 72000、ハーセプチン、MDX-H210、ペルツズマブ、IMC-1C11、およびMF1)が挙げられる。ホルモンおよび拮抗薬の例としては、アドレノコルチコステロイド(例えばプレドニソン)、プロゲスチン(例えばヒドロキシプロゲステロンカプロエート、酢酸メドロキシプロゲステロン、およびマゲストロールアセテート)、エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、およびアンドロゲン(例えばプロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)が挙げられる。種々の薬剤の例としては、白金配位錯体(例えば、シス-ジアミン-ジクロロ白金II、シスプラチンとしても公知)、置換尿素(例えばヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、ワクチン(例えばAPC8024)、AP22408、B43-ゲニステイン複合体、パクリタキセル、AG538、および副腎皮質抑制剤(例えばミトタンおよびアミノグルテチミド)が挙げられる。さらに、開示した化合物は遺伝子治療アプローチ、例えば、VEGF/VEGFRを標的とするもの(アンチセンスオリゴヌクレオチド療法、アデノウイルスに基づいたFlt-1遺伝子療法、レトロウイルスに基づいたFlk-1遺伝子療法、レトロウイルスに基づいたVHL遺伝子療法、およびアンジオザイムを含む)およびIGF-1R(INX-4437を含む)と組み合わせることができる。開示した三環系化合物薬剤と組み合わせて使用することができる、最も一般的に使用される化学療法薬の例としては、アドリアマイシン、アルケラン、Ara-C、BiCNU、ブスルファン、CCNU、カルボプラチナム、シスプラチナム、サイトキサン、ダウノルビシン、DTIC、5-FU、フルダラビン、ハイドレア、イダルビシン、イフォスファミド、メトトレキセート、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ナイトロジェンマスタード、タキソール、ベルバン、ビンクリスチン、VP-16、ゲムシタビン(ジェムザール)、ハーセプチン、イリノテカン(カンプトサール、CPT-11)、ロイスタチン、ナベルビン、リツキサンSTI-571、タキソテール、トポテカン(ハイカムチン)、キセローダ(カペシタビン)、ゼベリンおよびカルシトリオールが挙げられる。
【0057】
開示した化合物はまた、放射性同位体(例えば32P、90Y、125I、131Iおよび177Lu)、粒子ビーム(例えば、陽子ビーム、中性子ビームおよび電子ビーム)および電磁放射線(例えば、γ線、x線ならびに光増感剤および可視または紫外線を用いる光力学治療法)を用いる放射線療法と組み合わせることができる。
【0058】
さらに、開示した化合物を、薬学的に許容される賦形剤、および任意で持続放出マトリックス、例えば生物分解性ポリマーと組み合わせて、治療組成物を形成することができる。そのため、1または複数の任意の上記開示化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物も開示する。組成物は、組成物の単位用量形態を含んでもよく、さらに、被験者に組成物を投与し、血管新生を阻害するための指示、例えば、組成物を投与し抗腫瘍効果を達成する、または病的血管新生を阻害するための指示を含んでもよい。特定の態様では、薬学的組成物は下記のうちの1または複数および薬学的に許容される担体を含んでもよい:1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(1-フェネチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド、2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)ペンタンジオエート、2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン、3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン、1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニリデン)-3-オキソイソインドリン、6-チオキソ-2-ピペリジノン、2,6-ピペリジンジチオン、モノチオフタルイミド、ジチオフタルイミド、N-フェネチルフタルイミド、3-ベンジルイミノ-2-ベンジル-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オン、3-カンファンアミノ(camphanic amino)-2,6-ピペリジンジオンおよび3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオン。より特定の態様では、開示した組成物は、経口投与用に混合され、そのような経口剤形は、上記IUPAC名で特に開示した化合物を含む1または複数の任意の開示化合物を有することができる。そのような薬学的組成物はまた、被験者に治療上有効な量の組成物を投与することにより、被験者において血管新生またはTNF-α活性を調節するための方法に使用してもよい。
【0059】
下記実施例で証明されるように、カルボニル基をチオカルボニル基で置換するサリドマイド類似体のチオネーション(thionation)により、TNF-α活性、血管新生活性、または抗血管新生活性が増大したサリドマイド類似体が提供できる。このように、一定の構造では、化合物はカルボニル基を有するように示されているが、そのような化合物のチオネート誘導体もまた開示内容の一部であることを理解すべきである。
【0060】
4.実施例
実施例1-サリドマイドの改良合成
下記スキーム1を参照して、t-ブトキシカルバメート2は、THF中でカルボジイミドと反応すると、イミド3となった。イミド3を室温でトリフルオロ酢酸を含むCH2Cl2で脱保護すると、アミドグルタルイミドトリフルオロ酢酸塩4が得られた。さらに精製せずに、化合物4を無水フタル酸と、還流THF中、トリエチルアミンの存在下で反応させると、サリドマイド1が得られた。2からの総収率は24%であった。この手順は、サリドマイドの調製のためのいくつかの従来報告されている合成経路よりも、より実用的で効率がよい。

スキーム1
【0061】
2,6-ジオキソ-3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン(3)を下記のように、調製し、単離した。N-(t-ブトキシカルボニル)-L-グルタミン(4.92g)およびカルボニルジイミダゾール(1.70g)を含むTHF(100mL)溶液を9時間還流させた。溶媒を除去し、粗生成物を熱EtOAcから再結晶化させると、化合物3が白色結晶として得られた(2.04g、45%)。

【0062】
2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジントリフルオロ酢酸塩(4)を下記のように、調製し、単離した。化合物3(59mg)をCH2Cl2(5mL)中に懸濁させた。CF3COOH(0.5mL)を添加した。反応溶液を室温で4時間撹拌した。溶媒を除去すると4が得られた(62mg、99%)。

【0063】
サリドマイド(1)を下記のように、調製し、単離した。4、無水フタル酸およびEt3Nの混合物のTHF溶液を2日間還流させた。反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(溶離剤CH2Cl2/EtOAc=6:1)により精製すると、サリドマイドが白色結晶として得られた(104mg、54%)。
【0064】
実施例2-芳香族サリドマイド類似体の合成
下記スキーム2を参照して、酢酸ナトリウムの存在下、還流AcOH中、アミノピリジンを無水フタル酸と縮合させると、ジメチルエーテル5が得られた。室温で18時間、HBrを含む氷AcOH溶液(30%)と共に放置すると、5の選択的エーテル開裂が起き、化合物6が得られた。化合物6の構造を質量分析、1D NMRおよび2D NMRにより決定した。化合物6の分子イオンは270amuであり、たった1つのメチルエーテルのみが開裂したことが証明された。2D NOESYにより、メトキシ基上のプロトンがH-5と相関することが示された。これにより、2-メトキシが選択的に開裂されたこと、6-メトキシはそのまま残っていることが示された。反応温度を70℃まで上昇させると、どちらのメチルエーテルもHBr/HOAc溶液(30%)により開裂し、ジオール7が得られた。

スキーム2
【0065】
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-イソインドリン(5)を下記のように、調製し、単離した。無水フタル酸(0.89g、6mmol)、3-アミノ-2,6-ジメトキシピリジン一塩酸塩(95%、1g、5mmol)および酢酸ナトリウム(0.49g、6mmol)の混合物の氷酢酸(50ml)溶液を3時間還流させた。溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(200ml)に溶解し、水(100ml×3)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られた。粗生成物を酢酸エチルで再結晶化させると、5が淡いピンクの結晶として得られた(1.345g、90%)。

【0066】
1,3-ジオキソ-2-(2-ヒドロキシ-6-メトキシピリジン-3-イル)-イソインドリン臭化水素酸塩(6)を下記のように調製し、単離した。フラスコに、2,6-ジメトキシ-3-フタルイミドピリジン(155mg、0.546mmol)および臭化水素の酢酸溶液(30%、6ml)を添加した。混合物を室温でN2下、18時間撹拌した。乾燥エーテルを徐々に、溶液が混濁するまで添加した。白色結晶が沈澱し、これを濾過し、エーテルおよび酢酸エチルで洗浄すると6が白色粉末結晶として得られた(127mg、67%)。

【0067】
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジヒドロキシピリジン-3-イル)-イソインドリン臭化水素酸塩(7)を、下記のように調製し、単離した。フラスコに、2,6-ジメトキシ-3-フタルイミドピリジン(150mg、0.528mmol)および臭化水素の酢酸溶液(30%、6ml)を添加した。混合物を70℃の油浴でN2下、54時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、乾燥エーテルを添加し、上清液をデカントした。その後酢酸エチルを添加し、固体を沈澱させ、濾過し、酢酸エチルで洗浄すると7が白色固体として得られた(126mg、71%)。

【0068】
実施例3-N-置換サリドマイド類似体の合成
下記スキーム3を参照して、N-フタロイル-DL-グルタミン酸無水物およびフェネチルアミンの混合物を177℃の油浴中で加熱した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、N-フェネチルサリドマイド(8)およびN-フェネチルフタルイミド(9)が得られた。

スキーム3
【0069】
1,3-ジオキソ-2-(1-フェニチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン(8)を具体的に、下記のように調製し、単離した。N-フタロイル-DL-グルタミン酸無水物(300mg、1.13mmol)およびフェネチルアミン(139mg、1.13mmol)の混合物を、177℃の油浴で2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、カラムクロマトグラフィーにより、溶離剤として最初に石油エーテル/ジクロロメタン(1:5)を使用して精製すると、N-フェネチルフタルイミドが淡黄色固体として得られ[1H NMR(CDCl3)δ7.78-7.77(m、2H)、7.65-7.62(m2H)、7.22-7.16(m、5H)、3.83(t、2H)、2.92(t、2H)]、およびその後、溶離剤としてジクロロメタンを使用して精製すると、N-フェネチルサリドマイドがシロップとして得られた。その後、エーテルから再結晶化すると白色結晶が得られた。

【0070】
実施例4-アザサリドマイドの合成
下記スキーム4を参照して、アザサリドマイドをアミノグルタルイミドおよび市販のピリジン-3,4-ジカルボン酸無水物から調製した。Cbz-アミノグルタルイミドを、炭素担持水酸化パラジウム(palladium hydroxide on carbon)触媒(10%)を用いた水素化分解により脱保護し、アミノグルタルイミドを形成させた。ピリジン-3,4-ジカルボン酸無水物をアミノグルタルイミドと共に、トリエチルアミノ存在下で還流させると、アザサリドマイド11が得られた。Cbz-アミノグルタルイミドからの総収率は17%であった。

スキーム4
【0071】
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン(11)を具体的に、下記のように調製した。Cbz-アミノグルタルイミド(302mg)および炭素担持水酸化パラジウム(20%)の混合物の2-プロパノール(20ml)溶液をH2下、1日間撹拌した。反応混合物をセライトを通して濾過し、2-プロパノールおよびメタノールで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮すると、粗3-アミノ-1,6-ジオキソピペリジンがシロップとして得られた。3-アミノ-1,6-ジオキソピペリジンを含むフラスコに、3,4-ピリジンジカルボン酸無水物(205mg)、トリエチルアミン(0.16ml)およびTHF(10ml)を添加した。混合物を1日半還流させた。溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2:MeOH(10:1)を用いて精製すると、アザサリドマイド(52mg)が淡紫色固体として得られた。Cbz-アミノグルタルイミドからの収率は17%であった。

【0072】
実施例5-アセトキシサリドマイド類似体の合成

スキーム5
上記スキーム5を参照して、アセトキシサリドマイドを下記のように調製し、単離した。最初に、3-アセトキシフタル酸無水物を、3-ヒドロキシフタル酸無水物(150mg)、無水酢酸(2mL)およびNaOAc(150mg)の混合物を、8時間還流させることにより調製した。反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、乾燥エーテルで洗浄すると淡黄色固体が得られた(127mg、68%)。

【0073】
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アセトキシイソインドリンを下記のように調製し、単離した。3-アセトキシフタル酸無水物(40mg)、アミノグルタルイミドトリフルオロ酢酸塩(47mg)、およびNaOAc(32mg)の混合物の酢酸(2mL)溶液を、5時間還流させた。溶媒を蒸発させ、水(10mL)を添加し、得られた溶液を数分間撹拌させた。固体を濾過し、酢酸エチルから再結晶化させると、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アセトキシイソインドリンが淡黄色結晶として得られた(35mg、66%)。

【0074】
実施例6-ベンゾサリドマイドの合成
下記スキーム6を参照して、1,8-ナフタル酸無水物を、トリエチルアミンのTHF溶液の存在下、アミン4と共に加熱すると、12が得られた。ナフタレン-2,3-ジカルボン酸を無水物13に変換し、これをアミノグルタルイミドトリフルオロ酢酸塩4と反応させると、ベンゾサリドマイド14が得られた。質量スペクトルおよびNMRを含むスペクトルデータ、ならびに燃焼分析は、これらの生成物に割り当てた構造と一致した。

スキーム6
【0075】
具体的には、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,8-ナフタルイミド(12)を、下記のように調製し、単離した。アミン4(0.877mmol)、1,8-ナフタル酸無水物(174mg、0.879)およびトリエチルアミン(1.22ml)の混合物のTHF(10ml)溶液を、20時間還流させた。溶媒を除去し、残渣を無水酢酸中に懸濁させ、20分間還流させた。エタノール(5ml)を80℃で添加し、30分間撹拌した。冷却し、生成物を濾過により収集し、EtOAcで洗浄すると、化合物12が淡緑色固体として得られた(227mg、84%)。

【0076】
N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド(14)を、下記のように調製し、単離した。2,3-ナフタレンジカルボン酸(199mg、0.875mmol)および無水酢酸(2mL)の混合物を30分間還流させた。反応混合物を冷却し、固体を濾過により収集すると、無水物13が白色固体として得られた(0.133g、77%)。アミノグルタルイミドトリフルオロ酢酸(163mg)およびトリエチルアミン(1mL)のTHF(10mL)溶液に、無水物13(133mg)を添加した。混合物を16時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO3水溶液およびH2Oで洗浄し、乾燥、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、白色固体として化合物14が得られた(146mg、70%)。

【0077】
実施例7-サリドマイドの硫黄類似体の合成
下記スキーム7を参照して、サリドマイド1とLawesson試薬との反応物を、80℃のベンゼン中で48時間撹拌すると、サリドマイド15が収率38%で得られた。モノチオサリドマイドに加えて、微量のジチオンイミド16(1.6%)も得られた。しかしながら、ジチオンイミドの調製のために、モノチオサリドマイドをLawesson試薬との反応を80℃〜120℃で実施すると、収率が非常に低くなる(2%未満)ことが証明された。有機塩基を反応混合物に添加すると、状況は大きく変化した。このように、トルエン中でのLawesson試薬によるモノチオサリドマイド15のチオネーションを、ピリジンの存在下110℃で実施すると、ジチオンイミド16(45%)およびジチオンイミド17(31%)が得られた。これらの硫黄置換サリドマイドの構造を質量スペクトル、1DNMRおよび2DNMRにより同定した。サリドマイドをLawesson試薬と110℃で、モルホリンの存在下で加熱すると、ジチオンイミド16およびトリチオンイミド18が得られた。

スキーム7
【0078】
1,3-ジオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン(15)を、下記のように合成し、単離した。サリドマイド(170mg、0.658mmol)およびLawesson試薬(293mg、0.724mmol)のベンゼン(50ml)溶液を80℃の油浴中、2日間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2/石油エーテル(5:1)を用いて精製すると、化合物16が赤色固体として得られ(3mg、1.6%)、その後溶離剤としてCH2Cl2を用いて精製すると、化合物15が黄色固体として得られた(68mg、38%)。

【0079】
1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン(16)および1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン(17)を下記のように合成した。15(146mg、0.533mmol)、Lawesson試薬(108mg、0.267mmol)およびピリジン(21μl)の混合物のトルエン溶液を、110℃でN2雰囲気下、12時間撹拌した。その後、さらにLawesson試薬(108mg、0.267mmol)およびピリジン(21μl)を添加した。反応混合物をさらに12時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離剤CH2Cl2/石油エーテル=2:1、10:1、その後CH2Cl2/EtOAc=10:1)により精製すると、16(30mg、45%)および17(21mg、31.5%)が得られた。開始材料15(83mg)も回収された。
【0080】
化合物16(黄色固体)。

【0081】
化合物17(赤色固体)。

【0082】
1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン(18)を下記のように調製し、単離した。サリドマイド(100mg)、Lawesson試薬(157mg)およびモルホリン(35μl)の混合物のトルエン(10mL)溶液を、105℃でN2雰囲気下、24時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2/石油エーテル(1:1)を用いて精製すると、化合物18(13mg、11%)が赤色結晶として得られた。

その後、溶離剤としてCH2Cl2を使用すると、化合物16が黄色結晶として得られた(31mg、28%)。
【0083】
実施例8-ベンゾキサジン-2,4-ジオンの合成
下記スキーム8を参照して、サリチル酸をクロロギ酸エチルで処理し、その後、この反応混合物を減圧で蒸発させ、未反応クロロギ酸エチルを全て除去した。得られた残渣をアミンと共にトリエチルアミンの存在下で撹拌すると、置換ベンゾキサジン-2,4-ジオンが得られた。

スキーム8
【0084】
3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン(20)を下記のように調製し、単離した。サリチル酸(100mg)およびトリエチルアミン(303ml)の冷氷/塩クロロホルム(10mL)溶液に、クロロギ酸エチル(157ml)を添加した。反応混合物を室温まで温め、その後、撹拌を3時間続けた。溶媒を真空下で除去すると、粗19が得られた。さらに精製せずに、粗化合物19をCHCl3に溶解し、氷で冷却した。氷冷溶液にアミン(95mg)を添加した。反応混合物を外界温度まで温め、室温で一晩中撹拌した。白色固体が沈澱し、濾過により収集し、クロロホルムにより洗浄すると、化合物20が白色結晶として得られた(79mg、74%)。

【0085】
実施例9-1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニリデン)-3-オキソイソインドリンの合成
下記スキーム9を参照して、モノチオフタルイミド(21)を3-ブロモグルタルイミド(22)と共に、Eschenmoserカップリング反応においてNa2CO3の存在下撹拌した。このように、化合物23を、モノチオフタルイミドの3-ブロモグルタルイミドとのアルキル化、その後の硫黄の除去により形成させた。

スキーム9
【0086】
1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニリデン)-3-オキソイソインドリン(23)を具体的に、下記のように調製し、単離した。21(16mg、0.1mmol)、22(19mg、0.1mmol)、および炭酸カリウム(100mg)の混合物の無水THF溶液を7時間還流させた。薄層クロマトグラフィー(TLC)により、開始材料が消失したことが示された。酢酸エチル(20ml)および水(10ml)を添加した。有機層を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより石油エーテル/酢酸エチル(最初2:1、その後1:2)を用いて精製すると、23が黄色結晶として得られた(14mg、58%)。

【0087】
実施例10-サリチルアミド類似体
市販のアセチルサリチロイルのアミノグルタルイミドトリフルオロ酢酸塩との反応を実施すると、下記スキーム10に従い、アセチルサリチルアミド24が得られた。

スキーム10
【0088】
より具体的には、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド(24)を下記のように調製した。アセチルサリチロイルクロリド(252mg)およびトリエチルアミン(0.58mL)の氷冷クロロホルム(30mL)溶液に3-アミノグルタリドトリフルオロ酢酸塩(207mg)を添加した。反応温度を室温まで温め、一晩撹拌した。溶媒を除去し、酢酸エチルから再結晶化すると、化合物24が白色結晶として得られた(0.36g、98%)。

【0089】
実施例11-チオサリドマイドの合成およびそれらのTNF-α阻害活性の決定
一連のチオサリドマイドおよび類似体を、TNF-α阻害作用について調査するように設計した。モノチオサリドマイド205(実施例7の化合物15と同じ)をスキーム11で示したように調製した。tert-ブトキシカルボニル-L-グルタミン202を、カルボニルジイミダゾール(CDI)のTHF溶液と共に還流させ、環化するとイミド203が得られた(Muller et al.、“Amino-substituted thalidomide analogs: potent inhibitors of TNF-α production”Bioorg. Med. Chem、Lett. 9、1625-1630、1999)。
【0090】
その後、イミド203をトリフルオロ酢酸のCH2Cl2溶液で処理し、保護基を除去すると、アミノグルタルイミドトリフルオロ酢酸塩204が生成した。さらに精製せずに、化合物204を還流THF中、トリエチルアミンの存在下、無水フタル酸と反応させると、サリドマイド201(実施例7の化合物1と同じ)が生成した。化合物202からの総収率は31%であった。サリドマイド201をLawesson試薬でチオネートすると(LR、Cava et al.、“Thionation reaction of Lawesson’s Reagents”Tetrahedron、41、5061-5087、1985、この全体は参照により本明細書に組み入れられる)、質量分析および1D&2D核磁気共鳴分光法により6’-チオサリドマイド205として同定された構造を有する単一の新規生成物が生成した。チオカルボニル基の位置は、H-5’/C-6’の異核多重結合相関(HMBC)クロスピークから確立した。

スキーム11:試薬:(a)CDI/THF; (b)CF3COOH/CH2Cl2;(c)無水フタル酸、Et3N/THF; (d)Lawesson試薬/トルエン
【0091】
3-チオサリドマイド212の合成を下記スキーム12に示す。N-フタロイル-L-グルタミン酸206をエステル化するとジエステル207が得られた。化合物207を110℃、LRでチオネートすると、化合物208が主生成物として得られた。同時に、化合物209をクロマトグラフィーにより微量生成物として分離した。
【0092】
3-チオサリドマイド212は、化合物208のアンモニアまたはアミンとの環化により調製することはできなかった。アンモニアがチオアミドと反応するからである。化合物208のベンジルアミンとの反応により、意外な化合物210が生成した。別のアプローチでは、化合物208を酸性条件下で加水分解すると二酸211が得られた。その後、化合物211をトリフルオロアセトアミドと反応させると、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)および1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、Flaith et al.、“An expeditious synthesis of cyclic imides”Tetrahedron Lett. 40、3697-3698、1999)の存在下、3-チオサリドマイド212が生成した。

スキーム12:試薬:(a)Lawesson試薬/トルエン; (b)ベンジルアミン; (c)HCl/HOAc; (d) F3CCONH2、HOBt、EDCI、Et3N/CH2Cl2
【0093】
ジチオサリドマイドの合成では、1つの方法は、トルエン中での還流下でのモノチオサリドマイドのLRとの反応を含んだ。そのような条件下では、2’,6’-ジチオサリドマイドが、2%未満の収率で得られた(スキーム13a)。収率がそのように低いので改善が望ましく、反応条件を変更して取り組んだ。LRとカルボニル部分との間の反応の基礎となる機構は、LR自体ではなく、反応性の高いジチオホスフィンイリド214が、活性チオネート剤である可能性があると考えられる(スキーム4、Cava et al.、“Thionation reaction of Lawesson’s Reagents”Tetrahedron、41、5061-5087、1985、この全内容は参照により本明細書に組み入れられる)。ルイス塩基は、LRの反応性を増大させることができる場合がある。塩基は好ましくない平衡を導き、イリド214の濃度を増加させる可能性があるからである。ピリジンのチオネーションのための触媒として使用すると、モノチオサリドマイド205はLRによりチオネートされ、2つのジチオサリドマイド213(実施例7の化合物16と同じ)および215(実施例7の化合物17と同じ)が、それぞれ、45%および31%の収率で得られた(スキーム13 b、c)。ジチオサリドマイド213はさらにLRにより、より強い塩基、モルホリンの存在下チオネートされ、トリチオサリドマイド216(実施例7の化合物18と同じ)が収率65%で得られた。

スキーム13:試薬:(a)Lawesson試薬/トルエン;(b)Lawesson試薬、ピリジン/トルエン;(c)Lawesson試薬、モルホリン/トルエン

スキーム14:Lawesson試薬のための触媒機構
【0094】
グルタルイミド217を室温で、THF中、LRによりチオネートすると、化合物218が主生成物として得られた。グルタルイミド217をトルエン中、LRと共に還流させると、ジチオグルタルイミド219が生成した(スキーム15)。カリウムフタルイミドを3-ブロモシクロヘキセンと、Gabriel反応で反応させると化合物221が得られた。その後、化合物221をLRによりチオネートすると、化合物222および223が得られた(スキーム16)。化合物224および225を、化合物222および223の調製に使用した手順と同様の手順で調製した。

スキーム15:試薬:(a)Lawesson試薬/THF、室温;(b)Lawesson試薬、還流/トルエン

スキーム16:試薬:(a)3-ブロモシクロヘキセン/DMF;(b)Lawesson試薬/トルエン
【0095】
この実施例のチオサリドマイド化合物の構造を下記にまとめて示す。

【0096】
TNF-α分泌を阻害する際のこれらのチオサリドマイド類似体の作用を、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)において評価し、結果を表1に示す。新たに調製したPBMCを全ての試験で使用した。血液40mlをボランティアから採血し、直ちに50U/mlのNaヘパリンと混合し、滅菌PBSで希釈し、総体積50mlとした。この調製物の試料20mlを20ml Ficoll-Paque上に重層し、遠心分離した(800g、20分)。PBMCを含むFicoll/血清界面を回収し、PBSで希釈して200mlとし、その後遠心分離すると(800g、15分)、細胞がペレットとなった。その後、回収したペレットを37℃の組織培養液(RPMI/1mMピルビン酸ナトリウム/10%加熱不活性化FBS/2mM Glutamax)に再懸濁させ、氷上に置いた。回収した細胞を計数し、ピペットで(200μlの5×105ml)96ウェルプレートに入れ、1時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。その後、適当な濃度の試験化合物または溶媒(10μl DMSO)を二つ組のウェルに添加した。さらに1時間インキュベートした後、リポ多糖(LPS)(捕捉培地中100ng/ml)または溶媒の10μlの試料を添加し、それぞれ刺激および非刺激細胞を誘導し、細胞を一晩インキュベートした。16時間後、上清を収集し、ELISAアッセイ法(Pierce-EndogenヒトTNF-αミニキット、Rockford、IL)ならびに特異的な捕獲および検出モノクローナル抗体、それぞれ、M303EおよびM302B(Pierce-Endogen)の使用によりTNF-αレベルを定量した。ELISAプレートをλ=450nmで読み取り、試験試料と同時に実行した6点較正曲線からTNF-αレベルを決定した。試験薬物濃度のPBMCの細胞生存率に対する効果を、上記TNF-αレベルに対してアッセイした上清試料を提供した細胞のMTSアッセイ法(Promega、Madison、WI)により評価した。この方法を使用して、容易に化合物のTNF-α調節活性を決定するための、および被験者を治療する開示方法において使用するために化合物を選択するためのスクリーニングアッセイ法として、任意の開示した化合物を試験することができることを理解すべきである。
【0097】
(表1)PBMCにおけるLPS-誘導TNF-α産生の阻害および細胞生存率

【0098】
サリドマイド201は、30μMでは完全に活性を欠いていた。有意の活性(IC50〜200μM)には100μMの濃度が必要であった。モノチオサリドマイド、6’-チオサリドマイド205および3-チオサリドマイド212は、30μMではわずかな活性しか示さず、それぞれ、TNF-α分泌の31%および23%阻害であった。対照的に、2’,6’-ジチオサリドマイド213および3,6’-ジチオサリドマイド215を含むジチオサリドマイドはより強力な阻害活性を示し、それぞれ、IC50値が20μMおよび11μMであった。しかしながら、MTSによる細胞生存率の評価により、213がより高い濃度では細胞毒性の増大を誘発することが示された。トリチオサリドマイド216はTNF-α産生を阻害し、IC50は6μMであり、毒性を伴わなかった。TNF-α合成の阻害に対しIC50が〜200μMのサリドマイド201と比較して、トリチオサリドマイド216は30倍を超える活性を示す。このように、カルボニルをチオカルボニル基で連続して置換すると、201に比べ阻害活性が改善され、毒性とは関連しなかった。この点に関し、合成したチオサリドマイドは、下記のように高いものから順に、TNF-α低下効力を有した:トリチオサリドマイド216>ジチオサリドマイド215および213>モノチオサリドマイド205および212>サリドマイド201。
【0099】
サリドマイド201とチオサリドマイドの物理特性を比較すると、同様のファン・デル・ワールス半径および結合角を有するが、C=S結合がC=O結合よりわずかに長いことが示される。いずれの特定の理論にも縛られることは望まないが、チオサリドマイドの効力の増加を説明する可能な解釈は、増強した親油性および水素結合受容体能力の喪失により、潜在的により高い細胞内薬物レベルの獲得が可能となるとするものである。興味深いことに、化合物208、209および211はサリドマイドの加水分解代謝産物のチオ類似体である。TNF-α阻害作用の評価から、モノチオ類似体208が、20μMのIC50を有し、毒性を有しないこと、脱メチル(211)により効力が低下することが決定された。ジチオ類似体209は、208よりもさらに2倍強力であることが証明されたが、より低い濃度で細胞毒性を誘発した。面白いことに、チオ類似体222および223は、簡略化したグルタルイミド環を有し、30μMでいくらかの毒性を有するにも関わらず、IC50値(それぞれ、15μMおよび16μM)は標準のグルタルイミド環を有する212(>30μM)よりも大きく、活性TNF-α阻害剤であることがわかった。
【0100】
この点に関して、サリドマイドは、グルタルイミドおよびフタルイミド環の2つの部分から構成される。チオグルタルイミドおよびチオフタルイミドはこのように合成され、TNF-αレベルに対するこれら2つの部分のチオ類似体の効果を算定するために評価された。モノチオグルタルイミド218の濃度30μMでのTNF-α分泌阻害は最小であったが、ジチオグルタルイミド219は強力な阻害効果を示し、IC50は8μMであり、毒性がなかった。驚くベきことに、簡単な構造のジチオグルタルイミド219は、サリドマイド201の25倍も活性であることが証明された。対照的に、2’,6’-ジチオサリドマイド213、フタルイミド置換ジチオグルタルイミドは、ジチオグルタルイミド219よりも活性が低く、高濃度で毒性を誘発する。モノチオフタルイミド225は、濃度30μMではわずかなTNF-α活性を示し、毒性はなかった。しかしながら、興味深いことに、ジチオフタルイミド224は強力な活性を有し、IC50は3μMであることがわかった。30μMでの毒性と関連したが、TNF-αの阻害は、よく許容される濃度より低い桁で生じた。
【0101】
記述したように、化合物215、216および219は強力にTNF-α分泌を阻害し、毒性がなかった。結果として、この作用の根拠となる機構を解明するために追加の研究を実施した。遺伝子および蛋白質発現は異なる生理学的刺激の下で、転写、転写後、RNA安定性、および翻訳のレベルで制御される。最近、転写後経路が、真核細胞の遺伝子発現を調節する主な手段を提供することが認識されている。この点に関して、TNF-αならびに他のサイトカインおよびプロトオンコジーンが転写後レベルで調節されることが知られている。4つのクローン化タンパク質AUF1、HuR、TTPおよびHuDを含む複数の蛋白質が、3’-非翻訳領域(UTR)内にアデニル酸/ウリジル酸(AU)リッチエレメント(ARE)を含むmRNAの領域に結合することがわかっている。これらの蛋白質はRNAターンオーバーおよび崩壊を調節し、これにより翻訳効率を調節する。TNF-α mRNAの安定性は、よく特徴づけられたAREを含む3’-UTRで主に制御される。AREは多くの異なるサイトカインおよびプロトオンコジーンRNA中で見いだされているが、分解を誘導する経路は、幾つかの細胞特異性を示す一定のAREに対し高い特異性を示す。異なるサイトカイン由来のAREがAUF1と複合体を形成すると、異なる結合親和性が観察される。しかしながら、とりわけ、AUF1に関する最も高い親和性はヒトTNF-α、次にマウスTNF-αに対してである。
【0102】
サリドマイド類似体の作用における3’-UTRの関与を決定するために、TNF-α3’-UTR 対 対照ベクターを含む細胞におけるレポーター遺伝子活性を阻害する能力を評価した。結果を図1に示す。この細胞に基づくアッセイ法では、マウスマクロファージ系RAW264.7に由来する2つの安定的にトランスフェクトした細胞系を使用した。1つの系は「ルシフェラーゼのみ」とし、これは、UTR配列を全く有さないルシフェラーゼレポーター構築物を発現した。他の系は「ルシフェラーゼ+TNF-α UTR」とし、ルシフェラーゼコード領域のすぐ下流に挿入されたヒトTNF-αの全3’-UTRを有するルシフェラーゼレポーター構築物を発現した。化合物を濃度依存的な様式で添加し、インキュベーション期間(16時間、37℃、5% CO2)の終わりに、培地を除去し、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性をSteady-gloルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)により、供給者の指示に従いアッセイした。バックグラウンドを減算し、このアッセイ法から得られたデータを+3’-UTRの-3’-UTR(対照)値に対する割合として表し、図1に示すようにパーセントとして表した。このように、3’-UTR有りおよび無しの2つの細胞系に異なる効果を示す化合物が、明らかになる。3’-UTRを有さない細胞と比較した、ルシフェラーゼレポーターエレメント+ヒトTNF-αの3’-UTRを有する細胞(マウスマクロファージ細胞系、RAW264.7)における化合物215、216および219の作用を図1に示す。化合物215、216および219は用量依存的な様式で2つの細胞系に異なる効果を示し、これは3’-UTR経由のTNF-α産生阻害能力と一致する。安定的に3’-UTRを発現する細胞において、全ての薬剤がルシフェラーゼレポーター活性を低下させた。サリドマイドは50μMでは活性が無かった。
【0103】
TNF-α蛋白質レベルは、mRNAレベルに有意の変化がなくても変化したので(データ示さず)、蛋白質発現はおそらく、翻訳制御(転写後レベルで)により調節される。現在の薬剤標的である多くの重要な蛋白質の3’-または5’-UTR領域のいずれかを介する翻訳(蛋白質)制御では優先順位がある。例えば、AD発症の中核であるβ-アミロイド前駆体蛋白質(APP)のレベルは、いずれかのUTRにより調節することができる。APP mRNAのターンオーバーおよび翻訳は、終止コドンから200ヌクレオチド下流に位置する3’-UTR内の29-ヌクレオチド不安定性エレメントにより調節される。この3’-UTRエレメントはmRNA不安定化剤として作用し、この機能は成長因子の存在により阻害することができる。対照的に、TNF-αを含む異なるサイトカインおよび鉄は、その5’-UTRのレベルでAPP蛋白質合成を上方制御することができる。興味深いことに、現在ADの臨床試験中のアンチコリンエステラーゼ、フェンセリンはAPP蛋白質レベルを低下させ、同時に、同じ5’-UTRエレメント内の翻訳修飾によりmRNA定常状態レベルを維持する。別の例は、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)トランス活性化トランスダクション(tat)蛋白質のものであり、これはトランス活性化応答領域(TAR)RNAに結合する。Tatは、全てのHIV-1トランスクリプトの5’端に見られる59残基のステムループRNAであるTARエレメントに結合した後、転写機構と接触させられる。最後にサリドマイド(201)は、Cox-2mRNA安定性を調節することができるAREを同様に含むと考えられる3’-UTRを介して、シクロオキシゲナーゼ-2(Cox-2)生合成を低下させることが報告されている。類似体215、216および219の研究から、3’-UTRを介するサリドマイド(201)によるTNF-α蛋白質レベルの調節が確認されるが、Cox-2に対する作用のように、5’-UTRが薬理学的処置にアクセス可能な同様のエレメントを含んでいるかいないかが依然として決定されていない。
【0104】
要約すると、開示したチオサリドマイド類似体は、LPS-誘導ヒトPBMCにおいて、サリドマイド201よりも強力なTNF-α産生阻害剤である類似体を含む。連続するカルボニル基のチオカルボニルによる等配電子置換(isosteric replacement)により、置換部分の数と共に阻害が増大する(トリチオサリドマイド216>ジチオサリドマイド215および213>モノチオサリドマイド205および212>サリドマイド201)。
【0105】
TNF-αは市販の2つの薬剤の薬剤標的として認可されている:Remicade(Cetocor、Malvern、PA;Scherring-Plough、Orange、NJ)およびEnbrel(Amgen、Thousand Oaks、CA;Wyeth-Ayerst、Princeton、NJ)。しかしながら、これらの薬剤のどちらも大きな巨大分子であり、そのため、注入が必要である。対照的に、本明細書で開示した小分子薬剤は、注入せずに、例えば、経口投与により、強力にかつ安全にTNF-αを阻害する手段を提供する。
【0106】
合成および特徴付けの詳細
一般
フィッシャージョン(Fisher-Johns)装置により融点を決定したが、較正しない。Bruker AC-300分光計で1H NMR、13C NMRおよび2D NMRを記録した。質量スペクトルおよび高分解能質量スペクトル(HRMS)をVG7070質量分光計およびAgilent Technologies 5973N GC-MS(CI)で記録した。正確な質量測定値はすべて、5ppm未満の誤差を示す。Atlantic Microlab、Inc.、Norcross、GAにより元素分析を実施した。
【0107】
3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,6-ピペリジンジオン(203)
N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-グルタミン(4.92g、20mmol)およびカルボニルジイミダゾール(3.24g、20mmol)の混合物のTHF(100mL)溶液を16時間還流させた。その後、溶媒を除去し、粗生成物を熱EtOAcから再結晶化すると、化合物203が白色結晶として得られた(2.04g、45%)。

【0108】
2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(205)
化合物203(1.14g、5mmol)をCH2Cl2(100mL)に懸濁させた。混合物に、CF3COOH(10mL)を添加し、その後室温で4時間撹拌した。溶媒を蒸発させると粗生成物204が得られた(1.25g)。

粗204(1.25g)および無水フタル酸(0.89g、6mmol)およびEt3N(1.39ml、10mmol)の混合物のTHF(150mL)溶液を2日間還流させた。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルから結晶化するとサリドマイド(201)が白色結晶として得られた(0.89g、69%);mp276℃(文献値276℃〜279℃)。サリドマイド201(258mg、1mmol)およびLawesson試薬(222mg、0.55mmol)の混合物のトルエン(50ml)溶液を12時間撹拌し、還流させた。その後、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2を使用して精製すると化合物205が黄色固体として得られた(200mg、73%)。

【0109】
ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート(207)
N-フタロイル-L-グルタミン酸(200mg、0.72mmol)のメタノール(10mL)溶液に、塩化チオニル(1mL)を滴下した。反応混合物を6時間還流させた。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル(100mL)に溶解し、その後、飽和Na2CO3水溶液(2×30mL)および水(2×30mL)で洗浄した。酢酸エチル層をNa2SO4上で乾燥させ、その後蒸発させると、油が残った。これをシリカゲルクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2:EtOAc(1:1)を使用して精製すると、化合物7が油として得られた(161mg、73%)。

【0110】
ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート(208)およびジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート(209)
化合物207(144mg、0.47mmol)およびLR(191mg、0.47mmol)の混合物のトルエン溶液を110℃の油浴中、10時間撹拌した。その後溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により溶離剤としてCH2Cl2を使用して精製すると、化合物209が暗赤色油として得られた(17mg、11%)。その後、溶離剤としてCH2Cl2:EtOAc(10:1)を使用すると、より極性の成分208が赤色油として得られた(105mg、70%)。
【0111】
化合物208。

【0112】
化合物209。

【0113】
2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸(211)
化合物208(350mg、1.09mmol)を氷酢酸および濃HClの1:1混合物と、100℃油浴中、2.5時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)および氷水(30mL)を添加した。酢酸エチル層を分離し、氷水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。得られたシロップをエーテルを用いて結晶化させると、化合物211が赤色結晶として得られた(253mg、79%)。

【0114】
2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン(212)
化合物208(81mg、0.276mmol)、トリフルオロアセトアミド(57mg、0.50mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(145mg、1.07mmol)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(200mg、1.04mmol)およびトリエチルアミン(0.21mL、1.51mmol)の混合物のCH2Cl2(1.5mL)溶液を、外界温度中で3日間撹拌した。水(10mL)およびCH2Cl2(10mL)を添加した。ジクロロメタン層を分離し、水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィーにより溶離剤としてEtOAc:CH2Cl2(1:10)を用いて精製すると、化合物212が赤色固体として得られた(48mg、63%)。

【0115】
2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(213)および2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン(215)
205(146mg、0.533mmol)、LR(108mg、0.267mmol)およびピリジン(21μl)の混合物のトルエン溶液を110℃で、N2雰囲気下12時間撹拌した。その後、追加のLR(108mg、0.267mmol)およびピリジン(21μl)を添加し、反応混合物をさらに12時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2:石油エーテル(2:1、10:1)、その後CH2Cl2:EtOAc(10:1)を用いて精製すると、213(30mg、45%)、215(21mg、31.5%)および開始材料205(83mg)が得られた。
【0116】
化合物213(黄色固体)。

【0117】
化合物215(赤色固体)。

【0118】
2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン(216)
化合物213(29mg、0.1mmol)、LR(22mg、0.054mmol)およびモルホリン(9μl、0.1mmol)の混合物のトルエン(10mL)溶液をN2の雰囲気下16時間撹拌し、還流させた。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2:石油エーテル(1:1)を用いて精製すると、化合物216が赤色固体として得られた (20mg、65%)。

【0119】
6-チオキソ-2-ピペリジノン(218)
グルタルイミド(0.45g、4mmol)およびLR(0.809g、2mmol)の混合物のTHF(30mL)溶液を室温で2日間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤として石油エーテル:EtOAc(1:1)を用いて精製すると、化合物218が黄色固体として得られた(0.361g、70%)。

【0120】
2,6-ピペリジンジチオン(219)
グルタルイミド(0.34g、3mmol)およびLR(1.22g、3mmol)の混合物のトルエン(30mL)溶液を3時間撹拌し、還流させた。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤として石油エーテル:EtOAc(20:1)を用いて精製すると、化合物219が黄色固体として得られた(0.286g、66%)。

【0121】
2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(221)
カリウムフタルイミド(1.85g、3mmol)および3-ブロモシクロヘキセン(1.79g、3mmol)の混合物のDMF(15mL)溶液を100℃の油浴中、12時間撹拌した。冷却した反応混合物を氷水中に注ぎ入れた。固体を濾過により収集し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離剤としてCH2Cl2を使用して精製すると、化合物221がピンク色結晶として得られた(1.6g、72%)。

【0122】
2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン(222)および2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン(223)
化合物221(68mg、0.3mmol)およびLR(121mg、0.3mmol)の混合物のトルエン溶液を、N2下10時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤として石油エーテルを用いて精製すると、化合物222が暗緑色固体として得られた(37mg、48%)。その後、溶離剤としてCH2Cl2:石油エーテル(1:1)を用いると、より極性な成分223が赤色固体として得られた(23mg、32%)。
【0123】
化合物222。

【0124】
化合物223。

【0125】
ジチオフタルイミド(225)
フタルイミド(436mg、3.40mmol)およびLawesson試薬(1.199g、3.40mmol)の混合物のトルエン(50ml)溶液を窒素下、5時間還流させた(油浴、120℃)。溶媒を真空下で除去し、残渣を直接クロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル:メチレンジクロリド/2:3)にかけると、ジチオフタルイミドが黒赤色針状結晶として得られた(240mg、39.4%)。

【0126】
実施例12-3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンの合成およびTNF-α阻害活性
3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンを下記スキーム17で示すように調製した。

スキーム17
【0127】
4-(t-ブトキシカルボニルアミド)サリチル酸(226)を下記のように調製した。4-アミノサリチル酸(306mg、2mmol)およびジ-t-ブチルジカルボネート(655mg、3mmol)の混合物のH2O溶液に、0℃のNaOH(H2O中2N)を添加した。この反応混合物を室温まで温め、その後5時間撹拌した。混合物が中和されるまで、2N HClを滴下した。その後、反応混合物をEtOAcで抽出し、乾燥、蒸発させると、生成物が暗灰色固体として得られた(336mg、66%)。

【0128】
炭酸水素エチルを有する2-[(エトキシカルボニル)オキシ]-4-(t-ブトキシカルボニルアミド)-安息香酸無水物(227)を下記のように調製した。4-t-ブトキシカルボニルアミドサリチル酸(226)(101mg、0.399mmol)のTHF(10ml)溶液をアセトン中のドライアイスを用いて冷却した。Et3N(0.166ml)を添加し、その後クロロギ酸エチル(108mg、1.135mmol)を30分にわたり滴下した。反応混合物を同じ温度で5時間撹拌し、その後、室温まで温めた。その後、反応混合物を一晩連続して撹拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣を水とエチルエーテルとの間で分配させた。エーテル溶液をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させると生成物が黄色ガムとして得られた(111mg、70%)。

【0129】
3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオン(228)を下記のように調製した。227(32.8mg、0.0826mmol)、アミノグルタルイミド(20mg、0.0826mmol)およびEt3N(25.0mg、0.248mmolを2mlのTHFに溶解)の混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させると残渣が得られ、これをEtOAcおよび飽和NaHCO3水溶液の混合物と共に撹拌した。沈澱した白色固体を生成物として濾過により収集した。

【0130】
実施例11で上述したTNF-αアッセイ法における化合物228の評価から、TNF-αに対して強力な阻害作用を有することが示された。EC50は0.4μMであった。
【0131】
実施例13-血管新生調節活性
血管新生は、既存の血管からの新規血管の形成である。血管新生は固形腫瘍形成および転移で顕著であり、創傷治癒過程の一部である。病的血管新生が時として、疾患および傷害に応じて、不適当な解剖学的位置、例えば網膜または角膜で起きる。血管新生を阻止すると、不適切な血管新生状態の進行が避けられる。
【0132】
腫瘍形成では、例えば成長を続けるために、栄養および酸素の供給を維持するための血管ネットワークが必要である。血管新生が重要な腫瘍として、ほとんどの固形腫瘍および良性腫瘍、例えば聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫が挙げられる。血管新生の阻害により、これらの腫瘍の成長および腫瘍の存在による損傷を止めることができる。
【0133】
腫瘍微細血管密度と転移発生率との間には直接の相関がある。腫瘍細胞自体が、内皮細胞の増殖および新規毛細血管の成長を刺激する因子を産生することができる。血管新生は、2段階の腫瘍転移において重要である。血管新生刺激が重要である第1の段階は、原発性腫瘍の血管形成におけるものであり、これにより、腫瘍細胞は血流に入ることができ、身体全体を循環することができる。腫瘍細胞が原発部位を離れ、二次性の転移部位に定着した後、転移が成長し拡大できる前に、血管新生が起きなくてはならない。そのため、血管新生を阻害すると腫瘍転移の減少または排除に至り、おそらく、原発部位での新生物成長も含まれる。これらの観察結果から、様々な癌に対する治療選択としての可能性のある抗血管新生薬の研究に至った。
【0134】
代表的な化合物の血管新生調節活性を、ラットの大動脈輪微細血管成長アッセイ法において評価した。簡単に言うと、12ウエル組織培養プレートを250μlのマトリゲル(Becton-Dickinson、Bedford、MA)でコートして、30分間、37℃、5%CO2でゲル化させた。胸部大動脈を8〜10週齢の雄Sprague Dawleyラットから切除した。線維脂肪組織を注意深く除去した後、動脈を1mmの長さの断面に切断し、マトリゲルコートウエル上に置き、追加の250μlのマトリゲルで被覆した。第2 マトリゲル層が定着した後、輪をEGM-IIで被覆し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。EGM-IIは内皮細胞基本培地(EBM-II;Clonetics、San Diego、CA)+EGM-II Bulletkit(Clonetics)として提供されている内皮細胞成長因子から構成される。培地をその後、2%ウシ胎児血清、0.25μg/mlアンホテリシンB、および10μg/mlゲンタマイシンが補充されたEBM-IIに交換した。大動脈環輪を毎日、ビヒクル(0.5%DMSO)、カルボキシアミドトリアゾール(CAI、12μg/ml)、サリドマイドまたはサリドマイド類似体(0.1〜20μg/ml)で4日間処理し、第5日に×2.5対物レンズを使用して写真撮影した。公知の抗血管新生薬であるCAIを、陽性対照として臨床的に達成可能な濃度より高い濃度で使用した。4匹の異なるラット由来の大動脈を用いて、実験を4回繰り返した。血管新生が生じた面積を平方ピクセルで報告し、Adobe PhotoShopを用いて定量化した。方法の詳細は、Luzzio et al、J Med Chem.:46:3793-9、2003で示されており、これについては参照により本明細書に組み込まれる。この方法は例えば、被験者を治療する開示した方法において使用するための、所望の血管新生または抗血管新生効果を有する化合物を迅速に選択するアッセイ法として使用することができることを理解すべきである。
【0135】
いくつかの血管新生アッセイ法の結果を示す棒グラフを図2〜11に示す。便宜上、アッセイした化合物の構造もこれらの図に示す。
【0136】
図2は、いくつかの濃度の1,3-ジオキソ-2-(2-ヒドロキシ-6-メトキシピリジン-3-イル)-イソインドリン臭化水素酸塩の血管新生調節活性を示す。この化合物は、ラット大動脈輪アッセイ法において、試験した全ての濃度で抗血管新生活性を示した。
【0137】
図3は、いくつかの濃度の2-(3-シクロヘキセニル)-H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオンの血管新生調節活性を示す。この化合物は、高濃度で抗血管新生活性を、低濃度で血管新生活性を示した。
【0138】
図4は、いくつかの濃度の1-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの血管新生調節活性を示す。この化合物は、試験した全ての濃度で抗血管新生活性を示した。
【0139】
図5は、いくつかの濃度の3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオンの血管新生調節活性を示す。この化合物は、試験した全ての濃度で強力な血管新生活性を示し、血管新生の増大が望ましい状態を治療するため、例えば創傷治癒の補助として、期待される。
【0140】
図6は、いくつかの濃度のジチオフタルイミドの血管新生調節活性を示す。この化合物は、試験した全ての濃度で血管新生活性を示した。
【0141】
図7は、いくつかの濃度の2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸の血管新生調節活性を示す。この化合物は、試験した全ての濃度で血管新生活性を示した。
【0142】
図8は、いくつかの濃度の2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの血管新生調節活性を示す。この化合物は、高濃度で抗血管新生活性を、低濃度でいくらかの血管新生活性を示した。
【0143】
図9は、いくつかの濃度の2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンの血管新生調節活性を示す。この化合物は、高濃度で強力な抗血管新生活性を、低濃度で血管新生活性を示した。
【0144】
図10は、いくつかの濃度の2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミドの血管新生調節活性を示す。試験した全ての濃度で、この化合物は強力な血管新生活性を示した。
【0145】
図11は、いくつかの濃度の1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-イソインドリンの血管新生調節活性を示す。この化合物は、試験した全ての濃度で、血管新生活性を示した。
【0146】
要約すると、開示した化合物は、強力な血管新生阻害(抗血管新生活性)〜強力な血管新生刺激(血管新生活性)までの一定範囲の血管新生調節活性を示す。化合物の中には、用量依存的な様式で血管新生活性および抗血管新生活性の両方を示すものもある。血管新生活性を有するそれらの化合物(またはそれらの特定の濃度)は、血管新生の増大が望ましい状態または疾患を治療(例えば、創傷治癒)するために有益であり、抗血管新生活性を有するそれらの化合物(またはそれらの特定の濃度)は、血管新生の減少が望ましい状態または疾患(例えば、癌、糖尿病性網膜症または角膜血管新生)を治療するために有益である。当業者であれば、上記アッセイ法(または他の公知の血管新生/抗血管新生活性アッセイ法)を使用して、一定の被験者の状態に応じた、血管新生を刺激または阻害するために治療上有効な開示化合物の量を容易に決定することができる。
【0147】
実施例14-3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオンの合成
(+)-カンファンクロリド(19mg、0.0868mmol)、アミノグルタルイミド(21mg、0.0868mmol)およびEt3N(24μl)の混合物のCHCl3(1ml)溶液を室温で16時間撹拌した。溶液をCHCl3で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:EtOAc=10:1)により精製すると、生成物が無色ゲルとして得られた(16mg、収率60.0%)。

この化合物は実施例13のアッセイ法において血管新生活性を示した。
【0148】
実施例15-3-ベンジルイミノ-2-ベンジル-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オンの合成
ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート(実施例11の化合物208、100mg、0.311mmol)およびベンジルアミンの溶液を50℃油浴中、5時間撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配させた。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2)により精製すると生成物が白色結晶として得られた(60mg、59.0%)。

この化合物は実施例13のアッセイ法において血管新生活性を示した。
【0149】
実施例16-チオネーション
開示した化合物の多くはその構造中にチオニル基を有さないで示されているが、開示した化合物の構造中に示される任意のカルボニル基はチオカルボニル基に変換してもよいこと、およびそのようなチオ誘導体はこの開示の一部であることを理解すべきである。チオネーションは任意の公知の方法により達成してもよい。チオネーションの特定の方法は、五硫化リン、硫化水素、O,O-ジエチルジチオホスホン酸、硫化ホウ素、二硫化珪素および元素硫黄のHMPA溶液の使用を含む。しかしながら、チオネーションに特に好都合な方法は、2,4-ビス(p-メトキシフェニル)-1,3-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィドおよびその誘導体(一般に「Lawesson試薬」と呼ばれる)の使用である。これらの試薬はCavaおよびLevinson、“Thionation Reactions of Lawesson’s Reagents”Tetrahedron、41:5061-5087、1985において記述されている。これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0150】
実施例17-薬学的組成物
開示した薬学的組成物は錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、液体またはゲル調製物、例えば経口、局所、または滅菌非経口溶液または懸濁液(例えば、点眼液または点耳液、喉または鼻スプレーなど)、経皮パッチの形態、および当技術分野で周知の他の形態とすることができる。
【0151】
薬学的組成物は、下記を含む一定の状態の治療に適した任意の様式で、全身にまたは局所的に投与することができる:経口、非経口、直腸内、鼻内、頬側に、経膣、局所、眼内、吸入スプレー、または移植リザーバ経由。本明細書で使用されるように「非経口」という用語は、例えば注射または注入による、皮下、静脈内、筋内、胸骨内、滑液包内、くも膜下、肝内、病巣内、および頭蓋内投与を含むが、これらに限定されない。中枢神経系の治療では、薬学的組成物は、末梢投与または脳室内投与されると、容易に血液脳関門を透過する可能性がある。
【0152】
薬学的に許容される担体としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
経口投与用の錠剤およびカプセルは、単位用量を提供するのに適した形態とすることができ、従来の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。これらの例としては、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、およびポリビニルピロリドン;フィラー、例えば乳糖、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、またはグリシン;錠剤化潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えばジャガイモデンプン;および分散または湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。経口液体調製物は、例えば、水溶性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態とすることができ、または、使用前に水または他の適した溶媒により再構築するための乾燥製品として提供することができる。
【0154】
薬学的組成物はまた、滅菌水性または油性媒質中で、非経口で投与することができる。組成物は、例えば、1,3-ブタンジオール溶液として、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒に、溶解または懸濁させることができる。通常使用される媒体および溶媒としては、水、生理食塩水、ハンクス溶液、リンガー液、および合成モノ-またはジ-グリセリドを含む滅菌した不揮発性油が挙げられる。局所塗布では、薬剤は、適した水性または非水性媒体中の溶液、懸濁液、クリーム、ローションまたは軟膏としてもよい。添加剤も含ませてよく、例えば、二亜硫酸ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムなどの緩衝剤;保存薬、例えば、酢酸または硝酸第二水銀フェニル、ベンズアルコニウムクロリドまたはクロルヘキシジンを含む殺菌薬および殺真菌薬、および増粘剤、例えばヒプロメロースである。
【0155】
関連する用量単位は、例えば、治療状態、製剤の性質、状態の性質、主張された薬学的組成物の態様、投与様式、ならびに患者の状態および体重に依存する。用量レベルは典型的には、作用部位で、インビトロ、インビボ、または組織培養において活性であることがわかっている濃度と少なくとも同じ組織濃度が達成されるのに十分なものである。例えば、約0.1μg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日の用量、例えば、約1μg/kg体重/日〜約1000μg/kg体重/日の用量、例えば、約5μg/kg体重/日〜約500μg/kg体重/日の用量が、特定の状態の治療に有益とすることができる。
【0156】
化合物は無機または有機酸および塩基由来の薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。そのようなものとしては下記が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、およびウンデカン酸塩。塩基塩としては下記が挙げられるが、これらに限定されない:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)、有機塩基との塩(例えばジシクロヘキシルアミン塩)、N-メチル-D-グルカミン、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リシンなど)との塩。塩基性窒素含有基は、例えば、C1〜8ハロゲン化アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチル塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えばベンジルおよびフェネチルブロミド)などの薬剤により、四級化することができる。これにより、水または油溶解性または分散性生成物が生成される。
【0157】
薬学的組成物は、目的の用途のための説明書、例えば薬学管理官庁、例えば米国の食品医薬品局により必要とされる説明書と共にキットに含めることができる。
【0158】
存在する本発明の多くの可能な態様を考慮して、説明した態様は本発明の例示にすぎず、発明の範囲を制限するものと考えるべきではないことを認識すべきである。むしろ、本発明の範囲は添付の請求の範囲により決定される。そのため、本発明者らは本発明者らの発明として、これらの請求の範囲および精神の範囲内にあるもの全てを主張する。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】3’-UTRが欠けた細胞における作用に対する、ルシフェラーゼレポーターエレメント+ヒトTNF-αの、3’-UTRを有するマウス細胞におけるいくつかの開示されたサリドマイド類似体のTNF-α阻害活性を示す棒グラフである。
【図2】いくつかの濃度の1,3-ジオキソ-2-(2-ヒドロキシ-6-メトキシピリジン-3-イル)−イソインドリン臭化水素酸塩の相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図3】いくつかの濃度の2-(3-シクロヘキセニル)-H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオンの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図4】いくつかの濃度の1-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図5】いくつかの濃度の3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオンの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図6】いくつかの濃度のジチオフタルイミドの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図7】いくつかの濃度の2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸の相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図8】いくつかの濃度の2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図9】いくつかの濃度の2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図10】いくつかの濃度の2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミドの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。
【図11】いくつかの濃度の1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-イソインドリンの相対的な血管新生調節活性を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:

式中、
XおよびYは独立して、CH2、酸素または硫黄であり、R1が硫黄原子を含まない場合、XおよびYのうち少なくとも1つは硫黄であり;
R2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲン、ニトロであり、または結合して、5員もしくは6員の非置換もしくは置換脂肪族、芳香族または複素環を形成し;および
R1は非置換または置換の、脂肪族または芳香族の複素環、非置換または置換シクロアルケニル環、または下記である:

式中、
WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;
R6およびR7はそれぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシまたは置換アルコキシであり、
R8〜R12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;
R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;および
R15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または、下記式:

式中、
TおよびVは独立して、酸素または硫黄であり、
R21〜R25は独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルであり;および
R26は下記である:

R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;および
R15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または下記式:

式中、
X、Y、WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
R15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;
R27〜R33はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロ、例えば、水素、アシルオキシまたはヒドロキシルであり;および
R34は水素、アルキルまたは置換アルキルである;または下記式:

式中、
X、Y、WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
R15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;
R34およびR35はアルキルまたは置換アルキルであり;および
R36〜R39はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または下記式:

式中、
X、Y、WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
R15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R40〜R45はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロある;または下記式:

式中、
X、Y、WおよびZは独立して、酸素または硫黄であり;
R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R2〜R5、R15およびR16はそれぞれ、独立して水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または下記式:

式中、
X、YおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
R2〜R5およびR15〜R18はそれぞれ、独立して水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R34はアルキルまたは置換アルキルである;または下記式:

式中、
XおよびYは、独立して酸素または硫黄であり;
R2、R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R1は非置換または置換脂肪族もしくは芳香族の複素環、非置換もしくは置換シクロアルケニル環、または下記である:

式中、
WおよびZはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり;
R6およびR7はそれぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシまたは置換アルコキシであり、
R8〜R12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;
R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;および
R15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または下記式:

式中、
GおよびDはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、
R2〜R5はそれぞれ独立して、前述のように、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり、および
R46は下記である:

式中、
W、Zは独立して、酸素または硫黄であり;
R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R20は水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換アルキルであり;および
R15〜R19はそれぞれ、独立して水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである、
またはそれらの立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を有する化合物。
【請求項2】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を有する、請求項1記載の化合物:

式中、
X、Y、WおよびZは独立して、硫黄または酸素であり、ならびに、X、Y、WおよびZの少なくとも1つは硫黄である。
【請求項3】
R2〜R5およびR8〜R11の少なくとも1つがヒドロキシルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
X、Y、WおよびZの少なくとも2つが硫黄である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を有する、請求項1記載の化合物:

式中、
W、X、YおよびZはそれぞれ独立して、硫黄または酸素であり、ならびに、W、X、YおよびZの少なくとも1つは硫黄である。
【請求項6】
R2〜R5およびR15〜R19の少なくとも1つがヒドロキシルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R2〜R5およびR15〜R19がそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、アシルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはニトロである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
X、Y、WおよびZの少なくとも2つが硫黄である、請求項5記載の化合物。
【請求項9】
2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンまたは2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R1が下記である、請求項1記載の化合物。

【請求項11】
下記化学式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項12】
R26が下記である、請求項11記載の化合物。

【請求項13】
T、V、WおよびZの少なくとも1つが硫黄である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項15】
X、Y、WおよびZの少なくとも1つが硫黄である、請求項15記載の化合物。
【請求項16】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項17】
X、Y、WおよびZの少なくとも1つが硫黄である、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項19】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項20】
XおよびYの少なくとも1つが硫黄である、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項22】
X、YおよびZの少なくとも1つが硫黄である、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
下記化学式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項24】
R1が下記である、請求項23記載の化合物。

【請求項25】
X、Y、WおよびZの少なくとも1つが硫黄である、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
下記式、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を満たす、請求項1記載の化合物。

【請求項27】
GおよびDの少なくとも1つが硫黄である、請求項26記載の化合物。
【請求項28】
R46が下記である、請求項26記載の化合物。

【請求項29】
R46が下記である、請求項26記載の化合物。

【請求項30】
G、D、WおよびZの少なくとも1つが硫黄である、請求項28または29記載の化合物。
【請求項31】
化合物が、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(1-フェネチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド、2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)ペンタンジオエート、2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン、3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン、3-カンファンアミノ(camphanic amino)-2,6-ピペリジンジオン、または3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンである、請求項1記載の化合物。
【請求項32】
被験者においてTNF-α活性を調節するための方法であって、該方法は、被験者に治療上有効な量の1または複数の、請求項1〜31記載のもの、および下記式を有する化合物:

式中、
X、Y、WおよびZは独立して、酸素または硫黄であり;
W、Z、R15〜R20は前述の通りであり;および
R47〜R52はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または
下記化学式を有する化合物:

式中、
n=1〜5であり;
Xは酸素または硫黄であり;および
R2〜R5およびR15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または
下記式を有する化合物:

式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、n=1〜5であり、およびR2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または
下記化学式を有する化合物:

式中、
R53およびR54はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R55は水素、アルキル、または置換アルキルである;または
下記化学式を有する化合物:

式中、
R2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R56は水素、アルキル、または置換アルキルである;または
それらの薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を投与する段階を含む、方法。
【請求項33】
化合物が請求項1記載の化合物であって、化合物が、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(1-フェネチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド、2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)ペンタンジオエート、2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン、3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン、3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオン、または3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
化合物が、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンまたは2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
被験者において血管新生を調節するための方法であって、該方法は、被験者に治療上有効な量の1または複数の、請求項1〜31記載の化合物、および下記化学式を有する化合物:

式中、
X、Y、WおよびZは独立して、酸素または硫黄であり;
W、Z、R15〜R20は前述の通りであり;および
R47〜R52はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または
下記式を有する化合物:

式中、
n=1〜5であり;
Xは酸素または硫黄であり;および
R2〜R5およびR15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または
下記式を有する化合物:

式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、n=1〜5であり、およびR2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;または
下記式を有する化合物:

式中、
R53およびR54はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R55は水素、アルキル、または置換アルキルである;または
下記式を有する化合物:

式中、
R2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R56は水素、アルキル、または置換アルキルである;または
それらの薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を投与する段階を含む、方法。
【請求項36】
化合物が、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(1-フェネチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド、2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)ペンタンジオエート、2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン、3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン、3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオン、または3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
化合物が、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンまたは2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
方法が、治療上有効な量の化合物を、腫瘍を有する被験者に投与し、抗腫瘍効果を達成する段階を含む、請求項32または35記載の方法。
【請求項39】
抗腫瘍効果が、腫瘍転移の阻害を含む、請求項15記載の方法。
【請求項40】
方法が、治療上有効な量の化合物を、病的血管新生を患う被験者に投与する段階を含む、請求項32または35記載の方法。
【請求項41】
方法が、治療上有効な量の化合物を、神経変性疾患を患う被験者に投与する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項42】
投与が、化合物の経口投与を含む、請求項32または35記載の方法。
【請求項43】
1または複数の、請求項1〜31記載の化合物、および下記式を有する化合物:

式中、
X、Y、WおよびZは独立して、酸素または硫黄であり;
W、Z、R15〜R20は前述の通りであり;および
R47〜R52はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;および
下記式を有する化合物:

式中、
n=1〜5であり;
Xは酸素または硫黄であり;および
R2〜R5およびR15〜R19はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;および
下記式を有する化合物:

式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、酸素または硫黄であり、n=1〜5であり、およびR2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロである;および
下記式を有する化合物:

式中、
R53およびR54はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R55は水素、アルキル、または置換アルキルである;および
下記式を有する化合物:

式中、
R2〜R5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アシル、置換アシル、アシルオキシ、置換アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ハロゲンまたはニトロであり;および
R56は水素、アルキル、または置換アルキルである;および
それらの薬学的に許容される塩もしくは立体異性体、
ならびに、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項44】
1または複数の、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(1-フェネチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド、2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)ペンタンジオエート、2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン、3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン、1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニリデン)-3-オキソイソインドリン、6-チオキソ-2-ピペリジノン、2,6-ピペリジンジチオン、モノチオフタルイミド、ジチオフタルイミド、N-フェネチルフタルイミド、および3-ベンジルイミノ-2-ベンジル-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オン、3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオン、および3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンを含む、請求項33記載の薬学的組成物。
【請求項45】
組成物が、1または複数の、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、1-チオキソ-3-オキソ-2-(2,6-ジチオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ナフタレンジカルボキサミド、1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アザイソインドリン、1,3-ジオキソ-2-(1-フェネチル-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン、2-アセトキシ-N-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンズアミド、2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタンジオエート、ジメチル2-(1,3-ジヒドロ-1,3-ジチオキソ-2H-イソインドール-2-イル)ペンタンジオエート、2-(1,3-ジヒドロ-1-オキソ-3-チオキソ-2H-イソインドール-2-イル)-ペンタン二酸、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オン、2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジチオン、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(3-シクロヘキセニル)-1H-イソインドール-1-オン、1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニリデン)-3-オキソイソインドリン、3-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)ベンゾキサジン-2,4-ジオン、3-カンファンアミノ-2,6-ピペリジンジオン、および3-[2’,6’-ピペリジンジオン-3’-イル]-7-アミノ-2H-1,3-ベンゾキサジン-2,4(3H)-ジオンを含む、請求項44記載の薬学的組成物。
【請求項46】
1または複数の、2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2-オキソ-6-チオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンおよび2,3-ジヒドロ-3-チオキソ-2-(2,6-ジチオキソ-3-ピペリジニル)-1H-イソインドール-1-オンを含む、請求項45記載の組成物。
【請求項47】
単位用量形態の組成物を含む、請求項43記載の組成物。
【請求項48】
単位用量が経口投与用である、請求項44記載の組成物。
【請求項49】
N-(t-ブトキシカルボニル)-L-グルタミンおよびカルボニルジイミダゾールを反応させ、2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジンを提供する工程;
2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジンをトリフルオロ酢酸と反応させ、2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジントリフルオロ酢酸塩を提供する工程;および
2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジントリフルオロ酢酸塩を無水フタル酸およびトリエチルアミンと反応させ、サリドマイドを提供する工程、
を含むサリドマイドの製造方法。
【請求項50】
N-(t-ブトキシカルボニル)-L-グルタミンおよびカルボニルジイミダゾールを反応させる工程が、N-(t-ブトキシカルボニル)-L-グルタミンおよびカルボニルジイミダゾールの溶液を還流させる工程を含む、請求項26記載の方法。
【請求項51】
2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジンをトリフルオロ酢酸と反応させ、2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジントリフルオロ酢酸塩を提供する工程が、2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジンを溶液中に懸濁させる工程、およびその溶液にトリフルオロ酢酸を添加する工程を含む、請求項26記載の方法。
【請求項52】
2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジントリフルオロ酢酸塩を無水フタル酸およびトリエチルアミンと反応させる工程が、2,6-ジオキソ-3-アミノピペリジントリフルオロ酢酸塩、無水フタル酸およびEt3Nの混合物のTHF溶液を還流させる工程を含む、請求項26記載の方法。
【請求項53】
血管新生を調節するための薬剤を製造するための、請求項1〜32および35記載の化合物の使用。
【請求項54】
TNF-α活性を阻害するための薬剤を製造するための、請求項1〜32および35記載の化合物の使用。
【請求項55】
病的血管新生、腫瘍、自己免疫疾患または神経変性疾患を治療するための、請求項1〜32および35記載の化合物の使用。
【請求項56】
病的血管新生、腫瘍、自己免疫疾患または神経変性疾患を治療するための薬剤を製造するための、請求項1〜32および35記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−505922(P2007−505922A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527059(P2006−527059)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030506
【国際公開番号】WO2005/028436
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(504276060)ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ (1)
【Fターム(参考)】