説明

サンプリングと運搬用の装置および方法

粒子状汚染物質のサンプリング装置(1)が記載されている。この装置は、多くの閉鎖エンクロージャに適合することができる。この装置を用いることにより、この閉鎖エンクロージャの雰囲気に含まれる汚染物質を表面で回収することができる。このようなサンプリング法を用いると、これらの汚染物質の性質に関する具体的な情報を得ることが可能である。
このサンプリング装置(1)は、具体的には、サンプルが捕集される適当な基板(6)を位置づけることのできる支持体(2)を備える。この装置(1)は、得られたサンプルを分析場所まで閉じ込めて、測定の特性をさらに向上させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定の分野、より具体的には、分析前のサンプリングの分野に位置する。
【0002】
本発明は特に、粒子状汚染物質、分子汚染物質、生物的汚染物質を、とりわけ閉鎖環境において捕集できるようにする装置であって、この制御環境に当初含まれている様々な汚染源を表す分析結果を得るために、このサンプルを閉じ込めて運ぶこともできる装置に関する。
【0003】
本発明はまた、閉鎖空間内に含まれるエアロゾル(噴霧質)の表面捕集に関する。
【背景技術】
【0004】
エアロゾルとも呼ばれる粒子状汚染物質とは、気体雰囲気(空気または他の気体)中に浮遊する固体粒子である。これらの粒子状汚染物質は、それらの性質、それらのサイズ分布(数分の1ナノメートルから、数百ミクロンまで)、および、それらの単位体積当たりの凝集の程度により特徴づけられうる。
【0005】
閉鎖された産業環境の場合には、その汚染レベルまたは粉塵量レベルは、ISO14644−1基準で参照されるように、清浄等級により特定される。生物的汚染物質の場合には、ISO14698基準が使用される。関連媒体を比較および分類するためには、測定方法が必要であるが、しかしながら、これらの測定方法の標準化は、相対的なものにすぎない。
【0006】
一般に、クリーンルーム、および関連する制御閉鎖環境の汚染レベルおよび粉塵に関する情報は、粒子カウンタ(particle counter)または、凝縮コア(condensation core)を有するカウンタにより得られる。しかしながら、このような機器を使用しても、このエンクロージャ(囲い場所、enclosure)の体積汚染(volume contamination)についての情報しか与えられず、これらの粒子の起源および性質を決定することはできない。清浄度を評価するためには、形態的および化学的な特徴もまた必要であることがわかっている。
【0007】
例えば、サンプリングされたある気体体積中の粒子の数は、光学的粒子カウンタを用いて得ることができる。すなわち、これらの粒子は、光の拡散および/または吸収を発生させるが、このような拡散および/または吸収は、それらの粒子のサイズに関係しうる。しかしながら、この手法は通常、これらの粒子の形状を球体であると擬することに基づいており、それらの物理化学的な性質に起因する粒子の光学的性質、例えば、これらの粒子の組成による光の吸収を考慮に入れていない。
【0008】
さらに、環境に含まれる汚染物質の測定は、動的なポンプシステムを用いて実行されることがある。しかしながら、このような測定は、このポンピングと発生した流れが単に存在することにより、清浄性と空気力学(aeraulics)に関して乱された環境から、概ね集中的なやり方でサンプリングされた量をさす。
【0009】
ここで多くの方法において実際に影響力があるものは、これらの製造された製品の表面でのエアロゾル汚染物質の振舞いである。すなわち、とりわけ表面組成ができる限り清浄であるような材料を得ることが目標となる。それゆえ、製品の表面と、これらのエアロゾル粒子との間の相互作用に関する具体的な情報が望ましい。
【0010】
従って、閉鎖エンクロージャ内での汚染物質のサンプリングを最適化し、かつ、これらの汚染物質を変質させることなく、分析できるようにする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主目的は、現在のサンプリング装置の欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その種々の面の1つにおいて、複数のエンクロージャに合わせられて、この周囲の雰囲気に含まれている汚染物質および/または粒子状汚染物質を回収できるようにするサンプリング装置に関する。サンプリングは、その表面において、これらの粒子の実際の性質にもっとも良く合うように、定められた基板上での堆積により、実行される。
【0013】
汚染物質をサンプリングするこれらの装置は、清浄性に関してテストされる環境に適合すると特に有利である。特に、これらの環境が、ISO14644−1基準に定められる粉塵レベルを守るときには、このサンプリングする装置は、初期しきい値または所要しきい値に違反する可能性があるいかなる粒子汚染をももたらさない。この装置を用いれば、適切な基板上での堆積により、様々な汚染物質の(局部)捕集によって、これらの材料の表面汚染状態を得ることが可能である。ただし、これらの汚染物質は、サンプリング時には、表面にはまだ被着していない。これらのサンプル(基板および/または捕集された汚染物質)を分析すれば、これらの汚染物質の特性を決定し、また、これらの汚染物質の発生源および有害性を特定することが可能となるだろう。さらに、好ましい実施形態の装置を用いれば、この基板と、その得られたサンプルを、この分析場所まで閉じ込めて、このサンプルの完全性を維持することも可能である。
【0014】
本発明はまた、これらの面を適用できる方法にも関わる。特に、この好ましい方法は、エンクロージャと、サンプリング装置との間の封止された連結を含み、したがって、このエンクロージャの雰囲気が変化しないようにしている。次に、本発明により、この方法は、この装置内に局限されたサンプリング基板を、これらの基板およびエンクロージャ雰囲気の多少長い露出時間の間、このエンクロージャの内部に向けてスライドさせることで、引き入れること、次に、これらの基板が、封止可能にこの装置内に保たれるように、これらの基板をスライドさせ、その後で、この装置とエンクロージャとを切り離すことを含む。これらの基板のうち、汚染物質が捕集された表面の分析は、直ちに実行されるか、もしくは、好ましくは、これらの汚染物質を変質させないように、所要時間の間、この装置内に汚染物質を閉じ込めるやり方で保持することにより、実行されることがある。
【0015】
したがって、特に適当な装置は、スライドさせて外囲(envelope)に出入りするサンプリング基板を取り付ける手段を備えた支持体を含む。このようなスライドは、例えばこの外囲と支持体の摩擦係数のために、低い粒子発生体(generators of particles)である材料を選択することで、どんな汚染破片も発生させないことが有利である。したがって、この外囲と支持体の材料は両方ともテフロン(Teflon)(登録商標)でできていることがある。この支持体を、取外し可能であろうとなかろうと、ハンドル棒および握りハンドルに連結することにより、スライドを補助することができる。
【0016】
この支持体/外囲のアセンブリは、この外囲にしっかりと取り付けられて、かつ、この支持体を相対的に移動できるようにする本体、例えば、金属製本体に一体化されることがある。そのケーシングまたは本体は、構成要素をなすガスケットおよび/または蓋があることで、封止または耐密封止された(hermetically sealed)内側を形成するように作られることが好ましい。この本体において、上記支持体が通過する端部には、別の端部品との封止連結をもたらす標準化端部品が備えられていると有利である。
【0017】
したがって、この装置の設計は、制御される環境の外部雰囲気に関して非常に優れた隔離、並びに、この装置を切り離した後の封止形の閉じ込めを実現する。
【0018】
この支持体は、長方形または正方形の断面を有し、かつ取付け手段として、側壁上に広がっているハウジングを含むことがある。この支持体は、好ましくは、空胴の底面に対して、水平方向および/または垂直方向、および/または斜め方向の切込みを備えていて、標準化基板(例えば、1cm×1cm(±10%)の寸法を持つプレート)が、この支持体中に位置づけられるようにする。
【0019】
本発明の特徴および利点は、例示として与えられ、かつ、決して限定的ではない添付図面を参照して、以下の説明を読むことにより、より良く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明によるサンプリング装置は、閉鎖媒体内に粒子状汚染物質を堆積させることにより捕集し、その沈殿した汚染物を静的に測定することにより分析可能とするものである。
【0021】
この汚染物質は、サンプリング基板上で捕集され、分析されるべき媒体に挿入され、次に、このサンプリング装置に閉じ込められる。したがって結果として、関連する高感度表面(sensitive surface)への被着を表すが、ただし、これは前もって汚染物があらかじめ被着したであろう表面からの移転(移送)によるサンプリングに起因するものではない。特に、動的なポンピングがまったくないために、とりわけ清浄レベルと空気力学(aeraulics)レベルにおいて測定を乱すことが避けられる。
【0022】
図1と図2に示されるように、本発明の好ましい実施形態によるサンプリング・閉じ込め装置1は、外囲(エンベロープ)4にスライドさせて出入り可能であるサンプリング支持体2を含む。支持体2は、スライド軸線AAに沿って長手方向に延びている。サンプリング支持体2は四辺形であるのが有利であり、長方形または正方形の放射断面を有することが好ましい。外囲4は、支持体2に適合するサイズおよび形状である。支持体2は、それが外囲4内にあるような閉じ込め位置をとるかもしれない。支持体2は、支持体2の一部が外囲4の外側に出るサンプリング位置に向かってスライドするかもしれない。このようなスライドは、支持体2と外囲4との間に粒子を発生させるようないかなる摩擦もなく実行されると有利である。これらの材料は、特に、摩擦係数が小さいものが適切に選択される。支持体2と外囲4とが接触する面は、同一組成であることが好ましい。ひいては、このようなスライドにより発生する破片の数が最小限であることが好ましく、特に、それらの破片の予定される性質が、得られたサンプルに関してできる限り害が少なく、それらのサンプルを速やかに識別し、かつ分析の間にサンプルを除去できるようにすることが好ましい。特に、これらのサンプルが、清浄性に関するしきい値、例えば、ISO14644−1基準などの基準に定められる粉塵率基準(dust rate criterion)と合致するときには、サンプリングを実行する環境は、このしきい値を越えさせるような粒子によって汚染されてはならない。外囲4と支持体2は、特に金属タイプの汚染物質をサンプリングするために、テフロン(Teflon)(登録商標)でできていると好ましい。
【0023】
サンプリング支持体2を用いることにより、サンプリング基板6を位置づけることができる。サンプリング基板6は、この分析を実行するために取外し可能であると有利である。従来、サンプリング基板6は、1辺1センチメートル程度(0.9〜1.1センチメートル)、かつ厚さ1ミリメートル程度の正方形のプレートであり、鉱物質、有機体、または多孔性の性質(例えば、ISO14698基準によるバイオフィルム捕集)を持つ。サンプリング基板6は、所望の特徴のタイプによるばかりでなく、サンプリングされる成分により、また関連する表面処理によっても選択される。これらの汚染物質の大きさおよび性質を決定するために、サンプリング基板6は、例えば炭素質接着剤(carbonaceous adhesive)であるかもしれない。接着に関して、シリコン表面などの定められた受感材料(sensitive material)と汚染物質との間の接合面を特徴づけるために、サンプリング基板6は、このように定められた材料と、関連するかもしれない表面処理とを含んでいる。
【0024】
サンプリング支持体2は、同一の性質または異なる性質の数枚の基板6を、同一の支持体2に設置する手段8を備え、その結果いくつかの測定を同時に実行できるようにすると有利である。好ましい実施形態では、サンプリング基板6を位置づける手段は、支持体2中に、例えば、スライド軸線AAに沿って延びている支持体2の壁面(長方形、正方形、または円形の断面を持つ)上に、少なくとも1つの切削加工されたハウジング8を備える。すなわち、サンプリング基板6はハウジング8の中に、例えば垂直に、または水平に位置づけられてもよい。ハウジング8は、この目的で設けられた切込みを備えていると有利である。切込みは対になっていると好ましい。すなわち、特に制御されるエンクロージャ内のサンプリング位置をセットしようとするとき、支持体2の大部分に切削加工して得られたハウジング8の側壁上の切込みにより、基板6を、例えばハウジング8内でAA軸線に対して斜め方向の位置または垂直方向の位置である所定位置に確実に維持できる。この位置づけ手段および/または基板6の位置に関する様々な形態を、同一支持体2上で組み合わせてもよい。
【0025】
外囲4は、中空円筒状であってもよく、すなわち、引っ込められた位置にある支持体2を完全に局限する空胴を有していてもよい。外囲4はまた、基板6を位置づけるための側方に広がる空胴をハウジング8に向けて含んでいてもよい。支持体2の末端は、外囲4の末端開口に適合する中実(solid)であり、支持体2が外囲4の中に引っ込められるときに、外囲4の末端開口が塞がれるようにしている。例えば、外囲4は、支持体2の対応する断面に適合した四角形断面の穴部を有し、末端に張り出した部分、すなわち、支持体2の相補形の末端が収められるような張り出した部分を有している。
【0026】
支持体2の他端は、取外し可能なやり方で、例えばねじ締めタイプの連結により、握りハンドル12に連結されたハンドル棒10にしっかりと取り付けられることが好ましい。これにより、その外囲4に対して、支持体2のスライド操作を容易にできる場合がある。このような場合、外囲2の基部端は、ハンドル棒10のものよりも直径の長い開口を備えており、容易なスライドを実現できる。
【0027】
分析を最適化するためには、関連環境への影響をできるだけ少なくしてサンプリングを実行することが望ましい。グローブボックス・タイプの閉鎖空間では、あるいは、外方に連通する手段を従来のように備える製造装置内では、サンプリング装置1を密閉して連結するために、サンプリング装置1上に手段が設けられる。
【0028】
したがって、装置1は、外囲4が入っている(外囲4にしっかりと取り付けられていると有利である)長手方向のケーシングまたは本体14を含む。この中空の、円筒形であることが好ましい本体14は、さらに強固な構造物を用いることにより外囲と支持体を扱うためにも使用される。ケーシング14は金属製であることが有利であり、例えば、ステンレス鋼でできている。
【0029】
本体14は、サンプリング支持体2が外方にスライドできるように構成されている。したがって、ボックス14の基部端の部分は、ハンドル棒10を通すことができる開口を備えていてよい。この開口は、ガスケット16(例えば、Oリングであるかもしれない)を備えており、かつ/または、「圧縮パッキン押さえ(compression gland)」システムにより圧縮されると有利である。このような場合に、外囲4の基部開口(proximal aperture)は、ハンドル棒10よりもさらに寸法が大きくてもよく、また継ぎ目(joint)は設けられない。すなわち、基板16の密封された閉じ込めは、中空本体14によりもたらされる。この実施形態では、ハンドル棒10と外囲4との間の摩擦、および、発生する可能性のある破片を減少させることができる。
【0030】
支持体2が通る開口を有する本体14の末端は、着脱自在の蓋、例えば栓(プラグ)18と結合されることが好ましい。すなわちいったんこのサンプルが得られ、かつ支持体2が閉じ込め位置にある場合、装置1を運ぶためには、栓18をねじ込むか、取り付けることで、ケーシング14の端部を塞ぐことが可能である。握りハンドル12とハンドル棒10がこのサンプルを運ぶために、またスペースを得るために、また例えば別の装置にハンドル棒10、握りハンドル12を再使用するために取外し可能であり取外される場合でも、このような蓋が本体の末端に設けられてもよい。
【0031】
分析される閉鎖環境と、サンプリング装置1との間に封止された連結をもたらすために、本体14の末端は、テストされるエンクロージャの連通手段に、本体14の末端を取り付けさせる端部品20を備えると有利である。端部品20は、本体14の末端を形成するものであって、標準化界接面の形式を取っていると好ましい。例えば、本体14の端部は、真空技術からのDN40タイプの端部品20である。すなわち、このような端部品は、圧縮ガスケット(crushed gasket)と同様に、真空適合の標準化されたやり方で、適当な連通手段上に連結されることがある。
【0032】
したがって、対応する端部品を備え、かつこのようなサンプリングが実行されるはずの閉鎖空間に対して、本発明による装置1を、標準化された手順に従って連結することが可能である。すなわち、その場合、内部雰囲気をまったく乱すことなく、装置1と閉鎖エンクロージャとを含むシステムの封止部(シール)が提供される。次に、支持体2は、支持体2をスライドさせてエンクロージャに入れ、また、本体14/外囲4のアセンブリから支持体2を出すことで取り入れられて、互いに相対的にスライドしているときにわずかな破片しか発生させない材料を選択して、この環境を変えることなく、基板6でサンプリングを実行し、かつ、それらのエアロゾルを捕集する。このサンプリングの終了時には、粒子のサンプルが堆積している基板6を備えた支持体2は、外囲4にスライドして入り込むことで再統合され、また、支持体2の末端を外囲4の末端と一致させることで、この連通手段から端部品20を切り離そうとするときに、少なくとも部分的な封止部が得られる。これが要望される場合には、この封止部は、栓18を付けることで最適化することができる。いったんこれらのサンプルが得られると、それにより、結果を変えることなく、局限と持続時間の双方において、このサンプルから遠ざかるように進められる分析まで、これらのサンプルを外部汚染から遠ざけておくことが可能である。
【0033】
本発明による装置1は、完全に分解することができると有利である。特に、サンプリング支持体2は、その外囲4から完全に分離される。外囲4自体も、外部本体14に対して取外し可能である。この実施形態では、必要に応じて、装置1のアセンブリを、広範に、かつ、異なる構成要素を形成する材料のそれぞれに合わせてクリーニングすることが可能である。これにより装置1は、もっとも厳しい清浄等級(等級ISO4から)に適合することができる。
【0034】
さらに、このような分解により、同一のハンドル10,12、同一ケーシング14、もしくは同一外囲4を、交換可能なサンプリング支持体2に使用して、所望の用途および関連の基板6に応じて選択することもできる。
【0035】
本発明による装置1の異なる構成要素は、異なる適当な材料で作られてもよい。これらの材料は、装置1が局限されるかもしれない環境に関して何の変化ももたらさず、とりわけ、この環境が関連環境の基準に合致するときには、その粉塵レベルを変えないことが有利である。装置1の内面、とりわけハウジング8の内面は、実際の支持体2ではなくて、サンプリング基板6に汚染物質を選択的に結びつけるために、最小限の物理化学的な吸収性を有すると好ましい。
【0036】
それゆえ、本発明による装置1は、3つのツールをまとめて1つにする。つまり、これは、汚染物質をサンプリングするツール、閉じ込め用のツール、および、サンプルを運ぶツールを兼ね備えるものである。すなわち、これらのサンプルが得られると、これらのサンプルは、基板6上に、また外囲4の中に保管されて、それらのサンプルを運ぶことができる。その場合、装置1は、補完するどんな取扱装置も、状態調整装置も必要としない。得られたこれらのサンプルが表面に含まれているサンプリング基板6は、直ちに分析されるか、あるいは、様々な測定装置に向けて、多少長い運搬時間の後で、分析される。
【0037】
支持体2にしっかりと取り付けられ、かつ装置1の本体14に閉じ込められた基板6は、サンプリング手順と同様な手順に従って、外囲4の外部に向かってスライドすることで、この分析場所にて取り出されることがある。それゆえ、特に、これらのサンプルは、このようなサンプル場所に対して、まったく拘束なしに、該当する様々な特徴(性質、汚染物質の量など)を決定するために、適切な任意の物理化学的な方法(MEB−EDS X線プローブと結びつけられる可能性のある走査形電子顕微鏡検査法、フーリエ変換(FTIR)を用いる可能性がある赤外線分光法など)により、特徴づけられることがある。
【0038】
信頼できる結果を得るためには、妥当な露出時間に対して、1cm程度、もしくはそれ以上の表面を有する基板6が望ましいと考えられる。同時サンプルを充分な数、具体的には12のサンプルを得るためには、好ましい実施形態は、300mm〜350mm(すなわち、この端部を考慮に入れて)、例えば、320mmの全長に対して、40mm〜50mm、例えば、45mmの直径を有するステンレス鋼の軸対称円筒形本体を備える。この実施形態では、通例周りに1メートルのスペースが存在する閉鎖エンクロージャの全てでサンプリングを実行できるように、最大の大きさ(装置1の末端から握りハンドル12までの長さ)を550mmよりも短くすることが可能である。さらに、装置1は、それが比較的に軽量である(35kgよりも軽い)ために、またその処理能力のために、またその堅牢さ(剛性、衝撃強度)のために、これらのサンプルに劣化のおそれなく、容易に使用し、運搬することができる。さらに、装置1が、動作するために、いかなるエネルギーも流体(気体または液体)も必要としないので、装置1は、かなり隔絶された場所で使用されることもできる。
【0039】
本発明による装置は、エアロゾルが影響を及ぼす科学および産業のあらゆる分野で使用することができる。具体的には、クリーンルームや関連する分離性のエンクロージャ(クリーンエア・ステーション、グローブボックス、アイソレータ、「局所空間(mini−environments)」)など、例えばISO14644−7基準による制御粉塵レベルを持つルームおよび環境に、本発明による装置を適用することが可能である。これらの関連分野には、特に、光学素子、レーザ、航空宇宙産業、エレクトロニクス、集積回路、農業食品(agri-food)、薬学、特に粉末のナノテクノロジ、医学環境と病院環境などがある。
【0040】
本発明によるサンプリング装置は、汚染に関してテストされるエンクロージャに適合するので、このサンプリング装置自体は、この閉鎖環境内でも、また実際の装置の内部でも、このような一連の清浄性を断ち切ることはまったくない。この装置全体を設計し、かつ組み立てようとするときに、材料を選択することにより、この装置に固有の汚染のおそれは、この環境に対して、またこれらのサンプルに対してほぼゼロである(潜在的なバックグラウンドノイズの最小化)。すなわち、粒子状汚染物質や分子汚染物質の発生(例えば、脱着による)は最小である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】サンプリング位置における本発明の好ましい実施形態による装置を示す。
【図2】閉じ込め位置における図1の装置を断面図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子をサンプリングする装置(1)であって、
少なくとも1つのサンプリング基板(6)を位置づける手段(8)を備えたサンプリング支持体(2)と、
長手方向の外囲(4)と、を備え、
前記位置づける手段(8)が前記外囲(4)の外部に局限される第1のサンプリング位置と、前記サンプリング支持体(2)が前記外囲(4)の内部に局限され、また前記装置(1)が前記サンプリング基板(6)を前記位置づける手段(8)の周りで封止されるような第2の閉じ込め位置と、の間で、前記サンプリング支持体(2)が前記外囲(4)の中で前記装置(1)の軸線(AA)に沿ってスライド可能であり、
サンプリングが実行される外部環境の、ISO14644−1に定義される粉塵レベルが、スライドによる粒子汚染によっても変化しないように、前記支持体(2)と前記外囲(4)が互いに相対的にスライドするときに前記支持体(2)と前記外囲(4)が破片をほとんど発生させない材料を含む、粒子をサンプリングする装置(1)。
【請求項2】
前記支持体(2)と前記外囲(4)がテフロン(Teflon)(登録商標)でできている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持体(2)が長方形の放射断面を持つ請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記位置づける手段が、前記軸線(AA)に沿って延びる前記支持体(2)中に、少なくとも1つの切削加工されたハウジング(8)を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記位置づける手段が、前記切削加工されたハウジング(8)の内壁上に、少なくとも1つの切込みを含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各切込みが、前記支持体(2)の大部分において、切削された対として倍になり、前記装置(1)の前記軸線(AA)に対して角度、特に90°または180°に等しい角度をなして、前記基板(6)を対の前記切込みに差し込むことができる請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジング(8)が、一辺が0.9cm〜1.1cmである正方形の放射断面を有し、また、対の前記切込みが前記軸線(AA)に対して垂直である請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記外囲(4)の周りにしっかりと取り付けられた本体(14)を備え、また、前記本体(14)の末端が、前記支持体(2)を通す開口を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記本体(14)の前記末端開口が、封止された連結手段(20)を含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記連結手段(20)が、DN40タイプの端部品である請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記本体(14)の前記末端開口を封止可能に塞ぐことのできる栓(18)をさらに含む請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記本体(14)が、前記位置づけ手段(8)の周りに封止された囲いを形成するように、前記本体(14)の前記基部端が手段(16)を含む請求項8〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
棒(10)をスライドさせて封止可能に通すことが可能であるOリング・ガスケット(16)を、前記本体(14)の前記基部端に備える請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記本体(14)が金属製であり、例えばステンレス鋼製である請求項8〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記支持体(2)の前記基部端がねじ部を含み、また、前記外囲(4)の前記基部端が前記ねじ部に面する開口を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記支持体(2)の前記ねじ部にねじ込まれて、前記支持体(2)のスライドを補助可能である手段(10、12)をさらに含む請求項15に記載の装置。
【請求項17】
連通手段を有する閉鎖環境内でエアロゾル汚染物質を捕集する方法であって、
前記連通手段に適合された端部品(20)を備えるエンクロージャ(4、14)と、前記エンクロージャ(4、14)内でスライドする少なくとも1つのサンプリング基板(6)を備えた支持体(2)とを含むサンプリング装置(1)を前記連通手段上に連結するステップと、
前記装置(1)の前記支持体(2)を、前記閉鎖環境内に導入するステップと、
前記サンプリング基板(6)上で前記汚染物質を捕集するステップと、
前記サンプリング基板(6)と前記捕集された汚染物質が、前記装置(1)の前記エンクロージャの中に封止可能に入れられるように、前記支持体(2)をスライドさせるステップと、
前記装置(1)を、前記環境から切り離すステップと、を含む方法。
【請求項18】
前記サンプリング基板(6)を前記装置(1)内に閉じ込めるステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記装置(1)が、請求項1〜16のいずれか1項に記載される装置である請求項17または18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−541035(P2008−541035A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509482(P2008−509482)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050400
【国際公開番号】WO2006/117494
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】