説明

サージ保護回路及びサージ保護方法

【課題】外部装置とこの外部装置を制御する制御装置のように、サージ電圧に対する耐圧がそれぞれ異なる複数の装置をサージ電圧から適切に保護することができるサージ保護回路及びサージ保護方法を提供すること
【解決手段】本発明の第1の態様にかかるサージ保護回路6は、印加されるサージ電圧から外部装置4、5と当該外部装置4、5を制御する制御装置2を保護するサージ保護回路6であって、外部装置4、5の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧を検出する第1のサージ電圧検出手段7と、第1のサージ電圧よりも大きく、且つ制御装置の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧を検出する第2のサージ電圧検出手段8とを備え、第1のサージ電圧検出手段7は、第1のサージ電圧を検出した場合、外部装置4、5を保護するための信号を制御装置2に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ保護回路及びサージ保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商用電源線から電力の供給を受けて動作する電気機器を雷サージから保護するために、サージ保護回路が使用されている。
【0003】
特許文献1には、雷サージ保護回路の異常を検知し焼損事故を未然に防ぐことができる無線基地局装置に関する技術が開示されている。特許文献1に開示されている無線基地局装置は、図7に示すように、内部電源電圧を受けて動作する内部回路と、商用電源を受けて内部電源電圧を発生する電源ユニット211と、外部から電源ユニットに向かう商用電源の入力経路に接続される保護回路212と、異常発生を管理者に通知する中央制御部213を有する。そして、保護回路212は、入力経路に侵入するサージを吸収する雷サージ保護回路221と、雷サージ保護回路221の試験を行なうための試験回路223と、試験モードにおいて雷サージ保護回路221を入力経路から切り離し試験回路223に接続するスイッチ回路222と、試験回路223に試験開始指示を与える試験回路制御部224を有する。
【0004】
また、特許文献2には、遠方から接近してくる雷放電と突然近接した雷放電の両方に対応できる襲雷検出回路が開示されている。特許文献2に開示されている襲雷検出回路310は、図8に示すように、雷サージ検出回路320、徐々に遠方から近づく雷に対して雷接近を判別する第1判別回路330と急に発達した近接の雷雲に対して雷接近を判別する第2判別回路340を設けた判別回路350及び出力回路360から構成される。
【0005】
第1判別回路330は、第1レベル値以上であり、かつ、所定時間内に所定数以上の雷サージが発生した場合に、雷接近と判別する。また、第2判別回路340は、第1レベル値よりも高い第2レベル値以上の雷サージが発生した場合に、直ちに雷接近と判別する。また、出力回路360は、雷接近と判別した場合に、電源線路や通信線路からの被保護機器の切り離しや非常電源への切り替え等の保護動作を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−297849号公報
【特許文献2】特開2004−361349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、無線基地局装置は局舎内に設置されており、局舎内は空調装置を用いて温度や湿度が適切な状態に保たれている。そして、無線基地局装置の中には、空調装置等の外部装置への電源の供給・遮断を制御する制御装置が内蔵されたものがある。
このような無線基地局装置は、高電圧の雷サージ電圧から制御装置を保護するために、雷サージ電圧によって発生した雷サージ電流をフレームグランドに流すことによって、雷サージ電圧が制御装置に直接印加されないようにしている。
【0008】
しかし、無線基地局装置が備える制御装置と、この制御装置により制御される外部装置とでは、サージ電圧に対する耐圧が異なる。よって、無線基地局装置がサージ電流をフレームグランドに流すことによって、サージ電圧から制御装置を保護することができたとしても、外部装置の耐圧が制御装置の耐圧よりも低い場合、外部装置を保護することができないという問題があった。
【0009】
よって、本発明の目的は、外部装置とこの外部装置を制御する制御装置のように、サージ電圧に対する耐圧がそれぞれ異なる複数の装置をサージ電圧から適切に保護することができるサージ保護回路及びサージ保護方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にかかるサージ保護回路は、印加されるサージ電圧から外部装置と当該外部装置を制御する制御装置を保護するサージ保護回路であって、前記外部装置の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧を検出する第1のサージ電圧検出手段と、前記第1のサージ電圧よりも大きく、且つ前記制御装置の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧を検出する第2のサージ電圧検出手段と、を備え、前記第1のサージ電圧検出手段は、前記第1のサージ電圧を検出した場合、前記外部装置を保護するための信号を前記制御装置に出力するものである。
【0011】
本発明の第2の態様にかかるサージ保護方法は、印加されるサージ電圧から外部装置と当該外部装置を制御する制御装置を保護するサージ保護方法であって、前記外部装置の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧を検出するステップと、前記第1のサージ電圧よりも大きく、前記制御装置の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧を検出するステップと、前記第1のサージ電圧を検出した場合、前記外部装置を保護するための信号を前記制御装置に出力するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
上述した各態様により、外部装置とこの外部装置を制御する制御装置のように、サージ電圧に対する耐圧がそれぞれ異なる複数の装置をサージ電圧から適切に保護することができるサージ保護回路及びサージ保護方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの概要を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる外部インタフェースの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかるヒューズ部の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかるヒューズ部の構成図である。
【図6】本発明の実施の形態3にかかるヒューズ部の構成図である。
【図7】特許文献1にかかる無線基地局装置の構成図である。
【図8】特許文献2にかかる襲雷検出回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態1.
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの概要について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの概要を示す構成図である。
【0015】
サージ保護システムは、制御装置2、外部装置4、5及びサージ保護回路6を有する。制御装置2は、サージ保護回路6を介して、任意の信号線10、11によって、外部装置4、5と接続されている。
【0016】
制御装置2は、外部装置4、5の監視及び制御を行う装置である。
サージ保護回路6は、制御装置2に印加されるサージ電圧から制御装置2を保護する回路である。サージ保護回路6は、第1のサージ電圧検出手段7及び第2のサージ電圧検出手段8を有する。
第1のサージ電圧検出手段7は、外部装置4、5の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧を検出する。また、第1のサージ電圧検出手段7は、第1のサージ電圧を検出した場合、外部装置4、5を保護するための信号9を制御装置2に出力する。
第2のサージ電圧検出手段8は、第1のサージ電圧よりも大きく、且つ制御装置2の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧を検出する。
外部装置4、5は、制御装置2によって監視及び制御される装置である。
【0017】
続いて、本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの動作の概要ついて説明する。
【0018】
まず、外部装置4、5と接続される信号線10、11を介して、制御装置2に雷サージ電圧が印加される場合に、サージ保護回路6は、このサージ電圧が直接、制御装置に印加されないように保護する。
このときに、第1のサージ電圧検出手段7は、このサージ電圧が、外部装置4、5の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧である場合、それを検出する。
また、第2のサージ電圧検出手段8は、このサージ電圧が、第1のサージ電圧よりも大きく、且つ制御装置2の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧である場合、それを検出する。
そして、第1のサージ電圧検出手段7は、第1のサージ電圧を検出した場合、外部装置4、5を保護するための信号9を制御装置2に出力する。
【0019】
続いて、図2を参照して、本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムについて詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの構成図である。
【0020】
サージ保護システムは、局舎1内に設置される制御装置2及び外部装置4、5を含む。制御装置2は、自身が有する外部インタフェース3を介して、任意の信号線10、11によって、外部装置4、5と接続されている。
【0021】
制御装置2は、外部装置4、5の監視及び制御を行う装置である。制御装置2は、例えば、無線基地局装置に内蔵されている。また、制御装置2は、後述にて説明する図3に示すように、内部回路21を有する。
内部回路21は、外部装置4、5を監視又は制御するための通信データを外部インタフェース3のメイン回路32に出力する。また、内部回路21は、この監視又は制御に応じて、外部装置4、5から送信された通信データを取得したメイン回路32から、この通信データの出力を受ける。
【0022】
外部インタフェース3は、制御装置2に外部装置4、5と通信する機能を提供する装置である。局舎1が落雷によって誘導雷や直撃雷を受けた場合に、外部装置4、5と接続される信号線10、11を介して、外部インタフェース3から雷サージ電圧が制御装置2に印加されることが考えられる。外部インタフェース3には、雷サージ電圧が印加されたときに、制御装置2に影響を及ぼさないように保護する雷サージ保護機能を設けている。雷サージ保護機能は、想定されるある程度の雷サージ電圧までは保護することは可能だが、特に直撃雷などの超高電圧が印加されると、必ずしも保護することが可能とは言えない。このため、保護できない大きさの雷サージ電圧が印加された場合には、制御装置2に異常を通知する必要があり、外部インタフェース3はその機能を備えている。
【0023】
外部装置4、5は、制御装置2によって監視及び制御される装置である。外部装置4、5は、制御装置2よりも耐圧の低い装置である。外部装置4、5は、例えば、エア・コンディショナーのような空調装置である。
【0024】
続いて、図3を参照して、本発明の実施の形態1にかかる外部インタフェース3について詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる外部インタフェース3の構成図である。
【0025】
外部インタフェース3は、ダイオード群31、メイン回路32及びヒューズ部33を含む。
ダイオード群31は、誘導雷や直撃雷など高負荷の雷サージ電圧により発生した雷サージ電流100が、制御装置2に負荷されないように、雷サージ電流100の流れをヒューズ部33に流れるように切り替える。制御装置2には、制御対象となる全ての外部装置4、5から雷サージ電圧が印加される可能性がある。このため、ダイオード群31は、外部装置4、5と接続されている全ての信号線10、11に、正常に動作する電圧よりも大きな電圧で、予め定めた値を越えた雷サージ電圧が印加された場合、メイン回路32側に雷サージ電圧が印加されないように、雷サージ電圧により発生した雷サージ電流100をヒューズ部33に流す。これにより、制御装置2の内部回路21に雷サージ電圧が印加されることを防止することができる。よって、制御装置2が雷サージにより故障することを防止することができる。
【0026】
メイン回路32は、外部装置4、5から送信された通信データを内部回路21に出力する処理や、内部回路21から出力された通信データを外部装置4、5に送信する処理を実行する。
ヒューズ部33は、ダイオード群31によって流されてきた雷サージ電流100をフレームグランド(以下、「FG」とする)に流す。また、ヒューズ部33は、雷サージ電流100が、予め定めた電流容量以上であるか否かを、自身に含まれるヒューズの溶断によって検出し、雷サージ電流100が予め定めた電流容量以上であることを検出した場合は、制御装置2に、その旨を通知する断通知信号90を出力する。ヒューズ部33は、サージ保護回路として機能する。
つまり、ダイオード群31及びヒューズ部33は、雷サージ保護回路として機能する。
【0027】
続いて、図4を参照して、本発明の実施の形態1にかかるヒューズ部33について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかるヒューズ部33の構成図である。
【0028】
ヒューズ部33は、抵抗61、62、ヒューズ71、72を有する。また、ヒューズ71、72は、スイッチ(以下、「SW」とする)81、82を有する。
抵抗61は、ヒューズ71が溶断したときに、雷サージ電流100がヒューズ72に流れるようにするための抵抗である。
抵抗62は、ヒューズ72が溶断したときに、雷サージ電流100がFGに流れるようにするための抵抗である。
なお、抵抗61、62は、想定される大電流が流れても破損しないような、十分な定格電力を有する抵抗である。
【0029】
ヒューズ71は、外部装置4、5の耐圧よりも大きい雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさを電流容量とするヒューズである。なお、ヒューズ71は、好ましくは、外部装置4、5の耐圧と同じ大きさの電圧によって発生する電流の大きさを電流容量とするヒューズである。ここで、外部装置4、5の耐圧とは、外部装置4、5が耐えることのできる最大電圧のことである。
【0030】
ヒューズ72は、制御装置2の耐圧よりも高い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさを電流容量とするヒューズである。なお、ヒューズ72は、好ましくは、制御装置2の耐圧と同じ高さの電圧によって発生する電流の大きさを電流容量とするヒューズである。ここで、制御装置2の耐圧とは、制御装置2が耐えることのできる最大電圧のことである。なお、制御装置2の場合は、雷サージ保護機能によって保護されているため、より詳細には、制御装置2に直接印加される電圧が、制御装置2が耐えることのできる大きさまで小さくなるように、ダイオード群31によって電流の一部又は全部をFGに流しきることのできる大きさの電圧のうち、最大の電圧が制御装置2の耐圧となる。
なお、制御装置2の耐圧は、外部装置4、5の耐圧よりも大きいため、ヒューズ72の電流容量は、ヒューズ71の電流容量よりも大きなものとなる。
【0031】
SW81、82は、ヒューズ71、72が溶断した時にONとなるスイッチである。SW81、82がONとなって、シグナルグランド(以下、「SG」とする)と接続されることによる信号変化が断通知信号91、92として制御装置2に出力される。つまり、断通知信号91は、ヒューズ71の溶断を通知する信号であり、断通知信号92は、ヒューズ72の溶断を通知する信号である。
【0032】
以上に説明したように、ヒューズ部33は、ダイオード群31によって流されてきた雷サージ電流100がヒューズ71、72の電流容量以内である場合、雷サージ電流100をFGに流す。また、雷サージ電流100が電流容量よりも大きい場合、雷サージ電流100をFGに流すとともに、ヒューズ71、72が溶断して、その溶断を制御装置2に通知するようにしている。これにより、ヒューズ部33は、制御装置2に対して、外部装置4、5や制御装置2の耐性よりも大きな雷サージ電圧が印加されたことを通知する。
【0033】
続いて、本発明の実施の形態1にかかるサージ保護システムの動作について説明する。
【0034】
まず、誘導雷や直撃雷によって、外部装置4、5等と接続される信号線10、11を介して、外部インタフェース3から雷サージ電圧が制御装置2に印加される場合、ダイオード群31は、この雷サージ電圧によって発生した雷サージ電流100をヒューズ部33に流す。
ヒューズ部33は、ダイオード群31から流れてきた雷サージ電流100をヒューズ71及びヒューズ72を経由してFGに流す。これにより、雷サージ電圧が直接、制御装置2に印加されないようにして、制御装置2を保護している。
【0035】
このときに、ヒューズ71は、自身を流れる雷サージ電流100が電流容量を超えると溶断する。スイッチ81は、この溶断によってONとなり、制御装置2に断通知信号91を出力する。この断通知信号91が出力された場合には、局舎1の周辺において落雷が発生しており、再度落雷が発生したときに、制御装置2よりも耐圧の低い外部装置4、5が故障する可能性のある高さの雷サージ電圧が制御装置2や外部装置4、5に印加される可能性があると判断することができる。そのため、制御装置2は、外部インタフェース3を介して、外部装置4、5への電源供給を遮断することにより、外部装置4、5の故障を回避することができる。
【0036】
また、外部装置4、5のうち、故障している装置があった場合は、ヒューズ71を溶断させる大きさの雷サージ電流100を発生させた高さの雷サージ電圧によって、故障が発生したと判断することができる。なお、このときの判断は、例えば、制御装置2に備えられた、もしくは、制御装置2に接続された表示装置(図示せず)に断通知信号91の出力結果を表示することにより、作業者が判断可能とすることができる。
なお、ヒューズ71が溶解した後に、ヒューズ部33に再び雷サージ電流100が流れてきた場合、雷サージ電流100は、抵抗61を経由してヒューズ72に流れることとなる。
【0037】
また、ヒューズ72は、自身を流れる雷サージ電流100が電流容量を超えると溶断する。スイッチ82は、この溶断によってONとなり、制御装置2に断通知信号91を出力する。
この断通知信号92が出力された場合には、外部インタフェース3の雷サージ保護機能によって保護しきれない大きさの雷サージ電圧が印加されており、外部装置4、5が故障した可能性があると判断することができる。つまり、雷サージ電流100が、ダイオード群31によってFGに十分に流しきることのできない大きさであり、その電流が制御装置2に含まれる外部インタフェース3のメイン回路32や内部回路21に流れ、制御装置2が故障する可能性のある高さの雷サージ電圧が印加された可能性があると判断することができる。
【0038】
なお、このときの判断は、例えば、上述したように、表示装置に断通知信号92の出力結果を表示することにより、作業者が判断可能とすることができる。これにより、この表示された出力結果を、制御装置2又は制御装置2に含まれる装置の交換や修理を行う目安とすることができる。
なお、ヒューズ72が溶解した後に、ヒューズ部33に再び雷サージ電流100が流れてきた場合、雷サージ電流100は、抵抗62を経由してFGに流れることとなる。
【0039】
なお、断通知信号91、92の出力結果を併せて確認することにより、溶解したヒューズ71、72の電流容量に基づいて、雷サージ電流100の範囲を算出することができるため、局舎1が受けた雷サージ電圧の高さを大まかなレベルで確認することも可能となる。具体的には、ヒューズ71が溶断した旨を通知する断通知信号91は出力されているが、ヒューズ72が溶断した旨を通知する断通知信号92は出力されていない場合は、ヒューズ72を溶断させる大きさではないが、ヒューズ71を溶断させる大きさの雷サージ電流100が流れたことを知ることができる。
これにより、被雷した局舎1において、制御装置2では耐えられる雷サージ電圧だが、外部装置4、5では耐えられない雷サージ電圧であったというように、局舎1内設備の故障要因を判別する際の情報として使用することも可能である。
【0040】
以上に説明したように、本実施の形態1によれば、外部装置4、5とこの外部装置4、5を制御する制御装置2が設置される局舎1において、局舎1内の各装置2、4、5が正常に動作する動作電圧よりも高い異常電圧となる雷サージ電圧が印加される場合、つまり、外部インタフェース3のサージ保護機能によって保護される制御装置2の耐圧よりも低いが、外部装置4、5の耐圧よりも高い雷サージ電圧の印加を検出した場合、外部装置4、5を保護するための断通知信号91を制御装置2に出力するようにしている。そのため、制御装置2は、局舎1内にある外部装置4、5のように、自身よりもサージ保護機能が微弱であり耐圧の低い装置への電源供給を遮断するように制御することができるため、雷サージ電圧による外部装置4、5の故障を回避することができる。
つまり、本実施の形態1によれば、外部装置とこの外部装置を制御する制御装置のように、サージ電圧に対する耐圧がそれぞれ異なる複数の装置をサージ電圧から適切に保護することができる。
【0041】
また、背景技術において説明したような空調装置は、市販されているものによって構成されるため、雷サージ電圧が印加されないようにするため、空調装置自体に手を加えることが困難であるという問題もあった。
本実施の形態1によれば、外部装置4、5の耐圧よりも高い雷サージ電圧を検出した場合に、制御装置2から外部装置4、5を制御することによって、外部装置4、5を雷サージ電圧から保護するようにしている。そのため、例えば、空調装置のような制御装置によって制御される外部装置自体に手を加えることなく、雷サージ電圧から外部装置を保護することができる。
【0042】
本発明の実施の形態2.
続いて、本発明の実施の形態2にかかるサージ保護システムについて詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態2にかかるサージ保護システムの構成は、ヒューズ部33の構成以外は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0043】
図5を参照して、本発明の実施の形態2にかかるヒューズ部33について詳細に説明する。図5は、本発明の実施の形態2にかかるヒューズ部33の構成図である。
【0044】
ヒューズ部33は、抵抗61、62、63、ヒューズ71、72、73を有する。また、ヒューズ71、72、73は、SW81、82、83を有する。なお、抵抗61、62、ヒューズ71、72及びSW81、82については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0045】
抵抗63は、ヒューズ73が溶断したときに、雷サージ電流100がヒューズ71に流れるようにするための抵抗である。なお、抵抗63は、想定される大電流が流れても破損しないような、十分な定格電力のものである。
ヒューズ73は、外部装置4、5の耐圧よりも低い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさのうち、任意の大きさを電流容量とするヒューズである。
SW83は、ヒューズ73が溶断した時にONとなるスイッチである。SW83がONとなって、SGと接続されることによる信号変化が断通知信号93として制御装置2に出力される。つまり、断通知信号93は、ヒューズ73の溶断を通知する信号である。
【0046】
続いて、本発明の実施の形態2にかかるサージ保護システムの動作について説明する。
【0047】
誘導雷や直撃雷によって発生した雷サージ電流100をヒューズ部33に流す動作や、ヒューズ71、72における動作については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
本実施の形態2では、ヒューズ73は、ヒューズ71が溶断しない大きさの雷サージ電流100であっても、自身を流れる雷サージ電流100が電流容量を超えると溶断する。スイッチ83は、この溶断によってONとなり、制御装置2に断通知信号93を出力する。この断通知信号93が通知された場合には、制御装置2や外部装置4、5が故障した可能性はないと判断することができるが、制御装置2や外部装置4、5にある程度大きな雷サージ電圧が印加されて装置の劣化が進んだ可能性があると判断することができる。
【0048】
なお、このときの判断は、例えば、実施の形態1において説明したように、表示装置に断通知信号93の出力結果を表示することにより、作業者が判断可能とすることができる。これにより、この表示された出力結果を、外部装置4、5、制御装置2又は制御装置2に含まれる装置の交換や修理を行う目安とすることができる。
なお、ヒューズ73が溶解した後に、ヒューズ部33に再び雷サージ電流100が流れてきた場合、雷サージ電流100は、抵抗63を経由してヒューズ71に流れることとなる。
【0049】
以上に説明したように、本実施の形態2では、実施の形態1におけるヒューズ部33の構成に対して直列にヒューズ73を1つ追加した構成としている。このように、ヒューズを直列に追加するという簡単な構成によって、ヒューズ71、72、73のいずれも溶断しない場合、ヒューズ73のみが溶断して、ヒューズ71、72は溶断しない場合、ヒューズ73及びヒューズ71が溶断して、ヒューズ72は溶断しない場合、全てのヒューズ71、72、73が溶断する場合、といったように制御装置2に印加される雷サージ電圧の大きさによってヒューズ71、72、73の溶断するパターンが細分化される。
【0050】
よって、それぞれのパターンを断通知信号91、92、93のいずれも通知されない場合、断通知信号93のみ通知される場合、断通知信号93及び断通知信号92の2つが通知される場合、断通知信号91、断通知信号92及び断通知信号93の3つが通知される場合、として検出することができる。そのため、実施の形態1と比較して、さらに雷サージ電圧の大きさを細分化して検出することができるため、局舎1内の制御装置や外部装置等の装置の故障可能性だけでなく、装置の劣化具合についても詳細に判断することが可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態2では、外部装置4及び外部装置5の耐圧が異なる場合に、ヒューズ73を外部装置4の耐圧よりも高い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさを電流容量とし、ヒューズ71を外部装置5の耐圧よりも高い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさを電流容量とすることもできる。これにより、ヒューズ73の溶断による断通知信号93が出力された場合は、外部装置4への電源供給を遮断し、ヒューズ71の溶断による断通知信号91が出力された場合は、外部装置5への電源供給を遮断するといったように、制御装置2が制御する外部装置4、5の耐圧が異なる場合であっても、サージ電圧から適切に保護することができる。
【0052】
以上に説明したように、本実施の形態2によれば、制御装置に印加される雷サージ電圧の大きさを細分化して検出することができるため、外部装置とこの外部装置を制御する制御装置の劣化具合を判断することが可能となる。
【0053】
本発明の実施の形態3.
続いて、本発明の実施の形態3にかかるサージ保護システムについて詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態3にかかるサージ保護システムの構成は、ヒューズ部33の構成以外は、実施の形態1及び2と同様であるため説明を省略する。
【0054】
図6を参照して、本発明の実施の形態3にかかるヒューズ部33について詳細に説明する。図6は、本発明の実施の形態3にかかるヒューズ部33の構成図である。
【0055】
ヒューズ部33は、抵抗61、62、64、65、ヒューズ71、72、74、75を有する。また、ヒューズ71、72、74、75は、SW81、82、84、85を有する。なお、抵抗62、ヒューズ71、72及びSW81、82については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。なお、本実施の形態3では、抵抗61、64、65及びヒューズ71、74、75が並列に接続されている点が実施の形態1と異なる。
【0056】
抵抗61は、ヒューズ71が溶断したときに、雷サージ電流100がヒューズ74に流れるようにするための抵抗である。
抵抗64は、ヒューズ74が溶断したときに、雷サージ電流100がヒューズ75に流れるようにするための抵抗である。
抵抗65は、ヒューズ75が溶断したときに、雷サージ電流100がヒューズ72に流れるようにするための抵抗である。
なお、抵抗64、65は、想定される大電流が流れても破損しないような、十分な定格電力のものである。
【0057】
ヒューズ74、75は、ヒューズ71と同様に、外部装置4、5の耐圧よりも高い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさを電流容量とするヒューズである。なお、ヒューズ74、75は、好ましくは、ヒューズ71と同様に、外部装置4、5の耐圧と同じ大きさの電圧によって発生する電流の大きさを電流容量とするヒューズである。
【0058】
SW84、85は、ヒューズ74、75が溶断した時にONとなるスイッチである。SW84、85がONとなって、SGと接続されることによる信号変化が断通知信号94、95として制御装置2に出力される。つまり、断通知信号94は、ヒューズ74の溶断を通知する信号であり、断通知信号95は、ヒューズ75の溶断を通知する信号である。
【0059】
続いて、本発明の実施の形態3にかかるサージ保護システムの動作について説明する。
【0060】
誘導雷や直撃雷によって発生した雷サージ電流100をヒューズ部33に流す動作や、ヒューズ71、72における動作については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
まず、ヒューズ71は、自身を流れる雷サージ電流100が電流容量を超えると溶断する。スイッチ81は、この溶断によってONとなり、制御装置2に断通知信号91を出力する。制御装置2は、断通知信号91を受けると、外部装置4、5を保護するために、外部インタフェース3を介して、外部装置4、5への電源供給を遮断する。
次に、落雷の恐れがなくなった場合、制御装置2は、再び外部装置4、5に電源を供給する。このとき、本実施の形態3では、ヒューズ71は、交換等がされておらず、溶断したままとする。
【0061】
次に、再び落雷が発生した場合は、雷サージ電流100は、抵抗61を経由してヒューズ74に流れる。
ヒューズ74は、自身を流れる雷サージ電流100が電流容量を超えると溶断する。スイッチ84は、この溶断によってONとなり、制御装置2に断通知信号94を出力する。制御装置2は、断通知信号94を受けると、外部装置4、5を保護するために、外部インタフェース3を介して、外部装置4、5への電源供給を遮断する。
次に、落雷の恐れがなくなった場合、制御装置2は、再び外部装置4、5に電源を供給する。このとき、本実施の形態3では、ヒューズ71、74は、交換等がされておらず、溶断したままとする。
【0062】
次に、再び落雷が発生した場合は、雷サージ電流100は、抵抗61、64を経由してヒューズ75に流れる。
ヒューズ75は、自身を流れる雷サージ電流100が電流容量を超えると溶断する。スイッチ85は、この溶断によってONとなり、制御装置2に断通知信号95を出力する。制御装置2は、断通知信号95を受けると、外部装置4、5を保護するために、外部インタフェース3を介して、外部装置4、5への電源供給を遮断する。
なお、ヒューズ75が溶解した後に、ヒューズ部33に再び雷サージ電流100が流れてきた場合、雷サージ電流100は、抵抗65を経由してFGに流れることとなる。
【0063】
以上に説明したように、本実施の形態3では、同じ電流容量である3つのヒューズ71、74、75を並列に接続するようにしている。そのため、ヒューズ71、74、75の電流容量を超える雷サージ電流100をヒューズの交換なしに3回検出することができる。つまり、ヒューズ71、74、75の交換なしに同様の大きさの雷サージ電圧の印加を複数回、制御装置2に通知することができる。そのため、ヒューズ71、74、75の交換なしに、制御装置2から外部装置4、5への電源供給を遮断して故障を回避する制御を複数回行うことができる。
【0064】
以上に説明したように、本実施の形態3によれば、容易にヒューズの交換ができないシステムであっても、ヒューズの交換をすることなく、外部装置とこの外部装置を制御する制御装置のように、サージ電圧に対する耐圧がそれぞれ異なる複数の装置をサージ電圧から適切に保護することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、本実施の形態では、落雷によって発生する雷サージ電圧から制御装置や外部装置を保護する場合について例示したが、雷以外の要因で発生するサージ電圧から保護するために用いてもよい。例えば、局舎内に人が入局していない状態であれば、サージ電圧が発生する要因としては、ほぼ落雷による雷サージ電圧しかないと判断できるが、人が入局している場合は、人的要因によって高電圧が印加されてしまう可能性もある。
【0066】
また、ヒューズの数や電流容量は、本実施の形態において例示したものに限られない。
例えば、実施の形態2では、外部装置の耐圧よりも低い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流の大きさを電流容量とするヒューズを追加しているが、追加するヒューズの数や電流容量は、本実施の形態2において例示したものに限られない。例えば、制御装置2の耐圧よりも低く、外部装置の耐圧よりも高い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流の大きさを電流容量とするヒューズを追加してもよい。また、例えば、制御装置2の耐圧よりも低く、外部装置の耐圧よりも高い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流100の大きさを電流容量とするヒューズと、外部装置の耐圧よりも低い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流の大きさを電流容量とするヒューズの両方を追加してもよい。また、例えば、外部装置の耐圧よりも低い雷サージ電圧によって発生する雷サージ電流の大きさを電流容量とするヒューズであって、それぞれ電流容量が異なる複数のヒューズを追加することにより、さらに細分化して雷サージ電圧を検出できるようにしてもよい。
例えば、その他に、実施の形態3では、ヒューズを3つ並列に接続して構成したヒューズ部を例示したが、並列に接続するヒューズの数はそれに限られない。
【0067】
また、実施の形態2及び実施の形態3を組み合わせて実施するようにしてもよい。例えば、実施の形態2において追加されるヒューズについても、同様の電流容量のヒューズを並列して接続するようにして、雷サージ電圧の大きさを細分化して複数回検出することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 局舎
2 制御装置
3 外部インタフェース
4、5 外部装置
6 サージ保護回路
7 第1のサージ電圧検出手段
8 第2のサージ電圧検出手段
9 信号
10、11 信号線
21 内部回路
31 ダイオード群
32 メイン回路
33 ヒューズ部
61、62、63、64、65 抵抗
71、72、73、74、75 ヒューズ
81、82、83、84、85 SW
91、92、93、94、95 断通知信号
100 雷サージ電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加されるサージ電圧から外部装置と当該外部装置を制御する制御装置を保護するサージ保護回路であって、
前記外部装置の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧を検出する第1のサージ電圧検出手段と、
前記第1のサージ電圧よりも大きく、且つ前記制御装置の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧を検出する第2のサージ電圧検出手段と、を備え、
前記第1のサージ電圧検出手段は、前記第1のサージ電圧を検出した場合、前記外部装置を保護するための信号を前記制御装置に出力する、サージ保護回路。
【請求項2】
前記第2のサージ検出手段は、前記第2のサージ電圧を検出した場合、当該検出を通知する信号を前記制御装置に出力する請求項1に記載のサージ保護回路。
【請求項3】
前記サージ保護回路は、さらに任意の大きさの第3のサージ電圧を検出する第3のサージ電圧検出手段を備え、
前記第3のサージ電圧検出手段は、前記第3のサージ電圧を検出した場合、当該検出を通知する信号を前記制御装置に出力する請求項1又は2に記載のサージ保護回路。
【請求項4】
前記制御装置は、それぞれ耐圧の異なる第1及び第2の外部装置を制御し、
前記第1のサージ電圧検出手段は、前記第1のサージ電圧として、前記第1の外部装置の耐圧よりも大きなサージ電圧を検出するとともに、前記第1のサージ電圧を検出した場合、前記第1の外部装置を保護するための信号を前記制御装置に出力し、
前記サージ保護回路は、さらに前記第2の外部装置の耐圧よりも大きなサージ電圧を検出する第3のサージ電圧検出手段を備え、
第3のサージ電圧検出手段は、前記第3のサージ電圧を検出した場合、前記第2の外部装置を保護するための信号を前記制御装置に出力する請求項2に記載のサージ保護回路。
【請求項5】
前記サージ電圧検出手段は、前記サージ電圧をヒューズによって検出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサージ保護回路。
【請求項6】
前記サージ電圧検出手段は、前記ヒューズを複数有し、
前記複数のヒューズは、並列に接続されている請求項5に記載のサージ保護回路。
【請求項7】
前記サージ電圧検出手段は、さらに抵抗を有し、前記ヒューズと前記抵抗が並列に接続されている請求項5又は6に記載のサージ保護回路。
【請求項8】
前記制御装置は、前記外部装置を保護するための信号の入力に応じて、当該外部装置への電源供給を遮断する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のサージ保護回路。
【請求項9】
前記サージ電圧は、雷によって印加される雷サージ電圧である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のサージ保護回路。
【請求項10】
印加されるサージ電圧から外部装置と当該外部装置を制御する制御装置を保護するサージ保護方法であって、
前記外部装置の耐圧よりも大きな第1のサージ電圧を検出するステップと、
前記第1のサージ電圧よりも大きく、前記制御装置の耐圧よりも大きい第2のサージ電圧を検出するステップと、
前記第1のサージ電圧を検出した場合、前記外部装置を保護するための信号を前記制御装置に出力するステップと、を有する、サージ保護方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−10407(P2011−10407A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149609(P2009−149609)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】