説明

シャッタ装置

【課題】内外圧力差によるシャッタ扉やそのガイド部への負荷を軽減することにより、長寿命化を図るとともにコンパクトにすることができるシャッタ装置を提供すること。
【解決手段】開口部1にシャッタ扉2を開閉可能に配設するもので、シャッタ扉2に複数の通気口21を形成するとともに、シャッタ扉2が閉じたときに通気口21を閉塞し、かつシャッタ扉2の開閉動作時に通気口21を開放する通気口開閉機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ装置に関し、特に、内外圧力差によるシャッタ扉やそのガイド部への負荷を軽減することにより、長寿命化を図るとともにコンパクトにすることができるシャッタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶等のガラス基板を収納するカセットは、その製造ラインにおいて、製造装置間で液晶ガラス基板を搬送したり、一時貯留する場合に使用される。
【0003】
カセットは、内部を清浄に保つために、シャッタ扉で開口部を閉じることにより外部空気を遮断するとともに、窒素ガスや清浄化された空気を供給して内部を陽圧状態に保つようにしている。
【0004】
ところで、このようなカセットのシャッタ装置では、カセットの大型化に伴い、シャッタ扉も大型化してきているが、シャッタ扉の面積が大きいと、それに比例して内外圧力差による力も大きくなる。
従来のシャッタ装置では、シャッタ扉8が気密性を有することから、図7(a)(b)に示すように、内外の圧力差が大きいと、シャッタ扉8やそのガイド部に大きな負荷がかかることになり、そのため、シャッタ扉8の剛性を上げたり、ガイド部に特殊な受構造を要していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のシャッタ装置が有する問題点に鑑み、内外圧力差によるシャッタ扉やそのガイド部への負荷を軽減することにより、長寿命化を図るとともにコンパクトにすることができるシャッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のシャッタ装置は、開口部にシャッタ扉を開閉可能に配設したシャッタ装置において、シャッタ扉に複数の通気口を形成するとともに、シャッタ扉が閉じたときに通気口を閉塞し、かつシャッタ扉の開閉動作時に通気口を開放する通気口開閉機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、通気口開閉機構が、シャッタ扉と略同位置に通気口を有し、かつシャッタ扉にスライド可能に重合されるスライド扉と、該スライド扉とシャッタ扉とを載置して開閉動作するとともに、スライド扉をシャッタ扉と通気口が合致する位置に付勢して支持する開閉支持台と、扉枠側に設けられ、シャッタ扉の閉じ位置でスライド扉に当接することにより、スライド扉をシャッタ扉の通気口を閉塞する位置にスライドさせる押し片とを備えることができる。
【0008】
また、通気口が合致する位置でシャッタ扉との間に空隙を存し、かつ通気口を閉塞する位置でシャッタ扉に密着するようにスライド扉を案内するスライドレーンを開閉支持台に設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシャッタ装置によれば、開口部にシャッタ扉を開閉可能に配設したシャッタ装置において、シャッタ扉に複数の通気口を形成するとともに、シャッタ扉が閉じたときに通気口を閉塞し、かつシャッタ扉の開閉動作時に通気口を開放する通気口開閉機構を設けることから、開閉動作時にシャッタ扉の通気口を開放することにより、内外圧力差によるシャッタ扉やそのガイド部への負荷を軽減することができ、これにより、シャッタ扉とガイド部の軽量コンパクト化と長寿命化を図るとともに、シャッタ扉の軽量化と開閉時の抵抗力減少に伴い、その駆動動力を小さくすることができる。
【0010】
この場合、通気口開閉機構が、シャッタ扉と略同位置に通気口を有し、かつシャッタ扉にスライド可能に重合されるスライド扉と、該スライド扉とシャッタ扉とを載置して開閉動作するとともに、スライド扉をシャッタ扉と通気口が合致する位置に付勢して支持する開閉支持台と、扉枠側に設けられ、シャッタ扉の閉じ位置でスライド扉に当接することにより、スライド扉をシャッタ扉の通気口を閉塞する位置にスライドさせる押し片とを備えることにより、通気口開閉機構を、専用の動力を必要とすることもなく簡単に設けることができる。
【0011】
また、通気口が合致する位置でシャッタ扉との間に空隙を存し、かつ通気口を閉塞する位置でシャッタ扉に密着するようにスライド扉を案内するスライドレーンを開閉支持台に設けることにより、閉塞時の通気口の隙間を極力小さくするとともに、スライド扉がスライドする際の擦れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のシャッタ装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図5に、本発明のシャッタ装置の一実施例を示す。
このシャッタ装置は、クリーンルームやカセットの開口部1にシャッタ扉2を開閉可能に配設するもので、シャッタ扉2に複数の通気口21を形成するとともに、シャッタ扉2が閉じたときに通気口21を閉塞し、かつシャッタ扉2の開閉動作時に通気口21を開放する通気口開閉機構を設けている。
【0014】
通気口開閉機構は、シャッタ扉2と同位置に通気口31を有し、かつシャッタ扉2にスライド可能に重合されるスライド扉3と、該スライド扉3とシャッタ扉2とを載置して開閉動作するとともに、スライド扉3をシャッタ扉2と通気口21、31が合致する位置に付勢して支持する開閉支持台4と、扉枠側に設けられ、シャッタ扉2の閉じ位置でスライド扉3に当接することにより、スライド扉3をシャッタ扉2の通気口21を閉塞する位置にスライドさせる押し片5とを備えている。
【0015】
シャッタ扉2は、本実施例では、上下2列でシャッタ扉2全体に均等に配設された縦スリット状の通気口21を有している。
シャッタ扉2は、開閉支持台4の上に固定されており、開閉支持台4がモータ(図示省略)で左右に移動することにより、開口部1を開閉する。
【0016】
スライド扉3は、シャッタ扉2と同じ外形で、かつシャッタ扉2と同位置に同形状の通気口31を有しており、開口部1の陽圧側でシャッタ扉2に重合するように開閉支持台4の上に支持されている。
スライド扉3は、開閉支持台4上でスライド可能に配設されており、通常は、シャッタ扉2と通気口31が合致する同じ並び位置になるように、開閉支持台4後端部との間に介設したばね6により閉じ方向に付勢され、開閉支持台4前端部のストッパ41に当接することにより位置決めされている。
【0017】
開閉支持台4は、シャッタ扉2とスライド扉3とを載置する横長板状のものからなり、シャッタ扉2を前端部のストッパ41と当接する位置で固定している。
また、この開閉支持台4は、その後端部とスライド扉3との間に介設したばね6により、スライド扉3をストッパ41と当接するように付勢するとともに、開き方向にスライド可能に支持している。
この開閉支持台4は、モータ(図示省略)により、シャッタ扉2とスライド扉3を載置した状態で開口部1と戸袋との間を移動し、開口部1の開閉を行う。
【0018】
押し片5は、本実施例では、扉枠の支柱7に設けられた突起からなり、図3に示すように、シャッタ扉2の閉じ位置でスライド扉3に当接することにより、スライド扉3を開き方向に押し戻し、スライド扉3をシャッタ扉2の通気口21を閉塞する位置にスライドさせる。
スライド扉3は、このようにシャッタ扉2の閉じ位置では押し片5に当接し、シャッタ扉2の通気口21を閉塞する位置にスライドするが、図1〜図2又は図4〜図5に示すように、シャッタ扉2の開閉動作時には、押し片5から開放されることから、ばね6により元の位置に復帰してシャッタ扉2の通気口21を開放する。
【0019】
ところで、本実施例では、スライド扉3をシャッタ扉2の陽圧側に配設することにより、スライド扉3とシャッタ扉2を密着させ、閉止時における通気口21の隙間を極力小さくしている。
この場合、スライド扉3を薄く形成すれば、その変形によりさらに隙間を小さくすることができるが、スライド扉3がスライドするときに擦れが生じる。
このような場合は、図6に示すように、開閉支持台4に、スライド扉3が通気口21を閉塞する位置でシャッタ扉2側に変位するようなスライドレーン42を設けるようにする。
このスライドレーン42は、通気口21、31が合致する位置ではスライド扉3とシャッタ扉2との間に空隙を存し、かつ通気口21を閉塞する位置ではシャッタ扉2に密着するようにスライド扉3を案内するもので、後部がシャッタ扉2側に湾曲している。
このようなスライドレーン42を設けることにより、閉塞時の通気口21の隙間を極力小さくするとともに、スライド扉3がスライドする際の擦れを防止することができる。
【0020】
かくして、本実施例のシャッタ装置は、開口部1にシャッタ扉2を開閉可能に配設したシャッタ装置において、シャッタ扉2に複数の通気口21を形成するとともに、シャッタ扉2が閉じたときに通気口21を閉塞し、かつシャッタ扉2の開閉動作時に通気口21を開放する通気口開閉機構を設けることから、図7(c)(d)に示すように、開閉動作時にシャッタ扉2の通気口21を開放することにより、内外圧力差によるシャッタ扉2やそのガイド部への負荷を軽減することができ、これにより、シャッタ扉2とガイド部の軽量コンパクト化と長寿命化を図るとともに、シャッタ扉2の軽量化と開閉時の抵抗力減少に伴い、その駆動動力を小さくすることができる。
【0021】
この場合、通気口開閉機構が、シャッタ扉2と略同位置に通気口31を有し、かつシャッタ扉2にスライド可能に重合されるスライド扉3と、該スライド扉3とシャッタ扉2とを載置して開閉動作するとともに、スライド扉3をシャッタ扉2と通気口21、31が合致する位置に付勢して支持する開閉支持台4と、扉枠側に設けられ、シャッタ扉2の閉じ位置でスライド扉3に当接することにより、スライド扉3をシャッタ扉2の通気口21を閉塞する位置にスライドさせる押し片5とを備えることにより、通気口開閉機構を、専用の動力を必要とすることもなく簡単に設けることができる。
【0022】
また、通気口21、31が合致する位置でシャッタ扉2との間に空隙を存し、かつ通気口21を閉塞する位置でシャッタ扉2に密着するようにスライド扉3を案内するスライドレーン42を開閉支持台4に設けることにより、閉塞時の通気口21の隙間を極力小さくするとともに、スライド扉3がスライドする際の擦れを防止することができる。
【0023】
以上、本発明のシャッタ装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、シャッタ扉の通気口をフラップ等で開閉するなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のシャッタ装置は、内外圧力差によるシャッタ扉やそのガイド部への負荷を軽減することにより、長寿命化を図るとともにコンパクトにすることができるという特性を有していることから、例えば、クリーンルームやカセットのシャッタ装置の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のシャッタ装置の一実施例を示し、(a)はシャッタ扉が開いた状態を示す正面図、(b)は同水平断面図である。
【図2】同実施例のシャッタ装置を示し、(a)はシャッタ扉の閉じ動作時の状態を示す正面図、(b)は同水平断面図である。
【図3】同シャッタ装置を示し、(a)はシャッタ扉が閉じた状態を示す正面図、(b)は同水平断面図である。
【図4】同シャッタ装置を示し、(a)はシャッタ扉の開き動作時の状態を示す正面図、(b)は同水平断面図である。
【図5】同シャッタ装置を示し、(a)はシャッタ扉が開いた状態を示す正面図、(b)は同水平断面図である。
【図6】同シャッタ装置のスライドレーンを示す平面図である。
【図7】従来のシャッタ装置と本発明のシャッタ装置を示し、(a)は従来のシャッタ扉の開閉動作時の状態を示す正面図、(b)は同水平断面図、(c)は本発明のシャッタ扉の開閉動作時の状態を示す正面図、(d)は同水平断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 開口部
2 シャッタ扉
21 通気口
3 スライド扉
31 通気口
4 開閉支持台
41 ストッパ
42 スライドレーン
5 押し片
6 ばね
7 扉枠の支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部にシャッタ扉を開閉可能に配設したシャッタ装置において、シャッタ扉に複数の通気口を形成するとともに、シャッタ扉が閉じたときに通気口を閉塞し、かつシャッタ扉の開閉動作時に通気口を開放する通気口開閉機構を設けたことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
通気口開閉機構が、シャッタ扉と略同位置に通気口を有し、かつシャッタ扉にスライド可能に重合されるスライド扉と、該スライド扉とシャッタ扉とを載置して開閉動作するとともに、スライド扉をシャッタ扉と通気口が合致する位置に付勢して支持する開閉支持台と、扉枠側に設けられ、シャッタ扉の閉じ位置でスライド扉に当接することにより、スライド扉をシャッタ扉の通気口を閉塞する位置にスライドさせる押し片とを備えたことを特徴とする請求項1記載のシャッタ装置。
【請求項3】
通気口が合致する位置でシャッタ扉との間に空隙を存し、かつ通気口を閉塞する位置でシャッタ扉に密着するようにスライド扉を案内するスライドレーンを開閉支持台に設けたことを特徴とする請求項2記載のシャッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−150855(P2008−150855A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339702(P2006−339702)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】