説明

シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含む経口投与用の薬剤、およびその調製方法

本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2−阻害剤を含み、改良されたバイオアベイラビリティーを有する経口投与用の薬剤、及び該薬剤の製造方法に関する。本発明の薬剤は、少なくとも1種の賦形剤をベースとする不活性固体粒子をベースとする凝集物を含み、前記凝集物は、シクロオキシゲナーゼ−2−阻害剤と少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む。本発明によれば、該凝集物は、前記粒子を凝集するために前記ポリマー中の阻害剤の超微粉砕粒子の溶液または懸濁液からなる上記粒子に適用される噴霧を含む。本発明の方法は、本質的に以下の工程を含む、すなわち:(i)少なくとも1種の水溶性ポリマー中の溶液または懸濁液中の前記阻害剤の超微粉砕粒子に基づく噴霧可能な液体の調製、および(ii)湿式造粒による凝集物を得るための該液体の固体粒子上への噴霧、前記凝集物は、粒子溶液または懸濁液噴霧を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含み、改善されたバイオアベイラビリティーを有する、経口投与用の薬剤、およびこの薬剤を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、抗炎症薬などの経口投与される薬剤において使用される多くの有効成分は、水性媒体中であまり溶解しない固体粒子から形成されているという欠点を有し、この欠点は、これらの薬剤の経口バイオアベイラビリティーに悪影響を及ぼす。
【0003】
この主題に関して、非限定的に、セレコキシブやデラコキシブなど多数の置換ピラゾリルベンゼンスルホンアミド(特許文献US−A−5466823を参照されたい)、バルデコキシブなどの置換イソオキサゾリルベンゼンスルホンアミド(文献US−A−5633272を参照されたい)、ロフェコキシブなどの(メチルスルホニル)フェニルフラノン(文献US−A−5474995およびUS−A−5981576を参照されたい)、エトリコキシブなどの置換ピリジン(文献US−A−5861419を参照されたい)、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−シクロペンテン−1−オン(文献EP−A−863134を参照されたい)、ベンゾピラン(文献US−A−6034256を参照されたい)、置換ピリダジノン(文献WO−A−00/24719を参照されたい)、およびシミコキシブ(cimicoxib)などのイミダゾール(文献EP−B−1122243を参照されたい)を含めて、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤のファミリーに属する、治療的および/または予防的な抗炎症作用を有する有効成分を特に挙げることができる。
【0004】
文献EP−B−1122243では、不活性な希釈剤、結合剤、および滑沢剤と混合されたイミダゾールタイプのシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を芯物質中に含み、身体の胃腸領域に至るまで薬剤の崩壊および吸収を遅延させるために提供される外側被膜を含む、例えば錠剤の形態の、経口投与用の薬剤を11ページに提示している。この外側被膜は、糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、またはアクリル樹脂をベースとしていてもよい。
【0005】
消化管におけるこれらの有効成分の吸収は限定されていることから、この欠点を克服するためには、投与される治療用量を増加させなければならない。これが、最近、全く同一の投与用量に対するこれらの阻害剤のバイオアベイラビリティーを改善しようと努力されている理由である。バイオアベイラビリティーを改善する最も単純な方法の1つは、有効成分の溶解性を高めることである。このパラメータは、可溶化剤、界面活性剤、シクロデキストリン、親水性ポリマーの添加によって、または、阻害剤粒子の構造を改変することによって、および固体分散技術を使用することによって、様々な方法で変更することができる。
【0006】
文献WO−A−03/030876では、口の中で崩壊する錠剤の形態の経口投与用の薬剤であって、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤としてのバルデコキシブ粒子の水分散液を含み、噴霧乾燥によって乾燥される液体を得るために、これらの粒子が、大多数の薬剤中に存在する糖類などの1種または複数種の賦形剤と混合されている薬剤を提示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含むこれらの経口投与薬剤の主要な欠点は、特に、相対的に不十分であり、個体によって異なるそのバイオアベイラビリティーにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの目的はこの欠点を克服することであり、本出願人は、実に驚くべきことに、少なくとも1種の賦形剤をベースとする不活性な固体粒子を、少なくとも1種の親水性ポリマー中のシクロオキシゲナーゼ−2特異的阻害剤の超微粉砕粒子の溶液または懸濁液と共に噴霧することにより、経口投与用であり、先行技術の薬剤と比べて、改善されたバイオアベイラビリティーを有し、シミコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含む薬剤を得ることが可能になり、本発明によるこの薬剤は、この溶液または懸濁液を噴霧した生成物によって凝集した、前記固体粒子の凝集物(agglomerate)を含むことを発見したので、この目的は達成される。
【0009】
本発明によれば、このシクロオキシゲナーゼ−2特異的阻害剤は、前述の特許文献EP−B−1122243に記載されている、好ましくは下記の式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
構成要素XおよびYのうち一方はNを表し、他方はCを表し;
は、水素、メチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CHO、−COCH、または−COOR基を表し;
は、ハロゲン、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、ROC0−8アルキル、RSC0−8アルキル、シアノ、ニトロ、−NR、−NRSO、−SOR、−SO、−SONR、または−CONR基から独立に選択される1つまたは複数の基によって必要に応じて置換されている、アリールまたはヘテロアリール基を表し;
は、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、または−NR基を表し;
は、水素、C1−8アルキル、またはC0−8アルキルアリール基(アリール基は、C1−8アルキル、ハロゲン、C1−8ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ROC0−8アルキル、RSC0−8アルキル、−NR、−NRCOR、−COR、もしくは−COOR基から選択される1つもしくは複数の基によって必要に応じて置換されていてもよい)を表し;
は、C1−8アルキルまたはC1−8ハロアルキル基を表し;
は、水素、C1−8アルキル、アリールC1−8アルキル(アリール基は、C1−8アルキル、ハロゲン、C1−8ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ROC0−8アルキル、RSC0−8アルキル、−NR、−NRCOR、−COR、もしくは−COOR基から選択される1つもしくは複数の基によって必要に応じて置換されていてもよい)、−COR、または−COOR基を表し;
は、水素、C1−8アルキル、またはベンジル基を表し;
は、C1−8アルキルまたはC1−8ハロアルキル基を表し;
上記の定義中のアリール基は、フェニルまたはナフチル基を表し;
上記の定義中のヘテロアリール基は、ベンゼン環に必要に応じて縮合されていてもよい、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、またはピリダジン基を表す]
に対応する少なくとも1種の化合物、またはこの化合物の塩もしくは溶媒和物から構成される。
【0012】
さらにより好ましくは、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤として、公知の様式で下記の式(II):
【0013】
【化2】

【0014】
に対応する、シミコキシブなどの少なくとも1種のイミダゾールが、使用される。
【0015】
本発明の1つの有利な特徴によれば、賦形剤の前記固体粒子は、水性媒体中に可溶性または分散性である。一般に、賦形剤のこれらの粒子は、親水性であり、結晶または非晶構造を有する可能性がある。
【0016】
好ましくは、賦形剤として、糖、好ましくはラクトースまたはショ糖、マルトデキストリンなどのデンプン加水分解物、微結晶セルロース、ソルビトール、およびこれらの化合物のうちのいくつかの混合物からなる群から選択される水溶性または水分散性の粒子が使用される。
【0017】
さらにより好ましくは、前記固体粒子は、好ましくはクエン酸、または酒石酸もしくはフマル酸など、前記賦形剤と混合され、体内での前記阻害剤の溶解性を高めることを可能にする、少なくとも1種の酸をさらに含む。
【0018】
本発明の1つの主要な特徴によれば、前記凝集物は、空気流動層などの装置における湿式造粒法によって得ることができる。
【0019】
好ましくは、本発明による前記凝集物は、具体的には、前記固体粒子を前記親水性ポリマー中の前記阻害剤の溶液と共に噴霧した生成物を含む。実際に、本出願人は、このポリマーまたはこれらのポリマー中に前記阻害剤を溶解することにより、本発明による薬剤は同じ親水性ポリマー中に同じ阻害剤を懸濁することによって得られる薬剤と比べてバイオアベイラビリティーがさらに改善されていることを予想外に証明することができた。
【0020】
前記阻害剤の超微粉砕されたこれらの粒子は、好ましくは、それらの約90%の断面の最大長が20μm未満であるようなものである。
【0021】
好ましくは、前記親水性ポリマーまたは前記親水性ポリマーのうち少なくとも1種は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはマクロゴール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマー、メタクリリックコポリマー、デンプン、デキストリン、ゼラチン、ならびにこれらのポリマーのうちのいくつかのブレンドからなる群から選択される。
【0022】
さらにより好ましくは、前記親水性ポリマーまたは前記親水性ポリマーのうち少なくとも1種は、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールまたはマクロゴールからなる群から選択される。
【0023】
さらになおより好ましくは、190から9000g/molの範囲、さらにより好ましくは、250から600g/mol、有利には285から420g/molの範囲の重量平均分子量Mを有する、少なくとも1種のポリエチレングリコールまたはマクロゴールが使用される。
【0024】
本発明の特に有利な一実施形態によれば、2000から1000000g/molの範囲、好ましくは5000から55000g/molの範囲の重量平均分子量Mを有する、前記ポリエチレングリコールまたはマクロゴールとポリビニルピロリドンのブレンドが、親水性ポリマーとして使用される。
【0025】
本発明の別の有利な特徴によれば、前記ポリマー中の前記阻害剤の溶液または懸濁液の前記噴霧生成物は、少なくとも1種の両性、イオン性(すなわち陰イオン性もしくは陽イオン性)、または非イオン性の界面活性剤をさらに含む。
【0026】
使用することができる界面活性剤としては、例えば、非限定的に、以下のものを挙げることができる。
ラウリル硫酸ナトリウム
ポリエトキシル化ソルビタンエステル、またはポリソルベート
ポロキサマー
これらの界面活性剤のうちのいくつかの混合物を使用することも可能である。好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムが、界面活性剤として使用される。
【0027】
本発明の別の有利な特徴によれば、前記凝集物は、重量比で、1%から20%の範囲、好ましくは3%から10%の範囲の前記阻害剤を含む。
【0028】
有利には、前記凝集物は、重量比で、10%から80%の範囲、好ましくは30%から75%の範囲の前記賦形剤を含む。
【0029】
また有利には、前記凝集物は、重量比で、3%から30%の範囲、好ましくは12%から25%の範囲の前記親水性ポリマーを含む。
【0030】
また有利には、前記凝集物中の前記界面活性剤の重量比は、0.1%から6%まで変動する。
【0031】
本発明の別の特徴によれば、前記薬剤は、前記粒子凝集物を被覆し、崩壊剤、増量剤、顔料、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、およびこれらの添加剤のうちのいくつかの混合物からなる群から選択される適合性のある添加剤を含む、少なくとも1種の外層を、必要に応じて含んでよい。
【0032】
本発明による薬剤は、重量比で、0%から80%の範囲、好ましくは10%から50%の範囲の前記外層を含んでよい。
【0033】
有利には、本発明による薬剤は、前記外層を必要に応じて圧縮する前記粒子凝集物を圧縮することによって好ましくは得られる、顆粒剤もしくは錠剤の形態の固形製剤、または、カプセル、ゼラチンカプセル、サシェ、もしくはバイアルなどの直接容器中に包装されている、粉末形態の前記凝集物を含む固体形態の固形製剤から構成されている。
【0034】
試験により、本発明による薬剤は、シミコキシブ30mgを含む錠剤の形態で、約0.1NのHCl(+0.15%ラウリル硫酸ナトリウム)をベースとする媒体中に30分後に少なくとも90%溶解されることが示された。
【0035】
他の試験により、本発明による薬剤は、シミコキシブ10mgを含む錠剤の形態で、またはシミコキシブ5mgを含む錠剤の形態でさえ、0.1N HClをベースとする媒体中に15分後に少なくとも65%溶解されることが示された。
【0036】
先に定義したように、本発明による薬剤を調製するための方法は、以下の連続的なステップを含む:
(i)少なくとも1種の親水性ポリマーの溶液または懸濁液中の前記特異的(上記の式(I)を参照されたい)シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、特にシミコキシブなどのイミダゾールの超微粉砕粒子をベースとする噴霧可能な液体を調製するステップ、
(ii)造粒機中で、前記阻害剤に適合するように設計された少なくとも1種の賦形剤をベースとする不活性な固体粒子上に前記液体を噴霧して、湿式造粒法によって、前記粒子の溶液または懸濁液を噴霧した生成物を含む粒子凝集物を得るステップ、
(iii)(ii)において得られた粒子凝集物を必要に応じて圧縮するステップ、および
(iv)(ii)または(iii)において得られた凝集物を、崩壊剤、増量剤、顔料、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、およびこれらの添加剤のうちのいくつかの混合物からなる群から選択される適合性のある添加剤を含む、少なくとも1種の外層で必要に応じて被覆するステップ。
【0037】
本発明の1つの好ましい特徴によれば、ステップ(ii)において使用される前記造粒機は、空気流動層タイプのものである。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、この湿式造粒法を実施するために、約1バールから約1.5バールの範囲の相対圧力で作動する空気流動層造粒機を使用する。この造粒機の熱風入口温度は40から75℃の範囲であり、固体粒子の温度は30から50℃の範囲である。
【0039】
好ましくは、ステップ(i)は、前記親水性ポリマー中に前記阻害剤を完全に溶解させて、本発明による薬剤に対する改善されたバイオアベイラビリティーを得ることによって、具体的に実施される。
【0040】
本発明による薬剤は、ヒトもしくは動物の身体の様々な炎症、またはシクロオキシゲナーゼ−2によって引き起こされる、その身体の他の任意の機能不全に対する治療的および/または予防的処置のために使用できることに留意すべきである。
【0041】
本発明の上述の特徴、および同様に他の特徴は、例示として示され、非限定的である、本発明のいくつかの実施形態の以下の説明を読むと、より深く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
対照例
−シミコキシブおよびラクトースの固体粒子の混合物をベースとする芯物質;
−前記粒子を凝集させるための、精製水、および重量比で0.40%の、ポリソルベートをベースとする界面活性剤を含む顆粒化液体;および
−崩壊剤、矯味剤、およびステアリン酸マグネシウムから構成される滑沢剤の混合物から形成された外層
から構成される従来の処方の錠剤を含む、本発明に従わない「対照」薬剤を調製した。
【0043】
より具体的には、この「対照」薬剤の処方は、100g当たり、以下のとおりであった。
有効成分:シミコキシブ 8.0g
クロスカルメロースナトリウム 5.0g
アルファ化デンプン 15.0g
ポリソルベート 0.40g
ラクトース一水和物 68.10g
アペテント(Appetent) 3.0g
ステアリン酸マグネシウム 0.5g
高せん断力造粒機中で、湿式造粒法によってこの「対照」粒子凝集物を調製し、得られた粒子凝集物を、当業者に公知の技術によって「対照」錠剤に加工した。
【0044】
この「対照」錠剤は、シミコキシブ30mgを含んだ。
【0045】
本発明に従う実施例1
本発明による第1の薬剤は、本発明による懸濁液を噴霧した生成物によって凝集した固体粒子をベースとする基剤を含み、さらに、外層と共に提供される粒子凝集物をベースとして調製した。
【0046】
この凝集物は、以下の処方(重量比として。外層は除外した)の医薬組成物から構成された。
基剤:
ラクトース粒子 72.90%
懸濁液の形態の噴霧される液体:
シミコキシブの超微粉砕粒子 8.74%
ポリビニルピロリドンPVP「K25」 13.11%
ポリエチレングリコールPEG「400」 1.96%
ラウリル硫酸ナトリウム 3.28%
粒子凝集物を被覆する外層は、以下の処方(単位はグラム)を有した。
崩壊剤「アクジソール(acdisol)」 5g
矯味剤 3g
滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム) 0.5g
第1のステップとして、シミコキシブをベースとする噴霧可能な液体を以下のようにして調製した。第1に、親水性ポリマーPVPを攪拌しながら分散させた。清澄な溶液が得られたら、他の親水性ポリマーPEGを添加した。このようにして得た溶液に、超微粉砕した有効成分(シミコキシブ)をゆっくりと添加し、次いで、30分間、攪拌しながら混合した。最後に、3分間攪拌しながら、ラウリルサルフェートを添加した。
【0047】
第2のステップにおいて、このようにして得たシミコキシブの懸濁液を、300gのバッチに対して確立された以下の条件下、空気流動層造粒機中で、(ラクトースから構成される)基剤の加熱された不活性粒子上に噴霧した。
相対噴霧圧力 1バール
熱風入口温度 60℃
排気口温度 33℃
粒子温度 34℃
噴霧時間 36分
次に、このようにして得た顆粒または粒子凝集物を、前述の外層でそれを被覆することによって錠剤に加工するか、またはカプセルの内側に入れた。いずれの場合も、適切な投薬量を得るために、当業者に公知の技術を用いた。
【0048】
各顆粒を錠剤に加工するために、100gのバッチの場合、例えば、プラネタリーミキサータイプのミキサーまたはタンブルミキサーを用いて、得られた顆粒91.5gを上述の外層組成物8.5gと混合した。
【0049】
往復式または回転式の錠剤製造機を用いてこの錠剤を得ることができることに留意すべきである。
【0050】
本発明に従う実施例2
本発明による第2の薬剤は、本発明による別の懸濁液を噴霧した生成物によって凝集した固体粒子をベースとする基剤を含み、さらに、外層と共に提供される粒子凝集物をベースとして調製した。
【0051】
この凝集物は、以下の処方(重量比として。外層は除外した)の医薬組成物から構成された。
基剤:
ラクトース粒子 61.97%
懸濁液の形態の噴霧される液体:
シミコキシブの超微粉砕粒子 8.74%
ポリビニルピロリドンPVP「K25」 21.86%
ポリエチレングリコールPEG「400」 1.97%
ラウリル硫酸ナトリウム 5.46%
粒子凝集物を被覆する外層は、実施例1と同じ処方を有した。
【0052】
排気口熱風温度が33から38℃であり、粒子温度が45から50℃であること以外は、実施例1において説明した方法を用いて、噴霧可能な液体、それを含む粒子凝集物、およびこの凝集物から最終的に得られる錠剤を調製した。
【0053】
指標として、シミコキシブ粉末単独の溶解度S0および本発明のこの第2の実施例による粒子凝集物の溶解度S2を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)技術によって、約0.1NのHCl媒体中で測定して、以下の結果(溶解度(ミリグラム/リットル))を得た。
【0054】
S0=3.1mg/lおよびS2=26.8mg/l
この結果は、本発明のこの第2の実施例による粒子凝集物が、酸性媒体中で大きく改善された溶解度を有することを示す。
【0055】
本発明のこの第2の実施形態による錠剤は、シミコキシブ30mgを含んだ。
【0056】
本発明に従う実施例3
本発明による第3の薬剤は、本発明による別の懸濁液を噴霧した生成物によって凝集した固体粒子をベースとする基剤を含み、さらに、外層と共に提供される粒子凝集物をベースとして調製した。
【0057】
この凝集物は、以下の処方(重量比として、外層は除外した)の医薬組成物から構成された。
基剤:
ラクトース粒子 53.02%
クエン酸 16.39%
ラウリル硫酸ナトリウム 2.73%
懸濁液の形態の噴霧される液体:
シミコキシブの超微粉砕粒子 8.74%
ポリビニルピロリドンPVP「K25」 13.11%
ポリエチレングリコールPEG「400」 3.28%
ラウリル硫酸ナトリウム 2.73%
粒子凝集物を被覆する外層は、実施例1と同じ処方を有した。
【0058】
予熱しておいた基剤中に(噴霧可能な液体中の同量の)クエン酸およびラウリル硫酸ナトリウムを混和すること、ならびに排気口熱風温度が33から38℃であり、粒子温度が45から50℃であること以外は、実施例1において説明した方法を用いて、噴霧可能な液体、それを含む粒子凝集物、およびこの凝集物から最終的に得られる錠剤を調製した。
【0059】
本発明のこの第3の実施形態による錠剤は、シミコキシブ30mgを含んだ。
【0060】
本発明に従う実施例4
本発明による第4の薬剤は、本発明による別の懸濁液を噴霧した生成物によって凝集した固体粒子をベースとする基剤を含み、さらに、外層と共に提供される粒子凝集物をベースとして調製した。
【0061】
この凝集物は、以下の処方(重量比として。外層は除外した)の医薬組成物から構成された。
基剤:
ラクトース粒子 57.61%
クエン酸 16.39%
ラウリル硫酸ナトリウム 2.73%
懸濁液の形態の噴霧される液体:
シミコキシブの超微粉砕粒子 4.37%
ポリビニルピロリドンPVP「K25」 13.11%
ポリエチレングリコールPEG「400」 3.06%
ラウリル硫酸ナトリウム 2.73%
粒子凝集物を被覆する外層は、実施例1と同じ処方を有した。
【0062】
実施例3において説明したのと全く同じ方法を用いることによって、噴霧可能な液体、それを含む粒子凝集物、およびこの凝集物から最終的に得られる錠剤を調製した。
【0063】
本発明に従う実施例5
本発明による第5の薬剤は、本発明による溶液を噴霧した生成物によって凝集した固体粒子をベースとする基剤を含むが、実施例1から4とは異なって外層が無い粒子凝集物をベースとして調製した。
【0064】
この凝集物は、以下の処方(重量比)の医薬組成物から構成された。
基剤:
ラクトース粒子 59.80%
微結晶セルロース 6.65%
溶液の形態の噴霧される液体:
シミコキシブの超微粉砕粒子 3.30%
ポリエチレングリコールPEG「400」 30.25%
第1のステップとして、噴霧される液体を以下のようにして調製した。PEG「400」溶液に、有効成分(シミコキシブ)の超微粉砕粒子をゆっくりと添加し、次いで、20分間、攪拌しながら混合した。PEG中シミコキシブ溶液を得た。
【0065】
第2のステップとして、このようにして得た溶液を、200gのバッチに対して確立された以下の条件下、空気流動層造粒機中で、(微結晶セルロースを添加されたラクトースから構成される)加熱された不活性な基剤粒子上に噴霧した。
相対噴霧圧力 1.5バール
熱風入口温度 70℃
排気口温度 33℃
粒子温度 34から45℃
噴霧時間 17分
指標として、本発明のこの第5の実施例によるこの粒子凝集物の溶解度S5を、HPLC技術によって、約0.1NのHCl媒体中で、シミコキシブ粉末単独の溶解度S0と比較して、以下の結果(ミリグラム/リットル)を得た。
【0066】
S0=3.1mg/lおよびS5=23.9mg/l
この結果は、本発明のこの第5の実施例による顆粒または粒子凝集物が、酸性媒体中で大きく改善された溶解度を有することを示す。
【0067】
次いで、この顆粒をゼラチンカプセルの内部に直接入れた。
【0068】
本発明に従う実施例6
本発明による第6の薬剤は、本発明による溶液を噴霧した生成物によって凝集した固体粒子をベースとする基剤を含むが、実施例1から4とは異なって外層が無い粒子凝集物をベースとして調製した。
【0069】
この凝集物は、以下の処方(重量比)の医薬組成物から構成された。
基剤:
ラクトース粒子 62.55%
微結晶セルロース 6.95%
溶液の形態の噴霧される液体:
シミコキシブの超微粉砕粒子 3.00%
ポリエチレングリコールPEG「400」 27.50%
この粒子凝集物は、実施例5において前述したのと全く同じ方法を実施することによって得た。
【0070】
次いで、この顆粒をゼラチンカプセルの内部に直接入れた。
【0071】
「対照」薬剤および本発明によるいくつかの薬剤のバイオアベイラビリティーの測定
すべて「ビーグル」種の4匹のイヌ(オス2匹およびメス2匹)に、上記の「対照」例、実施例2、実施例3、および実施例5においてそれぞれ得られた、「対照」錠剤、本発明による第2の錠剤および第3の錠剤、ならびに本発明の第5の実施例によるゼラチンカプセル剤を経口投与した。各イヌに、このようにして、これらの4つのタイプの製剤を摂取する間に同用量のシミコキシブ30mgを与え、各投与は最低限6日の時間間隔を空けて実施した。
【0072】
濃度Cmax(シミコキシブの血漿中レベル、単位μg/ml)および曲線下面積(AUC、単位μg・h/ml、10時間にわたって算出)の点からこれらの生成物のバイオアベイラビリティーの解析を実施するために、これらの薬剤形態の各投与後の様々な時点に、4匹の各イヌに投与された各錠剤またはゼラチンカプセル剤に対応する血液試料を採取した。これらの採取時間(時間で表示)は以下のとおりであった:0、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、24時間、32時間、48時間。
【0073】
以下の表1は、4匹すべてのイヌに投与された、「対照」錠剤、本発明による第2の錠剤および第3の錠剤、ならびに本発明の第5の実施例によるゼラチンカプセル剤に対して得られた結果の平均を示す。
【0074】
【表1】

【0075】
この表は、Cmax濃度および「AUC」面積のより大きな値によって示されるように、本発明による薬剤が、「対照」錠剤の場合に比べて大いに改善された、体内における同化作用(すなわち、バイオアベイラビリティー)を有することを示す。
【0076】
この表は、不活性な基剤の固体粒子上に、特に溶液の形態の(すなわち、親水性ポリマー中に溶解された)シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を噴霧することにより、経口手段による本発明による薬剤のバイオアベイラビリティーがさらに改善されることも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与用であり、改善されたバイオアベイラビリティーを有する薬剤であって、少なくとも1種の賦形剤をベースとする不活性な固体粒子をベースとする凝集物を含み、前記凝集物がシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤および少なくとも1種の親水性ポリマーを含む薬剤において、前記凝集物が、前記粒子を凝集させるために前記粒子を前記ポリマー中の前記阻害剤の超微粉砕粒子の溶液または懸濁液と共に噴霧した生成物を含み、前記阻害剤が、下記の式(I)で表される少なくとも1種の化合物、またはこの化合物の塩もしくは溶媒和物から構成されていることを特徴とする薬剤
【化1】

[式中、
構成要素XおよびYのうち一方はNを表し、他方はCを表し;
は、水素、メチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CHO、−COCH、または−COOR基を表し;
は、ハロゲン、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、ROC0−8アルキル、RSC0−8アルキル、シアノ、ニトロ、−NR、−NRSO、−SOR、−SO、−SONR、または−CONR基から独立に選択される1つまたは複数の基によって必要に応じて置換されている、アリールまたはヘテロアリール基を表し;
は、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、または−NR基を表し;
は、水素、C1−8アルキル、またはC0−8アルキルアリール基(アリール基は、C1−8アルキル、ハロゲン、C1−8ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ROC0−8アルキル、RSC0−8アルキル、−NR、−NRCOR、−COR、もしくは−COOR基から選択される1つもしくは複数の基によって必要に応じて置換されていてもよい)を表し;
は、C1−8アルキルまたはC1−8ハロアルキル基を表し;
は、水素、C1−8アルキル、アリールC1−8アルキル(アリール基は、C1−8アルキル、ハロゲン、C1−8ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ROC0−8アルキル、RSC0−8アルキル、−NR、−NRCOR、−COR、もしくは−COOR基から選択される1つもしくは複数の基によって必要に応じて置換されていてもよい)、−COR、または−COOR基を表し;
は、水素、C1−8アルキル、またはベンジル基を表し;
は、C1−8アルキルまたはC1−8ハロアルキル基を表し;
上記の定義中のアリール基は、フェニルまたはナフチル基を表し;
上記の定義中のヘテロアリール基は、ベンゼン環に必要に応じて縮合されていてもよい、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、またはピリダジン基を表す]。
【請求項2】
前記阻害剤が、シミコキシブなどの少なくとも1種のイミダゾールから構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
空気流動層などの装置における湿式造粒法によって前記凝集物を得ることができることを特徴とする、請求項1または2に記載の薬剤。
【請求項4】
前記凝集物が、前記ポリマー中の前記阻害剤の溶液を噴霧した生成物を含むことを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項5】
前記賦形剤の粒子が、水性媒体中に可溶性または分散性であることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項6】
前記凝集物が、重量比で、1%から20%の範囲の前記阻害剤を含むことを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項7】
前記凝集物が、重量比で、3%から10%の範囲の前記阻害剤を含むことを特徴とする、請求項6に記載の薬剤。
【請求項8】
前記凝集物が、重量比で、10%から80%の範囲の前記賦形剤を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の薬剤。
【請求項9】
前記凝集物が、重量比で、30%から75%の範囲の前記賦形剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載の薬剤。
【請求項10】
前記凝集物が、重量比で、3%から30%の範囲の前記親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項6から9の一項に記載の薬剤。
【請求項11】
前記凝集物が、重量比で、12%から25%の範囲の前記親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項10に記載の薬剤。
【請求項12】
前記親水性ポリマーまたは前記親水性ポリマーのうち少なくとも1種が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはマクロゴール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマー、メタクリリックコポリマー、デンプン、デキストリン、ゼラチン、ならびにこれらのポリマーのうちのいくつかのブレンドからなる群から選択されることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項13】
前記親水性ポリマーまたは前記親水性ポリマーのうち少なくとも1種が、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールまたはマクロゴールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の薬剤。
【請求項14】
前記ポリエチレングリコールもしくはマクロゴールまたは前記ポリエチレングリコールもしくはマクロゴールのうち少なくとも1種が、190から9000g/molの範囲の重量平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項13に記載の薬剤。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコールもしくはマクロゴールまたは前記ポリエチレングリコールもしくはマクロゴールのうち少なくとも1種が、250から600g/molの範囲の重量平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項14に記載の薬剤。
【請求項16】
前記親水性ポリマーが、2000から1000000g/molの範囲の重量平均分子量Mを有するポリビニルピロリドンと前記ポリエチレングリコールまたはマクロゴールのブレンドを含むことを特徴とする、請求項13から15の一項に記載の薬剤。
【請求項17】
前記ポリビニルピロリドンが、20000から55000g/molの範囲の重量平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項16に記載の薬剤。
【請求項18】
前記ポリマー中の前記阻害剤の溶液または懸濁液の前記噴霧生成物が、少なくとも1種の両性、イオン性、または非イオン性の界面活性剤をさらに含み、前記凝集物中の前記界面活性剤の重量比が0.1%から6%の範囲であることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項19】
前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項18に記載の薬剤。
【請求項20】
前記賦形剤が、糖、好ましくはラクトースまたはショ糖、マルトデキストリンなどのデンプン加水分解物、微結晶セルロース、ソルビトール、およびこれらの化合物のうちのいくつかの混合物からなる群から選択される水溶性または水分散性の不活性粒子を含むことを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項21】
前記凝集物が、クエン酸、酒石酸、またはフマル酸など、賦形剤の前記粒子と混合される少なくとも1種の酸をさらに含むことを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項22】
前記凝集物を被覆し、崩壊剤、増量剤、顔料、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、およびこれらの添加剤のうちのいくつかの混合物からなる群から選択される適合性のある添加剤を含む、少なくとも1種の外層を含むことを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項23】
直接容器中に包装されている粉末の形態であるか、または錠剤の形態である、前記固体粒子の凝集物から構成されていることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤。
【請求項24】
以下の連続的なステップ:
(i)少なくとも1種の親水性ポリマーの溶液または懸濁液中の前記シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、特にシミコキシブなどのイミダゾールの超微粉砕粒子をベースとする噴霧可能な液体を調製するステップ、
(ii)造粒機中で、前記阻害剤に適合するように設計された少なくとも1種の賦形剤をベースとする不活性な固体粒子上に前記液体を噴霧して、湿式造粒法によって、前記粒子の溶液または懸濁液を噴霧した生成物を含む粒子凝集物を得るステップ、
(iii)(ii)において得られた粒子凝集物を必要に応じて圧縮するステップ、および
(iv)(ii)または(iii)において得られた凝集物を、崩壊剤、増量剤、顔料、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、およびこれらの添加剤のうちのいくつかの混合物からなる群から選択される適合性のある添加剤を含む、少なくとも1種の外層で必要に応じて被覆するステップ
を含むことを特徴とする、前記請求項の一項に記載の薬剤を調製するための方法。
【請求項25】
前記造粒機が、空気流動層タイプのものであることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記造粒機中の熱風入口温度が40℃から75℃であることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記造粒機中の前記固体粒子の温度が30℃から50℃であることを特徴とする、請求項24から26の一項に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(i)が、前記ポリマー中に前記阻害剤を完全に溶解させることによって実施されることを特徴とする、請求項24から27の一項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−528462(P2008−528462A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551709(P2007−551709)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000144
【国際公開番号】WO2006/077334
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507248446)
【Fターム(参考)】