説明

システムキッチン及び誘電加熱ユニット

【課題】コイルユニットのスムーズな移動性の向上を図る。
【解決手段】昇降ユニット38は、ベースプレート4の底面から下方へ突出させたシャフト121と、シャフト121下端に当接されてなるとともにモーターシャフト124を軸心に対して偏心配置させた円盤状偏心カム123を有し、モーターシャフト124の回転による円盤状偏心カム123の偏心回転運動をシャフト121の上下運動に変換することにより、ベースプレート4を昇降させ、水平方向移動ユニット38は、先端に円形小歯車132が設けられたモーターシャフト133を回転させるモーター131と、水平方向に移動させる方向に予め延長されてなるとともに歯形が形成されたレール134とを有し、昇降ユニット38によりベースプレート4が押し下げられている場合には、円形小歯車132がレール134における歯形に係合され、ベースプレート4を移動させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンに関し、特に天板上において調理用容器を載置してコイルユニットを介して誘導加熱調理する際に好適なシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
台所に設置されるシステムキッチン50は、図11に示すように、流し台キャビネット51と、これに互いに隣接して設置されるコンロ用キャビネット52と、それらを被覆する1枚の天板53とを備えている。このシステムキッチン50においては、天板53のうち流し台キャビネット51を被覆する流し台領域Aにはシンク54が形成されており、このシンク54に対して水栓61から湯水が供給されることになる。コンロ用キャビネット52を被覆するコンロ領域Bの前面部寄りには長方形の開口部56が切り抜かれて、その開口部56から1台のコンロ55がコンロ用キャビネット52上に落とし込まれている。また、この流し台領域Aと、コンロ領域Bの中間には、調理台ユニット領域Cが形成され、ユーザは、かかる調理台ユニット領域Cの上面に貼り渡されている天板53上において食物を調理し、或いは調理に必要な器具や食器等を載置する。
【0003】
ここで一般的にシステムキッチンとは、収納用の各種フロアキャビネットを併設し、該フロアキャビネット上にはワークトップを有し、必要によってシンクあるいは加熱調理機器を配した、モジュール化されコーディネートされた組み合わせ型キッチンであり、広義には、間仕切り収納キャビネットやダイニングカウンターを含む。これらワークトップ又はカウンターを総称して、以下天板という。
【0004】
図12は、かかるコンロ領域B並びに調理台ユニット領域Cにおける使用例を示している。
【0005】
この図12に示す例において、先ずコンロ領域Bでは、コンロ55本体を構成する本体ケース81が天板上から落とし込み状態に固定装着されている。このコンロ55本体には、複数のガスバーナ84が配設されており、上面に設けられたカバー83には、該各ガスバーナ84が臨むバーナ用開口部85が開設されている。さらに、前記バーナ用開口部85上方には五徳86が配設され、バーナの炎や、炎により生じた熱気が五徳86の爪部に載置された調理鍋74等の底面に沿って五徳86の外側に放出されるようになっている。即ち、ガスバーナ84を燃焼させることにより、前記五徳86に載置した調理鍋74内の食材等を加熱調理することが可能となる。
【0006】
また、調理台ユニット領域Cでは、実際に食物を切り刻み、加工するためのまな板91や、洗浄した食器類を乾燥させるためのステンレス製の食器篭92等が載置される。さらには、トースター65,ジューサー69,炊飯器71等のような実際の調理に必要な調理用機器等が所狭しと配置されることになる。これら各調理用機器は、コンセント61やプラグ67を介して電源が供給される。
【0007】
これらトースター65やジューサー69、炊飯器71等の各種調理用機器の代替として、例えば泡立て器や食器洗い機等の各種調理用機器をこの調理台ユニット領域Cに配置する場合もあり、同じくコンセント61からの電源を供給することになる。
【0008】
ところで、数多くのレシピが研究されつつある中、和洋東西多彩を極めた多岐にわたる調理が家庭においても実現可能となった昨今において、多くの調理用機器を同時に動作させる必要性も高まっている。
【0009】
しかしながら、上述の如き従来のシステムキッチンにおいて多くの調理用機器を同時に動作させるためには、面積が限定された調理台ユニット領域Cにおいて、多くの調理用機器を配置しなければならない。このため、食器籠92を含め他の食器を置くスペースや、まな板91を使用して食物を加工するためのスペースが必然的に小さくなる。また、調理台ユニット領域Cに隣接するコンロ領域Bにおいてもガスコンロを利用して調理鍋に入れた食物等を同時に煮たりする場合もあるが、かかるガスコンロからの熱が調理台ユニット領域C上に置いてある調理用機器に伝熱することもあるため、かかる調理用機器の配置箇所において更なる制約がかかる。
【0010】
一方、多くのガスコンロを用いて一度に多くの食物等を同時に煮炊きする場合には、ガスコンロを増設する必要があるところ、上述のガスコンロ領域Bにおける天板上の占有率を高く設定するとともに調理台ユニット領域Cの占有率を低く設定したい場合もある。また、図11に示す既存のシステムキッチンにおいては、本体ケースが天板上から落とし込み状態に固定装着されるものであり、ガスコンロを増設し、ガスコンロ領域を大幅に移動させることはできなかった。
【0011】
従って、調理台ユニット領域Cやコンロ領域Bの天板上における占有比率をユーザの意思に応じて可変とすることにより、かかる調理をより効率的に実現ことが望まれている。
【0012】
特にこのような要請に応えるためには、ガスコンロの配置の自由度をいかにして向上させるかが最重要課題となる。かかる課題を解決すべく、電磁誘導を利用して加熱調理する誘導加熱機器を上記ガスコンロの代替として用いる手法が従来において提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
この特許文献1に示される誘導加熱機器100は、例えば図13に示すように、調理鍋等に代表される負荷部98とこの負荷部98を誘導加熱する磁気発生部99とを備え、この磁気発生部99は、上記負荷部98を載置するためのトッププレート103と、トッププレート103の下部に設けられ、上記誘導加熱を実行するための高周波磁界を発生する一次コイル104とこの一次コイル104を駆動するインバータ107とを備え、このインバータ107には電源コード109を介して電源が供給されることになる。
【0014】
ユーザは、この磁気発生部99を天板上の任意の位置に配置することができるため、調理台ユニット領域Cとコンロ領域Bとを区別することなく、誘導加熱機器100と調理用機器との間で自由な配置のバリエーションを楽しむことが可能となる。
【特許文献1】特開平5−184471号公報
【特許文献2】特開2006−230516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、この従来の誘導加熱機器100を上述したガスコンロの代替として用いる場合には、負荷部98のみならず、磁気発生部99本体をも天板上に載置しなければならない。磁気発生部99は、一次コイル104やインバータ107を始めとした各種デバイスを実装する関係上、幅や奥行きが広くなり、しかも厚みが増してしまう。このため、天板上に載置された磁気発生部99自体が広大なスペースを占有してしまうことにもなり、他の調理用機器における配置の自由度が確保できなくなり、ひいては天板上のスペースを有効に活用することができなくなるという問題点が生じる。
【0016】
また、この誘導加熱機器100では、インバータ107に接続された電源コード109が天板上に置かれることになるため、その煩わしさを解消することができない。特に多くの調理用機器を同時に使用する場合には、コンセント61に加えプラグ67を用いていわゆるタコ足配線により電源コード109を接続しなければならず、流せる電流自体に制限がかかるとともに、制限を越えた電流を流してしまうと電源コード自体が加熱し火災の原因ともなり得る。また、誘導加熱機器100の天板上における配置位置は、あくまで電源コード109の長さやシステムキッチンに配設されているコンセントの位置等により支配されるところ、かかる配置の自由度につき一定の制約もかかることになる。
【0017】
このため、例えば特許文献2においては、調理用容器が載置される天板の下部において少なくとも調理用容器が載置可能な位置に応じた空間を形成し、かかる空間内にコイルユニットを移動自在に配置し、天板上における調理用容器の載置位置を識別するとともに、その識別した調理用容器の載置位置へコイルユニットを移動させる技術が開示されている。
【0018】
これにより、調理用容器が天板上の任意の位置に載置された場合であっても、その載置位置を自動的に識別し、かかる載置位置へコイルユニットを移動させることができ、さらには、そのコイルユニットにより発生される高周波磁界により調理用容器を誘導加熱することが可能となる。即ち、ユーザは、天板上の好みの箇所に調理用容器を載置するだけでよく、残りのコイルユニットの位置調整は、全てシステムキッチンが自動的に実行してくれることになり、配置のバリエーションを僅かに改変する場合においても、労力の負担を軽減することが可能となる。
ところで、天板上に載置された調理用容器をコイルユニットを介して加熱する際には、天板に対してコイルユニットをできるだけ近接させたほうが熱伝達効率を向上させることができる。しかしながら、天板に対してコイルユニットを近接させた状態のままで、このコイルユニットを移動させると、かかるコイルユニット自体が天板の底面にこすれたりぶつかるため、スムーズな移動を実現することができないという問題点があった。
【0019】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、誘導加熱すべき調理用容器をユーザの要望に応じた天板上の任意の箇所に配置することができ、かつ天板上のスペースをより有効的に活用することができるシステムキッチンを提供する上で、コイルユニットのスムーズな移動性の向上を図ることが可能なシステムキッチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明を適用したシステムキッチンは、上述した課題を解決するために、少なくとも調理用領域として利用可能な天板と、高周波磁界を発生するための誘導加熱コイルと上記誘導加熱コイルを駆動するインバータ回路とを有するとともに上記誘導加熱コイルからの磁界により調理用容器を誘導加熱可能なコイルユニットが搭載された平板状のベースプレートと、上記ベースプレートを鉛直方向に昇降させることにより、上記天板の底面へ近接させ、又は離間させる昇降駆動手段と、上記ベースプレートを水平方向に移動させる水平方向移動手段とを備え、上記昇降駆動手段は、上記ベースプレートの底面から下方へ突出させたシャフトと、上記シャフト下端に当接されてなるとともに第1の駆動軸を軸心に対して偏心配置させた円盤状偏心カムと、上記第1の駆動軸を回転させる第1の回転駆動手段とを有し、上記第1の駆動軸の回転による上記円盤状偏心カムの偏心回転運動を上記シャフトの上下運動に変換することにより、上記ベースプレートを昇降させ、上記水平方向移動手段は、上記ベースプレートの下部に設けられ先端に円形小歯車が設けられた第2の駆動軸を回転させる第2の回転駆動手段と、上記水平方向に移動させる方向に予め延長されてなるとともに歯形が形成されたレールとを有し、上記昇降駆動手段により上記ベースプレートが押し下げられている場合には、上記円形小歯車が上記レールにおける歯形に係合され、さらに上記第2の駆動軸を回転させることにより、上記レールにおける歯形に係合された上記円形歯車を介して上記ベースプレートを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上述した構成からなる本発明では、第1の回転駆動手段により第1の駆動軸を回転させるのみで、円盤状偏心カムの偏心回転運動を上記シャフトの上下運動に変換することができるため、極めて安価でしかも効率よくベースプレートを昇降させることが可能となる。また、第2の回転駆動手段により、第2の駆動軸を回転させるのみにより、極めて安価でしかも効率よくベースプレートを水平移動させることが可能となる。本発明では、水平移動時においてコイルユニット自体が天板の底面にこすれたりぶつかるのを防止する観点から、ベースプレートの昇降、水平移動がそれぞれ不可欠となることから、これらを互いに安価に、かつ簡便に実現することができるようにすることが、相乗的に大きなメリットになり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、飲食店や家庭等において食物を調理する際に適用されるシステムキッチンについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
本発明を適用したシステムキッチン1は、少なくともワークトップ又はカウンター(以下、これらを天板という)を有するシステムキッチンであって、図1に示すように、キャビネット11と、このキャビネット11における上面を被覆する天板13と、この天板13に隣接する流し台領域Aにおいて形成されたシンク14と、シンク14に対して湯水を供給するための水栓15とを備えている。以下では、システムキッチン1を、キッチンの作業台を壁面から分離し、島(Island)型に設けたいわゆるアイランドキッチンとして適用する場合について説明をするが、かかる場合に限定されるものではなく、シンク、コンロのある作業台を1列に並べたいわゆる1列型キッチン、或いはシンク、コンロをL字型に並べたいわゆるL型キッチンとして適用するようにしてもよい。
【0024】
キャビネット11は、例えば前面側に片開き可能に軸着されている図示しない扉や収納用引出を設けてもよく、これら各扉や収納用引出内には、主として台所用具や食器等を収納可能な棚やケース等を設けるようにしてもよい。
【0025】
シンク14には、水切り用の凹み部等が形成されており、底面には排水口が設けられている。このシンク14において、凹み部並びに排水口は、プレス成形や注型成形、インジェクション成形等の方法により互いに一体に成形されている。シンク14の材質は、特に限定されるものではないが、耐熱性のある樹脂やステンレス鋼板等の金属を用いることも可能である。
【0026】
天板13は、表面が平滑なガラス板で構成されている。この天板13上には、食材等を加熱調理するための調理鍋やポット等に代表される調理用容器や、実際に食材を切り刻み、加工するためのまな板がユーザ任意の位置に載置可能な構成とされている。この天板13は、全ての領域が同素材で構成される場合に限定されるものではなく、後述するコイルユニットを配置する範囲について上述の如きガラス板等で構成されていればよい。
【0027】
この天板13上には、調理用容器が複数に亘り任意の位置に載置される場合もあるし、まな板以外に、図示しない食器篭や炊飯器、ジューサー等といった各種調理用容器20がそれぞれ任意の位置に載置される場合もある。即ち、この天板13は、調理用容器20が載置される可能性があることから、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機械的強度に優れた材料で構成する必要があるところ、通常、耐熱ガラスやセラミックス等で構成される。
【0028】
ちなみに、本発明を適用したシステムキッチン1では、天板13上に載置された調理用容器20につき、IHヒーターを利用して誘導加熱する。実際にこの誘導加熱は、天板13の下部に配設されたコイルユニット3を介して実行していくことになる。また、このシステムキッチン1では、ユーザがこれらコイルユニット3を操作するための操作板95が天板13側方に配設されてなるとともに、この操作板95を介してユーザの操作を受けてコイルユニット3に制御信号を送信するための中央制御ユニット94が内部に実装されている。
【0029】
コイルユニット3は、少なくとも1箇所に亘り移動自在に配置されてなる平板状のベースプレート4に搭載されている。以下では、図1に示すように、天板13の長手方向Xに4列のベースプレート4a〜4dを配列させた場合を例にとり説明をする。このとき、ベースプレート4a〜4cをユーザによる指示に基づいて制御することとし、ベースプレート4dを、天板13上に載置された調理用容器20へ向けて自動的に移動制御するものとする。このベースプレート4dには、近接センサ56、57が図中幅方向Y両端にそれぞれ設けられている。
【0030】
また、これらベースプレート4a〜4dは、天板13の幅方向Yに移動自在とされているものとする。なお、天板13上には、これらベースプレート4a〜4cが配列されている箇所に応じたマーキングが描かれていてもよい。
【0031】
ベースプレート4は、天板13下部における空間19中に配設される。この空間19は、天板13と底板の周囲を側壁で囲むことにより密閉状態とされたいわゆる閉空間として構成される。ちなみに、この空間19は、天板13上において調理用容器20が載置可能な位置に対応させて形成されている。
【0032】
このようにシステムキッチン1においては、コイルユニット3a〜3d(ベースプレート4a〜4d)を幅方向Yに移動させることができるため、天板13上の大半の領域で、鍋等の調理用容器を誘電加熱することができる。即ち、本実施形態のシステムキッチン1は、流し台領域A以外の領域が、従来のコンロ領域及び調理台ユニット領域の両方の機能を兼ね備えた加熱調理領域Dとして機能させることが可能となる。このため、ユーザは、天板13上の任意の位置で加熱調理を行うことができると共に、天板13上の任意の位置でまな板等を載置して調理を行うことができ、更には天板13上の任意の位置に各種調理用機器を載置することができる。
【0033】
図2は、操作板95の構成例を示している。操作板95は、ベースプレート4d側に配設されている操作板95aと、ベースプレート4a〜4c側に配設されている操作板95bからなる。この操作板95aは、ベースプレート4dを操作するためのものであり、また、操作板95bは、ベースプレート4a〜4cを操作するためのものである。
【0034】
操作板95aは、ベースプレート4dを手動で制御するか自動制御するかを指定するための手動モードボタン101並びに自動モードボタン104と、コイルユニット3dによる加熱を行うための加熱スイッチ105並びに加熱処理を終了させるための加熱切スイッチ102と、火加減を調整する火加減調整ボタン106と揚げ物を揚げる際の温度を調整する揚げ温度調整ボタン103とを備えている。
【0035】
操作板95bは、ベースプレート4a〜4cを幅方向Yに移動させるための前方移動ボタン109と、ベースプレート4を逆Y方向へ移動させるための後方移動ボタン108とをさらに備え、いかなるコイルユニット3a〜3cを制御するかを指定する指定ボタン107a〜107cと、火加減調整ボタン106と、揚げ温度調整ボタン103と、加熱スイッチ105並びに加熱切スイッチ102とを備えている。
【0036】
自動ボタン104がユーザにより押圧された場合には、ベースプレート4d(コイルユニット3d)を自動的にコントロールすることになる。また、手動ボタン101が押圧された場合には、ベースプレート4d(コイルユニット3d)をユーザの操作に基づいてコントロールされることになる。
【0037】
また、指定ボタン107aが押圧入力された場合には、ベースプレート4a(コイルユニット3a)が、また指定ボタン107bが押圧入力された場合には、ベースプレート4b(コイルユニット3b)が、また指定ボタン107cが押圧入力された場合には、ベースプレート4c(コイルユニット3c)がコントロールされることになる。
【0038】
以下、加熱調理領域Dの具体的な構成について説明する。ベースプレート4は、図3に示す昇降ユニット38により、上下方向に昇降自在に構成されているとともに、水平方向移動ユニット39により、幅方向Y、逆Y方向へ移動自在に構成されている。
【0039】
図4(a)は、この昇降ユニット38の正面図を、また図4(b)は、昇降ユニット38の側面図を示している。ベースプレート4を載置するための昇降テーブル120の底面から下方へ突出させたシャフト121と、シャフト121を略鉛直方向へ案内支持するためのガイド122と、シャフト121下端に当接されてなる円盤状偏心カム123と、この円盤状偏心カム123に偏心配置されたモーターシャフト124と、モーターシャフトを回転させるモーター125とを備えている。
【0040】
昇降テーブル120はベースプレート4の底面が接触することになり、後述するシャフト121の上下運動に伴い、この載置されたベースプレート4を昇降させる。ちなみに、昇降テーブル120の構成を省略する場合には、ベースプレート4の底面に直接的にシャフト121を下方に突出させるようにしてもよい。
【0041】
シャフト121は、鋼棒等で構成されるものであり、ガイド121により支持案内されることにより、上下方向へ向けてスムーズかつ着実に移動自在とされるものである。このシャフト121の下端には、平板状の下端部121aを取り付け、この下端部121aを円盤状偏心カム123に当接するようにしてもよい。
【0042】
円盤状偏心カム123は、円盤状に構成され、またこの軸心123aに対して偏心した位置において上述したモーターシャフト124を配置させている。モーターシャフト124を回転させることにより、この円盤状偏心カム123は、この偏心した位置を中心として偏心回転運動をすることになる。図4(a)に示す例では、円盤状偏心カム123の下端から20mm離間した位置にモーターシャフト124を配置させ、当該円盤状偏心カム123を偏心回転運動させることにより、合計20mmに亘りベースプレート4を上下に昇降させることが可能となる。即ち、円盤状偏心カム123の偏心回転運動をシャフト121の上下運動に変換することにより、ベースプレート4を昇降させることが可能となる。
【0043】
モーター125は、中央制御ユニット94による制御に基づいてモーターシャフト124を回転させ、またはその回転を停止させる。
【0044】
このような昇降ユニット38ではモーター125によるモーターシャフト124の回転、停止のみで、ベースプレート4を昇降させることができる。このため、昇降ユニット38は、極めて安価でしかも効率よくベースプレート4を昇降させることが可能となる。またシャフト121の下端に、平板状の下端部121aを取り付け、これを円盤状偏心カム123に当接させる構成とすることにより、円盤状偏心カム123の偏心回転運動をシャフト121に着実に伝達させることが可能となる。
【0045】
またベースプレート4を水平方向(Y方向、逆Y方向)へ移動させる際の水平方向移動ユニット39は、図3に示すように、モーター131と、このモーター131の軸芯であってかつ先端に円形小歯車132が設けられたモーターシャフト133と、水平方向に移動させる方向に予め延長されてなるとともに歯形134aが形成されたレール134とを備えている。
【0046】
モーター131は、中央制御ユニット94による制御に基づいてモーターシャフト133を回転させ、またはその回転を停止させる。このモーター131は、昇降テーブル120の下部に一体的に取り付けられている。即ち、この昇降テーブル120が上昇した場合には、これに応じてモーター131、モーターシャフト133、円形子歯車132も共に上昇し、昇降テーブル120が下降した場合には、これに応じてモーター131、モーターシャフト133、円形子歯車132も共に下降することになる。なお、モーター131等が、昇降テーブル120の下部に一体的に取り付けられているということは、換言すれば、ベースプレート4の下部において一体的に取り付けられていることに相当する。
【0047】
円形小歯車132とレール134における歯形134aとは互いに係合可能となるようなピッチ幅で構成されている。
【0048】
この円形小歯車132と、レール134における歯形134aは、それぞれ図5(a)に示すように、昇降ユニット38により、ベースプレート4が押し下げられている場合には、互いに係合されることになる。また、この円形小歯車132と、レール134における歯形134aは、それぞれ図5(b)に示すように、昇降ユニット38により、ベースプレート4が押し上げられている場合には、互いに離間し、係合されていない状態となる。
【0049】
ここで図5(a)に示すように、昇降ユニット38によりベースプレート4を押し下げ、円形小歯車132と歯形134aとを互いに係合させた状態の下で、モーター131によりモーターシャフト133を回転させる。その結果、互いに係合された歯形134aに係合された円形小歯車132がこのモーターシャフト133の回転に応じて図中Y方向、逆Y方向へと移動していくことになる。この円形小歯車132を支持するモーターシャフト133並びにモーター131は、ベースプレート4の下部に一体的に取り付けられていることから、円形小歯車132の移動により、ベースプレート4自体をレール134に沿ってY方向、逆Y方向へと移動させることが可能となる。
【0050】
このような水平方向移動ユニット39ではモーター131によるモーターシャフト133の回転、停止のみで、ベースプレート4を水平方向に移動させることができる。また、モーター131によるモーターシャフトの回転方向を切り替えるのみで、ベースプレート4の移動方向をY方向、逆Y方向へと変化させることが可能となる。
【0051】
このため、水平方向移動ユニット39は、極めて安価でしかも効率よくベースプレート4を水平移動させることが可能となる。
【0052】
また、本発明では、上述した昇降ユニット38と水平方向移動ユニット39の2ユニットを必須の構成要件として規定している。このため、ベースプレート4の昇降動作、水平移動動作を、それぞれ1のモーター125、131を介して実現することが可能となる。後述するように、本発明では、ベースプレート4の昇降、水平移動がそれぞれ不可欠となることから、これらを互いに安価に、かつ簡便に実現することができるようにすることが、相乗的に大きなメリットになり得る。
【0053】
このベースプレート4の水平方向への移動や、昇降テーブル120の昇降動作は、上述したように中央制御ユニット94による制御に基づいて実行されていくことになる。この中央制御ユニット94は、操作板95に接続されており、この操作板95に対するユーザの操作状況が全てこの中央制御ユニット94に伝えられることになる。この結果、操作板95を操作することにより中央制御ユニット94を介してベースプレート4(コイルユニット3)を制御することが可能となる。
【0054】
図6は、コイルユニット3のブロック構成図である。コイルユニット3は、インバータブロック331と、制御ブロック332に大別されて構成されている。このインバータブロック331は、実際に誘導加熱する高周波磁界を制御するためのブロックであり、制御ブロック332は、コイルユニット3全体を制御するためのブロックである。
【0055】
インバータブロック331は、家庭用のAC200V(50/60Hz)の電源を電源プラグ329から電源コード330を介して受給する整流回路333と、この電源コード330と整流回路333との間に配設された電流検知コイル344と、この整流回路333に接続されてなり、鉄心にコイルを巻回すことにより構成されるチョークコイル334と、このチョークコイル334との間で直列LC回路を構成するコンデンサ335と、整流回路333の出力端子間を直列に接続するようにして配設される第1のスイッチング素子336並びに第2のスイッチング素子337と、これらスイッチング素子336,337に対して並列に接続される2つの共振コンデンサ338,339と、これら共振コンデンサ338,339の接続点に短絡されるカーレントトランス340と、インバータブロック331の内部の何れかに実装される回路保護サーモ341とを備えている。このインバータブロック331におけるカーレントトランス340の一端側と、上記スイッチング素子336,337の接続点には、さらに誘導加熱コイル342が接続され、この誘導加熱コイル342の略中心付近には図10に示すような断熱材306を介して鍋温度検知サーミスタ350が設けられている。ちなみに、加熱調理時においては、この誘導加熱コイル342からの高周波磁界により天板13を介してスイッチング素子336,337とに接続されるインバータ駆動回路348と、接続された回路保護サーモ341からの検知情報を制御回路347へ送信するため調理用容器20を誘導加熱できる位置まで、コイルユニット3自体が移動させられることになる。
【0056】
制御ブロック332は、上記インバータブロック331における電流検知コイル344に接続される一次電流検知回路345と、整流回路333へ供給される電流を検知するための電源電圧検知回路346と、少なくとも上記一次電流検知回路345並びに電源電圧検知回路346に接続されてなり、この制御ブロック332全体を制御するための中央演算ユニットとしての役割を担う制御回路347と、この制御回路347と上記スイッチング素子の温度検知回路349と、カーレントトランス340並びに制御回路347にそれぞれ接続されるコイル電流検知回路351と、温度検知サーミスタ350並びに制御回路347にそれぞれ接続される鍋温度検知回路352とを少なくとも備えている。また、この制御ブロック332は、上記制御回路347に対して更にアラーム364と、操作部357とを接続して構成されている。さらに、この制御回路347には、モーター125とモーター131とが接続されている。
【0057】
先ず、インバータブロック331の詳細な構成につき説明をする。
【0058】
整流回路333は、接続された電源プラグ329からの電源用電流を整流するために配設されたものであって、供給された交流としての電源用電流を直流に変換する。チョークコイル334とコンデンサ335とにより構成されるLC直列回路は、いわゆる平滑回路を構成する。スイッチング素子336,337は、例えばトランジスタ等で構成され、各スイッチング素子336,337のエミッタとコレクタには逆導通用のダイオード362,363がそれぞれ並列接続される。スイッチング素子336のベースにはインバータ駆動回路348からの駆動信号QAが供給され、スイッチング素子337のベースにはインバータ駆動回路348からの駆動信号QBが供給される。即ち、インバータ駆動回路348は、この駆動信号QAと駆動信号QBとを交互に供給することにより、共振コンデンサ338,339と誘導加熱コイル342に共振電流を流すことが可能となる。
【0059】
誘導加熱コイル342における巻き数は、上記調理用容器20を加熱する際における電力を支配するものであり、調理用容器20における底板の表皮抵抗や共振電流の大きさとの関係において最適に調整されている必要がある。この誘導加熱コイル342は、上記供給される共振電流に基づいて共振されることになり、その結果、高周波磁界を発生させることが可能となる。
【0060】
回路保護サーモ341は、温度の変化に応じて抵抗値が変化するサーミスタ等で構成される。この回路保護サーモ341は、主としてインバータブロック331や制御ブロック332を構成する空間の温度を測定する。
【0061】
温度検知サーミスタ350は、回路保護サーモ341と同様にサーミスタで構成される。この鍋温度検知サーミスタ350は、天板13を介して調理用容器20の温度を検知すべく、上述の如く誘導加熱コイル342の中心付近に配設されることになる。
【0062】
カーレントトランス340は、誘導加熱コイルに流れる共振電流の電流値を検知するためのコイル等である。
【0063】
次に、制御ブロック332の詳細な構成につき説明をする。
【0064】
一次電流検知回路345は、接続された電流検知コイル344を介して、電源プラグ329を介して供給される電源用電流の電流値を検知する。この一次電流検知回路345は、この検知した電流値を制御回路347へと通知する。
【0065】
電源電圧検知回路346は、電源プラグ329からの電源用電流に基づく電圧を検知する。電源電圧検知回路346は、この検知した電圧を制御回路347へ通知する。
【0066】
制御回路347は、CPU等で構成される。この制御回路347は、上述した一次検知回路345により検知された電流値が通知され、かつ電源電圧検知回路346により検知された電圧が通知された場合には、これらを参照しつつ、設定された電力となるようにインバータ駆動回路348を制御する。この制御回路347は、操作部357を介したユーザからの命令を解釈し、これに基づいてインバータ駆動回路348、アラーム364を制御する。
【0067】
インバータ駆動回路348は、正弦波信号を発振させるための発振回路として構成され、制御回路347による制御に基づいて、上記駆動信号QA又は駆動信号QBを生成する。
【0068】
温度検知回路349は、回路保護サーモ341における抵抗値の変化を検出する。この温度検知回路349は、この検出した回路保護サーモ341の抵抗値の変化に基づき、内部の温度を検知する。この温度検知回路349は、検知した温度を制御回路347へ通知する。制御回路347は、温度検知回路349からの通知を介し内部の温度を随時認識することが可能となる。
【0069】
コイル電流検知回路351は、カーレントトランス340により検知された共振電流の電流値を読み取り、これを制御回路347へ通知する。制御回路347は、コイル電流検知回路351を介して共振電流の電流値を随時認識することができる。これにより、制御回路347は、例えば、調理用容器20の材質や形状に応じて決定される誘導加熱に必要な電力に対して、必要以上の共振電流が流れるのを抑制することが可能となり、さらには、誘導加熱中において調理用容器20が外された場合において、コイルユニット3全体の動作を停止させるとともに、アラーム364を介してこれをユーザに通知することも可能となる。
【0070】
鍋温度検知回路352は、鍋温度検知サーミスタ350における抵抗値の変化を検出する。この鍋温度検知回路352は、この検出した鍋温度検知サーミスタ350の抵抗値の変化に基づき、調理用容器20の温度を検知する。この鍋温度検知回路352は、検知した調理用容器20の温度を制御回路347へ通知する。制御回路347は、温度検知回路349からの通知を介して調理用容器20の温度を随時認識することが可能となる。これにより、例えば調理用容器20の底部の温度が規定値以上に上昇した場合には、コイルユニット3全体の動作を停止させることも可能となる。
【0071】
アラーム364は、制御回路347による制御に基づいて所定の音を発生させる音声発振器で構成される。操作部357は、ユーザが実際にコイルユニット3を操作するためのキーやボタン等で具体化される。この操作部357においてユーザから入力された内容は、制御回路347へ通知され、制御回路347はかかる入力された内容に基づいてコイルユニット3の各構成要素を制御していくことになる。ちなみにこの操作部357は、筐体表面に形成されたボタン等を想定しているが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば、無線通信でユーザからの入力内容を送信するためのリモートコントローラで構成されていてもよい。また、操作部357に関する機能についても、操作板95に担わせるようにしてもよい。制御回路347は、操作部357を介してユーザから入力された入力情報に基づいて、モーター125、131を制御する。
【0072】
次に、上述の構成からなるコイルユニット3により、実際に調理用容器20を誘導加熱する方法につき説明をする。
【0073】
先ず、電源プラグ329から電源コード330を介して電源用電流を受給する。この受給した電源用電流は、整流回路333において整流されることになる。このとき、インバータ駆動回路348は、制御回路347による制御の下、スイッチング素子336,337に供給する駆動信号QA、QBの調整する。
【0074】
図7(a)は、誘導加熱コイル342に流れる共振電流を、図7(b)は、このスイッチング素子336に対して供給される駆動信号QAを、図7(c)は、このスイッチング素子337に対して供給される駆動信号QBを示している。
【0075】
インバータ駆動回路348は、制御回路347による制御の下、時点t0から時点t1に至るまで駆動時間がT1である駆動信号QAをON出力する。この駆動時間T1の間では、スイッチング素子336及びダイオード362と、誘導加熱コイル342と、共振コンデンサ338とで形成される閉回路で共振することになる。ちなみに、インバータ駆動回路348は、時点t1において駆動信号QAをOFFにする。
【0076】
次にインバータ駆動回路348は、制御回路347による制御の下、時点t2から駆動時間がT2である駆動信号QBをON出力する。この駆動時間T2の間では、スイッチング素子337及びダイオード363と、誘導加熱コイル342と、共振コンデンサ339とで形成される閉回路で共振することになる。なお、この駆動時間T2は、上記駆動時間T1と同一である。
【0077】
このように閉回路を変えて誘導加熱コイル342を共振させることにより、誘導加熱コイル342において高周波磁界を発生させることができる。この発生させられた高周波磁界は、天板13を介して調理用容器20の底板を通過していくことになる。この調理用容器20の底板は、金属製であるため、この高周波磁界を金属製の底板に通すことにより、渦電流が発生することになる。この渦電流と調理用容器20の持つ電気抵抗によりジュール熱が生じ、調理用容器20自体が発熱することになる。その結果、調理用容器20内にある食物を加熱調理することが可能となる。
【0078】
また、このような構成からなるシステムキッチン1において、ユーザは、コイルユニット3を介して調理用容器20を加熱することができる。
【0079】
なお本発明においては、コイルユニット3により調理用容器20を誘導加熱させる際には、ベースプレート4を天板13の底面へ近接させるようにし、ベースプレート4を幅方向Y(逆Y方向)へ移動させる際には、ベースプレート4を天板13の底面から離間させるようにしてもよい。
【0080】
実際にユーザにより、手動モードボタン101が選択され、さらに指定ボタン107aが押圧されることにより、コイルユニット3aによる加熱調理ならびに移動動作を実行する例について図8、9に基づいて説明をする。
【0081】
スタート時においては、まだ調理用容器20を誘導加熱する前の待機状態にあることから、ベースプレート4aは、図10(a)に示すように天板13の底面から離間された状態にあり、また円形小歯車132とレール134における歯形134aとは互いに係合している状態にある。
【0082】
先ずステップS10において、継続してこのコイルユニット3を使用するかをユーザに問い合わせ、継続使用を望む旨の意思表示がユーザから通知された場合には、ステップS11へ移行する。
【0083】
ステップS11において、加熱スイッチ105が入力されたか否か識別する。加熱スイッチ105が入力された場合には、ステップS13へと移行する。これに対して、加熱スイッチ105の押圧を識別できない場合には、ステップS12へと移行する。
【0084】
ステップS12では、さらに、後方移動ボタン108の押圧入力を識別する。後方移動ボタン108の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS14へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS15へと移行する。
【0085】
ステップS14へ移行した場合には、ベースプレート4aを幅方向Yへと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この幅方向Yへの移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。また、円形小歯車132と歯形134aとを互いに係合させた状態の下で、モーター131によりモーターシャフト133を回転させることから、モーター131による少ない動力で効果的に水平移動を実現することが可能となる。
【0086】
また、このステップS14における移動動作を実行しつつ、ステップS16において後方移動ボタン108の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。後方移動ボタン108の押圧入力が解除されない場合には、ステップS14における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、後方移動ボタン108の押圧が解除された場合には、ステップS17へと移行する。
【0087】
ステップS17に移行した場合には、ベースプレート4aの幅方向Yへの移動を停止させる。
【0088】
ステップS15では、さらに、前方移動ボタン109の押圧入力を識別する。前方移動ボタン109の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS18へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS10へと戻る。
【0089】
ステップS18へ移行した場合には、ベースプレート4aを逆Y方向へと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この逆Y方向への移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。また、円形小歯車132と歯形134aとを互いに係合させた状態の下で、モーター131によりモーターシャフト133を回転させることから、モーター131による少ない動力で効果的に水平移動を実現することが可能となる。
【0090】
また、このステップS18における移動動作を実行しつつ、ステップS19において前方移動ボタン109の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。前方移動ボタン109の押圧入力が解除されない場合には、ステップS19における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、前方移動ボタン109の押圧が解除された場合には、ステップS20へと移行する。
【0091】
ステップS20に移行した場合には、ベースプレート4aの幅方向Yへの移動を停止させる。
【0092】
なお、ステップS17、S20を終了させた後には、ステップS10へと再び戻ることになる。
【0093】
また、ステップS13に移行した場合には、モーター125を回転させることにより、昇降テーブル120を上昇限に向けて上昇させる。その結果、図10(b)に示すように、コイルユニット3を天板13底面に近接させることが可能となる。かかる状態の下では、円形小歯車132と、レール134における歯形134aは、図5(b)に示すように、互いに離間し、係合されていない状態となる。
【0094】
ちなみに、この昇降テーブル120を上昇させている際には、ステップS21へと常時移行し、昇降テーブル120が上昇限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降テーブル120が上昇限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS22へと移行し、それ以外の場合には再びステップS13へと移行し、昇降テーブル120を上昇限へ向けて上昇させることになる。
【0095】
ステップS22へと移行した場合には、昇降テーブル120が上昇限へと到達した場合であることから、モーター125の回転を停止させる。
【0096】
次に、ステップS23へと移行し、コイルユニット3による加熱を開始する。
【0097】
次に、ステップS24へと移行し、後方移動ボタン108の押圧入力を識別する。後方移動ボタン108の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS25へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS26へと移行する。
【0098】
ステップS25へ移行した場合には、モーター125を回転させることにより、昇降テーブル120を下降限に向けて下降させる。図10(a)に示すように、コイルユニット3を天板13から離間させることが可能となる。ちなみに、この昇降テーブル120を下降させている際には、ステップS27へと常時移行し、昇降テーブル120が下降限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降テーブル120が下降限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS28へと移行し、それ以外の場合には再びステップS25へと移行し、昇降テーブル120を下降限へ向けて下降させることになる。
【0099】
ステップS28へ移行した場合には、モーター125の回転を停止させる。次にステップS29へ移行し、ベースプレート4aを幅方向Yへと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この幅方向Yへの移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。
【0100】
また、このステップS29における移動動作を実行しつつ、ステップS30において後方移動ボタン108の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。後方移動ボタン108の押圧入力が解除されない場合には、ステップS29における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、後方移動ボタン108の押圧が解除された場合には、ステップS31と移行する。
【0101】
ステップS31に移行した場合には、ベースプレート4aの幅方向Yへの移動を停止させ、再びステップS13へと戻ることになる。
【0102】
ステップS26へ移行した場合には、前方移動ボタン109の押圧入力を識別する。前方移動ボタン109の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS32へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS33へと移行する。
【0103】
ステップS32へ移行した場合には、モーター125を回転させることにより、昇降テーブル120を下降限に向けて下降させる。この昇降テーブル120を下降させている際には、ステップS34へと常時移行し、昇降テーブル120が下降限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降テーブル120が下降限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS35へと移行し、それ以外の場合には再びステップS32へと移行し、昇降テーブル120を下降限へ向けて下降させることになる。
【0104】
ステップS35へ移行した場合には、モーター125の回転を停止させる。次にステップS36へ移行し、ベースプレート4aを逆Y方向へと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この幅方向Yへの移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。
【0105】
また、このステップS36における移動動作を実行しつつ、ステップS37において前方移動ボタン109の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。前方移動ボタン109の押圧入力が解除されない場合には、ステップS36における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、前方移動ボタン109の押圧が解除された場合には、ステップS38と移行する。
【0106】
ステップS38に移行した場合には、ベースプレート4aの逆Y方向への移動を停止させ、再びステップS13へと戻ることになる。
【0107】
ステップS33へと移行した場合には、加熱切スイッチ102が押圧入力されたか否か識別する。加熱切スイッチ102が押圧入力された場合には、ステップS39へと移行する。これに対して、加熱切スイッチ102が押圧入力されなかった場合には、ステップS40へと移行し、コイルユニット3による加熱動作を継続することになる。
【0108】
ステップS39では、コイルユニット3による加熱処理を終了させる。次に、ステップS41へ移行し、モーター125を回転させることにより、昇降テーブル120を下降限に向けて下降させる。この昇降テーブル120を下降させている際には、ステップS42へと常時移行し、昇降テーブル120が下降限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降テーブル120が下降限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS43へと移行し、それ以外の場合には再びステップS41へと移行し、昇降テーブル120を下降限へ向けて下降させることになる。ステップS43へ移行した場合には、モーター125の回転を停止させる。
【0109】
このステップS39〜ステップS43に至るまでのプロセスを通じて、コイルユニット3の加熱を終了させ、昇降テーブル120を下降させて処理動作を終了させることができる。その後、ステップS10へと戻ることになる。
【0110】
また、この図8、9に示すフローチャート全体を通じて、ベースプレート4aを幅方向Y又はその正反対方向へ移動させる際において、天板13の対面から離間させた状態でこれを実行することができることから、ベースプレート4aが天板13の底面にこすれたりぶつかることがなくなり、常にスムーズな移動を実現することが可能となる。
【0111】
なお、上述した図8、9に示すフローチャートでは、あくまで、コイルユニット3aによる加熱調理ならびに移動動作を実行する場合を例に挙げて説明をしたが、かかる場合に限定されるものではなく、例えばコイルユニット3b、3c等についても同様のフローに基づいて加熱調理並びに移動動作が実行されていくことになる。
【0112】
なお、本発明を適用したシステムキッチン1においては、ベースプレート4を、天板13上に載置された調理用容器20へ向けて自動的に移動制御するようにしてもよい。かかる場合においても、実際のベースプレート4の水平方向の移動動作、並びに昇降動作は、上述したとおりとなる。
【0113】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、ベースプレート4を天板13の幅方向に移動自在とする場合に限定されるものではなく、天板13の長手方向に移動自在となるように構成してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明を適用したシステムキッチンの斜視図である。
【図2】操作板の構成例を示す図である。
【図3】加熱調理領域Dの具体的な構成について説明するための図である。
【図4】(a)は、昇降ユニットの正面図であり、(b)は、昇降ユニットの側面図である。
【図5】水平方向移動ユニットの動作について説明するための図である。
【図6】コイルユニットのブロック構成図である。
【図7】駆動信号に基づいて生成される共振電流の例につき示す図である。
【図8】コイルユニットによる加熱調理ならびに移動動作を実行する例について説明をするためのフローチャートである。
【図9】コイルユニットによる加熱調理ならびに移動動作を実行する例について説明をするための他のフローチャートである。
【図10】本発明を適用したシステムキッチンの動作について説明するための図である。
【図11】従来におけるシステムキッチンを示す図である。
【図12】従来のシステムキッチンにおける問題点につき説明するための図である。
【図13】従来におけるコードレス機器の例につき説明するための図である。
【符号の説明】
【0115】
1 システムキッチン
4 ベースプレート
38 昇降ユニット
39 水平方向移動ユニット
120 昇降テーブル
121 シャフト
122 ガイド
123 円盤状偏心カム
124 モーターシャフト
125 モーター
131 モーター
132 円形小歯車
133 モーターシャフト
134 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも調理用領域として利用可能な天板と、
高周波磁界を発生するための誘導加熱コイルと上記誘導加熱コイルを駆動するインバータ回路とを有するとともに上記誘導加熱コイルからの磁界により調理用容器を誘導加熱可能なコイルユニットが搭載された平板状のベースプレートと、
上記ベースプレートを鉛直方向に昇降させることにより、上記天板の底面へ近接させ、又は離間させる昇降駆動手段と、
上記ベースプレートを水平方向に移動させる水平方向移動手段とを備え、
上記昇降駆動手段は、上記ベースプレートの底面から下方へ突出させたシャフトと、上記シャフト下端に当接されてなるとともに第1の駆動軸を軸心に対して偏心配置させた円盤状偏心カムと、上記第1の駆動軸を回転させる第1の回転駆動手段とを有し、上記第1の駆動軸の回転による上記円盤状偏心カムの偏心回転運動を上記シャフトの上下運動に変換することにより、上記ベースプレートを昇降させ、
上記水平方向移動手段は、上記ベースプレートの下部に設けられ先端に円形小歯車が設けられた第2の駆動軸を回転させる第2の回転駆動手段と、上記水平方向に移動させる方向に予め延長されてなるとともに歯形が形成されたレールとを有し、上記昇降駆動手段により上記ベースプレートが押し下げられている場合には、上記円形小歯車が上記レールにおける歯形に係合され、さらに上記第2の駆動軸を回転させることにより、上記レールにおける歯形に係合された上記円形歯車を介して上記ベースプレートを移動させること
を特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
上記昇降制御手段は、
上記水平方向移動手段により上記ベースプレートを移動させる際において、当該ベースプレートを上記天板の底面から離間させ、
上記コイルユニットにより上記調理用容器を誘導加熱させる際には、上記ベースプレートを上記天板の底面へ近接させること
を特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
上記ベースプレートは、天板の長手方向に複数列に亘り配列され、
上記水平方向移動手段は、上記ベースプレートを上記天板の幅方向に移動自在とすること
を特徴とする請求項1又は2記載のシステムキッチン。
【請求項4】
上記水平方向移動手段は、上記ベースプレートを上記天板の長手方向に移動自在とすること
を特徴とする請求項1又は2記載のシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−11397(P2009−11397A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173598(P2007−173598)
【出願日】平成19年6月30日(2007.6.30)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】