説明

シフト装置

【課題】第1係合部と第2係合部とが係合された際にシフト部材の操作を許容する。
【解決手段】シフトレバー装置10では、シフトレバー14が「D」シフト位置に操作された際に、捩りコイルスプリングの付勢力によって規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「D」溝38に係合される。ここで、第1部56の車両後側面は「D」溝38の車両後側面に係止されるため、シフトレバー14の車両前側への操作が規制される。一方、第1部56の下面は「D」溝38の車両前側面に係止されないため、捩りコイルスプリングの付勢力に抗して規制リンク54が「D」溝38の車両前側面によって上側に回動されて、シフトレバー14の車両後側への操作が許容される。このため、捩りコイルスプリングの付勢力によってシフトレバー14の操作に操作感を付与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト部材が操作されることでシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフトレバー装置では、ソレノイドのピンがディテントプレートの凹溝に係合されることで、シフトレバーの操作が規制される。さらに、シフトレバーのシフトロックボタンが操作された際やブレーキペダルが踏込まれた際には、ピンの凹溝への係合が解除されて、シフトレバーの操作が許容される。
【0003】
しかしながら、このシフトレバー装置では、ピンが凹溝に係合された際に、シフトレバーの一側及び他側の操作が規制される。
【0004】
ここで、ピンが凹溝に係合された際でも、シフトレバーの操作方向やシフト位置によっては、シフトレバーの操作が許容されるのが好ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−4458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、第1係合部と第2係合部とが係合された際にシフト部材の操作を許容できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のシフト装置は、操作されることでシフト位置が変更されるシフト部材と、第1係合部及び第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合されることで、前記シフト部材の一側への操作が規制されると共に、前記第1係合部と前記第2係合部との係合力が増加されつつ前記シフト部材の他側への操作が許容される係合機構と、を備えている。
【0008】
請求項2に記載のシフト装置は、操作されることでシフト位置が変更されるシフト部材と、第1係合部及び第2係合部を有し、前記第1係合部の第1部と前記第2係合部の第1位置とが係合される際と前記第1係合部の第2部と前記第2係合部の第2位置とが係合される際とで、前記シフト部材の一側及び他側への操作が規制される状態と前記シフト部材の一側及び他側への操作が許容される状態と前記シフト部材の一側への操作が規制されると共に前記シフト部材の他側への操作が許容される状態と前記シフト部材の一側への操作が許容されると共に前記シフト部材の他側への操作が規制される状態とのうちの2つの状態に切替えられる係合機構と、を備えている。
【0009】
請求項3に記載のシフト装置は、請求項1又は請求項2に記載のシフト装置において、操作されることで前記第1係合部と前記第2係合部との係合による前記シフト部材の操作の規制が解除される解除部を備えている。
【0010】
請求項4に記載のシフト装置は、請求項3に記載のシフト装置において、前記シフト部材に前記解除部を設けている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のシフト装置では、シフト部材が操作されることで、シフト位置が変更される。さらに、係合機構が第1係合部及び第2係合部を有しており、第1係合部と第2係合部とが係合されることで、シフト部材の一側への操作が規制される。
【0012】
ここで、第1係合部と第2係合部とが係合されることで、シフト部材の他側への操作が許容される。このため、第1係合部と第2係合部とが係合された際に、シフト部材の他側への操作を許容できる。
【0013】
さらに、シフト部材の他側への操作が許容される際には、第1係合部と第2係合部との係合力が増加される。このため、シフト部材の他側への操作に操作感を付与できる。
【0014】
請求項2に記載のシフト装置では、シフト部材が操作されることで、シフト位置が変更される。さらに、係合機構が第1係合部及び第2係合部を有している。
【0015】
ここで、第1係合部の第1部と第2係合部の第1位置とが係合される際と第1係合部の第2部と第2係合部の第2位置とが係合される際とで、シフト部材の一側及び他側への操作が規制される状態と、シフト部材の一側及び他側への操作が許容される状態と、シフト部材の一側への操作が規制されると共にシフト部材の他側への操作が許容される状態と、シフト部材の一側への操作が許容されると共にシフト部材の他側への操作が規制される状態と、のうちの2つの状態に切替えられる。このため、第1係合部と第2係合部とが係合された際に、シフト部材の操作を許容できる。
【0016】
さらに、第1係合部の第2係合部との係合部位及び第2係合部の第1係合部との係合位置が切替えられるのみで、シフト部材の操作の規制と許容とが切替えられる。このため、係合機構の構成を簡単にできる。
【0017】
請求項3に記載のシフト装置では、解除部が操作されることで、第1係合部と第2係合部との係合によるシフト部材の操作の規制が解除される。このため、シフト部材の操作の規制を容易に解除できる。
【0018】
請求項4に記載のシフト装置では、シフト部材に解除部が設けられている。このため、シフト部材の操作の規制を一層容易に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシフトレバー装置を示す車両右方から見た側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るシフトレバー装置の係合機構を示す車両後斜め右方から見た分解斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置の係合機構を示す車両後斜め左方から見た分解斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置のロック機構を示す車両前斜め右方から見た分解斜視図である。
【図5】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置においてシフトレバーが「D」シフト位置に操作された際を示す図であり、(A)は、車両左方から見た側面図であり、(B)は、車両後斜め左方から見た斜視図である。
【図6】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置においてシフトレバーが「N」シフト位置に操作された際を示す図であり、(A)は、車両左方から見た側面図であり、(B)は、車両後斜め左方から見た斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置においてシフトレバーが「N」シフト位置から「D」シフト位置に操作される際を示す図であり、(A)は、車両左方から見た側面図であり、(B)は、車両後斜め左方から見た斜視図である。
【図8】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置においてシフトレバーが「D」シフト位置から「N」シフト位置側に操作される際を示す図であり、(A)は、車両左方から見た側面図であり、(B)は、車両後斜め左方から見た斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置においてシフトレバーが「P」シフト位置に操作された際を示す車両右方から見た側面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置においてシフトレバーが「P」シフト位置から「R」シフト位置側に操作される際を示す車両右方から見た側面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るシフトレバー装置の係合機構を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るシフトレバー装置における係合ユニットを示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図13】(A)〜(D)は、本発明の第3の実施の形態に係るシフトレバー装置におけるシフトレバーの操作の規制状況を示す上方から見た断面図であり、(A)は、シフトレバーが「D」シフト位置に操作された際を示し、(B)は、シフトレバーが「N」シフト位置に操作された際を示し、(C)は、シフトレバーが「R」シフト位置に操作された際を示し、(D)は、シフトレバーが「P」シフト位置に操作された際を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置10が車両右方から見た側面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示す。
【0021】
本実施の形態に係るシフトレバー装置10は、所謂フロア式かつストレート式又はゲート式のものにされている。
【0022】
図1に示す如く、シフトレバー装置10には、設置部材としての箱状のボディ12が設けられており、ボディ12は、車両の車室における床部(フロア)の車両前側部かつ車両左右方向(車幅方向)中央部に固定されて、車体側に設置されている。また、ボディ12の上面は、上側に開放されている。
【0023】
ボディ12には、シフト部材としての略長尺円棒状のシフトレバー14が設けられている。シフトレバー14の下端は、回動軸16に支持されており、回動軸16は、ボディ12の下端に回転可能に支持されている。これにより、シフトレバー14が、回動軸16を中心として、車両前後方向へ操作(回動)可能にされている。
【0024】
シフトレバー14は、略板状のレバーサブ18に連結されており、レバーサブ18の下端は、回動軸16に支持されている。これにより、レバーサブ18が、シフトレバー14と一体に、回動軸16を中心として、車両前後方向へ回動可能にされている。
【0025】
シフトレバー14は、ボディ12から上側に延出されており、シフトレバー14の上端部には、把持部としてのノブ14Aが一体に設けられている。シフトレバー14は、車両の乗員(運転手)によりノブ14Aを把持された状態で、車両前後方向へ操作されることで、シフト位置が、所定シフト位置としての「P」シフト位置(パーキング位置)、「R」シフト位置(リバース位置)、「N」シフト位置(ニュートラル位置)、「D」シフト位置(ドライブ位置)に、車両前側から車両後側へ向けてこの順に変更される。また、ノブ14Aには、解除部としてのボタン20が設けられており、ボタン20は、操作(押圧)可能にされている。
【0026】
ボディ12とシフトレバー14との間には、節度機構22が設けられている。
【0027】
節度機構22には、節度部材としての板状の節度プレート24が設けられており、節度プレート24は、ボディ12の車両後側端に固定されている。節度プレート24には、断面三角形状(断面台形状でもよい)の節度溝26が複数(本実施の形態では4個)貫通形成されており、節度溝26は、節度プレート24の端面から開放されている。
【0028】
節度機構22には、節度付勢手段としての長尺板状の節度スプリング28が設けられている。節度スプリング28の基端は、レバーサブ18(シフトレバー14でもよい)に固定されており、節度スプリング28の先端は、節度プレート24側に突出されている。
【0029】
シフトレバー14が「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に配置される際には、節度スプリング28が付勢力により先端を節度プレート24の節度溝26に係合(挿入)されることで、シフトレバー14の車両前後方向への回動(移動)が制限されて、シフトレバー14のシフト位置が保持される。
【0030】
シフトレバー14のシフト位置が変更される際には、節度スプリング28が付勢力に抗して先端を節度溝26から離脱されて付勢力を増加された後に、節度スプリング28が付勢力によって先端を他の節度溝26に挿入されて付勢力を減少される。このため、シフトレバー14の操作力が節度スプリング28の付勢力によって増加された後に減少されて、シフトレバー14の操作に節度感が付与される。
【0031】
ボディ12とシフトレバー14との間には、係合機構30(規制機構)が設けられている。
【0032】
図1及び図2に示す如く、係合機構30には、第2係合部としての金属製で略板状のディテントプレート32が設けられており、ディテントプレート32は、レバーサブ18(シフトレバー14でもよい)の車両右側に固定されて、シフトレバー14及びレバーサブ18と一体に車両前後方向へ回動可能にされている。
【0033】
ディテントプレート32には、第1位置(第1係合部位)としての「R」溝34、「N」溝36及び「D」溝38が貫通形成されており、「R」溝34、「N」溝36及び「D」溝38は、ディテントプレート32の端面から上側に開放されている。「R」溝34、「N」溝36及び「D」溝38は、車両後側から車両前側へ向けてこの順で配置されており、「R」溝34、「N」溝36及び「D」溝38は、断面三角形状にされて、車両後側面(規制面)が車両前側面(許容面)に比し、底部におけるシフトレバー14の回動接線方向に対する傾斜角度を大きくされている。
【0034】
ディテントプレート32には、第2位置(第2係合部位)としての略三角形柱状の「P」突起40が一体に形成されており、「P」突起40は、「R」溝34の車両後側かつ車両左側において、車両後側に突出されている。
【0035】
係合機構30には、係合ユニット42が設けられており、係合ユニット42は、ボディ12の車両右側に組付けられている。係合ユニット42には、金属製で箱状のケース44が設けられており、ケース44がボディ12に固定されることで、係合ユニット42がボディ12に組付けられている。また、ケース44の車両左側面は、開放されている。
【0036】
ケース44内には、係合手段としてのソレノイド46が固定されており、ソレノイド46では、本体部46Aからプランジャ46Bが車両前側に突出されている。プランジャ46Bは、本体部46Aに対し車両前後方向へ移動自在にされており、ソレノイド46が駆動された際には、プランジャ46Bが本体部46A内に吸引されて車両後側へ移動される。
【0037】
ケース44内には、作動部材としての樹脂製で側面視略T字状の作動リンク48が回転可能に支持されている。作動リンク48には、駆動部50が設けられており、駆動部50は、下側に延出されている。駆動部50は、ソレノイド46のプランジャ46Bに係合されており、プランジャ46Bと一体に駆動部50が移動されることで、作動リンク48が回転可能にされている。作動リンク48には、作動部52が設けられており、作動部52は、駆動部50の上端から車両後側に延出されている。作動部52は、平面視L字状にされており、作動部52の先端部52Aは、車両左方に延出されると共に、円柱状にされている。
【0038】
ケース44内には、第1係合部(規制部材)としての金属製の規制リンク54が回動可能に支持されている。
【0039】
規制リンク54には、略矩形板状の第1部56が設けられており、規制リンク54は、第1部56の車両前側部において、ケース44内に回動可能に支持されている。第1部56の車両後側部には、長孔58が貫通形成されており、長孔58内には、作動リンク48における作動部52の先端部52Aが挿入されている。作動部52の先端部52Aは、長孔58の長手方向に沿って移動可能にされており、作動リンク48が回転されることで、作動部52の先端部52Aが長孔58の長手方向に沿って移動されて、規制リンク54が回動される。
【0040】
規制リンク54には、略L字形板状の第2部60が設けられており、第2部60は、第1部56の車両後側端に一体に連結されて、第1部56の車両左側に配置されている。第2部60は、第1部56に対し車両後側に延出されており、第2部60の先端側部分は、下側に延出されている。
【0041】
ケース44と作動リンク48との間には、付勢手段としての捩りコイルスプリング62が掛渡されており、捩りコイルスプリング62は、作動リンク48を駆動部50が車両前側へ向かう方向かつ作動部52が下側へ向かう方向に付勢して、規制リンク54を下側に付勢している。このため、捩りコイルスプリング62の付勢力によって、規制リンク54がディテントプレート32に係合されている。
【0042】
上記ボタン20及びソレノイド46は、制御装置64に電気的に接続されている。制御装置64には、車両の解除部としてのブレーキ66が電気的に接続されており、ブレーキ66が操作(押圧)されることで、車両が制動される。制御装置64は、ソレノイド46を制御可能にされており、制御装置64は、ボタン20やブレーキ66の操作により、ソレノイド46を駆動可能にされている。
【0043】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0044】
以上の構成のシフトレバー装置10では、シフトレバー14が、乗員によりノブ14Aを把持された状態で、車両前後方向へ操作されることで、シフト位置が、「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に変更される。
【0045】
節度機構22では、シフトレバー14が「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に配置される際に、節度スプリング28が付勢力により先端を節度プレート24の節度溝26に係合されることで、シフトレバー14のシフト位置が保持される。さらに、シフトレバー14のシフト位置が変更される際には、節度スプリング28の先端が節度溝26から離脱された後に他の節度溝26に挿入されることで、シフトレバー14の操作力が増加された後に減少されて、シフトレバー14の操作に節度感が付与される。
【0046】
係合機構30では、シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された際に、捩りコイルスプリング62の付勢力によって規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」突起40に係合される。このため、シフトレバー14の車両後側への操作が規制(ロック)されることで、シフトレバー14の「P」シフト位置から「R」シフト位置への操作が規制される。
【0047】
シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20及びブレーキ66が操作された際には、制御装置64の制御によりソレノイド46が駆動されて、プランジャ46Bが本体部46A内への吸引により車両後側へ移動されることで、捩りコイルスプリング62の付勢力に抗して、作動リンク48が回転されて、規制リンク54が上側に回動される。これにより、規制リンク54(第2部60)の「P」突起40への係合が解除されることで、シフトレバー14の車両後側への操作が許容されて、シフトレバー14の「P」シフト位置から「R」シフト位置への操作が許容される。
【0048】
シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された際には、それぞれ捩りコイルスプリング62の付勢力によって規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38に係合(挿入)される。
【0049】
この際には、第1部56の下面は、「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両前側面に係止されない。このため、それぞれ、捩りコイルスプリング62の付勢力に抗して、規制リンク54が「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両前側面によって上側に回動されると共に、作動リンク48が回転されることで、第1部56の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38への係合が解除されて、シフトレバー14の車両後側への操作が許容される。これにより、シフトレバー14の「R」シフト位置から「N」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「D」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から車両後側への操作が許容される。
【0050】
一方、第1部56の車両後側面は、「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両後側面に係止される。このため、それぞれ、シフトレバー14の車両前側への操作が規制(ロック)されて、シフトレバー14の「R」シフト位置から「P」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「R」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から「N」シフト位置への操作が規制される。
【0051】
シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20が操作された際には、制御装置64の制御によりソレノイド46が駆動されて、プランジャ46Bが本体部46A内への吸引により車両後側へ移動されることで、捩りコイルスプリング62の付勢力に抗して、作動リンク48が回転されて、規制リンク54が上側に回動される。これにより、それぞれ、第1部56の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38への係合が解除されることで、シフトレバー14の車両前側への操作が許容されて、シフトレバー14の「R」シフト位置から「P」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「R」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から「N」シフト位置への操作が許容される。
【0052】
ここで、シフトレバー14が「R」シフト位置から「N」シフト位置へ操作される際、シフトレバー14が「N」シフト位置から「D」シフト位置へ操作される際、シフトレバー14が「D」シフト位置から車両後側へ操作される際には、それぞれ、捩りコイルスプリング62の付勢力に抗して、規制リンク54が「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両前側面によって上側に回動されると共に、作動リンク48が回転されることで、捩りコイルスプリング62の付勢力が増加されて、第1部56の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38への係合力が増加される。
【0053】
このため、上述の如く節度スプリング28の付勢力によってシフトレバー14の操作に操作感を付与できるのみならず、捩りコイルスプリング62の付勢力によってもシフトレバー14の操作に操作感を付与できる。これにより、シフトレバー14の操作に効果的に節度感を付与できる。
【0054】
また、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」突起40に係合されることで、シフトレバー14の車両後側への操作が規制される。一方、規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38に係合されることで、シフトレバー14の車両前側への操作が規制されると共に、シフトレバー14の車両後側への操作が許容される。このため、規制リンク54のディテントプレート32との係合部位及びディテントプレート32の規制リンク54との係合位置を切替えるのみで、シフトレバー14の車両後側への操作の規制と許容とを切替えることができる。これにより、部品点数を減少させることができて、係合機構30の構成を簡単にできる。
【0055】
さらに、ノブ14Aのボタン20やブレーキ66が操作されることで、規制リンク54とディテントプレート32との係合によるシフトレバー14の操作の規制が解除される。このため、シフトレバー14の操作の規制を容易に解除できる。
【0056】
しかも、ノブ14Aにボタン20が設けられている。このため、シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された状態では、シフトレバー14の操作の規制を一層容易に解除できる。
【0057】
また、ノブ14Aのボタン20が係合機構30に電気的に接続されているため、ノブ14Aのボタン20を係合機構30に連絡する機械的な連絡機構が不要である。このため、部品点数を少なくできて、シフトレバー14(ノブ14Aを含む)の構成を簡単にでき、コストを低減できると共に、シフトレバー14の電気化を図ることができて、ノブ14Aの意匠性を高めることができる(例えばノブ14Aにイルミネーションを設けることができる)。しかも、ボタン20を操作した際の操作音の発生を抑制できると共に、ボタン20の操作フィーリングを向上できる。
【0058】
さらに、ソレノイド46のみによって、シフトレバー14の「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置からの操作を規制可能にされている。このため、係合ユニット42の構成を簡単にでき、係合ユニット42を省スペースで構築できる。これにより、コストを低減できるのみならず、スペースを低減できて、例えば係合ユニット42をボディ12内に構築できる(ケース44を不要にできる)。
【0059】
なお、本実施の形態では、係合機構30において、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」突起40に係合された際に、シフトレバー14の車両前側への操作が許容されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が規制され、かつ、規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38に係合された際に、シフトレバー14の車両前側への操作が規制されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が許容される。
【0060】
しかしながら、係合機構30において、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」突起40に係合された際と規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38に係合された際とで、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が規制される状態と、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が許容される状態と、シフトレバー14の車両前側への操作が許容されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が規制される状態と、シフトレバー14の車両前側への操作が規制されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が許容される状態と、のうちの2つの状態に切替えられればよい。
【0061】
[第2の実施の形態]
図3には、本発明の第2の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置70の係合機構30が車両後斜め左方から見た分解斜視図にて示されている。
【0062】
本実施の形態に係るシフトレバー装置70は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0063】
図3に示す如く、本実施の形態に係るシフトレバー装置70では、係合機構30において、ディテントプレート32がレバーサブ18(シフトレバー14でもよい)の車両左側に固定されており、ディテントプレート32には、「P」突起40が形成されていない。
【0064】
係合機構30の係合ユニット42は、ボディ12の車両左側に組付けられており、係合ユニット42のケース44の車両右側面は、開放されている。
【0065】
ケース44内のソレノイド46では、本体部46Aからプランジャ46Bが車両後側に突出されており、ソレノイド46は、駆動されて、プランジャ46Bが本体部46A内に付勢力に抗して吸引されている。ソレノイド46の駆動が停止された際には、プランジャ46Bが本体部46Aに対し付勢力により車両後側に移動される。
【0066】
作動リンク48では、駆動部50と作動部52とが別体にされており、駆動部50の上端には、作動部52の基端(車両前側端)が回動可能に組付けられている。駆動部50と作動部52との間には、捩りコイルスプリング62が掛渡されており、捩りコイルスプリング62が作動部52を駆動部50に対し下側へ付勢することで、駆動部50が作動部52の下側への回動を係止している。また、作動部52の先端部52Aは、車両右方に延出されている。
【0067】
規制リンク54には、第1部56のみが設けられて、第2部60は設けられていない。規制リンク54(第1部56)は、車両前側部において、ボディ12の車両左側(ケース44内でもよい)に回動可能に支持されており、規制リンク54(第1部56)は、ディテントプレート32に係合されている。
【0068】
図4に示す如く、ボディ12とシフトレバー14との間には、ロック機構72(シフトロック機構)が設けられている。
【0069】
ロック機構72には、第2ロック部としての金属製で略板状のロックプレート74が設けられており、ロックプレート74は、レバーサブ18(シフトレバー14でもよい)の車両右側に固定されて、シフトレバー14及びレバーサブ18と一体に車両前後方向へ回動可能にされている。
【0070】
ロックプレート74には、ロック位置(ロック部位)としての「P」溝76が貫通形成されており、「P」溝76は、ロックプレート74の端面から上側に開放されている。「P」溝76は、断面三角形状にされており、「P」溝76は、車両前側面(ロック面)が車両後側面に比し、底部におけるシフトレバー14の回動接線方向に対する傾斜角度を大きくされている。
【0071】
ロック機構72には、ロックユニット78が設けられており、ロックユニット78は、ボディ12の車両右側に組付けられている。ロックユニット78には、金属製で箱状のロックケース80が設けられており、ロックケース80がボディ12に固定されることで、ロックユニット78がボディ12に組付けられている。また、ロックケース80の車両左側面は、開放されている。
【0072】
ロックケース80内には、ロック手段としてのロックソレノイド82が固定されており、ロックソレノイド82では、本体部82Aからプランジャ82Bが車両後側に突出されている。プランジャ82Bは、本体部82Aに対し車両前後方向へ移動自在にされており、ロックソレノイド82が駆動された際には、プランジャ82Bが本体部82A内に吸引されて車両前側へ移動される。
【0073】
ロックケース80内には、駆動部材としての樹脂製で側面視略L字状の駆動リンク84が回転可能に支持されている。駆動リンク84には、駆動部86が設けられており、駆動部86は、下側に延出されている。駆動部86は、ロックソレノイド82のプランジャ82Bに係合されており、プランジャ82Bと一体に駆動部86が移動されることで、駆動リンク84が回転可能にされている。駆動リンク84には、作動部88が設けられており、作動部88は、駆動部86の上端から車両前側に延出されている。作動部88は、平面視L字状にされており、作動部88の先端部88Aは、車両左方に延出されると共に、円柱状にされている。
【0074】
駆動リンク84の作動部88の車両左側には、第1ロック部としての金属製で略矩形板状のロックリンク90が設けられており、ロックリンク90は、車両後側部において、ボディ12の車両右側(ロックケース80内でもよい)に回動可能に支持されている。ロックリンク90の車両前側部には、長孔92が貫通形成されており、長孔92内には、駆動リンク84における作動部88の先端部88Aが挿入されている。作動部88の先端部88Aは、長孔92の長手方向に沿って移動可能にされており、駆動リンク84が回転されることで、作動部88の先端部88Aが長孔92の長手方向に沿って移動されて、ロックリンク90が回動される。
【0075】
ロックケース80と駆動リンク84との間には、ロック付勢手段としてのトーションスプリング94(捩りコイルスプリング)が掛渡されており、トーションスプリング94は、駆動リンク84を駆動部86が車両後側へ向かう方向かつ作動部88が下側へ向かう方向に付勢して、ロックリンク90を下側に付勢している。このため、トーションスプリング94の付勢力によって、ロックリンク90がロックプレート74に係合されている。
【0076】
上記ロックソレノイド82は、制御装置64に電気的に接続されている。制御装置64は、ロックソレノイド82を制御可能にされており、制御装置64は、ノブ14Aのボタン20の操作及びブレーキ66の操作により、ロックソレノイド82を駆動可能にされている。また、制御装置64は、ボタン20の操作により、ソレノイド46の駆動を停止可能にされている。
【0077】
ところで、図9に示す如く、ロック機構72では、シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された際に、トーションスプリング94の付勢力によってロックリンク90がロックプレート74の「P」溝76に係合(挿入)される。このため、ロックリンク90の車両前側面が「P」溝76の車両前側面に係止されて、シフトレバー14の車両後側への操作が規制(ロック)されることで、シフトレバー14の「P」シフト位置から「R」シフト位置への操作が規制される。
【0078】
図10に示す如く、シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20及びブレーキ66が操作された際には、制御装置64の制御によりロックソレノイド82が駆動されて、プランジャ82Bが本体部82A内への吸引により車両前側へ移動されることで、トーションスプリング94の付勢力に抗して、駆動リンク84が回転されて、ロックリンク90が上側に回動される。これにより、ロックリンク90の「P」溝76への係合が解除されることで、シフトレバー14の車両後側への操作が許容されて、シフトレバー14の「P」シフト位置から「R」シフト位置への操作が許容される。
【0079】
例えば図5の(A)及び(B)と図6の(A)及び(B)とに示す如く、係合機構30では、制御装置64の制御によりソレノイド46が駆動されて、プランジャ46Bが本体部46A内に付勢力に抗して吸引されている。このため、シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された際には、それぞれ捩りコイルスプリング62の付勢力によって規制リンク54(第1部56)がディテントプレート32の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38に係合(挿入)される。
【0080】
この際には、規制リンク54(第1部56)の下面は、「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両前側面に係止されない。このため、例えば図7の(A)及び(B)に示す如く、それぞれ、捩りコイルスプリング62の付勢力に抗して、規制リンク54が「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両前側面によって上側に回動されると共に、作動リンク48において作動部52が駆動部50に対し上側に回動されることで、規制リンク54(第1部56)の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38への係合が解除されて、シフトレバー14の車両後側への操作が許容される。これにより、シフトレバー14の「R」シフト位置から「N」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「D」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から車両後側への操作が許容される。
【0081】
一方、規制リンク54(第1部56)の車両後側面は、「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両後側面に係止される。このため、それぞれ、シフトレバー14の車両前側への操作が規制(ロック)されて、シフトレバー14の「R」シフト位置から「P」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「R」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から「N」シフト位置への操作が規制される。
【0082】
例えば図8の(A)及び(B)に示す如く、シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20が操作された際には、制御装置64の制御によりソレノイド46の駆動が停止されて、プランジャ46Bが本体部46Aに対し付勢力により車両後側に移動されることで、作動リンク48が回転されて、規制リンク54が上側に回動される。これにより、それぞれ、規制リンク54(第1部56)の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38への係合が解除されることで、シフトレバー14の車両前側への操作が許容されて、シフトレバー14の「R」シフト位置から「P」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「R」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から「N」シフト位置への操作が許容される。
【0083】
ここで、シフトレバー14が「R」シフト位置から「N」シフト位置へ操作される際、シフトレバー14が「N」シフト位置から「D」シフト位置へ操作される際、シフトレバー14が「D」シフト位置から車両後側へ操作される際には、それぞれ、捩りコイルスプリング62の付勢力に抗して、規制リンク54が「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38の車両前側面によって上側に回動されると共に、作動部52が駆動部50に対し上側に回動されることで、捩りコイルスプリング62の付勢力が増加されて、規制リンク54(第1部56)の「R」溝34、「N」溝36、「D」溝38への係合力が増加される。
【0084】
このため、節度スプリング28の付勢力によってシフトレバー14の操作に操作感を付与できるのみならず、捩りコイルスプリング62の付勢力によってもシフトレバー14の操作に操作感を付与できる。これにより、シフトレバー14の操作に効果的に節度感を付与できる。
【0085】
さらに、ノブ14Aのボタン20やブレーキ66が操作されることで、ロックリンク90とロックプレート74との係合又は規制リンク54とディテントプレート32との係合によるシフトレバー14の操作の規制が解除される。このため、シフトレバー14の操作の規制を容易に解除できる。
【0086】
しかも、ノブ14Aにボタン20が設けられている。このため、シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された状態では、シフトレバー14の操作の規制を一層容易に解除できる。
【0087】
また、ノブ14Aのボタン20がロック機構72及び係合機構30に電気的に接続されているため、ノブ14Aのボタン20をロック機構72及び係合機構30に連絡する機械的な連絡機構が不要である。このため、部品点数を少なくできて、シフトレバー14(ノブ14Aを含む)の構成を簡単にでき、コストを低減できると共に、シフトレバー14の電気化を図ることができて、ノブ14Aの意匠性を高めることができる(例えばノブ14Aにイルミネーションを設けることができる)。しかも、ボタン20を操作した際の操作音の発生を抑制できると共に、ボタン20の操作フィーリングを向上できる。
【0088】
[第3の実施の形態]
図11には、本発明の第3の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置100の係合機構30が車両前斜め左方から見た斜視図にて示されている。
【0089】
本実施の形態に係るシフトレバー装置100は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0090】
図11に示す如く、本実施の形態に係るシフトレバー装置100では、係合機構30において、ディテントプレート32が、レバーサブ18内(シフトレバー14でもよい)に固定されて、シフトレバー14及びレバーサブ18と一体に車両前後方向へ回動可能にされている。
【0091】
ディテントプレート32には、第1位置(第1係合部位)としての断面円状の「R」孔102及び「N」孔104が貫通形成されており、「R」孔102及び「N」孔104は、車両後側から車両前側へ向けてこの順で配置されている。また、「R」孔102及び「N」孔104の径は、等しくされている。
【0092】
ディテントプレート32には、第2位置(第2係合部位)としての断面円状の「P」孔106及び「D」孔108が貫通形成されており、「P」孔106は、「R」孔102の車両後側に配置されると共に、「D」孔108は、「N」孔104の車両前側に配置されている。また、「P」孔106及び「D」孔108の径は、等しくされると共に、「R」孔102及び「N」孔104の径に比し、大きくされている。
【0093】
図11及び図12に示す如く、係合ユニット42には、ケース44が設けられていない。
【0094】
係合ユニット42では、ソレノイド46の本体部46Aがボディ12に固定されており、これにより、係合ユニット42がボディ12に組付けられている。ソレノイド46では、プランジャ46Bが、本体部46Aから車両右側に突出されると共に、本体部46Aに対し車両左右方向へ移動可能にされており、プランジャ46Bは、本体部46Aに対し付勢手段(図示省略)の付勢力により車両左側に配置されている。ソレノイド46が駆動された際には、プランジャ46Bが本体部46Aに対し付勢手段の付勢力に抗して車両右側へ移動される。
【0095】
作動リンク48は、略柱状にされており、作動リンク48の下端は、プランジャ46Bの車両右側端部に固定されている。作動リンク48は、プランジャ46Bから上側に延出されており、作動リンク48は、ソレノイド46のプランジャ46Bと一体に車両左右方向へ移動可能にされている。
【0096】
規制リンク54は、作動リンク48の上端部に固定されており、規制リンク54は、作動リンク48と一体に車両左右方向へ移動可能にされている。規制リンク54には、略円柱状の規制部54Aが設けられており、規制部54Aは、車両左側に突出されている。
【0097】
規制部54Aの車両左側部分には、略円柱状の第1部56が設けられており、第1部56の車両後側面(規制面)は、半円周面状にされると共に、第1部56の車両前側面(許容面)は、平面状にされて、車両後側へ向かうに従い車両左側へ向かう方向に傾斜されている。規制部54Aの車両右側部分には、円柱状の第2部60が設けられており、第2部60の径は、第1部56の径に比し、大きくされている。第1部56又は第2部60は、付勢手段の付勢力により、ディテントプレート32の「R」孔102、「N」孔104、「P」孔106又は「D」孔108に係合(挿入)可能にされており、第1部56がディテントプレート32の「R」孔102、「N」孔104に係合にされる際には、第2部60の車両左側面がディテントプレート32に当接される。
【0098】
ところで、係合機構30では、図13の(A)及び(D)に示す如く、シフトレバー14が「P」シフト位置、「D」シフト位置に操作された際に、それぞれ、付勢手段の付勢力によって、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」孔106、「D」孔108に係合される。このため、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が規制(ロック)されることで、シフトレバー14の「P」シフト位置から「R」シフト位置への操作、シフトレバー14の「D」シフト位置から「N」シフト位置への操作が規制される。
【0099】
シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20及びブレーキ66が操作された際には、制御装置64の制御によりソレノイド46が駆動されて、付勢手段の付勢力に抗して、プランジャ46Bが本体部46Aに対し車両右側へ移動されることで、作動リンク48及び規制リンク54が車両右側へ移動されて、規制リンク54の「P」孔106への係合が解除される。これにより、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が許容されて、シフトレバー14の「P」シフト位置から「R」シフト位置への操作が許容される。
【0100】
シフトレバー14が「D」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20が操作された際には、制御装置64の制御によりソレノイド46が駆動されて、付勢手段の付勢力に抗して、プランジャ46Bが本体部46Aに対し車両右側へ移動されることで、作動リンク48及び規制リンク54が車両右側へ移動されて、規制リンク54の「D」孔108への係合が解除される。これにより、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が許容されて、シフトレバー14の「D」シフト位置から「N」シフト位置への操作が許容される。
【0101】
図13の(B)及び(C)に示す如く、シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置に操作された際には、それぞれ付勢手段の付勢力によって規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」孔102、「N」孔104に係合される。
【0102】
この際には、第1部56の車両前側面は、「R」孔102、「N」孔104の車両前側面に係止されない。このため、それぞれ、付勢手段の付勢力に抗して、規制リンク54が「R」孔102、「N」孔104の車両前側面によって車両右側に移動されることで、規制リンク54の「R」孔102、「N」孔104への係合が解除されて、シフトレバー14の車両後側への操作が許容される。これにより、シフトレバー14の「R」シフト位置から「N」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「D」シフト位置への操作が許容される。
【0103】
一方、第1部56の車両後側面は、「R」孔102、「N」孔104の車両後側面に係止される。このため、それぞれ、シフトレバー14の車両前側への操作が規制(ロック)されて、シフトレバー14の「R」シフト位置から「P」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「R」シフト位置への操作が規制される。
【0104】
シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20が操作された際には、制御装置64の制御によりソレノイド46が駆動されて、付勢手段の付勢力に抗して、プランジャ46Bが本体部46Aに対し車両右側へ移動されることで、作動リンク48及び規制リンク54が車両右側へ移動される。これにより、それぞれ、規制リンク54の「R」孔102、「N」孔104への係合が解除されることで、シフトレバー14の車両前側への操作が許容されて、シフトレバー14の「R」シフト位置から「P」シフト位置への操作、シフトレバー14の「N」シフト位置から「R」シフト位置への操作が許容される。
【0105】
ここで、シフトレバー14が「R」シフト位置から「N」シフト位置へ操作される際、シフトレバー14が「N」シフト位置から「D」シフト位置へ操作される際には、それぞれ、付勢手段の付勢力に抗して、規制リンク54が「R」孔102、「N」孔104の車両前側面によって車両右側に移動されることで、付勢手段の付勢力が増加されて、第1部56の「R」孔102、「N」孔104への係合力が増加される。
【0106】
このため、節度スプリング28の付勢力によってシフトレバー14の操作に操作感を付与できるのみならず、付勢手段の付勢力によってもシフトレバー14の操作に操作感を付与できる。これにより、シフトレバー14の操作に効果的に節度感を付与できる。
【0107】
また、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」孔106、「D」孔108に係合されることで、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が規制される。一方、規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」孔102、「N」孔104に係合されることで、シフトレバー14の車両前側への操作が規制されると共に、シフトレバー14の車両後側への操作が許容される。このため、規制リンク54のディテントプレート32との係合部位及びディテントプレート32の規制リンク54との係合位置を切替えるのみで、シフトレバー14の車両後側への操作の規制と許容とを切替えることができる。これにより、部品点数を減少させることができて、係合機構30の構成を簡単にできる。
【0108】
さらに、ノブ14Aのボタン20やブレーキ66が操作されることで、規制リンク54とディテントプレート32との係合によるシフトレバー14の操作の規制が解除される。このため、シフトレバー14の操作の規制を容易に解除できる。
【0109】
しかも、ノブ14Aにボタン20が設けられている。このため、シフトレバー14が「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置に操作された状態では、シフトレバー14の操作の規制を一層容易に解除できる。
【0110】
また、ノブ14Aのボタン20が係合機構30に電気的に接続されているため、ノブ14Aのボタン20を係合機構30に連絡する機械的な連絡機構が不要である。このため、部品点数を少なくできて、シフトレバー14(ノブ14Aを含む)の構成を簡単にでき、コストを低減できると共に、シフトレバー14の電気化を図ることができて、ノブ14Aの意匠性を高めることができる(例えばノブ14Aにイルミネーションを設けることができる)。しかも、ボタン20を操作した際の操作音の発生を抑制できると共に、ボタン20の操作フィーリングを向上できる。
【0111】
さらに、ソレノイド46のみによって、シフトレバー14の「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置からの操作を規制可能にされている。このため、係合ユニット42の構成を簡単にでき、係合ユニット42を省スペースで構築できる。これにより、コストを低減できるのみならず、スペースを低減できて、例えば係合ユニット42をボディ12内に構築できる。
【0112】
なお、本実施の形態では、係合機構30において、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」孔106、「D」孔108に係合された際に、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が規制され、かつ、規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」孔102、「N」孔104に係合された際に、シフトレバー14の車両前側への操作が規制されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が許容される。
【0113】
しかしながら、係合機構30において、規制リンク54の第2部60がディテントプレート32の「P」孔106、「D」孔108に係合された際と規制リンク54の第1部56がディテントプレート32の「R」孔102、「N」孔104に係合された際とで、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が規制される状態と、シフトレバー14の車両前側及び車両後側への操作が許容される状態と、シフトレバー14の車両前側への操作が許容されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が規制される状態と、シフトレバー14の車両前側への操作が規制されると共にシフトレバー14の車両後側への操作が許容される状態と、のうちの2つの状態に切替えられればよい。
【0114】
さらに、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20及びブレーキ66の両方が操作された際に、シフトレバー14の操作の規制が解除される。しかしながら、シフトレバー14が「P」シフト位置に操作された状態で、ノブ14Aのボタン20及びブレーキ66の一方が操作された際に、シフトレバー14の操作の規制が解除されてもよい。
【0115】
また、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、係合機構30において、ディテントプレート32をシフトレバー14側に設けると共に、係合ユニット42を車体側に設けた。しかしながら、係合機構30では、ディテントプレート32を車体側に設けると共に、係合ユニット42をシフトレバー14側に設けてもよい。
【0116】
さらに、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、節度機構22において、節度プレート24を車体側に設けると共に、節度スプリング28をシフトレバー14側に設けた。しかしながら、節度機構22では、節度プレート24をシフトレバー14側に設けると共に、節度スプリング28を車体側に設けてもよい。
【0117】
また、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、シフトレバー装置10、70、100をフロア式のものにして車室の床部に設置した構成としたが、シフトレバー装置10、70、100を車両のステアリングコラムに設置した構成や、シフトレバー装置10、70、100を車両のインストルメントパネルに設置した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10 シフトレバー装置(シフト装置)
14 シフトレバー(シフト部材)
20 ボタン(解除部)
30 係合機構
32 ディテントプレート(第2係合部)
34 「R」溝(第1位置)
36 「N」溝(第1位置)
38 「D」溝(第1位置)
40 「P」突起(第2位置)
54 規制リンク(第1係合部)
56 第1部
60 第2部
66 ブレーキ(解除部)
70 シフトレバー装置(シフト装置)
100 シフトレバー装置(シフト装置)
102 「R」孔(第1位置)
104 「N」孔(第1位置)
106 「P」孔(第2位置)
108 「D」孔(第2位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されることでシフト位置が変更されるシフト部材と、
第1係合部及び第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合されることで、前記シフト部材の一側への操作が規制されると共に、前記第1係合部と前記第2係合部との係合力が増加されつつ前記シフト部材の他側への操作が許容される係合機構と、
を備えたシフト装置。
【請求項2】
操作されることでシフト位置が変更されるシフト部材と、
第1係合部及び第2係合部を有し、前記第1係合部の第1部と前記第2係合部の第1位置とが係合される際と前記第1係合部の第2部と前記第2係合部の第2位置とが係合される際とで、前記シフト部材の一側及び他側への操作が規制される状態と前記シフト部材の一側及び他側への操作が許容される状態と前記シフト部材の一側への操作が規制されると共に前記シフト部材の他側への操作が許容される状態と前記シフト部材の一側への操作が許容されると共に前記シフト部材の他側への操作が規制される状態とのうちの2つの状態に切替えられる係合機構と、
を備えたシフト装置。
【請求項3】
操作されることで前記第1係合部と前記第2係合部との係合による前記シフト部材の操作の規制が解除される解除部を備えた請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記シフト部材に前記解除部を設けた請求項3記載のシフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86550(P2013−86550A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226048(P2011−226048)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】