サンプルの分配
【課題】本発明は改良された分析対象物の分離方法、及び改良された分析システムを提供する。
【解決手段】自動分析器において、線状に配列されたサンプル容器から、2次元n×m配置列を有する処理プレートへ、サンプルを分配する方法であって、サンプルを仕分けした後、線状に配列されたピペット装置で2次元n×m配列された処理容器への搬送を行い、その後2次元n×m配列された第2ピペット装置を使ってサンプルを処理する方法が記載される。
【解決手段】自動分析器において、線状に配列されたサンプル容器から、2次元n×m配置列を有する処理プレートへ、サンプルを分配する方法であって、サンプルを仕分けした後、線状に配列されたピペット装置で2次元n×m配列された処理容器への搬送を行い、その後2次元n×m配列された第2ピペット装置を使ってサンプルを処理する方法が記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動システムにおける分析対象物の単離方法、及び分析対象物を処理する分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
診断分野で使用される分析システムは、分析される分析対象物を含むサンプルを処理する必要がある。
【0003】
この処理とは、サンプルの仕分け、容器の搬送、或いは、容器から別容器への液体サンプルや試薬の搬送である。処理能力を上げるために、ピペット先端部や単一容器、或いはマルチウェル・プレートといった消耗品を多数使用して、同時処理を行うことが多い。完全1体型で、サンプル調製からその分析方法による結果を得るにいたるまでの全工程を実行する分析器も関心が寄せられている。特許文献1は、このような分析器の1つを記載している。この分析器は、サンプルを連続的に処理する。即ち、サンプルは線状に(1次元に)配列された1次サンプル管から、別の線状に(1次元に)配列された試験管(MTU)へ搬送され、サンプルを投入した分析器内で連続的に処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/057561号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は改良された分析対象物の分離方法、及び改良された分析システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動分析システムにおいて流体サンプル内に存在する分析対象物を単離する方法を提供する。この方法は、
a)制御部で仕分けを制御して、サンプルを識別子と共に自動システムに搭載するか、又は、サンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて搭載したサンプルを識別する工程と;
b)個別サンプルを処理プレート内で2次元n×m配列された個別テストに割り当てるという指示を制御部から第1ピペット装置及び第2ピペット装置へ送る工程と;
c)ピペット先端部と結合し、線状に配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置を使って、流体サンプルを少なくとも2個のサンプル容器から処理プレートの少なくとも2個の容器へ搬送する工程と;
d)固体支持材料と該流体サンプルとを、分析対象物が固体支持材料上に固定化するのに十分な時間及び条件で、該処理プレートのウェルで混合する工程と;
e)分離ステーションにおいて、流体サンプル中に存在する他の材料から固体支持材料を単離する工程と;
f)固体支持材料から流体サンプルを分離し、支持物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することよって、分離ステーションにおいて分析対象物を精製する工程であって、ピペット先端部に結合される2次元配列されたピペットユニットを有する第2ピペット装置によって、固体支持材料と洗浄緩衝液とを吸引し分注することによって混合する工程;とを有する自動化工程であって、
工程a)で使用したピペット先端部を工程d)で再利用する。
【0007】
本発明の方法によれば、機器内でのより効率的な処理が可能となる。制御部によってサンプルの仕分けを行うので、個別サンプルを1つの処理プレート内での個別のテストに割り当てることが出来る。2次元配列された容器を有するプレートを使用するので、n×m個のサンプルを同時に分析でき、処理能力が増進する。したがって、本発明に記載の方法の好適実施形態おいて、処理プレートのウェルは一体的に形成されている。より好適な実施形態を下記に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1形式のピペット先端部及び第2形式のピペット先端部の斜視図であり、B)はピペット・ニードルを示す図である。
【図2】第2形式のピペット先端部を有する処理ヘッドの位置合わせのために整列した、処理ヘッド底部の位置決め要素と、上部ラックの上面位置決め要素の斜視図である。
【図3】第2実施形態の先端部ラックを示す部分図である。
【図4】処理プレートの斜視図である。
【図5】逆の角度からの上記処理プレートの斜視図である。
【図6】上記処理プレートの上面図である。
【図7】上記処理プレートの長寸側辺に沿う断面図である。
【図8】上記断面図の部分図である。
【図9】上記処理プレートの上記長寸側辺の斜視図である。
【図10】上記処理プレートの底部の斜視図である。
【図11】上記処理プレートの上記底部のさらに垂直な斜視図である。
【図12】上記処理プレートの容器に対する、分離ステーションの第1好適実施形態の小寸磁石の装着を示す図である。
【図13】先端部ラックと把持用フィンガーとの相互作用を示す図である。把持部のフォームロックにより、X方向及びY方向の動きが妨げられる(右側パネル参照)。
【図14】操作器とマルチウェル・プレートとの相互作用を示す図である。把持用フィンガーがマルチウェル・プレートの開口部に連結され、フォームロックによって把持される。
【図15a】ロボットアームに結合した操作器を示す図であり、把持用フィンガーによる消耗品の連結及び解除を示す図である。
【図15b】ロボットアームに結合した操作器を示す図であり、把持用フィンガーによる消耗品の連結及び解除を示す図である。
【図15c】は、操作器が同一のインターフェースで別の消耗品と相互に作用する状態を示す図である。
【図16】フレームに結合される、互い違いに配置されたモジュールを有する2個のピペットユニットを示す図である。
【図17】互いに近接した状態に動いた2個のピペットユニットを示す図である。
【図18】a)は、1個のフレーム部に結合する5個のピペットユニットを示す図であり、4個のピペットユニット近接し、第5のピペットユニットは独立して他のユニットから離れている。b)は、互いに近接する8個のピペットユニットを示す図である。
【図19】a)Z方向には動くがY方向には動かないようにサポートに固定された2個のユニットを有する装置を示す図であり、b)はa)の2個のユニットを部品ごとに分けた図である。
【図20】a)からc)は、フレーム部とY-キャリッジ又は固定ブロックとの接合を示す図である。
【図21】a)はアダプタープレートを示す図であり、b)はフレーム部に固定されたピペットユニット付きのアダプタープレートを示す図である。
【図22】a)からc)は、センサーの例を示す図である。
【図23】本発明の分析システムを示す図である。
【図24】分離ステーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、自動分析システムにおいて流体サンプル内に存在する分析対象物を単離する方法を提供する。この方法は、
a)制御部で仕分けを制御して、サンプルを識別子と共に自動システムに搭載するか、又は、サンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて搭載したサンプルを識別する工程と;
b)個別サンプルを処理プレート内で2次元n×m配列された個別テストに割り当てるという指示を制御部から第1ピペット装置及び第2ピペット装置へ送る工程と;
c)ピペット先端部と結合し、線状に配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置を使って、流体サンプルを少なくとも2個のサンプル容器から処理プレートの少なくとも2個の容器へ搬送する工程と;
d)固体支持材料と該流体サンプルとを、分析対象物が固体支持材料上に固定化するのに十分な時間及び条件で、該処理プレートのウェルで混合する工程と;
e)分離ステーションにおいて、流体サンプル中に存在する他の材料から固体支持材料を単離する工程と;
f)固体支持材料から流体サンプルを分離し、支持物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することよって、分離ステーションにおいて分析対象物を精製する工程であって、ピペット先端部に結合される2次元配列されたピペットユニットを有する第2ピペット装置によって、固体支持材料と洗浄緩衝液とを吸引し分注することによって混合する工程;とを有する自動化工程であって、
工程a)で使用したピペット先端部を工程d)で再利用する。
【0010】
好適には、工程a)はさらに、自動システムに搭載されたサンプルをサンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて仕分けすることを含み、その仕分けは、工程b)において制御部によって制御される。さらに、工程b)に先立って、指示を入力するか、或いはサンプルの識別性に関する情報を読取機から制御装置へ転送してもよい。
【0011】
2次元n×m配列された容器中でのサンプルの単離/分析は、多数のサンプルを同一の条件下に置き、同時に単離/分析できる点で、連続処理と比べて有利である。サンプルの個別搭載、或は線状配列したサンプルの連続処理を行う場合には、サンプルを仕分けし、線状配列のサンプル管から2次元配列の処理容器へ移さなければならない。
【0012】
ここで用いられる「分析対象物」という用語は、検出に対して関心対象となる任意の種類の生体分子であり得ると共に、その検出は、生物の診断的状態を表す。上記生物は、動物、さらに好適には人間であり得る。好適には、上記分析対象物は、タンパク質、ポリペプチド、抗体、又は、核酸である。さらに好適には、上記分析対象物は核酸である。「単離」という用語は、液体サンプル中に存在する他の物質から分析対象物を分離することに関する。
【0013】
「流体サンプル」という用語は、個体から得られ、分析プロセス中に液体状態で使用する或は使用可能な任意のサンプルに関連する。流体サンプルの非限定的な例は、全血、血漿、血清、唾液、肺胞洗浄、液化排泄物である。
【0014】
ここで用いられる「サンプルタイプ」という用語は、上記に列挙したような液体サンプルのタイプに関連して使用されるが、この用語はこれらのタイプに限定はされない。
【0015】
「実施される分析テスト」という用語は、特定のサンプルに対して行われる分析のタイプに関連する。
【0016】
第1ピペット装置及び第2ピペット装置の好適実施形態を以下に開示する。
【0017】
ここで用いられる「個別サンプル」という用語は処理プレートのある特定の容器に搬送される、或は搬送されることになっているサンプルに関連する。
【0018】
「個別テスト」という用語は、特定の個別サンプルに対して行われる特定のテストに関する。
【0019】
処理プレートの好適実施形態を以下に記載する。
【0020】
「容器」という用語は、単一の容器、又は、マルチ管体ユニットにおける単一の容器、マルチウェル・プレート又はマルチ管体ユニット、又は、マルチウェル・プレートの1つのウェルを意味すると理解される。
【0021】
以下に、ピペット先端部に結合して、線状配列される少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置の好適実施形態をさらに示す。
【0022】
ここで用いられる「固体支持体」という用語は、吸着により直接的かつ非特異的に、又は、間接的かつ特異的に分析対象物が結合し得る任意の種類の固体支持体に関連している。間接的結合は、固体支持体上に固定化された抗体に対する分析対象物の結合、又は、たとえばNiキレートに対する6xHisタグの結合などの、タグ結合化合物に対するタグの結合であり得る。上記分析対象物が核酸であるとき、斯かる間接的結合は好適には、関心対象となる核酸の標的配列と相同性を有する捕捉核酸プローブに対する結合によるものである。故に、固体支持体上に取付けられた捕捉プローブを用いると、標的分析対象物、好適には標的核酸は、標的でない物質、好適には標的でない核酸から分離され得る。斯かる捕捉プローブは、上記固体支持体上に固定化される。固体支持材料は、一種類のポリマーとされ得るか、又は、複数種類のポリマーの組成物とされ得る。他の種類の固体支持材料としては、磁性シリカ粒子、金属粒子などが挙げられる。
【0023】
シリカ粒子に対する核酸の好適な非特異的結合は、カオトロピック化合物の存在下で行われる。斯かる結合はまた、上述の間接的結合と対照的に、直接的結合とも称される。好適には、上記固体支持体は、磁気的な又は磁化可能な物質から成るシリカ粒子である。
【0024】
「固体支持材料に固定される」とは、上記のように直接的に又は間接的に結合されることを意味する。
【0025】
固定支持体に結合された分析対象物は、そこに存在する別の物質から分離することができる。好適には、分離ステーションにおいて、固体支持材料から流体サンプルを分離し、該物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することで、分析対象物を他の物質から分離する。分離ステーションの一実施形態を図24に示し、以下に記載する。
【0026】
第2ピペット装置の好適実施形態の部分図を図2に示す。
【0027】
より好適には、処理プレートは、2次元配列の容器を有するマルチウェル・プレートである。
【0028】
好適には、本発明の方法で使用されるサンプル容器は、線状ラックに設置されている。
【0029】
サンプルの仕分けは、サンプルを識別する情報を制御部に送信することで達成される。よって、サンプル容器には、容器の識別性に関連し、リーダーで読み取る事のできる情報が記憶されている。記憶された情報の好適実施形態は、情報を記憶するバーコードやRFIDである。
【0030】
そして、リーダーは情報を制御部に送信する。各サンプルで個別テストを行うために、制御部は、処理プレート内にn×m状に配置された容器に対して、個別サンプルの最適割り当てを行う。分析処理の開始前にサンプルとテストの最適な仕分け及び割り当てを行うので、分析処理中に処理プレート内に不要な空容器をなくし、処理プレートを最大限に利用できる。これにより、使用者の要求に答える最適な処理能力が得られ、特定数のテストに必要な消耗品が減るためにコスト減となる。
【0031】
ここに記載する本方法の好適実施形態において、工程b)で、制御部から第1プロセッサへ、第1ピペット装置でサンプルを搬送させる指示が送られ、制御部から第2プロセッサへ、第2ピペット装置で工程を実施させる指示が送られる。さらに、サンプルとテストの2次元n×m配列に対する特定割り当てを行い、ピペット先端部ラック内に2次元n×m配列されたピペット先端部でサンプルの割当てが行われる為に第1位置及び第2位置においてピペット先端部を再利用できるので、処理と分析の効率を上げ、コストを下げることが出来る。好適には、nもmも1より大きい。好適には、m>nである。より好適な実施形態において、m>n、かつn>1、かつm>1である。より好適には、nは2と8との間であり、mは2と12の間である。最も好適には、本発明は6×8配列のピペット先端部を有する。ピペット先端部ラックの好適実施形態を以下に記載する。好適実施形態において、工程c)の後、ピペット先端部は2次元n×m配列の先端部ラック内で交換される。上記の有利な効果は、ピペット先端部ラック内のピペット先端部のいずれか1つを、容器が2次元n×m配列された処理プレートの特定の容器に割り当てる工程から得られる。好適には、2次元n×m配列されたピペット先端部ラック中の位置ny/mzにあるピペット先端部を用いて、処理容器内で2次元n×m配列された容器のうち位置ny/mzにある容器にサンプルを分注する。
【0032】
好適実施形態において、プレートには2次元n×m配列された容器、ピペットラックには2次元a×n×m配列された容器があり、aは1以上である。a>1の場合の実施形態をここに開示する。斯かる実施形態において、好適には、ここに示すように、容積が大きいピペット先端部と容積が小さいにピペット先端部という2種類のピペット先端部が先端部ラックに含まれる。
【0033】
好適実施形態では、第2ピペット装置は、2次元n×m配列されたピペットユニットを備える処理ヘッドを有する。好適には、nもmも1より大きい。好適にはm>nである。好適実施形態では、m>n、かつn>1、かつm>1である。より好適には、nは2と8の間であり、mは2と12の間である。最も好適には、本発明は6×8配列のピペットユニットを有する。ピペットユニットはピペット先端部と相互に作用するインターフェースを有するのが分かる。さらにピペットユニットはアクチュエータ、好適には液体を吸引、分注するポンプを有する。
【0034】
好適実施形態において、隣接する2個のサンプル容器間の距離は、処理プレートの隣接する2個の容器間の距離とは異なり、第1ピペット装置における隣接する2個のピペットユニット間の距離は調節可能である。第1ピペット装置の好適実施形態を以下に記載する。
【0035】
ピペット先端部の2次元配置列とは、2次元マトリックス配置であり、線状ではないことを理解することが重要である(即ち、nもmも1より大きい)。
【0036】
好適には、本方法はさらに、精製された分析対象物を分析する工程を含む。
【0037】
また、本発明は、分析対象物を処理する分析システム440に関し、該システムは、
a)線状配列されて液体サンプル1010を有する第1受容器1001と、2次元配列されて液体サンプル1011を保持する受容器103を有する処理プレート101と、線状配列された少なくとも2個のピペットユニット702を有する第1ピペット装置700とを備え、該ピペットユニット702はピペット先端部3、4に結合され、先端部ラック70は2次元a×(n×m)配置されたピペット先端部3、4を有する第1位置と;
b)処理プレート101用ホルダー201、128と、先端部ラック70用ホルダー470と、第2ピペット装置35とを備え、第2ピペット装置35は2次元配列されてピペット先端部3、4と結合するピペットユニット702を有する第2位置;とを含む(図23)。ここで用いられる「ホルダー」という用語は、ラック又は処理プレートを受容できる任意の配列に関する。ある実施形態では、ホルダーは処理ステーション201であり、別の実施形態では、ホルダーは加熱装置128である。本発明によるシステムの概要を示す例を図23に示す。ある実施形態では、第1位置は処理されるサンプル402を調製するモジュールであり、第2位置は分析対象物を単離、精製するモジュールと理解される処理モジュール401である。
【0038】
第1受容器1001は、好適にはラック1002に入っている。好適には、第1位置は、ラック1002用ホルダー1003を有する。
【0039】
好適には、第1位置はさらに、ラック70用ホルダー1007を有する。
【0040】
本発明による分析システム440の利点は、上述したように、本発明の方法にある。
【0041】
好適には、第1ピペット装置700のピペットユニット702の位置は変更可能である。第1ピペット装置700の好適実施形態を以下に記載する。
【0042】
ある実施形態において、先端部ラック70は、2次元a×(n×m)配列されたピペット先端部3、4を含む。好適には、先端部ラック70には、第1形式4及び第2形式3のピペット先端部が含まれる。本実施形態において、第1形式のピペット先端部は2次元配列されており、第2形式のピペット先端部3も2次元配列されている。より好適には、第1形式のピペット先端部4は第2形式のピペット先端部3とは容積が異なり、好適には、第1形式のピペット先端部4の容積は500ulより多く、第2形式のピペット先端部3の容積は500ul未満である。本実施形態において、a=2である。より好適には、第1形式のピペット先端部の容積は0.5mlから5mlであり、第2形式のピペット先端部の容積は0.5ulから500ulである。しかし、本発明は、3種類以上のピペット先端部を有する実施形態、つまりa>2であるものも含む。
【0043】
ある態様では、本発明の分析システム440は、サンプルタイプや個別テストを処理プレート101上の個別位置へ割当てる制御部1006を有する。好適には、この個別位置は別々のセル401、402からなる。
【0044】
ある態様では、分析システムは、処理プレート101及びラック70を第1位置402と第2位置401の間で搬送する搬送システム480をさらに含む。搬送システム480の好適実施形態はコンベヤーベルトであり、より好適には、1以上の操作器である。操作器の好適実施形態を、以下に記載する。
【0045】
さらに、好適には、第2ピペット装置35のピペットユニットは、第1位置402で使用したピペット先端部3、4に係合する。
【0046】
本発明の分析システム440の好適実施形態は、分析対象物を、検出可能な信号を得るのに必要な試薬と共にインキュベートする、温度制御されたインキュベータを有する第三ステーション403をさらに備える。このシステムのさらに好適実施形態を以下に記載する。
【0047】
第1プロセッサ1004と第2プロセッサ1005と用いると、サンプルやテストの2次元配列に対する割り当てのより良い制御が達成できる。処理プレート101に2次元配列された容器103の特定の位置に各サンプルタイプや個別テストを割振るための指示を制御部1006が第1位置402の第1プロセッサ1004に送出し、処理プレートに2次元配列された容器103の特定の位置に各サンプルタイプや個別テストを割り当てるための指示を制御部1006が第2位置402の第2プロセッサ1005に送出する。
【0048】
好適には、本システムがさらに、第1位置に第1プロセッサを有し、第2位置に第2プロセッサを有する。
【0049】
より好適には、第1プロセッサ1004が第1ピペット装置700を制御し、第2プロセッサ1005が第2ピペット装置35を制御する。
【0050】
ピペット先端部の再利用
ある態様では、本発明は、流体サンプル中に存在するかもしれない分析対象物を単離、分析する方法に関する。この方法は、自動化工程として、
a)流体サンプルをサンプル容器から処理容器へピペット先端部で搬送する工程と;
b)固体支持材料と流体サンプルとを処理容器内のウェルで、分析対象物が固体支持材料に固定するのに十分な時間及び条件下で混ぜ合わせる工程と;
c)分離ステーションにおいて、固体支持材料を流体サンプル内に存在する他の物質から単離する工程と;
d)流体サンプルを固体支持材料から分離し、その物質を洗浄緩衝液で1回以上洗浄することにより、分離ステーションにおいて分析対象物を精製する工程と、を含む。
好適には、工程a)で使用されたピペット先端部を、工程a)の後で再利用する。
【0051】
以下に記載する本方法の好適実施形態において、工程a)は、
al)第1位置のラックに保持される第1形式のピペット先端部を第1処理ヘッドに係合する工程と;
a2)第1処理ヘッドに係合する第1形式のピペット先端部により、流体サンプルをサンプル容器から処理容器へ移す工程と;
a3)該ピペット先端部をラック内に置き、ピペット先端部を処理ヘッドから取り外す工程と;
a4)ピペット先端部を含むラックと処理容器を第2位置へ搬送する工程と;
a5)ラックに保持される第1形式のピペット先端部を、第2位置にある第2処理ヘッドに係合する工程と、を含む。
【0052】
好適には、処理容器は2以上の受容器含む。より好適には、処理容器はマルチウェル・プレートである。好適には、この方法は、
e)精製された分析対象物と、検出可能な信号を得るのに必要な試薬とを反応させる工程、
をさらに含む。
【0053】
ピペット先端部を再利用することが、分析方法に使用される使い捨ての消耗品を減らし、コストを下げることにつながる。好適実施形態では、工程d)における洗浄の際に、洗浄緩衝液を、ピペット先端部に係合した処理ヘッドで吸引し分注する。
【0054】
ここで用いられる「受容器」という用語は、単一の容器(又は管)、多管ユニットを構成する1つの管、或いはマルチウェル・プレートの1つのウェル(或いは容器)に関する。
【0055】
好適実施形態において、反応することは、検出可能な信号を生成することである。より好適には、本方法は、検出可能な信号を検出することをさらに含む。
【0056】
ここで用いられる「反応する」という語句は、試薬に対する上記分析対象物の任意の種類の化学反応であって、検出可能信号を獲得するために必要であるという化学反応に関連する。好適には、上記反応は、増幅から成る。増幅は、信号に対する任意の種類の強化として理解され得る。故に、増幅は酵素による分子の変換であり得ると共に、その場合に上記酵素は上記分析対象物に対して連結又は結合されて検出可能信号に繋がり、分析対象物分子が存在するよりも多くの信号分子が形成される。1つの斯かる非限定的な例は、たとえばECLを用いた化学発光色素の形成である。上記分析対象物が核酸ならば、増幅という用語はさらに核酸増幅に関連する。これは、線形増幅、等温増幅、及び指数関数的増幅を含む。核酸増幅方法の非限定的な例は、TMA、SDA、NASBA、及び、リアルタイムPCRを含むPCRである。当業者であれば、斯かる方法は公知である。
【0057】
上述した本方法の好適実施形態では、ピペット先端部を有するラックと処理容器の第2位置への搬送は、分析機器の単独の第1セルと分析システムの第2セル、好適には処理セルとの間で起きる。好適には、ラックは、ピペット先端部を収容する独立した室を有する。
【0058】
好適実施形態において、第1形式のピペット先端部は工程d)の洗浄で再利用される。
【0059】
好適実施形態において、ラックは、第2形式のピペット先端部をさらに含む。上述の方法において、工程d)と工程e)との間で磁性粒子から分析対象物が溶出するのが、さらに好適である。好適実施形態は、分析対象物を、好適には多層プレートである処理容器から、好適には多層プレートである反応容器へ、第2形式のピペット先端部で搬送することを含む。
【0060】
好適な自動分析システム
好適な態様では、本発明のシステムは、
a)分析対象物を有する液体サンプルを保持する第1受容器と、液体サンプルを保持する第2受容器と、ピペット先端部を保持するラックと、液体サンプルを第1受容器から第2受容器へ搬送する第1処理ヘッド、とを有する第1位置と、
b)第2受容器を受容するステーションと、ラックを受容するラック保持ステーションとを有する第2位置と、
c)第2受容器と、ピペット先端部を保持するラックとを第1位置と第2位置との間で搬送する搬送システム、とを有する。
【0061】
これらの位置は、別個のセルであることが好ましい。搬送システムによって搬送されるラックは、第1位置で使用されたピペット先端部を有するのが好ましい。好適実施形態において、第1受容器はサンプル容器であり、第2受容器は処理容器である。さらに好適には、処理容器はマルチウェル容器である。ステーションの好適実施形態を、下記に記載する。
【0062】
ここに記載する分析システムでは、搬送システムが受容器とラックを第1位置から第2の別の位置へ搬送するのが好ましい。好適には、第2の別の位置は磁気分離ステーションである。分析システムは、好適にはさらに増幅ステーションを含む。
【0063】
好適な分析システムにおいて、搬送システムは、ラックと処理容器を把持して、システム内の第1の場所から第2の場所へ搬送すべく構成され、設置された操作器を含む。さらに好適な操作器をここに開示する。
【0064】
本分析システムは、好適には完全に自動化されている。
【0065】
上記自動分析器は第3の場所に配設された反応ステーションをさらに備えて成り、該反応ステーションは、上記分析対象物を分析して検出可能信号を獲得すべく構成かつ配置される。反応ステーションの別の好適実施形態は、インキュベータを備えて成るステーションである。好適には、上記インキュベータは温度制御式のインキュベータである。さらに好適には、上記インキュベータは1つの一定温度に保持される。インキュベータの別の好適実施形態は、サーマルサイクラー・ブロックである。好適には、上記反応ステーションに対し、さらに好適には、上記インキュベータに対し、検出可能信号を検出する検出器が一体的に接続される。好適な検出器は、周期的な測定及び定量のための核酸定量システムを備えて成る。さらに好適には上記検出器は付加的に、信号を検出する核酸検出システムであって、閾値レベルを超える信号が検出されたか否かに基づいて反応受容器内の核酸の有無を確定するというシステムを備えて成る。
【0066】
代替的に、上記自動分析器は付加的に、検出ステーションを備えて成る。該自動分析器はさらに、搬送機構を備えて成る。該搬送機構は、消耗品を操作する操作器を備えて成る。該操作器は好適には、消耗品を各ステーション間で搬送する。一実施形態において上記搬送機構は、上記サンプル容器及び上記ラックを、上記サンプル分注ステーションから上記分離ステーションへと搬送すべく構成かつ配置される。本発明の上記自動分析器の更なる好適実施形態は、ここに開示された個別的な又は組み合わされた特徴を備えてなる。
【0067】
好適実施形態において、本発明の分析装置400は、分析対象物の処理を行う少なくとも1つのモジュール401を備え、その処理とは液体の分注である。処理モジュール401は、
a)下面61に位置決め要素36が設けられ、ピペット先端部3、4と係合する処理ヘッド35と、
b)処理ヘッド35の位置決め要素36と機械的に係合可能な位置決め要素31、32、33、34を有し、ピペット先端部3、4を保持する先端部ラック60、70、とを備える。
【0068】
上述された分析装置400の好適実施形態において、処理モジュール401は、分析対象物の単離及び精製のためのモジュールである。故に、ここで用いられる「処理」という用語は、分析対象物の単離及び/又は分離及び/又は捕捉及び/又は精製に関連すると理解される。好適には、装置400は、処理のためにサンプルを調製するモジュール402を備えて成る。好適には装置400は、上記分析対象物の増幅のためのモジュール403を備えて成る。一好適実施形態において上記装置は、増幅試薬を、格納受容器から、精製済み分析対象物を含む受容器へと移送するモジュール404を付加的に備えて成る。上記装置の更なる好適実施形態は、上記に及び下記に記述される。
【0069】
本発明はまた、核酸に基づく増幅反応を実施する際に使用される自動分析器400に関し、分析器は複数のモジュール401、402、403を備えて成る。1つのモジュールは、該分析器内の第1位置に配設された処理モジュールであって、サンプル中の他の物質から核酸を分離すべく構成かつ配置された処理モジュールである。該処理モジュールは、本明細書において記述される如き分離デバイスを備えて成る。上記分析器は、該分析器内の第2位置に配設かつ配置された増幅モジュールをさらに備えて成る。該増幅モジュールは、好適には分離済み核酸を備えて成るマルチウェル・プレートである、少なくとも一個の受容器の内容物と、サンプル中の標的核酸を表す増幅生成物を生成する一種類以上の増幅試薬とをインキュベートする温度制御式のインキュベータを備えて成る。
【0070】
ここでは、「モジュール」という用語と「セル」という用語は、同じ意味で使われる。
【0071】
先端部ラックの好適実施形態
典型的な先端部ラックの好適実施形態は、ワンピース式一体型先端部ラック70であり、上面71、対向する2個の短辺壁72、及び対向する2つの長寸側壁73を有する(図2)。先端部ラックは、ピペット先端部3、4を保持する容器74、75を備えて成る。上記容器74、75は、開口する上部76と閉じた底部77を有する。いずれか1つの容器74、75で、1つの先端部3、4を保持できる。ラック70の設置面積は、好適には、ANSI SBS設置面積フォーマット本質的に対応する基部の長さ及び幅から成る。より好適には、長さは127.76mm±0.25mmであり、幅は85.48mm±0.25mmである。第2実施形態の好適実施形態は、ハードウエア識別子6、7、39と、分析機器の対抗要素と係合して、ラックの第1実施形態で記載したようにラックを機器内に押し下げる凹部37とを備えて成る。好適実施形態では、第1実施形態のラック60で記載したような、位置決め要素31、32、33、34、10をさらに備えて成る。
【0072】
マルチウェル・プレート/処理プレート
本発明の処理プレート101は好適には、単一構成要素式のプレートである。その上面110は、複数の容器103を備える(図4から図6)。各容器は、上部に開口108を有すると共に、底端部112にて閉じられる。上面110は、該上面110に対して好適に高位とされたリブ104であって、容器103の開口108を囲繞するというリブ104を備えて成る。これにより、プレート101の上面110上へと落下し得る液体の小滴による容器103の内容物の汚染が阻止される。好適な処理プレートの図は、図4から図13に示される。
【0073】
処理プレート101の設置面積は好適には、ANSI SBS設置面積フォーマットに対応する基部の長さ及び幅から成る。さらに好適には、長さは127.76mm±0.25mmであり、幅は85.48mm±0.25mmである。故にプレート101は、対向する2つの短寸側壁109及び対向する2つの長寸側壁118を有する。処理プレート101は、操作器500と相互作用するフォーム・ロック要素106を備える。処理プレート101は、正しい配向及び姿勢を維持しながら、高速にて迅速かつ安全に、把持され、搬送され、且つ、位置決めされ得る。好適には、把持のためのフォーム・ロック要素106は、処理プレート101の上側の中央部分内、好適には上側の中央の1/3の部分内に配置される。このことは、処理プレート101に生じうる歪曲がフォーム・ロック要素106に対して僅かな影響しか及ぼさず、プレート101をより確実に取り扱える、という利点を有している。
【0074】
好適には、処理プレート101は、ハードウエア識別子102及び115を備える。ハードウエア識別子102及び115は、処理プレート101に固有のもので、同じシステムで用いられる他の消耗品のハードウエア識別子とは異なる。好適には、ハードウエア識別子102、115は、消耗品の側壁上の凸部119及び/又は凹部125を備え、凸部119及び/又は凹部125のパターンは、好適には処理プレート101である特定の種類の消耗品に固有である。この固有のパターンを、ここでは固有の「表面形状」とも称する。ハードウエア識別子102、115によって、使用者が処理プレート101を分析機器126の適切な積み重ね位置に、正しい方向で、確実に載せる事が出来るようになる。処理プレート101は、側面にガイド要素116及び117を有する(図11)。これにより、処理プレート101が傾くのを防ぐ。ガイド要素116、117によって、使用者は、ガイド要素116、117の付いた処理プレート101を分析機器内に積み重ね、プレートを傾ける事なく、機器内のスタッカーで垂直に搬送できる。
【0075】
容器103の各列123の間には、連続空間121が設けられる(図10、11)。この空間121は、磁石122又は加熱装置128を収容しうる。
【0076】
容器103の上端部にて、該容器103の短寸側壁109の一方に、周縁リブ104まで延在する試薬取入チャネル105が設けられる(図4)。上記試薬は、試薬取入チャネル105上へと分注されると共に、該チャネル105から容器103内へと流れる。故に、ピペット・ニードル80又は先端部3、4と、容器内に収容された液体との間の接触は阻止される。さらに、容器103内に収容された別の液体215中へと直接的に分注されつつある液体から生じる飛沫であって、ピペット・ニードル80又は先端部3、4又は近傍の容器103の汚染を引き起こし得るという飛沫が阻止される。順次的に小容量の試薬を試薬取入チャネル105上へと分注した後で最大容量の別の試薬を分注すると、少量のみで加えられた上記試薬は完全に容器103内へと確実に排出される。故に、実施されるべき試験の精度を失わずに、小容量の試薬の分注が可能である。
【0077】
内側において、上記容器の底部111、112上で、その形状は円錐状111となり、球状底部112で終端する(図8)。矩形の中央部分120を含む上記容器の内側形状114は、曲線状である。容器103の球状底部112、曲線状の内側形状114、円錐状部分111、及び、精緻化表面の組み合わせは、処理プレート101における分析対象物の効果的な分離及び精製を促進する好適な流体挙動に繋がる。球状底部112によって、分離された溶出物が本質的に完全に使用され、死容積が減少し、これにより、試薬の持ち越し又はサンプルの相互汚染が減少する。
【0078】
処理プレート101の基部129上の縁部には、処理ステーション201又は、加熱デバイス128、又は、分析機器126上の掛止クリップ124、との係合のために凹部107が設けられる。凹部107に掛止クリップ124が係合するため、処理ステーション201上での処理プレート101の位置決めされ、固定される。凹部107の存在により、掛止力は基部129に対して殆ど垂直に、処理プレート101に対して作用し得る。故に、側方に作用する力は小さな力しか生じ得ない。これにより、歪みの発生が低減されることから、処理プレート101の変形が低減される。また、上記の垂直な掛止力により、処理プレート101の一切の変形が回避されるので、処理ステーション201内における球状底部111のさらに正確な位置決めに繋がり得る。一般的に、分析器126内における処理プレート101と処理ステーション201又は加熱デバイス128との間が正確に接合されると、死容積が減少されると共に、サンプルの相互汚染の危険も減少される。
【0079】
操作器
好適な操作器500は、ロボットアーム502に接続する中央部500aを有する。中央部500aの対向する2側面に、把持用フィンガー501が設けられる。把持用フィンガー501は可動である。上述のように、フォーム・ロック要素38、106、507、309を有する消耗品60、70、101、301、302と係合する場合には、把持用フィンガー501が消耗品60、70、101、301、302と結合する。把持用フィンガー501をX方向に動かして消耗品60、70、101、301、302に近づけ、把持用フィンガー501が停止点にきたら、フォーム・ロック要素38、106、507、309と連結する。この位置が、操作器500と消耗品60、70、101、301、302とのフォーム・ロック位置になる。ロボットアーム502に接続された操作器500は、消耗品60、70、101、301、302をある位置から第2の位置へ動かすことができる。消耗品60、70、101、301、302を取り外すには、把持用フィンガー501を消耗品60、70、101、301、302から離すように動かす。好適には、操作器はバネ式ピン506を備える。操作器500が消耗品60、70、101、301、302に押し付けられたとき、該ピンは506は強制的に消耗品60、70、101、301、302から離される。この位置で、把持用フィンガー501と消耗品60、70、101、301、302のフォーム・ロック要素38、106、507、309が相互に作用する。操作器500を消耗品60、70、101、301、302上に押し下げると、把持用フィンガー501が消耗品60、70、101、301、302のフォーム・ロック要素38、106、507、309から離れる(図15a)。
【0080】
操作器500にはピン507があり、把持の前に操作器500が下方に動かされ消耗品60、70、101、301、302上にあるとき、該ピンはマルチウェル・プレートの側方にある。これらのピン507により、消耗品60、70、101、301、302は把持に適した正しい位置に案内される。さらに、ピン507は、把持用フィンガー501が消耗品60、70、101、301、302から離れたときに、消耗品60、70、101、301、302が操作器500から離れなくなるのを防ぐ(図15b)。
【0081】
好適には、該フォーム・ロック要素38、106、507、309は消耗品の側壁、より好適には消耗品60、70、101、301、302の長寸側辺、に設けられた開口部38、106、507、309である。1つの側壁に2個の開口部38、106、507、309が設けられ、対向する側壁に2個の開口部が38、106、507、309が設けられるのが望ましい。
【0082】
第1分注装置の好適実施形態
ある実施形態では、少なくとも1つのモジュールがフレームの外側へ装着され、隣接する2個のピペットユニットに装着されるモジュールは、互い違いに配置される。これにより、また、ピペットユニット間に適切な空間をもたらすことができる。別の実施形態では、ピペットユニットにはフレームがない。この実施形態では、少なくとも1つのモジュールが互い違いに隣接する2個のピペットユニットに装着されている。
【0083】
2以上のピペットユニット間の最短距離は10mm以下であるのが好適である。2以上のピペットユニット間の最短距離は、1mmから10mmの間であるのがより好適である。さらに好適な最短距離は、9mm、4.5mm、2.25mm、1.125mmである。
【0084】
好適実施形態において、上記の装置は、追加的に、第六のモジュール、即ちセンサーモジュールを備えて成る。好適なセンサーモジュールは、ピペットユニットのY又はZ方向の位置を初期化し、決定するセンサーである。ピペットユニットの位置を決定するのに好適なセンサーは、超音波センサーである。
【0085】
好適には、ピペットユニットの1側辺はY軸搬送機構に接続している。
【0086】
好適には、ピペットユニットは、追加的に玉軸受を備えて成り、隣接する2個のピペットユニットの玉軸受は、互い違いに配置されている。
【0087】
本発明は、さらにサンプルを保持する第1セット容器から第2セット容器へサンプルを分注する方法に関し、第1セット容器の隣接する容器間の距離は、第2セット容器内の隣接する容器間の距離とは異なる。この方法は、上述した装置に装着されたピペット先端部による該サンプルの吸引を含み、吸引に先立ってピペットユニットを1軸方向へ動かすことにより、ピペットユニット間の距離を、第1セット容器間の距離に合わせる。分注前に、ピペットユニット間の距離を第2セット容器間の距離に合わせて、サンプルを第2セット容器へ分注する。
【0088】
上述の方法の好適実施形態では、第1セット容器として、少なくとも2個の容器が線状配列されている。好適には、上記第2セット容器は、一体的に形成される。別の好適実施形態では、第2容器セットは容器1つだけからなる。より好適な実施形態では、第2セット容器は、マルチウェル・プレートである。
【0089】
本発明は、さらに、自動分析システムにおいて、少なくとも1つの液体サンプルに存在するだろう少なくとも1つの分析対象物を単離、分析する方法に関し、少なくとも1つの液体サンプルを有する第1セット容器を自動分析システムに提供する工程と;ピペットユニット間の距離を第1セット容器間の距離に合わせた後に、該少なくとも2つの液体サンプルの少なくとも1部を、2以上のピペットユニットを有するピペット装置によって、第1セット容器から吸引する工程と;上記ピペットユニット間の距離を第2セット容器の容器間距離に合わせる工程と;上記液体サンプルを第2セット容器へ分注する工程からなる自動化工程を備えて成る方法に関する。この方法は、固体支持材料と流体サンプルの1つとを第2セット容器のウェル内で、分析対象物が固体支持材料に固定されるのに十分な所定時間及び条件下で混ぜ合わせる工程と、その後、分離ステーションにおいて、流体サンプル中に存在する他の物質から固体支持材料を分離する工程とをさらに備える。その後、流体サンプルを固体支持材料から分離し、該物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することにより、分析対象物は分離ステーションで精製される。最終的に、分析対象物は分析される。好適実施形態において、本方法は、少なくとも2個の液体サンプルを含む。別の好適実施形態において、該分析対象物は核酸である。該装置が上述する装置であることが、より好ましい。
【0090】
また、本発明は、分析対象物を単離する分析システムに関連し、サンプルを第1セット容器から第2セット容器へ搬送するモジュールと、分析対象物を単離するモジュールとを含み、該搬送モジュールは2以上のピペットユニットを含むピペット装置であり、ピペットユニットは1軸上で互いに可動である。好適には、分析システムは、追加的に、分析対象物を分析するモジュールを含む。
【0091】
図16は、メインフレーム本体701と2個のピペットユニット702a、702bを備える、本発明の装置700を示す。各ピペットユニット702は2つのフレーム703、704を有する。図16に示す非限定的な例では、いずれか1つピペットユニット702が電子モジュール705を備えて成る。ピペットユニット702aの電子モジュール705は下部フレーム703に装着され、ピペットユニット702bの電子モジュール705は上部フレーム704に装着される。Y軸アクチュエータ717もまた、ピペットユニットに互い違いに装着される。また、ピペットユニットは、ピペット先端部3、4と相互に作用する接合面706を有する。
【0092】
図17は2個のユニット702a、702bを示し、これらを一緒に動かして2個のピペット先端部3、4が近接させる。対応するモジュール(例えば、705)が重ならないように配置され、2個のピペットユニット間に最適な空間を作る。図18a)は、異なるモジュール705が互い違いに装着される5個のピペットユニット702aから702eを備えて成る装置700を示す。4個のピペットユニット702bから702eは、互いの距離が近い状態で示されている。第5のユニット702aは、離れた位置に示されている。図18b)は、8個のピペットユニット702を備えて成る装置700を示し、全ユニット702が隣接するユニット702と近接し、分注用のニードル80を備えている。
【0093】
図19は、Z方向にしか動かないピペット装置700の実施形態を示す。a)では、2個のユニット702がサポート707に固定されている。ラスターを十分小さくする、例えば9mmのラスターにするために、ユニット702は互い違いに装着される。ツール709上のモジュール710も、ピペットユニット702のフレーム部703上のモジュール705、711も互い違いに配置され、必要なピペットユニット702間距離を得るようにする。b)は、ピペットユニット709a、bとフレーム702a、bが分解された状態を示す。
【0094】
図20は、フレーム本体701のインターフェースを示す。a)では、フレーム本体はY−キャリッジであり;ピペットユニット702は、フレーム本体701の受容部713と係合し、分離可能に固定される相互作用部712を有する。b)は、係合前のインターフェースを示す。c)は、フレーム本体に係合したフレームを示す。
【0095】
図21a)は、ピペットツール709をピペットユニット702のフレーム部710に固定するアダプタープレート714を示す。該フレーム部710には、別のツール715、716をつけることも出来る。b)は、フレーム部702に固定されたピペットツール709の細部を示す。
【0096】
ピペットユニットは、追加モジュールを備えていてもよい。好適には、追加モジュールはセンサーを含む。図22a)からc)は各種のセンサーと、他のモジュールを示すもので、例えば磁石720、ホールセンサー721、Z駆動のinit−センサー723、Y駆動のinit センサー722、超音波センサー724が示されている。
【0097】
分離ステーション
図24に示す好適実施形態において、分離ステーション230は、少なくとも1つの磁石232、好適には1つの列123における容器103の個数と同数の磁石を有する、少なくとも1つの固定具231を備える。分離ステーション230は、上記のマルチウェル・プレート101の列数と同数の固定具231を備えているのが好ましい。より好適には、分離ステーション230には6つの固定具231が取り付けられている。1つの固定具231には、少なくとも1つの磁石232が取り付けられている。好適には、磁石232の個数は、1つの列123における容器103の個数に等しい。1つの固定具231に8つ磁石232が取り付けられているのが最も好ましい。好適には、固定具231には、1種類の磁石232が備えられている。より好適には、磁石232は、該磁石が容器と相互作用する側を容器に向けて取り付けられる。
【0098】
固定具231は、基部233に装着される。好適には、該取付けは可撓的である。基部233は、自身上に取り付けられたにはスプリング234が装着されている。基部233に装着した固定具231、1個につき、少なくとも1個のスプリング234を取り付ける。上記基部はさらに、上記スプリングの移動、故に、磁石232を備える固定具231の移動を制限する面取り部236を備えて成る。好適には、各スプリング234の内のいずれか1つは、固定具231と相互作用すべく構成かつ配置される。さらに好適には、スプリング234はヨーク・スプリングである。上記相互作用によれば、固定具231の水平移動が制御される。さらに、分離ステーション230はフレーム235を備えて成る。固定具231を備える基部233は、上記第1実施形態の磁石232に対して上記に記載した移動機構により、フレーム235に対して接続される。
【0099】
好適には、基部233及び固定具231は垂直方向に(Z方向に)移動すべく構成かつ配置される。
【0100】
上記されたマルチウェル・プレート101は、分離ステーション230内へと挿入される。磁石232を備える固定具231は、垂直方向に移動される。故に、いずれか1つの固定具232が、容器103の2つの列123の間の空間121内へと移動される。上記垂直移動により、固定具231上に取付けられた磁石232は容器103と接触せしめられる。Z位置は、容器103の内側における液体215の体積に依存して選択される。大きな体積に対しては、磁石232は、容器103がほぼ矩形状である中央位置120において該容器103と接触する。液体215の大部分が容器103の中央部分120の下方に配置される小体積の液体215に対しては、磁石232は好適には、容器103の円錐状部分111と接触する。
【0101】
いずれか1つのフレーム231の基部233には、スプリングが取付けられる。該スプリングは、磁石232を容器103に対して押圧する。これにより、磁気的分離の間において、磁石232と容器103との間を確実に接触させることが出来る。好適には、磁石232は、容器103の側壁109上の取入口105の下方で、容器と接触する。このことは、分注により加えられた液体が、隔離された磁性粒子を越えて流れるという利点を有すると共に、上記粒子は再懸濁され且つ全ての容器内の全てのサンプルが同一的に処理されることが確実となる。
【0102】
この実施形態は特に、上記されたマルチウェル・プレート101の容器103内に水位の異なる液体215が収容されたときに、マルチウェル・プレート101内に含まれた液体215を磁性粒子216から分離するのに適している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動システムにおける分析対象物の単離方法、及び分析対象物を処理する分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
診断分野で使用される分析システムは、分析される分析対象物を含むサンプルを処理する必要がある。
【0003】
この処理とは、サンプルの仕分け、容器の搬送、或いは、容器から別容器への液体サンプルや試薬の搬送である。処理能力を上げるために、ピペット先端部や単一容器、或いはマルチウェル・プレートといった消耗品を多数使用して、同時処理を行うことが多い。完全1体型で、サンプル調製からその分析方法による結果を得るにいたるまでの全工程を実行する分析器も関心が寄せられている。特許文献1は、このような分析器の1つを記載している。この分析器は、サンプルを連続的に処理する。即ち、サンプルは線状に(1次元に)配列された1次サンプル管から、別の線状に(1次元に)配列された試験管(MTU)へ搬送され、サンプルを投入した分析器内で連続的に処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/057561号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は改良された分析対象物の分離方法、及び改良された分析システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動分析システムにおいて流体サンプル内に存在する分析対象物を単離する方法を提供する。この方法は、
a)制御部で仕分けを制御して、サンプルを識別子と共に自動システムに搭載するか、又は、サンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて搭載したサンプルを識別する工程と;
b)個別サンプルを処理プレート内で2次元n×m配列された個別テストに割り当てるという指示を制御部から第1ピペット装置及び第2ピペット装置へ送る工程と;
c)ピペット先端部と結合し、線状に配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置を使って、流体サンプルを少なくとも2個のサンプル容器から処理プレートの少なくとも2個の容器へ搬送する工程と;
d)固体支持材料と該流体サンプルとを、分析対象物が固体支持材料上に固定化するのに十分な時間及び条件で、該処理プレートのウェルで混合する工程と;
e)分離ステーションにおいて、流体サンプル中に存在する他の材料から固体支持材料を単離する工程と;
f)固体支持材料から流体サンプルを分離し、支持物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することよって、分離ステーションにおいて分析対象物を精製する工程であって、ピペット先端部に結合される2次元配列されたピペットユニットを有する第2ピペット装置によって、固体支持材料と洗浄緩衝液とを吸引し分注することによって混合する工程;とを有する自動化工程であって、
工程a)で使用したピペット先端部を工程d)で再利用する。
【0007】
本発明の方法によれば、機器内でのより効率的な処理が可能となる。制御部によってサンプルの仕分けを行うので、個別サンプルを1つの処理プレート内での個別のテストに割り当てることが出来る。2次元配列された容器を有するプレートを使用するので、n×m個のサンプルを同時に分析でき、処理能力が増進する。したがって、本発明に記載の方法の好適実施形態おいて、処理プレートのウェルは一体的に形成されている。より好適な実施形態を下記に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1形式のピペット先端部及び第2形式のピペット先端部の斜視図であり、B)はピペット・ニードルを示す図である。
【図2】第2形式のピペット先端部を有する処理ヘッドの位置合わせのために整列した、処理ヘッド底部の位置決め要素と、上部ラックの上面位置決め要素の斜視図である。
【図3】第2実施形態の先端部ラックを示す部分図である。
【図4】処理プレートの斜視図である。
【図5】逆の角度からの上記処理プレートの斜視図である。
【図6】上記処理プレートの上面図である。
【図7】上記処理プレートの長寸側辺に沿う断面図である。
【図8】上記断面図の部分図である。
【図9】上記処理プレートの上記長寸側辺の斜視図である。
【図10】上記処理プレートの底部の斜視図である。
【図11】上記処理プレートの上記底部のさらに垂直な斜視図である。
【図12】上記処理プレートの容器に対する、分離ステーションの第1好適実施形態の小寸磁石の装着を示す図である。
【図13】先端部ラックと把持用フィンガーとの相互作用を示す図である。把持部のフォームロックにより、X方向及びY方向の動きが妨げられる(右側パネル参照)。
【図14】操作器とマルチウェル・プレートとの相互作用を示す図である。把持用フィンガーがマルチウェル・プレートの開口部に連結され、フォームロックによって把持される。
【図15a】ロボットアームに結合した操作器を示す図であり、把持用フィンガーによる消耗品の連結及び解除を示す図である。
【図15b】ロボットアームに結合した操作器を示す図であり、把持用フィンガーによる消耗品の連結及び解除を示す図である。
【図15c】は、操作器が同一のインターフェースで別の消耗品と相互に作用する状態を示す図である。
【図16】フレームに結合される、互い違いに配置されたモジュールを有する2個のピペットユニットを示す図である。
【図17】互いに近接した状態に動いた2個のピペットユニットを示す図である。
【図18】a)は、1個のフレーム部に結合する5個のピペットユニットを示す図であり、4個のピペットユニット近接し、第5のピペットユニットは独立して他のユニットから離れている。b)は、互いに近接する8個のピペットユニットを示す図である。
【図19】a)Z方向には動くがY方向には動かないようにサポートに固定された2個のユニットを有する装置を示す図であり、b)はa)の2個のユニットを部品ごとに分けた図である。
【図20】a)からc)は、フレーム部とY-キャリッジ又は固定ブロックとの接合を示す図である。
【図21】a)はアダプタープレートを示す図であり、b)はフレーム部に固定されたピペットユニット付きのアダプタープレートを示す図である。
【図22】a)からc)は、センサーの例を示す図である。
【図23】本発明の分析システムを示す図である。
【図24】分離ステーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、自動分析システムにおいて流体サンプル内に存在する分析対象物を単離する方法を提供する。この方法は、
a)制御部で仕分けを制御して、サンプルを識別子と共に自動システムに搭載するか、又は、サンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて搭載したサンプルを識別する工程と;
b)個別サンプルを処理プレート内で2次元n×m配列された個別テストに割り当てるという指示を制御部から第1ピペット装置及び第2ピペット装置へ送る工程と;
c)ピペット先端部と結合し、線状に配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置を使って、流体サンプルを少なくとも2個のサンプル容器から処理プレートの少なくとも2個の容器へ搬送する工程と;
d)固体支持材料と該流体サンプルとを、分析対象物が固体支持材料上に固定化するのに十分な時間及び条件で、該処理プレートのウェルで混合する工程と;
e)分離ステーションにおいて、流体サンプル中に存在する他の材料から固体支持材料を単離する工程と;
f)固体支持材料から流体サンプルを分離し、支持物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することよって、分離ステーションにおいて分析対象物を精製する工程であって、ピペット先端部に結合される2次元配列されたピペットユニットを有する第2ピペット装置によって、固体支持材料と洗浄緩衝液とを吸引し分注することによって混合する工程;とを有する自動化工程であって、
工程a)で使用したピペット先端部を工程d)で再利用する。
【0010】
好適には、工程a)はさらに、自動システムに搭載されたサンプルをサンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて仕分けすることを含み、その仕分けは、工程b)において制御部によって制御される。さらに、工程b)に先立って、指示を入力するか、或いはサンプルの識別性に関する情報を読取機から制御装置へ転送してもよい。
【0011】
2次元n×m配列された容器中でのサンプルの単離/分析は、多数のサンプルを同一の条件下に置き、同時に単離/分析できる点で、連続処理と比べて有利である。サンプルの個別搭載、或は線状配列したサンプルの連続処理を行う場合には、サンプルを仕分けし、線状配列のサンプル管から2次元配列の処理容器へ移さなければならない。
【0012】
ここで用いられる「分析対象物」という用語は、検出に対して関心対象となる任意の種類の生体分子であり得ると共に、その検出は、生物の診断的状態を表す。上記生物は、動物、さらに好適には人間であり得る。好適には、上記分析対象物は、タンパク質、ポリペプチド、抗体、又は、核酸である。さらに好適には、上記分析対象物は核酸である。「単離」という用語は、液体サンプル中に存在する他の物質から分析対象物を分離することに関する。
【0013】
「流体サンプル」という用語は、個体から得られ、分析プロセス中に液体状態で使用する或は使用可能な任意のサンプルに関連する。流体サンプルの非限定的な例は、全血、血漿、血清、唾液、肺胞洗浄、液化排泄物である。
【0014】
ここで用いられる「サンプルタイプ」という用語は、上記に列挙したような液体サンプルのタイプに関連して使用されるが、この用語はこれらのタイプに限定はされない。
【0015】
「実施される分析テスト」という用語は、特定のサンプルに対して行われる分析のタイプに関連する。
【0016】
第1ピペット装置及び第2ピペット装置の好適実施形態を以下に開示する。
【0017】
ここで用いられる「個別サンプル」という用語は処理プレートのある特定の容器に搬送される、或は搬送されることになっているサンプルに関連する。
【0018】
「個別テスト」という用語は、特定の個別サンプルに対して行われる特定のテストに関する。
【0019】
処理プレートの好適実施形態を以下に記載する。
【0020】
「容器」という用語は、単一の容器、又は、マルチ管体ユニットにおける単一の容器、マルチウェル・プレート又はマルチ管体ユニット、又は、マルチウェル・プレートの1つのウェルを意味すると理解される。
【0021】
以下に、ピペット先端部に結合して、線状配列される少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置の好適実施形態をさらに示す。
【0022】
ここで用いられる「固体支持体」という用語は、吸着により直接的かつ非特異的に、又は、間接的かつ特異的に分析対象物が結合し得る任意の種類の固体支持体に関連している。間接的結合は、固体支持体上に固定化された抗体に対する分析対象物の結合、又は、たとえばNiキレートに対する6xHisタグの結合などの、タグ結合化合物に対するタグの結合であり得る。上記分析対象物が核酸であるとき、斯かる間接的結合は好適には、関心対象となる核酸の標的配列と相同性を有する捕捉核酸プローブに対する結合によるものである。故に、固体支持体上に取付けられた捕捉プローブを用いると、標的分析対象物、好適には標的核酸は、標的でない物質、好適には標的でない核酸から分離され得る。斯かる捕捉プローブは、上記固体支持体上に固定化される。固体支持材料は、一種類のポリマーとされ得るか、又は、複数種類のポリマーの組成物とされ得る。他の種類の固体支持材料としては、磁性シリカ粒子、金属粒子などが挙げられる。
【0023】
シリカ粒子に対する核酸の好適な非特異的結合は、カオトロピック化合物の存在下で行われる。斯かる結合はまた、上述の間接的結合と対照的に、直接的結合とも称される。好適には、上記固体支持体は、磁気的な又は磁化可能な物質から成るシリカ粒子である。
【0024】
「固体支持材料に固定される」とは、上記のように直接的に又は間接的に結合されることを意味する。
【0025】
固定支持体に結合された分析対象物は、そこに存在する別の物質から分離することができる。好適には、分離ステーションにおいて、固体支持材料から流体サンプルを分離し、該物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することで、分析対象物を他の物質から分離する。分離ステーションの一実施形態を図24に示し、以下に記載する。
【0026】
第2ピペット装置の好適実施形態の部分図を図2に示す。
【0027】
より好適には、処理プレートは、2次元配列の容器を有するマルチウェル・プレートである。
【0028】
好適には、本発明の方法で使用されるサンプル容器は、線状ラックに設置されている。
【0029】
サンプルの仕分けは、サンプルを識別する情報を制御部に送信することで達成される。よって、サンプル容器には、容器の識別性に関連し、リーダーで読み取る事のできる情報が記憶されている。記憶された情報の好適実施形態は、情報を記憶するバーコードやRFIDである。
【0030】
そして、リーダーは情報を制御部に送信する。各サンプルで個別テストを行うために、制御部は、処理プレート内にn×m状に配置された容器に対して、個別サンプルの最適割り当てを行う。分析処理の開始前にサンプルとテストの最適な仕分け及び割り当てを行うので、分析処理中に処理プレート内に不要な空容器をなくし、処理プレートを最大限に利用できる。これにより、使用者の要求に答える最適な処理能力が得られ、特定数のテストに必要な消耗品が減るためにコスト減となる。
【0031】
ここに記載する本方法の好適実施形態において、工程b)で、制御部から第1プロセッサへ、第1ピペット装置でサンプルを搬送させる指示が送られ、制御部から第2プロセッサへ、第2ピペット装置で工程を実施させる指示が送られる。さらに、サンプルとテストの2次元n×m配列に対する特定割り当てを行い、ピペット先端部ラック内に2次元n×m配列されたピペット先端部でサンプルの割当てが行われる為に第1位置及び第2位置においてピペット先端部を再利用できるので、処理と分析の効率を上げ、コストを下げることが出来る。好適には、nもmも1より大きい。好適には、m>nである。より好適な実施形態において、m>n、かつn>1、かつm>1である。より好適には、nは2と8との間であり、mは2と12の間である。最も好適には、本発明は6×8配列のピペット先端部を有する。ピペット先端部ラックの好適実施形態を以下に記載する。好適実施形態において、工程c)の後、ピペット先端部は2次元n×m配列の先端部ラック内で交換される。上記の有利な効果は、ピペット先端部ラック内のピペット先端部のいずれか1つを、容器が2次元n×m配列された処理プレートの特定の容器に割り当てる工程から得られる。好適には、2次元n×m配列されたピペット先端部ラック中の位置ny/mzにあるピペット先端部を用いて、処理容器内で2次元n×m配列された容器のうち位置ny/mzにある容器にサンプルを分注する。
【0032】
好適実施形態において、プレートには2次元n×m配列された容器、ピペットラックには2次元a×n×m配列された容器があり、aは1以上である。a>1の場合の実施形態をここに開示する。斯かる実施形態において、好適には、ここに示すように、容積が大きいピペット先端部と容積が小さいにピペット先端部という2種類のピペット先端部が先端部ラックに含まれる。
【0033】
好適実施形態では、第2ピペット装置は、2次元n×m配列されたピペットユニットを備える処理ヘッドを有する。好適には、nもmも1より大きい。好適にはm>nである。好適実施形態では、m>n、かつn>1、かつm>1である。より好適には、nは2と8の間であり、mは2と12の間である。最も好適には、本発明は6×8配列のピペットユニットを有する。ピペットユニットはピペット先端部と相互に作用するインターフェースを有するのが分かる。さらにピペットユニットはアクチュエータ、好適には液体を吸引、分注するポンプを有する。
【0034】
好適実施形態において、隣接する2個のサンプル容器間の距離は、処理プレートの隣接する2個の容器間の距離とは異なり、第1ピペット装置における隣接する2個のピペットユニット間の距離は調節可能である。第1ピペット装置の好適実施形態を以下に記載する。
【0035】
ピペット先端部の2次元配置列とは、2次元マトリックス配置であり、線状ではないことを理解することが重要である(即ち、nもmも1より大きい)。
【0036】
好適には、本方法はさらに、精製された分析対象物を分析する工程を含む。
【0037】
また、本発明は、分析対象物を処理する分析システム440に関し、該システムは、
a)線状配列されて液体サンプル1010を有する第1受容器1001と、2次元配列されて液体サンプル1011を保持する受容器103を有する処理プレート101と、線状配列された少なくとも2個のピペットユニット702を有する第1ピペット装置700とを備え、該ピペットユニット702はピペット先端部3、4に結合され、先端部ラック70は2次元a×(n×m)配置されたピペット先端部3、4を有する第1位置と;
b)処理プレート101用ホルダー201、128と、先端部ラック70用ホルダー470と、第2ピペット装置35とを備え、第2ピペット装置35は2次元配列されてピペット先端部3、4と結合するピペットユニット702を有する第2位置;とを含む(図23)。ここで用いられる「ホルダー」という用語は、ラック又は処理プレートを受容できる任意の配列に関する。ある実施形態では、ホルダーは処理ステーション201であり、別の実施形態では、ホルダーは加熱装置128である。本発明によるシステムの概要を示す例を図23に示す。ある実施形態では、第1位置は処理されるサンプル402を調製するモジュールであり、第2位置は分析対象物を単離、精製するモジュールと理解される処理モジュール401である。
【0038】
第1受容器1001は、好適にはラック1002に入っている。好適には、第1位置は、ラック1002用ホルダー1003を有する。
【0039】
好適には、第1位置はさらに、ラック70用ホルダー1007を有する。
【0040】
本発明による分析システム440の利点は、上述したように、本発明の方法にある。
【0041】
好適には、第1ピペット装置700のピペットユニット702の位置は変更可能である。第1ピペット装置700の好適実施形態を以下に記載する。
【0042】
ある実施形態において、先端部ラック70は、2次元a×(n×m)配列されたピペット先端部3、4を含む。好適には、先端部ラック70には、第1形式4及び第2形式3のピペット先端部が含まれる。本実施形態において、第1形式のピペット先端部は2次元配列されており、第2形式のピペット先端部3も2次元配列されている。より好適には、第1形式のピペット先端部4は第2形式のピペット先端部3とは容積が異なり、好適には、第1形式のピペット先端部4の容積は500ulより多く、第2形式のピペット先端部3の容積は500ul未満である。本実施形態において、a=2である。より好適には、第1形式のピペット先端部の容積は0.5mlから5mlであり、第2形式のピペット先端部の容積は0.5ulから500ulである。しかし、本発明は、3種類以上のピペット先端部を有する実施形態、つまりa>2であるものも含む。
【0043】
ある態様では、本発明の分析システム440は、サンプルタイプや個別テストを処理プレート101上の個別位置へ割当てる制御部1006を有する。好適には、この個別位置は別々のセル401、402からなる。
【0044】
ある態様では、分析システムは、処理プレート101及びラック70を第1位置402と第2位置401の間で搬送する搬送システム480をさらに含む。搬送システム480の好適実施形態はコンベヤーベルトであり、より好適には、1以上の操作器である。操作器の好適実施形態を、以下に記載する。
【0045】
さらに、好適には、第2ピペット装置35のピペットユニットは、第1位置402で使用したピペット先端部3、4に係合する。
【0046】
本発明の分析システム440の好適実施形態は、分析対象物を、検出可能な信号を得るのに必要な試薬と共にインキュベートする、温度制御されたインキュベータを有する第三ステーション403をさらに備える。このシステムのさらに好適実施形態を以下に記載する。
【0047】
第1プロセッサ1004と第2プロセッサ1005と用いると、サンプルやテストの2次元配列に対する割り当てのより良い制御が達成できる。処理プレート101に2次元配列された容器103の特定の位置に各サンプルタイプや個別テストを割振るための指示を制御部1006が第1位置402の第1プロセッサ1004に送出し、処理プレートに2次元配列された容器103の特定の位置に各サンプルタイプや個別テストを割り当てるための指示を制御部1006が第2位置402の第2プロセッサ1005に送出する。
【0048】
好適には、本システムがさらに、第1位置に第1プロセッサを有し、第2位置に第2プロセッサを有する。
【0049】
より好適には、第1プロセッサ1004が第1ピペット装置700を制御し、第2プロセッサ1005が第2ピペット装置35を制御する。
【0050】
ピペット先端部の再利用
ある態様では、本発明は、流体サンプル中に存在するかもしれない分析対象物を単離、分析する方法に関する。この方法は、自動化工程として、
a)流体サンプルをサンプル容器から処理容器へピペット先端部で搬送する工程と;
b)固体支持材料と流体サンプルとを処理容器内のウェルで、分析対象物が固体支持材料に固定するのに十分な時間及び条件下で混ぜ合わせる工程と;
c)分離ステーションにおいて、固体支持材料を流体サンプル内に存在する他の物質から単離する工程と;
d)流体サンプルを固体支持材料から分離し、その物質を洗浄緩衝液で1回以上洗浄することにより、分離ステーションにおいて分析対象物を精製する工程と、を含む。
好適には、工程a)で使用されたピペット先端部を、工程a)の後で再利用する。
【0051】
以下に記載する本方法の好適実施形態において、工程a)は、
al)第1位置のラックに保持される第1形式のピペット先端部を第1処理ヘッドに係合する工程と;
a2)第1処理ヘッドに係合する第1形式のピペット先端部により、流体サンプルをサンプル容器から処理容器へ移す工程と;
a3)該ピペット先端部をラック内に置き、ピペット先端部を処理ヘッドから取り外す工程と;
a4)ピペット先端部を含むラックと処理容器を第2位置へ搬送する工程と;
a5)ラックに保持される第1形式のピペット先端部を、第2位置にある第2処理ヘッドに係合する工程と、を含む。
【0052】
好適には、処理容器は2以上の受容器含む。より好適には、処理容器はマルチウェル・プレートである。好適には、この方法は、
e)精製された分析対象物と、検出可能な信号を得るのに必要な試薬とを反応させる工程、
をさらに含む。
【0053】
ピペット先端部を再利用することが、分析方法に使用される使い捨ての消耗品を減らし、コストを下げることにつながる。好適実施形態では、工程d)における洗浄の際に、洗浄緩衝液を、ピペット先端部に係合した処理ヘッドで吸引し分注する。
【0054】
ここで用いられる「受容器」という用語は、単一の容器(又は管)、多管ユニットを構成する1つの管、或いはマルチウェル・プレートの1つのウェル(或いは容器)に関する。
【0055】
好適実施形態において、反応することは、検出可能な信号を生成することである。より好適には、本方法は、検出可能な信号を検出することをさらに含む。
【0056】
ここで用いられる「反応する」という語句は、試薬に対する上記分析対象物の任意の種類の化学反応であって、検出可能信号を獲得するために必要であるという化学反応に関連する。好適には、上記反応は、増幅から成る。増幅は、信号に対する任意の種類の強化として理解され得る。故に、増幅は酵素による分子の変換であり得ると共に、その場合に上記酵素は上記分析対象物に対して連結又は結合されて検出可能信号に繋がり、分析対象物分子が存在するよりも多くの信号分子が形成される。1つの斯かる非限定的な例は、たとえばECLを用いた化学発光色素の形成である。上記分析対象物が核酸ならば、増幅という用語はさらに核酸増幅に関連する。これは、線形増幅、等温増幅、及び指数関数的増幅を含む。核酸増幅方法の非限定的な例は、TMA、SDA、NASBA、及び、リアルタイムPCRを含むPCRである。当業者であれば、斯かる方法は公知である。
【0057】
上述した本方法の好適実施形態では、ピペット先端部を有するラックと処理容器の第2位置への搬送は、分析機器の単独の第1セルと分析システムの第2セル、好適には処理セルとの間で起きる。好適には、ラックは、ピペット先端部を収容する独立した室を有する。
【0058】
好適実施形態において、第1形式のピペット先端部は工程d)の洗浄で再利用される。
【0059】
好適実施形態において、ラックは、第2形式のピペット先端部をさらに含む。上述の方法において、工程d)と工程e)との間で磁性粒子から分析対象物が溶出するのが、さらに好適である。好適実施形態は、分析対象物を、好適には多層プレートである処理容器から、好適には多層プレートである反応容器へ、第2形式のピペット先端部で搬送することを含む。
【0060】
好適な自動分析システム
好適な態様では、本発明のシステムは、
a)分析対象物を有する液体サンプルを保持する第1受容器と、液体サンプルを保持する第2受容器と、ピペット先端部を保持するラックと、液体サンプルを第1受容器から第2受容器へ搬送する第1処理ヘッド、とを有する第1位置と、
b)第2受容器を受容するステーションと、ラックを受容するラック保持ステーションとを有する第2位置と、
c)第2受容器と、ピペット先端部を保持するラックとを第1位置と第2位置との間で搬送する搬送システム、とを有する。
【0061】
これらの位置は、別個のセルであることが好ましい。搬送システムによって搬送されるラックは、第1位置で使用されたピペット先端部を有するのが好ましい。好適実施形態において、第1受容器はサンプル容器であり、第2受容器は処理容器である。さらに好適には、処理容器はマルチウェル容器である。ステーションの好適実施形態を、下記に記載する。
【0062】
ここに記載する分析システムでは、搬送システムが受容器とラックを第1位置から第2の別の位置へ搬送するのが好ましい。好適には、第2の別の位置は磁気分離ステーションである。分析システムは、好適にはさらに増幅ステーションを含む。
【0063】
好適な分析システムにおいて、搬送システムは、ラックと処理容器を把持して、システム内の第1の場所から第2の場所へ搬送すべく構成され、設置された操作器を含む。さらに好適な操作器をここに開示する。
【0064】
本分析システムは、好適には完全に自動化されている。
【0065】
上記自動分析器は第3の場所に配設された反応ステーションをさらに備えて成り、該反応ステーションは、上記分析対象物を分析して検出可能信号を獲得すべく構成かつ配置される。反応ステーションの別の好適実施形態は、インキュベータを備えて成るステーションである。好適には、上記インキュベータは温度制御式のインキュベータである。さらに好適には、上記インキュベータは1つの一定温度に保持される。インキュベータの別の好適実施形態は、サーマルサイクラー・ブロックである。好適には、上記反応ステーションに対し、さらに好適には、上記インキュベータに対し、検出可能信号を検出する検出器が一体的に接続される。好適な検出器は、周期的な測定及び定量のための核酸定量システムを備えて成る。さらに好適には上記検出器は付加的に、信号を検出する核酸検出システムであって、閾値レベルを超える信号が検出されたか否かに基づいて反応受容器内の核酸の有無を確定するというシステムを備えて成る。
【0066】
代替的に、上記自動分析器は付加的に、検出ステーションを備えて成る。該自動分析器はさらに、搬送機構を備えて成る。該搬送機構は、消耗品を操作する操作器を備えて成る。該操作器は好適には、消耗品を各ステーション間で搬送する。一実施形態において上記搬送機構は、上記サンプル容器及び上記ラックを、上記サンプル分注ステーションから上記分離ステーションへと搬送すべく構成かつ配置される。本発明の上記自動分析器の更なる好適実施形態は、ここに開示された個別的な又は組み合わされた特徴を備えてなる。
【0067】
好適実施形態において、本発明の分析装置400は、分析対象物の処理を行う少なくとも1つのモジュール401を備え、その処理とは液体の分注である。処理モジュール401は、
a)下面61に位置決め要素36が設けられ、ピペット先端部3、4と係合する処理ヘッド35と、
b)処理ヘッド35の位置決め要素36と機械的に係合可能な位置決め要素31、32、33、34を有し、ピペット先端部3、4を保持する先端部ラック60、70、とを備える。
【0068】
上述された分析装置400の好適実施形態において、処理モジュール401は、分析対象物の単離及び精製のためのモジュールである。故に、ここで用いられる「処理」という用語は、分析対象物の単離及び/又は分離及び/又は捕捉及び/又は精製に関連すると理解される。好適には、装置400は、処理のためにサンプルを調製するモジュール402を備えて成る。好適には装置400は、上記分析対象物の増幅のためのモジュール403を備えて成る。一好適実施形態において上記装置は、増幅試薬を、格納受容器から、精製済み分析対象物を含む受容器へと移送するモジュール404を付加的に備えて成る。上記装置の更なる好適実施形態は、上記に及び下記に記述される。
【0069】
本発明はまた、核酸に基づく増幅反応を実施する際に使用される自動分析器400に関し、分析器は複数のモジュール401、402、403を備えて成る。1つのモジュールは、該分析器内の第1位置に配設された処理モジュールであって、サンプル中の他の物質から核酸を分離すべく構成かつ配置された処理モジュールである。該処理モジュールは、本明細書において記述される如き分離デバイスを備えて成る。上記分析器は、該分析器内の第2位置に配設かつ配置された増幅モジュールをさらに備えて成る。該増幅モジュールは、好適には分離済み核酸を備えて成るマルチウェル・プレートである、少なくとも一個の受容器の内容物と、サンプル中の標的核酸を表す増幅生成物を生成する一種類以上の増幅試薬とをインキュベートする温度制御式のインキュベータを備えて成る。
【0070】
ここでは、「モジュール」という用語と「セル」という用語は、同じ意味で使われる。
【0071】
先端部ラックの好適実施形態
典型的な先端部ラックの好適実施形態は、ワンピース式一体型先端部ラック70であり、上面71、対向する2個の短辺壁72、及び対向する2つの長寸側壁73を有する(図2)。先端部ラックは、ピペット先端部3、4を保持する容器74、75を備えて成る。上記容器74、75は、開口する上部76と閉じた底部77を有する。いずれか1つの容器74、75で、1つの先端部3、4を保持できる。ラック70の設置面積は、好適には、ANSI SBS設置面積フォーマット本質的に対応する基部の長さ及び幅から成る。より好適には、長さは127.76mm±0.25mmであり、幅は85.48mm±0.25mmである。第2実施形態の好適実施形態は、ハードウエア識別子6、7、39と、分析機器の対抗要素と係合して、ラックの第1実施形態で記載したようにラックを機器内に押し下げる凹部37とを備えて成る。好適実施形態では、第1実施形態のラック60で記載したような、位置決め要素31、32、33、34、10をさらに備えて成る。
【0072】
マルチウェル・プレート/処理プレート
本発明の処理プレート101は好適には、単一構成要素式のプレートである。その上面110は、複数の容器103を備える(図4から図6)。各容器は、上部に開口108を有すると共に、底端部112にて閉じられる。上面110は、該上面110に対して好適に高位とされたリブ104であって、容器103の開口108を囲繞するというリブ104を備えて成る。これにより、プレート101の上面110上へと落下し得る液体の小滴による容器103の内容物の汚染が阻止される。好適な処理プレートの図は、図4から図13に示される。
【0073】
処理プレート101の設置面積は好適には、ANSI SBS設置面積フォーマットに対応する基部の長さ及び幅から成る。さらに好適には、長さは127.76mm±0.25mmであり、幅は85.48mm±0.25mmである。故にプレート101は、対向する2つの短寸側壁109及び対向する2つの長寸側壁118を有する。処理プレート101は、操作器500と相互作用するフォーム・ロック要素106を備える。処理プレート101は、正しい配向及び姿勢を維持しながら、高速にて迅速かつ安全に、把持され、搬送され、且つ、位置決めされ得る。好適には、把持のためのフォーム・ロック要素106は、処理プレート101の上側の中央部分内、好適には上側の中央の1/3の部分内に配置される。このことは、処理プレート101に生じうる歪曲がフォーム・ロック要素106に対して僅かな影響しか及ぼさず、プレート101をより確実に取り扱える、という利点を有している。
【0074】
好適には、処理プレート101は、ハードウエア識別子102及び115を備える。ハードウエア識別子102及び115は、処理プレート101に固有のもので、同じシステムで用いられる他の消耗品のハードウエア識別子とは異なる。好適には、ハードウエア識別子102、115は、消耗品の側壁上の凸部119及び/又は凹部125を備え、凸部119及び/又は凹部125のパターンは、好適には処理プレート101である特定の種類の消耗品に固有である。この固有のパターンを、ここでは固有の「表面形状」とも称する。ハードウエア識別子102、115によって、使用者が処理プレート101を分析機器126の適切な積み重ね位置に、正しい方向で、確実に載せる事が出来るようになる。処理プレート101は、側面にガイド要素116及び117を有する(図11)。これにより、処理プレート101が傾くのを防ぐ。ガイド要素116、117によって、使用者は、ガイド要素116、117の付いた処理プレート101を分析機器内に積み重ね、プレートを傾ける事なく、機器内のスタッカーで垂直に搬送できる。
【0075】
容器103の各列123の間には、連続空間121が設けられる(図10、11)。この空間121は、磁石122又は加熱装置128を収容しうる。
【0076】
容器103の上端部にて、該容器103の短寸側壁109の一方に、周縁リブ104まで延在する試薬取入チャネル105が設けられる(図4)。上記試薬は、試薬取入チャネル105上へと分注されると共に、該チャネル105から容器103内へと流れる。故に、ピペット・ニードル80又は先端部3、4と、容器内に収容された液体との間の接触は阻止される。さらに、容器103内に収容された別の液体215中へと直接的に分注されつつある液体から生じる飛沫であって、ピペット・ニードル80又は先端部3、4又は近傍の容器103の汚染を引き起こし得るという飛沫が阻止される。順次的に小容量の試薬を試薬取入チャネル105上へと分注した後で最大容量の別の試薬を分注すると、少量のみで加えられた上記試薬は完全に容器103内へと確実に排出される。故に、実施されるべき試験の精度を失わずに、小容量の試薬の分注が可能である。
【0077】
内側において、上記容器の底部111、112上で、その形状は円錐状111となり、球状底部112で終端する(図8)。矩形の中央部分120を含む上記容器の内側形状114は、曲線状である。容器103の球状底部112、曲線状の内側形状114、円錐状部分111、及び、精緻化表面の組み合わせは、処理プレート101における分析対象物の効果的な分離及び精製を促進する好適な流体挙動に繋がる。球状底部112によって、分離された溶出物が本質的に完全に使用され、死容積が減少し、これにより、試薬の持ち越し又はサンプルの相互汚染が減少する。
【0078】
処理プレート101の基部129上の縁部には、処理ステーション201又は、加熱デバイス128、又は、分析機器126上の掛止クリップ124、との係合のために凹部107が設けられる。凹部107に掛止クリップ124が係合するため、処理ステーション201上での処理プレート101の位置決めされ、固定される。凹部107の存在により、掛止力は基部129に対して殆ど垂直に、処理プレート101に対して作用し得る。故に、側方に作用する力は小さな力しか生じ得ない。これにより、歪みの発生が低減されることから、処理プレート101の変形が低減される。また、上記の垂直な掛止力により、処理プレート101の一切の変形が回避されるので、処理ステーション201内における球状底部111のさらに正確な位置決めに繋がり得る。一般的に、分析器126内における処理プレート101と処理ステーション201又は加熱デバイス128との間が正確に接合されると、死容積が減少されると共に、サンプルの相互汚染の危険も減少される。
【0079】
操作器
好適な操作器500は、ロボットアーム502に接続する中央部500aを有する。中央部500aの対向する2側面に、把持用フィンガー501が設けられる。把持用フィンガー501は可動である。上述のように、フォーム・ロック要素38、106、507、309を有する消耗品60、70、101、301、302と係合する場合には、把持用フィンガー501が消耗品60、70、101、301、302と結合する。把持用フィンガー501をX方向に動かして消耗品60、70、101、301、302に近づけ、把持用フィンガー501が停止点にきたら、フォーム・ロック要素38、106、507、309と連結する。この位置が、操作器500と消耗品60、70、101、301、302とのフォーム・ロック位置になる。ロボットアーム502に接続された操作器500は、消耗品60、70、101、301、302をある位置から第2の位置へ動かすことができる。消耗品60、70、101、301、302を取り外すには、把持用フィンガー501を消耗品60、70、101、301、302から離すように動かす。好適には、操作器はバネ式ピン506を備える。操作器500が消耗品60、70、101、301、302に押し付けられたとき、該ピンは506は強制的に消耗品60、70、101、301、302から離される。この位置で、把持用フィンガー501と消耗品60、70、101、301、302のフォーム・ロック要素38、106、507、309が相互に作用する。操作器500を消耗品60、70、101、301、302上に押し下げると、把持用フィンガー501が消耗品60、70、101、301、302のフォーム・ロック要素38、106、507、309から離れる(図15a)。
【0080】
操作器500にはピン507があり、把持の前に操作器500が下方に動かされ消耗品60、70、101、301、302上にあるとき、該ピンはマルチウェル・プレートの側方にある。これらのピン507により、消耗品60、70、101、301、302は把持に適した正しい位置に案内される。さらに、ピン507は、把持用フィンガー501が消耗品60、70、101、301、302から離れたときに、消耗品60、70、101、301、302が操作器500から離れなくなるのを防ぐ(図15b)。
【0081】
好適には、該フォーム・ロック要素38、106、507、309は消耗品の側壁、より好適には消耗品60、70、101、301、302の長寸側辺、に設けられた開口部38、106、507、309である。1つの側壁に2個の開口部38、106、507、309が設けられ、対向する側壁に2個の開口部が38、106、507、309が設けられるのが望ましい。
【0082】
第1分注装置の好適実施形態
ある実施形態では、少なくとも1つのモジュールがフレームの外側へ装着され、隣接する2個のピペットユニットに装着されるモジュールは、互い違いに配置される。これにより、また、ピペットユニット間に適切な空間をもたらすことができる。別の実施形態では、ピペットユニットにはフレームがない。この実施形態では、少なくとも1つのモジュールが互い違いに隣接する2個のピペットユニットに装着されている。
【0083】
2以上のピペットユニット間の最短距離は10mm以下であるのが好適である。2以上のピペットユニット間の最短距離は、1mmから10mmの間であるのがより好適である。さらに好適な最短距離は、9mm、4.5mm、2.25mm、1.125mmである。
【0084】
好適実施形態において、上記の装置は、追加的に、第六のモジュール、即ちセンサーモジュールを備えて成る。好適なセンサーモジュールは、ピペットユニットのY又はZ方向の位置を初期化し、決定するセンサーである。ピペットユニットの位置を決定するのに好適なセンサーは、超音波センサーである。
【0085】
好適には、ピペットユニットの1側辺はY軸搬送機構に接続している。
【0086】
好適には、ピペットユニットは、追加的に玉軸受を備えて成り、隣接する2個のピペットユニットの玉軸受は、互い違いに配置されている。
【0087】
本発明は、さらにサンプルを保持する第1セット容器から第2セット容器へサンプルを分注する方法に関し、第1セット容器の隣接する容器間の距離は、第2セット容器内の隣接する容器間の距離とは異なる。この方法は、上述した装置に装着されたピペット先端部による該サンプルの吸引を含み、吸引に先立ってピペットユニットを1軸方向へ動かすことにより、ピペットユニット間の距離を、第1セット容器間の距離に合わせる。分注前に、ピペットユニット間の距離を第2セット容器間の距離に合わせて、サンプルを第2セット容器へ分注する。
【0088】
上述の方法の好適実施形態では、第1セット容器として、少なくとも2個の容器が線状配列されている。好適には、上記第2セット容器は、一体的に形成される。別の好適実施形態では、第2容器セットは容器1つだけからなる。より好適な実施形態では、第2セット容器は、マルチウェル・プレートである。
【0089】
本発明は、さらに、自動分析システムにおいて、少なくとも1つの液体サンプルに存在するだろう少なくとも1つの分析対象物を単離、分析する方法に関し、少なくとも1つの液体サンプルを有する第1セット容器を自動分析システムに提供する工程と;ピペットユニット間の距離を第1セット容器間の距離に合わせた後に、該少なくとも2つの液体サンプルの少なくとも1部を、2以上のピペットユニットを有するピペット装置によって、第1セット容器から吸引する工程と;上記ピペットユニット間の距離を第2セット容器の容器間距離に合わせる工程と;上記液体サンプルを第2セット容器へ分注する工程からなる自動化工程を備えて成る方法に関する。この方法は、固体支持材料と流体サンプルの1つとを第2セット容器のウェル内で、分析対象物が固体支持材料に固定されるのに十分な所定時間及び条件下で混ぜ合わせる工程と、その後、分離ステーションにおいて、流体サンプル中に存在する他の物質から固体支持材料を分離する工程とをさらに備える。その後、流体サンプルを固体支持材料から分離し、該物質を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することにより、分析対象物は分離ステーションで精製される。最終的に、分析対象物は分析される。好適実施形態において、本方法は、少なくとも2個の液体サンプルを含む。別の好適実施形態において、該分析対象物は核酸である。該装置が上述する装置であることが、より好ましい。
【0090】
また、本発明は、分析対象物を単離する分析システムに関連し、サンプルを第1セット容器から第2セット容器へ搬送するモジュールと、分析対象物を単離するモジュールとを含み、該搬送モジュールは2以上のピペットユニットを含むピペット装置であり、ピペットユニットは1軸上で互いに可動である。好適には、分析システムは、追加的に、分析対象物を分析するモジュールを含む。
【0091】
図16は、メインフレーム本体701と2個のピペットユニット702a、702bを備える、本発明の装置700を示す。各ピペットユニット702は2つのフレーム703、704を有する。図16に示す非限定的な例では、いずれか1つピペットユニット702が電子モジュール705を備えて成る。ピペットユニット702aの電子モジュール705は下部フレーム703に装着され、ピペットユニット702bの電子モジュール705は上部フレーム704に装着される。Y軸アクチュエータ717もまた、ピペットユニットに互い違いに装着される。また、ピペットユニットは、ピペット先端部3、4と相互に作用する接合面706を有する。
【0092】
図17は2個のユニット702a、702bを示し、これらを一緒に動かして2個のピペット先端部3、4が近接させる。対応するモジュール(例えば、705)が重ならないように配置され、2個のピペットユニット間に最適な空間を作る。図18a)は、異なるモジュール705が互い違いに装着される5個のピペットユニット702aから702eを備えて成る装置700を示す。4個のピペットユニット702bから702eは、互いの距離が近い状態で示されている。第5のユニット702aは、離れた位置に示されている。図18b)は、8個のピペットユニット702を備えて成る装置700を示し、全ユニット702が隣接するユニット702と近接し、分注用のニードル80を備えている。
【0093】
図19は、Z方向にしか動かないピペット装置700の実施形態を示す。a)では、2個のユニット702がサポート707に固定されている。ラスターを十分小さくする、例えば9mmのラスターにするために、ユニット702は互い違いに装着される。ツール709上のモジュール710も、ピペットユニット702のフレーム部703上のモジュール705、711も互い違いに配置され、必要なピペットユニット702間距離を得るようにする。b)は、ピペットユニット709a、bとフレーム702a、bが分解された状態を示す。
【0094】
図20は、フレーム本体701のインターフェースを示す。a)では、フレーム本体はY−キャリッジであり;ピペットユニット702は、フレーム本体701の受容部713と係合し、分離可能に固定される相互作用部712を有する。b)は、係合前のインターフェースを示す。c)は、フレーム本体に係合したフレームを示す。
【0095】
図21a)は、ピペットツール709をピペットユニット702のフレーム部710に固定するアダプタープレート714を示す。該フレーム部710には、別のツール715、716をつけることも出来る。b)は、フレーム部702に固定されたピペットツール709の細部を示す。
【0096】
ピペットユニットは、追加モジュールを備えていてもよい。好適には、追加モジュールはセンサーを含む。図22a)からc)は各種のセンサーと、他のモジュールを示すもので、例えば磁石720、ホールセンサー721、Z駆動のinit−センサー723、Y駆動のinit センサー722、超音波センサー724が示されている。
【0097】
分離ステーション
図24に示す好適実施形態において、分離ステーション230は、少なくとも1つの磁石232、好適には1つの列123における容器103の個数と同数の磁石を有する、少なくとも1つの固定具231を備える。分離ステーション230は、上記のマルチウェル・プレート101の列数と同数の固定具231を備えているのが好ましい。より好適には、分離ステーション230には6つの固定具231が取り付けられている。1つの固定具231には、少なくとも1つの磁石232が取り付けられている。好適には、磁石232の個数は、1つの列123における容器103の個数に等しい。1つの固定具231に8つ磁石232が取り付けられているのが最も好ましい。好適には、固定具231には、1種類の磁石232が備えられている。より好適には、磁石232は、該磁石が容器と相互作用する側を容器に向けて取り付けられる。
【0098】
固定具231は、基部233に装着される。好適には、該取付けは可撓的である。基部233は、自身上に取り付けられたにはスプリング234が装着されている。基部233に装着した固定具231、1個につき、少なくとも1個のスプリング234を取り付ける。上記基部はさらに、上記スプリングの移動、故に、磁石232を備える固定具231の移動を制限する面取り部236を備えて成る。好適には、各スプリング234の内のいずれか1つは、固定具231と相互作用すべく構成かつ配置される。さらに好適には、スプリング234はヨーク・スプリングである。上記相互作用によれば、固定具231の水平移動が制御される。さらに、分離ステーション230はフレーム235を備えて成る。固定具231を備える基部233は、上記第1実施形態の磁石232に対して上記に記載した移動機構により、フレーム235に対して接続される。
【0099】
好適には、基部233及び固定具231は垂直方向に(Z方向に)移動すべく構成かつ配置される。
【0100】
上記されたマルチウェル・プレート101は、分離ステーション230内へと挿入される。磁石232を備える固定具231は、垂直方向に移動される。故に、いずれか1つの固定具232が、容器103の2つの列123の間の空間121内へと移動される。上記垂直移動により、固定具231上に取付けられた磁石232は容器103と接触せしめられる。Z位置は、容器103の内側における液体215の体積に依存して選択される。大きな体積に対しては、磁石232は、容器103がほぼ矩形状である中央位置120において該容器103と接触する。液体215の大部分が容器103の中央部分120の下方に配置される小体積の液体215に対しては、磁石232は好適には、容器103の円錐状部分111と接触する。
【0101】
いずれか1つのフレーム231の基部233には、スプリングが取付けられる。該スプリングは、磁石232を容器103に対して押圧する。これにより、磁気的分離の間において、磁石232と容器103との間を確実に接触させることが出来る。好適には、磁石232は、容器103の側壁109上の取入口105の下方で、容器と接触する。このことは、分注により加えられた液体が、隔離された磁性粒子を越えて流れるという利点を有すると共に、上記粒子は再懸濁され且つ全ての容器内の全てのサンプルが同一的に処理されることが確実となる。
【0102】
この実施形態は特に、上記されたマルチウェル・プレート101の容器103内に水位の異なる液体215が収容されたときに、マルチウェル・プレート101内に含まれた液体215を磁性粒子216から分離するのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析システムにおいて流体サンプル内に存在する分析対象物を単離する方法であって、
a)サンプルを識別子と共に自動システムに搭載するか、又は、サンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて搭載したサンプルを識別する工程と;
b)個別サンプルを処理プレート内で2次元n×m配列された個別テストに割り当てるという指示を制御部から第1ピペット装置及び第2ピペット装置へ送る工程と;
c)ピペット先端部と結合し、線状に配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置を使って、前記流体サンプルを少なくとも2個のサンプル容器から前記処理プレートの少なくとも2個の容器へ搬送する工程と;
d)固体支持材料と前記流体サンプルとを、前記分析対象物が前記固体支持材料上に固定化するのに十分な時間及び条件で、前記処理プレートのウェルで混合する工程と;
e)分離ステーションにおいて、前記流体サンプル中に存在する他の材料から前記固体支持材料を単離する工程と;
f)前記固体支持材料から前記流体サンプルを分離し、前記固体支持材料を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することよって、前記分離ステーションにおいて前記分析対象物を精製する工程であって、ピペット先端部に結合される2次元n×m配列されたピペットユニットを有する第2ピペット装置によって、前記固体支持材料と前記洗浄緩衝液とを吸引し分注することによって混合する工程;とを有する自動化工程を含み、
工程c)で使用した前記ピペット先端部を工程f)で再利用する方法。
【請求項2】
前記処理プレートの前記ウェルが一体的に形成されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理プレートが2次元n×m配列された容器を有するマルチウェル・プレートである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程c)の後、2次元n×m配列された先端部ラック内で前記ピペット先端部を交換する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ピペット先端部ラック内のいずれか1つのピペット先端部を、2次元n×m配列された容器を備える前記処理プレートの特定の容器に割り当てる工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
隣接する2個のサンプル容器間の距離が前記処理プレートの隣接する2個の容器間の距離と異なり、前記第1ピペット装置の隣接する2個ピペットユニット間の距離が調節可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)において、前記第1ピペット装置でサンプルを搬送するための指示が前記制御部から第1プロセッサへ送られ、前記第2ピペット装置によって各工程を実行するための指示が前記制御部から第2プロセッサへ送られる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
分析対象物を処理する分析システムであって、
a)線状配列されて液体サンプルを有する第1受容器と、2次元n×m配列されて液体サンプルを保持する受容器を有する処理プレートと、線状配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置とを備え、前記ピペットユニットがピペット先端部に結合され、先端部ラックは2次元a×(n×m)配置されたピペット先端部を有する第1位置と;
b)前記処理プレート用ホルダーと、前記先端部ラック用ホルダーと、第2ピペット装置(35)とを備え、該第2ピペット装置が2次元n×m配列されてピペット先端部と結合するピペットユニットを有する第2位置;とを具備する分析システム。
【請求項9】
前記第1ピペット装置の前記ピペットユニットの位置が変更可能である請求項8に記載の分析システム。
【請求項10】
サンプルタイプ及び個別テストを前記処理プレート上の個別位置に割り当てる制御部をさらに具備する請求項8又は9に記載の分析システム。
【請求項11】
前記処理プレート及び前記先端部ラックを前記第1位置及び前記第2位置の間で搬送する搬送システムをさらに具備する請求項8〜10のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項12】
前記第2ピペット装置の前記ピペットユニットが前記第1位置で使用されたピペット先端部に係合する請求項8〜11のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項13】
前記分析対象物を検出可能な信号を得るのに必要な試薬と共にインキュベートする、温度制御式のインキュベータを有する第三ステーションをさらに具備する請求項8〜12のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項14】
前記第1位置にある第1プロセッサと第2位置にある第2プロセッサとを具備し、前記制御部が前記第1プロセッサに対してサンプルタイプ及び個別テストを前記処理プレートに2次元n×m配列された容器の特定の位置に割り当てるための指示を送出し、前記制御部が前記第2プロセッサに対してサンプルタイプ及び個別テストを前記処理プレートに2次元n×m配列された容器の特定の位置に割り当てるための指示を送出する請求項8〜13のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項15】
前記第1プロセッサが前記第1ピペット装置を制御し、前記第2プロセッサが前記第2ピペット装置を制御することを特徴とする請求項14に記載の分析システム。
【請求項1】
自動分析システムにおいて流体サンプル内に存在する分析対象物を単離する方法であって、
a)サンプルを識別子と共に自動システムに搭載するか、又は、サンプルタイプ及び実施される分析テストに応じて搭載したサンプルを識別する工程と;
b)個別サンプルを処理プレート内で2次元n×m配列された個別テストに割り当てるという指示を制御部から第1ピペット装置及び第2ピペット装置へ送る工程と;
c)ピペット先端部と結合し、線状に配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置を使って、前記流体サンプルを少なくとも2個のサンプル容器から前記処理プレートの少なくとも2個の容器へ搬送する工程と;
d)固体支持材料と前記流体サンプルとを、前記分析対象物が前記固体支持材料上に固定化するのに十分な時間及び条件で、前記処理プレートのウェルで混合する工程と;
e)分離ステーションにおいて、前記流体サンプル中に存在する他の材料から前記固体支持材料を単離する工程と;
f)前記固体支持材料から前記流体サンプルを分離し、前記固体支持材料を1回以上洗浄緩衝液で洗浄することよって、前記分離ステーションにおいて前記分析対象物を精製する工程であって、ピペット先端部に結合される2次元n×m配列されたピペットユニットを有する第2ピペット装置によって、前記固体支持材料と前記洗浄緩衝液とを吸引し分注することによって混合する工程;とを有する自動化工程を含み、
工程c)で使用した前記ピペット先端部を工程f)で再利用する方法。
【請求項2】
前記処理プレートの前記ウェルが一体的に形成されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理プレートが2次元n×m配列された容器を有するマルチウェル・プレートである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程c)の後、2次元n×m配列された先端部ラック内で前記ピペット先端部を交換する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ピペット先端部ラック内のいずれか1つのピペット先端部を、2次元n×m配列された容器を備える前記処理プレートの特定の容器に割り当てる工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
隣接する2個のサンプル容器間の距離が前記処理プレートの隣接する2個の容器間の距離と異なり、前記第1ピペット装置の隣接する2個ピペットユニット間の距離が調節可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)において、前記第1ピペット装置でサンプルを搬送するための指示が前記制御部から第1プロセッサへ送られ、前記第2ピペット装置によって各工程を実行するための指示が前記制御部から第2プロセッサへ送られる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
分析対象物を処理する分析システムであって、
a)線状配列されて液体サンプルを有する第1受容器と、2次元n×m配列されて液体サンプルを保持する受容器を有する処理プレートと、線状配列された少なくとも2個のピペットユニットを有する第1ピペット装置とを備え、前記ピペットユニットがピペット先端部に結合され、先端部ラックは2次元a×(n×m)配置されたピペット先端部を有する第1位置と;
b)前記処理プレート用ホルダーと、前記先端部ラック用ホルダーと、第2ピペット装置(35)とを備え、該第2ピペット装置が2次元n×m配列されてピペット先端部と結合するピペットユニットを有する第2位置;とを具備する分析システム。
【請求項9】
前記第1ピペット装置の前記ピペットユニットの位置が変更可能である請求項8に記載の分析システム。
【請求項10】
サンプルタイプ及び個別テストを前記処理プレート上の個別位置に割り当てる制御部をさらに具備する請求項8又は9に記載の分析システム。
【請求項11】
前記処理プレート及び前記先端部ラックを前記第1位置及び前記第2位置の間で搬送する搬送システムをさらに具備する請求項8〜10のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項12】
前記第2ピペット装置の前記ピペットユニットが前記第1位置で使用されたピペット先端部に係合する請求項8〜11のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項13】
前記分析対象物を検出可能な信号を得るのに必要な試薬と共にインキュベートする、温度制御式のインキュベータを有する第三ステーションをさらに具備する請求項8〜12のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項14】
前記第1位置にある第1プロセッサと第2位置にある第2プロセッサとを具備し、前記制御部が前記第1プロセッサに対してサンプルタイプ及び個別テストを前記処理プレートに2次元n×m配列された容器の特定の位置に割り当てるための指示を送出し、前記制御部が前記第2プロセッサに対してサンプルタイプ及び個別テストを前記処理プレートに2次元n×m配列された容器の特定の位置に割り当てるための指示を送出する請求項8〜13のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項15】
前記第1プロセッサが前記第1ピペット装置を制御し、前記第2プロセッサが前記第2ピペット装置を制御することを特徴とする請求項14に記載の分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−13697(P2012−13697A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−140587(P2011−140587)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140587(P2011−140587)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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