説明

システムデータの格納装置及び格納方法

【課題】システムデータを格納するための専用の構成部材を設けることなく、効率的にデータ格納を行なうことができるシステムデータの格納装置及び格納方法を提供する。
【解決手段】スピーカ11とマイクロホン12を含んで通報装置10が構成される。汎用装置17は、スピーカ18とマイクロホン19を含んで構成され、携帯電話機としての多種多様な機能を実行するための表示器20とテンキー21を含んで構成される。通報装置10におけるシステムデータの登録は、汎用装置17のスピーカ18から発せられる音声bをマイクロホン12で受けることによってデータ登録とこれに関連する制御がなされ、同時的に通報装置10のスピーカ11から発せられる音声aをマイクロホン19で受けることによってデータ登録とこれに関連する制御を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムデータの格納装置及び格納方法に関し、特に、第1の電子機器に対する各種のシステムデータを第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって実行するシステムデータの格納装置及び格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火災発生、機器の故障、不審者の侵入等々の異常事態を各種センサで検知したときに、事前に登録されている電話番号へダイヤルし、その状態を音声メッセージ等で知らせる動作を実行する装置が存在し、その装置には音声メッセージ録音用のマイクロホンや、メッセージ内容を確認するためのスピーカが搭載されている。
【0003】
このような装置を本明細書の記載では通報装置と称し、このような通報装置を含んで構成される装置を第1の電子機器と称する。
【0004】
また、この通報装置には事前に登録した電話番号へダイヤルして情報を伝えるための音声データを生成したり、あらかじめ録音した人の肉声を送出したりすることができる装置を含んで構成される例があり、一方、本明細書に記載の汎用装置とは、当該の第1の電子機器に対して音声データの制御を行うための装置であり、この汎用装置を含む装置を第2の電子機器と称し、携帯電話機やPDA等であり、本来の動作制御を行なうように指令するために設けられているテンキーやその他の操作ボタンを本来の使用と兼ねて用いる部材の構成部分の略称である。
【0005】
従来のシステムデータの格納装置の具体例を例えば図9に示すシステムデータの格納装置を参照して説明すると、図において通報装置1を含んで構成される第1の電子機器と、専用装置6との間に通信線が接続され、この通信線を用いて通報装置1と専用装置6の間で通信が行なわれるように構成されている。
【0006】
通報装置1は、第1の電子機器(携帯電話機)における所定の動作を実行するための表示器2とテンキー3を有すると共にスピーカ5とマイクロホン4を有して構成され、表示器2を見ながらテンキー3を操作することによって所定の相手との通話が、スピーカ5から発せられる通話相手からの音声と、マイクロホン4によって自分の声が通話相手に送信される。
【0007】
一方、通報装置1を含んで構成される第1の電子機器(携帯電話機)に対して機器外部からシステムデータを登録する場合には、専用装置6の有する表示器7の表示を見ながらテンキー8を操作することによって所望のシステムデータを通信線を介して通報装置1に送信することによってデータ登録を行なっている。
【0008】
また、[特許文献1]に開示されているボタン電話装置によれば、音声をマイクロホンから入力して自機器に記憶させ必要なときに該記憶された音声を出力するように構成した例もある。
【0009】
【特許文献1】特開平1−173993号公報(第1図、実施例の項に開示)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のシステムデータの格納装置及び格納方法においては、次のような問題がある。
【0011】
第1の問題は、システムデータを格納することに専用に用いられるテンキーや表示器等の専用構成部材を設けているので全体構成が大規模になると共に価格が上昇することである。
【0012】
また、これらの専用構成部材を設けずに、電話回線を利用してシステムデータの登録を行なうようなシステムも考えられるが、この場合には通信料が別途にかかってしまうという難点がある。
【0013】
第2の問題は、複数の通報装置で全て同じシステムデータ、または一部が同じシステムデータを使用したい場合、例えば複数の通報装置に対して同じ通報宛先の電話番号を登録しようとする場合には、複数台分の設定操作を複数機器に対して繰り返し行なわなければならず、煩雑作業をユーザーに強いることになるということである。
【0014】
そこで、本発明の目的は、システムデータを格納するための専用の構成部材を設けることなく、複数の電子機器に対して同じシステムデータ(一部が異なる場合を含む)を使用する場合に効率的にデータ格納を行なうことができるシステムデータの格納装置及び格納方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題を解決するため本発明のシステムデータの格納装置及び格納方法は次のような特徴的な構成を採用している。
【0016】
(1)第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器に設けられた放音部から発せられる音声を、前記第1の電子機器の有する受音部で受信することによって行なうシステムデータの格納装置であって、上記第2の電子機器に設けられる放音部は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声送出機能に兼用し、かつ前記第1の電子機器への放音を実行する機能を付加して構成するシステムデータの格納装置。
【0017】
(2)第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって行なうと共に、前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に対し、該第1の電子機器に格納されているシステムデータを該第2の電子機器に転送する指令を行ない得るシステムデータの格納装置であって、前記第2の電子機器に設けられる放音部は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声送出機能に兼用し、かつ前記第1の電子機器への放音を実行する機能を付加して構成するシステムデータの格納装置。
【0018】
(3)前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
登録の対象とするデータを所定の音階に対応付けて送出する上記(1)または(2)のシステムデータの格納装置。
【0019】
(4)前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
動作制御指令の対象とするデータを所定の音階に対応付けて送出する上記(3)のシステムデータの格納装置。
【0020】
(5)前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、該第1の電子機器へのデータ登録の対象とする基本データと、該基本データの開始と終了のそれぞれに対応させて予め設定した1つまたは複数の音階でなる付加データとから生成される上記(3)または(4)のシステムデータの格納装置。
【0021】
(6)前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、該第1の電子機器への動作制御指令の対象とする基本データと、該基本データの開始と終了のそれぞれに対応させて予め設定した1つまたは複数の音階でなる付加データとから生成する上記(5)のシステムデータの格納装置。
【0022】
(7)前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、登録の対象とする基本データに対応して予め設定された音階の音声に該音声の音階と異なる周波数の音声を重畳して生成する上記(5)のシステムデータの格納装置。
【0023】
(8)前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、動作制御指令の対象とする基本データに対応して予め設定された音階の音声に該音声の音階と異なる周波数の音声を重畳して生成する上記(5)のシステムデータの格納装置。
【0024】
(9)前記第2の電子機器から発せられる音声は、前記第1の電子機器または他の電子機器から発せられる音声を受信して得られたデータに対応している上記(1)乃至(8)のいずれかのシステムデータの格納装置。
【0025】
(10)前記第2の電子機器が複数設けられ、該複数の第2の電子機器のいずれかから前記第1の電子機器に対し、該第1の電子機器に格納されているシステムデータを該複数の第2の電子機器のそれぞれに転送する指令を行なうための転送制御部を前記第1の電子機器に設けた上記(2)乃至(9)のいずれかのシステムデータの格納装置。
【0026】
(11)第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって行なうシステムデータの格納方法であって、上記第2の電子機器から発せられる放音は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声を送出し得ると共に、前記第1の電子機器への放音を兼ねて送出するシステムデータの格納方法。
【0027】
(12)第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって行なうと共に、前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に対し、該第1の電子機器に格納されているシステムデータを該第2の電子機器に転送する指令を行ない得るシステムデータの格納方法であって、前記第2の電子機器に設けられる放音部は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声送出機能に兼用し、かつ前記第1の電子機器への放音を実行する機能を付加するシステムデータの格納方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、通報装置に元々あるマイクロホンおよびスピーカを使用してシステムデータの登録やコピーを行うため、別途に専用の入力手段を設ける必要がなくなり、構成の簡略化が図れる。
【0029】
また、マイクロホンやスピーカを介してやりとりする信号はDTMF信号等の音声帯域のものであるため、専用の外部機器を用意する必要はなく、パソコン等の汎用品(携帯電話、PHS等)である、第2の電子機器でシステムデータ格納を行うことができる。
【0030】
さらに、第2の電子機器(通報装置)に元々あるスピーカを利用して音声帯域の信号に変換したシステムデータを送出しているので、汎用機器で音声帯域の信号を録音、再生できれば、容易にシステムデータがコピーできることである。
【実施例1】
【0031】
本実施例のシステムデータの格納装置におけるデータの登録は、第1の電子機器の有する通報装置に対するシステムデータの登録と制御を行なう第2の電子機器(汎用装置)を、携帯電話機の有する着信メロディ等の楽曲作成機能を実行する構成を利用して行なう場合に本発明を適用した例である。
【0032】
本実施例は、通報装置10と汎用装置17でその要部が構成され、通報装置10と汎用装置17によってシステムデータの登録とその制御を行なわせることができ、通報装置10はスピーカ11とマイクロホン12を含んで構成され、汎用装置17にもスピーカ18とマイクロホン19が設けられ、携帯電話機としての多種多様な機能を実行するための表示器20とテンキー21を含んで構成されている。
【0033】
この通報装置10におけるシステムデータの登録は、汎用装置17の有するスピーカ18から発せられる音声bをマイクロホン12で受けることによってデータ登録とこれに関連する制御がなされ、同時的に通報装置10のスピーカ11から発せられる音声aをマイクロホン19で受けることによってデータ登録とこれに関連する制御を行なうことができる。
【0034】
通報装置10の詳細構成を示す図2において、通報装置10の全体を複合的に制御するためのCPU13が設けられ、これに送出手段14と検出手段15が接続されている。
【0035】
送出手段14は、通報装置におけるシステムデータの登録のためのデータをスピーカ11から発せられる音声帯域の信号を生成するもので、DTMF信号を生成して出力する手段、または音階信号を生成して出力する手段で構成され、検出手段15は、通報装置から発せられる音声を受けたマイクロホン12の信号を検出、即ち、DTMF信号を検出する手段、または音階信号を検出する手段で構成されている。
【0036】
なお、CPU13に接続されているメモリ16は、通報装置におけるシステムデータの登録に関して必要とされるデータの格納と、読み出しを行なうものである。
【0037】
このように構成される通報装置10に対する登録と制御を実行する汎用装置17は、図3に詳細構成を示すように、汎用装置17の全体を複合的に制御するためのCPU22が設けられ、これに送出手段23と検出手段24が接続されている。
【0038】
送出手段23は、通報装置におけるシステムデータの登録のためのデータをスピーカ18から発せられる音声帯域の信号を生成するもので、DTMF信号を生成して出力する手段、または音階信号を生成して出力する手段で構成され、検出手段24は、通報装置から発せられる音声を受けたマイクロホン19の信号を検出、即ち、DTMF信号を検出する手段、または音階信号を検出する手段で構成されている。
【0039】
CPU22に接続されているメモリ25は、通報装置におけるシステムデータの登録に関して必要とされるデータの格納と、読み出しを行なうものである。
【0040】
さらに、汎用装置17の有するCPU22には、表示器20とテンキー21が接続され、この表示器20は、汎用装置17の有するメイン動作、汎用装置17が例えば携帯電話機であった場合には、通常の音声通話やメール送受信に必要な多種の操作を確認するために用いられるものをシステムデータの登録のために兼用するものであり、システムデータの登録のために専用に設けられたものでは無く、汎用装置17のメイン動作のための表示機能をそのまま流用するものである。
【0041】
また、テンキー21は、汎用装置17の有するメイン動作、即ち携帯電話機の有する通常の音声通話やメール送受信に必要な多種の操作に用いられるものをシステムデータの登録のために兼用するものであり、システムデータの登録のために専用に設けられたものでは無く、汎用装置17のメイン動作のためのテンキー機能をそのまま流用するものである。
【0042】
なお、システムデータを容易にコピーできるシステムを構成する場合には、上述の構成に追加して、読み換えたシステムデータを帯域の信号で送出するDTMF信号送出手段、または音階送出手段、とスピーカ手段を構成要素として付加することが考えられる。
【0043】
以上のように構成された[実施例1]の動作を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、通報装置10においてシステムデータの作成を行なうのかコピーを行なうのかをステップS1において判定し、データ作成の実行の場合にはステップS5に移行し、データコピーの実行の場合にはステップS2に移行する。
【0044】
ステップS1でデータコピーと判定されたときには、ステップS2でコピー元である通報装置10のスピーカ11からDTMF信号に対応する音声、または音階信号に対応する音声を送出し、この音声を汎用装置17のマイクロホン19で受信し、ステップS3に移行し、汎用装置17の側で受信した信号に対応する音声を汎用装置17のスピーカ18から送出して通報装置10のマイクロホン12で受信する。
【0045】
そして、次のステップS4に移行し、コピー先である通報装置10ではマイクロホン12で受信した音声信号をシステムデータに読み替えて通報装置10の有するメモリ16に格納する。
【0046】
一方、ステップS1でデータ作成と判定されたときには、ステップS5に移行し、汎用装置17の表示器20の内容を確認しながらテンキー21を用いてシステムデータを入力し、次のステップS6に移行して、汎用装置17で入力されたシステムデータをCPU22による制御の基に送出手段23によって音声帯域の信号に変換され、この信号がスピーカ18に印加されることによってスピーカ18から音声が送出される。
【0047】
そして、ステップS7に移行し、通報装置10では汎用装置17のスピーカ18から発せられた音声をマイクロホン12で受信し、この内容をCPU13による制御の基にシステムデータに読み変えてCPU13に格納する。
【0048】
以上のようにして通報装置10と汎用装置17の間でシステムデータの登録に関する音声の送受がなされるのであるが、その具体的な信号形態について説明する。
【0049】
本例では汎用装置17を含んで携帯電話機が構成されているので、その楽曲作成機能を流用してシステムデータ登録用信号を生成する場合、信号形態がシリアル信号で第1音、第2音、第3音・・・というように生成され、第1音が固定データで、第2音が対象データで、第3音以降がデータ設定値である場合、これらの音が例えば図5に示すように、第1音26が固定データとされて「ド」の音階で設定開始とされ、第2音27が対象データとされ、「ド#」の音階が通報宛先電話番号に対応付けられ、「レ」の音階が通報装置10のIDに対応付けられ、「レ#」の音階がセンサ数に対応付けられる。
【0050】
また、第2音27の次に設定される第3音以降28は、最終音送出の後に無音状態が1秒以上経過したときにデータ終了とみなし、また、設定を継続する場合には第1音26へ戻り、固定データの設定から再び実行される。
【0051】
第3音以降28はデータ設定値であり、「ド」の音階が数字の「0」に対応付けられ、「ド#」の音階が数字の「1」に対応付けられ、「レ」の音階が数字の「2」に対応付けられ、「レ#」の音階が数字の「3」に対応付けられ、「ミ」の音階が数字の「4」に対応付けられ、「ファ」の音階が数字の「5」に対応付けられ、「ファ#」の音階が数字の「6」に対応付けられ、「ソ」の音階が数字の「7」に対応付けられ、「ソ#」の音階が数字の「8」に対応付けられ、「ラ」の音階が数字の「9」に対応付けられている。
【0052】
また、図6に示すように通報装置10と携帯電話機29(汎用装置17の構成要素を包含している)の間でのシステムデータの登録が、携帯電話機29から発せられる「ド・レ#・ミ」という音声であった場合には、最初の「ド」の音階発生で設定開始と判断され、次の「レ#」の音階発生で「センサ数」を対象データとするものと判断され、次の「ミ」の音階発生で対象データが「4」であると判断され、即ち、「センサ数が4である」という内容が携帯電話機29から通報装置10に伝達されるのである。
【実施例2】
【0053】
本発明の[実施例1]は、図1ないし図6を用いて説明した通りであり、その基本的構成を変更した例を[実施例2]として図7を用いて説明する。本例では、利用する音声帯域の信号について工夫し、DTMF信号または音階を、システムデータに変換する必要最小限のものとせず、利用する音声帯域の信号について、本来の対象データの前に開始信号を意味する音階信号を付加し、当該の対象データの直後に終了信号を意味する音階信号を付加することによってシステムデータの登録における秘匿性を向上させている。即ち、所定のユーザー以外の人がシステムデータの格納に関して勝手にシステムデータが変更されることがないように工夫している。
【0054】
即ち、データの開始と終了の箇所でシステムデータの前後を区切る決まりを設け、予め決められたデータパターンの入力でデータの開始と終了を特定することによってより確実なデータ入力を行なうことができるようにし、予め定められた所定の複数音階、例えば3つの音階を受信したときにデータ開始と判断し、予め設定された所定の複数音階を受信したときにデータ終了と判断するようにすることによってシステムデータが他人によって予期せずに変更されることを防止できる。
【0055】
その具体例は、本発明に係る第1の電子機器が汎用装置を含んで構成されるPDAを用いた場合には、図7に示すように、PDA31の中にMIDIファイルの編集再生ソフトウェアをインストールしておき、文字入力したデータ、即ち音階のドレミ表示データに対応する音声を生成することができる機能を利用し、PDA31の表示画面32に表示された文字の「ドレレ」という表示32aをシステムデータ開始信号とし、次の「ドレミ」という表示32bを本来のシステムデータとし、次の「ドシシ」という表示32cをシステムデータの終了とする。
【0056】
従って、最初の「ド」の音階発生で設定開始と判断され、次の「レ」の音階発生で「通報装置ID」を対象データとするものと判断され、次の「ミ」の音階発生で対象データが「4」であると判断され、即ち、「通報装置IDが4である」という内容がPDA31から通報装置10に伝達されるのである。
【実施例3】
【0057】
今まで説明した[実施例2]は、登録するシステムデータに対応する音声(音階)の前後に開始信号と終了信号を付加することによってシステムデータの登録における秘匿性を向上させることができるのであるが、さらに強力な秘匿性を持たせた例を[実施例3]として図8を用いて説明する。
【0058】
図8に示すPDA33は汎用装置を含んで構成され、PDA33の中にMIDIファイルの編集再生ソフトウェアをインストールしておき、文字入力したデータ、即ち音階のドレミ表示データに対応する音声を生成することができる機能を利用し、PDA33の表示画面34に表示された文字の「ドレミファソラシド」という表示34aをシステムデータ開始信号とし、次の「ドレミ」という表示34bを本来のシステムデータとし、次の「ドレミファ」という表示34cをシステムデータの終了とする。
【0059】
従って、表示34aにて範囲指定された「ドレミファソラシド」という音声が、通報装置10のマイクロホン12によって検知されると通報装置10の側で設定開始と判断され、次にPDA33から送出される音声(音階)が対象データであると判断され、最初の「ド」の音階発生で設定開始と判断され、次の「レ」の音階発生で「通報装置ID」を対象データとするものと判断され、次の「ミ」の音階発生で対象データが「4」であると判断され、即ち、「通報装置IDが4である」という内容がPDA33から通報装置10に伝達されるのである。
【0060】
一方、汎用装置から通報装置10に向けて送出されるシステムデータに対応する音声の音階(周波数)の付加成分をオクターブ4以下の音、即ち、987.77Hzの「シ」で作成し、この付加成分に対象データを意味する基本成分であるオクターブ5以上の音、即ち、1046.5Hzの「ド」を混合して通報装置10に向かって送出する。
【0061】
このような付加成分と基本成分の混合された音声を受けた通報装置10では、フィルタ回路により1kHz以下の音だけを取り出すことで、システムデータの成分を検出できる。
【0062】
通報装置はシステムデータを入力するための入力手段(テンキー等)を持たないが、マイクロホンから入力される音声帯域の信号(DTMF信号、音階等)を検出し、システムデータに変換してメモリに格納することができる。
【0063】
そのため、専用のシステムデータ設定器を用意しなくても、メモリに格納した音声帯域の信号をスピーカから送出できる汎用機器(パソコン、携帯電話、PHS等)があれば、システムデータを登録することができる。
【0064】
またそれらの汎用機器では、表示器で確認しながらテンキーでシステムデータを作成、編集することもできる。
【0065】
また通報装置のスピーカから、すでに登録されたシステムデータを音声帯域の信号で出力して、それを汎用機器のマイクロホンで受信後メモリに格納すれば、簡単にシステムデータをコピーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明によるシステムデータの格納装置の[実施例1]の基本回路ブロック図である。
【図2】図1中に示される通報装置の詳細なブロック回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1中に示される汎用装置の詳細なブロック回路構成を示すブロック図である。
【図4】図1ないし図3に示されるシステムデータの格納装置の[実施例1]の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】[実施例1]における第1音ないし第3音と、テンキーの数字との対応関係を示す図である。
【図6】[実施例1]における通報装置と携帯電話機のとの通信状態を示す図である。
【図7】本発明によるシステムデータの格納装置の[実施例2]の通報装置と汎用装置との通信状態を示す図である。
【図8】本発明によるシステムデータの格納装置の[実施例3]の通報装置と汎用装置との通信状態を示す図である。
【図9】従来のシステムデータの格納装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1 通報装置
2 表示器
3 テンキー
4 マイクロホン
5 スピーカ
6 専用装置
7 表示器
8 テンキー
10 通報装置
11 スピーカ
12 マイクロホン
13 CPU
14 送出手段
15 検出手段
16 メモリ
17 汎用装置
18 スピーカ
19 マイクロホン
20 表示器
21 テンキー
22 CPU
23 送出手段
24 検出手段
25 メモリ
26 第1音
27 第2音
28 第3音

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器に設けられた放音部から発せられる音声を、前記第1の電子機器の有する受音部で受信することによって行なうシステムデータの格納装置であって、
上記第2の電子機器に設けられる放音部は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声送出機能に兼用し、かつ前記第1の電子機器への放音を実行する機能を付加して構成することを特徴とするシステムデータの格納装置。
【請求項2】
第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって行なうと共に、
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に対し、該第1の電子機器に格納されているシステムデータを該第2の電子機器に転送する指令を行ない得るシステムデータの格納装置であって、
前記第2の電子機器に設けられる放音部は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声送出機能に兼用し、かつ前記第1の電子機器への放音を実行する機能を付加して構成することを特徴とするシステムデータの格納装置。
【請求項3】
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
登録の対象とするデータを所定の音階に対応付けて送出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシステムデータの格納装置。
【請求項4】
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
動作制御指令の対象とするデータを所定の音階に対応付けて送出することを特徴とする請求項3に記載のシステムデータの格納装置。
【請求項5】
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、該第1の電子機器へのデータ登録の対象とする基本データと、該基本データの開始と終了のそれぞれに対応させて予め設定した1つまたは複数の音階でなる付加データとから生成されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシステムデータの格納装置。
【請求項6】
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
該第1の電子機器への動作制御指令の対象とする基本データと、該基本データの開始と終了のそれぞれに対応させて予め設定した1つまたは複数の音階でなる付加データとから生成することを特徴とする請求項5に記載のシステムデータの格納装置。
【請求項7】
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
登録の対象とする基本データに対応して予め設定された音階の音声に該音声の音階と異なる周波数の音声を重畳して生成することを特徴とする請求項5に記載のシステムデータの格納装置。
【請求項8】
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に向けて放音される音声は、
動作制御指令の対象とする基本データに対応して予め設定された音階の音声に該音声の音階と異なる周波数の音声を重畳して生成することを特徴とする請求項5に記載の通報装置におけるシステムデータの格納装置。
【請求項9】
前記第2の電子機器から発せられる音声は、前記第1の電子機器または他の電子機器から発せられる音声を受信して得られたデータに対応していることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のシステムデータの格納装置。
【請求項10】
前記第2の電子機器が複数設けられ、該複数の第2の電子機器のいずれかから前記第1の電子機器に対し、該第1の電子機器に格納されているシステムデータを該複数の第2の電子機器のそれぞれに転送する指令を行なうための転送制御部を前記第1の電子機器に設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項9のいずれかに記載のシステムデータの格納装置。
【請求項11】
第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって行なうシステムデータの登録方法であって、
上記第2の電子機器から発せられる放音は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声を送出し得ると共に、前記第1の電子機器への放音を兼ねて送出することを特徴とするシステムデータの格納方法。
【請求項12】
第1の電子機器への音声登録データおよび/または該第1の電子機器への動作指令データでなるシステムデータの格納を、第2の電子機器から発せられる音声を受信することによって行なうと共に、
前記第2の電子機器から前記第1の電子機器に対し、該第1の電子機器に格納されているシステムデータを該第2の電子機器に転送する指令を行ない得る
システムデータの格納方法であって、
前記第2の電子機器に設けられる放音部は、該第2の電子機器の有する主動作を実行するための音声送出機能に兼用し、かつ前記第1の電子機器への放音を実行する機能を付加することを特徴とするシステムデータの格納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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