説明

シグマ受容体阻害剤として有用な5−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール

本発明は、式(I)を有する化合物(式中、点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、Rは水素であり、Rはヒドロキシエチルであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒に、1個または2個のヒドロキシ基で任意に置換されたモルホリニル環を形成し、各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、nは0、1、および2から選択される)、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体に関する(ただし、点線が二重結合を表し、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒に、モルホリニル環を形成し、かつnが0である化合物は除外される)。式(I)の化合物の調製のための方法、特にシグマ受容体に媒介される疾患または状態の治療または予防のための医薬としての式(I)の化合物の使用も提供される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シグマ受容体に対する阻害活性を有する化合物に関する。本発明はさらに、活性成分としてこれらの化合物を含む組成物、ならびにこれらの化合物および組成物を調製するためのプロセスに関する。
【0002】
精神障害および神経障害は最も重篤かつ慢性的な疾患および状態に含まれる。これらの障害は、症状および病因の多重性のため、効果的に治療することが極めて困難でもある。
【0003】
これらの精神障害および神経障害と格闘するための治療上の集積の中でも、シグマ受容体阻害剤は、精神障害ならびに運動障害(ジストニーおよび遅発性ジスキネジア、ならびにハンチントン舞踏病またはトゥレット症候群に関連する運動障害およびパーキンソン病における運動障害など)の治療に有用であることが見出された(非特許文献1)。
【0004】
特許文献1および特許文献2は、シグマ受容体に対して薬理活性を有し、疼痛一般、特に神経因性疼痛またはアロディニアの治療に有用であるピラゾール含有化合物を記載する。これらの化合物は以下の化学構造:
【化1】

を有する。特許文献3は、ピラゾール環を有する可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の活性化剤を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006021462号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007098953号パンフレット
【特許文献3】国際公開第200027394号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Walker,J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990年、第42巻、355頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この背景にもかかわらず、依然として当該技術分野で、疼痛一般の治療において、より具体的には神経因性疼痛またはアロディニアの処置において有用な、シグマ受容体に対する薬理活性を有する代替のピラゾール含有化合物を提供する必要性が存在する。
【0008】
また、以下の薬理学的に関連する特性、例えば効力、シグマ受容体に対する親和性の増大、高められた鎮痛効果、減少した細胞毒性、改善された薬物動態、許容できる投薬量、および投薬負荷のうちの1以上において、当該技術分野で公知の他のものよりも優れる新しいシグマ受容体阻害剤を提供することは非常に望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(I)を有する化合物:
【化2】

(式中、
点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
は水素であり、Rはヒドロキシエチルであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒に、1個または2個のヒドロキシ基で任意に置換されたモルホリニル環を形成し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体に関するが、
ただし、点線が二重結合を表し、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒に、モルホリニル環を形成し、かつnが0である化合物は除外される。
【0010】
本発明はさらに、式(I)の化合物、そのN−オキシド、その塩、それらのプロドラッグ、第四級アミン、金属錯体、溶媒和物および立体化学的な異性体、それらの中間体の調製のための方法、および式(I)の化合物の調製における当該中間体の使用に関する。
【0011】
本発明の1つの目的は、医薬としての使用のための式(I)の化合物それ自体、そのN−オキシド、その塩、それらのプロドラッグ、第四級アミン、金属錯体、溶媒和物および立体化学的な異性体に関する。
【0012】
本発明の別のさらなる目的は、薬学的に許容できる担体と本願明細書中で特定される式(I)の化合物の薬学的有効量とを含む医薬組成物に関する。
【0013】
本発明はさらに、シグマ受容体に媒介される疾患または状態に罹患している被験者に投与するための上述の医薬組成物に関する。
【0014】
本発明のさらなる目的は、シグマ受容体に媒介される疾患または状態の治療または予防のための医薬の製造のための、式(I)の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、第四級アミン、金属錯体、溶媒和物もしくは立体化学的な異性体の使用に関する。
【0015】
本発明の別のさらなる目的は、温血動物におけるシグマ受容体に媒介される疾患または状態の治療または予防のための方法であって、式(I)の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、第四級アミン、金属錯体、溶媒和物もしくは立体化学的な異性体の有効量の投与を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の1つの実施形態は、式(I)を有する化合物:
【化3】

(式中、
点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
は水素であり、Rはヒドロキシエチルであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒に、1個または2個のヒドロキシ基で任意に置換されたモルホリニル環を形成し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体に関するが、
ただし、点線が二重結合を表し、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒に、モルホリニル環を形成し、かつnが0である化合物は除外される。
【0017】
以下の定義は、特に注記しない限り、本願明細書で使用される用語に当てはまる。
【0018】
本願明細書で使用する場合、基または基の部分としてのC1〜4アルキルは、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチルなどの1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の飽和炭化水素ラジカルを画定し、基または基の部分としてのC1〜6アルキルは、C1〜4アルキルについて画定された基およびペンチル、ヘキシル、2−メチルブチルなどの1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の飽和炭化水素ラジカルを画定する。
【0019】
用語C1〜6アルコキシは、C1〜6アルキルオキシまたはC1〜6アルキルエーテルラジカルを意味し、ここで用語C1〜6アルキルは上で画定されたとおりである。適切なアルキルエーテルラジカルの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘキサノキシなどが挙げられる。
【0020】
式(I)の化合物またはその亜群において、置換基−Rは当該ナフチルまたは当該5,6−ジヒドロナフタレニル環のいずれかの炭素原子に結合されていてもよく、例えば、置換基−Rは、下記のように、炭素原子1、3、4、5、6、7、または8のいずれか1つに結合されていてもよい。
【化4】

【0021】
上記画定において使用されるいずれの分子部分上のラジカル位置も、それが化学的に安定である限り、そのような部分の上のどこであってもよいことに留意されたい。
【0022】
本願明細書におけるいずれの可変要素の画定において使用されるラジカルも、特に示さない限り、すべての可能な異性体を含む。例えばペンチルは1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルを含む。
【0023】
いずれの構成要素においても、いずれの可変要素が複数回現れる場合でも、各画定は独立である。
【0024】
本願明細書中で使用される場合はいつでも、用語「式(I)の化合物」、もしくは「本発明の化合物」または類似の用語は、式(I)の化合物、そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、第四級アミン、金属錯体、溶媒和物および立体化学的な異性体を包含することが意図されている。本発明の1つの実施形態は、本願明細書中で特定される式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかの亜族、ならびにそれらの可能な立体異性体にあるそれらのN−オキシドおよび塩を含む。本発明の別の実施形態は、本願明細書中で特定される式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかの亜族、およびそれらの可能な立体異性体にあるそれらの塩を含む。
【0025】
式(I)の化合物はいくつかのキラル中心(center of chirality)を有してもよく、かつ立体化学的な異性体として存在してもよい。用語「立体異性体」または「立体化学的な異性体」は、本願明細書で使用する場合、同じ結合順序によって結合された同じ原子から構成されているが交換可能ではない異なる三次元構造を有する、式(I)の化合物のすべての可能な化合物を画定する。
【0026】
特に、
・ 当該点線(−−−−−によって表される)は存在しない、すなわち5,6−ジヒドロナフタレニル環を生じさせる二重結合は式(I)の化合物には存在せず、かつRは炭素原子5、6、または5および6に結合されるか、または
・ RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒に、1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換されたモルホリニル環を形成する
式(I)の化合物は確実に少なくとも1つのキラル中心を有する。
【0027】
(R)または(S)が置換基内のキラル原子の絶対配置を表示するために使用される場合に関して、この表示は、当該置換基を分離して考慮するのではなく化合物全体を考慮に入れて行われる。
【0028】
特に言及も示しもしない場合、ある化合物の化学表示は、その化合物が有する可能性があるすべての可能な立体化学的な異性体の混合物を包含する。当該混合物は、当該化合物の基本分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/または鏡像異性体を含有してもよい。純粋な形態にある場合または混合された形態の両方の本発明の化合物のすべての立体化学的な異性体は、本発明の範囲の内に包含されることが意図されている。
【0029】
本願明細書中で言及する場合の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当該化合物または中間体の同じ基本分子構造の他の鏡像異性体またはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体と定義される。特に、用語「立体異性体として純粋な」は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち最低90%の1つの異性体および最大10%の他の可能な異性体)から100%の立体異性体過剰率(すなわち100%の1つの異性体で、他のものを含まない)を有する化合物または中間体、より特には90%〜100%の立体異性体過剰率を有する、なおより特には94%〜100%の立体異性体過剰率を有する、最も特には97%〜100%の立体異性体過剰率を有する化合物または中間体に関する。用語「鏡像異性体として純粋な」および「ジアステレオマーとして純粋な」は、その場合は、それぞれ当該混合物の鏡像体過剰率、およびジアステレオマー過剰率が考慮されることを除いて、同様に理解されたい。
【0030】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野で公知の手順の適用により得てよい。例えば、鏡像異性体は、それらのジアステレオマー塩の、光学活性な酸または塩基を用いた選択的な結晶化によって互いから分離されてもよい。光学活性な酸または塩基の例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸である。あるいは、鏡像異性体は、キラル固定相を使用するクロマトグラフィ手法によって分離されてもよい。当該純粋な立体化学的な異性体はまた、反応が立体特異的に起こるのであれば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的な異性体から誘導されてもよい。特定の立体異性体が所望される場合、好ましくは、当該化合物は立体特異的な調製方法によって合成されることになる。これらの方法では、鏡像異性体として純粋な出発物質を用いることが有利であろう。
【0031】
式(I)の化合物は鏡像異性体のラセミ混合物として得てもよく、それらの鏡像異性体は、当該技術分野で公知の分割手順に従って、互いから分離することができる。ラセミの式(I)の化合物は、適切なキラル酸との反応によって、それらの対応するジアステレオマー塩形態へと変換されてもよい。当該ジアステレオマー塩形態は、その後、例えば選択的な結晶化または分別晶出によって分離することができ、生成物の鏡像異性体は、アルカリまたは酸によって遊離させることができる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代替の方法は、液体クロマトグラフィ、特にキラル固定相を使用する液体クロマトグラフィを伴う。当該純粋な立体化学的な異性体はまた、反応が立体特異的に起こるのであれば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的な異性体から誘導されてもよい。特定の立体異性体が所望される場合、好ましくは、当該化合物は立体特異的な調製方法によって合成されてもよい。これらの方法では、鏡像異性体として純粋な出発物質を用いることが有利であろう。
【0032】
式(I)の化合物のジアステレオマーのラセミ化合物は、従来の方法により別々に得ることができる。用いられることが有利である可能性がある適切な物理的分離方法は、例えば、選択的な結晶化およびクロマトグラフィ、例えばカラムクロマトグラフィである。
【0033】
式(I)の化合物、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、プロドラッグ、第四級アミン、または金属錯体、およびそれらの調製に使用される中間体のいくつかについては、絶対的な立体化学配置は実験的に決定されなかった。当業者は、例えば、X線回折などの公知の方法を使用してこのような化合物の絶対配置を決定することができる。
【0034】
式(I)の化合物およびその中間体のいくつかは、その互変異性体としても存在する可能性がある。そのような形態は、上記の式では明示的に示されてはいないが、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0035】
本発明はまた、本発明の化合物上に現れる原子のすべての同位体を包含することが意図されている。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を包含する。一般的な例として(しかしこれらに限定されない)、水素の同位体としてはトリチウムおよびジュウテリウムが挙げられる。炭素の同位体としてはC−13およびC−14が挙げられる。
【0036】
語句「薬学的に許容できる」は、動物またはヒトへ投与されたときに有害な反応、アレルギー反応、または他の副作用をもたらさない分子実体および組成物を指す。
【0037】
本願明細書全体で使用される場合の用語「プロドラッグ」は、エステル、アミドおよびホスフェートなどの、ある化合物の薬理学的に許容できる誘導体を意味し、そのため、この誘導体の生じるインビボ生体内変換生成物は、式(I)の化合物で画定される活性薬物である。プロドラッグを全般的に記載するGoodmanおよびGilmanによる参考文献(The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th ed,McGraw−Hill,Int.Ed. 1992,「Biotransformation of Drugs」、13−15頁)は、本願明細書に援用したものとする。プロドラッグは、好ましくは優れた水溶性、高められたバイオアベイラビリティーを有し、インビボで活性な阻害剤へと容易に代謝される。本発明の化合物のプロドラッグは、当該化合物に存在する官能基を、修飾された化合物が慣用的な操作によるかまたはインビボのいずれかで当該親化合物へと切断されるように、修飾することによって調製されてもよい。
【0038】
インビボで加水分解性でありヒドロキシまたはカルボキシル基を有する式(I)の化合物から誘導される薬学的に許容できるエステルプロドラッグは、本発明によれば好ましい。インビボ加水分解性エステルは、ヒトまたは動物の体内で加水分解されて親の酸またはアルコールを生成するエステルである。カルボキシについての適切な薬学的に許容できるエステルとしては、C1〜6アルコキシメチルエステル(例えばメトキシメチル)、C1〜6アルカノイルオキシメチルエステル(例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル)、C3〜8シクロアルコキシカルボニルオキシC1〜6アルキルエステル(例えば1−シクロヘキシルカルボニル−オキシエチル)、1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル(例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル)、およびC1〜6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル(例えば1−メトキシカルボニル−オキシエチル)が挙げられ、これらは本発明の化合物中のいずれのカルボキシ基で形成されてもよい。
【0039】
ヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルは、そのエステルのインビボ加水分解の結果として分解して親ヒドロキシ基を与えるリン酸エステルなどの無機のエステルおよびα−アシルオキシアルキルエーテルおよび関連化合物を包含する。α−アシルオキシアルキルエーテルの例としては、アセトキシ−メトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシ−メトキシが挙げられる。ヒドロキシについてのインビボ加水分解性エステル形成基の選択肢としては、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチルおよび置換ベンゾイルおよびフェニルアセチル、アルコキシルカルボニル(アルキル炭酸エステルを与える)、ジアルキルカルバモイルおよびN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを与える)、ジアルキルアミノアセチルおよびカルボキシアセチルが挙げられる。ベンゾイル上の置換基の例としては、環窒素原子からメチレン基を介して当該ベンゾイル環の3位または4位へと連結されるモルホリノおよびピペラジノが挙げられる。
【0040】
本願明細書中で言及する場合の用語「塩」は、式(I)が形成することができるいずれの安定な塩、好ましくは無毒な薬学的に許容できる塩、をも含むことが意図されている。薬学的に許容できない塩もまた本発明の範囲に包含される。なぜなら、それらは薬理活性を有する化合物の調製において有用である中間体に関するからである。この塩は、当該塩基形態を、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば塩化水素酸、臭化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパン−トリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などの適切な酸で処理することにより、簡便に得ることができる。逆に、この塩形態は、アルカリを用いた処理によって遊離塩基形態へと変換できる。
【0041】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物は、適切な有機および無機の塩基での処理によってその無毒な金属塩またはアミン付加塩の形態へと変換されてもよい。適切な塩基塩形態には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミンとの塩、およびアミノ酸、例えばアルギニン、およびリジンとの塩が含まれる。
【0042】
用語「塩」はまた、メタノール和物またはエタノール和物などの例えばアルコール和物を含めた、式(I)の化合物が形成することができる水和物または溶媒和物を含むことも意図されている。用語「溶媒和物」は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含有する式(I)の化合物の結晶形態を指す。水は溶媒であるため、溶媒和物は水和物をも包含する。用語「偽多形(pseudopolymorph)」は、溶媒和物の同義語である。なぜなら、それは、溶媒分子が格子構造の中に組み込まれた多形の結晶性形態に当てはまるからである。溶媒和物の例は、水和物、およびメタノール和物またはエタノール和物などのアルコール和物である。
【0043】
用語「第四級アミン」は、本願明細書で使用する場合、式(I)の化合物の塩基性窒素と適切な第四級化剤、例えば任意に置換されたハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アリールアルキル、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルなどとの間の反応によって式(I)の化合物が形成することができる第四級アンモニウム塩を画定する。トリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキル、およびp−トルエンスルホン酸アルキルなどの良好な脱離基を有する他の反応物質も使用してよい。第四級アミンは正に帯電した窒素を有する。
【0044】
薬学的に許容できる対イオンとしてはクロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロ酢酸アニオンおよび酢酸アニオンが挙げられる。選択された対イオンは、イオン交換樹脂を使用して導入することができる。
【0045】
式(I)の化合物は金属結合特性、キレート形成特性、錯体形成特性を有してもよく、それゆえ金属錯体または金属キレートとして存在してもよいということは分かるであろう。式(I)の化合物のこのような金属化誘導体は、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0046】
本発明の化合物のN−オキシド体は、1つ以上の窒素原子がいわゆるN−オキシドへと酸化されている式(I)の化合物を含むことが意図されている。従って、本発明の特定の実施形態は、式(Ib)を有する化合物:
【化5】

(式中、
点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
その塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0047】
本発明の別の実施形態は、式(Ic)を有する化合物:
【化6】

(式中、
点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0048】
本発明の別の実施形態は、式(Ic’)を有する化合物:
【化7】

(式中、
点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは1および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0049】
本発明の別の実施形態は、式(Id)を有する化合物:
【化8】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0050】
本発明の別の実施形態は、式(Id’)を有する化合物:
【化9】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは1および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0051】
本発明の別の実施形態は、式(Ie)を有する化合物:
【化10】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0052】
式(Ib)、(Ic)、(Ic’)、(Id)、(Id’)および(Ie)の化合物において、置換基−Rは、当該モルホリニル環のいずれの炭素原子に結合されていてもよく、すなわち置換基−Rは下記のように、炭素原子2、3、5、または6のいずれか1つに、好ましくは炭素原子2または6に結合されていてもよい。
【化11】

【0053】
がヒドロキシル基である式(I)の化合物は化学的に安定である。実際に、歪のない6員の環状ヘミアセタールおよびヘミアミナールの安定性はよく報告されており、構造中にこのような部分を保有する様々な天然物が存在する(例えば、グルコースおよび多くの他のアルドースは環状ヘミアセタールとして存在する)。
【0054】
本発明のさらなる実施形態は、式(If)を有する化合物:
【化12】

(式中、
点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0055】
本発明のさらなる実施形態は、式(Ig)を有する化合物:
【化13】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、式(Ih)を有する化合物:
【化14】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0057】
本発明のさらなる実施形態は、当該ナフチルまたは5,6−ジヒドロナフタレニル環が、1位、3位、4位、5位、6位、7位、または8位で、好ましくは5位、6位、7位、または8位で、より好ましくは5位、6位、または7位で、Rによって、ヒドロキシまたはC1〜6アルコキシ基によって置換されており、このC1〜6アルコキシ基は好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、およびイソプロポキシ、より好ましくはメトキシ基から選択される、式(I)の化合物またはその亜群のいずれかである。
【0058】
本発明の1つの実施形態は、式(I)の化合物を調製するためのプロセスであって、
a1)適切な溶媒中で、および任意に触媒およびアルカリの水溶液の存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて式(IV)の化合物を得て、さらにこの式(IV)の化合物は適切な溶媒の中で式(V)の化合物との反応に供される工程、
【化15】

または
a2)塩基および適切な溶媒の存在下で式(II)の化合物を式(VI)の化合物と反応さる工程を含み、
【化16】

これにより式(I)の化合物を得るプロセスであり、
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物の各々において、当てはまる場合、
、R、R、およびnは上で画定されたとおりであり、
LG1、LG2、およびLG3は各々脱離基を表す、
プロセスを提供する。
【0059】
脱離基LG1、LG2、およびLG3は、当業者に公知の様々な性質のものであってよい。好ましくは、それらはハロゲン化物、例えば臭化物または塩化物、またはアリールスルホニル基、例えばメシレート、トリフレート、またはトシレートから選択されてもよい。
【0060】
本発明の1つの実施形態では、(II)と(III)とのの反応は求核置換であり、この求核置換では、酸素原子によって攻撃されたとき、LG1はLG2と比べて最初に脱離することになるという意味で、LG1はLG2よりも良好な脱離基である。脱離基の、特定の分子を離れる能力は当業者に公知であり、例えば臭化物は塩化物よりも良好な脱離基である。この反応は、トルエンのような炭化水素、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロホルム)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)などの双極性非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル、およびこれらと水との混合物などの反応不活性な適切な溶媒の中で行われる。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、式(II)の化合物と式(III)の化合物との間の反応は、触媒、好ましくは塩化テトラブチルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリ−n−オクチルメチルアンモニウム、塩化トリメチルデシルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、および臭化テトラエチルアンモニウムのような第四級アンモニウム塩、またはホスホニウム塩などの相間移動触媒の存在下で、炭酸水素ナトリウムの水溶液、または水酸化ナトリウムの水溶液などのアルカリの水溶液を使用して、実施される。
【0062】
得られる式(IV)の化合物は、上で示したような反応に不活性な適切な溶媒の中でさらに式(V)の化合物との反応に供される。この求核攻撃は式(I)の化合物を生じる。
【0063】
1−ブロモ−2−クロロエタンなどの式(III)の化合物は、Sigma−Aldrichのような供給業者から容易に入手できる。
【0064】
以下の一覧には、市販の製品または参考文献のいずれかを用いて容易に調製される様々な式(V)の化合物が提供されている:
・ モルホリン、Sigma−Aldrichから。
・ 2−アミノエタノール、Sigma−Aldrichから。
・ 2−ヒドロキシモルホリン、Journal of Heterocyclic Chemistry、1981、18(4)、825−8から。
・ 3−ヒドロキシモルホリン、Kim,H.J.,Fishbein,J.C. Chem.Res.Toxicol. 2003、16(6)、715−720から。
【0065】
本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物は、双極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMA、DMSOまたはN−メチルピロリドンなどの反応不活性な適切な溶媒の存在下で、例えば、水素化リチウムもしくは水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、またはナトリウムもしくはカリウムのメトキシドもしくはエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、または炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ヨウ化ナトリウムまたは炭酸セシウムといったアルカリのような当該ピラゾリン環のヒドロキシ基から水素を引き抜くのに十分強い塩基の存在下で式(II)の化合物を(VI)と反応させることにより、調製されてもよい。得られるアルコラートは(VI)(式中、LG3は上述の適切な脱離基である)との反応に供される。
【0066】
式(II)の中間体は、アセトヒドラジド誘導体をアセト酢酸エチルと反応させることにより、ヒドラジン誘導体をブチン酸エチルと反応させることにより、またはエトキシ−アクリル酸ヒドラジドが濃鉱酸との反応に供されるF.EffenbergerおよびW.Hartmann、Chem.Ber.、102(10)、3260−3267、1969によって与えられる方法により、国際公開第2006021462号パンフレットおよび国際公開第2007098953号パンフレット(これらは、参照により本願明細書に援用したものとする)に記載されるようにして得てもよい。
【0067】
国際公開第2006021462号パンフレットおよび国際公開第2007098953号パンフレットに与えられる方法によれば、任意に置換されたナフタレン−2−イルヒドラジン、もしくは任意に置換された(5,6−ジヒドロナフタレン−2−イル)ヒドラジン(ともに下記のスキームでは式(IX)の化合物として描かれている)、またはそれらの塩は、トルエンなどの適切な溶媒の存在下で無水酢酸との反応に供される。その後、得られたアセトヒドラジド誘導体(X)は三塩化リンの存在下でアセト酢酸エチルとの反応に供され、環化して式(II)の化合物を与える。当該任意に置換されたナフタレン−2−イルヒドラジン、任意に置換された(5,6−ジヒドロナフタレン−2−イル)ヒドラジン、またはそれらの塩、すなわち式(IX)によって表される化合物は、当業者に一般に知られている方法によって対応するアミノ誘導体(VIII)へと還元される、ともに式(VII)によって表される任意に置換された2−ニトロナフタレンまたは任意に置換された7−ニトロ−1,2−ジヒドロナフタレンから得ることができる。式(VIII)の化合物の得られたアミノ部分は、塩化水素の存在下で例えば亜硝酸ナトリウムを用いてさらに酸化されて、ジアゾニウム塩を形成し、このジアゾニウム塩はその後、水酸化ナトリウムの存在下でSnCl、または亜硫酸ナトリウムなどの還元剤によって還元され、これにより式(IX)の任意に置換されたナフタレン−2−イルヒドラジン、または任意に置換された(5,6−ジヒドロナフタレン−2−イル)ヒドラジンが得られる。
【化17】

【0068】
式(II)の化合物は、互変異性体、すなわち下記のような式(IIa)の化合物を提示することができるということに留意されたい。式(II)および(IIa)の化合物はともに、特に式(I)の化合物の中間体として、および式(I)の化合物の調製のために本発明において提供される方法において本発明の範囲の内に含まれる。
【化18】

【0069】
上記のそれぞれの反応において、得られた化合物の各々は、必要な場合は、反応混合物から当該技術分野で公知の方法に従って回収することができる。例えば、不溶性の物質が存在するとき、所望の化合物は、 −濾過によりその不溶性の物質を除去した後− 例えば減圧下で溶媒を除去することにより溶媒を除去することにより、および/または水をその残渣に加えてその混合物を水非混和性の有機溶媒(酢酸エチルなど)を用いて抽出することにより、得ることができる。任意に、所望の化合物は、例えば無水硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィ、または他の手法などのいずれかの従来の方法を用いて精製した後に、得ることができる。
【0070】
前出の反応において、および例示された反応において、反応生成物はその反応媒質から単離され、必要に応じて、抽出、結晶化およびクロマトグラフィなどの当該技術分野で一般に公知の方法によって、さらに精製されてもよいことは明らかである。
【0071】
式(I)によって包含される様々な化合物は、当該技術分野で周知の官能基変換反応に従って互いに変換されてもよい。例えばすでに所望の置換基Rを含む式(II)の化合物、またはすでに所望の置換基RおよびRを含む式(V)または(VI)の化合物のような適切な出発物質を利用することによって得られることが好ましい。
【0072】
特に、Rとしてヒドロキシ置換基を有する化合物では、そのようなヒドロキシ部分は、水素化リチウムまたは水素化ナトリウムのようなアルカリ金属水素化物、またはナトリウムもしくはカリウムのメトキシドもしくはエトキシド、カリウム tert−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、または炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ヨウ化ナトリウム、炭酸セシウムといったアルカリのような塩基の存在下で、当該化合物をハロゲン化C1〜6アルキルと反応させることにより、対応するC1〜6アルコキシへと変換されてもよい。このハロゲン化C1〜6アルキルは、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化エチルから選択されてもよい。
【0073】
加えて、RとしてC1〜6アルコキシ置換基を有する化合物では、そのようなC1〜6アルコキシ部分は、その関連する化合物を、塩化水素酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素酸を用いるなどによって酸性条件に供するによって、対応するヒドロキシへと変換されてもよい。
【0074】
本発明の式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシド体へと変換するための当該技術分野で公知の手順に従って、対応するN−オキシド体へと変換されてもよい。本発明の化合物のN−オキシド体は、1以上の窒素原子がいわゆるN−オキシドへと酸化されている式(I)の化合物を包含することが意図されている。このN−酸化反応は、一般に式(I)の化合物を適切な有機または無機の過酸化物と反応させることにより実施されてもよい。適切な無機の過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み、適切な有機過酸化物は、例えば、過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸、過アルカン酸、例えば過酢酸などの過酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを含んでよい。適切な溶媒は、例えば、水、低級アルコール(例えばエタノールなど)、炭化水素(例えばトルエン)、ケトン(例えば2−ブタノン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、およびこのような溶媒の混合物である。
【0075】
別の実施形態では、本発明は式(IIb)の化合物それ自体
【化19】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは2である)
そのN−オキシド、塩、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は式(IIb’)の化合物それ自体
【化20】

(式中、
はヒドロキシであり、
nは1および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0077】
さらなる実施形態では、本発明は式(IIc)の化合物それ自体
【化21】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
そのN−オキシド、塩、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0078】
さらに別の実施形態では、本発明は式(IV)の化合物それ自体
【化22】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択され、
LG2は脱離基を表す)
そのN−オキシド、塩、溶媒和物または立体異性体に関する。
【0079】
さらなる実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、その薬学的に許容できる塩、異性体、プロドラッグ、および溶媒和物の調製における中間体としての、各々独立に式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIb’)、(IIc)、および(IV)の化合物の使用に関する。
【0080】
さらなる態様では、本発明は、治療上有効量の式(I)の化合物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。これに関して治療上有効量は、シグマ受容体によって媒介される疾患または状態を患う被験者においてこのような疾患または状態に対して予防的に作用するか、このような疾患または状態を安定化するかまたは治療するのに十分な量である。なおさらなる態様では、本発明は、本願明細書中で特定される医薬組成物を調製するためのプロセスであって、薬学的に許容できる担体を式(I)の化合物の治療上有効量と完全に混合する工程を含むプロセスに関する。
【0081】
それゆえ、本発明の化合物は、投与目的のための種々の薬学形態へと処方されてもよい。適切な組成物として、薬物を全身投与するために通常用いられるすべての組成物を挙げることができる。本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分としての任意にその薬学的に許容できる塩または溶媒和物にある本発明の化合物の有効量が、完全混合物の中で薬学的に許容できる担体と合わされる。この担体は、投与のために所望される調剤の形態に応じて、実に様々な形態を採ってもよい。これらの医薬組成物は、経口的な、直腸への、経皮的な、または非経口注射による投与のために特に適した単位剤形にあることが望ましい。例えば当該組成物を経口剤形で調製する際には、例えば、水、グリコール類、油、アルコール、懸濁液、シロップ、エリキシル、エマルションおよび溶液、または固体担体(デンプン、糖類、カオリンなど)、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、散剤、丸剤、カプセル、および錠剤などの通常の薬学的媒質のいずれも、用いてよい。
【0082】
投与の容易さのため、錠剤およびカプセルは、最も有利な経口投薬量単位形態を代表する。その場合、固体医薬担体が用いられることは明らかである。非経口組成物について、この担体は、通常少なくとも多くの部分で滅菌水を含むことになるが、例えば溶解性を支援するための他の成分が含まれてもよい。担体が生理食塩水溶液、グルコース溶液または生理食塩水およびグルコース溶液の混合物を含む注射可能溶液が、例えば調製されてもよい。注射可能な懸濁液も調製されてもよく、この場合は、適切な液体担体、懸濁剤などが用いられてもよい。使用の直前に液体形態の調剤へと変換されることが意図されている固体形態の調剤も含まれる。経皮投与に適した組成物では、担体は、任意に少量の割合でいずれかの性質の適切な添加剤(この添加剤は皮膚に対して顕著な有害効果を導入しないものである)と合わされた浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を任意に含む。
【0083】
本発明の化合物はまた、経口吸入またはガス注入の方法を介する投与のために当該技術分野で用いられる方法および処方物によって経口吸入またはガス注入を介して投与されてもよい。従って、一般に本発明の化合物は溶液、懸濁液または乾燥粉末の形態で肺へと投与されてもよく、溶液が好ましい。経口吸入またはガス注入を介した溶液、懸濁液または乾燥粉末の送達のために開発されたいずれのシステムも、本発明の化合物の投与に適している。
【0084】
従って、本発明はまた、本発明の化合物と薬学的に許容できる担体とを含む、口を通した吸入またはガス注入による投与のために適合された医薬組成物を提供する。本発明の化合物は、噴霧された用量またはエアゾール化された用量での溶液の吸入を介して投与されてもよい。
【0085】
投与様式に応じて、当該医薬組成物は、好ましくは、0.05〜99重量%、より好ましくは、0.1〜70重量%、さらにより好ましくは、0.1〜50重量%の当該活性成分と、1〜99.95重量%、より好ましくは、30〜99.9重量%、さらにより好ましくは、50〜99.9重量%の薬学的に許容できる担体とを含むことになる(すべての百分率は、当該総組成物重量に基づく)。
【0086】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために上述の医薬組成物を単位剤形で処方することはとりわけ有利である。単位剤形は、本願明細書で使用する場合、単位投薬量として適切な物理的に別個の単位であって、各単位が、必要とされる医薬担体と連携して所望の治療効果をもたらすように算出された所定量の活性成分を含有する物理的に別個の単位を指す。このような単位剤形の例は、錠剤(刻み目が付けられた錠剤またはコーティングされた錠剤を含む)、カプセル、丸剤、座薬、粉末の小包、ウェーハ、注射可能な溶液または懸濁液、およびこれらの別々にされた複式物である。
【0087】
本発明に係る化合物の1日の投薬量は、当然、投与様式、所望の治療および当該摂食障害の重症度に応じて変わる。しかしながら、一般に、満足できる結果は、本発明に係る化合物が0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは1〜1000mg/kg、より好ましくは、10〜1000mg/kgの範囲の1日の投薬量で投与される場合に得られるであろう。
【0088】
本発明の化合物はシグマ受容体に媒介される疾患または状態の予防または治療に適している。それらは、疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、またはアロディニアおよび/もしくは痛覚過敏を伴う他の疼痛状態を予防または治療する上で特に適している。
【0089】
本発明の化合物、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物は、それゆえ医薬として使用されてもよい。医薬または治療方法としてのこの使用は、シグマ受容体に媒介される疾患または状態と格闘する、特に疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、またはアロディニアおよび/もしくは痛覚過敏を伴う他の疼痛状態を治療または予防するのに有効量を、それを必要とする被験者に全身投与することを含む。
【0090】
本発明はまた、シグマ受容体に媒介される疾患または状態、特に疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、またはアロディニアおよび/もしくは痛覚過敏を伴う他の疼痛状態の治療または予防のための医薬の製造のおける本発明の化合物の使用に関する。
【0091】
本発明は、さらには、温血動物におけるシグマ受容体に媒介される疾患または状態を予防または治療する方法であって、本発明の化合物、その薬学的に許容できる塩または溶媒和物の有効量の投与を含む方法に関する。
【0092】
以下の実施例は、本発明を例証することが意図されているが、本発明をそれら実施例に限定することは意図されていない。
【実施例】
【0093】
実施例1:4−{2−[1−(6−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩
1.− 2,5−ジメチル−2−(6−メトキシナフタレン−2−イルジアゼニル)フラン−3(2H)−オン
O(40ml)中の2−アミノ−6−メトキシナフタレン(2.6g、15mmol)の懸濁液に、濃HCl(8ml)を加え、これを氷浴中で冷却し、この混合物を0℃で30分間振盪しながらHO(18ml)中のNaNO溶液(1.19g、17.3mmol)を滴下した。
【0094】
上記の溶液をHO(80ml)中に希釈し、2,5−ジメチルフラン−2,3−ジヒドロフラン−3−オン(1.94g、17.3mmol)を加え、室温で2時間振盪したままにすると、黄色の沈殿物が生成した。これを濾過し、水で洗浄し、乾燥した。これにより2,5−ジメチル−2−(6−メトキシナフタレン−2−イルジアゼニル)フラン−3−オン(4.22g、95%)を、黄土色の固体の粗製形態で得た。この固体の粗製形態を以下の合成工程で直接使用した。
【0095】
H−NMR(300MHz,CDCl) δ ppm:8.35(s,1H),7.85(d,J=8.8Hz,1H),7.75−7.7(m,2H),7.2(m,2H),5.55(s,1H),3.95(s,3H),2.45(s,3H),1.75(s,3H)。
【0096】
2.− 3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール
酢酸(30ml)に溶解した2,5−ジメチル−2−(6−メトキシナフタレン−2−イルジアゼニル)フラン−3−オン(4.2g、14.19mmol)を、酢酸(20ml)および塩酸約6N(10ml)の混合物に滴下し、60℃の温度で加熱した。この混合物を、60℃で2時間振盪し続けた。この溶液を冷却し、水/氷(400ml)の混合物に加え、得られた固体を濾過し、水で洗浄した。これを乾燥すると、1.66gの粗製固体が残り、これをシリカゲルカラム中のクロマトグラフィ(AcOEt/石油エーテル 1/3から1/1を用いて溶出する)によって精製した。0.49gの褐色の固体を得た。
【0097】
上記の濾過水をさらなる水で希釈し、別の沈殿物を得た。これは一度乾燥すると0.43gあった。
【0098】
0.92gの3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾールを得て(収率:26%)、これを以下の合成工程で直接使用した。
【0099】
H−NMR(300MHz,CDCl) δ ppm:7.8(d,J=8.8Hz,1H),7.75(d,J=8.9Hz,1H),7.7(d,J=1.8Hz,1H),7.5(dd,J=2.2Hz,J’=8.65Hz,1H),7.2(dd,J=2.4Hz,J’=8.9Hz,1H),7.15(d,J=2.3Hz,1H),5.6(s,1H),3.95(s,3H),2.3(s,3H)。
【0100】
3.− 3−(2−クロロエトキシ)−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール
3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール(0.48g、1.9mmol)、1−ブロモ−2−クロロエタン(1.1g、7.6mmol)、NaOHの40%水溶液(10ml)、トルエン(10ml)、および臭化テトラエチルアンモニウム(触媒量)の混合物を、激しく振盪しながら、5時間還流状態に加熱した。これを冷却し、相を分離させ、この有機相を水で数回洗浄し、これをNaSOで乾燥し、濾過し、乾固するまでエバポレートし、これにより391mgの粗製油状物を得て、これをシリカゲルのカラム中のクロマトグラフィ(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 10/0から9/1)によって精製した。170mgの3−(2−クロロエトキシ)−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾールを橙色に着色した油状物として回収した(28%)。
【0101】
H−NMR(300MHz,CDCl) δ ppm:7.75−7.65(m,3H),7.45(dd,J=2.1Hz,J’=8.7Hz,1H),7.1(m,2H),5.65(s,1H),4.45(t,J=5.8Hz,2H),3.85(s,3H),3.8(t,J=5.8Hz,2H),2.25(s,3H)。
【0102】
4.− 4−{2−[1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン
ジメチルホルムアミド(10ml)中の3−(2−クロロエトキシ)−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール(0.63g、2mmol)およびモルホリン(0.96g、8mmol)の溶液を窒素雰囲気中で20時間、95℃に加熱した。次に、これを冷却し、DMFを回転式エバポレータ(rotavapor)の中でエバポレートし、水およびジクロロメタンをこの残渣に加えた。この有機相を水で洗浄し、その後、それを2N HClで数回抽出した。回収した酸性水をNaOH 20%を加えることによって塩基性にし、これをジクロロメタンを用いて抽出し、これをNaSOで乾燥し、濾過し、エバポレートし、これにより448mgの無色の油状物の形態の4−{2−[1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン(収率:61%)の残渣が残った。
【0103】
HPLCによって決定した純度:93.2%。
【0104】
H−NMR(300MHz,CDCl) δ ppm:7.8(m,3H),7.55(dd,J=1.9Hz,J’=8.8Hz,1H),7.15(m,2H),5.7(s,1H),4.35(m,2H),3.95(s,3H),3.75(m,4H),2.8(t,J=5.6Hz,2H),2.6(m,4H),2.3(s,3H)。
【0105】
5.− 4−{2−[1−(6−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩
濃HCl(5ml)中の4−{2−[1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン(448mg、1.22mmol)の溶液を7時間還流状態に加熱し、これを冷却しおよび回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートした。375mgの4−{2−[1−(6−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩を非晶性の固体の形態で得た。これは非常に吸湿性であった(収率:79%)。
【0106】
H−NMR(300MHz,CDOD) δ ppm:7.8(m,3H),7.45(dd,J=1.9Hz,J’=8.8Hz,1H),7.15(m,2H),5.85(s,1H),4.55(m,2H),4.0(m,2H),3.75(m,2H),3.6(m,4H),3.3(溶媒+m,2H),2.3(s,3H)。
【0107】
実施例2:4−{2−[1−(5−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン
2−アミノ−5−メトキシナフタレン
ジメチルホルムアミド(125ml)中の市販の2−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン(5.16g、31.48mmol)の溶液を、不活性窒素雰囲気中で氷を用いて冷却した。その後、NaH(1.39gの、鉱油中60%の分散物、34.6mmol)を、10℃よりも低い温度を保って加え、約5℃で15分間振盪した。その後、ジメチルホルムアミド(5ml)中に溶解したヨウ化メチル(4.47g、31.48mmol)を加え、室温で20時間撹拌したままにした。水を加え、これを回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートした。残留する残渣に、水およびエチルエーテルを加えた。この水相をエーテルで新しく抽出し、回収した有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、乾固するまでエバポレートした。得られた粗製スラリーに、イソプロピルアルコール/石油エーテル 1/1の混合物を加え、数分間撹拌し、不溶性の沈殿物を濾過した。HPLCによって決定した純度が99%である4.21g(77%)の2−アミノ−5−メトキシナフタレンを得た。
【0108】
H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ ppm:7.8(d,J=8.8Hz,1H),7.15(m,1H),7.05(m,1H),6.85(dd,J=2.2Hz,J’=8.9Hz,1H),6.75(d,J=2.2Hz,1H),6.55(d,J=7.5Hz,1H),5.35(bs,2H),3.85(s,3H)。
【0109】
(5−メトキシナフタレン−2−イル)ヒドラジン塩酸塩
−6℃に冷却した水(65ml)および濃HCl(25ml)中の2−アミノ−5−メトキシナフタレン(3.5g、20mmol)の懸濁液へ、水(15ml)中の亜硝酸ナトリウム(1.55g、22mmol)を滴下した。これをおよそ同じ温度で45分間撹拌し続け、その後濃HCl(10ml)中のSnCl(9.3g、40mmol)の溶液を加えた。この添加が実施されると、室温に到達するまで温度がゆっくりと上昇することを許容し、そしてこれを濾過した。濾過した固体を水およびエチルエーテルで洗浄し、その後、これを撹拌しながら、数分間、エチルエーテルの中に懸濁させた。これを濾過して乾燥し、3.5gの粗製の褐色固体を得て、この固体を以下の合成工程で直接使用した。
【0110】
H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ ppm:10.3(bs,2H),8.55(bs,1H),8.0(d,J=8.9Hz,1H),7.35(t,J=8.0Hz,1H),7.25(m,1H),7.2(d,J=2.2Hz,1H),7.1(dd,J=2.3Hz,J’=9.1Hz,1H),6.8(d,J=7.6Hz,1H),3.95(s,3H)。
【0111】
N’−(5−メトキシナフタレン−2−イル)アセトヒドラジド
上記ヒドラジン塩酸塩(1.55g、6.9mmol)を水(25ml)の中に懸濁させ、KCO(1g)および酢酸エチル(25ml)を加え、これを30分間激しく振盪した。相を分離させ、この有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、乾固するまでエバポレートすると、1.26gのヒドラジン塩基が暗色の固体形態で得られた。この固体を無水トルエン(25ml)中に溶解し、1時間撹拌を保ちながら、無水酢酸(0.75g、7.4mmol)を加えた。その後、石油エーテルを加え、冷蔵庫の中で2時間放置した。これを濾過し、さらなる石油エーテルで洗浄し、ひとたび乾燥すると1.1g(71%)の94%(HPLC)の純度を有するN’−(5−メトキシナフタレン−2−イル)アセトヒドラジドを赤みがかった色に着色した固体の形態で得た。
【0112】
3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール
N’−(5−メトキシナフタレン−2−イル)アセトヒドラジド(1.1g、4.75mmol)およびアセト酢酸エチル(0.75g、5.7mmol)の混合物に、撹拌を維持しながらPCl(0.65g、4.75mmol)を加えた。これを、撹拌しながら、55℃で3.5時間加熱した。これを室温まで冷却し、水を加え、これを撹拌し、不溶性の固体を濾過し、水で数回、その後エチルエーテルで洗浄した。ひとたび乾燥すると、1.15gの緑がかった粗製固体を得て、これを酢酸エチル中で結晶化させると0.57gの固体が得られ、この固体をシリカゲルカラムの中でのクロマトグラフィ(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル、8/2から0/10まで)によって新しく精製し、これにより0.49g(41%)の3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾールを土のような固体の形態で得た。
【0113】
H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ 9.95(s,1H),8.20(d,J=9.1Hz,1H),7.9(d,J=2.1Hz,1H),7.65(dd,J=2.1Hz,J’=9.1Hz,1H),7.5(m,2H),7.0(d,J=7.5Hz,1H),5.65(s,1H),3.95(s,3H),2.35(s,3H)。
【0114】
4−{2−[1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン
ジメチルホルムアミド(10ml)中の3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール(150mg、0.59mmol)の溶液に、2−クロロエチルモルホリン塩酸塩(136mg、0.71mmol)、KCO(245mg、1.77mmol)、およびNaI(触媒量)を加えた。この混合物を、不活性窒素雰囲気中、90℃で8時間加熱した。その後これを冷却し、濾過し、濾過した生成物を回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートした。この残渣を水とエチルエーテルとの間で分配した。この有機相を水およびその後2N HClの水溶液で数回洗浄した。回収したこの酸性水相を20% NaOH溶液で塩基性にし、これを酢酸エチルで抽出し、これを水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾固するまでエバポレートすると、204mg(94%)の4−{2−[1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリンが油状物の形態で得られた。
【0115】
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ ppm 8.2(d,J=9.1Hz,1H),7.95(d,J=2.2Hz,1H),7.65(dd,J=2.2Hz,J’=9.1Hz,1H),7.55(m,2H),7.0(d,J=7.3Hz,1H),5.8(s,1H),4.2(t,J=5.7Hz,2H),3.95(s,3H),3.55(m,4H),2.65(t,J=5.7Hz,2H),2.45(m,4H),2.35(s,3H)。
【0116】
4−{2−[1−(5−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩
濃HCl(25ml)中の4−{2−[1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン(400mg、1.08mmol)の溶液を90℃で7時間加熱し、冷却し、回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートした。残留する粗製の4−{2−[1−(5−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩が残り、これをイソプロピルアルコール−石油エーテル中で結晶化し、0.32g(76%)の生成物を、70℃未満の融点(m.p.)を有しかつ非常に吸湿性の固体の非晶性形態として得た。
【0117】
H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ ppm:10.5(bs,1H),10.3(s,1H),8.2(d,J=9.1Hz,1H),7.85(d,J=1.9Hz,1H),7.55(dd,J=2.2Hz,J’=9.1Hz,1H),7.35(m,2H),6.9(dd,J=1.3Hz,J’=6.9Hz,1H),5.85(s,1H),4.5(m,2H),3.95(m,2H),3.75(t,J=12.1Hz,2H),3.55−3.45(m,4H),3.15(m,2H),2.35(s,3H)。
【0118】
実施例3:4−{2−[1−(7−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩
2,5−ジメチル−2−(7−メトキシナフタレン−2−イルジアゼニル)フラン−3(2H)−オン
O(72ml)中の2−アミノ−7−メトキシナフタレン(5g、28.8mmol)の懸濁液に、濃HCl(14.5ml)を加え、次いでこれを氷浴中で冷却し、この混合物を0℃で30分間撹拌することを維持しながら、HO(18ml)中のNaNO(2.14g、31.1mmol)の溶液を滴下した。
【0119】
上記の溶液を水(140ml)で希釈し、2,5−ジメチル−2,3−ジヒドロフラン−3−オン(3.63g、31.4mmol)を加え、室温で2時間撹拌したままにした。次いでこれをエチルエーテルで数回抽出し、中性のpHに到達するまで回収した有機相を水で洗浄し、これを硫酸ナトリウムで乾燥した。6.8g(80%)の2,5−ジメチル−2−(7−メトキシナフタレン−2−イルジアゼニル)フラン−3−オンを、赤みがかった色に着色した油状物の形態で得た。
【0120】
H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ ppm:8.35(d,J=1.9Hz,1H),7.9(dd,J=3.1Hz,J’=9.0Hz,2H),7.6(d,J=2.6Hz,1H),7.5(dd,J=2.0Hz,J’=8.8Hz,1H),7.25(dd,J=2.6Hz,J’=8.9Hz,1H),5.75(s,1H),3.9(s,3H),2.45(s,3H),1.65(s,3H)。
【0121】
3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール
酢酸(20ml)に溶解した2,5−ジメチル−2−(7−メトキシナフタレン−2−イルジアゼニル)フラン−3−オン(3.4g、11.48mmol)を6N塩酸(3.5ml)に滴下し、60℃の温度に加熱した。この混合物を60℃で2時間撹拌し続けた。この溶液を冷却し、水/氷の混合物(400ml)に注ぎ込み、固体沈殿物を濾過し、水で洗浄した。これを乾燥すると、固体粗製物が残り、これをトルエン中での結晶化によって精製し、これにより1.23g(42%)の3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾールを灰色がかった白色に着色した固体の形態で得た。
【0122】
H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ ppm:9.95(s,1H),7.85(m,3H),7.4(dd,J=2.1Hz,J’=8.7Hz,1H),7.35(d,J=2.5Hz,1H),7.15(dd,J=2.5Hz,J’=8.9Hz,1H),5.6(s,1H),3.85(s,3H),2.35(s,3H)。
【0123】
4−{2−[1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩
0℃まで冷却したジメチルホルムアミド(40ml)中の3−ヒドロキシ−5−メチル−1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール(1.51g、5.96mmol)の溶液に、NaHの鉱油中60%分散物(0.36g、8.94mmol)を加え、冷却槽を取り除き、それが室温に戻るまで(1.5時間)撹拌したままにした。その後、DMF(10ml)中に溶解した2−クロロエチルモルホリン(1.02g、6.85mmol)を滴下し、得られた混合物を60℃で20時間加熱した。氷水を加え、これを回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートした。得られたスラリーを水とエチルエーテルとの間で分配した。この水相を溶媒で新しく抽出し、回収した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートすると2.19gの粗生成物が得られ、これを、その塩酸塩(HClを飽和させたジオキサンの中に溶解させることにより調製した)をイソプロピルアルコール−エチルエーテルの中で結晶化させることによって精製した。1.78g(74%)の4−{2−[1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩を融点=143〜147℃を有する固体として得た。
【0124】
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ ppm 10.9(bs,1H),7.95−7.85(m,3H),7.5(dd,J=2.2Hz,J’=8.8Hz,1H),7.4(d,J=2.6Hz,1H),7.2(dd,J=2.6Hz,J’=8.9Hz,1H),5.9(s,1H),4.55(m,2H),3.95(m,2H),3.85(s,3H),3.75(t,J=11.7Hz,2H),3.5(m,4H),3.2(m,2H),2.35(s,3H)。
【0125】
4−{2−[1−(7−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩
濃HCl(20ml)中の4−{2−[1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩(1.3g、3.24mmol)の溶液を90℃で6時間加熱し、これを冷却し回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートした。残留する粗製油状物をエチルエーテルとともに撹拌し、得られた固体沈殿物を濾過し、エチルエーテルでさらに洗浄し、乾燥すると、1.2g(95%)の4−{2−[1−(7−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩が融点=103〜107℃を有する白色固体の形態で得られた。
【0126】
H−NMR(DMSO−d) δ ppm:10.8(bs,1H),9.9(bs,1H),7.85(d,J=8.6Hz,1H),7.8(d,J=8.8Hz,1H),7.75(s,1H),7.4(d,J=8.7Hz,1H),7.2(s,1H),7.1(d,J=8.8Hz,1H),5.85(s,1H),4.55(m,2H),3.95(m+HO,2H),3.75(t,J=11.9Hz,2H),3.55−3.45(m,4H),3.2(m,2H),2.35(s,3H)。
【0127】
実施例4:6−(5−メチル−3−(2−モルホリノエトキシ)−1H−ピラゾール−1−イル)−1,2−ジヒドロナフタレン−1,2−ジオール
標記の化合物を、2−アミノ−5−ヒドロキシナフタレンの代わりに6−アミノ−1,2−ジヒドロナフタレン−1,2−ジオールから出発して実施例2に記載したプロセスを使用して調製する。
【0128】
表1:実施例4に係る化合物番号1(m/z 372)の500および125MHz NMRデータ(溶媒:MeOH−d4)
【表1】

【0129】
実施例5:6−(3−(2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エトキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−2−オール塩酸塩
2−(2−(1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチルアミノ)エタノール
【化23】

N−メチルピロリドン(NMP)(30ml)中の3−(2−クロロエトキシ)−5−メチル−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール(0.15g、0.47mmol)、エタノールアミン(0.115g、1.89mmol)および触媒量のNaIの混合物を、窒素雰囲気の中で110℃に20時間加熱した。次に、これを冷却し、水よび酢酸エチルを残渣に加えた。この有機相を水で数回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、エバポレートし、これにより66mgの2−(2−(1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチルアミノ)エタノールの残渣が残った。この水相をジクロロメタンを用いて抽出し、NaSOで乾燥し、濾過し、エバポレートすると粗製残渣が残り、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/メタノール、8/2から0/10まで)によって精製し、これによりさらなる40mgの所望の化合物を得た。無色の油状物の形態の総重量104mg(収率:65%)の2−(2−(1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチルアミノ)エタノールを得た。
【0130】
HPLCによって決定した純度:93.2%。
【0131】
H−NMR(300MHz,CDCl) δ ppm:7.8−7.75(m,3H),7.5(dd,J=2.0Hz,J’=8.6Hz,1H),7.2(d,J=2.3Hz,1H),7.15(m,2H),5.7(s,1H),4.3(m,2H),3.65(m,2H),3.4(m,2H),3.05(m,2H),2.85(m,2H),2.3(s,3H)。
【0132】
6−(3−(2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エトキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−2−オール塩酸塩
【化24】

濃HCl(4ml)中の2−(2−(1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチルアミノ)エタノール(104mg、0.307mmol)の溶液を還流状態に7時間加熱した。次いで、これを冷却し、回転式エバポレータの中で乾固するまでエバポレートし、粗製残渣をエチルエーテルで洗浄すると、91mgの6−(3−(2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エトキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−2−オール塩酸塩を、融点=115〜118℃を有する固体として得た(収率:81%)。
【0133】
HPLCによって決定した純度:97.2%。
【0134】
H−NMR(CDOD) δ ppm:8.9(bs,2H),7.85−7.75(m,3H),7.5(dd,J=2.2Hz,J’=8.8Hz,1H),7.2(m,2H),5.85(s,1H),4.4(t,J=5.1Hz,2H),3.7(m+HO,2H),3.35(m,2H),3.05(m,2H),2.3(s,3H)。
【0135】
以下の表2に、本発明に係る化合物をその対応する質量分析データとともに列挙する。
【0136】
表2
【表2−1】

【表2−2】

【0137】
実施例6:本発明に係るシグマ阻害剤についての結合親和性試験
本発明のいくつかの代表的な化合物を、そのシグマ−1阻害剤としての活性について試験した。以下の手順に従った。
【0138】
脳膜の調製およびσ1−受容体についての結合アッセイは、DeHaven−Hudkinsら、1992に記載されるようにして、いくつかの変更を加えて実施した。手短に言うと、モルモットの脳を、10体積分(w/v)のTris−HCl 50mM 0.32M スクロース、pH 7.4の中で、15000r.p.m.でKinematica Polytron PT 3000を用いて30秒間ホモジナイズした。このホモジネートを1000gで、4℃で10分間遠心分離にかけ、上清を集め、再度48000gで、4℃で15分間遠心分離にかけた。このペレットを10体積分のTris−HCl緩衝液(50mM、pH 7.4)の中に再懸濁し、37℃で30分間インキュベーションし、48000gで、4℃で20分間遠心分離にかけた。この後、このペレットを新しいTris−HCl緩衝液(50mM、pH 7.4)の中に再懸濁し、使用するまで氷上で保存した。
【0139】
使用した放射リガンドは3.0nMの[H]−(+)−ペンタゾシンであり、最終体積は200μlであった。上記インキュベーションはおよそ5mg組織正味重量/mLの最終組織濃度の100μlの膜を加えることで開始し、インキュベーション時間は37℃で150分であった。インキュベーション後、この膜をポリエチレンイミン0.1%を用いて前処理したガラス繊維フィルタープレート(MultiScreen−FC, Millipore)上に採取した。このフィルターを200μlの洗浄緩衝液(50mM Tris Cl、pH=7.4)で2回洗浄し、次いで25μlのEcoscint H液体シンチレーションカクテルを加えた。ミクロプレートを数時間固定させ、次いで液体シンチレーション分光測定(1450 Microbeta、Wallac)によって定量した。非特異的結合を、1μMハロペリドールを用いて測定した。
【0140】
Microbetaリーダーは各ウェルあたりの1分間あたりのカウント(cpm)を与え、これをExcel(登録商標)のワークシートで処理して2回の平均を得た。特異的結合値は、全結合(TB)から非特異的結合(NSB)を差し引いて得た。
【0141】
各々の異なる化合物濃度に対する特異的結合の百分率を、以下のようにして、2回のcpmの平均から算出した。
【数1】

【0142】
これらの値を、非線形IC50(nM)算出およびグラフ表示のために使用した。阻害定数(K)を、Cheng−Prussof方程式に従ってIC50から算出した。
【数2】

式中、[L]は、放射リガンドの特異的活性を使用して実験による全カウント(dpm)から決定されるその放射リガンドの濃度を意味し、Kは、その放射リガンドの解離定数を意味する。
【0143】
H]−(+)ペンタゾシンの飽和定数Kの過去報告よる値(historical value)は3.1nMであった。
【0144】
(参考文献)
DeHaven−Hudkins,D.L.,L.C.Fleissner、およびF.Y.Ford−Rice、1992、Characterization of the binding of [H] (+) pentazocine to σ recognition sites in guinea pig brain、Eur. J. Pharmacol. 227、371−378。
【0145】
上記の実施例に従って調製した化合物についての結合親和性(nM単位のKiとして表される)および阻害濃度(IC50として表される)は以下のとおりであった。
【0146】
表3
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物:
【化1】

(式中、
前記点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
は水素であり、Rはヒドロキシエチルであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒に、1個または2個のヒドロキシ基で任意に置換されたモルホリニル環を形成し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体(ただし、点線が二重結合を表し、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒に、モルホリニル環を形成し、かつnが0である化合物は除外される)。
【請求項2】
前記点線は二重結合を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物は式(Ib)
【化2】

(式中、
前記点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
を有する、請求項1に記載の化合物、またはその塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項4】
前記化合物は式(Ic)
【化3】

(式中、
前記点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
を有する、請求項1に記載の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項5】
前記化合物は式(Ic’)
【化4】

(式中、
前記点線(−−−−−によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは1および2から選択される)
を有する、請求項1に記載の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項6】
前記化合物は式(Id)
【化5】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは0、1および2から選択される)
を有する、請求項1に記載の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項7】
前記化合物は式(Id’)
【化6】

(式中、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1および2から選択され、
はヒドロキシであり、
mは1および2から選択される)
を有する、請求項1に記載の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項8】
前記化合物は式(If)
【化7】

(式中、
前記点線(−−−−−)によって表される)は任意の二重結合を表し、
各Rは独立にヒドロキシまたはC1〜6アルコキシであり、
nは0、1、および2から選択される)
を有する、請求項1に記載の化合物、またはそのN−オキシド、塩、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項9】
以下の、
2−[2−(5−メチル−1−ナフタレン−2−イル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)−エチルアミノ]−エタノール、
4−[2−(5−メチル−1−ナフタレン−2−イル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)−エチル]−モルホリン 4−オキシド、
6−(5−メチル−3−(2−モルホリノエトキシ)−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−1−オール、
4−(2−(1−(5−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチル)モルホリン、
6−(5−メチル−3−(2−モルホリノエトキシ)−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−2−オール、
4−(2−(1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチル)モルホリン、
7−(5−メチル−3−(2−モルホリノエトキシ)−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−2−オール、
4−(2−(1−(7−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチル)モルホリン、
4−(2−(5−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチル)モルホリン−2−オール、
6−(5−メチル−3−(2−モルホリノエトキシ)−1H−ピラゾール−1−イル)−1,2−ジヒドロナフタレン−1,2−ジオール、
4−(2−(1−(5,6−ジメトキシ−5,6−ジヒドロナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチル)モルホリン、
2−(2−(1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルオキシ)エチルアミノ)エタノール、
6−(3−(2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エトキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ナフタレン−2−オール、
から選択される請求項1に記載の化合物、およびそれらの薬学的に許容できる塩、それらのプロドラッグ、立体異性体ならびに溶媒和物。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物の薬学的有効量と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項11】
医薬としての使用のための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
シグマ受容体に媒介される疾患または状態の治療または予防のための医薬としての使用のための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
前記シグマ受容体に媒介される疾患または状態は疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、またはアロディニアおよび/もしくは痛覚過敏を伴う他の疼痛状態である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
シグマ受容体に媒介される疾患または状態の治療または予防のための医薬の製造のための、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
前記シグマ受容体に媒介される疾患または状態は疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、またはアロディニアおよび/もしくは痛覚過敏を伴う他の疼痛状態である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物を調製するためのプロセスであって、
a1)適切な溶媒中で、および任意に触媒およびアルカリの水溶液の存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を得て、前記式(IV)の化合物を適切な溶媒中で式(V)の化合物とさらに反応させる工程、
【化8】

または
a2)塩基および適切な溶媒の存在下で式(II)の化合物を式(VI)の化合物と反応させる工程を含み、
【化9】

これにより式(I)の化合物を得るプロセスであり、
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物の各々において、当てはまる場合、
、R、R、およびnは請求項1から請求項9のいずれか1項で画定されるとおりであり、
LG1、LG2、およびLG3は各々脱離基を表す、プロセス。

【公表番号】特表2011−518811(P2011−518811A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505534(P2011−505534)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055065
【国際公開番号】WO2009/130331
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(500031124)ラボラトリオス・デル・ドクトル・エステベ・ソシエダッド・アノニマ (55)
【Fターム(参考)】