説明

サービス公開装置、方法、及び、プログラム

【課題】 特定のコントロールポイントにサービスを公開するためには、サービスに特定のコントロールポイントのアドレスを登録する機能を、特定のコントロールポイントに実装する必要があった。
【解決手段】 サービス公開装置は、検索メッセージが受信された時(ステップS402)にサービス利用装置の識別情報がリストに記憶されていた場合(ステップS405)、サービス公開のための応答メッセージをサービス利用装置に送信する(ステップS403)。サービス公開装置は、検索メッセージを送信したサービス利用装置の名前を表示し(ステップS408D)、名前が表示されたサービス利用装置に対する応答メッセージの送信許可が入力されると(ステップS408)、応答メッセージの送信が許可されたサービス利用装置をリストに登録する(ステップS411、S412)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに対してサービスを公開するサービス公開装置、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器が、ネットワークに接続すると、ネットワーク上にサービスを公開し、サービスの実行要求の受付を行う技術が知られている。このような技術には、例えば、UPnP(Universal Plug and Play)がある。このような技術において、サービスが、コントロールポイントからパケットを受け取ったとき、コントロールポイントのMACアドレスが登録されているか否かの判断を行い、登録されていない場合、アクセスを拒否する技術がある(特許文献1)。特許文献1では、コントロールポイントがMACアドレスの登録要求を送信し、登録要求を受信したサービスがMACアドレスを登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−152249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続したネットワークに対して、一様にUPnP/DLNAサービスを公開すると、意図しない第三者が機能(ssdpによる発見・SOAPによる操作・GENAによるイベント通知)を利用できるという問題があった。
【0005】
また、特許文献1では、コントロールポイントにはMACアドレスの登録要求を送信する機能、サービスにはMACアドレスの登録要求を受信する機能が必要であった。このように、コントロールポイントとサービス両方に追加機能が必要であり、コントロールポイントに追加機能が実装されていない場合、コントロールポイントからMACアドレスの登録要求が送信されないので、通信ができなかった。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、登録機能を持たないサービス利用装置にサービスを限定的に公開することができるサービス公開装置、方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
サービス利用装置にネットワークを介してサービスを公開するサービス公開装置は、前記サービス利用装置が送信した検索メッセージを受信する受信手段と、記憶手段と、前記検索メッセージが受信された時に前記記憶手段に前記サービス利用装置の識別情報が記憶されていた場合、サービス公開のための応答メッセージを前記サービス利用装置に送信する送信手段と、前記検索メッセージを送信した前記サービス利用装置に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段に前記関する情報が表示された前記サービス利用装置に対する前記応答メッセージの送信許可を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された送信許可により前記応答メッセージの送信が許可された前記サービス利用装置の識別情報を前記記憶手段に登録する登録手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサービス公開装置は、登録機能を持たないサービス利用装置にサービスを限定的に公開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るネットワーク構成図である。
【図2】本発明に係るサービス公開装置のモジュール構成図である。
【図3】サービス公開装置がネットワークに接続するときの処理を示すフローチャートを示した図である。
【図4】サービス公開装置がサービス利用装置からM−SEARCHメッセージを受信したときの処理を示すフローチャートを示した図である。
【図5】サービス公開装置のユーザインターフェースのウインドウを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施例に係るネットワーク構成を示した図である。
【0012】
100は、ネットワークである。ネットワーク100は、Local Area Network(LAN)やアドホックネットワークなどで構成される。101は、ネットワークにサービスを公開するサービス公開装置(以下、公開装置)である。本実施例において、公開装置101は、UPnP(Universal Plug and Play)デバイスである。102は、ネットワーク上でサービスを検索し、発見したサービスを利用するサービス利用装置(以下、利用装置)である。本実施例において、利用装置102は、UPnPコントロールポイントである。
【0013】
本実施例では、サービスの公開の方法をUPnPに含まれるSSDP(Simple Service Discovery Protocol)で実現する。これに限らず、WS−Discoveryなどといった他のサービスの公開を行う方法においても実現できる。
【0014】
図2は、本実施例に係る公開装置101のモジュール構成図である。
【0015】
201は、利用装置102のMACアドレス、IPアドレスや、識別子から、名前を逆引きする名前逆引き部である。MACアドレスを用いる場合、名前逆引き部201が、TCP/IP制御部208を介してネットワーク100上の特定のサーバ(不図示)に問い合わせることによって、MACアドレスに対応する製品名やユーザ定義名を取得する。IPアドレスを用いる場合、名前逆引き部201が、TCP/IP制御部208を介してDNS(Domain Name Service)(不図示)に逆引き要求を行うことによって、DNSの名前を取得する。
【0016】
202は、利用装置102からの検索メッセージに応答するか否かを判断する応答判断部である。応答判断部202は、記憶部209が保持するリスト209Lに検索メッセージを送信した利用装置102が含まれるかを判断する。
【0017】
203は、SOAP(Simple Object Access Protocol)処理、GENA(General Event Notification Architecture)処理を行うサービス提供部である。204は、接続しているネットワーク100の種別を判断する種別判断部である。205は、ネットワーク100を介して受信したメッセージの処理、および、ネットワーク100を介したメッセージの送信処理を行うメッセージ処理部である。206は、メッセージ処理部205で受信したメッセージを一時的に保留するメッセージ保留部である。207は、ネットワーク100に公開装置101の持つサービスを公開してよいかの判断を行うサービス公開判断部である。
【0018】
208は、ネットワーク100に接続し、TCP/IPなどのネットワークプロトコルに関連する処理を行うTCP/IP制御部である。TCP/IP制御部208は、利用装置102が送信したメッセージを受信し、また、利用装置102にメッセージを送信する。209は、記憶部、210は、操作部である。操作部210は、表示部、及び、キー入力部を含む。表示部、キー入力部は、タッチパネルにより一体に構成してもよい。なお、図2に示した各部は、不図示のコンピュータがプログラムを実行することにより実現されるソフトウエアモジュールとして構成してもよい。また、各部をハードウエアとして構成してもよい。
【0019】
図3は、公開装置101がネットワーク100に接続するときの処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、公開装置101がネットワーク100に接続されたときに、サービスの公開方法を決定する手順を示す。なお、サービスの公開方法は、図3の方法に限らず、操作部210から設定するようにしてもよい。公開装置101をコンピュータにより実現する形態では、このフローチャートは、コンピュータが実行するプログラムの一部を示す。このプログラムは、コンピュータが読み出すことができるように、メモリに記憶される。
【0020】
ステップS301において、サービス提供部203は、ネットワーク100への接続指示を受け付け、ステップS302に進む。この接続指示は、操作部210からの入力される。また、ネットワークケーブルが装置に接続されたことを接続指示としてもよい。複数のネットワークがある場合、接続するネットワークを決定するために、ユーザによる選択または予め設定された重み付けによる選択が行われる。ステップS302において、サービス提供部203は、TCP/IP制御部208を介して、ネットワーク100への接続を開始し、ステップS303に進む。
【0021】
ステップS303において、種別判断部204は、接続が完了したネットワークの種別を判別する。種別判断部204は、ネットワークの種別の判別が可能であると判断すると、ステップS304に進む。種別判断部204は、ネットワークの種別の判断が不可能であると判断すると、ステップS309に進む。
【0022】
ステップS304において、種別判断部204は、ネットワーク接続に利用しているパラメータから、ネットワーク種別を取得する。パラメータは、操作部210から入力され、記憶部209に保持されている。
【0023】
種別判断部204は、パラメータがインフラモードであるとき、SSIDの値から、ネットワークの種別を判断する。特定のSSIDであった場合、公衆無線LANと判別することができ、それ以外の場合は、ホームネットワークであると判断する。SSIDは、ネットワーク100から受信され、記憶部209に保持されている。
【0024】
種別判断部204は、パラメータがアドホックモードであるとき、予め設定されているパラメータを用いていると、パーソナルネットワークであると判断する。種別判断部204は、WPSE(Wifi Protected Setup Extensions)などのパラメータ設定技術で一時的にネットワークに接続している場合は、アドホックネットワークであると判断する。WPSEなどのパラメータ設定技術を利用している場合、TCP/IP制御部208は、ネットワークから切断したと判断すると、設定されたパラメータの消去を行う。
【0025】
種別判断部204は、USBや近距離無線などで携帯電話やインターネット接続モジュールと接続している場合は、それぞれ、携帯電話、インターネットと判断する。装置が携帯電話に接続されること、インターネット接続モジュールに接続されることは、操作部210から入力され、記憶部209に保持されている。また、接続された携帯電話、インターネット接続モジュールから、接続された機器が、携帯電話、インターネット接続モジュールであることの通知を受け、その結果を記憶部209に保持してもよい。
【0026】
種別判断部204が、ネットワーク100を、ホームネットワーク、または、パーソナルネットワークと判断すると、ステップS305に進む。種別判断部204が、ネットワーク100を、公衆無線LAN、または、アドホックネットワークであると判断すると、ステップS107に進む。種別判断部204が、ネットワーク100を、携帯電話、または、インターネットであると判断すると、ステップS309に進む。
【0027】
種別判断部204の判断はこれに限らず、他の方法でも実現できる。たとえば、ネットワーク100からネットワークの種別を示すパラメータを取得しても良いし、IPv6のRouter Advertisementに含まれるNetwork Prefixから判断しても良い。
【0028】
ステップS305において、サービス公開判断部207は、サービスをネットワークに公開すると決定し、ステップS306に進む。ステップS306において、TCP/IP制御部208がIPアドレスを取得した後、メッセージ処理部205は、NOTIFY ssdp:aliveを、TCP/IP制御部208を介して、ネットワーク100に送信する。サービス提供部203は、TCP/IP制御部208を介して、ネットワーク100にSOAPおよびGENAの提供を開始し、処理を終了する。
【0029】
ステップS307において、サービス公開判断部207は、サービスをネットワークに限定的に公開すると決定し、ステップS308に進む。ステップS308において、メッセージ処理部205は、NOTIFY ssdp:aliveを、ネットワーク100に送信せず、処理を終了する。メッセージ処理部205は、定期的にネットワーク100に送信するはずのNOTIFY ssdp:aliveも送信しない。
【0030】
ステップS309において、サービス公開判断部207は、サービスをネットワークに公開しないと決定し、ステップS310に進む。ステップS310において、メッセージ処理部205は、NOTIFY ssdp:aliveをネットワーク100に送信しないと決定し、SSDPを停止する。さらに、サービス提供部203は、ネットワーク100へのSOAPおよびGENAを停止し、処理を終了する。ステップS304において、決定した結果は、記憶部209に記憶される。以上のようにして、種別判断部204は、アクセスネットワークの種別を判断し(ステップS303)、サービス公開判断部207は、種別判断部204が判断したアクセスネットワークの種別に応じて、サービスの公開方法を決定する(ステップS304)。
【0031】
サービスの公開方法は、公開、限定公開、非公開の3通りに限定されるものではなく、公開と限定公開の2通り、限定公開と非公開の2通りのいずれかに決定してもよい。図3では、接続されたネットワークの種別に応じてサービスの公開方法を決定したが、サービスの公開方法は、操作部210から設定してもよい。また、図3のように決定された公開方法を、操作部210から変更できるようにしてもよい。サービスの公開方法は、公開、限定公開、非公開の3通り、公開と限定公開の2通り、限定公開と非公開の2通りに決定してもよく、あるいは、限定公開の1通りのみに決定してもよい。
【0032】
図4は、公開装置101が利用装置102からM−SEARCHメッセージを受信したときの処理を示すフローチャートを示した図である。公開装置101をコンピュータにより実現する形態では、このフローチャートは、コンピュータが実行するプログラムの一部を示す。このプログラムは、コンピュータが読み出すことができるように、メモリに記憶される。
【0033】
ステップS401において、TCP/IP制御部208を介して、メッセージ処理部205は、自デバイスに関連するM−SEARCH ssdp:discoveryを受信し、ステップS402に進む。M−SEARCH ssdp:discoveryは、公開装置101のサービスを問い合わせるための検索メッセージである。
【0034】
ステップS402において、サービス公開判断部207は、図3で説明したようにネットワークに接続したときに決定されたサービスの公開方法を確認する。なお、サービスの公開方法は、図3で説明したように接続されたネットワークに応じて決定するのではなく、操作部210から設定してもよい。サービス公開判断部207が、サービスの公開方法が公開であると判断すると、ステップS403に進む。サービス公開判断部207が、サービスの公開方法が限定公開であると判断すると、ステップ404に進む。サービス公開判断部207が、サービスの公開方法が非公開であると判断すると、ステップ413に進む。なお、サービスの公開方法は、公開、限定公開、非公開の3通りに限定されるものではなく、公開と限定公開の2通り、限定公開と非公開の2通り、あるいは、限定公開の1通りのみでもよい。公開方法が限定公開の1通りの形態では、ステップS402の判断は不要であり、ステップS401の次にステップS404に進む。
【0035】
ステップS403において、メッセージ処理部205は、TCP/IP制御部208を介して、利用装置102にM−SEARCH RESPONSEを返し、処理を終了する。
【0036】
ステップS404において、応答判断部202は、M−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102のMACアドレスを取得し、ステップS405に進む。本実施例では、応答判断部202は、M−SEARCH ssdp:dicoveryの送信元ヘッダを参照することで、MACアドレスを取得する。本実施例では、MACアドレスを利用したが、これに限らず、IPアドレスや、利用装置102が送信する識別子や識別子相当のものを利用しても実現できる。
【0037】
ステップS405において、応答判断部202は、記憶部209に保持するリスト209LにM−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102を含むかの判断を行う。なお、記憶部209に保持するサービス利用装置のリスト209Lには、MACアドレスのほかに、IPアドレス、製品名、ユーザ定義名を格納してもよい。MACアドレスは、例えば、11:22:33:44:55:66であり、ユーザ定義名は、例えば、一郎のカメラである。本実施例では、応答判断部202は、MACアドレスの一致により、リスト209Lに含むかの判断を行う。M−SEARCH ssdp:dicoveryの送信元ヘッダに含まれるMACアドレスは、利用装置102の識別情報である。リスト209Lは、この識別情報を記憶する記憶手段である。応答判断部202が、保持するリスト209Lに利用装置102を含むと判断すると、ステップS403に進む。応答判断部202が、保持するリスト209Lに利用装置102を含まないと判断すると、ステップS406に進む。すなわち、M−SEARCH ssdp:discoveryが受信された時にリスト209に利用装置102のMACアドレスが記憶されていた場合、サービス公開のためのM−SEARCH RESPONSEを利用装置102に送信する。M−SEARCH RESPONSEは、サービス公開のための応答メッセージである。
【0038】
以上のように、公開装置101は、TCP/IP制御部208で検索メッセージが受信された時(ステップS402)に利用装置102の識別情報がリスト209Lに記憶されているか判断する(ステップS405)。この識別情報が記憶されている場合、サービス公開のための応答メッセージをTCP/IP制御部208から利用装置102に送信する(ステップS403)。
【0039】
ステップS406において、名前逆引き部201は、M−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102のMACアドレスを鍵として、ネットワーク100上のサーバに名前の逆引きの問い合わせを行い、ステップS407に進む。このサーバは、ネットワーク100に接続されるが、図示はしない。すなわち、名前逆引き部201は、M−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102に関する情報である名前を取得する取得手順を行う。本実施例では、MACアドレスを鍵として、サーバに名前の逆引きの問い合わせを行っているが、IPアドレスなどを利用してもよく、これに限るものではない。本実施例では、サーバに名前の問い合わせを行っているが、これに限らず、サービス自体の名前、デバイス固有の名前、製品名、スペックなどを含む利用装置102の関連情報の問い合わせを行っても良い。さらに、本実施例では、サーバを利用しているが、名前逆引きに対応した利用装置102であれば、利用装置102に直接に問い合わせを行っても実現できる。
【0040】
ステップS407において、名前逆引き部201が、送信元の名前(ユーザ定義名)や製品名を取得出来たと判断すると、ステップS408Dに進む。名前逆引き部201が、名前や製品名を取得出来なかったと判断すると、ステップS413に進む。名前や製品名を取得出来た場合、応答判断部202は、M−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102を受け入れるか否かの判断を行う。メッセージ保留部206は、応答判断部202が受け入れるか否かの判断を出すまで、M−SEARCH ssdp:discoveryへの応答を保留する。
【0041】
ステップS408Dにおいて、応答判断部202は、公開装置101のユーザインターフェースに受け入れるか否かのウインドウを操作部210の表示部210Dに出す(図5)。このウインドウには、例えば、ステップS407で取得した名前(ユーザ定義名又は製品名)の利用装置102から公開要求を受けたこと(602)、及び、その公開要求を許可するか拒否するかのボタン(603、604)を表示する。さらに具体的には、602として、「一郎のカメラ」(カメラXY20IS)から公開要求を受けました、と表示する。また、操作部210のキー入力部で、許可と拒否のボタン(603、604)いずれかを選択できるようにする。表示部210に表示される利用装置102の名前は、M−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102に関する情報である。
【0042】
ステップS408において、ユーザが、公開装置101の表示部210Dに表示されるウインドウ上の許可のボタン603を指定すると、応答判断部202は、利用装置102を受け入れると判断し、ステップS409に進む。許可のボタン603を指定することにより、表示部210Dに名前が表示された利用装置102に対する応答メッセージの送信許可が入力される。この応答メッセージにより、公開装置101のサービスが利用装置102に通知される。一方、ユーザが、ウインドウ上の拒否のボタン604を指定する、または、一定時間経過しタイムアウトすると、応答判断部202は、利用装置102を受け入れないと判断し、ステップS413に進む。
【0043】
本実施例では、ユーザインターフェースを用いた判断を示した。しかしながら、これに限らず、応答判断部202は、記憶部209に保持されたリスト209Lに保持されたMACアドレス、名前、製品名の利用装置102によって、受け入れるか否かを判断することもできる。
【0044】
ステップS409において、メッセージ処理部205は、M−SEARCH ssdp:discoveryに含まれるMX値から、応答のタイムアウトの時間を取得し、MX値以内に応答が可能であるかの判断を行う。MX値は、M−SEARCH RESPONSEの送信期限である。利用装置102はM−SEARCH ssdp:discoveryを受信してから、MX値以内に、M−SEARCH RESPONSEを送信する必要がある。本実施例では、UPnPなのでMX値がM−SEARCH ssdp:doscoveryに含まれていたが、WS−DiscoveryのようにMX値がない場合、記憶部209に設定されている値を利用してもよい。メッセージ処理部205は、MX値以内に応答が可能であると判断すると、ステップS412に進む。メッセージ処理部205は、MX値以内に応答が不可能であると判断すると、ステップS410に進む。
【0045】
応答判断部202の処理に比べ、MX値が十分に小さく、ステップS409からステップS410に進むことが多いと判断される形態における実施例では、ステップS409をスキップし、ステップS408からステップS410に進む。また、応答判断部202の処理に比べ、MX値が十分に大きく、ステップS409からステップS412に進むことが多いと判断される形態における実施例では、ステップS409をスキップし、ステップS408からステップS412に進む。さらに、ステップS408で送信が許可された場合、MX値の経過後に、ステップS410に進んでもよい。
【0046】
ステップS410において、メッセージ処理部205は、M−SEARCH ssdp:discoveryを送信した利用装置102に、ユニキャストのNOTIFY ssdp:aliveを送信し、ステップS411に進む。すなわち、メッセージ処理部205は、M−SEARCH RESPONSEの送信期限であるMX値の経過後に、操作部210からの送信許可により許可された利用装置102にユニキャストのNOTIFY ssdp:aliveを送信する。このユニキャストのNOTIFY ssdp:aliveは、サービス公開のための通知メッセージである。
【0047】
UPnPで実施した場合、標準にないユニキャストNOTIFY ssdp:aliveを受信できない利用装置102も存在する。この場合は、利用装置102が、次にM−SEARCH ssdp:discoveryを送信した際に、公開装置101が応答することで、発見できる。NOTIFY ssdp:aliveを受信できない利用装置102であることが予め分かる形態における実施例では、ステップS410をスキップし、ステップS409からステップS411に進む。
【0048】
ステップS411において、応答判断部202は、利用装置102のMACアドレス、名前、製品名などの情報を記憶部209のリスト209Lに登録し、処理を終了する。また、ステップS412においても、応答判断部202は、利用装置102のMACアドレス、名前、製品名などの情報をリスト209Lに登録し、ステップS403に進む。応答判断部202は、ステップS411、S412において、操作部210により入力された送信許可により応答メッセージの送信が許可された利用装置102のMACアドレスなどの識別情報をリスト209Lに登録する。リスト209Lに登録する識別情報は、MACアドレス以外のネットワークアドレスでもよい。ステップS412からステップS403に進み、メッセージ処理部205は、操作部210からの送信許可により許可された利用装置102にM−SEARCH RESPONSEを送信する。このM−SEARCH RESPONSE は、このM−SEARCH RESPONSEの送信期限であるMX値の経過以前に送信される。
【0049】
以上のように、公開装置101は、検索メッセージを送信した利用装置102の名前を操作部210に表示する(ステップS408D)。そして、名前が表示された利用装置102に対する応答メッセージの送信許可が操作部210から入力されると(ステップS408)、応答メッセージの送信が許可された利用装置102をリスト209Lに登録する(ステップS411、S412)。
【0050】
ステップS413において、サービス提供部203、および、メッセージ処理部205は、利用装置102からのメッセージを無視すると決定し、処理を終了する。メッセージを識別する方法はMACアドレスの識別で行うことができる。本実施例では、メッセージの識別方法をMACアドレスで行ったが、これに限らず、IPアドレスや他の利用装置102の識別子であっても実現できる。
【0051】
すなわち、公開装置101が利用装置102にネットワーク100を介してサービスを公開するサービス公開手順を行う。まず、TCP/IP制御部208が、利用装置102が送信した検索メッセージを受信手順を行う(ステップS401)。メッセージ処理部205が、検索メッセージが受信された時にリスト209Lに利用装置102の識別情報が記憶されていた場合、サービス公開のための応答メッセージをサービス利用装置に送信する送信手順を行う(ステップS403)。
【0052】
一方、応答判断部202が、検索メッセージを送信した利用装置102に関する名前などの情報を操作部210に表示する表示手順を行う(ステップS408D)。応答判断部202は、操作部210に名前などの情報が表示された利用装置102に対する応答メッセージの送信許可が操作部210から入力されるか判断する(ステップS408)。この送信許可が入力されると、応答判断部202は、入力された送信許可により応答メッセージの送信が許可された利用装置102の識別情報をリスト209Lに登録する登録手順を行う(ステップS411、S412)。したがって、利用装置102が再び検索メッセージを送信すると、利用装置102の識別情報はリスト209Lに登録されているので、メッセージ処理部205は、サービス公開のための応答メッセージを利用装置102に送信する。
【0053】
ステップS408で応答メッセージの送信が許可された場合、ステップS412で利用装置102の識別情報をリスト209Lに登録した後、または、登録する前に、その利用装置102にサービス公開のための応答メッセージを送信してもよい。また、応答メッセージの送信期限の経過してしまった後は、許可された利用装置102にサービス公開のための通知メッセージを送信してもよい。
【0054】
本発明では、公開装置101の実装であるため、利用装置102が標準にのみ準拠したUPnPコントロールポイントであっても、サービスの限定的な公開を実現することができる。本発明では、任意のコントロールポイントにのみサービスを公開するので、意図しない第三者による機能の利用を抑制することができる。
【0055】
さらに、利用装置102がユニキャストのNOTIFY ssdp:aliveを受信できると、利用装置102が公開装置101発見までの時間を短縮することができる。
【0056】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0057】
101 サービス公開装置
202 応答判断部
203 サービス提供部
205 メッセージ処理部
206 メッセージ保留部
207 サービス公開判断部
208 TCP/IP制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス利用装置にネットワークを介してサービスを公開するサービス公開装置であって、
前記サービス利用装置が送信した検索メッセージを受信する受信手段と、
記憶手段と、
前記検索メッセージが受信された時に前記記憶手段に前記サービス利用装置の識別情報が記憶されていた場合、サービス公開のための応答メッセージを前記サービス利用装置に送信する送信手段と、
前記検索メッセージを送信した前記サービス利用装置に関する情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に前記関する情報が表示された前記サービス利用装置に対する前記応答メッセージの送信許可を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された送信許可により前記応答メッセージの送信が許可された前記サービス利用装置の識別情報を前記記憶手段に登録する登録手段とを有するサービス公開装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記送信許可により許可された前記サービス利用装置に前記応答メッセージを送信する請求項1のサービス公開装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記応答メッセージの送信期限の経過後に、前記送信許可により許可された前記サービス利用装置にサービス公開のための通知メッセージを送信する請求項1のサービス公開装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記検索メッセージを送信した前記サービス利用装置に関する情報を取得する取得手順を行い、前記表示手段は、前記取得手順で取得された前記関する情報を表示する請求項1のサービス公開装置。
【請求項5】
サービス公開装置がサービス利用装置にネットワークを介してサービスを公開するサービス公開方法であって、
受信手段が、前記サービス利用装置が送信した検索メッセージを受信し、
送信手段が、前記検索メッセージが受信された時に記憶手段に前記サービス利用装置の識別情報が記憶されていた場合、サービス公開のための応答メッセージを前記サービス利用装置に送信し、
表示手段が、前記検索メッセージを送信した前記サービス利用装置に関する情報を表示し、
登録手段が、前記表示手段に前記関する情報が表示された前記サービス利用装置に対する前記応答メッセージの送信許可が入力されると、前記入力された送信許可により前記応答メッセージの送信が許可された前記サービス利用装置の識別情報を前記記憶手段に登録するサービス公開方法。
【請求項6】
前記送信手段は、前記送信許可により許可された前記サービス利用装置に前記応答メッセージを送信する請求項5のサービス公開方法。
【請求項7】
前記送信手段は、前記応答メッセージの送信期限の経過後に、前記送信許可により許可された前記サービス利用装置にサービス公開のための通知メッセージを送信する請求項5のサービス公開方法。
【請求項8】
前記送信手段は、前記検索メッセージを送信した前記サービス利用装置に関する情報を取得する取得手順を行い、前記表示手段は、前記取得手順で取得された前記関する情報を表示する請求項5のサービス公開方法。
【請求項9】
サービス利用装置にネットワークを介してサービスを公開するサービス公開手順をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記サービス利用装置が送信した検索メッセージを受信する受信手順と、
前記検索メッセージが受信された時に記憶手段に前記サービス利用装置の識別情報が記憶されていた場合、サービス公開のための応答メッセージを前記サービス利用装置に送信する送信手順と、
前記検索メッセージを送信した前記サービス利用装置に関する情報を表示手段に表示する表示手順と、
前記表示手段に前記関する情報が表示された前記サービス利用装置に対する前記応答メッセージの送信許可が入力されると、前記入力された送信許可により前記応答メッセージの送信が許可された前記サービス利用装置の識別情報を前記記憶手段に登録する登録手順とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
前記送信手順は、前記応答メッセージの送信期限の経過後に、前記送信許可により許可された前記サービス利用装置にサービス公開のための通知メッセージを送信する請求項9のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−248673(P2011−248673A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121771(P2010−121771)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】