説明

シャッター眼鏡、及び画像表示システム

【課題】視認される表示画像の明るさの低下を抑制できるシャッター眼鏡を提供する。
【解決手段】シャッター眼鏡3は、光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる光選択部31を備える。光選択部31は、透過状態または遮断状態で光の透過または遮断を行う全領域Ar0を第1の方向W1に沿って複数の分割領域Ar1に仮想的に分割した場合に、複数の分割領域Ar1を第1の方向W1に沿って順次、透過状態または遮断状態に切替可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター眼鏡、及び画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を表示する画像表示装置と、観察者に装着されるシャッター眼鏡とを備え、当該シャッター眼鏡を通して画像表示装置にて表示された表示画像を立体視させる画像表示システム(3D表示装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、従来の画像表示システムの動作を説明するための図である。
具体的に、図12(A)は、画像表示装置の各走査線への画像データの書込タイミングを示すタイミングチャートであり、画像表示装置の縦方向(最上部の走査線L1〜最下部の走査線Lnの各位置)を縦軸としている。また、図12(B)は、シャッター眼鏡を構成する左目シャッター(図12(B)の下段)及び右目シャッター(図12(B)の上段)における透過状態OP及び遮断状態CLの切替タイミングを示すタイミングチャートである。
【0004】
なお、図12(A)では、各走査線L1〜Lnへの画像データの書込タイミングを模式的に示すために、走査線L1へ画像データの書き込みを開始する書込開始タイミング(更新開始タイミング)Wsと、走査線Lnへの画像データの書き込みを完了する書込完了タイミング(更新完了タイミング)Weとを直線で結んでいる。また、説明の便宜上、画像表示装置に表示される画像として、左目用画像及び右目用画像についてそれぞれ「L」及び「R」の記号を付加している(各画像ともにそれぞれ平行四辺形の領域)。
【0005】
特許文献1に記載の画像表示装置は、線順次駆動により画像を表示する液晶パネルを有するLCD表示器で構成されている。このLCD表示器は、図12(A)に示すように、垂直同期信号で指定される各垂直走査期間Tv1〜Tv4内で、最上部の走査線L1から最下部の走査線Lnまで順次、画像データを書き込み、表示画像を更新する。そして、LCD表示器は、表示画像を、交互に切り替わる第1期間T1(垂直走査期間Tv1,Tv2)及び第2期間T2(垂直走査期間Tv3,Tv4)のうち、第1期間T1で左目用画像に2回更新し、第2期間T2で右目用画像に2回更新する。
【0006】
また、特許文献1に記載のシャッター眼鏡(左目シャッター及び右目シャッター)は、所謂液晶シャッターで構成されている。
そして、左目シャッターは、図12(B)下段に示すように、第1期間T1における左目用画像の2回目の更新開始タイミングWs〜次の右目用画像の1回目の更新開始タイミングWsの期間(垂直走査期間Tv2)にのみ略全ての光を透過させる透過状態OPとなり、他の期間に略全ての光を遮断する遮断状態CLとなる。
また、右目シャッターは、図12(B)上段に示すように、第2期間T2における右目用画像の2回目の更新開始タイミングWs〜次の左目用画像の1回目の更新開始タイミングWsの期間(垂直走査期間Tv4)にのみ透過状態OPとなり、他の期間に遮断状態CLとなる。
【0007】
すなわち、左目シャッターや右目シャッターは、左目用画像及び右目用画像が混在する期間(左目用画像から右目用画像に更新する期間、あるいは、右目用画像から左目用画像に更新する期間)を避けて透過状態OPとなる。このため、観察者は、左目で左目用画像のみを視認し、右目で右目用画像のみを視認する。したがって、観察者は、視差により表示画像を立体視することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−117437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示システムでは、上述した期間にのみシャッター眼鏡が透過状態OPとなるので、左目用画像及び右目用画像を視認できる時間が少なくなり、結果として、視認される表示画像の明るさが低減する、という問題がある。
【0010】
本発明の目的は、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できるシャッター眼鏡、及び画像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシャッター眼鏡は、光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる光選択部を備え、前記光選択部は、前記透過状態または前記遮断状態で光の透過または遮断を行う全領域を第1の方向に沿って複数の分割領域に仮想的に分割した場合に、前記複数の分割領域を前記第1の方向に沿って順次、前記透過状態または前記遮断状態に切替可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、シャッター眼鏡を構成する光選択部が上述したように透過状態または遮断状態に切替可能に構成されているので、以下に示すように、光選択部を動作させることで、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できる。
すなわち、画像表示装置における線順次駆動の垂直走査方向と第1の方向とが合致するように光選択部を構成する。また、画像表示装置における線順次駆動による表示画像の更新位置(走査位置(各走査線の位置))と、光選択部における複数の分割領域の透過状態または遮断状態への切替位置(透過状態及び遮断状態が混在した全領域において透過状態と遮断状態との境界部分に位置する分割領域の位置)とが略合致するように、光選択部を動作させる。
このように構成することで、画像表示装置において例えば左目用画像及び右目用画像が混在する期間であっても、観察者は、シャッター眼鏡を通して、左目で左目用画像のみを視認し、右目で右目用画像のみを視認できる。
したがって、例えば左目用画像が観察者の右目で視認されてしまう等のクロストークの発生を抑制しながら、シャッター眼鏡を通して表示画像を視認できる時間を長くすることができ、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できる。
【0013】
本発明のシャッター眼鏡では、前記光選択部は、互いに対向して配置される第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板間に密閉封入される液晶とを備え、前記第1基板及び前記第2基板には、前記液晶に電圧を印加するための電極がそれぞれ設けられ、前記第1基板及び前記第2基板の各前記電極の少なくともいずれか一方は、複数のライン電極で構成され、前記複数のライン電極は、前記全領域内において、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って延びる形状を有し、前記第1の方向に沿って並設されていることが好ましい。
本発明では、第1基板に設けられた電極、及び第2基板に設けられた電極の少なくともいずれか一方は、複数の分割領域に相当する上述した複数のライン電極で構成されている。
このことにより、複数のライン電極を順次、選択して、電圧印加の状態、あるいは、電圧非印加の状態としていけば、第1の方向に沿って順次、透過状態または遮断状態に光選択部を切り替えることができる。
したがって、電極を上述した複数のライン電極にするという簡単な構成で、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できる。
【0014】
本発明のシャッター眼鏡では、前記光選択部は、互いに対向して配置される第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板間に密閉封入される液晶とを備え、前記第1基板及び前記第2基板には、前記液晶に電圧を印加するための電極がそれぞれ設けられ、前記第1基板及び前記第2基板は、前記第1の方向に沿って順次、離間距離が大きくなるように配設されていることが好ましい。
本発明では、第1基板及び第2基板が上述したように配設されているので、第1基板及び第2基板間に密閉封入される液晶層の厚み寸法は、第1の方向に沿って順次、大きくなるように構成されている。
ここで、液晶は、厚み寸法が小さいほど、応答が速いという応答特性を有する。
このため、例えば、各電極間に電圧を印加すれば、仮想的に分割した複数の分割領域を第1の方向に沿って順次、すなわち、厚み寸法が小さい位置から厚み寸法が大きい位置に向けて(第1の方向)順次、遮断状態に光選択部を切り替えることができる。なお、透過状態に光選択部を切り替える場合も同様である。
したがって、液晶の応答特性を利用した簡単な構成で、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できる。
【0015】
本発明の画像表示システムは、上述したシャッター眼鏡と、画像を表示する表示部と、前記表示部を線順次駆動させ、前記表示部に表示させる画像を、交互に切り替わる第1期間及び第2期間のうち、前記第1期間で第1画像に更新し、前記第2期間で第2画像に更新する表示制御部と、前記光選択部の動作を制御するシャッター制御部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、画像表示システムは、上述したシャッター眼鏡を備えるので、上述したシャッター眼鏡と同様の作用及び効果を享受できる。
【0016】
本発明の画像表示システムでは、前記シャッター制御部は、前記表示部に表示された画像の更新開始タイミングからずれたタイミングを起点として、前記複数の分割領域を前記第1の方向に沿って順次、前記透過状態または前記遮断状態へと切り替えることが好ましい。
本発明では、シャッター制御部は、以下に示すように、光選択部の動作を制御する。
例えば、シャッター制御部は、表示部における左目用画像から右目用画像への更新開始タイミングよりも所定時間、遅いタイミングを起点として、右目用の光選択部における複数の分割領域を第1の方向に沿って順次、透過状態へと切り替える。
すなわち、右目用の光選択部における複数の分割領域の透過状態への切替位置は、表示部における右目用画像の更新位置に対応する位置よりも第1の方向とは逆方向にずれた(第1の方向に遅れた)位置となる。
【0017】
また、例えば、シャッター制御部は、表示部における右目用画像から左目用画像への更新開始タイミングよりも所定時間、早いタイミングを起点として、右目用の光選択部における複数の分割領域を第1の方向に沿って順次、遮断状態へと切り替える。
すなわち、光選択部における遮断状態への切替位置は、表示部における左目用画像の更新位置に対応する位置よりも第1の方向にずれた(第1の方向に進んだ)位置となる。
したがって、上述したようにシャッター制御部が光選択部の動作を制御することで、表示画像とシャッター眼鏡との位置関係が多少ずれた場合であっても、観察者は、左目で左目用画像のみを視認し、右目で右目用画像のみを視認できる。すなわち、クロストークの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態における画像表示システムの使用形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態における画像表示システムの構成を模式的に示すブロック図。
【図3】第1実施形態における液晶パネルの駆動方法を説明するための模式図。
【図4】第1実施形態における光選択部の構成を模式的に示す図。
【図5】第1実施形態における画像表示システムの動作を説明するための図。
【図6】第1実施形態における投影画像と各選択部の状態とを示した図。
【図7】第1実施形態における投影画像と各選択部の状態とを示した図。
【図8】第1実施形態における投影画像と各選択部の状態とを示した図。
【図9】第1実施形態における投影画像と各選択部の状態とを示した図。
【図10】第2実施形態における光選択部の構成を模式的に示す図。
【図11】第2実施形態における光選択部の応答特性を示す図。
【図12】従来の画像表示システムの動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔画像表示システムの構成〕
図1は、画像表示システム1の使用形態を示す斜視図である。
画像表示システム1は、反射型のスクリーンSc(図1)上に投影画像を表示するとともに、観察者に投影画像を立体視させる。
この画像表示システム1は、図1に示すように、画像表示装置としてのプロジェクター2と、シャッター眼鏡3とを備える。
【0020】
〔プロジェクターの構成〕
図2は、プロジェクター2の構成を模式的に示すブロック図である。
プロジェクター2は、画像情報(画像データ)に基づく画像を形成してスクリーンSc上に投射する。
このプロジェクター2は、図1または図2に示すように、外装を構成する外装筐体2A(図1)と、外装筐体2Aに収納される光学ユニット2B及び制御装置2C(図2)とを備える。
光学ユニット2Bは、具体的な図示は省略したが、光源部、前記光源部から出射された光を変調して画像を形成する表示部としての液晶パネル21(図2)、及び画像を投射する投射レンズ22(図1)を有する。
【0021】
制御装置2Cは、CPU(Central Processing Unit)等を有し、液晶パネル21やシャッター眼鏡3の動作を制御する。
この制御装置2Cは、図2に示すように、画像ROM(Read Only Memory)23と、タイミングコントローラー24と、表示制御部25と、シャッター制御部としての送信部26、記憶部27とを備える。
画像ROM23は、液晶パネル21に形成させる画像データを記憶する。
ここで、画像データは、第1画像としての左目用画像に関する左目用画像データと、第2画像としての右目用画像に関する右目用画像データとで構成されている。また、これら各画像データは、1フレーム毎のデータの集まりによってそれぞれ構成されている。
タイミングコントローラー24は、画像ROM23に記憶された画像データに含まれる同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)を読み取って、表示制御部25及び送信部26の同期をとる。
【0022】
図3は、液晶パネル21の駆動方法を説明するための模式図である。
表示制御部25は、画像ROM23に記憶された画像データを適宜、読み出し、これら画像データに所定の処理を施した後、液晶パネル21を線順次駆動させて、当該画像データに基づく画像を表示させる。
具体的に、表示制御部25は、タイミングコントローラー24から出力される同期信号に基づいて、図3に示すように、垂直走査期間内に、液晶パネル21における最上部の走査線L(L1)から最下部の走査線L(Ln)まで順次、各画素に画像データを書き込み(階調に応じた電圧を印加)、液晶パネル21に表示される画像を更新する。そして、表示制御部25は、次の垂直走査期間内では、上記同様の処理を行い、次の画像に更新する。
なお、以下では、説明の便宜上、一の垂直走査期間において、走査線L1へ画像データの書き込みを開始する書込開始タイミングWsから走査線Lnへの画像データの書き込みを完了する書込完了タイミングWeまでの走査時間をTscとして記載する(図5参照)。
【0023】
送信部26は、シャッター眼鏡3の動作を制御するために、シャッター眼鏡3を構成する後述する光選択部31を透過状態または遮断状態に切り替える切替開始タイミングに関する信号(以下、タイミング信号)を、所定のタイミングで送信する。
具体的に、送信部26は、タイミングコントローラー24から出力される垂直同期信号及び記憶部27に記憶された期間情報に基づいたタイミングで、透過状態または遮断状態の切替開始タイミングに関する信号を、シャッター眼鏡3へ送信する。
本実施形態では、送信部26は、具体的な図示は省略したが、赤外発光LED(Light Emitting Diode)、及び当該赤外発光LEDを発光させる駆動回路等を備え、上述した信号を、発光時間や発光パターンを変化させることで送信する。
【0024】
記憶部27は、以下に示す第1開始期間及び第2開始期間に関する情報を記憶する。
第1開始期間は、垂直同期信号の出力タイミングから光選択部31における透過状態への切替開始タイミングまでの期間に相当(図5(B)の期間D1に相当)するものである。
第2開始期間は、垂直同期信号の出力タイミングから光選択部31における遮断状態への切替開始タイミングまでの期間に相当(図5(B)の期間D2に相当)するものである。
なお、第2開始期間の長さは、垂直走査期間の長さから第1開始期間を差し引いた長さに相当する。
本実施形態では、第1開始期間は、走査時間Tsc/50以上、走査時間Tsc/20以下の時間に設定されている。
【0025】
〔シャッター眼鏡の構成〕
シャッター眼鏡3は、観察者が装着するものであり、図1または図2に示すように、一対の光選択部31と、受信部32(図2)と、シャッター駆動部33(図2)とを備える。
以下では、説明の便宜上、一対の光選択部31のうち、観察者の左目に対応する光選択部31を左目用選択部31Lとし、右目に対応する光選択部31を右目用選択部31Rとする。
【0026】
図4は、光選択部31の構成を模式的に示す図である。具体的に、図4(A)は光選択部31を光入射側(シャッター眼鏡3を装着した観察者から離間する側)から見た図であり、図4(B)は図4(A)におけるIV-IV線の断面図である。
なお、図4中、上下方向は、一対の光選択部31が水平方向に並列しスクリーンScに正対した状態(図1に示す姿勢の状態)での鉛直方向に相当するものである。以下で記載する「上」、「下」、及び「鉛直方向」も図1に示す姿勢の状態での「上」、「下」、及び「鉛直方向」をそれぞれ意味するものである。
一対の光選択部31は、同様の構成を有し、光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる。
【0027】
この光選択部31は、図4に示すように、第1基板311及び第2基板312と、液晶313とを備える。
第1基板311は、透光性を有する矩形板体で構成され、第2基板312に対して光入射側に配設されている。
この第1基板311において、光入射側の端面には、図4(B)に示すように、入射した光のうち第1の直線偏光光のみを透過させる第1偏光板314が取り付けられている。
また、第1基板311において、光出射側(シャッター眼鏡3を装着した観察者に近接する側)の端面には、図4に示すように、第1透明電極315が設けられている。
第1透明電極315は、図4に示すように、複数のライン電極315Aで構成されている。
本実施形態では、ライン電極315Aは、液晶パネル21の走査線Lの数だけ設けられているが、図4では、説明の便宜上、6つのみを図示している。
複数のライン電極315Aは、液晶313に電圧を印加するための電極であり、図4に示すように、水平方向(第2の方向W2)に沿って延びる形状を有し、鉛直方向(第1の方向W1(液晶パネル21の走査方向と同一))に沿って並設されている。
なお、各ライン電極315Aは、本発明に係る分割領域Ar1に相当するものである。また、スペーサー316で囲まれた領域は、本発明に係る透過状態または遮断状態で光の透過または遮断を行う全領域Ar0に相当するものである。
【0028】
第2基板312は、第1基板311と同様に、透光性を有する矩形板体で構成され、図4(B)に示すように、スペーサー316を介して一定の間隔を空けて第1基板311に対向し、第1基板311及びスペーサー316との間で液晶313を密閉封入する。
この第2基板312において、光出射側の端面には、図4(B)に示すように、入射した光のうち第1の直線偏光光の偏光方向に直交する偏光方向を有する第2の直線偏光光のみを透過させる第2偏光板317が取り付けられている。
また、第2基板312において、光入射側の端面には、図4に示すように、第2透明電極318が設けられている。
第2透明電極318は、液晶313に電圧を印加するための電極であり、図4(A)に示すように、複数のライン電極315Aを平面的に覆う形状を有している。
【0029】
受信部32は、プロジェクター2の送信部26から送信された信号を受信する。
本実施形態では、受信部32は、具体的な図示は省略したが、赤外受光素子等を備え、送信部26から出射された赤外光を受光して信号に変換し、シャッター駆動部33に出力する。
シャッター駆動部33は、受信部32からの信号に基づいて、最上部のライン電極315Aから最下部のライン電極315Aまで順次、第2透明電極318との間を電圧印加または電圧非印加の状態とし、光選択部31を遮断状態または透過状態に切り替える。
なお、以下では、説明の便宜上、光選択部31において、最上部のライン電極315Aから最下部のライン電極315Aの各位置を、液晶パネル21の各走査線L1〜Lnに対応させてそれぞれL1´〜Ln´とする(図5参照)。
本実施形態では、シャッター駆動部33は、最上部の位置L1´を透過状態に切り替えてから最下部の位置Ln´を透過状態に切り替えるまでの走査時間を、プロジェクター2の液晶パネル21の走査時間Tscと同一の時間で実施する。換言すれば、シャッター駆動部33は、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´まで透過状態に切り替える速度が、最上部の位置L1から最下部の位置Lnまで画像データを書き込む速度(走査速度)と同一となるように、光選択部31を駆動させる。なお、遮断状態への切替も同様である。
【0030】
〔画像表示システムの動作〕
図5は、画像表示システム1の動作を説明するための図である。
具体的に、図5(A)は、図12(A)と同様のタイミングチャートを示した図である。また、図5(B)は、左目用選択部31L(図5(B)下段)及び右目用選択部31R(図5(B)上段)における各位置L1´〜Ln´の透過状態または遮断状態の切替タイミングを示すタイミングチャートであり、光選択部31の縦方向(最上部の位置L1´〜最下部の位置Ln´)を縦軸としている。
【0031】
なお、図5(B)では、図5(A)と同様に、最上部の位置L1´の切替タイミングLs,Rsと、最下部の位置Ln´の切替タイミングLe,Reとを直線で結んでいる。また、遮断状態への切替タイミングを結んだ直線を破線で示し、透過状態への切替タイミングを結んだ直線を実線で示している。さらに、光選択部31の状態として、透過状態及び遮断状態についてそれぞれ「OP」及び「CL」の記号を付加している(各状態ともに破線と実線とで囲まれた平行四辺形の領域)。
【0032】
次に上述した画像表示システム1の動作について、図5を参照して説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、画像表示システム1の動作として、プロジェクター2の動作、及びシャッター眼鏡3の動作を順に説明する。
【0033】
〔プロジェクターの動作〕
制御装置2Cは、以下に示すように、液晶パネル21の動作を制御する。
表示制御部25は、図5(A)に示すように、垂直走査期間Tv1〜Tv4(本実施形態では、1/240(秒))毎に、液晶パネル21に表示させる画像を、左目用画像、左目用画像、右目用画像、及び右目用画像の順に更新する。言い換えれば、表示制御部25は、液晶パネル21に表示させる画像を、交互に切り替わる第1期間T1(垂直走査期間Tv1,Tv2)及び第2期間T2(垂直走査期間Tv3,Tv4)のうち、第1期間T1で左目用画像に2回更新し、第2期間T2で右目用画像に2回更新する。
具体的には、表示制御部25は、タイミングコントローラー24からの垂直同期信号の出力タイミングVに略合致した書込開始タイミングWsで走査線L1への画像データの書き込みを開始し、順次、走査線Lnまで画像データを書き込み、液晶パネル21に表示させる画像を更新する。
【0034】
また、送信部26は、タイミングコントローラー24からの垂直同期信号及び記憶部27に記憶された情報に基づいて、各選択部31L,31Rにおける透過状態OPまたは遮断状態CLへの切替開始タイミングに関する信号を、シャッター眼鏡3に送信する。
送信部26は、左目用選択部31Lにおける透過状態OPへの切替開始タイミングに関する信号を、以下に示すタイミングでシャッター眼鏡3に送信する。
すなわち、送信部26は、図5(B)下段に示すように、垂直走査期間Tv1の開始時点から第1開始期間D1だけ遅れたタイミングLs1で、左目用選択部31Lにおける透過状態OPへの切替開始タイミングに関する信号を送信する。
なお、タイミングLs1は、第1期間T1において初めに更新される左目用画像の書込開始タイミングWsから第1開始期間D1だけ遅れたタイミングに相当するものである。
【0035】
また、送信部26は、左目用選択部31Lにおける遮断状態CLへの切替開始タイミングに関する信号を、以下に示すタイミングでシャッター眼鏡3に送信する。
すなわち、送信部26は、図5(B)下段に示すように、垂直走査期間Tv2の開始時点から第2開始期間D2だけ遅れたタイミングLs2で、左目用選択部31Lにおける遮断状態CLへの切替開始タイミングに関する信号を送信する。
なお、タイミングLs2は、第2期間T2において初めに更新される右目用画像の書込開始タイミングWsから第1開始期間D1だけ早いタイミングに相当するものである。
【0036】
一方、送信部26は、右目用選択部31Rにおける透過状態OPへの切替開始タイミングに関する信号を、以下に示すタイミングでシャッター眼鏡3に送信する。
すなわち、送信部26は、図5(B)上段に示すように、垂直走査期間Tv3の開始時点から第1開始期間D1だけ遅れたタイミングRs1で、右目用選択部31Rにおける透過状態OPへの切替開始タイミングに関する信号を送信する。
なお、タイミングRs1は、第2期間T2において初めに更新される右目用画像の書込開始タイミングWsから第1開始期間D1だけ遅れたタイミングに相当するものである。
【0037】
また、送信部26は、右目用選択部31Rにおける遮断状態CLへの切替開始タイミングに関する信号を、以下に示すタイミングでシャッター眼鏡3に送信する。
すなわち、送信部26は、図5(B)上段に示すように、垂直走査期間Tv4の開始時点から第2開始期間D2だけ遅れたタイミングRs2で、右目用選択部31Rにおける遮断状態CLへの切替開始タイミングに関する信号を送信する。
なお、タイミングRs2は、第1期間T1において初めに更新される左目用画像の書込開始タイミングWsから第1開始期間D1だけ早いタイミングに相当するものである。
【0038】
〔シャッター眼鏡の動作〕
シャッター駆動部33は、受信部32からの信号に基づいて、各選択部31L,31Rにおける透過状態OPまたは遮断状態CLへの切替開始タイミングLs1,Ls2,Rs1,Rs2を認識する。
そして、シャッター駆動部33は、図5(B)に示すように、切替開始タイミングLs1,Rs1で各選択部31L,31Rをそれぞれ、最上部の位置L1´から透過状態OPへと切替を開始し、最下部の位置Ln´まで透過状態OPへと切り替える。
また、シャッター駆動部33は、切替開始タイミングLs2,Rs2で各選択部31L,31Rをそれぞれ、最上部の位置L1´から遮断状態CLへと切替を開始し、最下部の位置Ln´まで遮断状態CLへと切り替える。
【0039】
図6ないし図9は、投影画像と各選択部31L,31Rの状態とを示した図である。具体的に、図6(A)ないし図9(A)は図5に示すP1〜P4の各時点でのスクリーンSc上の投影画像をそれぞれ示し、図6(B)ないし図9(B)はP1〜P4の各時点での各選択部31L,31Rの状態をそれぞれ示している。
なお、図6(A)ないし図9(A)では、左目用画像を「Left」とし、右目用画像を「Right」としている。また、図6(B)ないし図9(B)では、光選択部31の状態として、遮断状態CLについては斜線で示している。
上述したように画像表示システム1が動作することで、例えば、P1の時点では、第1期間T1において2回目の左目用画像への更新途中であるため、スクリーンSc上には、図6(A)に示すように、左目用画像のみが表示されている。
そして、シャッター眼鏡3は、図6(B)に示すように、左目用選択部31Lが透過状態OPとなっており、右目用選択部31Rが遮断状態CLとなっている。
このため、スクリーンSc上の左目用画像は、観察者の左目のみで視認される。
【0040】
また、P2の時点では、第2期間T2において左目用画像から右目用画像への更新途中であるため、スクリーンSc上には、図7(A)に示すように、上方側に右目用画像の一部が表示され、下方側に左目用画像の一部が表示されている。すなわち、左目用画像と右目用画像が混在した投影画像となっている。
なお、図7(A)では、左目用画像から右目用画像への更新途中の更新位置(走査位置(左目用画像と右目用画像との境界部分に位置する走査線の位置))をLAとしている。
【0041】
左目用選択部31Lは、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´まで遮断状態CLへと切り替わる途中であるため、図7(B)に示すように、上方側のみが遮断状態CLとなっており、下方側は未だ透過状態OPのままとなっている。
なお、図7(B)では、各選択部31L,31Rにおける更新位置LAに対応する位置(ライン電極315Aの位置)をLA´としている。また、左目用選択部31Lにおいて、遮断状態CLへと切り替わっている切替位置(透過状態OPと遮断状態CLとの境界部分に位置するライン電極315Aの位置)をLBとしている。
ここで、左目用選択部31Lは、第2期間T2において初めに更新される右目用画像の書込開始タイミングWsから第1開始期間D1だけ早いタイミングLs2で、最上部の位置L1´から遮断状態CLに切り替わっていく。すなわち、切替位置LBは、図7(B)に示すように、更新位置LAに対応する位置LA´よりも下方側に進んだ位置となる。
このため、観察者は、左目用画像及び右目用画像が混在した投影画像(図7(A))を、左目用選択部31Lを通して視認した場合には、上方側の右目用画像を視認することなく、下方側の左目用画像のみを視認できる。
【0042】
なお、上述したように、第1開始期間D1は、走査時間Tsc/50以上、走査時間Tsc/20以下の時間に設定されている。このため、切替位置LBと位置LA´との間の間隔は、液晶パネル21における全ての走査線L1〜Lnの数をnとした場合、n/50以上、n/20以下の走査線数に相当する間隔となる。
【0043】
一方、右目用選択部31Rは、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´まで透過状態OPへと切り替わる途中であるため、図7(B)に示すように、上方側のみが透過状態OPとなっており、下方側は未だ遮断状態CLのままとなっている。
なお、図7(B)では、右目用選択部31Rにおいて、透過状態OPへと切り替わっている切替位置(透過状態OPと遮断状態CLとの境界部分に位置するライン電極315Aの位置)をLCとしている。
ここで、右目用選択部31Rは、第2期間T2において初めに更新される右目用画像の書込開始タイミングWsから第1開始期間D1だけ遅れたタイミングRs1で、最上部の位置L1´から透過状態OPに切り替わっていく。このため、切替位置LCは、図7(B)に示すように、更新位置LAに対応する位置LA´よりも上方側に遅れた位置となる。
このため、観察者は、左目用画像及び右目用画像が混在した投影画像(図7(A))を、右目用選択部31Rを通して視認した場合には、下方側の左目用画像を視認することなく、上方側の右目用画像のみを視認できる。
なお、切替位置LCと位置LA´との間の間隔は、上記同様に、n/50以上、n/20以下の数に相当する間隔となっている。
【0044】
さらに、P3の時点では、第2期間T2において2回目の右目用画像への更新途中であるため、スクリーンSc上には、図8(A)に示すように、右目用画像のみが表示されている。
そして、シャッター眼鏡3は、図8(B)に示すように、右目用選択部31Rが透過状態OPとなっており、左目用選択部31Lが遮断状態CLとなっている。
このため、スクリーンSc上の右目用画像は、観察者の右目のみで視認される。
【0045】
また、P4の時点では、第1期間T1において右目用画像から左目用画像への更新途中であるため、スクリーンSc上には、図9(A)に示すように、図7(A)とは逆に、上方側に左目用画像の一部が表示され、下方側に右目用画像の一部が表示されている。
なお、図9(A)において、右目用画像から左目用画像への更新途中の更新位置(走査位置(左目用画像と右目用画像との境界部分に位置する走査線の位置)は、図7(A)における更新位置LAと同一の位置である。
【0046】
そして、シャッター眼鏡3は、図9(B)に示すように、左目用選択部31LがP2の時点での右目用選択部31R(図7(B))と同様の状態となり、右目用選択部31RがP2の時点での左目用選択部31L(図7(B))と同様の状態となる。
このため、左目用画像及び右目用画像が混在した投影画像(図9(A))は、上方側の左目用画像が左目用選択部31Lのみで視認され、下方側の右目用画像が右目用選択部31Rのみで視認される。
【0047】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、光選択部31が第1の方向W1に沿って順次、透過状態OPまたは遮断状態CLに切替可能に構成されている。
このため、プロジェクター2において左目用画像及び右目用画像が混在する期間(垂直走査期間Tv1,Tv3)であっても、観察者は、シャッター眼鏡3を通して、左目で左目用画像のみを視認し、右目で右目用画像のみを視認できる。
したがって、クロストークの発生を抑制しながら、シャッター眼鏡3を通して投影画像を視認できる時間を長くすることができ、視認される投影画像の明るさの低下を抑制できる。
【0048】
また、第1透明電極315は、複数のライン電極315Aで構成されている。
このことにより、複数のライン電極315Aを順次、選択して、電圧印加の状態、あるいは、電圧非印加の状態としていけば、第1の方向W1に沿って順次、透過状態OPまたは遮断状態CLに光選択部31を切り替えることができる。
したがって、第1透明電極315を複数のライン電極315Aにするという簡単な構成で、視認される投影画像の明るさの低下を抑制できる。
【0049】
さらに、送信部26は、画像データの書込開始タイミングWsからずれたタイミングLs1,Rs1,Ls2,Rs2を起点として、第1の方向W1に沿って順次、透過状態OPまたは遮断状態CLへと切り替える。
このことにより、スクリーンSc上の投影画像とシャッター眼鏡3との位置関係が多少ずれた場合であっても、観察者は、左目で左目用画像のみを視認し、右目で右目用画像のみを視認できる。すなわち、クロストークの発生を抑制できる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構成及び同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図10は、第2実施形態における光選択部31の構成を模式的に示す図である。具体的に、図10(A)は光選択部31を光入射側から見た図であり、図10(B)は図10(A)におけるX-X線の断面図である。
なお、図10(A)では、スペーサー316で囲まれた全領域Ar0を第1の方向W1に沿って仮想的に複数の分割領域Ar1に分割し、当該分割領域Ar1を破線で図示している。また、各分割領域Ar1の位置は、前記第1実施形態で説明した位置L1´〜Ln´に相当するものである。
本実施形態では、前記第1実施形態に対して、図10に示すように、第1基板311及び第2基板312の配置が異なるとともに、第1透明電極315の形状が異なるのみである。その他の構成については、前記第1実施形態と同様である。
【0051】
具体的に、第2実施形態における第1基板311及び第2基板312は、図10に示すように、下方側に向う(第1の方向W1)にしたがって離間距離が大きくなるように配設されている。
すなわち、第1基板311及び第2基板312間に密閉封入される液晶313の厚み寸法Thは、下方側に向うにしたがって大きくなるように構成されている。
また、第2実施形態における第1透明電極315は、図10に示すように、第2透明電極318と略同一の形状となるように構成されている。
【0052】
図11は、光選択部31の応答特性を示す図である。具体的に、図11は、時間を横軸とし、光選択部31の透過率を縦軸としている。
なお、図11では、説明の便宜上、各位置L1´〜L5´(図10(A))での応答特性のみを図示している。
液晶313の応答特性としては、厚み寸法Thが小さいほど、応答が速いという特性がある。
すなわち、図11(A)に示すように、光選択部31において、透過状態OPへと切替を開始してから透過状態OPへと切替が完了するまでの時間は、厚み寸法Thの最も小さい最上部の位置L1´が最も短くなる。そして、当該時間は、厚み寸法Thが大きくなる下方側の各位置L2´〜L5´で順次長くなる。
なお、図11(B)に示すように、光選択部31において、遮断状態CLへと切替を開始してから遮断状態CLへと切替が完了するまでの時間も同様である。
【0053】
本実施形態では、各透明電極315,318は、図10に示すように、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´において共通に用いられている。
このため、シャッター駆動部33は、各透明電極315,318間を電圧印加または電圧非印加の状態とすることで、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´に向けて順次、遮断状態または透過状態に切り替わっていくこととなる。
そして、本実施形態では、厚み寸法Thを適宜、設定することで、最上部の位置L1´が透過状態へと切替が完了してから最下部の位置Ln´が透過状態へと切替が完了するまでの時間は、走査時間Tscと同一の時間となるように構成されている。換言すれば、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´まで透過状態に切り替わる速度は、最上部の位置L1から最下部の位置Lnまで画像データが書き込まれる速度(走査速度)と同一となるように構成されている。なお、遮断状態への切替も同様である。
すなわち、シャッター駆動部33が前記第1実施形態で説明した切替開始タイミングLs1,Rs1で各透明電極315,318間を電圧非印加の状態とし、切替開始タイミングLs2,Rs2で電圧印加の状態とすることで、光選択部31は、前記第1実施形態と同様に動作することなる。
なお、その他の画像表示システム1の動作については、前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、液晶313の厚み寸法Thは、下方側に向うにしたがって大きくなるように構成されている。
このことにより、各電極315,318に電圧を印加すれば、仮想的に分割した複数の分割領域Ar1を第1の方向W1に沿って順次、すなわち、厚み寸法Thが小さい位置L1´から厚み寸法Thが大きい位置Ln´に向けて順次、遮断状態CLに光選択部31を切り替えることができる。なお、透過状態OPに光選択部31を切り替える場合も同様である。
したがって、液晶313の応答特性を利用した簡単な構成で、視認される投影画像の明るさの低下を抑制できる。
【0055】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、画像表示システム1は、第1画像及び第2画像をそれぞれ左目用画像及び右目用画像として表示画像を観察者に立体視させる構成としていたが、これに限らない。例えば、画像表示システムとして、第1画像及び第2画像をコンテンツの異なる画像とし、2つの表示画像(第1画像及び第2画像)を異なる観察者にそれぞれ視認させる構成を採用しても構わない。
このように構成した場合には、シャッター眼鏡3としては、左目用選択部31Lのみ(左目用選択部31Lの数は単体でも複数でも可)を有する眼鏡、及び右目用選択部31Rのみ(右目用選択部31Rの数は単体でも複数でも可)を有する眼鏡の2種類を設ければよい。
【0056】
前記第1実施形態では、光選択部31は、液晶313を利用したシャッターで構成されていたが、これに限らない。光選択部としては、第1の方向W1に沿って順次、透過状態OPまたは遮断状態CLに切り替わる構成であれば、例えば機械的に透過状態または遮断状態に切り替わる構成等、その他の構成を採用しても構わない。
【0057】
前記各実施形態では、液晶パネル21に形成させる画像データが画像ROM23に記憶される構成としていたが、これに限らない。プロジェクター2の外部から入力された画像信号に基づいて画像表示を行えるように、外部から入力された画像信号(輝度―色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換し、第1画像、及び第2画像のデータを所与のタイミングで表示制御部25に供給する画像信号変換部を備える構成を採用しても構わない。
【0058】
前記各実施形態では、画像表示システム1において、フロント投射型のプロジェクター2を採用した例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを備え、当該スクリーンの裏面側から投射を行うリアタイプのプロジェクターを採用した構成としても構わない。
また、前記各実施形態では、画像表示システム1において、プロジェクター2を採用していたが、これに限らず、液晶ディスプレイ、プラズマテレビ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を採用しても構わない。
【0059】
前記第1実施形態では、最上部の位置L1´から最下部の位置Ln´まで順次、透過状態OPまたは遮断状態CLに切り替えていたが、これに限らない。
例えば、スクリーンScに対する観察者の位置(シャッター眼鏡3の位置)によっては、シャッター眼鏡3を通してスクリーンSc上の投影画像を視認した場合、光選択部31における全領域Ar0に投影画像が合致しないこともあり得る。
このため、以下に示すように、位置L1´〜Ln´における任意の範囲で、順次、透過状態OPまたは遮断状態CLに切り替える構成を採用しても構わない。
すなわち、予め、スクリーンScに対するシャッター眼鏡3の種々の位置に関連付けて、シャッター眼鏡3を通してスクリーンSc上の投影画像を視認した場合での全領域Ar0における投影画像の視認範囲(位置L1´〜Ln´の任意の範囲)と、当該範囲中、最上部の位置から最下部の位置まで透過状態または遮断状態に切り替える速度とを記憶部27等に記憶させておく。
また、シャッター眼鏡3に超音波センサー等の距離センサーを配設しておく。
そして、シャッター駆動部33は、当該距離センサーによりスクリーンScに対するシャッター眼鏡3の位置(空間座標値)を認識する。
次に、シャッター駆動部33は、認識したシャッター眼鏡3の位置に対応する視認範囲と速度とを記憶部27等から読み出す。
そして、シャッター駆動部33は、読み出した視認範囲中、最上部の位置から最下部の位置まで、読み出した速度で透過状態OPまたは遮断状態CLに切り替える。
【0060】
前記第1実施形態では、第1透明電極315及び第2透明電極318の形状は異なるように形成されていたが、これに限らず、第2透明電極318も第1透明電極315と同様に複数のライン電極で構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、プロジェクター等の画像表示装置やシャッター眼鏡を用いて画像を立体視させる画像表示システムに利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・画像表示システム、3・・・シャッター眼鏡、21・・・液晶パネル(表示部)、25・・・表示制御部、26・・・送信部(シャッター制御部)、31・・・光選択部、311・・・第1基板、312・・・第2基板、313・・・液晶、315,318・・・電極、315A・・・ライン電極、A0・・・全領域、A1〜A6・・・分割領域、T1・・・第1期間、T2・・・第2期間、W1・・・第1の方向、W2・・・第2の方向、。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる光選択部を備え、
前記光選択部は、
前記透過状態または前記遮断状態で光の透過または遮断を行う全領域を第1の方向に沿って複数の分割領域に仮想的に分割した場合に、前記複数の分割領域を前記第1の方向に沿って順次、前記透過状態または前記遮断状態に切替可能に構成されている
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター眼鏡において、
前記光選択部は、
互いに対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板間に密閉封入される液晶とを備え、
前記第1基板及び前記第2基板には、
前記液晶に電圧を印加するための電極がそれぞれ設けられ、
前記第1基板及び前記第2基板の各前記電極の少なくともいずれか一方は、
複数のライン電極で構成され、
前記複数のライン電極は、
前記全領域内において、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って延びる形状を有し、前記第1の方向に沿って並設されている
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項3】
請求項1に記載のシャッター眼鏡において、
前記光選択部は、
互いに対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板間に密閉封入される液晶とを備え、
前記第1基板及び前記第2基板には、
前記液晶に電圧を印加するための電極がそれぞれ設けられ、
前記第1基板及び前記第2基板は、
前記第1の方向に沿って順次、離間距離が大きくなるように配設されている
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のシャッター眼鏡と、
画像を表示する表示部と、
前記表示部を線順次駆動させ、前記表示部に表示させる画像を、交互に切り替わる第1期間及び第2期間のうち、前記第1期間で第1画像に更新し、前記第2期間で第2画像に更新する表示制御部と、
前記光選択部の動作を制御するシャッター制御部とを備える
ことを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像表示システムにおいて、
前記シャッター制御部は、
前記表示部に表示された画像の更新開始タイミングからずれたタイミングを起点として、前記複数の分割領域を前記第1の方向に沿って順次、前記透過状態または前記遮断状態へと切り替える
ことを特徴とする画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−109763(P2012−109763A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256549(P2010−256549)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】