説明

シェル付コネクタ

【課題】顧客の要求する外観と半田付け性が両立したシェルを備えたシェル付コネクタを提供することにある。
【解決手段】シェル付コネクタ1は、絶縁性のハウジング10と、ハウジング10に取り付けられたコンタクト20と、ハウジング10の外面を覆うようにハウジング10に取り付けられた金属製のシェル30とを具備している。シェル30は、回路基板PCB上に半田接続される基板接続部39を有する。シェル30の外面には良半田付け性層30bが形成され、シェル30の内面には黒色のめっき層30cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの外面を覆う金属製のシェルを備えたシェル付コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシェル付コネクタとして、例えば、図7に示すものが知られている(特許文献1参照)。図7は、回路基板上に実装された従来のシェル付コネクタの斜視図である。
図7に示すシェル付コネクタ101は、略矩形形状を有する絶縁性のハウジング110と、ハウジング110に取り付けられた複数のコンタクト120と、ハウジング110の外面を覆うようにハウジング110に取り付けられた金属製のシェル130とを具備している。
【0003】
ここで、各コンタクト120は、ハウジング110内に延びて相手コンタクト(図示せず)に接触する接触部(図示せず)と、ハウジング110外に延びて回路基板140上に半田接続される基板接続部121とを具備している。各コンタクト120は、金属板(黄銅板)を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。
また、シェル130は、ハウジング110の上面及び側面を覆うように、金属製の矩形平板を断面逆U字状に折り曲げて構成されている。シェル130は、シェル付コネクタ101にシールド性能を付与するものである。シェル130の両側の下縁部からは、1対の基板接続部131,131(図7では一方の基板接続部131のみを図示)が延びている。各基板接続部131は、回路基板140に形成された1対の貫通孔141,141(図7では一方の貫通孔141のみ図示)に挿通される。これにより、シェル130及びハウジング110の回路基板140に対する位置決めが行われる。そして、各基板接続部131は、各貫通孔141の近傍で半田接続され、これにより、シェル付コネクタ101が回路基板140に固定される。
【0004】
図8は、図7に示すシェル付コネクタのシェルの一部を切断した断面図である。図8に示すように、シェル130は、鉄製の母材132の表面に下地層としてのニッケルめっき層133を形成し、ニッケルめっき層133の表面に表面処理層としての錫−ニッケル合金めっき層134を形成してなる。そして、錫−ニッケル合金めっき層134は、錫が75重量%以上100重量%未満、ニッケル残部の組成比の錫−ニッケル合金からなることが好ましいとされている。これにより、良好な半田付け性を有し、十分な耐熱性を有する合金によって表面処理を施したシェル130とすることができる。
【特許文献1】特開平11−189835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図7に示したような金属製のシェルを備えたシェル付コネクタは、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートブックパソコン、デスクトップパソコンなどの電子機器のI/Oコネクタとして使用されることがある。
ここで、図7に示したシェル付コネクタ101をこの種のI/Oコネクタとして電子機器に搭載すると、一般的にコネクタ嵌合部におけるシェル130の内面が顧客から見た可視面となる。
【0006】
前述したように、シェル130は、良好な半田付け性を有する合金によって表面処理されているので、シェル130の基板接続部131を回路基板140の貫通孔141に半田接続したときには、十分な固定力を得ることができる。
しかしながら、シェル130の表面に存在する錫−ニッケル合金めっき層134は金属色、たとえば銀色に近い色をしているので、全体が黒色の電子機器にシェル付コネクタ101をI/Oコネクタとして搭載すると、コネクタ嵌合部におけるシェル130の内面が金属色として露出し、外観上好ましくない。外観上好ましくないという意味は、コネクタ嵌合部におけるシェル130の内面に露出した金属色が電子機器全体に施された黒色と一致せずに、顧客の要求に合致しないという意味である。
【0007】
一方、シェル130の内面及び外面を含む表面全体を黒色として黒色の電子機器と整合させ、外観性を損なわないようにすることも可能である。シェル130の外観を黒色とするには、さまざまな方法があるが、主なものとして、1)塗装皮膜、2)黒色めっき、3)薄膜形成などがあげられる。
【0008】
しかしながら、これらの方法はいずれもシェル130の半田付け性を無くするか低下させることになる。例えば、塗装皮膜には半田付け性がない。また、黒色めっき層を形成する場合には、たとえば黒色ニッケル、黒色亜鉛、黒色クロムなどのめっきの種類があるが、どの場合にも半田付け性は、通常の銀色のめっき層(例えば、錫めっき層)に比較すると半田付け性は著しく低下することになる。また、黒色めっき層を形成する場合において、半田付け性を付与するために、例えば、錫層を下地層としてその表面に黒色ニッケルめっき層を形成するなどの工夫がなされる。しかし、その場合には逆に所望濃度の黒色とならずに外観性が損なわれることになる。黒色めっき層を形成する場合において、黒色めっき層の厚さを厚くすればするほど色は黒くなるが、半田付け性は黒色めっき層の厚さを厚くすればするほど低下していく。従って、錫層を下地層としてその表面に黒色ニッケルめっき層を施す場合において、所望濃度の黒色を得るために黒色ニッケルめっき層の厚さを厚くすると、半田付け性は著しく低下してしまう。
【0009】
従って、本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、顧客の要求する外観と半田付け性が両立したシェルを備えたシェル付コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るシェル付コネクタは、絶縁性のハウジングと、該ハウジングに取り付けられたコンタクトと、前記ハウジングの外面を覆うように前記ハウジングに取り付けられた金属製のシェルとを具備し、該シェルが回路基板に半田接続される基板接続部を有するシェル付コネクタであって、前記シェルの外面には良半田付け性層が形成され、前記シェルの内面には黒色のめっき層が形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のうち請求項2に係るシェル付コネクタは、請求項1記載のシェル付コネクタにおいて、前記シェルの前記基板接続部は、前記良半田付け性層が前記回路基板に対して対向するよう形成され、前記シェルが、前記ハウジングの上面を覆う上板部、前記ハウジングの下面を覆う下板部、及び前記ハウジングの両側面を覆う1対の側板部を備え、前記基板接続部が前記下板部から外方向に延設され、前記基板接続部の下面が、前記良半田付け性層が形成された前記シェルの外面となることを特徴としている。
【0012】
更に、本発明のうち請求項3に係るシェル付コネクタは、請求項1記載のシェル付コネクタにおいて、前記シェルの基板接続部は、前記良半田付け性層が前記回路基板に対して対向するよう形成され、前記シェルが、前記ハウジングの上面を覆う上板部、前記ハウジングの下面を覆う下板部、及び前記ハウジングの両側面を覆う1対の側板部を備え、前記基板接続部が、前記側板部から下方向に延びてから内方向に延びる断面L字形をなし、断面L字形をなす前記基板接続部の下面が、前記良半田付け性層が形成された前記シェルの外面となることを特徴としている。
【0013】
加えて、本発明のうち請求項4に係るシェル付コネクタは、請求項1記載のシェル付コネクタにおいて、前記シェルの前記基板接続部は、前記回路基板のスルーホールに挿入されて接続されるよう構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のうち請求項1に係るシェル付コネクタによれば、シェルの内面には黒色のめっき層が形成されているので、製品全体に黒色が施されている場合に色が一致し、外観上好適で顧客の要求する外観を満足させることができる。また、シェルの外面には良半田付け性層が形成されているので、シェルの基板接続部におけるシェルの外面に相当する部分(良半田付け性層が形成されている部分)を回路基板に半田接続したときに、十分な固定力を得ることができる。従って、顧客の要求する外観と半田付け性が両立したシェル付コネクタを提供できる。
【0015】
また、本発明のうち請求項2に係るシェル付コネクタによれば、請求項1記載のシェル付コネクタにおいて、シェルの基板接続部は、良半田付け性層が回路基板に対して対向するよう形成され、シェルが、ハウジングの上面を覆う上板部、ハウジングの下面を覆う下板部、及びハウジングの両側面を覆う1対の側板部を備え、基板接続部が下板部から外方向に延設され、基板接続部の下面が、良半田付け性層が形成されたシェルの外面となるので、良半田付け性層が形成された面で回路基板上に半田接続される基板接続部を有するシェルを簡単に製造することができる。
【0016】
更に、本発明のうち請求項3に係るシェル付コネクタによれば、請求項1記載のシェル付コネクタにおいて、シェルの基板接続部は、良半田付け性層が回路基板に対して対向するよう形成され、シェルが、ハウジングの上面を覆う上板部、ハウジングの下面を覆う下板部、及びハウジングの両側面を覆う1対の側板部を備え、基板接続部が、側板部から下方向に延びてから内方向に延びる断面L字形をなし、断面L字形をなす基板接続部の下面が、良半田付け性層が形成されたシェルの外面となるので、良半田付け性層が形成された面で回路基板上に半田接続される基板接続部を有するシェルを簡単に製造することができる。
【0017】
加えて、本発明のうち請求項4に係るシェル付コネクタによれば、請求項1記載のシェル付コネクタにおいて、シェルの基板接続部は、回路基板のスルーホールに挿入されて接続されるよう構成されているので、基板接続部を回路基板のスルーホールに挿入して半田接続することができる。この際、基板接続部におけるシェルの外面に相当する部分(良半田付け性層が形成された部分)においてスルーホールの深さ方向に沿って十分な長さ範囲で半田接続されれば、十分な半田付け強度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るシェル付コネクタの第1実施形態の斜視図である。図2は、図1のシェル付コネクタを示し、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図、(D)は背面図である。図3は、図2(C)における3−3線に沿う断面図である。
図1において、シェル付コネクタ(以下、単にコネクタという。)1は、絶縁性のハウジング10と、ハウジング10に取り付けられた複数のコンタクト20と、金属製のシェル30とを具備している。コネクタ1は、回路基板PCB(図2(C)参照)上に実装され、たとえば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートブックパソコン、デスクトップパソコンなどの電子機器のI/Oコネクタとして使用される。
【0019】
ここで、ハウジング10は、左右方向(図2(C)における左右方向)に長くのびるほぼ直方体形状の本体部11と、本体部11から前方(図3における左方)に延びる板状の延出部12とを備えている。ハウジング10は、絶縁性の樹脂を成形することによって形成される。ハウジング10の延出部12の下面には、1列状の複数のコンタクト収容溝13が形成されている。
【0020】
また、各コンタクト20は、図3に示すように、ハウジング10の本体部11に固定される固定部21と、固定部21から前方に延びる接触部22と、固定部21の後端から直角下方に折り曲げられてから後方に延びる基板接続部23とを具備している。各コンタクト20は、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。接触部22は、図3に示すように、コンタクト収容溝13内に収容され、接触部22の前端部は延出部12に固定される。図示しない相手コネクタとの嵌合時に、接触部22の下面が、相手コネクタに設けられた相手コンタクトに接触する。基板接続部23は、後方に延びた部分の下面が回路基板PCB上の導電パッドに半田接続される。
【0021】
更に、シェル30は、コネクタ1にシールド性能を付与するものであって、ハウジング10の外面を覆うようにハウジング10に取り付けられる。シェル30は、上板部31と、下板部32と、1対の側板部33,33とを備えている。シェル30の製造方法は後述する。上板部31は、ハウジング10の本体部11及び延出部12の上面を覆う。下板部32は、ハウジング10の本体部11及び延出部12の下面を覆う。1対の側板部33,33は、上板部31の左右両縁と下板部32の左右両縁とをそれぞれ連結し、ハウジング10の本体部11及び延出部12の両側面を覆う。シェル30の下板部32の左右両縁には、外方向に向けて延設された1対の基板接続部39が設けられている。各基板接続部39は、シェル30の下板部32の左右両縁近傍から外方向に向けて延びるようにシェル30の側板部33から切り起こされている。そして、各基板接続部39の下面は、後述するように、良半田付け性層30bが形成されたシェル30の外面となっている。各基板接続部39の下面が回路基板PCB上のパッドに半田接続され、これによりコネクタ1が回路基板PCB上に固定される。
【0022】
また、シェル30の上板部31、下板部32、及び1対の側板部33,33のそれぞれの前縁には、図示しない相手コネクタの嵌合を容易にするための導入案内部34、35、36,36が設けられている。導入案内部34、35、36,36のそれぞれは、上板部31、下板部32、及び1対の側板部33,33のそれぞれの前縁から前方且つ外方に延びるように形成される。さらに、シェル30の上板部31の後縁からは、1対の連結片37,37を介して背面板38が下方に向けて延びている。
【0023】
図4は、シェルを構成する上板部の一部を切断した拡大断面図である。
ここで、シェル30の外面には、すなわちシェル30を構成するすべての構成部(上板部31、下板部32、1対の側板部33、基板接続部39、連結片37、背面板38、導入案内部34,35,36)の外面には、良半田付け性層30bが形成されている。その一方、シェル30の内面、すなわちシェル30を構成するすべての構成部の内面には、黒色のめっき層30cが形成されている。図4には、上板部31の一部を切断した状態が示されており、上板部31は、母材としての鉄板30aと、鉄板30aの外面(上面)に形成された良半田付け性層30bと、鉄板30aの内面(下面)に形成された黒色のめっき層30cとから構成されている。上板部31以外のシェル30の構成部についても、図示はしないが、同様に母材としての鉄板30aと、鉄板30aの外面に形成された良半田付け性層30bと、鉄板30aの内面に形成された黒色のめっき層30cとから構成されている。
【0024】
なお、良半田付け性層30bとしては、半田付け性の良好なものであればよく、たとえば、錫めっき層、はんだめっき層、金めっき層などがあげられる。
また、黒色のめっき層30cとしては、黒色をしためっき層であればよく、例えば、黒色クロムめっき層、黒色ニッケルめっき層、黒色亜鉛めっき層、黒色錫−ニッケル合金めっき層、黒色亜鉛−ニッケル合金めっき層、黒色クロム−ニッケル合金めっき層などがあげられる。
【0025】
更に、めっきの好適な厚さは、良半田付け性層30bについては錫めっき層の場合1〜10μm、黒色のめっき層30cについては1〜20μmである。
このシェル30は、次のように製造される。図5は、シェルを製造するための金属板の斜視図である。
先ず、図5に示すように、鉄板40aの表面に黒色のめっき層40cを形成し、鉄板40aの裏面に良半田付け性層40bを形成した金属板40を製造する。
【0026】
そして、シェル30の形状に適した形状に金属板40を打ち抜く。
次いで、金属板40から打ち抜かれた金属ブランク(シェル30)を、図1に示すように、内面に黒色のめっき層40c(黒色のめっき層30c)、外面に良半田付け性層40b(良半田付け性層30b)となるように曲げ加工し、シェル30の下板部32におけるシーム部41で両端を接合する。これにより、シェル30は完成する。
【0027】
コネクタ1の製造に際しては、複数のコンタクト20を取り付けたハウジング10に、シェル30の内面が内側、シェル30の外面を外側となるように、シェル30を取り付ければよい。
このように製造されたコネクタ1は、シェル30の各基板接続部39の下面を回路基板PCB上のパッドに半田接続し、各コンタクト20の基板接続部23の下面を回路基板PCB上のパッドに半田接続することにより、回路基板PCB上に実装される。
【0028】
ここで、シェル30の外面には良半田付け性層30bが形成され、シェル30の基板接続部39は、良半田付け性層30bが回路基板PCBに対して対向するよう形成されている。即ち、基板接続部39の下面に良半田付け性層30bが形成されているので、基板接続部39を回路基板PCB上のパッドに半田接続したときに、十分な固定力を得ることができる。
【0029】
回路基板PCB上に実装されたコネクタ1は、たとえば、携帯電話、PDA、ノートブックパソコン、デスクトップパソコンなどの電子機器のI/Oコネクタとして使用され、かかる電子機器の筺体内に装着される。この際に、コネクタ1の嵌合面(前面)が顧客から見た可視面となる。
本実施形態のコネクタ1においては、シェル30の内面には黒色のめっき層30cが形成されているので、製品全体に黒色が施されている場合に色が一致し、外観上好適で顧客の要求する外観を満足させることができる。
【0030】
また、シェル30の内面の黒色めっき層30cの半田付け性が十分でなかったとしても、シェル30の外面に半田付け性層30bが形成され、シェル30の基板接続部39は、良半田付け性層30bが回路基板PCBに対して対向するよう形成されているので、基板接続部39を回路基板PCB上のパッドに半田接続したときの固定力に問題は生じない。従って、本実施形態のコネクタ1にあっては、顧客の要求する外観と半田付け性が両立したシェル付コネクタを提供できる。
【0031】
そして、黒色めっきの場合には、半田付け性を維持するために、その色の制御が十分にできないのが普通である。前述したように、黒色めっき層を形成する場合において、黒色めっき層の厚さを厚くすればするほど色は黒くなるが、半田付け性は黒色めっき層の厚さを厚くすればするほど低下していく。しかし、本実施形態においては、黒色のめっき層30cのあるシェル30の内面は、半田接続しないので、色制御の自由度を大きくすることができる。
【0032】
また、本実施形態にあっては、シェル30の基板接続部39が下板部32から外方向に延設され、基板接続部39の下面が、良半田付け性層が形成されたシェル30の外面となるので、良半田付け性層30bのある面で回路基板PCB上に半田接続される基板接続部を有するシェルを簡単に製造することができる。
次に、本発明に係るシェル付コネクタの第2実施形態を図6を参照して説明する。図6は、本発明に係るシェル付コネクタの第2実施形態の一部分の斜視図である。
【0033】
図6に示すシェル付コネクタ(以下、単にコネクタという)2は、図1に示すシェル付コネクタ1と基本構成が同様であるが、基板接続部の設け方が異なっている。従って、基板接続部の設け方のみを説明し、その他の構成についいては説明を省略する。
図6において、シェル30の1対の側板部33,33(図6には一方のみ図示)には、1対の基板接続部39’,39’が設けられている。各基板接続部39’は、シェル30の側板部33の下縁近傍から下方向に向けて延びるようにシェル30の下板部32から切り起こされている。各基板接続部39’は、側板部33の下縁近傍から下方向に延びてから内方向に延びる断面L字形をなしている。そして、断面L字形をなす各基板接続部39’の下面が、良半田付け性層30bが形成されたシェル30の外面となっている。各基板接続部39’の下面が回路基板PCB上のパッドに半田接続され、これにより、回路基板PB上にコネクタ2が固定される。
【0034】
この第2実施形態のコネクタ2においては、基板接続部39’が、側板部33から下方向に延びてから内方向に延びる断面L字形をなし、断面L字形をなす基板接続部39’の下面が、良半田付け性層30bが形成されたシェル30の外面となるので、良半田付け性層のある面で回路基板上に半田接続される基板接続部を有するシェルを簡単に製造することができる。
【0035】
また、コネクタ2は、コネクタ1と同様に、シェル30の内面には黒色のめっき層30cが形成されているので、電子機器全体に黒色が施されている場合に色が一致し、外観上好適で顧客の要求する外観を満足させることができる。
また、シェル30の内面の黒色めっき層30cの半田付け性が十分でなかったとしても、シェル30の外面に半田付け性層30bが形成され、シェル30の基板接続部39’は、良半田付け性層30bが回路基板PCBに対して対向するよう形成されているので、基板接続部39’を回路基板PCB上のパッドに半田接続したときの固定力に問題は生じない。従って、本実施形態のコネクタ2にあっても、顧客の要求する外観と半田付け性が両立したシェル付コネクタを提供できる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、シェル30の基板接続部の設け方は、図1及び図2に示した設け方に限らず、回路基板のスルーホールに挿入されて接続される(図7に示すような)いわゆるDIP型であってもよい。この場合、基板接続部におけるシェルの内面に相当する部分(黒色のめっき層が形成された部分)において半田付け性は低下するが、基板接続部におけるシェルの外面に相当する部分(良半田付け性層が形成された部分)においてスルーホールの深さ方向に沿って十分な長さ範囲で半田接続されれば十分な半田付け強度が得られる。なお、この場合、シェル30の基板接続部は、良半田付け性層が回路基板に対して対向するよう形成されてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るシェル付コネクタの第1実施形態の斜視図である。
【図2】図1のシェル付コネクタを示し、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図、(D)は背面図である。
【図3】図2(C)における3−3線に沿う断面図である。
【図4】シェルを構成する上板部の一部を切断した拡大断面図である。
【図5】シェルを製造するための金属板の斜視図である。
【図6】本発明に係るシェル付コネクタの第2実施形態の一部分の斜視図である。
【図7】回路基板上に実装された従来のシェル付コネクタの斜視図である。
【図8】図7に示すシェル付コネクタのシェルの一部を切断した断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 シェル付コネクタ
10 ハウジング
20 コンタクト
30 シェル
30b 良半田付け性層
30c 黒色のめっき層
31 上板部
32 下板部
33 側板部
39,39’基板接続部
PCB 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のハウジングと、該ハウジングに取り付けられたコンタクトと、前記ハウジングの外面を覆うように前記ハウジングに取り付けられた金属製のシェルとを具備し、該シェルが回路基板に半田接続される基板接続部を有するシェル付コネクタであって、
前記シェルの外面には良半田付け性層が形成され、前記シェルの内面には黒色のめっき層が形成されていることを特徴とするシェル付コネクタ。
【請求項2】
前記シェルの前記基板接続部は、前記良半田付け性層が前記回路基板に対して対向するよう形成され、前記シェルが、前記ハウジングの上面を覆う上板部、前記ハウジングの下面を覆う下板部、及び前記ハウジングの両側面を覆う1対の側板部を備え、前記基板接続部が前記下板部から外方向に延設され、前記基板接続部の下面が、前記良半田付け性層が形成された前記シェルの外面となることを特徴とする請求項1記載のシェル付コネクタ。
【請求項3】
前記シェルの基板接続部は、前記良半田付け性層が前記回路基板に対して対向するよう形成され、前記シェルが、前記ハウジングの上面を覆う上板部、前記ハウジングの下面を覆う下板部、及び前記ハウジングの両側面を覆う1対の側板部を備え、前記基板接続部が、前記側板部から下方向に延びてから内方向に延びる断面L字形をなし、断面L字形をなす前記基板接続部の下面が、前記良半田付け性層が形成された前記シェルの外面となることを特徴とする請求項1記載のシェル付コネクタ。
【請求項4】
前記シェルの前記基板接続部は、前記回路基板のスルーホールに挿入されて接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載のシェル付コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−92786(P2010−92786A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263683(P2008−263683)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】