説明

サンプルの処理

サンプル処理用小管には第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメントが含まれてよい。各セグメントは前記小管によって範囲が決定され、少なくとも部分的に破壊可能なシールで流動的に隔離され、別のセグメントから排出されたある容量の流体を受けることができるように膨張可能で、圧縮された場合には実質的に流体が入らないように圧縮可能であってよい。各セグメントには少なくとも1種類の試薬を入れることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願明細書は、引用をもってその内容全体を本願明細書に援用する2003年2月5日に提出された米国特許仮出願第60/445,304号の優先権を主張する。以下の米国特許出願第09/910,233号、09/782,732号、および10/241,816号も、引用をもってその内容全体を本願明細書に援用する。
【0002】
発明の背景
診断用アッセイを行う際、特に生物学的サンプルの処理において、サンプルの調製を必要とすることが多い。たとえば、生物学的サンプルは、典型的には、アッセイに好適な条件下におく前に集中的で厳密な処理を施す。適切なサンプル調製には、たとえば特定の温度、濃度、試薬の容量、および望ましいアッセイを妨害する可能性のある物質の除去などの厳密な条件を要することが多い。未処理のサンプルに、厳密に管理された研究施設で高度に習熟した人員による適切な処理を施すために、遠く離れた場所に運ばなければならないことが多い。従来の処理装置および方法は、大規模で非常に複雑で洗練された設備を必要とすることが多い。従来のサンプル処理のこれらの要因によって、結果が出るまでの時間の遅れ、高コスト、サンプルの完全性の欠損、および診断用アッセイを多くの場合に使用する実用性への制限が、常に生じる。
【0003】
発明の概要
本願開示はサンプルを処理する装置および方法を提供する。開示された装置および方法は複数の処理ステップによってサンプルの調製を容易にすることができる。
【0004】
ある局面では、サンプルを処理する小管には第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメントが含まれてよい。各セグメントは前記小管によって範囲が決定され、少なくとも部分的に破壊可能なシールで流動的に隔離され、別のセグメントから排出されたある容量の流体を受けることができるように膨張可能で、圧縮された場合には実質的に流体が入らないように圧縮可能であってよい。各セグメントには少なくとも1種類の試薬を入れることができる。
【0005】
別の局面では、サンプルを処理する方法には、破壊可能なシールで流動的に隔離された複数のセグメントに分離された小管にサンプルを導入するステップであって、当該ステップにおいて前記小管が廃棄物を受ける近位端とアッセイを実施する遠位端を有するステップと、前記小管のセグメントに入ったサンプルを予め選択された前記サンプルの成分に特異的に結合することができる物質でインキュベートするステップと、前記の予め選択された成分を含有するセグメントの遠位の小管を締めてそのセグメントを圧縮することによって予め選択された成分から出る廃棄物を除去するステップと、試薬を放出して、前記の予め選択した成分を含有するセグメントの少なくとも1つとそのセグメントの遠位にある試薬を含有するセグメントを圧縮し、破壊可能なシールを開けて前記試薬を前記の予め選択された成分を含有するセグメントに押し出すか、または前記の予め選択された成分を前記試薬を含有するセグメントへ押し出すことによって、流動的に隔離された隣接する遠位セグメントから出た前記の予め選択された成分と混合するステップと、を含んでよい。
【0006】
本願明細書に開示された装置および方法は、既存の技術よりも優位に優れた利点を提供することができる。ある実施態様では、望ましいサンプル処理プロトコル用の小管と試薬を予めパックし、アッセイ全体用の物質を1つの便利なパッケージとして提供することもできる。ある実施態様では、処理の初期段階で廃棄産生物を目的の標的から分離し、処理されたサンプルが未処理のサンプルと接触した表面と接触しないようにする。したがって、小管壁をコーティングするかもしれない未処理サンプル中に存在する微量の反応阻害物質が、前記の処理されたサンプルを汚染する可能性は小さい。
【0007】
発明の詳細な説明
本願開示はサンプルを処理するデバイスおよび方法を記述する。いくつかの実施態様では、セグメントに分けられた小管は生物学的サンプルの受け取り、保存、処理および/または分析するために有用な容器を提供する。ある実施態様では、セグメントに分けられた小管は複数の処理ステップが関与するサンプル処理のプロトコルを容易にする。ある実施態様では、サンプルをサンプル小管に収集し、その後その小管を分析器の中に配置することができ、前記分析器が前記小管およびその内容物を操作して前記サンプルを処理することができる。
【0008】
好ましい実施態様には、破壊可能なシールでコンパートメントに分割されたフレキシブル小管が含まれる。各々のセグメントにはサンプルを処理するための様々な試薬およびバッファを入れてよい。クランプおよびアクチュエータをさまざまな組み合わせおよびさまざまなタイミングで前記小管に適用して、流体の動きを方向付け、破壊可能なシールを破ることもできる。この破壊可能なシールが破れると、実質的に障害のない内部小管壁に流体を流すことができる。好ましい実施態様では、生物学的サンプルの流れは処理が進展するにつれて前記小管の遠位端の方向に向けられ、その一方で廃棄物の流れは反対側の前記小管の開口部、つまり前記サンプルが最初に注入された開口部へ強制的に動かされてよい。このサンプル注入口は、施錠メカニズムを有するキャップで可能で永久に密封することができ、そのキャップの中に廃棄物チャンバがおかれていて廃棄物を受け取って保存することができる。このアプローチの重要な利点は、処理されたサンプルは、未処理のサンプルが接触した表面と接触しない点である。したがって、小管壁をコーティングするかもしれない未処理サンプル中に存在する微量の反応阻害物質が、前記の処理されたサンプルを汚染する可能性は小さい。
【0009】
ある実施態様では、前記小管は1つのセグメントの中の複数に分かれたセグメントのそれぞれから出るある容量の流体を受け取ることができるように膨張可能であってよい。これによって、1つのセグメントの中で特定の処理ステップをサンプルと試薬に実施することができるので、アッセイを行うための機械的構造を単純にすることができる。膨張可能であってよい小管を用いた実施態様の別の利点は、同一の小管構造を用いて、セグメントの中で異なる容積の試薬をパッケージすることができ、同一の小管を実施すべきアッセイに応じて異なる仕様にパッケージすることができる点である。
【0010】
前記装置には、透明なフレキシブル小管10(図1AおよびB、図2AおよびB、ならびに図3AおよびB)であって、16、110、120、130、140、150、160、170、180、および/または190などの複数のセグメントを構成することができ、圧縮によって実質的に平らになるフレキシブル小管10が含まれてよい。ある実施態様では、小管は少なくとも2つのセグメントを有してよい。ある実施態様では、小管は少なくとも3つのセグメントを有してよい。前記フレキシブル小管は約2℃乃至105℃における操作上の機能性、サンプル、標的、および試薬との適合性、気体の低浸透性、最小の蛍光特性、および/または圧縮および屈曲サイクルの繰り返しにおける弾性を提供することができる。前記小管はたとえば、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリオレフィンコポリマー、および/または好適な特徴を提供するその他の物質などをそれらに限定せずに含む、さまざまな物質でつくられてよい。透明性、湿潤性、表面の滑らかさ、表面電荷および熱弾性、などの小管の特性が、前記小管の性能に影響するかもしれない。これらの特性は、シード添加、プラズマ処理、添加物の添加、および照射などの例示的なプロセスによって向上することがある。ある実施態様では、前記プラスチックに添加物質を添加して、特定の特徴を向上させることもできる。たとえば、エルカ酸アミドおよび/またはオレイン酸アミドなどのスリップ剤を加えてもよく、ある実施態様ではいわゆる「粘着防止剤」を加えてもよい。添加物の前記プラスチック中の濃度は、約0.01%乃至約5.0%の範囲内であってよい。
【0011】
前記小管は、押し出し成形、射出成形、およびブロー成形などの、多様な好適な方法によって製造することができる。好ましい実施態様では、前記小管は連続的に押し出される。前記小管の製造のための代替的な技術には、二次的な処理操作によって好適な小管をつくることができる、たとえば鋳造、押出、またはブローフィルムなどが含まれる。前記小管壁の材料には、共押し出しまたはフィルムラミネーションによる多層が含まれる。たとえば、内層は高い生体適合性で選択し、外層は低い気体透過性で選択してよい。さらなる例として、前記内層は剥がすことができるシールなどの破壊可能なシール14(図2AおよびB、ならびに図3AおよびB)に容易に成形することができるが、前記外層は弾力的で不浸透性が高いものであってよい。本願明細書の開示に用いるために、前記小管は約0.03mm乃至約0.8mm、好ましくは0.03mm乃至約0.5mmの壁の厚さを有し、約1気圧の圧力を外部からかけると実質的に平らになることができることが望ましい。
【0012】
ある実施態様では、前記装置は、粉砕運動を用いて生検サンプルまたは固体状の環境サンプルなどの固体サンプルから得た細胞の塊を崩壊させることができるように、少なくとも1つのセグメントの壁が強化されていてよい。これらの強化された壁の特徴の例は、図7Aに描写されているとおり、前記小管の壁の反対側の表面にある、微細な歯状の内部表面109であってよく、前記小管を圧縮すると前記小管の軸に沿った滑り運動を生じるように補正されている。これらの粉砕表面109の近傍にある小管の壁は、ポリカーボネートまたはポリエチレンテレフタラートなどの弾力のある好適なプラスチックでできている補強パッチを用いて補強されていてよい。前記の歯状の内部表面は同様に好適な材料でできていてよい。別の実施態様では、図5AおよびBに描写されている214などの粉砕表面の形状を有するパッドを小管の内部壁に付けてよい。前記パッドは強化された材料でつくることができ、前記表面形状は従来の機械的、電気化学的、または微小電気機械的な方法を用いて、前記パッドが圧縮に耐えられるようにつくることができる。
【0013】
前記サンプル小管10は1つ以上のセグメント16、110、120、130、140、150、160、170、180、および/または190、ならびに/またはサブセグメント18、121、122に分割することができる。好ましい実施態様では、前記セグメントは破壊可能なシール14で範囲を決定されており、隣接するセグメントと流動的に隔離されている。このシールは、たとえば、あるアッセイを行うために乾燥試薬と液体試薬を再構築するまでこの2つの試薬を分離する場合や、反応が望ましい時点まで化学反応種を分離するために有用なことがある。図3AおよびBに示されるとおり、破壊可能なシール14は小管10の領域であって、その領域において、相対する壁が実質的に連結されているが、あとで前記小管または予めシールされた表面を著しく損傷せずに前記の壁を剥がすことができないほど強く連結しないように、小管10の領域に形成してよい。そのようなシールは「剥離可能な」シールと命名してよい。好ましい実施態様では、前記の剥離可能なシールの領域は前記小管の軸に直角なバンドであってよい。そのバンドは、約0.5mm乃至5mm、好ましくは約1mm乃至約3mm、最も好ましくは約1mmの範囲内において小管の長さをカバーしてよい。、前記シールは好ましくは、前記セグメントをシールできるように前記小管の幅全体をカバーする。ある実施態様では、前記シールバンドの長さまたは形状は変化してよく、および/または前記シールバンドの面は前記小管の軸に直角に配置してよい。そのような変化によって、剥離特性を変化することができる。
【0014】
破壊可能なシール14は、前記小管の相対する壁の間に、剥離可能なシールが望ましい位置にある前記小管に制御された量のエネルギーをかけることによってつくることができる。たとえば、温度制御したシール形成ヘッドで、固定された金敷に対して一定の圧力で一定の時間間隔をおいて圧力をかけることができる。望ましいサイズと剥離力のシールを形成するために、温度、圧力、および時間の様々な組み合わせを選択してよい。エネルギーは、たとえばポリプロピレン管材料を加熱するために105℃乃至140℃の一定温度に保たれた温度制御シール形成ヘッド、望ましいシール領域に3乃至100気圧の圧力を正確にかけることができるアクチュエータ、および1乃至30秒の一定のサイクル時間で前記アクチュエータの配列を動かすための制御システムによって、送達してよい。この方法を用いて、約1気圧の内部圧力をかけると剥がれて開くように、ポリプロピレン小管に十分なシールを形成した。シール形成のエネルギーを前記小管に送達する代替的な技術には、RFおよび超音波溶接が含まれる。
【0015】
他の実施態様では、代替的な小管の材料および材料の配合を用いて剥離可能なシールの性能を最適化することができる。たとえば、剥離可能なシールの形成のために、異なる融点の2種類のポリプロピレンポリマを、組成と溶融特性が最適化されるような割合で混合してよい。破壊可能なシール14に加えて、またはその代わりに、前記フレキシブル小管は、さらに1つ以上の圧力ゲート194を有することができる。この圧力ゲートは、前記フレキシブル小管のセグメントに制御された力をかけることによって、テストの操作中に、可逆的に開閉できる。
【0016】
フィルターを小管のセグメントに組み込むことができるフィルターの例206および216を、それぞれ図4A、ならびに図5AおよびBに示す。好ましい実施態様では、フレキシブルフィルタ材料を多層に重ねてフィルタをつくることができる。サンプルに直接接触する前記フィルタの最上層は、ろ過のために選択された孔サイズを有してよく、ろ過中に圧力がかかるときに最上層を支持するための構造を提供するために、前記フィルタの下層にははるかに大きな孔サイズを有する材料を含んでよい。この好ましい実施態様では、前記フィルタはバッグ状に折り畳まれてよく、その開口端が前記小管壁にしっかり付けられているエッジを有してよい。前記フィルタバッグを有するセグメントは、前記小管の外部を圧縮することによって実質的に平らにすることができてよい。
【0017】
例示的な実施態様では、小管のセグメントの中に、1種類以上の試薬を乾燥物質として、または液体状溶液として保存することができる。試薬を乾燥状態で保存してもよい実施態様では、液体状溶液を隣接するセグメントに保存して、前記試薬溶液の再構築を促進にすることができる。典型的な試薬の例には、溶解試薬、溶出バッファ、洗浄バッファ、DNase阻害剤、RNase阻害剤、プロテイナーゼ阻害剤、キレート剤、中和試薬、カオトロピック塩溶液、洗浄剤、界面活性剤、抗凝血剤、発芽溶液、イソプロパノール、エタノール溶液、抗体、核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、およびホスホチオ酸核酸プローブが含まれる。前記試薬の1つがカオトロピック塩溶液の場合の実施態様では、好ましい成分はイソシアン酸グアニジニウムもしくは塩酸グアニジニウム、またはそれらの組み合わせである。ある実施態様では、サンプルを注入する開口部に対して、試薬を前記小管に保存してよい順序は、前記管を用いる方法において前記試薬を使用することができる順序を反映する。好ましい実施態様では、試薬には、予め選択されたサンプルの成分に特異的に結合することができる物質が含まれる。たとえば、物質は核酸に特異的に結合することができ、または核酸プローブは特定の塩基配列を有する核酸に特異的に結合することができる。
【0018】
他の例示的な実施態様では、固相基質は小管のセグメントに入れて、標的微生物または核酸などの、1つ以上の選択されたサンプルの成分を捕捉するために(そのような成分がサンプル中に存在する場合)用いることができる。捕捉によって、前記標的成分の濃縮、およびサンプルから得た反応阻害物質の除去を促進することができる。基質は、特定の化学的条件および温度条件下において選択された標的細胞、ビリオン、核酸、またはその他の成分を捕捉することができ、異なる化学的条件および温度条件下において前記成分を放出することができる固相物質であってよい。
【0019】
ある実施態様では、試薬を前記基質上でコーティングしてよい。コーティング可能な試薬の例は、レセプタ、リガンド、抗体、抗原、核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、ホスホチオ酸核酸プローブ、バクテリオファージ、シリカ、カオトロピック塩、プロテイナーゼ、DNase、RNase、DNase阻害剤、RNase阻害剤、および発芽溶液である。ある実施態様では、前記基質は前記小管の乾燥セグメントに保存することができ、その一方で他の実施態様では、液体に浸して保存することができる。ある実施態様では、前記基質およびサンプルを注入する開口部に対して、試薬を前記小管に保存してよい順序は、前記装置を用いる方法において前記試薬および前記試薬を使用することができる順序を反映する。
【0020】
前記基質は、ビーズ、パッド、フィルタ、シート、および/または小管壁表面もしくは収集ツールの一部分であってよい。前記基質が複数のビーズである実施態様では、前記ビーズはシリカビーズ、磁気ビーズ、シリカ磁気ビーズ、ガラスビーズ、ニトロセルロースコロイドビーズ、および磁化ニトロセルロースコロイドビーズであってよい。前記ビーズが常磁性であってよい実施態様では、前記ビーズを磁場によって捕捉することができる。核酸分子の官能基コートされた表面への選択的吸着が可能であってよい試薬の例は、たとえば引用をもって本願明細書に援用される米国特許第5,705,628号、5,898,071号、および6,534,262号に記載されている。分離は、前記溶液のイオン強度およびポリアルキレングリコール濃度を調節して前記核酸を固相表面に選択的に浸透させ、および可逆的に吸着させることによって行うことができる。
【0021】
これらの固相表面が常磁性微粒子の場合、標的核酸分子に吸着された前記磁気ビーズを、前記核酸だけを保持してそれ以外の分子は保持しないような条件下で洗浄することができる。このプロセスによって単離された核酸分子は、キャピラリ電気泳動、ヌクレオチドシーケンシング、逆転写、クローニング、トランスフェクション、トラン集くション、哺乳類細胞のマイクロインジェクション、遺伝子療法プロトコル、RNAプローブのin vitro合成、cDNAライブラリの構築、およびポリヌクレアーゼ連鎖反応(PCR)増幅に好適である。数社が磁気ベースの精製システムを提供しており、たとえばキアゲン社製MagAttractTM、コーテックスバイオケム社製MagaZorTM、ロシュアプライドサイエンス社製MagNA Pure LCTM、およびメルク社製MagPrep シリカなどがある。これらのキットはすべてマイナス電荷を帯びた粒子を使用しており、様々な核酸が前記ビーズに選択的に結合するようにバッファ条件を操作して、前記ビーズを洗浄し、前記ビーズを水性バッファ中で溶出する。これらの企業が用いている製品の多くには、前記磁気ビーズ上に核酸を沈着させるのを補助するためにカオトロピック塩が用いられている。引用によりその内容を本願明細書に援用する、米国特許第4,483,920号および5,234,809号に例が記載されている。
【0022】
ある実施態様では、前記基質はパッド214または30(図5AおよびB、図6A乃至C)であってよい。さらなる実施態様では、前記基質パッドには、紙35、異なる疎水性の特性を有する紙34が交互に重なっている層、グラスファイバーフィルタ、または特定の孔サイズを有するポリカーボネートフィルタが含まれてよい。ある実施態様では、前記パッドは、前記パッドの表面の特定部分をカバーするためのフィルタまたは不浸透性シート38であってよく、当該フィルタは予め決められた孔サイズを有する。そのようなろ過装置は、白血球32と赤血球33(またはウイルスまたは微生物などのその他の粒子)を全血31および/またはその他のサンプルから分離するために用いることができる。前記パッド214は、前記小管の壁(図5AおよびB)および/またはサンプル収集ツール26に装着することができる。ある実施態様では、前記パッドは試薬溶液に浸すことができ、一方でその他の実施態様では乾燥試薬でコーティングしてもよい。
【0023】
好ましい例示的な実施態様には、小管セグメント110、120、130、140、150、160、170、180、および/または 190を2つ以上直線状に並べたものが含まれる(図1B)。直線状に並べることによって、制御された状態で、前記サンプルと残りの廃棄物を標的の管の中で移動させることが容易になる。未処理の生物学的サンプルは、前記小管の第1のセグメント110(図1B)にある第1の開口部12(図2B)から注入することができる。それから、処理されたサンプルから出る廃棄物を第1の開口部に戻し、その一方で前記標的を反対側の末端に向けて押し進め、前記小管の壁に付着いているかもしれない反応阻害物質による前記標的の汚染を最小限にして、前記標的のさらなる操作に好適な試薬を含むことができる前記小管のきれいなセグメントに前記標的を閉じこめる。ある実施態様は、少なくとも3つの、複数のセグメントを用いて、各セグメントには少なくとも1種類の試薬を入れてよい。ある実施態様では、これらのセグメントは以下の順序で試薬を含有していてよい。第2のセグメントに入っている試薬は溶解試薬、希釈もしくは洗浄バッファ、または基質のいずれかであってよく、第3のセグメントに入っている試薬は基質、溶解試薬、洗浄バッファ、または中和試薬であってよく、第4のセグメントの試薬は洗浄バッファ、懸濁バッファ、溶出試薬、または核酸増幅および検出試薬であってよい。ある実施態様では、前記の3つのセグメントは連続的に配置されてよく、その一方で他の実施態様では、これらの3つのセグメントは別のセグメントまたは中間のセグメントによって隔離されていてよい。
【0024】
ある実施態様では、圧力ゲート194は第2の開口部を選択的に開閉するために組み込まれており、前記小管の遠位端に位置しており、前記小管からテスト中につくられた生成物を前記小管の外で行われるさらなる処理のために収集することができる。ある実施態様では、この第2の開口部は2つの圧力ゲート194および196で決定されるセグメント198に配置され、サンプル処理セグメントから出る生成物を保存することもできる。ある実施態様では、破壊可能なシールおよび圧力ゲートの組み合わせは、前記小管の内容物を第2の開口部に移すために提供されている。
【0025】
ある実施態様では、サンプル注入後に管を閉じる管の閉鎖装置には、キャップ20(図1B)および/またはクランプ310が含まれてよい。前記キャップと前記フレキシブル小管の第1の開口部の間のインターフェイスまたはアダプタ52を用いて、しっかりした密封状態を確保することができる。例示的な実施態様では、このインターフェイスにはネジ山を付けることができ、キャップ上には先の細くなった形状62および/または好ましい固さの管フレーム50が含まれており、締め合わせると前記ネジ山64が前記管フレームとキャップとの間の先の細くなった形状62としっかり合わさって、好適なロック状態を提供することができる。この例示的な実施態様では、前記キャップは、管のホルダーへの完全な着脱のために、1/2乃至1周の完全な回転を要することがある。連結部におけるネジ山の間隔と先細りの角度の組み合わせは、製造が容易で、しかも有効に密封できたことを使用者に知らせるためのフィードバック抵抗を提供するように選択することができる。他の実施態様では、前記のキャップロック装置には、前記キャップと管ホルダーの間にスナップ式、プレス式および/またはその他のタイプの「ねじってロック」メカニズム、ならびにキャップに蝶番かひもを付けるなどして、前記キャップを前記小管に予め取り付けるような同様の処置が含まれてよい。
【0026】
キャップ20およびチューブフレーム50は両方とも、ポリプロピレンなどの好適な射出形成プラスチックでつくることができる。前記管フレーム50は、永久的な密封シールで前記フレキシブル管に固定することができる。前記キャップの外部は、扱いが容易になるように隆線またはフィンガーグリップで覆われていてよい。さらに、前記キャップ20にはサンプル同定マークまたはラベルを取り付ける領域が含まれてよい。さらなる代替物として、前記キャップは、フレキシブル管開口部を前記キャップの突出部に対して圧縮して密封シールを形成するためのプレス嵌めまたはカラーで第1の開口フレキシブル管に直接取り付けられてよい。前記管キャップと管ホルダーの間のロックは、収集ツール36または前記キャップに組み込まれた特色が前記管がサンプル処理および前記フレキシブル小管の扁平化が容易になるように明確に配向できるように、鍵をかけるか、またはガイドされていてよい。さらに、前記キャップは、前記キャップが前記フレキシブル管の開口部に取り付けられたあとにはずれることを防ぐためのラチェットまたは同様の安全メカニズムなどの特色が組み込まれていてもよい。
【0027】
ある実施態様において前記小管を閉じるために用いた前記キャップ20は、前記キャップの本体を実質的に中空にすることによって、そのキャップ内にキャビティ22を含んでもよい。ある実施態様では、前記中空部分は前記キャップ本体の上部から前記キャップ本体の底にある開口部までのびている。チャンバを形成するために、前記キャビティの上部は、前記キャップ本体にカバーを固定することによって閉じることができる。前記カバーは前記キャップ本体と同じ構成要素でつくられていてよい。前記カバーには、通気口26を組み込んでもよく、またはさらに、微生物バリア、フィルタ、または液体もしくは特定の温度に曝露された場合に前記通気口を閉じるように拡張する物質を貼り付けて組み込んでもよい。前記チャンバの底は開いたままになっているか、または破壊可能な隔膜または弁で閉じられていてよい。前記の中空チャンバには、さらにフレキシブル膜または隔膜24を組み込んでもよい。このフレキシブル隔膜は、ディップ成形、液体注入シリコーン成形、ブロー成形、および/または薄いエラストマー構造を形成するのに好適なその他の方法を用いて作製することができる。前記フレキシブル隔膜は、前記キャップ本体のキャビティ22集合体に、前記キャップが前記管にはめられたあと、前記管の内部を外部環境から効果的に隔離するように挿入することができる。前記フレキシブル隔膜は、外部からかかる圧力がない場合、その固有の剛性によって、前記隔膜が確実に好ましい既知の変形状態になるようにデザインすることができる。さらなる実施態様として、前記フレキシブル隔膜をプランジャに置き換えてもよい。例示的な実施態様では、高さが約30mmで直径が14mmのキャップ本体は、好適な熱可塑性材料を射出成形してつくることができ、少なくとも500μLの容量を有する内部キャビティを含んでよい。前記キャップ本体のチャンバは、試薬の保持または分配、廃液を保持する容器としての働き、組み込まれた収集ツールのための吸い戻し空間としての働きなど、有用な目的に適合させることができる。
【0028】
前記キャップ20は、スワブ、キャピラリ管、スポイト、接種ループ、注射器、吸収パッド、鉗子、液体および固体サンプルの収集および前記小管への挿入が容易なスコップまたは棒などの、組み込まれた収集ツール30(図2B)を有してよい。前記収集ツールは、前記管に予め決められた量の物質を収集する、および置くためにデザインされていてよい。試薬は前記収集ツール自体に保存することができる。たとえば、前記収集ツールには、乾燥塩が含浸されたスワブであって、前記スワブを水和した時、前記スワブからとれた塩が溶液中に懸濁するようなスワブが含まれてよい。さらに、前記収集ツールおよびキャップは、小管セグメントが実質的に妨げにならないように前記サンプルを前記小管へ置いたあと、前記収集ツール部分を前記キャップに引っ込められるようにデザインされてよい。
【0029】
前記キャップの前記チャンバ22は、試薬が保存できるようにつくられてもよい。これを実現するために、前記キャップをねじって閉めると前記隔膜が破れて前記試薬を放出するように、前記チャンバの底を破壊可能な隔膜または弁(非表示)で閉めてよい。そのような特徴は、たとえば前記キャップがスワブまたは棒などの収集ツールを組み込んでつくられている場合、有用である。この場合、前記キャップチャンバから放出された試薬を用いて、収集ツールから管セグメントにサンプルを洗い落とすか、または前記収集ツールに含まれる前記サンプルを溶解することができる。また、フレキシブル管セグメントを圧縮して生じた圧力を用いて前記管から前記キャップチャンバへ液体を押し上げることによって前記破壊可能な隔膜を開くことによって、前記キャップチャンバから試薬を放出することもできる。前記キャップの中のチャンバは、前記小管の中での処理から生じる廃液を貯蔵するようにつくることができる。好ましい実施態様では、前記チャンバの底は、前記フレキシブル小管の第1の開口部に連結されると前記小管と前記チャンバの間に流体の流通を形成するように、開放されていてよい。流体が前記キャップチャンバに移動すると、内部に入っている前記フレキシブル隔膜24は新しい流体の流入を収容できるように初期位置から上側に移動することができる。この隔膜の動きは、前記キャップカバーにある通気口26を組み込むことによって容易にすることができる。
【0030】
流体が前記キャップチャンバに移動したあと、クランプ310またはアクチュエータ312が作動して前記小管を圧縮し、前記小管セグメントから前記キャップチャンバの容積を効果的に密封することができる。代替的な実施態様として、前記キャップチャンバは、圧力ゲートまたはチェック弁(非表示)を組み込んで、前記キャップチャンバから前記管セグメントに流体が流れ戻らないようにすることもできる。さらに代替的には、微生物バリアを含む前記キャップチャンバカバーで前記フレキシブル隔膜を取り除き、中に入っている気体は自由に外に出られるが、すべての液体と感染性物質は前記管の中に保持されるようにすることができる。さらに代替的には、前記フレキシブル隔膜を、軸方向の上方に移動して前記管セグメントから前記キャップチャンバに移したさらなる流体を収容するプランジャに替えることもできる。前記キャップチャンバの中に流体状の廃棄物を収容するその他の方法は、本願明細書の開示の範囲から逸脱することなく容易に想像することができる。
【0031】
実質的に硬いフレーム50には、前記小管の少なくとも2つの遠位端を束縛することによって好適に教示したフレキシブル小管10を保持させてよい。ある例示的な実施態様では、第1の束縛を提供して、前記管の第1の開口部のまわりのフレームに前記小管を永久に取り付けてシールすることができる。このシールは、熱源および/または超音波源を用いて前記フレキシブル小管を前記フレームに溶融することによってつくることができる。代替的には、前記シールは、エチレン酢酸ビニルを用いた熱溶解接着ジョイントを使用するか、または紫外線硬化エポキシまたはその他の接着剤を用いたジョイントをつくることによって形成してもよい。さらなる実施態様では、前記小管は前記フレームで機械的に密封するかまたは挿入成形してもよい。第2の束縛は、前記フレームの底に前記小管を取り付けてシールして提供してよい。この第2の束縛の例示的な実施態様では、前記小管のこの末端を平らにシールして、熱溶融および/または超音波溶融技術によって硬いフレームに取り付けることもできる。代替的には、このジョイントおよびシールは、接着的または機械的アプローチを用いて形成することもできる。代替的な実施態様では、前記第2のシールは前記第1のシールと同様に、前記第2の開口部から前記フレキシブル小管の内容物へアクセスできるように実質的に開放状態にすることもできる。前記小管およびフレームの材料は、ジョイント製造用に最適化することができる。たとえば、確実に1つ以上の溶融領域全体により均一に溶解できるように、前記フレームは薄い小管よりも低い融点を有するポリプロピレンでつくることができる。前記小管と前記フレームの間の溶融を容易にするために、前記ジョイント領域をエネルギー導管、またはその他の一般的に用いられる溶融性能を向上させる特徴を含めるように先細にまたはその他の形に形成されてよい。ある例示的な実施態様では、前記の硬いフレームは、射出成形によって任意の好適なプラスチックで高さ約150mm、幅25mmの大きさを有するものをつくることができる
【0032】
前記の硬いフレーム50には、前記フレキシブル小管の圧縮および平坦化を容易にするためのいくつかの特徴が組み込まれている。たとえば、ある例示的な実施態様では、前記フレキシブル小管10は軸上の2つの末端だけが束縛されていて、半径方向の自由度が最大になっていて、圧縮したときに前記小管の半径方向の動きを妨げないようになっていてよい。別の実施態様では、フレームの前記管の第1の開口部付近に緩衝領域を含むことによって、圧縮を容易にすることができる。この緩衝領域を用いて、前記フレキシブル小管が、前記小管セグメントの実質的に圧縮された形状から、第1の開口部が実質的に開放された形状への変化を容易にすることもできる。フレキシブル小管の圧縮を容易にできる前記の硬いフレームのその他の有用な特徴には、内部小管のテンションメカニズムを含むことができる。ある例示的な実施態様では、このテンションメカニズムは、カンチレバーまたはリーフ型のスプリングなどの特徴を直接硬いフレームに鋳込んで、前記フレームで接点の一つで教示した小管を引っ張って製造することができる。
【0033】
前記の硬いフレーム50は、管の同定、取り扱い、サンプルの装填、および前記管のキャップとの連結を容易にすることができる。たとえば、前記管に付けたレベルまたは書き込み80によって前記管を同定するためのさらなる領域を、前記フレームに設けることもできる。前記フレームの前記プラスチック材料は、前記装置およびその機能を同定するのを助けるために、キャップ材料で色コードされてよい。前記フレームには、厚さもしくはその配向を受け取り装置へガイドするための鍵の変化、または製造中の変化などの特別な特徴を組み込むことができる。前記フレームは、前記のフレキシブル小管を偶発的な取り扱い事故、光への曝露および/または熱への曝露からカバーするまたは保護する、スリーブ90またはパッケージングに接触させてよい。前記の硬いフレームの本体は、前記管を保持する簡便な構造も提供することができる。前記フレームは、前記装置へのサンプル収集を容易にするためのそらせ板またはスコップなどの一体化した収集ツール32を有することができる。前記フレームのサンプル受け取り末端は、収集されたサンプルを前記フレキシブル小管に導く先細りのまたは漏斗状の内部表面が組み込まれていてもよい。
【0034】
ある実施態様では、前の段落に記載された装置を用いた生物学的サンプルからの核酸の抽出方法が意図される。ある実施態様では、そのようなテストにおける一連のイベントには、1)収集ツールを用いて収集された生物学的サンプル、2)前記テスト中に必要な試薬を含有することもできる複数のセグメントが含まれてもよく、および前記の収集されたサンプルを前記小管の第1の開口部を用いて配置することができる、フレキシブル小管、3)設定されたインキュベーション時間の間、標的生物または核酸を補足するための、制御された温度および/またはその他の条件に設定することができる少なくとも1つの基質、4)前記基質に結合できず、したがって液体を廃棄物保存容器に移動させることによって除去することができる、未処理サンプル中の生物または分子、5)前記小管を圧縮するクランプおよび/またはアクチュエータによって前記標的から分離することができる廃棄物の、廃棄物保存容器中での保存、6)反応阻害物質を除去することができる、前記小管の別のセグメントから放出された洗浄バッファ、7)制御された温度におけるインキュベーション後に、前記基質に結合された前記標的を放出することができる、別のセグメントからの溶出試薬、8)当業に精通する者に公知の技術によって検出され、前記小管の第2の開口部を通して収集できる、核酸、が含まれる。例示的な実施態様では、前記サンプルの流れは、テストが進行するにつれて前記第1の開口部から前記小管の遠位端の方向であってよく、その一方で廃棄物の流れは反対側の前記小管の閉鎖されたサンプル流入開口部であって、前記小管のキャップの中にある廃棄物チャンバが前記廃棄物を受け取って保存する、サンプル流入開口部の方向であってよい。したがって、処理されたサンプルと前記の未処理サンプルが接触した反応容器の表面の間の望ましくない接触は避けられ、前記の未処理サンプル中に存在し前記反応容器の壁をコーティングしている可能性がある微量の反応阻害物質による反応の阻害が避けられる。
【0035】
ある実施態様には、試験管1であって、前記小管の縦軸方向に対して直角方向のセグメント16、110、120、130、140、150、160、170、180、および/または190などの複数のセグメントであって、210、221、222、230、240、250、260、270、280、および/または290などの試薬を含んでもよい、複数のセグメントを有するフレキシブル小管10、ならびに分析器であって、アクチュエータ312、322、332、342、352、362、372、382、および/または392などの複数のアクチュエータ、クランプ310、320、330、340、350、360、370、380、および/または390などのクランプ、および前記アクチュエータおよびクランプに対するようにたとえば314、344、および/または394などのブロック(簡便化のために他には番号を付けていない)を有してサンプルを処理することができる分析器の使用が組み込まれてよい。これらのアクチュエータ、クランプおよび/またはブロックの様々な組み合わせを用いて、前記小管を締め付けて閉じ、液体を分離することもできる。例示的な実施態様では、前記アクチュエータまたはブロックの少なくとも1つは、サンプル処理のための小管セグメントの温度を調節する熱制御要素を有してもよい。前記サンプル処理装置は、さらに、セグメントに磁場をかけることができる、少なくとも1つの磁場供給源430を有することができる。前記サンプル処理装置はさらに、光度計またはCCDなどの検出装置492を有して、前記小管で生じているまたは完了した反応を監視することができる。
【0036】
前記管および前記分析器の併用によって、数多くのサンプル処理操作を可能にする。血液、唾液、血清、土壌、組織生検、便、またはその他の固体または液体サンプルなどのサンプルの収集は、前記キャップ20、または前記管フレーム50の特徴32に組み込んでもよいサンプル収集ツール30を用いて実行することができる。好適な量の前記サンプルを収集したあと、前記キャップを前記管の第1の開口部に置き、前記管を閉じて前記サンプルを第1のセグメントに沈着させることができる。このステップの後、前記収集ツールに入れた前記サンプルを、前記キャップの一部分を圧縮することによって前記キャップの中の分離されたチャンバに入れられた試薬で洗い落とすか再懸濁させてもよい。それから、さらなる処理のために、前記管を前記分析器に装填することができる。バーコードまたはRFタグなどの識別のための特徴を、前記分析器および/または使用者が読める形式で、前記サンプルのアイデンティティを指定するために、前記管に提供することができる。
【0037】
小管セグメントの破壊可能なシールの開封は、前記フレキシブル小管に圧力をかけて前記小管壁の結合表面を不可逆的に分離することによって実行することができる。アクチュエータを用いて、流体を入れている小管セグメントを圧縮して破壊可能なシールを開封するために必要な圧力をかけることができる。セグメントがAおよびBの2つの破壊可能のシールによって区切られている実施態様では、シールAを破壊するために前記セグメントに圧力をかけながらその一方でシールBを破壊から保護するために、前記分析器がアクチュエータまたはクランプで前記シールBを物理的に保護することによって選択的にシールAを破壊することができる。代替的には、以下のような正確な方法でシールAに隣接するセグメントに圧力をかけることによって、シールAを選択的に開封することができる。その方法とは、最初にシールAを、隣接するセグメントに生じた圧力によって開封し、シールAを破壊したあと、2つのセグメント間の圧力をさらなる組み合わせのセグメント容積まで実質的に低下させると、組み合わせたセグメントの低下した圧力はシールBを破壊するのに不十分になる。この方法を用いて、保護されているアクチュエータおよび/またはクランプを用いずに、1回につき1つずつ破壊可能なシールを開封することができる。さらなる代替法として、シールAの接着をシールBの接着よりも弱くして、シールAがシールBよりも低い圧力で破壊されるようにすることもできる。
【0038】
1つのセグメントから別のセグメントへ流体を移動させるプロセスには、たとえば、第1のセグメントの1末端にあるクランプを開放するステップと、前記の第1のセグメントのもう1つの末端にあるクランプを圧縮するステップと、第2のセグメントにあるアクチュエータを開放するステップと、前記第1のセグメントから前記第2のセグメントへ液体を移動させるために前記第1のセグメントにあるアクチュエータを圧縮するステップと、が含まれてよい。代替的には、前記クランプを取り除くか、または前記第2のセグメントにあるアクチュエータを開放してから開いてもよい。
【0039】
隣接したセグメントに配置された少なくとも1つが液体である2つの物質を混合するプロセスは、前記の2つのセグメントの間のクランプを開放するステップと、第1のセグメントに入った前記液体を、開封された破壊可能なシールを通って前記第2のセグメントへ移動するステップと、前記第2のセグメントおよび前記第1のセグメントを選択的に圧縮して前記液体をセグメント間に流すステップと、によって実行することができる。
【0040】
撹拌は、前記アクチュエータの両側についているクランプが前記小管を圧縮しながら、アクチュエータで小管セグメントを交互に圧縮および除圧することによって行うことができる。別の実施態様では、撹拌は、少なくとも2つのセグメントの間で液体を交互に移動させることによって実行することができる。
【0041】
小管セグメントがプロトコルに必要な容積を超える容積を有する液体を含有することができる場合の実施態様では、前記セグメントにおける前記液体の容積を調節するプロセスは、前記小管壁の間のすきまを減らして前記セグメントの容積を望ましいレベルに設定するために前記小管セグメントを圧縮して、前記セグメントまたは隣接するアクチュエータの末端にあるクランプを越えて隣接するセグメントに超過した液体を流すステップと、前記小管セグメントをクランプまたはアクチュエータで閉じて前記セグメントに残存する液体の調節された容積を得るステップによって実行することができる。
【0042】
気泡を除去するプロセスには、気泡を含んだ液体を入れたセグメントを撹拌するステップが含まれていてよい。気泡を除去する別のプロセスには、液体を入れた第1のセグメントを撹拌する一方で第2のセグメントを閉じるステップと、前記第2のセグメントを開いて前記液体を前記第1のセグメントから第2のセグメントへ移すステップと、前記第2のセグメントを撹拌して前記第2のアクチュエータの位置を調節して前記第2のセグメントの上端の近傍またはまわりの気液界面を移動させて、前記第2のセグメントの上端をクランプで閉じて完全に液体を注入した気泡を含まないセグメントを形成するステップが含まれてよい。
【0043】
希釈プロセスは、前記セグメントの片方に希釈液が含まれてもう一方に希釈される物質が含まれる、液体移動プロセスを用いて行うことができる。
【0044】
異なる小管セグメントまたはサブセグメントに別々に保存した乾燥および液体成分から試薬を再構築するプロセスには、前液体成分を入れた小管のセグメントまたはサブセグメントを圧縮して前記乾燥試薬のセグメントにつながる破壊可能なシールを開封するステップと、前記乾燥試薬のセグメントまたはサブセグメントに前記液体を移すステップと、混合プロセスを用いて乾燥試薬と液体成分を混合するステップが含まれてよい。
【0045】
ろ過は、2つのセグメント間または2つのサブセグメント間に配置されたフィルタ206(図4A)を用いて行うことができる。たとえば、フィルタバッグを有する第1のセグメントに全血サンプルを置くことができる。前記フィルタの孔サイズは血液細胞ろ過用に選択することができる。その後、クランプ300は前記フィルタバッグの反対側のセグメントの末端を閉じることができ、アクチュエータ302は第1のセグメントを圧縮して、血漿流を前記フィルタを通して第2のセグメントへ動かす圧力を生じさせることができる。別の実施態様では、赤血球凝集剤の赤血球202表面抗原に対する抗体204などの凝固、凝集または凝集試薬を用いて、赤血球-赤血球結合を誘導し、前記ろ過の前にクラスターを形成させることができる。前記フィルタの孔サイズは、前記クラスタをブロックする一方で凝集しない細胞を流すように選択することができる。赤血球クラスタおよび血液を入れた第1のセグメントに圧力をかけると、前記第2のセグメントの中の白血球208を濃縮することができる。
【0046】
ある実施態様では、粉砕プロセスは、微細波状の内部表面109(図7)を有する硬化した壁を有する小管セグメントを交互に圧縮および減圧し、生検組織サンプルなどの固体サンプルをを前記小管セグメントの中で破壊するアクチュエータを用いることによって行うことができる。別の実施態様では、小さいガラスビーズを固体サンプルとともに用いて、粉砕の性能を向上させることができる。さらなる実施態様では、モータ452で動かされる粉砕輪450を用いて、前記小管セグメント中のサンプル上に回転粉砕を形成し、ガラスビーズおよび生物学的サンプル200を動かして粉砕性能を向上させることができる。前記セグメント中の液体状反応物質の温度は、粉砕の結果が向上するように選択することができる。
【0047】
セグメント中での前記内容物のインキュベーションは、対応するアクチュエータおよび/またはブロックの温度を設定し、前記セグメントに圧力をかけて前記セグメントの小管壁と前記アクチュエータおよび前記ブロックの間に十分な表面接触を確保し、前記小管セグメントの内容物の温度を周囲のアクチュエータおよび/またはブロックの温度と実質的に同一にすることによって行うことができる。前記インキュベーションは、関与するすべてのセグメントの温度を要求された通りに設定している限り、すべての処理条件において行うことができる。
【0048】
インキュベーションのための急激な温度勾配は、第1の温度で第1のセグメントにおいて液体をインキュベーションし、前記第1のセグメントに隣接する第2のセグメントのための第2の温度を設定し、前記の第1の温度でのインキュベーションが終了したあと、液体を急速に前記第1のセグメントから前記第2のセグメントに移動させて前記第2の温度でインキュベーションすることによって、達成することができる。
【0049】
フローチャンネルプロセスに流れを通すには、アクチュエータを中央に配置した小管、およびある場合にはそれに隣接するクランプを圧縮し、セグメントを通して約1乃至約500μm、好ましくは約5乃至約500μmのすきまを有する薄層フローチャンネルを形成することによって、行うことができる。前記の隣接するアクチュエータは、液体のつながりのあるフローチャンネルを有する隣接するセグメント上で穏やかに収縮し、オフセットの内部圧力をつくり出して前記薄層フローチャンネルの実質的に均一なすきまを確保する。その後、2つの隣り合うアクチュエータによって、それぞれのセグメントの小管にかかる圧力を代替的に圧縮し開放して、制御された流速の流れを作り出すことが出来る。任意の流れ、圧力、および/または力のセンサを組み込んで、流れのふるまいの閉環制御が可能になることもある。前記フローチャンネルのプロセスは、洗浄、基質の結合の有効性の促進、および検出に用いることができる。
【0050】
磁気ビーズの固定および再懸濁プロセスを用いて、前記ビーズを前記サンプル液から分離することができる。磁気供給源430(図1B)によって生成された前記の磁場を、磁気ビーズ懸濁液230を含有するセグメント130にかけて、前記管壁の前記ビーズを捕捉して固定することができる場合もある。撹拌プロセスを、前記捕捉プロセス中に用いることもできる。別の実施態様では、フローチャンネルを磁場をかけたセグメント上に形成することができ、磁気ビーズをフロー下において捕捉して捕捉の効率を増すことができる。固定されたビーズを再懸濁するために、前記磁場をオフにして取り除き、撹拌またはフローチャンネルプロセスを再懸濁に用いることができる。
【0051】
残留片および反応阻害物を基質から取り除く洗浄プロセスは、基本的な3ステップを用いて行うこともできる。第1に、アクチュエータで、固定されたビーズまたはシートなどの基質を入れたセグメントを圧縮し、このセグメントから液体を実質的に除去することができる。第2に、乾燥および液体成分から試薬を再構築させるプロセスと同様のプロセスを用いて、洗浄バッファを前記セグメントに移動させてよい。ビーズを用いた基質の場合、ビーズ再懸濁プロセスを用いてから前記小管壁にビーズを再捕捉させることができる。第3に、混合または撹拌プロセス後、前記アクチュエータで前記セグメントを圧縮し、使用した洗浄液を前記セグメントから除去することができる。別の実施態様では、固定されたビーズまたはシートのいずれかであってよい基質を入れたセグメントに、フローチャンネルを形成することもできる。層流の特性を有する一方向性のフロー洗浄を、前記基質を用いたフローチャンネルを通してつくる。最後に、アクチュエータおよび、もしあればクランプをすべて閉じて、すべての液体を前記セグメントから実質的に除去することができる。さらなる実施態様では、希釈による洗浄および層流による洗浄の併用によって、洗浄効率をさらに向上させることができる。
【0052】
溶解は、設定された温度でサンプルを加熱するか、または熱と化学物質の併用によって、細胞膜、細胞壁、または被膜されていないウイルス粒子を破壊して開くことによって行うことができる。別の実施態様では、溶解は、プロテイナーゼKおよびカオトロピック塩溶液などの化学試薬を用いて行うこともできる。前記化学試薬は、1つ以上の小管セグメントに保存することができ、上述のプロセスを用いて前記サンプルと混合することができる。ある実施態様では、化学的細胞溶解、機械的粉砕および加熱などの複数のプロセスを組み合わせて、たとえば生検で採取した組織などの固体サンプルを粉砕して、性能を最大にすることができる。
【0053】
標的微生物の捕捉は、基質を用いることによって行うことができる。ある実施態様では、前記基質の表面は、抗原に対する抗体、リガンドまたはレセプタ、標的生物の表面上にあるレセプタまたはリガンド(ASA)、核酸(NA)、ペプチド核酸(PNA)、およびプローブまたは標的生物に相補的な特異的な核酸標的配列を捕捉するためのホスホチオ酸(PT)核酸プローブなどの、少なくとも1つの結合試薬でコーティングされていてよい。別の実施態様では、前記表面は、シリカまたはイオン交換樹脂コーティング表面などの静電的に帯電した(EC)表面を有するか、またはそれを形成するようにコーティングされ、実質的に核酸だけを可逆的に捕捉できてよい。ある実施態様では、前記基質は、乾燥状態で小管セグメントまたはサブセグメントに予めパックされていてよく、液体結合バッファは別のセグメントにパックされていてよい。前記基質および前記バッファは上述のプロセスを用いて再構築することができる。
【0054】
ある実施態様では、隣接するセグメントからの試薬を用いて、前記サンプルを希釈してから前記基質でインキュベーションすることができる。ある実施態様では、前記標的生物は前記微生物を溶解する前に前記基質で捕捉することができるが、他の実施態様では、溶解ステップは前記標的捕捉ステップの前に行うことができる。好ましい実施態様では、前記基質の撹拌しながらのインキュベーションは、たとえば生細菌の捕捉には4℃、またはウイルスの捕捉のためには室温など、望ましい温度で行うことができる。捕捉の後、前記小管セグメントからのサンプルの残留物および不必要な成分を除去するための洗浄プロセスを行うことができる。
【0055】
ある実施態様では、標的を捕捉するための基質として磁気ビーズを用いることができ、磁気ビーズ固定化および再懸濁プロセスを用いて、前記ビーズを前記サンプル液から分離してもよい。前記基質がパッド30またはシート214(図5AおよびB)であってよい他の実施態様では、前記基質30および214は収集ツール36に組み込まれていてよく、および/またはセグメントの小管壁に接着されてもよい。
【0056】
溶出は、高温で小管セグメントの中の溶液中の前記基質を加熱および/またはインキュベートすることによって行うことができる。溶出に好ましい温度は、50℃乃至95℃である。別の実施態様では、溶出は、前記基質が懸濁または埋め込まれている溶液のpHを変化させることによって行ってもよい。たとえば、例示的な実施態様では、洗浄溶液のpHは4乃至5.5であってよいが、溶出バッファのpHは8乃至9であってよい。
【0057】
胞子発芽のプロセスは、細菌の胞子を含有するサンプルを発芽溶液と混合し、前記混合物を好適な条件下においてインキュベートすることによって行うことができる。前記発芽溶液は、L-アラニン、イノシン、L-フェニルアラニン、および/またはL-プロリンの少なくとも1つとともに前記胞子から放出される前栄養細胞の部分的な成長を可能にするリッチな成長培地を含有してよい。発芽に好ましいインキュベーション温度は、20℃乃至37℃の範囲内である。抗胞子抗体を有する基質でコーティングすることによって、生胞子および/または死滅胞子の両方を含有するサンプルから栄養細胞を選択的に濃縮することができる。前記生胞子は、前記基質から複数の栄養細胞を放出することができ、その栄養細胞をさらに処理して前記細菌種に特徴的な核酸配列を検出することができる。ある実施態様では、前記発芽溶液をパッドに吸収させることができる。
【0058】
ある実施態様では、前記生物学的サンプルから抽出された核酸は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、RCA(rolling circle amplification)法、LCR(リガーゼ連鎖反応)法、TMA(転写媒介増幅)法、NASBA(核酸配列ベース増幅)法、およびSDAR(strand
displacement amplification reaction)法からなるグループから選択される少なくとも1つの方法を用いて、前記核酸を増幅することによってさらに処理されてよい。ある実施態様では、前記生物から抽出された前記核酸は、リボ核酸(RNA)であってよく、その処理には、TthポリメラーゼおよびTaqポリメラーゼ、もしくはトランスクリプターゼおよびTaqポリメラーゼなどの酵素の組み合わせを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が含まれる。ある実施態様では、ニックを入れた環状核酸プローブを、T4 DNAリガーゼまたはAmpligaseTMを用いて環状化し、DNAまたはRNA標的などの核酸を誘導してから、in vitro選択プロセス後に閉じた環状プローブの形成を検出することができる。そのような検出は、PCR、TMA、RCA、LCR、NASBAまたはSDARによって、当業に公知の酵素を用いて行うことができる。例示的な実施態様では、前記核酸の増幅は、蛍光標識された核酸プローブまたはDNAインターカレート色素、および核酸の増幅中の蛍光の増加を検出するための分子分析器の光度計または電荷結合装置を用いて、リアルタイムに検出することができる。これらの蛍光標識プローブには、当業に公知の検出スキーム(つまり、TaqManTM、molecular beaconsTM、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、scorpionTM プローブ)を用い、一般的には蛍光消光とレポータ間の消光または蛍光エネルギーの放出を用いて、特異的な核酸の合成または存在を検出する。
【0059】
小管セグメントから出るシグナルのリアルタイム検出は、ブロック490などのブロックにつながれた光度計、分光器、CCDなどのセンサ492(図1B)を用いて行うことができる。例示的な実施態様では、前記小管セグメント190にアクチュエータ392で圧力をかけて、前記小管セグメントの形状を好適に決定することができる。シグナルの形式は、たとえば蛍光、スペクトルおよび/または細胞の画像または量子ドットなどの人工的な要素などの画像などの特定波長の光の強度であってよい。蛍光の検出には、光学システムからの光の励起を用いて反応物を照射することができ、放出された光は光度計によって検出することができる。特定の波長を有する複数のシグナルを検出するために、異なる波長のシグナルを検出専用チャンネルまたは分光器によって連続的にまたは平行に検出することができる。
【0060】
本願明細書に開示された装置および方法は、医学、農学、および環境の監視、ならびにその他の数多くの生物学的サンプルテストの用途の実施に広く適用することができる。外科的に取り出された腫瘍のまわりの組織生検サンプルから単離された核酸を用いて、前癌組織を検出することができる。このような用途では、腫瘍抑制遺伝子のホットスポット突然変異およびプロトオンコジーンを、当業に公知の遺伝子型同定技術を用いて検出することができる。前癌組織は体性突然変異を有する場合が多く、その突然変異は、核酸の供給源として全血を用いて、生検サンプルの遺伝子型同定テストの結果を患者の遺伝子型と比較することによって容易に同定することができる。白血球から単離された核酸を用いて、当業に公知の遺伝子型同定技術を用いて遺伝子変異体、および生殖系列の突然変異を検出することができる。そのような突然変異の例は、米国遺伝医学学会および米国産婦人科医学会が出産前診断用に推奨したCFTR遺伝子の約25種類の既知の突然変異体である。遺伝子変異体の例は、抗マラリア薬プリマキンのような治療薬への感受性に影響するグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの高頻度対立遺伝子である。
【0061】
臨床的に関連のある遺伝子変異体の別の例は、第V因子ライデン異常症対立遺伝子などの病的状態の高リスク、および静脈血栓症の高リスクに関連する対立遺伝子である。細菌から単離された核酸を用いて、遺伝子コード配列を検出し、細菌株の病原性を評価することもできる。そのような遺伝子の例は、炭疽菌のPOX1プラスミドにある致死因子、防御抗原A、および浮腫因子遺伝子、ならびに炭疽菌のPXO2プラスミドにある莢膜抗原A、BおよびCである。これらの配列が存在すると、炭疽菌と無害な土壌細菌を区別することができる。RNAウイルスから単離された核酸を用いると、ウイルスの有無の検出、または感染患者の治療を導くためのウイルスの定量化のための遺伝子コード配列を検出することができる。
【0062】
そのようなアッセイの特に重要な有用性は、抗レトロウイルス治療の指針となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の検出である。DNAウイルスから単離された核酸を用いると、血液に由来する製剤の製造における使用の前の血中ウイルスの有無を検出するための遺伝子コード配列を検出することができる。血液サンプルのプール中でのB型肝炎ウイルスの検出は、当業に公知のこの有用性の例である。牛ひき肉中の大腸菌ベロ毒素の存在は、当該装置のを農業用に用いる可能性を示すよい例である。表面上におけるノーウォークウイルスの検出は、公衆衛生環境の監視用の用途の例である。
【実施例】
【0063】
例1 全血からのゲノムDNA単離および検出
DNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1(図1B)で行うことができる。前記小管の前記第1のセグメント110は前記の全血サンプルを受け止めることができる。前記第2のセグメントは、40μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)221(137 mM NaCl、2.7 mM KCl、4.3 mM Na2HPO4、1.4 mM KH2PO4、pH 7.3)、および250μgの乾燥プロテイナーゼK 222を有する希釈バッファであって、サブセグメント1(121)および2(122)にそれぞれ収容でき、剥離可能なシール125で分割されている、希釈バッファを含有してよい。第3のセグメント130は、4.7 Mの塩酸グアニジニウム、10 mM尿素、10 mM Tris HCl、pH 5.7および 2% トリトン X-100を含有してよいカオトロピック塩を含有してよいの溶解バッファ230 50μlを含有してよい。第4のセグメント140は、500μgのMagPrepTM(メルク社)などの磁気シリカビーズ240を80μlのイソプロパノールに懸濁させた懸濁液を含有してよい。これらのビーズはカオトロピック塩およびアルコールの存在下においてDNAと結合することができる。第5のセグメント150は、80μlの洗浄バッファ250(50% エタノール、20mM NaCl、10 mM Tris HCl、pH7.5)を含んでよい。第6のセグメント160は、80μlの20mM 2-モルホリンエタンスルホン酸(MES)バッファ260、pH5.3を含有してよい。前記MESバッファのpHは、前記ビーズからのDNA溶出を十分避けられるほどのpHに調節されてよい。第7のセグメント170は、80μlの溶出バッファ270(10 mM Tris HCl、pH 8.5、PCRに好適なバッファの例)を含有してよい。前記溶出バッファのpHは、前記ビーズの表面から前記バッファへDNAを十分溶出できるほど高いpHに調節されてよい。第8のセグメント180は、乾燥ウラシル-N-グリコシラーゼ(UNG)280を含有してよい。第9のセグメント190は、乾燥PCR試薬290(デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシトシン三リン酸(dCTP)、およびデオキシグニノシン三リン酸(dGTP)の3種類の10nmolデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)をそれぞれ1種類ずつ、20nmolのデオキシウリジン三リン酸(dUTP)、2.5μmolのKCl、200nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼ1乃至5単位、およびオリゴヌクレオチドプライマのそれぞれを20乃至100pmol、ならびにTaqManプローブ6乃至25pmolを含有してよい)を含有してよい。セグメント190の末端194は、永久に密封するか、または増幅反応の生成物を収集するための圧力ゲートを入れて、DNAシーケンシング、または当業に知られるその他のテストによって遺伝子型決定テストの結果を確認することができる。
【0064】
遺伝子型決定のために、10μlを超える全血を第1のセグメント110に装填することができる。その後、前記小管をキャップ20で閉じて、分析器に挿入することができる。サンプル処理には以下のステップが含まれてよい。
【0065】
1. サンプル溶解 前記小管についている第1のクランプ310以外のすべてのクランプを閉じてよい。第1のアクチュエータ312で第1のセグメント110を圧縮して、血液210の容積を調節し、前記セグメントの中に約10μlを保持してから、前記第1のクランプ310で前記小管を圧縮して前記セグメントを閉じてよい。その後、第2のアクチュエータ322で第2のセグメント120(サブセグメント121および122)を圧縮して、剥離可能なシール125を破壊してPBS 221をプロテイナーゼK 222と混合することができる。それから、第2のクランプ320を開けて、前記第2のアクチュエータで前記第2のセグメントを圧縮し、前記の剥離可能なシール開けることができる。さらに、第1および第2のアクチュエータで前記セグメントを交互に圧縮し、前記希釈バッファを前記血液サンプルを混合してよい。前記分析器で第1のアクチュエータ312および第2のクランプ320を閉じて、前記の希釈サンプルを第2のセグメント120に移し、第3のクランプ330を移動して開け、アクチュエータ322および332で小管セグメント130および120を交互に圧縮してセグメント間の剥離可能なシールを開き、熔解バッファ230を希釈サンプルと混合して、その混合物を50℃で5分間、インキュベーションすることができる。前記インキュベーション温度は、前記アクチュエータおよび/または前記アクチュエータの反対側にあるブロックに組み込まれた小管と温度要素のあいだを接触させて維持することができる。
【0066】
2. 核酸の捕捉 インキュベーション後、第4のクランプ340を開き、第4のアクチュエータ342で第4のセグメント140を圧縮して前記の隔離可能なシールを開き、イソプロパノール240中に懸濁させた磁気シリカビーズをセグメント130および/または120のライセートと混合することができる。隣接するアクチュエータ312または342を有するアクチュエータ322および332でそれぞれのセグメントを交互に圧縮し、室温で5分間前記混合物を撹拌してインキュベートして、前記磁気シリカビーズへのDNAの結合を促進することができる。その後、セグメント130の近傍にある磁気供給源430で磁場を生成し、懸濁液の中のビーズを捕捉することができる。アクチュエータ322および332でセグメント120および130を交互に圧縮し、ビーズを捕捉することができる。代替的には、アクチュエータ332でセグメント130を圧縮して、フローチャンネルを形成し、2つの隣接するアクチュエータ322および342でそれぞれのセグメントを交互に圧縮して前記捕捉効率を上げることができる。実質的にすべてのビーズをセグメント130の壁に固定してから、アクチュエータ342乃至クランプ310までのアクチュエータおよびクランプを連続して開閉し、固定されていないサンプルおよび廃棄物を廃棄物貯蔵容器22へ移動させることができる。
【0067】
3. 洗浄 残留片および反応阻害物質を、さらなるサンプル処理に使用する前記ビーズおよび前記セグメントから取り除くために、前記捕捉プロセスの次に洗浄プロセスを行うことができる。この実施態様において、希釈による洗浄にはエタノール洗浄バッファを用いることができ、および薄層流による洗浄にはMES洗浄バッファを用いることができる。クランプ350およびアクチュエータ342を最初に開き、次いでアクチュエータ352を閉じてエタノールバッファ250をセグメント240に移動させ、その後クランプ350を閉じる。同一のプロセスをセグメント140および130に用いて、前記エタノールバッファをセグメント130に移動させることができる。前記磁場を除去し、前記アクチュエータ332および少なくとも1つの隣接するアクチュエータでそれぞれのセグメントを交互に圧縮して流れをつくり、前記ビーズを再懸濁させることができる。それから、前記磁場をオンにして実質的にすべての前記ビーズを捕捉し、上述のプロセスを用いて前記液体を廃液貯蔵容器に移動させることができる。第1の洗浄の完了後、MES洗浄バッファをセグメント160から140に移動させることができる。アクチュエータ332ならびにクランプ340および330を緩やかに開放し、セグメント130を通る薄層流チャンネルを形成することができる。アクチュエータ342でセグメント140を緩やかに圧縮し、ある内部圧力をつくり出して前記薄層流チャンネルの実質的に均一なすきまを確保することができる。その後、アクチュエータ342で前記小管を緩やかに圧縮し、アクチュエータ322で前記小管を開放して前記フローチャンネルを通る洗浄バッファの基本的な層流を確保することができる。その洗浄が完了したら、前記アクチュエータおよびクランプを閉じることができ、実質的にすべての廃棄物を前記廃棄物貯蔵容器22に移動させてもよい。
【0068】
4. 核酸の溶出 その後、上述のプロセスと類似のプロセスを用いて、溶出バッファ270をセグメント170から130に移動させてよい。前記磁場を取り除き、前記ビーズをセグメント130および140の間のフロー下で溶出バッファに再懸濁することができる。前記磁場をオンにして、実質的にすべてのビーズを固定化し、前記アクチュエータおよびクランプを連続して開閉させて、溶出された核酸溶液をセグメント170に移動させることができる。アクチュエータ372でセグメント170を圧縮し、溶出された核酸溶液の容積を50μlに調節してから、クランプ370で前記小管を閉じてDNA溶出プロセスを終了させることができる。
【0069】
5. 核酸増幅および検出 次いで、前記核酸溶液をセグメント180に移し、37℃で5分間、UNG280と混合してインキュベートして、前記生物学的サンプル中に存在する可能性のある夾雑PCR産生物を分解することができる。インキュベーション後、前記温度を95℃まで上昇させて、DNAおよびUNGを2分間変性させてもよい。それから、前記核酸溶液をセグメント190に移し、PCR試薬290と60℃で混合してホットスタートPCRを開始することができる。95℃、2秒間、および60℃、15秒間を50サイクルする典型的な2温度増幅アッセイを、セグメント180を95℃に、およびセグメント190を60℃に設定し、アクチュエータ382および392を交互に開閉して、前記反応混合物を前記セグメント間を移動させることによって行うことができる。95℃、2秒間、60℃、10秒間、および72℃、10秒間を50サイクルする典型的な3温度増幅アッセイを、セグメント170を95℃に、セグメント180を72℃に、およびセグメント190を60℃に設定し、アクチュエータ372、382および392を交互に開閉して、前記反応混合物を前記セグメント間を移動させることによって行うことができる。光度計などの検出センサ492をブロック394に搭載して、前記小管壁の一部分を通して前記レポータ色素からのリアルタイム蛍光放出を監視することができる。アッセイ終了後、テストの結果を報告して、さらなる処理のために、セグメント190を圧縮して、前記サンプルを圧力ゲート194を通してセグメント198に移動させることができる。
【0070】
エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)で処理した新鮮な全血10μlを予めパックされたサンプル管に装填し、本願明細書に記載の分析器で処理した。検出は、野生種血色素症(HFE)に遺伝子に相補的なVICTM標識TaqMan Minor Groove Binder プローブ、およびC282Y突然変異体に相補的なFAM-labeled TaqMan Minor Groove プローブを用いて行われた。図8は、3回の独立した実験の結果、およびテンプレートDNAをのぞいた陰性対照を示す。野生種HFE対立遺伝子のみを含有するこれらのサンプルとして、VIC蛍光トレースのみを示す。
【0071】
例2 スワブサンプルからのゲノムDNA単離および検出
DNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22、ならびにさらに前記キャップの開口部から突き出たスワブを入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。予めパックされた試薬はすべて例1に記載のものと同一であってよいが、第2のセグメント120のサブセグメント(121)にはPBS希釈バッファ50μlが入っていてもよい。
【0072】
キャップ20についているスワブを用いて、口腔内、表面のサンプル、または当業者に知られる拭うことができるその他のサンプルを収集することができる。収集後、前記キャップを前記小管にはめて、前記スワブサンプルを第1のセグメント110に導入することができる。それから前記小管を分析器に挿入することができる。 前記小管についている第1のクランプ310以外のすべてのクランプを閉じてよい。第2のアクチュエータ322で第2のセグメント120(サブセグメント121および122)を圧縮して、剥離可能なシール125を破壊してPBS 221をプロテイナーゼK 222と混合することができる。それから、第2のクランプ320を開けて、前記第2のアクチュエータで前記第2のセグメントを圧縮し、前記の剥離可能なシール開けて、前記PBSおよびプロテイナーゼK試薬を第1のセグメント110に移動させることができる。クランプ320を閉じて前記第1のアクチュエータ312で交互に圧縮と減圧をし、前記スワブの先端から前記スワブサンプルを溶出する。前記サンプルを溶出後、第1のアクチュエータ312で第1のセグメント110を圧縮し、クランプ320および第2のアクチュエータ322を開いて、前記の溶出したサンプルを前記第2のセグメントに移動させることができる。それから、第2のアクチュエータ322で第2のセグメント120を圧縮して、溶出サンプルの容積を約50μlに調節してから、前記第2のクランプ320で前記小管を圧縮して前記セグメントを閉じることができる。その後のすべての処理ステップは、例1に記載のものと類似する。
【0073】
レーヨンを先端に付けた滅菌スワブ(コパン社、伊)でドナーの頬の内側をこすり、口腔内内皮細胞を収集した。スワブを20μlのPBSに浸け、活発に撹拌して細胞を懸濁させた。懸濁させた細胞10μlを予めパックされたサンプル小管に装填し、本願明細書に記載の分析器で処理した。検出は、野生型HFE遺伝子に相補的なVIC標識TaqMan Minor Groove Binder プローブ、および前記HFE遺伝子の282Y突然変異に相補的なFAM標識プローブを用いて行った(図9)。
【0074】
例3 血漿からの細菌DNA単離
血漿からのDNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1(図1B)で行うことができる。すべての予めパックされた試薬は、例1に記載のものと同一であってよいが、第2のセグメント120のサブセグメント1(121)は50μlのPBS希釈バッファを含有していてよく、第3のセグメント130は100μlの溶解バッファ230を含有してよく、第4のセグメント140はイソプロパノール130μlに懸濁させたシリカ磁気ビーズ500μgを含んでよい。細菌DNAの検出には、10μlを超える血漿を第1のセグメント110に充填してよい。次いで、前記サンプルを、前記の予めパックされた試薬を用いて、例1に記載のサンプル処理ステップで処理してよい。
【0075】
大腸菌O157:H7細胞約105個を、アッセイに用いるヒト血漿中で容積10μlになるように希釈した。DNA抽出および検出は、本願明細書に記載の分析器で行った。O157:H7のStxl遺伝子を認識するFAM標識プローブを検出用に用いた。図10は大腸菌O157:H7 DNAを除いた陰性対照の結果を示す。
【0076】
例4 血漿からのウイルスDNA単離および検出
血漿からのRNA単離およびRNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。すべての予めパックされた試薬は、例3に記載のものと同一であってよいが、第4のセグメント140は前記セグメントに完全にフィットする大きさのシリカ膜、シリカシート、またはシリカファイバーメッシュのいずれか、およびイソプロパノール130μlを含有することができ、第9のセグメント190は、それぞれ10nmolのdATP、dCTPおよびdGTP、20 nmolのdUTP、2.5 μmolのKCl、200 nmolのMgCl2、1-5単位の Tth DNAポリメラーゼ、およびそれぞれ20乃至100 pmolのオリゴヌクレオチドプライマ、Taq DNAポリメラーゼ1乃至5単位を含むまたは含まない6乃至25 pmolのTaqManプローブを含んでよい乾燥RT-PCR試薬290を含有することができる。
【0077】
ウイルス核酸の単離および検出のために、50μlを超える血漿を第1のセグメント110に装填することができる。それから、前記サンプルを、前記の予めパックされた試薬を用いて、例1に記載のサンプル処理ステップだが、修飾核酸捕捉ステップおよび追加の逆転写ステップは除くステップで処理することができる。前記の核酸捕捉ステップでは、第4のクランプ340を開き、第4のアクチュエータ342で第4のセグメント140を圧縮して前記の隔離可能なシールを開き、前記ライセート230をセグメント130のイソプロパノール240中のシリカ膜と接触させてもよい。アクチュエータ332または342でそれぞれのセグメントを交互に圧縮し、室温で5分間前記混合物を撹拌およびインキュベートして、前記シリカ膜への核酸の結合を促進することができる。核酸の完了後、前記アクチュエータ342で前記140を収縮させて、前記廃液を前記廃棄物貯蔵容器に移動させることができる。クランプ330を閉じて、アクチュエータ332、343、および352でセグメント130、140、および150にフローチャンネルを形成し、エタノール洗浄バッファで前記基質を洗浄することができる。その後のすべてのサンプル処理ステップは、例3に記載されたものと同一であってよい。追加の逆転写ステップをPCR増幅の前に行ってよく、そのステップには、抽出されたRNAを、第9のセグメント190のRT-PCR試薬で10分間65℃でインキュベートするステップが含まれる。
【0078】
例5 全血からの細菌DNA単離および検出
全血からのDNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。第2のセグメント120のサブセグメント1(121)はPBS希釈バッファ50μlを含有してよく、第3のセグメント130は溶解バッファ230 100μlを含有してよく、第4のセグメント140はペプチド核酸(PNA)プローブ104乃至107コピーに結合させたDynabeadsTM (ダイナルバイオテック社)などの磁気ビーズ10μgをハイブリダイゼーションバッファ(2XSSC / 0.1 M EDTAを100μl)に懸濁させたものを含有してよい。すべてのその他の予めパックされた試薬は、例1に記載のものと同一であってよい。
【0079】
細菌核酸の単離および検出のために、50μlを超える全血を第1のセグメント110に充填してよい。次いで、前記サンプルを、前記の予めパックされた試薬を用いて、修飾核酸捕捉ステップを除く例1に記載のサンプル処理ステップで処理してよい。核酸捕捉ステップでは、第4のクランプ340を開き、第4のアクチュエータで第4のセグメント140を圧縮して前記の隔離可能なシールを開き、ハイブリダイゼーションバッファ240中に懸濁させたPNA結合磁気ビーズをセグメント130のライセートと混合してよい。隣接するアクチュエータ312または342を有するアクチュエータ322および332でそれぞれのセグメントを交互に圧縮し、室温で15分間前記混合物を撹拌してインキュベートして、磁気ビーズへ結合させたPNAプローブへのDNAのハイブリダイゼーションを促進させてよい。前記サンプルは、すべてのその他の予めパックされた試薬を用いて、例1に記載のサンプル処理ステップで処理してよい。
【0080】
例6 全血からのウイルスRNA単離および検出
血漿からのウイルスRNA単離およびRNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。すべての予めパックされた試薬は、例5に記載のものと同一であってよいが、第9のセグメント190は、dATP、dCTP、およびdGTPをそれぞれ10nmolずつ、20nmolのdUTP、2.5μmolのKCl、200nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼを1乃至5単位、Tth DNAポリメラーゼを1乃至5単位、 オリゴヌクレオチドプライマをそれぞれ20乃至100pmol、ならびに6乃至25pmolのTaqManプローブを含んでよいRT-PCR試薬290を含んでよい。ウイルスRNAの単離および検出には、50μlを超える全血を第1のセグメント110に装填する。その後、前記サンプルを、予めパックされた試薬を用いて、例1に記載のサンプル処理ステップで処理することができるが、増幅前の追加の逆転写ステップは除く。当該ステップでは、抽出されたRNAを第9のセグメントで10分間、65℃でRT-PCR試薬とともにインキュベートする。
【0081】
例7 免疫磁性濃縮を用いた全血からの細菌単離
全血からの細菌DNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。第2のセグメント120は、細菌のエピトープに特異的な捕捉抗体でコーティングされたDynabeadsなどの乾燥磁気ビーズを含んでよい。第3のセグメント130は、サンプルのpHを調節し、赤血球濃度を希釈して前記捕捉抗体による結合の有効性を確保するために用いられるPBSバッファ230 100μlを含有してよい。第4のセグメント140は、剥離可能なシールで分割された2つのサブセグメントに収容された乾燥塩(1μmol KHCO3、15μmol NH4Cl)および0.1 mM EDTA、pH 8.0 100μlを含む赤血球溶解バッファを含有してよい。第5のセグメント150および第6のセグメント160は、それぞれPBS洗浄バッファ80μlを含有してよい。すべてのその他の予めパックされた試薬は、例1に記載のものと同一であってよい。
【0082】
全血中の細菌の検出には、50μlを超える全血を第1のセグメント110に装填することができる。それから、前記小管をキャップ20で閉じて、分析器に挿入する。サンプル処理には以下のステップが含まれている。
【0083】
1. 核酸の捕捉 前記小管についている第1のクランプ310以外のすべてのクランプを閉じてよい。第1のアクチュエータ312で第1のセグメント110を圧縮して、血液210の容積を調節し、前記セグメントの中に約50μlを残してから、前記第1のクランプ310で前記小管を圧縮して前記セグメントを閉じてよい。それから、第3のアクチュエータ332で第3のセグメント130を圧縮してセグメント130とセグメント120の間の剥離可能なシールを破壊し、PBSバッファを抗体と結合させた磁気ビーズと混合して細く溶液を再構築することができる。それから、第2のクランプ320を開けて、第1のアクチュエータ312で第1のセグメント110を圧縮し、前記血液サンプルを第2のセグメント120および第3のセグメント130に移動させることができる。次いで、第2のアクチュエータ322および第3のアクチュエータ332で前記セグメントを交互に圧縮し、前記捕捉溶液と全血を混合する一方で、前記混合物を4℃で15乃至30分間インキュベートして抗体と標的細胞の結合を促進させることができる。その後、磁気供給源430で生成された磁場をセグメント130にかけて、懸濁液の中のビーズを捕捉することができる。アクチュエータ322および332でセグメント120および130を交互に圧縮し、ビーズを捕捉することができる。実質的にすべてのビーズをセグメント130の壁に固定してから、アクチュエータ332からクランプ310までのアクチュエータおよびクランプを連続して開閉し、固定されていないサンプルおよび廃棄物を廃棄物貯蔵容器22へ移動させることができる。
【0084】
2. 赤血球溶解 標的の捕捉後、第4のクランプ340を開けて、第4のアクチュエータで第4のセグメント140を圧縮し、赤血球溶解バッファを再構築して、前記バッファをセグメント230に移動させることができる。磁気供給源430によってつくり出された磁場を消して、ビーズを再懸濁させることができる。アクチュエータ322および332でそれぞれのセグメントを交互に圧縮し、室温で5分間前記混合物を撹拌およびインキュベートして、前記サンプル中に残存する赤血球の溶解を促進することができる。その後、前記磁場をセグメント130にかけて、懸濁液の中のビーズを捕捉することができる。実質的にすべての前記ビーズをセグメント130の壁に固定化したあと、固定されていないサンプルおよび廃棄物を廃棄物貯蔵容器22に移動させることができる。
【0085】
3. 洗浄 前記結合ステップのあとで2つの洗浄処理を行うことができる。どちらもセグメント150および160に予めパックされたPBS洗浄バッファを用いてよい。洗浄は、上述のプロセスを用いて希釈による洗浄によって行ってよい。
【0086】
4. 核酸の溶出 溶出は例1に記載のプロセスによって行うことができる。前記ビーズ懸濁液は、捕捉した標的細胞を溶解してDNAを放出させるために、95℃で2乃至5分間、静置、フローまたは撹拌条件下でインキュベートすることができる。
【0087】
5. 核酸増幅および検出 リアルタイムPCR検出は、例1に記載のものと同一のプロセスで行ってよい。
【0088】
例8 免疫磁性濃縮を用いた全血からのウイルス単離
全血からのウイルスRNA単離および配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。すべての予めパックされた試薬は、例5に記載のものと同一であってよいが、第2のセグメント120はウイルスエピトープに特異的な捕捉抗体でコーティングされたDynabeadsなどの乾燥磁気ビーズを含有してよく、第9のセグメント190は、dATP、dCTP、およびdGTPをそれぞれ10nmolずつ、20nmolのdUTP、2.5μmolのKCl、200nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼを1乃至5単位、Tth DNAポリメラーゼを1乃至5単位、 オリゴヌクレオチドプライマをそれぞれ20乃至100pmol、ならびに6乃至25pmolのTaqManプローブを含んでよい乾燥RT-PCR試薬290を含有してよい。 ウイルスRNAの単離および配列の検出のために、50μlを超える全血を第1のセグメント110に装填することができるそれから、前記サンプルを、前記の予めパックされた試薬を用いて、例7に記載のサンプル処理ステップだが、修飾標的捕捉ステップおよび追加の逆転写ステップは除くステップで処理することができる。前記標的捕捉ステップでは、抗体が結合した磁気ビーズによるビリオン捕捉はセグメント120および130において室温で5分間行うことができる。前記逆転写ステップを増幅の前に行ってよく、そのステップには、抽出されたRNAを、第9のセグメント190のRT-PCR試薬で10分間65℃でインキュベートするステップが含まれる。
【0089】
例9 パドロックプローブおよび融解曲線分析を用いたヒトDNAの多重遺伝子型解析
全血からのDNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行ってよい。すべての予めパックされた試薬は例1に列挙されたものと同一であってよいが、第8のセグメント180および第9のセグメント190は除く。第8のセグメント180は剥離可能なシールによって隔てられた2つのサブセグメントを含んでいてよく、第1のサブセグメントには乾燥パッドロックプローブおよびT4 DNAリガーゼ280を含んでいてよく、第2のサブセグメントは乾燥エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIIIを含んでいてよい。第9のセグメント190は、乾燥UNGおよびPCR試薬290(それぞれ200μmolの3種類のdNTP、PCRで用いるそれぞれ100pmolのオリゴヌクレオチド、400μmolのdUTP、1nmolのKCl、0.1nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼ5単位、および任意で12.5pmolのTaqManプローブまたは分子ビーコンが含まれてよい)が入っていてよい。
【0090】
遺伝子型解析には、10μlを超える全血を第1のセグメント110に装填することができる。それから、前記サンプルを、前記の予めパックされた試薬を用いて、例1に記載のサンプル処理ステップだが、核酸増幅および検出ステップは除くステップで処理することができる。第7のセグメント170の中で核酸抽出が終了したあと、アクチュエータ372でセグメント170の核酸溶液の容積を約5乃至15μlに調節してよく、その一方で、残りの核酸溶液をクランプ370でセグメント170から分離したセグメント160に保持しておく。それから、アクチュエータ372でセグメント170を圧縮してセグメント170と180の間の剥離可能なシールを破り、その一方でセグメント180の第1と第2のサブセグメントの間の剥離可能なシールを維持してよい。前記の抽出した核酸をセグメント180の第1のサブセグメント中でT4 DNAリガーゼおよびパドロックプローブと混合してよく、前記混合物をセグメント170に移してよい。セグメント160に入れた残りの核酸溶液もセグメント170に移してよい。前記核酸溶液、パドロックプローブ、およびT4リガーゼをセグメント170の中で15分間37℃でインキュベートしてよい。その後、前記混合物を第8のセグメント180に移し、セグメント180の第2のサブセグメントの剥離可能なシールを破り、前記核酸をエキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIIIで5分間37℃でインキュベートし、すべての直線状DNAフラグメントを分解してよい。インキュベーション後、前記溶液を第8のセグメント180で95℃に加熱し、エキソヌクレアーゼおよびT4リガーゼを不活化してよい。その後、前記溶液を第9のセグメント190に移し、乾燥UNGおよびPCR試薬と混合することができる。UNGは、前記サンプルが導入された時に存在する可能性がある夾雑PCR産生物をいずれも分解し、前記環状パドロックプローブを直線化して前記レポータ配列の増幅を促進する。PCR増幅は例1に記載の通り行ってよい。ブロック394に搭載した検出センサ492で、前記小管壁の一部分を通して前記レポータ色素からのリアルタイム蛍光放出を監視することができる。前記標的を同定するために、融解曲線解析を行うことができる。代替的には、核酸マイクロアレイ上でのさらなる検出、または当業に知られるその他の検出技術のために、前記サンプルを前記圧力ゲート194を通してセグメント198に移すこともできる。
【0091】
例10 生細菌胞子の単離と発芽
表面のスワブ胞子サンプルからのDNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22、ならびにさらに前記キャップの開口部から突き出たスワブを入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。前記小管の第1のセグメント110には、剥離可能なシールで分離された2つのサブセグメントが含まれてよく、第1のサブセグメントはスワブサンプルを収容できるように作られてよく、第2のサブセグメントは、前記捕捉抗体による前記胞子の結合を効率よくするために適切なpHを有するPBS洗浄バッファ80μlを含有してよい。第2のセグメント120は、抗胞子抗体で表面をコーティングした固体基質であって、当該固体基質において、前記抗体は前記胞子上のエピトープには高親和性を有し、発芽細胞上のエピトープには低親和性を有する、固体基質を含有してよい。前記第2のセグメントはさらに、セグメント120および110の間の剥離可能なシールの破壊を促進するための、ある容積の気体を予めパックしていてよい。第3のセグメント130は、50μlの胞子発芽試薬230であって、Brain Heart注入培地(ディフコ社)、His 50 mM、Tyr 1 mM、イノシン2 mM、Ala 200 mM、およびSer 200 mMを含んでよい、50μlの胞子発芽試薬230を含んでよい。第4のセグメント140は、4.7M塩酸グアニジニウム、10mM尿素、10 mM Tris HCl, pH 5.7、および2%トリトンX-100を含むカオトロピック塩を含有する溶解バッファ50μlを含有してよい。第5のセグメント150は、MagPrepTMビーズ(メルク社)などの磁気シリカビーズ500μgをイソプロパノール80μlに懸濁させて含有してよい。第6のセグメント160は、80μlの洗浄バッファ(50% エタノール、20mM NaCl、10 mM Tris HCl、pH7.5)を含んでよい。第7のセグメント170は、80μlの20mM MESバッファ270、pH5.3を含有してよい。第8のセグメント180は、80μlの溶出バッファ280(10 mM Tris HCl、pH 8.5)を含有してよい。第9のセグメント190は、乾燥UNGおよび乾燥PCR試薬290(それぞれ10nmolのdATP、dCTP、およびdGTP、20μmolのdUTP、2.5μmolのKCl、200nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼ1乃至5単位、およびそれぞれ20乃至100pmolのオリゴヌクレオチドプライマ、6乃至25pmolのTaqManプローブが含まれてよい)が入っていてよい。
【0092】
生胞子の検出では、キャップ20に組み込まれたスワブを用いてサンプルを収集できる。収集後、前記キャップを前記小管にはめて、前記スワブサンプルを第1のセグメント110に導入することができる。それから前記小管を分析器に挿入することができる。サンプル処理には以下のステップが含まれてよい。
【0093】
1. 胞子発芽 前記小管についている第1のクランプ310以外のすべてのクランプを閉じてよい。第1のアクチュエータ312で第1のセグメント110を圧縮し、セグメント110の第1および第2のサブセグメント間の剥離可能なシールを破壊してPBS洗浄バッファを放出する。その後、第1のアクチュエータ310でセグメント110を交互に圧縮および減圧して、PBSバッファでスワブの先端から胞子を洗ってよい。前記胞子をPBSに懸濁させたあと、アクチュエータ322でセグメント120を圧縮し、セグメント110および120の間の剥離可能なシールを破り、前記胞子懸濁液をセグメント120へ移動させてよい。クランプ320を閉じ、アクチュエータ322でセグメント120を交互に圧縮して、前記胞子の前記抗体への結合を促進することができる。インキュベーション後、前記液体廃棄物を前記廃棄物貯蔵容器へ移動することができる。それから、アクチュエータ332でセグメント130を圧縮して、セグメント120および130の間の剥離可能なシールを破り、前記発芽溶液をセグメント120中で、撹拌しながら37℃で13分間、前記捕捉胞子とともにインキュベートすることができる。発芽細胞は、前記胞子特異的抗体と結合することなく、溶液中に懸濁されるだろう。
【0094】
2. 核酸の捕捉 発芽後、第4のクランプ340を開き、第4のアクチュエータ342で第4のセグメント140を圧縮して前記の剥離可能なシールを開き、前記溶解バッファを前記発芽細胞と混合することができる。それから、第5のクランプ350を開き、第5のアクチュエータ352でセグメント150を圧縮してイソプロパノール240に懸濁させた磁気シリカビーズをセグメント130へ移動させて前記ライセートと混合することができる。アクチュエータ332または342でそれぞれのセグメントを交互に圧縮し、室温で5分間前記混合物を撹拌しインキュベートして、前記磁気シリカビーズへの核酸の結合を促進することができる。その後、磁気供給源430で生成された磁場をセグメント130にかけて、懸濁液の中のビーズを捕捉することができる。アクチュエータ332および342でセグメント130および140を交互に圧縮し、ビーズを捕捉することができる。実質的にすべての前記ビーズをセグメント130の壁に固定化したあと、固定されていないサンプルおよび廃棄物を廃棄物貯蔵容器22に移動させることができる。
【0095】
3. 洗浄 セグメント160のエタノール洗浄バッファ、およびセグメント170のMESバッファを用いて、固定されたビーズを洗浄することができる。希釈を用いた洗浄は、例1に記載の通り、セグメント120および130の中でアクチュエータ322および332によって行うことができる。代替的には、薄層流を用いた洗浄は、例1に記載の通り、セグメント120、130、および140の中でアクチュエータ322、332、および342によって行うことができる。
【0096】
4. 核酸の溶出 溶出バッファ270を、例1に記載の通り、DNA溶出のためにセグメント180から130へ移動させることができる。
【0097】
5. 核酸増幅および検出 それから、前記核酸溶液をセグメント190に移し、UNGおよび乾燥PCR試薬と混合することができる。反応混合物を37℃で5分間インキュベーションすると、UNGがいずれの夾雑PCR産生物も分解する。インキュベーション後、前記反応混合物をセグメント180に移し、95℃で2分間変性させることができる。それから、前記核酸溶液をセグメント190に移し、60℃でインキュベーションしてホットスタートPCRを開始することができる。95℃、2秒間、および60℃、15秒間を50サイクルする典型的な2温度増幅アッセイを、セグメント180を95℃に、およびセグメント190を60℃に設定し、アクチュエータ382および392を交互に開閉して、前記反応混合物を前記セグメント間を移動させることによって行うことができる。95℃、2秒間、60℃、10秒間、および72℃、10秒間を50サイクルする典型的な3温度増幅アッセイを、セグメント170を95℃に、セグメント180を72℃に、およびセグメント190を60℃に設定し、アクチュエータ372、382および392を交互に開閉して、前記反応混合物を前記セグメント間を移動させることによって行うことができる。光度計などの検出センサ492をブロック394に搭載して、前記小管壁を通して前記レポータからのリアルタイム蛍光放出を監視することができる。アッセイ終了後、テストの結果を報告して、さらなる処理のために、セグメント190を圧縮して、前記サンプルを圧力ゲート194を通してセグメント198に移動させることができる。
【0098】
例11 固体組織サンプルからのヒトDNAの多重遺伝子解析
11番目の実施態様では、固体組織サンプルからのDNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。前記小管の第1のセグメント110は、固体組織サンプルを受け止めるように作られており、組織の粉砕を容易にするための微細波状内部表面を有する固い壁を有することができる。第2のセグメント120は、250μgの乾燥プロテイナーゼK 222を入れることができる。第3のセグメント130は、4.7M塩酸グアニジニウム、10mM尿素、10 mM Tris HCl, pH
5.7、および2%トリトンX-100を含むカオトロピック塩を含有する溶解バッファ100μlを含有することができる。第4のセグメント140、第5のセグメント150、第6のセグメント160、および第7のセグメント170は、例1に記載のものと同一の試薬を入れてよい。第8のセグメント180は剥離可能なシールによって隔てられた2つのサブセグメントを含んでいてよく、第1のサブセグメントには乾燥パッドロックプローブおよびT4 DNAリガーゼ280を含んでいてよく、第2のサブセグメントは乾燥エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIIIを含むことができる。第9のセグメント190は、乾燥UNGおよびPCR試薬290(それぞれ200μmolの3種類のdNTP、PCRで用いるそれぞれ100pmolのオリゴヌクレオチド、400μmolのdUTP、1nmolのKCl、0.1nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼ5単位、および任意で12.5pmolのTaqManプローブ)を含有してよい。
【0099】
突然変異の検出アッセイでは、1mg乃至50mgの固体組織サンプルを、前記第1のセグメントに装填することができる。それから、前記小管をキャップ20で閉じて、分析器に挿入することができる。次いで、前記小管のすべてのクランプを閉じることができる。クランプ330を開けて、第3のアクチュエータ332で第3のセグメント130を圧縮して、セグメント120および130の間の剥離可能なシールを破り、溶解バッファ230をプロテイナーゼKを混合することができる。それから、第2のクランプ320を開けて、前記第2のアクチュエータで第2のセグメントを圧縮し、前記の剥離可能なシール開けて、前記溶解溶液をセグメント110の固体組織サンプルに導入することができる。第2のクランプ320を閉じて、第1のアクチュエータ312でセグメント110を圧縮および減圧して、前記固体組織サンプルを前記小管壁の表面にある微細歯でホモナイズするのを促進することができる。熱素子を含有するセグメント110を50乃至68℃に設定し、プロテイナーゼの切断の効率を上げることもできる。前記組織サンプルを十分にホモナイズしたあと、そのホモジネートをセグメント120に移して、セグメント140のイソプロパノールに懸濁させた磁気シリカビーズをセグメント130に移すことができる。アクチュエータ322または332でそれぞれのセグメントを交互に圧縮し、前記ホモジネートを前記ビーズ懸濁液と混合して、前記磁気シリカビーズへのDNAの結合を促進することができる。その後、磁気供給源430で生成された磁場をセグメント130にかけて、懸濁液の中のビーズを捕捉することができる。アクチュエータ322および332でセグメント120および130を交互に圧縮し、磁場にあるビーズを捕捉することができる。代替的には、アクチュエータ332でセグメント130を圧縮して、フローチャンネルを形成し、2つの隣接するアクチュエータ322および342でそれぞれのセグメントを交互に圧縮して前記捕捉効率を上げることができる。実質的にすべてのビーズをセグメント130の壁に固定してから、アクチュエータ342からクランプ310までのアクチュエータおよびクランプを連続して開閉し、固定されていないサンプルを廃棄物貯蔵容器22へ移動させることができる。それに続く洗浄および核酸溶出ステップは例1に記載のプロセスによって行うことができる。核酸増幅および検出は、例9に記載のものと同一のパドロックプローブアッセイで行ってよい。
【0100】
例12 全血からの血漿分離およびウイルス検出
12番目の実施態様では、全血からのRNA単離および配列の検出は、剥離可能なシールで分割された9つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、およびキャップ20とそこに収納された廃棄物貯蔵容器22を入れたフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。前記小管の第1のセグメント110は、剥離可能なシールで分離された2つのサブセグメントを含むことができ、第1のサブセグメントは全血サンプルを受け止められるように作られてよく、第2のサブセグメントは、トロンビンなどの凝血剤の1種、または乾燥多価抗赤血球抗体を含むことができる。第1のセグメントはさらに、第2のサブセグメントの底に、好ましくは1μm乃至10μmの孔サイズの埋込式フィルタバッグを1つ以上含有することができる。フィルタの孔サイズは、実質的に血液細胞は全く通過せず、血漿だけが通過できるようにすることができる。第2のセグメント120には80μlのPBS希釈バッファが入っていてよい。第3のセグメント130は、250μgの乾燥プロテイナーゼKおよび60μlの溶解バッファ(4.7M塩酸グアニジニウム、10mM尿素、10 mM Tris HCl, pH 5.7、および2%トリトンX-100)を、剥離可能なシールで隔てた2つのセグメントに収容して含有することができる。第4のセグメント140、第5のセグメント150、第6のセグメント160、第7のセグメント170、および第8のセグメント180は、例1に記載のものと同一の試薬を入れてよい。第9のセグメント190は、それぞれ10nmolのdATP、dCTP、およびdGTP、20nmolのdUTP、2.5μmolのKCl、200nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼ1乃至5単位、Tth DNAポリメラーゼ1乃至5単位、およびそれぞれ20乃至100pmolのオリゴヌクレオチドプライマ、ならびに6乃至25pmolのTaqManプローブが含まれてよい乾燥RT-PCR試薬290を含有してよい。
【0101】
前記小管の中での血漿の分離のために、300μlを超える全血を第1のセグメント110に装填することができる。すべてのクランプを閉じて、アクチュエータ312でセグメント110を圧縮し、前記サブセグメント間の剥離可能なシールを破って前記血液サンプルを乾燥多価抗赤血球抗体または凝血剤と混合させることができる。アクチュエータ312で前記セグメント110を交互に圧縮および減圧し、抗体の赤血球への結合および細胞クラスタの形成を促進することができる。アクチュエータ322でセグメント120を圧縮し、セグメント120および110の間の剥離可能なシールを破って、前記希釈バッファをセグメント110に移動させ、血液サンプルと混合することができる。十分な量の赤血球が凝固したあと、アクチュエータ312でセグメント110を穏やかに圧縮して前記血液サンプルを前記の埋込式フィルタを通し、その一方で、アクチュエータ322でセグメント120をゆっくり減圧して前記フィルタのもう一方側から吸引することができる。血漿の分離後、クランプ320を閉じて、アクチュエータ332でセグメント130を圧縮して、前記溶解バッファの乾燥プロテイナーゼKを再構築することができる。それから、クランプ330を開いて、アクチュエータ322でセグメント120を圧縮し、前記血漿サンプルを前記溶解バッファと混合して、セグメント130の中で前記混合物を50℃で5分間インキュベートすることができる。DNAウイルスでは、それに続く核酸捕捉、洗浄、溶出および増幅、ならびに検出ステップは、例1に記載のものと同一であってよい。増幅の前に逆転写ステップを加えてもよく、そのステップにおいて、抽出されたRNAを第9のセグメント190のRT-PCR試薬で10分間65℃でインキュベートする。
【0102】
例13 綿ベースの基質上で採取した全血からのゲノムDNA単離および検出
13番目の実施態様では、DNA単離およびDNA配列の検出は、剥離可能なシールで分割された4つのセグメントを有し、予めパックされた試薬、および収納された廃棄物貯蔵容器22有するキャップ20を含むフレキシブル小管10を含む管1で行うことができる。前記小管の第1のセグメント110は、Whatman BFC 180 and FTAペーパ、Schleicher and Schuell 903TMおよびIsoCodeペーパなどの綿ベース基質上に収集された全血サンプルを受け止めることができる。第2のセグメント120には40μlの希釈水220を含む洗浄バッファが入っていてよい。第8のセグメント130は、80μlの溶出バッファ280(10 mM Tris HCl、pH 8.5)または希釈水230を含有してよい。第4のセグメント140は、乾燥UNGおよび乾燥PCR試薬240(それぞれ10nmolのdATP、dCTP、およびdGTP、20μmolのdUTP、2.5μmolのKCl、200nmolのMgCl2、Taq DNAポリメラーゼ1乃至5単位、およびそれぞれ20乃至100pmolのオリゴヌクレオチドプライマ、6乃至25pmolのTaqManプローブを含有してよい)が入っていてよい。セグメント140の末端は永久に密封することができる。
【0103】
遺伝子型解析のために、指穿刺またはその他の手段によって収集されるなどした全血を、コネクタ36によってサンプル小管キャップ20に取り付けられた綿ベースのマトリックス30に吸収させてよい。サンプル処理には以下のステップが含まれてよい。
【0104】
1. サンプル溶解 前記小管についている第1のクランプ310以外のすべてのクランプを閉じてよい。第1のアクチュエータ312で第1のセグメント110を圧縮して、前記アクチュエータ312から綿ベースの基質30までの距離を調節してから、前記第1のクランプ310で前記小管を圧縮して前記セグメントを閉じてよい。前記第1のセグメントを95℃で5分間インキュベートし、前記血液サンプルを乾燥させることができる。それから、前記セグメントの温度を室温まで冷却してよい。前記の乾燥プロセスで全血細胞を溶解し、血漿タンパク質およびPCR阻害剤の前記綿基質への結合を促進することができる。前記インキュベーション温度は、前記アクチュエータおよび/または前記アクチュエータの反対側にあるブロックに組み込まれた小管と温度要素の間を接触させて維持することができる。
【0105】
2. 洗浄 洗浄可能な残留物およびPCR阻害物質を、さらなるサンプル処理に使用する前記基質および前記セグメントから取り除くために、前記加熱プロセスの次に洗浄プロセスを行うことができる。この実施態様では、希釈による洗浄または薄層流による洗浄を用いることができる。希釈による洗浄の場合、クランプ320を最初に開き、次いでアクチュエータ322を閉じて洗浄バッファ220をセグメント210に移動させ、その後クランプ320を閉じることができる。第1のアクチュエータ312で圧縮および開放を繰り返して綿ベースの基質を3分間室温で撹拌し、未結合の血漿タンパク質成分およびPCR阻害物質を放出させることができる。洗浄の完了後、洗浄バッファをセグメント110から前記キャップ20に収容された廃棄物貯蔵容器22に移動させることができる。アクチュエータ312、クランプ310および320を緩やかに開放し、セグメント110を通る薄層流チャンネルを形成することができる。アクチュエータ322でセグメント120を緩やかに圧縮し、ある内部圧力をつくり出して前記薄層流チャンネルの実質的に均一なすきまを確保することができる。その後、アクチュエータ322で前記小管を緩やかに圧縮し、前記フローチャンネルを通る洗浄バッファの基本的な層流を生じさせることができる。その洗浄が完了したら、前記アクチュエータおよびクランプで前記セグメントを圧縮することができ、実質的にすべての廃棄物を前記廃棄物貯蔵容器22に移動させてもよい。
【0106】
3. 核酸の溶出 その後、上述のプロセスと類似のプロセスを用いて、溶出バッファ230をセグメント130から110に移動させてよい。前記綿ベースの基質を95℃で、静置、フロー、または撹拌条件下において2分間インキュベートすることができる。それから、前記溶出物をセグメント130に移動することができる。アクチュエータ332でセグメント130を圧縮し、溶出された核酸溶液の容積を50μlに調節してから、クランプ330で前記小管を閉じてDNA溶出プロセスを終了させることができる。
【0107】
4. 核酸増幅および検出 次いで、前記核酸溶液をセグメント140に移し、37℃で5分間、UNGおよびPCR試薬240と混合してインキュベートして、前記サンプルが導入された時に前記生物学的サンプル中に存在した可能性のある夾雑PCR産生物を分解することができる。インキュベーション後、前記温度を95℃まで上昇させて、DNAを2分間変性させてからPCR反応を行ってもよい。95℃、2秒間、および60℃、9乃至15秒間を50サイクルする典型的な2温度増幅アッセイを、セグメント180を95℃に、およびセグメント190を60℃に設定し、アクチュエータ332および342を交互に開閉して、前記反応混合物を前記セグメント間を移動させることによって行うことができる。95℃、2秒間、60℃、8乃至10秒間、および72℃、8乃至12秒間を50サイクルする典型的な3温度増幅アッセイを、セグメント120を95℃に、セグメント130を72℃に、およびセグメント140を60℃に設定し、アクチュエータ322、332および342を交互に開閉して、前記反応混合物を前記セグメント間を移動させることによって行うことができる。光度計492などの検出センサをブロック344に搭載して、前記小管壁を通して前記レポータからのリアルタイム蛍光放出を監視することができる。
【0108】
本願明細書に引用されるすべての特許および公報は、引用によりここに援用する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1Aは小管を含むサンプル管の例示的な実施態様の正面図。図1Bは分析器の内部に配置したサンプル管の断面図。
【図2】図2Aは小管を含むサンプル管の断面図。図2Bはサンプル管の別の例示的な実施態様の透視図。
【図3】図3Aおよび3Bはそれぞれサンプル管の例示的な実施態様の正面図および側面図。
【図4】図4Aは分析器に配置されたサンプル管の例示的な実施態様の断面図。図4Bは生物学的サンプルの実施態様の概略の拡大図。
【図5】図5Aおよび5Bはそれぞれ分析器煮は位置されたサンプル管の例示的な実施態様の断面図および透視図。
【図6】図6A乃至6Cはサンプルを受けるサンプル収集装置の実施態様の断面図。
【図7】図7Aおよび7Bはそれぞれ粉砕システムの例示的な実施態様の断面図および透視図。
【図8】本願明細書に開示した装置および方法の選択された例示的な実施態様を用いて作成された実験データのグラフ。
【図9】本願明細書に開示した装置および方法の選択された例示的な実施態様を用いて作成された実験データのグラフ。
【図10】本願明細書に開示した装置および方法の選択された例示的な実施態様を用いて作成された実験データのグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを処理する小管であって、
少なくとも3つのセグメントであって、
当該セグメントのそれぞれが前記小管によって決定され、
少なくとも部分的には破壊可能なシールによって流体的に隔離され、
別のセグメントから排出されたある容積の流体を受け止められるように膨張可能であって、
圧縮された場合には実質的に流体が入らないように圧縮可能である、セグメントであって、
当該小管において、少なくとも3つのセグメントがそれぞれ少なくとも1種類の試薬を含有する、
少なくとも3つのセグメントを含む、サンプルを処理する小管。
【請求項2】
請求項1に記載の小管であって、当該小管の少なくとも一部分が透明である、小管。
【請求項3】
請求項1に記載の小管であって、さらに、少なくとも1つのセグメントと流体的なつながりを有する少なくとも1つの圧力ゲートを含む、小管。
【請求項4】
請求項1に記載の小管であって、さらに、前記小管の中にに少なくとも1つのフィルタを含む、小管。
【請求項5】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、少なくとも1種類の前記試薬には、サンプルが前記小管に加えられたときに、前記サンプルの予め選択された成分に特異的に結合できる基質が含まれる、小管。
【請求項6】
請求項5に記載の小管であって、当該小管において前記の予め選択された成分が核酸である、小管。
【請求項7】
請求項6に記載の小管であって、当該小管において、核酸に特異的に結合することができる前記物質には、抗体、核酸、ペプチド核酸、ホスホチオ酸核酸、シリカコーティングされた表面、静電的に帯電した表面、および酵素のうちの少なくとも1つが含まれる、小管。
【請求項8】
請求項7に記載の小管であって、当該小管において、核酸に特異的に結合できる前記物質が予め選択されたアミノ酸、または塩基配列を有する、小管。
【請求項9】
請求項5に記載の小管であって、当該小管において、前記物質が、レセプタ、リガンド、抗体、抗原、核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、ホスホチオ酸核酸プローブ、バクテリオファージ、シリカ、および静電的に帯電した表面のうちの少なくとも1つを含む、小管。
【請求項10】
請求項5に記載の小管であって、当該小管において、前記物質が、細菌、ウイルス、寄生虫、細胞、核酸、または胞子のうちの少なくとも1つの予め選択された成分に特異的に結合できる、小管。
【請求項11】
請求項10に記載の小管であって、当該小管において、前記基質がペスト菌、野兎病菌、リステリア・モノサイトゲネス、炭疽菌、大腸菌、サルモネラ腸炎菌、カンピロバクター・ピロリ、カンピロバクター・ジェジュニ、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌、髄膜炎菌、コレラ菌、結核菌、およびライ菌のうちの少なくとも1つの予め選択された成分に特異的に結合することができる、小管。
【請求項12】
請求項10に記載の小管であって、当該小管において、前記物質がヒト免疫不全ウイルス1型、ヒト免疫不全ウイルス2型、インフルエンザウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ウエストナイルウイルス、ハンタウイルス、および天然痘のうちの少なくとも1つの予め選択された成分に特異的に結合することができる、小管。
【請求項13】
請求項10に記載の小管であって、当該小管において、前記物質が、熱帯マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、熱帯リーシュマニア、ドノバン・リーシュマニア、幼児リーシュマニア、大形リーシュマニア、メキシコリーシュマニア、シャーガスリーシュマニア、ブラジルリーシュマニア、およびアマゾンリーシュマニアのうちの少なくとも1つの予め選択された成分に特異的に結合できる、小管。
【請求項14】
請求項5に記載の小管であって、当該小管において、前記物質が固体基質に結合している、小管。
【請求項15】
請求項14に記載の小管であって、当該小管において、前記物質が前記固体基質上にコーティングを形成している、小管。
【請求項16】
請求項14に記載の小管であって、当該小管において、前記固体基質がビーズ、パッド、フィルタ、シート、静電的表面、および小管壁表面の一部分のうちの少なくとも1つを含む、小管。
【請求項17】
請求項14に記載の小管であって、当該小管において、前記基質がシリカビーズ、磁気ビーズ、シリカ磁気ビーズ、ガラスビーズ、ニトロセルロースコロイドビーズ、および磁化ニトロセルロースコロイドビーズのうちの少なくとも1つを含む、小管。
【請求項18】
請求項14に記載の小管であって、当該小管において、前記物質がシリカを含み、前記基質がフィルタまたはシートを含む、小管。
【請求項19】
請求項14に記載の小管であって、当該小管において、前記基質が、紙、フィルム、フィルタ、泡、メッシュ、および繊維マトリクスのうちの少なくとも1つを含む吸収物質から少なくとも部分的に形成されるパッドを含む、小管。
【請求項20】
請求項14に記載の小管であって、当該小管において、前記基質が小管壁に結合している、小管。
【請求項21】
請求項1に記載の小管であって、当該小管がさらに基質を含み、当該小管において前記基質が紙、フィルム、フィルタ、泡、メッシュ、および繊維マトリクスのうちの少なくとも一つを含む吸収物質から少なくとも部分的につくられるパッドを含む、小管を含む、小管。
【請求項22】
請求項1に記載の小管であって、さらにサンプルを前記小管に導入するための開口末端を含む、小管。
【請求項23】
請求項22に記載の小管であって、さらに前記開口末端を閉じるためのキャップを含む、小管。
【請求項24】
請求項23に記載の小管であって、当該小管において、前記キャップがスワブ、棒、スコップ、接種ループ、ピンセット、ドロッパ、キャピラリ管、および注射器のうちの少なくとも1つを含む、サンプル収集デバイスを含む、小管。
【請求項25】
請求項24の小管であって、当該小管において、前記サンプル収集デバイスが、前記キャップが前記小管に対して前記小管の開口末端が閉じるように配置されたとき、前記デバイスから前記小管へサンプルを移すように、前記キャップ中または前記キャップ上に配置される、小管。
【請求項26】
請求項23に記載の小管であって、当該小管において、前記キャップが前記小管と流体のつながりを有するチャンバを含有する空間を規定する、小管。
【請求項27】
請求項23に記載の小管であって、当該小管において、前記キャップが、膨張可能なチャンバを決定するメンバを前記キャップの中に含む、小管。
【請求項28】
請求項27に記載の小管であって、当該小管において、キャップの壁が通気口を決定する、小管。
【請求項29】
請求項1に記載の小管であって、さらに前記小管が装着されているフレームを含む、小管。
【請求項30】
請求項29に記載の小管であって、当該小管において、前記フレームが、インターフェースであって、当該インターフェースが前記小管の開口末端を受け止めることができるインターフェースを含む、小管。
【請求項31】
請求項30に記載の小管であって、当該小管において、前記インターフェースがキャップも受け止め、それによって前記小管の開口末端を密封する、小管。
【請求項32】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、少なくとも1種類の試薬が、希釈バッファ、懸濁バッファ、基質、溶解試薬、中和試薬、洗浄バッファ、溶出試薬、発芽試薬、および増幅試薬のうちの少なくともいずれか1つを含む、小管。
【請求項33】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、少なくとも1種類の試薬が、Trisバッファ、水、およびポリメラーゼ連鎖反応に好適なバッファのうちのいずれか1つを含む、溶出バッファを含む、小管。
【請求項34】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、少なくとも1種類の試薬が、グアニジニウム塩、カオトロピック塩、赤血球溶解試薬、浄化剤、キレート剤、胞子発芽試薬、水酸化ナトリウム、プロテイナーゼK、DNase阻害剤、RNase、RNase阻害剤、抗凝血剤、凝血剤、プロテアーゼ、発芽溶液、および界面活性剤のうちの少なくとも1つを含む、溶解試薬を含む、小管。
【請求項35】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、少なくとも1種類の試薬が、心脳融合培地ならびにL-アラニン、イノシン、L-フェニルアラニン、L-セリンおよびL-プロリンのうちの少なくとも1つを含む発芽試薬を含む、小管。
【請求項36】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、少なくとも1つの破壊可能なシールが剥離可能なシールである、小管。
【請求項37】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、各破壊可能なシールが剥離可能なシールである、小管。
【請求項38】
請求項1に記載の小管であって、当該小管がさらに、サンプルを導入することができる開口部を有する近位端、および遠位端を含み、当該小管において、第2のセグメントが第1のセグメントより遠位であって、第3のセグメントが前記第2のセグメントの遠位である、小管。
【請求項39】
請求項38に記載の小管であって、当該小管において第1のセグメントが基質を含有し、前記第2のセグメントが洗浄バッファを含有し、および前記第3のセグメントが、増幅試薬、溶出試薬、および溶解試薬から選択された試薬を含有する、小管。
【請求項40】
請求項38に記載の小管であって、当該小管において、第1のセグメントが発芽試薬、懸濁バッファ、溶解試薬、中和試薬、および希釈試薬から選択された試薬を含有し、前記第2のセグメントが基質を含有し、および前記第3のセグメントが洗浄バッファを含有する、小管。
【請求項41】
請求項38に記載の小管であって、当該小管において第1のセグメントが懸濁バッファ、基質、溶解試薬、洗浄バッファ、および希釈試薬から選択された試薬を含有し、前記第2のセグメントが溶出試薬を含有し、および前記第3のセグメントが増幅試薬を含有する、小管。
【請求項42】
請求項38に記載の小管であって、当該小管において、第1のセグメントが希釈バッファを含有し、前記第2のセグメントが溶解試薬、発芽試薬、または中和試薬のいずれかを含有し、および前記第3のセグメントが基質を含有する、小管。
【請求項43】
請求項38に記載の小管であって、当該小管において、第1のセグメントが基質を含有し、前記第2のセグメントが希釈試薬、懸濁バッファ、溶解試薬、発芽試薬、および洗浄バッファから選択された試薬を含有し、および前記第3のセグメントが洗浄バッファを含有する、小管。
【請求項44】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、前記第1のセグメントが実質的に直線のアレイを形成している、小管。
【請求項45】
請求項1に記載の小管であって、当該小管において、前記セグメントが連続的なアレイを形成している、小管。
【請求項46】
サンプルを処理する小管であって、
第1のセグメントおよび第2のセグメントであって、その両方が
前記小管によって決定され、
破壊可能なシールで流体的に隔離されており、
別のセグメントから排出されたある容積の流体を受け止められるように膨張可能であって、
圧縮された場合には実質的に流体が入らないように圧縮可能であるセグメントであって、
当該小管において前記第1のセグメントがバッファを含有し、前記第2のセグメントが乾燥ポリメラーゼ連鎖反応試薬を含有する、
セグメントを含む、小管。
【請求項47】
サンプルを処理する小管であって、
連続するセグメントの実質的に直線状のアレイであって、
各当該セグメントが前記小管によって決定され、
少なくとも部分的には破壊可能なシールによって流体的に隔離され、
別のセグメントから排出されたある容積の流体を受け止められるように膨張可能であって、
圧縮された場合には実質的に流体が入らないように圧縮可能であるセグメントを含む小管であって、
当該小管において、
セグメントが溶解試薬および希釈バッファのうちの少なくとも1つを含有し、
セグメントが少なくとも核酸結合試薬を含有し、
セグメントが少なくとも洗浄バッファを含有し、
セグメントが少なくとも核酸溶出試薬を含有し、
セグメントが少なくとも核酸増幅試薬を含有する、
小管。
【請求項48】
サンプルを処理する方法であって、
サンプルを、破壊可能なシールで流体的に隔離された複数のセグメントに分離された小管に導入するステップであって、当該ステップにおいて前記小管が廃棄物を受け止める近位端、およびアッセイを実施する遠位端を有する、ステップと、
前記小管のセグメント中のサンプルをサンプルの予め選択された成分に特異的に結合することができる物質でインキュベートするステップと、
前記の予め選択された成分を含有するセグメントの遠位にある小管をクランプでしめてそのセグメントを圧縮することによって、予め選択された成分から廃棄物を取り除くステップと、
予め選択された成分を含有するセグメントおよびそのセグメントの遠位にある試薬を含有するセグメントの少なくとも1つを圧縮することによって、流体的に隔離された隣接する遠位セグメントから試薬を放出して前記の予め選択された成分と混合し、それによって破壊可能なシールを開けて、前記の予め選択された成分を含有するセグメントに前記試薬を押し出すか、または前記の予め選択された成分を前記試薬を含有するセグメントに押し出すステップと、
を含む、方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、さらに前記物質を捕捉するステップを含む、方法。
【請求項50】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、前記物質がシート、小管壁表面の一部分、パッド、フィルタ、または磁気ビーズのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項51】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、前記物質がシート、小管壁表面の一部分、パッド、フィルタ、または磁気ビーズのうちの少なくとも1つに結合されている、方法。
【請求項52】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において前記物質が磁気ビーズと結合されており、前記方法がさらに磁場をかけるステップを含む、方法。
【請求項53】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において取り除くステップがさらに遠位端から近位端の順序で前記廃棄物を含有するセグメントを連続的に圧縮するステップを含む、方法。
【請求項54】
請求項48に記載の方法であって、さらに乾燥試薬を再構築するステップであって、当該ステップにおいて再構築流体を含有するセグメントに隣接する前記小管をクランプでしめ、そのセグメントを圧縮し、それによって破壊可能なシールを開けて、前記乾燥試薬を含む隣接するセグメントに再構築流体を押し出すステップを含む、方法。
【請求項55】
請求項48に記載の方法であって、さらに、すきまを残すように前記セグメントを圧縮することによって薄層流チャンネルを形成するステップを含む、方法。
【請求項56】
請求項48に記載の方法であって、さらに、ある量の流体を含有する隣接するセグメントを交互に圧縮することによって、前記量の流体を混合するステップを含む、方法。
【請求項57】
請求項48に記載の方法であって、さらに、セグメントの圧縮および緩和を繰り返すことによって、前記セグメント中のある量の流体を撹拌するステップを含む、方法。
【請求項58】
請求項48に記載の方法であって、さらに前記サンプルをフィルタに押し通すステップを含む、方法。
【請求項59】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、予め選択された成分に核酸が含まれ、前記方法がさらに、ポリメラーゼ連鎖反応法、rolling circle amplification法、リガーゼ連鎖反応法、転写媒介増幅法、核酸配列ベース増幅法、およびstrand displacement
amplification reaction法のうちの少なくとも1つによって、核酸を増殖するステップを含む、方法。
【請求項60】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、前記の予め選択された成分にリボ核酸が含まれ、前記方法がさらに逆転写によるデオキシリボ核酸を合成するステップを含む、方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法であって、さらに、ポリメラーゼ連鎖反応法、rolling circle amplification法、リガーゼ連鎖反応法、転写媒介増幅法、核酸配列ベース増幅法、およびstrand displacement
amplification reaction法のうちの少なくとも1つによって、合成されたデオキシリボ核酸を増殖するステップを含む、方法。
【請求項62】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、前記の予め選択された成分にリボ核酸が含まれ、前記方法がさらに逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応によってデオキシリボ核酸を合成および増殖するステップを含む、方法。
【請求項63】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、前記の予め選択された成分に核酸が含まれ、前記方法がさらにT4 DNAリガーゼを用いて1本鎖パドロックプローブを環状化するステップと、エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIIIを用いて1本鎖環状パドロックプローブを選択するステップと、前記1本鎖環状パドロックプローブを直線化するステップと、前記直線状パドロックプローブを増幅するステップを含む、方法。
【請求項64】
請求項48に記載の方法であって、さらにT4 DNAリガーゼを用いて1本鎖パドロックプローブを環状化するステップと、rolling circle amplificationを用いて1本鎖環状DNAプローブを増幅するステップとを含む、方法。
【請求項65】
請求項48に記載の方法であって、さらに前記増幅産生物を検出するステップを含む、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、当該方法において、検出ステップが、前記増幅産生物に結合させた色素からの発光を測定するステップを含む、方法。
【請求項67】
請求項48に記載の方法であって、さらに前記サンプルを得るステップを含む方法であって、当該方法において、前記サンプルが、細胞、細菌、胞子、ウイルス、微生物、口腔内細胞、頚部細胞、生検組織、弁、生物学的流体、尿膜液、羊水、腹水、胆汁、胆汁酸、胆汁塩、胆汁色素、血液、血液血漿、血液血清、脳脊髄液、絨毛膜液、初乳、消化液、胃液、腸液、膵液、浸出液、血リンパ、悪露、リンパ、乳糜(にゅうび)、乳、粘液、心嚢液、腹水、汗、胸膜液、唾液、皮脂、精液(semen)、精液(seminal fluid)、痰、滑液、涙、濾出液、尿、膣液、土壌、および環境に存在する水のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項68】
請求項48に記載の方法であって、当該方法において、前記サンプルに胞子が含まれ、前記方法がさらに前記サンプルを発芽溶液でインキュベートし、それによって前記胞子の発芽が誘導されるステップを含む、方法。
【請求項69】
請求項48に記載の方法であって、さらに前記サンプルを粉砕するステップを含む、方法。
【請求項70】
請求項48に記載の方法であって、さらにセグメントを圧縮して前記小管セグメントの中が一定の体積に設定し、クランプを閉じて前記セグメント内の容積を決定して隣接するセグメントの過剰な容積を分離することによって、流体の容積を調節するステップを含む、方法。
【請求項71】
請求項48に記載の方法であって、さらに、液体を含有するセグメントを撹拌して、前記セグメントの容積を調節して、空気を隣接するセグメントに区分することによって、気泡を取り除くステップを含む、方法。
【請求項72】
請求項48に記載の方法であって、さらに、アクチュエータまたはクランプで第2の破壊可能なシールを物理的に保護して前記第2の破壊可能なシールを破壊から保護し、その一方で前記セグメントを圧縮して前記第1の破壊可能なシールを破壊することによって第1の破壊可能なシールを選択的に開くステップを含む。
【請求項73】
請求項48に記載の方法であって、さらに、前記第1の破壊可能なシールに隣接するセグメントを圧縮して、前記第1の破壊可能なシールが前記の隣接するセグメントの中で生じた圧力によって破壊され、それによって、組み合わさったセグメント中の圧力が圧縮されていないセグメントに隣接する第2の破壊可能なシールを破壊するのに不十分な程度下がることによって、選択的に破壊可能なシールを破壊するステップを含む、方法。
【請求項74】
請求項48に記載の方法であって、さらに、前記サンプルから溶出試薬を含有するセグメントを分離している破壊可能なシールを開けることによって、前記サンプルを溶出するステップを含む、方法。
【請求項75】
請求項48に記載の方法であって、さらに、前記サンプルから溶解試薬を含有するセグメントを分離している破壊可能なシールを開けることによって、前記サンプルを溶解するステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−518221(P2006−518221A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508686(P2006−508686)
【出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/003541
【国際公開番号】WO2004/080597
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(306014312)アイキューム,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】IQUUM,INC.
【住所又は居所原語表記】214 Linclon Street, Suite 300,Allston, MA 02134−1348 (US).
【Fターム(参考)】