説明

シアバターを含む毛髪着色剤

本願はケラチン繊維を着色するための組成物に関し、該組成物は、少なくとも一つの着色先駆物質および少なくとも一つのButyrospermum型の植物の成分を含有する。本発明の組成物は、実際に行われるカラーリング工程で、すぐに、繊維の健康状態を顕著に向上させる。特に、濡れた毛髪のみならず乾いた毛髪の「質感」の顕著な向上が観察される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの染料先駆物質に基づくケラチン繊維を染色するための薬剤であって、さらにButyrospermum型の植物から得られる少なくとも一つの成分を含有する薬剤、およびこれに対応する染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト毛髪は、現在、毛髪美容調製物を使用して、多様な方法で処理されている。このような処理は、例えば、シャンプーを使用する毛髪洗浄、コンディショナーおよび育毛剤を使用する毛髪のケアおよび再生、ならびに染料、毛染め料、パーマネントウェーブ組成物およびスタイリング調製物を使用する毛髪の脱色、染色および形付けである。毛髪の色を変更し、またはシェーディングするための薬剤は、この点において、大変重要な役割を果たす。
【0003】
一時的な染色のために、染色成分として「直接」染料を含有する染料または毛染め料が通常使用される。これらは、毛髪に直接入り、発色のための酸化過程を必要としない染料分子である。これらの染料は、例えば、体や毛髪を染色するために古くから知られているヘンナを包含する。これらの染料は一般的に洗髪に対して敏感であり、時々望ましくない色合いの変化、または目に見える「脱色」が起こる。
【0004】
対応する堅牢性を有する耐久性のある強い染色をするために、「酸化染料」が使用される。そのような染料は、酸化染料先駆物質、即ち、「顕色成分」および「カプラー成分」を、通常含有している。酸化剤または大気中の酸素の影響下で、顕色成分は互いに作用して、または1つあるいはそれ以上のカプラー成分と結合して、染料となる。酸化染料は、優れた持続性染色効果により区別される。自然に作用する染料のために、比較的多数の酸化染料先駆物質の混合物の使用が、通常必要であり、さらに、多くの場合、直接染料がシェーディング目的のために使用される。
【0005】
最後に、新しい種類の染色方法が、最近多くの関心を集めている。この方法においては、天然毛髪染料メラニンの先駆物質を毛髪に対して使用し、これらが毛髪内の酸化過程において天然類似染料を形成する。
【0006】
5,6-ジヒドロキシインドリンを染料先駆物質として使用する、そのような方法の1つが、EP−B1−530229に開示されている。5,6-ジヒドロキシインドリンを含有する薬剤を特に多く使用した場合には、白髪のヒトの毛髪を自然な色に復元することができる。着色は、大気中の酸素を単一酸化剤として開始することができ、さらなる酸化剤を使用する必要はない。もともと中程度のブロンドないし褐色の毛髪の人の場合には、インドリンを単一染料先駆物質として使用することができる。もともと赤色、特に濃色ないし黒色の毛髪の人に使用する場合には、さらなる染料成分、特に特定の酸化染料先駆物質の使用によってのみ満足のゆく結果を得ることができる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第530229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
繊維の状態を向上させるために、色変更処理に続いて、繊維に特定の後処理をすることが長く慣習となっている。この場合、通常、リンスの形態における、例えば第四級アンモニウム塩または特定のポリマーのような特定の活性成分により毛髪を処理する。処方に応じて、この処理は、毛髪の櫛通り、ホールドおよびボリュームを向上させ、枝毛を減少させる。
【0009】
しかしながら、最近、後処理が不要となるように、着色剤の中に活性成分を組み込む傾向にある。そのような用途のために考えられる活性成分は、着色クリーム剤の強アルカリ条件下および酸化剤の影響下のいずれにおいても安定である必要があり、これらの条件下でその効果を失ってはならない。これらの条件下で使用される、これまでに知られている活性成分は、未だ完全に満足のゆくものではないため、適当な原料が現在も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、Butyrospermum型の植物から得られる少なくとも1つの成分を含有する毛髪染料が、実際の染色過程において繊維の状態を著しく向上させること、特に、濡れた毛髪および乾燥した毛髪のいずれの「手触り(handle)」も著しく向上させることがわかった。
【0011】
従って、本発明は、第一に、少なくとも1つの染料先駆物質およびButyrospermum型の植物から得られる少なくとも1つの成分を含有する、ケラチン繊維を染色するための薬剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、ケラチン繊維は、毛皮、羊毛、羽、特にヒトの毛髪を意味するものであると理解される。
【0013】
薬剤は、本発明の必須要素として、Butyrospermum型の植物から得られる少なくとも1つの成分を含有する。本発明によれば、Butyrospermum parkii型の植物の成分が特に好ましい。
【0014】
「Butyrospermum型の植物の成分」という用語は、Butyrospermum型の植物から直接得られる本発明による原料を意味していると理解される。さらに、本発明はButyrospermum型の植物から得られる天然原料混合物をまねて意図的に調製された合成原料混合物を包含することも目的としている。
【0015】
本発明の好ましい植物であるButyrospermum parkii型は、Vitellaria paradoxaという学名を持ち、口語でkarite treeまたはシアバターノキとしても知られる。この植物は、サポーテ科(アカテツ科)の一種であり、セネガルとウガンダの間の熱帯アフリカにあるスーダンサバンナにおいて二つの亜種が発見されている。
【0016】
植物学的に、20mまでの高さに生長するこれらの木の果実は、液果類であり、シアーナッツとして知られ、そのおよそ50%が脂肪分である、約4cmの大きさの種を有する。実の果肉は人や動物により果物として食べられる。
【0017】
脂肪画分は、通常、機械的または化学的な過程により種子から回収される。
【0018】
機械的な過程において、種子は機械で十分に粉砕され(好ましくは押しつぶされ)、得られた塊を水中で煮沸し、浮遊している脂肪をその後脱脂する。この方法により得られた粗脂肪は、灰黄色で特異臭を有している。第二段階において得られた粗脂肪は、しばしば精製され、バターのような粘性のある無臭の脂肪が得られる。
【0019】
伝統的な化学的過程は、粉砕した種子をヘキサンで抽出する必要がある。この方法を使用することにより、高い脂肪画分収率が得られる。しかしながら、不けん化成分の抽出は著しく乏しく、得られた脂肪の不けん化成分の含有量は少ない。
【0020】
本発明の第一の好ましい実施態様の目的のために、薬剤は、Butyrospermum parkii型の植物から得られる、少なくとも一つのトリグリセリド画分を含有する。この植物種のトリグリセリド画分は、オレイン酸およびステアリン酸の高い含有量により区別される。
【0021】
本発明によれば、トリグリセリド画分は45〜55重量%のオレイン酸、30〜45重量%のステアリン酸、2〜8重量%のパルミチン酸および2〜8重量%のリノール酸を含有し、特に好ましくは、49〜50重量%のオレイン酸、36〜42重量%のステアリン酸、5〜6重量%のパルミチン酸および4〜5重量%のリノール酸を含有する。
【0022】
本発明の第二の好ましい実施態様の目的のために、薬剤はButyrospermu parkiiから得られた少なくとも一つの不けん化画分を含有する。
【0023】
シアーナッツに含まれる不けん化成分は、特に、トリテルペンアルコール、フィトステロール、ラテックス、ビタミン(ビタミンE、プロビタミンA)およびアラントインである。例えば、ゴマまたはオリーブのような、多くの他の脂肪含有植物とは違って、Butyrospermum parkii型の植物は、得られた脂肪画分の特性を実質的に決定する、比較的高い割合の不けん化成分を有する。
【0024】
第三の好ましい実施態様の目的のために、本発明による薬剤は、どちらもButyrospermum parkii型の植物から得られる、トリグリセリド画分および不けん化画分の両方を含有する。この実施形態の目的のために、Butyrospermum型の植物から得られる全構成成分に対して、合計が少なくとも5重量%、好ましくは9重量%である不けん化成分の比率が有利であることがわかった。
【0025】
本発明によれば、Butyrospermum型の植物から得られた画分は、好ましくは0.01〜10重量%、特に0.1〜3重量%の量で着色剤に含まれる。
【0026】
本発明の着色剤に使用し得る染料先駆物質に関して、本発明は何らの制限もされない。本発明の着色剤は、染料先駆物質として、
・顕色剤型および/またはカプラー型の酸化染料先駆物質、および
・天然類似染料の先駆物質、例えばインドールおよびインドリン誘導体、
ならびにこれらの群の物質の混合物を含有することができる。
【0027】
本発明の第一の好ましい実施形態の目的のために、本発明による薬剤は顕色剤型および/またはカプラー型の少なくとも一つの染料先駆物質を含有している。
【0028】
本発明によれば、p−フェニレンジアミン誘導体またはその生理的適合性塩の一つを、顕色剤成分として使用するのが好ましい。特に好ましいp−フェニレンジアミン誘導体は、式(E1)のp−フェニレンジアミン誘導体である。
【化1】

[式中、
− Gは水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル基、4’−アミノフェニル基または、窒素含有基、フェニル基もしくは4’−アミノフェニル基により置換されたC〜Cアルキル基であり;
− Gは水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル基または、窒素含有基により置換されたC〜Cアルキル基であり;
− Gは水素原子、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素原子のようなハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、C〜Cヒドロキシアルコキシ基、C〜Cアセチルアミノアルコキシ基、C〜Cメシルアミノアルコキシ基または、C〜Cカルバモイルアミノアルコキシ基であり;
− Gは水素原子、ハロゲン原子またはC〜Cアルキル基であるか、または、GおよびGが互いにオルト位にある場合、それらは一緒になって、例えばエチレンジオキシ基のような、架橋α,ω−アルキレンジオキシ基を形成し得る。]
【0029】
本発明の化合物における置換基として挙げられるC〜Cアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチル基である。エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。本発明による好ましいC〜Cアルコキシ基は、例えば、メトキシまたはエトキシ基である。さらに、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルまたは4−ヒドロキシブチル基は、C〜Cヒドロキシアルキル基の好ましい例として挙げられる。2−ヒドロキシエチル基が特に好ましい。特に好ましいC〜Cポリヒドロキシアルキル基は、1,2−ジヒドロキシエチル基である。本発明によるハロゲン原子の例はF、ClまたはBr原子であり、Cl原子が特に好ましい。さらに、本発明に使用される用語は、ここに示す定義から派生される。式(E1)の窒素含有基の例は、特に、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基、C〜Cジアルキルアミノ基、C〜Cトリアルキルアンモニウム基、C〜Cモノヒドロキシアルキルアミノ基、イミダゾリニウムおよびアンモニウムである。
【0030】
式(E1)の特に好ましいp−フェニレンジアミンは、p−フェニレンジアミン、p−トルイレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジプロピル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−3−メチル−(N,N−ジエチル)アニリン、N,N−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、4−N,N−ビス−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルアニリン、4−N,N−ビス−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルアニリン、4−N,N−ビス−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−クロロアニリン、2−(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−(α,β−ジヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−フルオロ−p−フェニレンジアミン、2−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−(β−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−3−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−(エチル,β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N−(4’−アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、2−(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−(β−アセチルアミノエチルオキシ)−p−フェニレンジアミン、N−(β−メトキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−N−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]アミンおよび5,8−ジアミノベンゾ−1,4−ジオキサンおよびそれらの生理的適合性塩、から選択される。
【0031】
本発明によれば、特に好ましい式(E1)のp−フェニレンジアミン誘導体は、p−フェニレンジアミン、p−トルイレンジアミン、2−(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−(α,β−ジヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミンおよびN,N−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミンである。
【0032】
さらに、本発明によれば、アミノ基および/またはヒドロキシル基により置換された少なくとも二つの芳香核を含有する化合物を、顕色剤成分として使用することも好ましい。
【0033】
本発明の染色組成物において使用し得る二核顕色剤成分のうち、特に挙げられるのは、下記式(E2)に相当する化合物およびそれらの生理的適合性塩である:
【化2】

[式中、
− ZおよびZは、互いに独立してヒドロキシル基またはNH基であって、C〜Cアルキル基、C〜Cヒドロキシアルキル基および/または架橋部Yにより任意に置換され、または、任意に架橋環系の一部であり、
− 架橋部Yは、例えば、直鎖または分岐鎖アルキレン鎖またはアルキレン環のような炭素原子1〜14個を有するアルキレン基であり、一つまたは複数の窒素含有基および/または、酸素、硫黄または窒素原子のような一つまたは複数のヘテロ原子により中断または終端されていてよく、かつ、一つまたは複数のヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基により置換されていてよく、または直結結合であり、
− GおよびGは、互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、C〜Cアミノアルキル基であり、または架橋部Yへの直結結合であり、
− G、G、G、G10、G11およびG12は、互いに独立して、水素原子、架橋部Yへの直結結合またはC〜Cアルキル基である、
但し、式(E2)の化合物は、一分子につきただ一つの架橋部Yを有するものであるとする。]
【0034】
本発明によれば、式(E2)において使用される置換基は、上記説明と同様の方法で定義づけられる。
【0035】
式(E2)の好ましい二核顕色剤成分は、特に、: N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス−(4’−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパン−2−オール、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス−(4’−アミノフェニル)−エチレンジアミン、N,N’−ビス−(4−アミノフェニル)−テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス−(4−アミノフェニル)−テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス−(4−メチルアミノフェニル)−テトラメチレンジアミン、N,N’−ジエチル−N,N’−ビス−(4’−アミノ−3’−メチルフェニル)−エチレンジアミン、ビス−(2−ヒドロキシ−5−アミノフェニル)−メタン、N,N’−ビス−(4’−アミノフェニル)−1,4−ジアザシクロヘプタン、N,N’−ビス−(2−ヒドロキシ−5−アミノベンジル)−ピペラジン、N−(4’−アミノフェニル)−p−フェニレンジアミンおよび1,10−ビス−(2’,5’−ジアミノフェニル)−1,4,7,10−テトラオキサデカン、ならびにその生理的適合塩、である。
【0036】
式(E2)の特に好ましい二核顕色剤成分は、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス−(4−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパン−2−オール、ビス−(2−ヒドロキシ−5−アミノフェニル)−メタン、1,3−ビス−(2,5−ジアミノフェノキシ)−プロパン−2−オール、N,N’−ビス−(4−アミノフェニル)−1,4−ジアザシクロヘプタンおよび1,10−ビス−(2,5−ジアミノフェニル)−1,4,7,10−テトラオキサデカン、またはそれらの生理的適合性塩の一つである。
【0037】
さらに、本発明によれば、p−アミノフェノール誘導体またはそれらの生理的適合性塩の一つを、顕色剤成分として使用することも好ましい。特に好ましいのは、式(E3)のp−アミノフェノール誘導体である。
【化3】

[式中:
− G13は、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル基、C〜Cアミノアルキル基、ヒドロキシ−(C〜C)−アルキルアミノ基、C〜Cヒドロキシアルコキシ基、C〜C−ヒドロキシアルキル−(C〜C)−アミノアルキル基、または(ジ−C〜C−アルキルアミノ)−(C〜C)−アルキル基であり、および、
− G14は、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル基、C〜Cアミノアルキル基、またはC〜Cシアノアルキル基であり、
− G15は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cモノヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、フェニル基またはベンジル基であり、
− G16は、水素原子またはハロゲン原子である。]
【0038】
本発明によれば、式(E3)において使用される置換基は、上記説明と同様の方法で定義づけられる。
【0039】
式(E3)の好ましいp−アミノフェノールは、特に、p−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−3−フルオロフェノール、2−ヒドロキシメチルアミノ−4−アミノフェノール、4−アミノ−3−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−(β−ヒドロキシエトキシ)−フェノール、4−アミノ−2−メチルフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メトキシメチルフェノール、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール、4−アミノ−2−(β−ヒドロキシエチルアミノメチル)−フェノール、4−アミノ−2−(α,β−ジヒドロキシエチル)−フェノール、4−アミノ−2−フルオロフェノール、4−アミノ−2−クロロフェノール、4−アミノ−2,6−ジクロロフェノール、4−アミノ−2−(ジエチルアミノメチル)−フェノール、およびそれらの生理的適合性塩である。
【0040】
式(E3)の特に好ましい化合物は、p−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール、4−アミノ−2−(α,β−ジヒドロキシエチル)−フェノール、および4−アミノ−2−(ジエチルアミノメチル)−フェノールである。
【0041】
さらに、顕色剤成分は、例えば、2−アミノ−4−メチルフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、または2−アミノ−4−クロロフェノールのような、o−アミノフェノールおよびその誘導体から選択することができる。
【0042】
さらに、顕色剤成分は、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、ピラゾール−ピリミジン誘導体、およびそれらの生理的適合性塩のような、複素環式顕色剤成分から選択することができる。
【0043】
好ましいピリジン誘導体は、特に、特許GB1026978およびGB1153196に開示されている化合物、例えば、2,5−ジアミノピリジン、2−(4−メトキシフェニル)−アミノ−3−アミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、2−(β−メトキシエチル)−アミノ−3−アミノ−6−メトキシピリジンおよび3,4−ジアミノピリジンである。
【0044】
好ましいピリミジン誘導体は、特に、ドイツ特許DE2359399、日本公開特許公報JP02019576A2または国際公開特許公報WO96/15765に開示されている化合物、例えば、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリアミノピリミジン、2−ジメチルアミノ−4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジアミノピリミジンおよび2,5,6−トリアミノピリミジンである。
【0045】
好ましいピラゾール誘導体は、特に、特許DE3843892、DE4133957および特許出願WO94/08969、WO94/08970、EP−740931、およびDE19543988に開示されている化合物、例えば4,5−ジアミノ−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)−ピラゾール、3,4−ジアミノピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(4’−クロロベンジル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1,3−ジメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−フェニルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−メチル−3−フェニルピラゾール、4−アミノ−1,3−ジメチル−5−ヒドラジノピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジアミノ−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−tert.−ブチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−tert.−ブチル−3−メチルピラゾール、4,5−(ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ
−1−エチル−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−(4’−メトキシフェニル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−ヒドロキシメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−イソプロピルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−イソプロピルピラゾール、4−アミノ−5−(β−アミノエチル)アミノ−1,3−ジメチルピラゾール、3,4,5−トリアミノピラゾール、1−メチル−3,4,5−トリアミノピラゾール、3,5−ジアミノ−1−メチル−4−メチルアミノピラゾール、および3,5−ジアミノ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−1−メチルピラゾールである。
【0046】
好ましいピラゾロピリミジン誘導体は、特に、下記式(E4)のピラゾロ[1,5−a]ピリミジンの誘導体、および互変異性平衡が存在する場合には、その互変異性型である。
【化4】

[式中、
− G17、G18、G19およびG20は、互いに独立して、水素原子、C〜Cアルキル基、アリール基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル基、C〜Cアミノアルキル基(アセチルウレイドまたはスルホニル基によって任意に保護されていてよい)、(C〜C)−アルキルアミノ−(C〜C)−アルキル基、ジ−[(C〜C)−アルキル]−(C〜C)−アミノアルキル基(該ジアルキル基は、5または6個の連鎖による炭素環または複素環を任意に形成する)、C〜C−ヒドロキシアルキルまたはジ−(C〜C)−[ヒドロキシアルキル]−(C〜C)−アミノアルキル基であり、
− 基Xは、互いに独立であり、水素原子、C〜Cアルキル基、アリール基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜Cポリヒドロキシアルキル基、C〜Cアミノアルキル基、(C〜C)−アルキルアミノ−(C〜C)−アルキル基、ジ−[(C〜C)−アルキル]−(C〜C)−アミノアルキル基(該ジアルキル基は、5または6個の連鎖による炭素環または複素環を任意に形成する)、C〜C−ヒドロキシアルキルまたはジ−(C〜C−ヒドロキシアルキル)−アミノアルキル基、アミノ基、C〜C−アルキルまたはジ−(C〜C−ヒドロキシアルキル)−アミノ基、ハロゲン原子、カルボン酸基、またはスルホン酸基であり、
− iは0、1、2または3の数値であり、
− pは0または1の数値であり、
− qは0または1の数値であり、および、
− nは0または1の数値である、
但し、
− p+qの合計が0ではないものとし、
− p+qが2の場合には、nの数値は0であり、基NG1718およびNG1920は、(2,3);(5,6);(6,7);(3,5)または(3,7)の位置にあるものとし、
− p+qが1の場合には、nの数値は1であり、基NG1718(またはNG1920)およびOH基は、(2,3);(5,6);(6,7);(3,5)または(3,7)の位置にあるものとする。]
【0047】
本発明によれば、式(E4)において使用される置換基は、上記説明と同様の方法で定義づけられる。
【0048】
上記の式(E4)のピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、環系の2、5または7位の一つにヒドロキシル基を有する場合、例えば下記式で示されるような互変異性平衡が広く存在している。
【化5】

特に挙げられる上記式(E4)のピラゾロ[1,5−a]ピリミジンは、
− ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;
− 2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;
− ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,5−ジアミン;
− 2,7−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,5−ジアミン;
− 3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オール;
− 3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−オール;
− 2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミノ)−エタノール;
− 2−(7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミノ)−エタノール;
− 2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;
− 2−[(7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;
− 5,6−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;
− 2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン;
− 3−アミノ−7−ジメチルアミノ−2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン;ならびに、それらの生理的適合性塩、および互変異性平衡が存在する場合にはその互変異性型である。
【0049】
文献に記載されているように、上記式(E4)のピラゾロ[1,5−a]ピリミジンは、アミノピラゾールまたはヒドラジンから開始する環化によって製造することができる。
【0050】
さらに好ましい実施態様においては、本発明の着色剤は少なくとも一つのカプラー成分を含有している。
【0051】
使用されるカプラー成分は、通常、m−フェニレンジアミン誘導体、ナフトール、レゾルシノールおよびレゾルシノール誘導体、ピラゾロンおよびm−アミノフェノール誘導体である。特に好適なカプラー物質は、1−ナフトール、1,5−、2,7−、および1,7−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2−メチルフェノール、m−アミノフェノール、レゾルシノール、レゾルシノールモノメチルエーテル、m−フェニレンジアミン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、1,3−ビス−(2’,4’−ジアミノフェノキシ)−プロパン、2−クロロレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、2−クロロ−6−メチル−3−アミノフェノール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノールおよび2−メチル−4−クロロ−5−アミノフェノールである。
【0052】
本発明によれば、好ましいカプラー成分は、
− m−アミノフェノールおよびその誘導体、例えば、5−アミノ−2−メチルフェノール、N−シクロペンチル−3−アミノフェノール、3−アミノ−2−クロロ−6−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシエタノール、2,6−ジメチル−3−アミノフェノール、3−トリフルオロアセチルアミノ−2−クロロ−6−メチルフェノール、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール、5−アミノ−4−メトキシ−2−メチルフェノール、5−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−2−メチルフェノール、3−(ジエチルアミノ)−フェノール、N−シクロペンチル−3−アミノフェノール、1,3−ジヒドロキシ−5−(メチルアミノ)−ベンゼン、3−エチルアミノ−4−メチルフェノールおよび2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、
− o−アミノフェノールおよびその誘導体、
− m−ジアミノベンゼンおよびその誘導体、例えば、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、1,3−ビス−(2’,4’−ジアミノフェノキシ)−プロパン、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1,3−ビス−(2’,4’−ジアミノフェニル)−プロパン、2,6−ビス−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)−1−メチルベンゼン、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メトキシ−5−メチルフェニル}アミノ)エタノール、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メトキシ−5−メチルフェニル}アミノ)エタノール、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4,5−ジメチルフェニル}−アミノ)エタノール、2−[3−モルホリン−4−イルフェニル)アミノ]エタノール、3−アミノ−4−(2−メトキシエトキシ)−5−メチルフェニルアミンおよび1−アミノ−3−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノベンゼン、
− o−ジアミノベンゼンおよびその誘導体、例えば、3,4−ジアミノ安息香酸および2,3−ジアミノ−1−メチルベンゼン、
− ジ−、またはトリヒドロキシベンゼン誘導体、例えばレゾルシノール、レゾルシノールモノメチルエーテル、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール、2−クロロレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、ピロガロールおよび1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、
− ピリジン誘導体、例えば、2,6−ジヒドロキシピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2−アミノ−5−クロロ−3−ヒドロキシピリジン、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、2,6−ジヒドロキシ−4−メチルピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジンおよび3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン、
− ナフタレン誘導体、例えば、1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、2−ヒドロキシメチル−1−ナフトール、2−ヒドロキシエチル−1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンおよび2,3−ジヒドロキシナフタレン、
− モルホリン誘導体、例えば、6−ヒドロキシベンゾモルホリンおよび6−アミノベンゾモルホリン、
− キノキサリン誘導体、例えば、6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、
− ピラゾール誘導体、例えば、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、
− インドール誘導体、例えば、4−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドールおよび7−ヒドロキシインドール、
− ピリミジン誘導体、例えば、4,6−ジアミノピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジンおよび4,6−ジヒドロキシ−2−メチルピリミジン、または、
− メチレンジオキシベンゼン誘導体、例えば、1−ヒドロキシ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、1−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼンおよび1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、
および、それらの生理的適合性塩である。
【0053】
本発明によれば、特に好ましいカプラー成分は、1−ナフトール、1,5−、2,7−および1,7−ジヒドロキシナフタレン、3−アミノフェノール、5−アミノ−2−メチルフェノール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、レゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、2−クロロ−6−メチル−3−アミノフェノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノールおよび2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジンである。
【0054】
本発明の着色剤は、顕色剤成分およびカプラー成分の両方を、それぞれ、全酸化着色剤に対して、0.005〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で含有していることが好ましい。顕色剤成分とカプラー成分は、通常、互いにほぼモル量で使用される。モル量の使用は好都合であることもわかっているが、一定の過剰な個々の酸化染料先駆物質は不都合ではなく、その結果、顕色剤成分およびカプラー成分が1:0.5〜1:3、特に1:1〜1:2のモル比で含有され得る。
【0055】
本発明のさらなる実施態様において、着色剤は、少なくとも一つの天然類似染料の先駆物質を、染料先駆物質として含有する。天然類似染料の先駆物質は、少なくとも一つのヒドロキシル基またはアミノ基を、好ましくは6員環上の置換基として包含するインドールおよびインドリンであることが好ましい。これらの基は、例えば、ヒドロキシル基のエーテル化またはエステル化、もしくはアミノ基のアルキル化の形態のような、さらなる置換基を有することができる。第二の好ましい実施態様において、染料は、少なくとも一つのインドールおよび/またはインドリンの誘導体を含有する。
【0056】
式(NAV I)の5,6−ジヒドロキシインドリンの誘導体は、天然類似毛髪染料の先駆物質として、特に適している。
【化6】

[式中、互いに独立して、
− G19は、水素、C〜Cアルキル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基であり、
− G20は、水素または−COOH基であり、該−COOH基は生理的適合性カチオンと塩の形態をとることもでき、
− G21は、水素またはC〜Cアルキル基であり、
− G22は、水素、C〜Cアルキル基または、G24がC〜Cアルキル基である−CO−G24であり、
− G23は、G22に示した基の一つであり、
ならびに、それらの化合物と有機酸または無機酸との生理的適合性塩である。]
【0057】
特に好ましいインドリン誘導体は、5,6−ジヒドロキシインドリン、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、n−プロピル−5,6−ジヒドロキシインドリン、n−ブチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、5,6−ジヒドロキシインドリン−2−カルボン酸および6−ヒドロキシインドリン、6−アミノインドリンおよび4−アミノインドリンである。
【0058】
この群の中で、特に重要とすべきであるのは、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−プロピル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−ブチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、および、特に5,6−ジヒドロキシインドリンである。
【0059】
式(NAV II)の5,6−ジヒドロキシインドールの誘導体は、天然類似毛髪染料の先駆物質として、特に適している。
【化7】

[式中、互いに独立して、
− G25は、水素、C〜Cアルキル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基であり、
− G26は水素または−COOH基であり、該−COOH基は生理的適合性カチオンと塩の形態をとることもでき、
− G27は、水素またはC〜Cアルキル基であり、
− G28は、水素、C〜Cアルキル基または、G30がC〜Cアルキル基である−CO−G30であり、
− G29は、G28に示した基の一つであり、
− ならびに、それらの化合物と有機酸または無機酸との生理的適合性塩である。]
【0060】
特に好ましいインドール誘導体は、5,6−ジヒドロキシインドール、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドール、n−プロピル−5,6−ジヒドロキシインドール、n−ブチル−5,6−ジヒドロキシインドール、5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸、6−ヒドロキシインドール、6−アミノインドールおよび4−アミノインドールである。
【0061】
この群の中で、特に重要とすべきであるのは、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−プロピル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−ブチル−5,6−ジヒドロキシインドール、および、特に5,6−ジヒドロキシインドールである。
【0062】
本発明の着色剤において、インドリンおよびインドール誘導体は、遊離塩基として、および、例えば、塩酸塩、硫酸塩および臭化水素酸塩のような、有機酸または無機酸とそれらの生理的適合性塩の形態のどちらでも使用し得る。インドールまたはインドリン誘導体は、その中に、通常、0.05〜10重量%、特に0.2〜5重量%の量で含まれる。
【0063】
さらなる実施態様において、本発明によれば、着色剤中のインドリンまたはインドール誘導体を、少なくとも一つのアミノ酸またはオリゴペプチドと組み合わせて使用することも好ましい。アミノ酸はα−アミノ酸が好都合であり;特に好ましいα−アミノ酸は、アルギニン、オルニチン、リシン、セリンおよびヒスチジンであり、特にアルギニンである。
【0064】
上記染料先駆物質に加えて、一時的な着色剤はさらなるシェーディングのために直接染料を含有し得る。直接染料は、好ましくは、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノンまたはインドフェノールから選択される。特に好ましい直接染料は、HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、Acid Yellow 1、Acid Yellow 10、Acid Yellow 23、Acid Yellow 36、HC Orange 1、Disperse Orange 3、Acid Orange 7、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、Acid Red 33、Acid Red 52、HC Red BN、Pigment Red 57:1、HC Blue 2、HC Blue 12、Disperse Blue 3、Acid Blue 7、Acid Green 50、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Acid Violet 43、Disperse Black 9、Acid Black 1およびAcid Black 52の国際名または商品名で知られる化合物、並びに、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、1,4−ビス−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、3−ニトロ−4−(β−ヒドロキシエチル)−アミノフェノール、2−(2’−ヒドロキシエチル)アミノ−4,6−ジニトロフェノール、1−(2’−ヒドロキシエチル)アミノ−4−メチル−2−ニトロベンゼン、1−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノ−5−クロロ−2−ニトロベンゼン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、1−(2’−ウレイドエチル)アミノ−4−ニトロベンゼン、4−アミノ−2−ニトロジフェニルアミン−2’−カルボン酸、6−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、4−エチルアミノ−3−ニトロ安息香酸および2−クロロ−6−エチルアミノ−1−ヒドロキシ−4−ニトロベンゼンである。
【0065】
さらに、本発明の薬剤は、少なくとも一つのカチオン性直接染料を含有することが好ましい。特に好ましいのは、下記に挙げるものである。
(a)例えば、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2およびBasic Violet 14のような、カチオン性トリフェニルメタン染料
(b)例えば、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 99、Basic Brown 16およびBasic Brown 17のような、四級窒素族で置換された芳香族系
(c)例えば、EP−A2−998908(この文献に明確な参照を行う)の請求項6〜11に言及されているような、少なくとも一つの四級窒素原子を有する、少なくとも一つの複素環を含有する直接染料。
【0066】
グループ(C)の好ましいカチオン性直接染料は、特に下記の化合物である。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【0067】
Basic Yellow 87、Basic Orange 31およびBasic Red 51の名称で知られる、式(DZ1)、(DZ3)および(DZ5)の化合物は、特に好ましいグループ(c)のカチオン性直接染料である。
【0068】
登録商標Arianorで流通しているカチオン性直接染料も同様に、本発明における特に好ましいカチオン性直接染料である。
【0069】
さらに、本発明の調製物は、例えば、ヘンナレッド、ヘンナニュートラル、ヘンナブラック、カモミールの花、ビャクダン、紅茶、セイヨウイソノキの樹皮、セージ、ロッグウッド、アカネの根、アセンヤクノキ、ハスの木およびアルカンナの根に含まれるような天然に存在する直接染料も含有し得る。
【0070】
本発明の薬剤は、全即用調製物に対して、0.01〜20重量%の量の直接染料を含有することが好ましい。
【0071】
酸化染料先駆物質または直接染料は、いずれの場合にも、均一な化合物である必要はない。それよりむしろ、個々の染料の製造行程の結果として、毛髪着色剤は従属的な量の付加的成分を含むことができる。但し、それらが着色効果に不都合な影響を与えないこと、または、例えば、毒学的のような他の理由により排除される必要がないことを条件とする。
【0072】
本発明の毛髪着色剤および毛染め料において使用し得る染料に関して、Ch.Zviakによるモノグラム、「Dermatology」シリーズ(編者:Ch.CulnanおよびH.Maibach)の第7巻として掲載された、The Science of Hair Care、第7章(ページ248−250;直接染料)および第8章(ページ264−267;酸化染料先駆物質)、Verlag Marcel Dekker Inc.,New York,Basel,1986、およびEuropean Commissionより発行され、Bundesverband Deutscher Industrie− und Handelsunternehmen fuer Arzneimittel,Reformwaren und Koerperpflegemittel e.V.,Mannheimからディスケットの形態で入手可能である「European Inventory of Cosmetic Ingredients」、も特に参照される。
【0073】
第一に好ましい実施態様の目的のために、本発明の着色剤は、染料先駆物質に加えて、少なくとも一つのカチオン性界面活性剤を含有する。
【0074】
本発明によれば、好ましいのは、第四級アンモニウム化合物、エステルクォートおよびアミドアミンを含む型のカチオン性界面活性剤である。好ましい第四級アンモニウム化合物は、ハロゲン化アンモニウムであり、特に、塩化物および臭化物が好ましく、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびトリセチルメチルアンモニウムクロリド、ならびにINCI名quaternium−27およびquaternium−83として知られるイミダゾリウム化合物である。上記界面活性剤の長アルキル鎖は、好ましくは炭素原子10〜18個から成る。
【0075】
エステルクォートは、少なくとも一つのエステル基および少なくとも一つの第四級アンモニウム基の両方を、構成成分として含有している既知の物質である。好ましいエステルクォートは、脂肪酸とトリエタノールアミンの四級化エステル塩、脂肪酸とジエタノールアルキルアミンの四級化エステル塩、および脂肪酸と1,2−ジヒドロキシプロピルジアルキルアミンの四級化エステル塩である。そのような製品は、例えば、登録商標Stepantex、DehyquartおよびArmocareで販売されている。製品Armocare(登録商標)VGH−70、N,N−ビス(2−パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、およびDehyquart(登録商標)F−75、Dehyquart(登録商標)C−4046、Dehyquart(登録商標)L80およびDehyquart(登録商標)AU−35は、そのようなエステルクォートの例である。
【0076】
アルキルアミドアミンは、天然または合成脂肪酸および脂肪酸カットのジアルキルアミノアミンでのアミド化により、一般的に製造される。本発明において、特に好ましいこの物質グループからの一つの化合物は、商品名Tegoamid(登録商標)で市販されているステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0077】
本発明に好適な他のカチオン性界面活性剤は、INCI名linoleamidopropyl PG−dimonium chloride phosphate、cocamidopropyl PG−dimonium chloride phosphate、およびstearamidopropyl PG−dimonium chloride phosphateで知られる物質である。これらは、例えば、Monaにより、商品名Phospholipid EFA(登録商標)、Phospholipid PTC(登録商標)およびPhospholipid SV(登録商標)で流通している。
【0078】
カチオン性界面活性剤は、本発明の薬剤において、全即用調製物に対して、0.05〜10重量%の量を含有することが好ましい。0.1〜5重量%の量が、特に好ましい。
【0079】
さらに、本発明によれば、薬剤は、本発明に必須のButyrospermum型の植物の成分に加えて、グリシルリジンをさらに含むことが好ましいとわかった。
【0080】
グリシルリジンは、スクロースの50倍の甘味力、およびはっきりとした甘草フレーバーを有する物質であって、ヨーロッパおよび中東で栽培されている、甘草植物Glycyrrhizia glabra、Glycyrrhizia glandulifera、およびGlycyrrhizia typicaの根に、カリウム塩およびカルシウム塩として含まれている。本発明の薬剤が、これらの植物から得られたグリシルリジン含有の甘草ジュースを含んでいるものであることは、特に好ましい。
【0081】
本発明の薬剤は、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%の量のグリシルリジンを含有する。
【0082】
本発明の構成成分に加えて、好ましい実施態様において、本発明の色変更剤は、少なくとも一つの他の油体を含有する。
【0083】
天然および合成化粧品油体は、例えば下記の油を含む:
− 植物油。例えば、ひまわり油、オリーブ油、大豆油、菜種油、アーモンド油、ホホバ油、オレンジ油、小麦胚種油、桃の種の油およびヤシ油の液体画分のような油である。しかしながら、牛脂の液体画分のような他のトリグリセリド油も、合成トリグリセリド油とともに、好適である。
− 液状パラフィン油、イソパラフィン油、および合成炭化水素、ならびに合計12〜36個のC原子、特に12〜24個のC原子を有するジ−n−アルキルエーテル、例えば、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−n−デシルエーテル、ジ−n−ノニルエーテル、ジ−n−ウンデシルエーテル、ジ−n−ドデシルエーテル、n−ヘキシル−n−オクチルエーテル、n−オクチル−n−デシルエーテル、n−デシル−n−ウンデシルエーテル、n−ウンデシル−n−ドデシルエーテルおよびn−ヘキシル−n−ウンデシルエーテルおよびジ−tert.−ブチルエーテル、ジ−イソ−ペンチルエーテル、ジ−3−エチルデシルエーテル、tert.−ブチル−n−オクチルエーテル、イソ−ペンチル−n−オクチルエーテルおよび2−メチルペンチル−n−オクチルエーテルのようなものである。商品として入手できる化合物1,3−ジ−(2−エチルヘキシル)シクロヘキサン(Cetiol(登録商標)S)およびジ−n−オクチルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)が好ましい。
− エステル油。エステル油は、C〜C30脂肪酸とC〜C30脂肪アルコールのエステルを意味すると解釈すべきである。脂肪酸とアルコールのモノエステルは、2〜24個のC原子を有していることが好ましい。エステルに使用される脂肪酸成分の例は、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸、ならびに、例えば、天然油脂の加圧開裂、Roelenオキソ合成からのアルデヒドの酸化、または不飽和脂肪酸の二量化において得られる、それらの工業的混合物である。エステル油に使用される脂肪アルコール成分は、イソプロピルアルコール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに、例えば、油脂に基づく工業的メチルエステルまたはRoelenオキソ合成からのアルデヒドの高圧水素化において、および不飽和脂肪アルコールの二量化におけるモノマー画分として得られる、それらの工業的混合物である。本発明によれば、特に好ましいのは、ミリスチン酸イソプロピル(Rilanit(登録商標)IPM)、イソノナン酸C16−18−アルキルエステル(Cetiol(登録商標)SN)、パルミチン酸2−エチルヘキシル(Cegesoft(登録商標)24)、ステアリン酸2−エチルヘキシルエステル(Cetiol(登録商標)868)、オレイン酸セチル、トリカプリル酸グリセロール、カプリン酸/カプリル酸ヤシ油アルコール(Cetiol(登録商標)LC)、ステアリン酸n−ブチル、エルカ酸オレイル(Cetiol(登録商標)J600)、パルミチン酸イソプロピル(Rilanit(登録商標)IPP)、オレイン酸オレイル(Cetiol(登録商標))、ラウリン酸ヘキシルエステル(Cetiol(登録商標)A)、アジピン酸ジ−n−ブチル(Cetiol(登録商標)B)、ミリスチン酸ミリスチン(Cetiol(登録商標)mm)、イソノナン酸セテアリル(Cetiol(登録商標)SN)、オレイン酸デシルエステル(Cetiol(登録商標)V)、である。
− ジカルボン酸エステル、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ−エチルヘキシルおよびジイソトリデシルアセレート(diisotridecyl acelate)、ならびにジオールエステル、例えば、ジオレイン酸エチレングリコール、ジイソトリデカン酸エチレングリコール、ジ(2−エチルヘキサン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ブタンジオール、ジカプリル酸ネオペンチルグリコール、
− 炭酸と脂肪アルコールの対称、非対称または環状エステル、例えば、DE−OS 19756454に記載されている、炭酸グリセロールまたは炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC)、
− 飽和および/または不飽和、直鎖および/または分岐鎖脂肪酸とグリセロールの三脂肪酸エステル、
− 脂肪酸部分グリセリド、即ち、モノグリセリド、ジグリセリドおよびそれらの工業的混合物。工業製品を使用する時、製造方法によっては、少量のトリグリセリドが、その中にまだ含まれているかもしれない。下記式(D4−I)の部分グリセリドが好ましい。
【化17】

式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、または、6〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖、飽和および/または不飽和アシル基である。但し、これらの基の少なくとも一つはアシル基であり、これらの基の少なくとも一つは水素である。(m+n+q)の合計は、0または1〜100、好ましくは0または5〜25の数値である。好ましくは、Rがアシル基であり、RおよびRが水素であり、(m+n+q)の合計が0である。一般的な例は、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルモレイン酸(palmoleic acid)、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸に基づくモノ−および/またはジグリセリド、およびそれらの工業的混合物である。好ましくは、オレイン酸モノグリセリドが使用される。
【0084】
本発明の着色剤において、天然および合成化粧品油体の投入量は、全即用調製物に対して、通常、0.1〜30重量%であり、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.1〜15重量%である。
【0085】
さらに好ましくは、組成物は少なくとも一つのアルカリ化剤を含有する。本発明によれば、当業者に知られている一般的なアルカリ化剤、例えばアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ヒドロキシ炭酸塩およびカルバミド、同じく、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩およびアンモニアならびにアルカリ金属水酸化物を使用し得る。しかしながら、本発明によれば、例えば、モノエタノールアミン、アルギニン、リジン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび2−アミノ−2−メチルブタノールのような、有機アミンを使用することも可能である。
【0086】
本発明の組成物は、好ましくは、アルカリ化剤を0.2〜25重量%、特に0.5〜15重量%の量で含有する。
【0087】
本発明の着色剤は、さらに、任意の活性成分、添加剤およびそのような調製物として知られる副原料を含むことができる。多くの場合、着色剤は、少なくとも一つの界面活性剤を含有し、アニオン性だけでなく、原則として双性イオン性、両性および非イオン性界面活性剤が適している。しかしながら、多くの場合、アニオン性、双性イオン性または非イオン性界面活性剤の中から界面活性剤を選択することが、好都合であることがわかっている。
【0088】
本発明の調製物において好適なアニオン性界面活性剤は、人体に使用するのに適したあらゆるアニオン性界面活性物質である。これらは、水溶性アニオン性基、例えば、カルボン酸、硫酸、スルホン酸またはリン酸基、および約10〜22個のC原子を有する親油性アルキル基を特徴とする。さらに、分子は、グリコールまたはポリグリコールエーテル基、エステル、エーテルおよびアミド基、ならびにヒドロキシル基を含有し得る。好適なアニオン性界面活性剤の例は、いずれの場合も、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム、ならびに、アルカノール基に2または3個のC原子を有する、モノ−、ジ−およびトリアルカノールアンモニウム塩の形態である。
− 10〜22個のC原子を有する直鎖脂肪酸(石鹸)、
− 式R−O−(CH−CHO)−CH−COOHのエーテルカルボン酸、[式中、Rは10〜22個のC原子を有する直鎖アルキル基であり、xは0または1〜16である]、
− アシル基に10〜18個のC原子を有するアシルサルコシド、
− アシル基に10〜18個のC原子を有するアシルタウリド、
− アシル基に10〜18個のC原子を有するアシルイセチオネート、
− アルキル基に8〜18個のC原子を有するスルホコハク酸モノ−およびジアルキルエステル、およびアルキル基に8〜18個のC原子を有し、1〜6個のオキシエチル基を有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル、
− 12〜18個のC原子を有する直鎖アルカンスルホン酸塩、
− 12〜18個のC原子を有する直鎖α−オレフィンスルホン酸塩、
− 12〜18個のC原子を有する脂肪酸のα−スルホ脂肪酸メチルエステル、
− 式R−O(CH−CHO)−SOHのアルキル硫酸塩およびアルキルポリグリコールエーテル硫酸塩[式中、好ましくは、Rは10〜18個のC原子を有する直鎖アルキル基であり、xは0または1〜12である]、
− DE−A−3725030による界面活性ヒドロキシスルホネートの混合物、
− DE−A−3723354による硫酸化ヒドロキシアルキルポリエチレンおよび/またはヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル、
− DE−A−3926344による、12〜24個のC原子および1〜6個の二重結合を有する不飽和脂肪酸のスルホン酸塩、
− 酒石酸およびクエン酸とアルコールのエステル、これは、8〜22個のC原子を有する脂肪アルコールへの、約2〜15分子のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物である。
【0089】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル基に10〜18個のC原子、および、分子中に12個までのグリコールエーテル基を有するアルキル硫酸塩、アルキルポリグリコールエーテル硫酸塩およびエーテルカルボン酸であり、特に、飽和、特に不飽和C〜C22カルボン酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸の塩である。
【0090】
非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基またはポリオール基およびポリグリコールエーテル基の組み合わせを、親水基として含有する。そのような化合物は、例えば、
− 8〜22個のC原子を有している直鎖脂肪アルコール、12〜22個のC原子を有している脂肪酸および、アルキル基に8〜15個のC原子を有しているアルキルフェノールへの、2〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物
− グリセロールへの、1〜30モルのエチレンオキシドの付加生成物のC12〜C22脂肪酸モノ−およびジエステル、
− C〜C22アルキルモノ−およびオリゴグリコシド、およびそれらのエトキシ化類似体、ならびに、
− ヒマシ油および硬化ヒマシ油への、5〜60モルのエチレンオキシドの付加生成物である。
【0091】
好ましい非イオン性界面活性剤は、一般式RO−(Z)のアルキルポリグリコシドである。これらの化合物は、下記のパラメーターを特徴とする。
【0092】
アルキル基Rは、6〜22個の炭素原子を含有し、直鎖および分岐鎖のいずれであってもよい。第一級直鎖脂肪族基、および第二位でメチル分岐したものが好ましい。そのようなアルキル基は、例えば、1−オクチル、1−デシル、1−ラウリル、1−ミリスチル、1−セチルおよび1−ステアリルである。1−オクチル、1−デシル、1−ラウリル、1−ミリスチルは特に好ましい。「オキソアルコール」を出発物質として使用する場合、アルキル鎖に奇数個の炭素原子を有する化合物が優位である。
【0093】
本発明に使用し得るアルキルポリグリコシドは、例えば、唯一の特定のアルキル基Rを有することができる。しかしながら、一般に、これらの化合物は天然油脂または鉱物油から出発して生成される。この場合、存在するアルキル基Rは、出発化合物に対応する、または、これらの化合物の特定の処理に対応する混合物である。
【0094】
特に好ましいアルキルポリグリコシドは、Rが、
− 実質的にCおよびC10のアルキル基から成る
− 実質的にC12およびC14のアルキル基から成る
− 実質的にCからC16のアルキル基から成る、または、
− 実質的にC12からC16のアルキル基から成る、ものである。
【0095】
任意の好ましい単糖またはオリゴ糖を、糖構成単位Zとして使用し得る。5〜6個の炭素原子を有する糖、および対応するオリゴ糖が、一般に使用される。そのような糖は、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースである。好ましい糖構成単位は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびスクロースであり、特にグルコースが好ましい。
【0096】
本発明に使用し得るアルキルポリグリコシドは、平均1.1〜5個の糖単位を含有する。1.1〜1.6のx値を有するアルキルポリグリコシドが好ましい。xが1.1〜1.4のアルキルポリグリコシドが、特に好ましい。
【0097】
アルキルポリグリコシドは、それらの界面活性作用に加えて、毛髪に対する香り成分の固定を向上させる働きもし得る。毛髪処理の時間を超えて継続する毛髪における香油の作用を望む場合には、当業者は、本発明の調製物の付加的な構成成分として、この種の物質を使用することが好ましい。
【0098】
上記のアルキルポリグリコシドのアルコキシル化同族体も、本発明に使用し得る。これらの同族体は、アルキルグリコシド単位あたり、平均で10個までのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含有し得る。
【0099】
さらに、双性イオン性界面活性剤を、特に、補助界面活性剤として、使用し得る。各分子中に、少なくとも一つの四級アンモニウム基および少なくとも一つの−COO(−)または−SO(−)基を有するこれらの界面活性化合物は、双性イオン性界面活性剤に指定される。特に好適な双性イオン性界面活性剤は、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネートのような「ベタイン」、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、それぞれ8〜18個のC原子をアルキル基またはアシル基に有する、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。ある好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名cocamidopropyl betaineで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0100】
両性界面活性剤も同様に、特に補助界面活性剤として好適である。両性界面活性剤は、C〜C18アルキル基またはアシル基に加えて、分子中に少なくとも一つの遊離アミノ基、および少なくとも一つの−COOHまたは−SOH基を有し、分子内塩を形成し得る界面活性化合物を意味すると理解される。好適な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルアミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸であり、これらはそれぞれ、アルキル基に約8〜18個のC原子を有する。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12−18−アシルサルコシンである。
【0101】
界面活性剤として使用されるアルキル基を有する化合物は、それぞれ同一の物質から成る。しかしながら、これらの物質を製造する場合、天然植物または動物性原料から出発し、その結果、特定の原料により異なるアルキル鎖長を有する物質の混合物を得ることが、一般的に好ましい。
【0102】
脂肪アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物、またはこれらの付加生成物の誘導体である界面活性剤は、「通常の」同族体分布を有する生成物としても、および狭い同族体分布を有する生成物としても使用され得る。ここで、「通常の」同族体分布とは、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを触媒として使用した脂肪アルコールおよびアルキレンオキシドの反応により得られる同族体の混合物を意味すると理解される。これに対して、狭い同族体分布は、例えば、ヒドロタルサイト、エーテルカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物またはアルコキシドを触媒として使用した場合に得られる。狭い同族体分布を有する生成物の使用が好ましい。
【0103】
さらに、着色剤は、下記のような活性成分、助剤および添加剤を含有することができる。
− 非イオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよびポリシロキサン、
− カチオン性ポリマー、例えば、四級化セルロースエーテル、第四級基を有するポリシロキサン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー、アクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、ジエチル硫酸で四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレート−ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン−イミダゾリウムメトクロリドコポリマーおよび四級化ポリビニルアルコール、
− 双性イオン性および両性ポリマー、例えば、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、およびオクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert.−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、
− アニオン性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸、ビニルアセテート/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸/エチルアクリレート/N−tert.−ブチルアクリルアミドターポリマー、
− 増粘剤、例えば、寒天、グアーガム、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアゴム、カラヤゴム、イナゴマメ粉、アマニゴム、デキストラン、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、デンプン画分および誘導体、例えば、アミロース、アミロペクチンおよびデキストリンクレイ、例えば、ベントナイト、または完全合成親水性コロイド、例えば、ポリビニルアルコール、
− 感触剤(texturing agents)、例えば、マレイン酸および乳酸
− ヘアコンディショニング化合物、例えば、リン脂質、例えば、大豆レシチン、卵レシチンおよびセファリン
− タンパク質加水分解物、特に、エラスチン、コラーゲン、ケラチン、乳タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質加水分解物、それらと脂肪酸との縮合生成物および四級化タンパク質加水分解物、
− 香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン、
− 溶媒または可溶化剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびジエチレングリコール、
− 繊維構造を改善する活性成分、特に、単糖、二糖およびオリゴ糖、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、果糖およびラクトース、
− 四級化アミン、例えば、メチル−1−アルキルアミドエチル−2−アルキルイミダゾリウムメトスルフェート、
− 消泡剤、例えばシリコーン、
− 調製物着色用の染料
− フケ防止有効成分、例えば、ピロクトンオラミン、亜鉛オマジンおよびクリムバゾール、
− 光安定剤、特に、誘導体化ベンゾフェノン、桂皮酸誘導体およびトリアジン、
− pH調製物質、例えば、一般的な酸、特に、食用酸および塩基、
− 活性成分、例えば、アラントイン、ピロリドンカルボン酸およびそれらの塩、ならびにビサボロール、ビタミン、プロビタミンおよびビタミン先駆物質、特に、A、B、B、B、C、E、FおよびH
− 植物抽出物、例えば、緑茶、オーク樹皮、イラクサ、マンサク、ホップ、カモミール、ゴボウ、トクサ、サンザシ、ライムの花、アーモンド、アロエベラ、松葉油、マロニエ、ビャクダン、セイヨウネズ、ココナッツ、マンゴー、アプリコット、ライム、コムギ、キーウィ、メロン、オレンジ、グレープフルーツ、セージ、ローズマリー、樺の木、アオイ、タネツケバナ、イブキジャコウソウ、ノコギリソウ、タイム、メリッサ、ハリモクシュク、フキタンポポ、ウスベニタチアオイ、植物の分裂組織、朝鮮人参および根ショウガ、
− コレステロール、
− 粘稠度調整剤、例えば、糖エステル、ポリオールエステルまたはポリオールアルキルエーテル、
− 脂肪およびロウ、例えば、鯨ロウ、ミツロウ、モンタンロウおよびパラフィン、
− 脂肪酸アルカノールアミド、
− 錯化剤、例えば、EDTA、NTA、β−アラニン二酢酸およびホスホン酸、
− 膨張および浸透物質、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、モノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素、グアニジン、尿素、ならびに第一、第二および第三リン酸塩、
− 不透明化剤、例えば、ラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー、
− 真珠光沢剤、例えば、エチレングリコールモノ−およびジステアレート、ならびにPEG−3ジステアレート、
− 顔料、
− 過酸化水素および他の酸化剤のための安定化剤、
− 噴射剤、例えば、プロパン/ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気、
− 酸化防止剤。
【0104】
さらなる任意の成分およびこれらの成分の使用量に関しては、当業者に知られた関連ハンドブック、例えば、Kh.Schrader,Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika、第2版、Huethig Buch Verlag,Heidelberg,1989、で明確に参照される。
【0105】
本発明の薬剤は、好ましくは、適当な水溶性、アルコール性または水溶性/アルコール性担体に染料先駆物質を含有している。毛髪染色の目的に適している担体は、例えば、クリーム、乳液、ゲルであり、または、界面活性剤含有の気泡性溶液、例えば、シャンプー、泡のエアゾール、または毛髪での使用に特に好適な他の調製物も適している担体である。しかしながら、粉状または錠剤状製剤に染色先駆物質を組み込むことも適している。
【0106】
本発明の目的のために、水溶性−アルコール性溶液は、3〜70重量%のC−Cアルコール、特に、エタノールまたはイソプロパノールを含有する水溶液であると理解すべきである。本発明の調製物は、さらに、例えば、メトキシブタノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたは1,2−プロピレングリコールのような他の有機溶媒を含有することができる。ここで、いずれの水溶性有機溶媒も好ましい。
【0107】
実際の繊維の酸化的染色は、原則として、大気中の酸素で開始し得る。しかしながら、特に、ヒトの毛髪を染色することと同様に明るくすることも望む場合には、化学的酸化剤を使用することが好ましい。考え得る酸化剤は、過硫酸塩、亜塩素酸塩、特に、過酸化水素または、尿素、メラミンおよびホウ酸ナトリウムへのその付加生成物である。しかしながら、本発明によれば、例えば大気中の酸素によって染料先駆物質の酸化を活性化する触媒とともに、酸化着色剤を毛髪に適用することもできる。そのような触媒は、例えば、金属イオン、ヨウ化物、キノンまたは特定の酵素である。
【0108】
好ましい金属イオンは、例えば、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Mn4+、Li、Mg2+、Ca2+およびAl3+である。Zn2+、Cu2+およびMn2+が、特に好適である。原則として、金属イオンは、任意の好ましい生理的適合性塩の形態、または錯化合物の形態で、使用し得る。好ましい塩は、酢酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、乳酸塩および酒石酸塩である。これらの金属イオンを使用することにより、染色を促進し、目標とする色合いに影響を与えることができる。
【0109】
好適な酵素は、例えば、少量の過酸化水素の作用を顕著に促進することができるペルオキシダーゼである。さらに、本発明によれば、例えばラッカーゼのような、大気中の酸素の助けで、酸化染料先駆物質を直接的に酸化する酵素、または、in situで少量の過酸化水素を生成し、染料先駆物質の酸化を生体触媒的に活性化する酵素も好適である。染料先駆物質の酸化のために特に好適な触媒は、特異的な基質と組み合わせた「二電子酸化還元酵素」である。例えば、
− ピラノースオキシダーゼおよび、例えば、D−グルコースまたはガラクトース、
− グルコースオキシダーゼおよびDグルコース、
− グリセロールオキシダーゼおよびグリセロール、
− ピルベートオキシダーゼおよびピルビン酸またはその塩、
− アルコールオキシダーゼおよびアルコール(MeOH、EtOH)、
− ラクテートオキシダーゼおよび乳酸およびその塩、
− チロシナーゼオキシダーゼおよびチロシン、
− ウリカーゼおよび尿酸またはその塩、
− コリンオキシダーゼおよびコリン、
− アミノ酸オキシダーゼおよびアミノ酸。
【0110】
実際の毛髪染料は、酸化剤の調製物と染料先駆物質を含有する調製物との混合により、使用直前にタイミング良く調製される。得られた即用毛髪染料調製物は、6〜12の範囲のpH値を有することが好ましい。弱アルカリ性溶剤において毛髪染料を使用することが、特に好ましい。使用温度は、15〜40℃の範囲とすることができる。5〜45分の露出時間の後、染色される毛髪から毛髪染料をすすぐ。高い界面活性剤含有量を有する担体、例えば、カラーリングシャンプー、を使用した場合には、シャンプーでの再洗浄は必要ない。
【0111】
しかしながら、特に染色が困難な毛髪の場合には、染料先駆物質を含む調製物を、酸化成分との前混合なしに毛髪へ塗布することもできる。20〜30分の露出時間の後、任意で中間すすぎをした後に、酸化成分を塗布する。さらに、10〜20分の露出時間の後、毛髪をすすぎ、必要であれば再洗髪する。染料先駆物質の前使用が毛髪へのより良い浸透をもたらすことを目的とした、この実施態様の第一の変法によれば、対応する薬剤は、約4〜7のpH値に調整される。第二の変法によれば、大気酸化が初めに求められ、そこで使用する薬剤は7〜10のpH値を有することが好ましい。その後に続く促進された後酸化のために、酸化剤として、酸性のペルオキシジスルフェート溶液の使用が好ましい。
【0112】
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、
− 任意に、前処理剤M1を繊維に塗布し、その後、
− 着色剤M2を使用前に任意でさらになる薬剤M3を薬剤M2に加えて繊維に使用し、
− 1〜60分後、繊維から着色剤M2をすすぎ流し、
− 処理後、繊維に後処理剤M4を任意で塗布し、数分間の露出時間の後、再度すすぎ流す、
薬剤M2および/または薬剤M3は、請求項1〜11のいずれかに記載の薬剤である、前記方法も提供する。
【0113】
下記実施例は、本願の主題を説明することを目的とするものであり、これらを何ら制限するものではない。明細書の開示の範囲内での実施例の変更は、明らかに含まれる。
【実施例】
【0114】
特記しない限り、下記に記載される量は、重量パーセントである。
【0115】
1.クリーム状の着色剤
それぞれの色合いに応じて、pH値、粘度、溶媒および使用する染料先駆物質を変えて、下記の着色クリームを製造した。
【表1】

1 INCI名:shea butter,Butyrospermum parkii(Linn.)(Cognis)
【0116】
使用する直前に、着色クリームC1〜C3を、下記酸化剤調製物O1と1:1の比率で混合し、その後、得られた即用調製物を処理のために毛髪に塗布し、30〜60分の露出時間の後、すすぎ流す。
【表2】

【0117】
酸化剤調製物は、3〜3.5のpH値を有する。
【0118】
2.液状着色剤
それぞれの色合いに応じて、pH値、粘度、溶媒および使用する染料先駆物質を変えて、下記の液状着色剤調製物を製造した。
【表3】

【0119】
使用する直前に、着色クリームFL1およびFL2を、下記酸化剤調製物O2と1:1の比率で混合し、その後、得られた即用調製物を処理のために毛髪に塗布し、30〜60分の露出時間の後、すすぎ流す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのButyrospermum型の植物の成分を含む、少なくとも一つの染料先駆物質を含有する、ケラチン繊維を染色するための薬剤。
【請求項2】
少なくとも一つのButyrospermum parkii型の植物の成分を含有する、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
Butyrospermum parkii型の植物から得られるトリグリセリド画分を含有する、請求項1または2に記載の薬剤。
【請求項4】
トリグリセリド画分が、45〜55重量%のオレイン酸、30〜45重量%のステアリン酸、2〜8重量%のパルミチン酸および2〜8重量%のリノール酸を含有する、請求項3に記載の薬剤。
【請求項5】
トリグリセリド画分が、49〜50重量%のオレイン酸、36〜42重量%のステアリン酸、5〜6重量%のパルミチン酸および4〜5重量%のリノール酸を含有する、請求項4に記載の薬剤。
【請求項6】
少なくとも一つの、Butyrospermum parkiiから得られる不けん化画分を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項7】
不けん化画分の比率が、Butyrospermum型の植物から得られる全構成成分に対して少なくとも5重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の薬剤。
【請求項8】
染料先駆物質として、少なくとも一つの顕色剤成分を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の薬剤。
【請求項9】
さらに、少なくとも一つのカプラー成分を含有する、請求項8に記載の薬剤。
【請求項10】
少なくとも一つの天然類似染料先駆物質を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載の薬剤。
【請求項11】
さらに、グリシルリジンを含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の薬剤。
【請求項12】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、
− 任意に、前処理剤M1を繊維に塗布し、その後、
− 着色剤M2を使用前に任意でさらになる薬剤M3を薬剤M2に加えて繊維に使用し、
− 1〜60分後、繊維から着色剤M2をすすぎ流し、
− 処理後、繊維に後処理剤M4を任意で塗布し、数分間の露出時間の後、再度すすぎ流す、
薬剤M2および/または薬剤M3は、請求項1〜11のいずれかに記載の薬剤である、前記方法。

【公表番号】特表2009−544644(P2009−544644A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521191(P2009−521191)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056740
【国際公開番号】WO2008/012182
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】